徴用工問題-1



2020.8.5-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200805/wor2008050001-n1.html
韓国、対日対応策を検討 「徴用工」資産現金化問題

   【ソウル=名村隆寛】いわゆる徴用工訴訟で韓国の裁判所が出した新日鉄住金(現・日本製鉄)への資産差し押さえ命令の「公示送達」の効力が4日に発生し、韓国内の日本製鉄の資産の現金化(売却)手続きが可能となったことで、日韓関係は深刻な局面を迎えた貿易、安全保障の分野でも、韓国側に日本との関係改善を図ろうとする兆しは見えない。
   韓国側は現金化に関して傍観の構えだ。韓国外務省報道官は4日の定例会見で「現金化の手続きは司法手続きの一部であり、政府次元で言及することではない」と述べ、司法判断に介入しない姿勢を示した
   それでも、韓国政府は日本製鉄の資産が現金化された場合に、日本政府がどのような「報復措置」に出るかを懸念している。
   韓国外務省報道官は「(日本の)具体的な措置が出たときに実際の対応に出る。状況を鋭意注視している」とした。韓国政府の対応に関し、韓国紙、京郷新聞は「相応の措置で対応するしかない」との外交関係者の話を挙げ、金融制裁が発動されたら韓国側も金融制裁で対抗するなど「日本と同水準の対抗措置」を検討中だと伝えた。
   日韓の火だねは他にもある。韓国政府は日本政府による昨年7月の対韓輸出管理厳格化措置を不当だとし、同9月に世界貿易機関(WTO)に提訴。今年6月には一時中断していた紛争解決手続きを再開した。
   この問題についても、韓国外務省報道官は4日、「(安全保障上の懸念など)日本が提起した疑問は解消済みだ」と自国の正当性を強調した。
   また、昨年8月に破棄の決定を発表しその後、維持決定された日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は今月下旬に終了通告期限を迎える。
   同省報道官は、GSOMIAを「いつでも終了させることは可能」とし、維持は「日本の輸出規制措置の撤回の動向次第だ」との認識を示した。
   日本企業の資産現金化をめぐる日本の反発を尻目に、韓国側は逆に日本に圧力をかけ始めている


2020.8.4-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200804/k10012549011000.html
「徴用」韓国裁判所 資産売却に向け手続きへ 日本は対抗措置も

  太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国の裁判所は、被告の日本企業の資産の差し押さえを命じた書類についてホームページで2か月間公開した結果、4日午前0時をもって、日本側に届いたとみなしました。今後、少なくとも数か月はかかるという見方がある資産の売却に向けた手続きに本格的に入る見通しですが、現金化が行われた場合、日本政府は対抗措置をとることも検討していて、日韓関係のさらなる悪化が懸念されています
  韓国では、最高裁判所がおととし10月、新日鉄住金、今の日本製鉄に対し、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と主張する韓国人4人への賠償を命じる判決を言い渡しました。
  これについて日本政府は、日韓請求権協定に基づき解決済みだとして、国際法違反の状態を是正するよう韓国政府に求めていて、日本製鉄も賠償に応じていません。
  こうした中、韓国の裁判所は、原告側の申し立てを受けて、ことし6月、韓国国内にある日本製鉄の資産として、韓国の鉄鋼大手との合弁会社の株式の差し押さえを命じた決定書などをホームページに公開する「公示送達」の手続きをとりました。
  そして、2か月後の4日午前0時をもって日本製鉄側に書類が届いたとみなし、「公示送達」の効力が発生しました。
  日本製鉄側は今後、即時抗告を行うとしています。
  これから資産の売却に向けた手続きに本格的に入る見通しですが、韓国の複数の主要メディアは、資産の鑑定などで少なくとも数か月はかかるという見方を伝えています。
  韓国政府が司法判断を尊重するとの立場を変えていない中、この先、裁判所が資産の売却を命じて現金化が行われた場合、日本政府は対抗措置をとることも検討していて日韓関係のさらなる悪化が懸念されています。
差し押さえを求めた資産とは
  今回の裁判で原告側が差し押さえを求めたのは、日本製鉄と韓国の鉄鋼大手「ポスコ」が、2008年に設立した合弁会社「PNR」の株式です。
  日本製鉄が所有している株式は、全体の3割で、原告側によりますと、差し押さえの対象は、このうちのおよそ8万1000株、額面価格で4億ウォン余り、日本円にしておよそ3600万円相当だということです。
  「PNR」の本社は、韓国南部ポハン(浦項)にある「ポスコ」の本社工場の敷地内にあり、工場から出る廃棄物をリサイクルして鉄を生産する事業を行っています。
  韓国の通信社、連合ニュースは、「PNR」について、従業員が70人余りで、年間の売り上げは日本円でおよそ33億円だと伝えています。
日本製鉄「即時抗告行っていく」
  大手鉄鋼メーカーの日本製鉄は、「徴用をめぐる問題は、国家間の正式な合意である日韓請求権協定により、『完全かつ最終的に解決された』ものと理解している」としたうえで、「日韓両政府による外交交渉の状況なども踏まえ、今後、資産の差し押さえに向けた手続きに対しては、即時抗告を行っていく」としています。
日本政府 出方を注視 対抗措置などの検討を本格化させる方針
  自民党の議員グループは3日、資産が売却され現金化された場合には、直ちに韓国政府に実効性の高い制裁を科すよう求める決議をまとめました。
  日本政府は、一連の手続きは明確な国際法違反で、資産が売却されれば、両国関係が深刻な状況に陥りかねないとして、韓国政府に対し、早期に解決策を示すよう繰り返し求めています。
  そして、今回、まずは韓国側の出方を注視することにしていて、資産の売却に備え、具体的な対抗措置や損害賠償請求などの検討を本格化させる方針です。


2020.6.14-Yahoo!!Japanニュース(朝日新聞 DIGITAL)=https://news.yahoo.co.jp/articles/8e1d4f76294b5ea7615abb10e8818458c929737c
軍艦島元島民「徴用工差別、聞いたことない」施設で紹介

  ユネスコの世界文化遺産に登録された長崎市の軍艦島など「明治日本の産業革命遺産」を説明する施設「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)が15日から一般公開される。朝鮮半島出身の徴用工に関し、虐待や差別は聞いたことがない」とする元島民のインタビューが紹介されており、韓国が問題視する可能性もある。

  同センターは3月31日に開所式が行われたが、新型コロナウイルスの感染拡大で翌4月1日から休館となっていた。15日からの一般公開を前に14日、報道陣に公開された。
  日本は2015年の世界遺産委員会で「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者」がいたことを認め、当時の徴用政策について理解できるような措置を講じると説明。同センターの設置も表明していた。
   同センターでは、軍艦島や長崎造船所、八幡製鉄所など登録された23資産について、パネルや動画で解説。「国民徴用令」など「官あっせん、徴用、引き揚げについて理解できる五つの文書」をパネルで列挙した。
   その隣には1965年の「日韓請求権協定」の全文が掲示された。日本側は、元徴用工らへの賠償問題に関し、この協定で解決済みとの立場を取っている。  同じ部屋には、元島民らのインタビューも紹介。父が端島(軍艦島)炭鉱で働いていたという在日韓国人2世の元島民が「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」などと証言している
   加藤康子センター長は「政治的な意図はない。約70人の元島民へのインタビューで、虐待を受けたという証言はなかった」と説明。今後、インタビューを拡充していくという。
   同センターをめぐっては、韓国側は昨年12月、遺産近くではなく東京に設けられることや、徴用工に関する説明について「遺憾」とする「論評」を出した。その中で、日本は15年に世界遺産登録が決まった際、「(朝鮮半島出身の)強制労役の犠牲者を記憶にとどめる措置をとることを約束した」と主張、日本に「約束通りの措置」を取るよう求めていた。(太田成美)


2020.6.15-Yahoo!!Japan(朝鮮日報 Chosun Online)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7376975df3493c307221b50d802977409958c15c
日本、ユネスコ合意破り軍艦島の強制労働を隠ぺい
(1)
  日本政府が15日、韓国人の強制労働で悪名高い長崎県の軍艦島(端島)炭鉱の真実を歪曲した「産業遺産情報センター」(東京・新宿区)の一般公開を強行した。日本政府は2015年、軍艦島が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された当時、「本人の意思に反する韓国人強制労働」を認め、犠牲者を追悼する内容を含む情報センターの設置を国際社会に約束したが、それを守らなかった格好だ。展示物では逆に「韓国人差別はなかった」とする証言を紹介した。
  安倍晋三首相は2018年の韓国大法院での徴用工に対する賠償判決が韓日請求権協定違反だとして、「韓国が国際法を守らない」と批判してきた。それでいてユネスコを通じ国際社会に約束したことを守らなかった格好だ。今回の一件を巡っては、最悪の韓日関係をさらに危うくする悪材料になりかねないとの懸念が聞かれる。
   日本政府が予算の全額を支援する「産業遺産国民会議」は今回、新宿区の総務省第2庁舎別館に産業遺産情報センターを設けた。同センターは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年3月末に開所式を行った後は閉館していた。
   一般向けの開館に先立ち、東京特派員共同取材団に公開された同センターは明治時代の産業遺産23カ所を広報する内容だ。面積は1078平方メートルで、大きく3つのゾーンに分かれており、軍艦島関連の展示はゾーン3に集中している。そこには65インチスクリーン7台が設置され、軍艦島炭鉱の歴史と意義を説明している。産業遺産情報センターは出入り口付近に軍艦島の世界文化遺産登録当時に日本政府がユネスコに対して行った「約束」が明記されている。しかし、展示物にはそうした内容が見つからない。むしろ「過酷な条件下での強制労働」を否定する内容を強調している。

  在日僑胞2世で幼いころを軍艦島で過ごした鈴木文雄さんの証言が代表的だ。鈴木さんの発言は「端島炭鉱で働いていた伍長の父を誇らしく思う」との内容だ。そのパネルには鈴木さんが「いじめにあったことがあるか」「むちで打たれたことがあるか」との質問に対し、「いじめにあったことはなく、むしろかわいがられた」「むちで打つことなんてあり得るのか」と答えたとの記述がある。「当時朝鮮人と日本人は同じ日本なので差別はなかった。虐待もなかった」という日本人の証言もスクリーンから流れた。産業遺産国民会議の役員でもある加藤康子センター長は取材陣に対し、「当時の炭鉱労働者の中には虐待を受けた人はいない」と述べた。このほか、軍艦島などで生活した10人余りのインタビュー映像で過去を美化した。
   韓国人に給与を正確に支払ったことを強調する当時の給与袋も展示されていた。また、1940年代の徴用令だけでなく、韓日請求権協定の全文も展示している。産業遺産情報センターの展示は、当時多くの韓国人が差別待遇を受け、つらい労働に苦しんだ事実とは反するもので、日本に有利な証言ばかりを批判しているとの批判を受けている、日本は日帝時代末期に軍艦島のほか、長崎造船所、八幡製鉄所などに4万人の韓国人を強制動員した。  こうした歴史があることから、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は日本が2013年に軍艦島を含む「明治日本の産業革命遺産」をユネスコの世界文化遺産への登録を申請したことに反対した。安倍内閣が徴用被害者の暗い歴史に目を向けていないからだった。安倍内閣は朴槿恵政権が問題提起を行い、ユネスコでの賛否対決も辞さないとする立場を示したことで低姿勢に転じた。韓国人の強制労働を認め、そうした内容を含む情報センターの設置を約束した。1940年代に韓国人が本人の意思に反して日本の土を踏み、過酷な環境での労働を強要されたことについて、理解することができるような措置を講じると約束したものだった。
(2)
  しかし、日本はその後、約束を破り続けてきた。日本政府は2017年、ユネスコ世界遺産委員会に最初の報告書を提出した際、「強制労働」という表現を盛り込まなかった。19年の第2次報告書も同様だった。これについて、ユネスコは日本の約束違反を指摘し、登録される施設全体の歴史を理解できるようにすることを勧告した。
   安倍内閣による今回の措置について、日本でも批判が起きている。共同通信は「日本が朝鮮半島を植民地支配していた当時の軍艦島では、多くの朝鮮人労働者が非道な扱いを受けたとされる」「(こうした動きは)過去の事実を覆い隠し、歴史修正主義を助長するとの批判を招きそうだ」と報じた。
   一部からは安倍内閣が韓国の反発が予想される事案を強行することで両国関係が悪化することを助長、放置しているのではないかとの分析も聞かれる。韓国外交部は15日、在韓日本大使館の幹部を呼び、今回の問題について抗議するほか、ユネスコにもこの施設について伝え、日本政府が展示内容を修正するよう求めていく方針だ。
  東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員


2020.6.5-ZAKZAK by 夕刊フジ-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/
韓国外務省「元徴用工」訴訟でまた妄言 地裁の財産差し押さえ命令決定で「当局間で協議を続けていく」

  韓国外務省が、また妄言を放った-。同国最高裁が、いわゆる「元徴用工」訴訟で、新日鉄住金(現日本製鉄)に賠償を命じる異常判決を出し、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部が財産差し押さえ命令の「公示送達」を決めたことについて、同省の報道官が日本と協議する姿勢を示したのだ。日韓外交の勉強をやり直した方がいいのではないか。
  「外交当局間の意思疎通と協議を続けていく」。韓国外務省の金仁●(=轍の車をさんずいに)(キム・インチョル)報道官は4日の記者会見で、こう語った。聯合ニュースが報じた。
  茂木敏充外相が前日、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相に問題解決の通告をしたはずだが、一体、何を寝ぼけているのか。
  戦時中の「徴用」は国際法にも国内法にも合致している。日韓の請求権問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決」している。日本政府は無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時のレートで約1800億円)を韓国政府に提供した。
  韓国政府はこの巨額資金と、日本の技術やノウハウをもとに「漢江(ハンガン)の奇跡」を成し遂げた。元徴用工に資金が渡らなかったのは、一方的に韓国政府の問題である。
  ところが、韓国最高裁は2018年10月、これを無視した異常判決を出し、日本企業の資産が現金化される動きが進んでいる
  菅義偉官房長官は4日の記者会見で、「韓国側の判決と関連する司法手続きは明確な国際法違反だ。現金化は深刻な状況を招くため避けなければならない」「韓国側に早期に解決策を示すよう強く求めていく立場に全く変わりはない」と強調した。
  韓国側が、日本企業の資産を現金化すれば、日本政府は対抗措置を発動するしかない。


2020.4.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/200429/plt2004290009-n1.html
韓国が資産現金化なら対抗措置 「徴用工」判決1年半

いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国最高裁が新日鉄住金(現日本製鉄)に賠償を命じる確定判決を出してから30日で1年半となる。判決は日韓関係の基盤である1965年の日韓請求権協定を覆しただけに、政府は韓国側の責任で解決策を示すよう強く求めてきた。だが、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「三権分立」を理由に主体的な関与を避け続け、原告側による日本企業の資産の差し押さえと現金化に向けた手続きが進んだ。
   「旧朝鮮半島出身労働者(元徴用工)の問題は日韓の最大の懸案であり、今後も韓国に国際法違反の状態の是正を強く求めていく」
   菅義偉官房長官は16日の記者会見でこう訴えた。とはいえ、これまで不作為を続けてきた文政権が、にわかに動くとは考えにくい。むしろ、15日の韓国総選挙で与党が圧勝したことで、文政権は対日姿勢をさらに強める可能性がある。
   安倍晋三首相は昨年12月の日韓首脳会談で、文氏に韓国側の責任で解決策を示すよう直接求めた。
   しかし、文氏は今年1月の記者会見で「ともに知恵を集めれば、十分に解決できる余地がある」と述べ、日本側にも解決策を示すよう促した。念頭には、原告への慰謝料として日韓両国の企業が出資する案や、企業と国民から寄付を募る案があったとみられる。
   しかし、日韓請求権協定は、両国民の財産や請求権に関する問題の「完全かつ最終的」な解決を確認している。国交正常化交渉の過程で韓国側は、徴用を含む補償に関し、日本側が提案した個人への支払いを断って、韓国政府への一括供与を求めた。その結果、政府は韓国政府に5億ドルの供与を約束し、実行した。
   日本の企業が拠出すれば、請求権協定との矛盾が生じる。政府に韓国が提示した案を受け入れる余地がないのはこのためだ。
   韓国側が、判決で生じた国際法違反状態を是正しない間に進んだのは、原告による日本企業の財産差し押さえと現金化するための手続きだった。
   資産売却は、原告の申請を受理した裁判所の判断に委ねられているが、「いつあってもおかしくない」(日韓外交筋)とされる。
   現金化に至った場合、日本政府は速やかに対抗措置を講じる考えで、韓国側の資産差し押さえや輸入関税の引き上げなど二桁に上るオプションを検討している。「どの措置を発動するか、最後は政治の判断」(外務省幹部)で、首相が文政権の対応や日本経済への影響を見極めた上で決断するとみられる。


2020.4.16-Yahoo!! Japan ニュース(西日本新聞)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200416-00010017-nishinpc-int
元徴用工解決は期待感薄く 日本の政府関係者「文氏代わらないと」

   日本政府は韓国総選挙の結果を注視するが、悪化した日韓関係は文在寅ムンジェイン)政権の与党の勝敗には直接関係なく、文大統領が代わらなければ変化しない」(政府関係者)と冷めた分析をしている。両国間の最大の課題である元徴用工問題は、差し押さえられた日本企業の資産の現金化が迫りつつあるが、対話の機運は高まっていない。
  「日韓関係は厳しい状況が続いているが、引き続き韓国側に適切な対応を求めていく方針には変わりない」。15日午後、菅義偉官房長官は記者会見で元徴用工問題を念頭に、韓国総選挙の結果にかかわらず、従来の日本の主張を続けていくと強調した。
  元徴用工問題では、日本企業の資産売却手続きが進められており、早ければ今年上半期中にも裁判所の売却命令が出る見通し。残り2年の大統領任期を残す文氏は、元徴用工らの意向を考慮して解決を図るとの立場を崩しておらず、厳しい対日政策を変える気配は見えない。
  これに対し、日本政府は日本企業が実害を被る事態となれば「看過できない」(外務省幹部)として、報復措置も辞さない構えだ。自民党内には、今回の総選挙を機に「韓国与党内にも一定いる親日派に声を上げてもらい、(現金化を)止めてほしい」との声もあるが、一部にとどまっている。
 (東京支社取材班)



2019.9.6-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190906/wor1909060008-n1.html
「戦犯企業」の製品不買 釜山市議会で条例案可決、徴用工像の設置も審議

【ソウル=名村隆寛】韓国の釜山市議会は6日、本会議を開き、日本での戦前に朝鮮半島出身者を働かせ軍需物資を作った日本企業を「戦犯企業」とし、同市などが該当企業の製品を購入しないことを努力義務とする条例案を可決した。また、慰安婦像や徴用工像などの路上への設置を許可する条例案も可決した。条例の成立で、日韓関係がさらに悪化することは必至だ。
 条例は、三菱重工業をはじめ日本企業284社を戦犯企業と定義。これらの企業が公式に謝罪や賠償をしていないとし、既に購入済みで、使用されている物には「戦犯企業の製品」であることを明記したステッカーを貼ることなどが盛り込まれている。
 釜山市議会では同時に、慰安婦像や徴用工像など「歴史的な事件」を記念する造形物の路上への設置を認める条例案についても審議し、可決した。慰安婦像は2016年末以降、総領事館前に設置されているが、徴用工像は市民団体が何度も設置を試みたものの撤去された。条例が可決、成立したことで、法的な後ろ盾を得て徴用工像の設置への動きが加速するのは必至の情勢だ。
 一方、ソウル市議会でも6日午後に同様の条例案が審議される。「戦犯企業」を標的にした条例案は、これまで韓国の他の地方議会で提出されたが、批判が続いたため成立していない。現時点で、ソウルや釜山を含め17の地方議会で条例制定への動きが出ており、今後、成立が相次ぐ見通しだ。


2019.8.31-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190830/k10012056701000.html
LCC ピーチ韓国と結ぶ3路線運休へ 国内の航空会社で初

日韓関係
 関西空港を拠点とするLCC「ピーチ・アビエーション」は、日本と韓国を結ぶ3つの路線をことし10月以降、順次運休することがわかりました。日韓関係が悪化する中、国内の航空会社が韓国路線の運休を決めたのは初めてだということです。
関西空港を拠点としている「ピーチ・アビエーション」によりますと、日韓関係が悪化する中、韓国から日本を訪れる利用客の減少が続いているということです。
 このため、いずれも1日1往復の運航をしている新千歳空港とソウルを結ぶ便をことし10月28日から、関西空港とプサン(釜山)を結ぶ便を来年1月7日から運休し、那覇空港とソウルを結ぶ便は来年1月28日から2月22日までの間で運休を決めました。
 また、1日4往復運航する関西空港とソウルを結ぶ便は、ことし11月11日から12月8日まで減便し、3往復で運航することにしています。
 ピーチ・アビエーションによりますと、日韓関係が悪化する中、国内の航空会社が韓国路線の運休を決めるのは初めてだということです。
 ピーチ・アビエーションは「韓国経済の低迷も踏まえ今後、客足が戻るには時間がかかると判断した」としています。


2019.7.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/190729/plt1907290032-n1.html
徴用工問題「支払いは韓国政府」で合意 外務省、日韓協定交渉の資料公表

外務省は29日、いわゆる徴用工問題をめぐり、1965(昭和40)年に締結された日韓請求権協定の交渉過程で、韓国政府が日本側に示した「対日請求要綱」を公表した。要綱には元徴用工らへの補償請求が明記され、この要綱をすべて受け入れる形で計5億ドルの資金供与と請求権問題の「完全かつ最終的」な解決をうたった請求権協定が締結された。
 対日請求要綱は8項目で構成され、その中に「被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する」と記載されている。要綱と併せて公表された交渉議事録によると、1961(昭和36)年5月の交渉で日本側代表が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねると、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答した。
 韓国側が政府への支払いを求めたことを受け、日本政府は韓国政府に無償で3億ドル、有償で2億ドルを供与し、請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこと」を確認する請求権協定を締結した。
 しかし、韓国最高裁は昨年、日本企業に元徴用工らへの損害賠償を命じた判決を確定させた。日本政府は「国際法違反」として韓国政府に早期の対応を求めている。


徴用工訴訟問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

徴用工訴訟問題とは、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題。元労働者は奴隷のように扱われたとし、現地の複数の日本企業を相手に多くの人が訴訟を起こしている。韓国で同様の訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業、不二越、IHIなど70社を超える。2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は新日本製鉄(現日本製鉄)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。 日本の徴用工への補償について、韓国政府は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」としてきたが、大法院は日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないとしたため、日本政府は日韓関係の「法的基盤を根本から覆すもの」だとして強く反発した。安倍晋三首相は「本件は1965年(昭和40年)の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府としては毅然と対応する」と強調した。日韓請求権協定には、両国に紛争が起きた際は協議による解決を図り、解決しない場合は「仲裁」という手続きが定められている。日本政府はこの手続きにより解決しない場合、国際司法裁判所への提訴も視野に入れている。

呼称
安倍晋三首相は2018年11月1日、国会予算委員会でこれまで日本政府が使ってきた「徴用工」という表現の代わりに今後は「旧朝鮮半島出身労働者」という表現を使うと明らかにした。安倍首相は「当時、国家総動員法(1938年制定)の下、国民徴用令には募集、官斡旋、徴用があった」として、2018年10月30日の大法院での原告4名はいずれも「募集」に応じた人たちとした。韓国政府は国家総動員法が施行された後に動員されたすべての労働者を「強制動員被害者」と認定している

徴用工訴訟の経緯
韓国人慰安婦・サハリン残留韓国人・韓国人原爆被害者の対日補償要求(2005年)

韓国政府や韓国メディアは、戦後補償について「完全かつ最終的に解決した」とする1965年日韓請求権協定を当時韓国国民に積極的に周知を行うこと がなかったため、民間レベルではその後も日本政府への戦後補償を求める訴えや抗議活動を行い続けていた。のちに戦後補償がこの協定により完全解決していることは、政府レベルでは韓国側議事録でも確認され、日本政府もこの協定により日韓間の請求権問題が解決したとしてきたが、2005年の盧武鉉政権から、韓国政府は慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者の問題については日韓請求権協定の対象外だったと主張し始めた。また2005年4月21日、韓国の与野党議員27人が、1965年の日韓基本条約が屈辱的であるとして破棄し、同時に日本統治下に被害を受けた個人への賠償などを義務付ける内容の新しい条約を改めて締結するよう求める決議案を韓国国会に提出するとともに、日韓両政府が日韓基本条約締結の過程を外交文書ですべて明らかにした上で韓国政府が日本に謝罪させるよう要求した。

韓国政府が元徴用工の対日補償請求はできないと表明(2009年)
2009年8月14日、ソウル行政裁判所は、大韓民国外交通商部が裁判所に提出した書面に「日本に動員された被害者のための(未払い賃金)供託金は請求権協定を通じ、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれているとみるべきで、日本政府に請求権を行使するのは難しい」と記述されていることを明らかにした。韓国政府がこのような見解を示したのは1965年に韓日請求権並びに経済協力協定が締結されて以降、初めてになる。また、ソウル行政裁判所は、韓国の外交通商部から、日本政府は条約締結以前の1946年、日本企業に対して朝鮮人に対する未払い額を供託所に供託するよう指示を行っており、2009年8月現在、日本に供託形態で保管されたままとなっている韓国・朝鮮人への不払い賃金額は、強制動員労務者2億1500万円、軍人・軍属9100万円などで総額3億600万円となっているという説明を受けたことを明らかにした。

韓国大法院、日本企業の徴用者に対する賠償責任を認める(2012年)
韓国政府は元徴用工の対日補償請求はできないと表明していたが、韓国大法院2012年5月23日、日韓併合時の日本企業による徴用者の賠償請求を初めて認めた。元徴用工8人が三菱重工業新日本製鉄を相手に起こした損害賠償請求訴訟の上告審で、原告敗訴判決の原審を破棄し、原告勝訴の趣旨で事案をそれぞれ釜山高法とソウル高法に差し戻した。韓国大法院は「1965年に締結された日韓請求権協定は日本の植民地支配の賠償を請求するための交渉ではないため、日帝が犯した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権は依然として有効」とし、「消滅時効が過ぎて賠償責任はないという被告の主張は信義誠実の原則に反して認められない」と主張した。また、元徴用工が日本で起こした同趣の訴訟で敗訴確定判決が出たことに対しても、「日本の裁判所の判決は植民地支配が合法的だという認識を前提としたもので、強制動員自体を不法と見なす大韓民国憲法の核心的価値と正面から衝突するため、その効力を承認することはできない」と主張した。

相次ぐ元徴用工と遺族による裁判
韓国の下級裁判所では元徴用工と元徴用工の遺族が日本企業3社(新日鉄住金三菱重工業不二越)に損害賠償を求める裁判を相次いで起こしている。
2013年2月、富山市の機械メーカー不二越による戦時中の動員に対して、強制動員被害者13人と遺族が計17億ウォン(約1億5000万円)の賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。
2013年3月、日本製鐵(現新日鐵住金)の釜石製鉄所岩手県)と八幡製鐵所福岡県)に強制動員された元朝鮮人労務者ら8人が、新日本製鐵(現新日鐵住金)に8億ウォン(約7000万円)支払いを要求してソウル中央地裁に損害賠償請求訴訟をおこした。2013年7月10日、ソウル高裁は判決で新日鉄住金に賠償を命じたが、その後新日鉄住金は上告した。菅義偉 官房長官は「日韓間の財産請求権の問題は解決済みという我が国の立場に相いれない判決であれば容認できない」とコメントした。
2013年11月8日にソウルで行われた日韓外務次官級協議では、日本の外務審議官杉山晋輔が韓国の外務第1次官である金奎顕(キム・ギュヒョン)に対し、元徴用工問題で韓国大法院で日本企業の敗訴が確定した場合、日韓請求権協定に基づき韓国側に協議を求める方針を伝えた。また韓国側が協議に応じなかったり、協議が不調に終わった場合は国際司法裁判所への提訴のほか、第三国の仲裁委員を入れた処理を検討すると表明した
2015年12月24日現在、確認されただけで係争中の裁判が13件あり、このうち5件で日本企業側に損害賠償を命じる判決が出ており、3件が韓国大法院の判断を待つ状態になっている

韓国憲法裁判所、「日韓請求権協定は違憲」の訴えを却下(2015年)
韓国憲法裁判所2015年12月23日、1965年に締結された日韓請求権協定は違憲だとする元徴用工の遺族の訴えを審判の要件を満たしていないとして却下した。原告である元徴用工の遺族は、韓国政府による元徴用工への支援金支給の金額の算定方法や対象範囲を不服として、支給を定めた韓国の国内法と日韓請求権協定が財産権などを侵害しているとし、韓国の憲法に違反していると告訴していた。韓国憲法裁判所の決定は国内法の不備を認めず、支援金支給に関して日韓請求権協定が「適用される法律条項だとみるのは難しい」とした。また日韓請求権協定が仮に違憲であっても原告の請求には影響しないとし、審判の要件を満たしていないと却下した

中国で三菱マテリアルによる謝罪と賠償による和解(2016年)
1972年、中国と日本は国交正常化において日中共同声明を発表、中国は「日中両国民の友好のために、日本に対する戦争賠償の請求を放棄する」と宣言した。2016年6月1日、中国人による損害賠償請求訴訟において、三菱マテリアル謝罪と一人当たり10万(約170万円)の支払いを行う内容で、北京市で原告と和解を行った。総額で約64億円となり第二次世界大戦後最大規模の和解となった

韓国下級裁判所における判決
2016年8月23日、ソウル中央地方裁判所は新日鉄住金に対し元徴用工遺族らに計約1億ウォン(約890万円)の支払いを命じる判決を出した。
2016年8月25日、ソウル中央地方裁判所は三菱重工業に対し元徴用工遺族ら64人に被害者1人あたり9000万ウォン(約800万円)ずつ賠償するよう命じる判決を出した
2016年11月23日、ソウル中央地方裁判所は不二越に対し元女子勤労挺身隊の5人に1人あたり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を出した。

大法院及び法院行政所
韓国大法院2018年までの約5年間徴用工訴訟について判決を出していなかったが、2018年に韓国の検察当局は朴槿恵政権期に大法院が大統領府や外交省と協議し故意に判決を先送りしてきた疑いがあるとし法院行政所の元幹部などを起訴。2018年12月3日には職権乱用などの容疑で当時大法官(最高裁判事)だった朴炳大の逮捕状をソウル中央地裁に請求したが、ソウル中央地裁は12月7日に逮捕状の請求を棄却した

大法院が新日鉄住金に対し損害賠償を命じる(2018年)
2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は差し戻し審で新日本製鉄(現新日鉄住金)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。徴用工訴訟において大法院で結審したのは初めて。これにより、新日鉄住金の韓国内の資産差し押さえの可能性がでてきた。韓国で同様の訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業不二越IHIなど70社を超えており[1]、この判決以降韓国の政府機関や支援する財団に「訴訟を起こしたい」という問い合わせの電話が鳴り止まない状況が続いている。
2018年10月30日の大法院の判決では提訴期限の基準を示しておらず控訴審の裁判所の判断は分かれている[20]。韓国側は提訴期限の起算点を、1965年(国交正常化時)、2005年8月(韓国が請求権協定に関する見解を表明した時)、2012年5月(大法院が個人的請求権に関する判断を行った時)、2018年10月(大法院が損害賠償を命じる判決を行った時)などを想定しており、日韓請求権協定で全て解決済みだとする日本との損害賠償訴訟をめぐる新たな争点として浮上している

韓国政府に対する集団訴訟
2018年12月、戦時中に日本企業に徴用されたとする韓国人とその遺族が、1965年日韓請求権協定で日本政府から3億ドルの無償支援を受け取った韓国政府に補償責任があるとして、韓国政府に対して1人当たり1億ウォン(約1千万円)の補償金の支払いを求める集団訴訟を提起することが明らかになった

日本の対応
2018年11月1日、自由民主党は日本政府に対し日韓請求権協定に基づく協議や仲裁の速やかな開始を韓国に申し入れるよう求める決議をまとめた。

原告代理人弁護士が新日鉄住金本社へ
2018年12月、原告代理人の韓国人弁護士が東京都 千代田区新日鐵住金本社に侵入したが、警備員から遺憾の意を伝達され阻止された。原告代理人弁護士は、12月にも再び新日鐵住金本社を訪れたが、拒まれたため、進藤孝生社長に対する要請書を受付に残して帰ったのち、記者会見を開き、差押の手続を開始する用意があることを明らかにした。
同月には日本の外務省金杉憲治 アジア大洋州局長が大韓民国 外交部を訪れ、差し押さえに対する遺憾の意を伝えると共に問題の解決に向け協議を行った

個人請求権の解釈
1965年日韓請求権並びに経済協力協定(日韓請求権協定)によって日韓の財産及び請求権問題に関する外交的保護権が放棄されていることについては異論がない。
日本政府は条約締結以降、請求権協定によって日韓の請求権問題は個人請求権も含めて終局的に解決されたという立場を維持している。逆に韓国政府は条約締結以降2000年頃までは請求権協定によって個人請求権が消滅したという立場であったが、その立場を変遷させ2000年には韓国において放棄されたのは外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとの趣旨の外交通商部長官の答弁がなされるに至った。
旧朝鮮半島出身労働者の訴訟は当初日本の裁判所で争われたが、最高裁は日本における韓国民の財産請求権は「日韓請求権協定協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」(財産措置法)により消滅しているとし、認めなかった。そのため、今度は韓国の裁判所で争われるようになった。2018年10月30日、韓国の最高裁大法院徴用工の個人賠償請求権を認め、裁判官の多くが徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定の効力範囲に含まれないと判断した。
韓国の対日請求に関する問題には、徴用工訴訟のほか、慰安婦問題サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者の問題、日本に略奪されたと主張される文化財の返還問題などがある。

日本政府
 日本政府は1965年日韓請求権協定についてその締結の当初から個人請求権は消滅していないと解釈していた。日韓請求権協定締結時の外務省の内部文書には日韓請求権協定第二条の意味は外交保護権を行使しないと約束したもので、個人が相手国に請求権を持たないということではないと書かれていた[31]。このような日本政府の解釈は日韓請求権協定締結前から一貫したものであった。というのも、原爆シベリア抑留の被害者が、日韓請求権協定に先立って締結されたサンフランシスコ平和条約日ソ共同宣言の請求権放棄条項により賠償請求の機会を奪われたと主張し、日本に補償を求める訴訟を提起したからである。この訴訟において、日本はそれらの請求権放棄条項によって個人の請求権は消滅しないから、賠償請求の機会は奪われていないと主張した。韓国との関係に関しても戦後韓国に残る資産を失った日本国民が韓国に対して訴訟を提起する可能性があるため、日本は当初から請求権放棄条項によっては個人の請求権は消滅しないという立場に立っていた。請求権協定締結の1年後である1966年に、協定の交渉担当者の外務事務官谷田正躬は、協定で放棄されるのは外交保護権にすぎないから、日本政府は朝鮮半島に資産を残してきた日本人に補償責任を負わないと解説した
 1991年8月27日、柳井俊二 外務省条約局長が参議院 予算委員会で、「(日韓請求権協定は)いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではない。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることができないという意味だ」と答弁したため、それ以降韓国の個人請求権を根拠にした日本への訴訟が相次ぐようになった
 1992年2月26日、柳井は、請求権協定2条3項により「国及び個人の財産、権利及び利益に対する措置」及び「請求権」に対する外交保護権が消滅したと答弁した。そしてこの「財産、権利及び利益」は協定時の合意議事録で「法律上の根拠により実体法的価値を認められるすべての種類の実体的権利」であることが合意されていて、条約が直接外交保護権を消滅させた「請求権」は実体法上の根拠のないクレームに過ぎないと述べた。そして、実体法上の根拠がある「財産、権利及び利益」についてはそれ自体の外交保護権が放棄されたわけではないものの、「財産、権利及び利益に対する措置」として国内法たる1965年の「財産措置法」によって韓国民の財産権は消滅していることを明らかにした。
さらに、1992年3月9日の予算委員会において柳井は「請求権の放棄ということの意味は外交保護権の放棄であるから、個人の当事者が裁判所に提訴する地位まで否定するものではない」と答えた。また、内閣法制局 長官工藤敦夫は「外交保護権についての定めが直接個人の請求権の存否に消長を及ぼすものではない」とし、「訴えた場合にそれらの訴訟が認められるかどうかまで裁判所が判断する」と述べた
 1993年5月26日の衆議院予算委員会 丹波實外務省条約局長答弁では、日本国内においては韓国民の「財産、権利及び利益」は日韓請求権協定の請求権放棄条項及び日韓請求権協定を日本国内で施行するための財産措置法によって外交的保護権のみならず実体的にその権利も消滅しているが、「請求権」は外交的保護権の放棄ということにとどまり個人の請求権を消滅させるものではないとしている。

2003年に参議院に提出された小泉総理の答弁書でも、同条約を受けて日本国内で成立した財産措置法によって請求の根拠となる韓国国民の財産権は国内法上消滅した
この財産措置法で消滅しているのは韓国民の財産権のみであるから、日本と外国との請求権放棄条項により日本政府が日本国民より賠償請求の機会を奪われたとして訴訟を提起されることはない。また、日韓請求権協定に伴う財産措置法は外交保護権の放棄により韓国から外交ルートで抗議されることもない。実際に日本の裁判所で争われた旧日本製鉄大阪訴訟において、大阪高裁2002年11月19日の判決で協定の国内法的措置である財産措置法による財産権消滅を根拠に一審原告の控訴を棄却している。この裁判はその後上告を棄却され確定した。
 しかし、旧朝鮮半島出身労働者の韓国での訴訟については、韓国は日本の財産措置法を準拠法としていないので、韓国の裁判所ではこれを適用していない。1990年代後半には日本政府に一部不利な判断が出るようになったため、日本政府は次第に戦後補償は請求権放棄条項で解決済みであるとの主張をするようになった。日韓請求権協定に関しても韓国人個人の請求権も含め協定によって一切解決済みとの立場を取っている。
 現在の日本政府の見解は、旧朝鮮半島出身労働者の損害賠償請求権についての実体的権利は消滅していないが、これを裁判上訴求する権利が失われたというものになっている。ただし、日本政府の立場を肯定した2007年 最高裁 西松建設事件の判決は、司法上の救済を否定する一方で被害救済に向けた関係者の自発的努力を促した。これを受けて、西松建設は実際に被害者に対する謝罪と賠償を行った。2007年のサンフランシスコ平和条約に関して政府の立場を肯定した最高裁判決は、判断を左右する条約解釈上の対立点に関する日本政府の立場の変遷を鑑み、同時に被害救済の必要性を指摘している

韓国政府
一方の韓国は日韓請求権協定締結当初は協定によって個人の請求権が消滅したとの立場に立っていた。そもそも韓国政府は日韓請求権協定締結前の交渉において、徴用工の未払金及び補償金は国内措置として韓国側で支払うので日本側で支払う必要はないと主張していた。しかし、1991年日本の柳井俊二 外務省条約局長答弁が大きく報道され日本で個人の請求権を主張する訴訟なども提起されたため、日本では個人請求権は外交保護権放棄条項に含まれていないことが広く知られるようになる。すると韓国はその立場を変遷させ、2000年に韓国においても放棄されたのは外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとの趣旨の外交通商部長官答弁がなされるに至った。また韓国政府は2005年に官民共同委員会において日韓請求権協定の効力範囲問題を検討し、植民地支配賠償金や慰安婦問題等の日本政府の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によっては解決しておらず日本政府の法的責任が残っていると結論した。ただし、徴用工については同委員会は明示的に日韓請求権協定の効力範囲外に位置付けず、請求権協定によって日本から受け取った資金に韓国政府が強制動員被害者に対する補償問題を解決するための資金が包括的に勘案されているとし、韓国政府は受け取った資金の相当額を強制動員被害者に使用すべき道義的責任があると判断した
日本製鉄大阪訴訟においては、前述のように日韓請求権協定には韓国民の財産権を消滅させた財産措置法があるため、韓国政府が日本から受け取った資金を充てるか否かの判断の対象にならなかった。しかし、日本の国内法である措置法の効力が及ばない韓国ではこれらの点が大きな争点になった。

大法院
賠償義務判決は2012年5月の大法院で初めて出され、東亜日報によると当時の判事であった金能煥が「建国する心情で判決を書いた」と語ったという。2018年10月30日の韓国大法院判決の多数意見は、徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定の効力範囲に含まれないと判断した。14人の裁判官の内3人の個別意見は、徴用工の個人賠償請求権は請求権協定の効力範囲に含まれるが、両国間で外交上の保護権が放棄されたに過ぎないとした。この中でサンフランシスコ平和条約についても言及し、個人損害賠償請求権の放棄を明確に定めたサンフランシスコ平和条約と「完全かつ最終的な解決」を宣言しただけの請求権協定を同じに解することは出来ないとしている。また、2人の裁判官の反対意見は、徴用工の個人賠償請求権は請求権協定の効力範囲に含まれ、かつ、請求権協定によって日韓両国民が個人損害賠償請求権を裁判上訴求する権利が失われたとした。その意見によれば、個人損害賠償請求権自体は消滅していないものの、日韓請求権協定によって外交上の保護権が放棄されただけでなく、日韓両国民が個人損害賠償請求権を裁判上訴求する権利も制限されたため、個人損害賠償請求権の裁判上の権利行使は許されないとのことである。今回の大法院判決は、請求内容が日本の違法な植民地支配及び日本企業の反人道的不法行為を前提にした慰謝料であることを指摘している


2019.7.28-Yahoo!!Japanニュ-ス-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190728-00000541-san-pol
日韓首脳会談当面見送りへ 徴用工訴訟で建設的な対応ない限り

悪化する日韓関係をめぐり、政府は、いわゆる徴用工訴訟問題などで韓国側が建設的な対応を見せない限り、当面文在寅(ムン・ジェイン)大統領との日韓首脳会談には応じない方針だ。日韓請求権協定に違反する事態を一方的に作り出した韓国側の変化を待つ意向で、9月の国連総会などに文氏が出席した場合でも、現状のままなら直接対話の場を設けない。安倍晋三首相は「ボールは韓国側にある」として責任ある対応を求める姿勢を貫く。
 「国交正常化以来、最悪に近いんじゃないか」 首相に近い官邸関係者は、出口の見えない今の日韓関係をこう語る。
 政府は、半導体材料の対韓輸出管理の厳格化に加え、8月2日にも、貿易上の優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する。一方、韓国側は、日本側の対応を徴用工訴訟への経済報復と批判。日本を世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を進めている。
 しかし、韓国側は肝心の徴用工問題について、協定に基づく仲裁委員会の設置要求に応じず、事態を収拾させる動きをみせない。

 6月には、韓国最高裁の確定判決に基づき、原告側が韓国内の日本企業の資産の現金化手続きに入ったことに関連し、韓国政府が日韓企業の出資による解決策を提案。日本側は、請求権問題を「完全かつ最終的に解決」と確認した協定違反は明白として拒否した。
 こうした不誠実な対応を受け、首相は同月28、29両日に行われた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、韓国側が求めた首脳会談を「実のある話し合いはできない」(政府関係者)として拒んだ。
 今後、日韓両首脳の出席が想定される国際会議は、9月の国連総会や10月末からの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議-がある。政府は、韓国が徴用工訴訟の解決につながる前向きな提案をしない限り、これらの場で直接対話に応じない考えだ。
 さらに、年内に中国で日中韓サミットを開く方向で調整しているが、日韓関係のあおりも受け「具体的な日程協議は進んでいない」(外務省関係者)という。

 外務省幹部は「韓国政府が『最高裁判決は尊重するが、請求権問題は協定で解決されている』との声明を出し、政治判断で解決すればいい」と語る。しかし、韓国側が応じる気配をみせないことから、対立は長期化しそうだ。







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