韓国問題-1


2024.04.20-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240420-MKT5LTTAWNB3ZPCQ44RTCJ7LXY/?outputType=theme_weekly-fuji
韓国深層 韓国国会議員選挙で与党敗北 尹大統領は「李王朝型の政治文化」に飲み込まれた 室谷克実
(ジャーナリスト 室谷克実)

  韓国の国会議員選挙(10日投開票)で、与党が前回2020年とほとんど同じ結果の敗北を期したのは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)体制が「朝鮮李王朝型の政治文化」に没していたためだ。「尹大統領は与党が敗北してから反省するのだろうか」と、選挙戦直前の本連載(3月27日発行)に書いた。その通りになった。

  朝鮮李王朝は、主流派の廷臣(ていしん)が王を囲み、自分たちに都合が悪い情報が王の耳に入らないようにした。そうしたなかで、王の「お言葉」をもって、廷臣は反主流派を攻撃した。秀吉軍が攻めてきたときですら、彼らが気に入らない前線の司令官(典型が李舜臣=イ・スンシン=救国の英雄)らの追い落としに血道を上げた
  韓国の尹錫悦大統領は、側近が定めた「大統領と対面するときの5つの禁」をもって、好ましい情報しか耳に入らないようになっている
  「5つの禁」とは、「口答え」「聞き返し」「反論」「長い説明」「問題提起」の禁止だ(文化日報2023年12月12日)。
  そうした中での大統領の発言(韓国メディアでは『尹心』という)をもって、側近は「従北左翼」と戦うより、前線の司令官(韓東勲=ハン・ドンフン=与党非常対策委員長)の足を引っ張って回った。
  夫人の高級バッグ受け取り問題は、野党の格好の攻撃材料なのに、大統領はグズ対応を続けた。首席秘書官が左翼テレビ局の記者に向かって「刺し身包丁テロ事件を覚えているか」と暴言を吐いた際も、秘書官をかばい続けて、与党支持率の大暴落を招いた。
  韓東勲氏が公認候補の出陣式で「ここで負けたら、尹政権は何一つ公約を実現できずに終わる」と悲壮な演説をした翌日になって、ようやく秘書官の辞意を受け入れた。が、もはや与党支持率は回復しなかった

  尹大統領は23年1月、朝鮮日報とのインタビューで「24年選挙で与党が多数を占めれば公約は問題なく実現できるが、多数が得られなければ〝植物大統領〟になる」と述べた。
  24年選挙での勝利を展望して、それまでは臥薪嘗胆する心意気を語ったのだ。 それなのに彼は、李王朝型政治文化にのみ込まれ雲上人になり、〝植物大統領〟に堕ちたのだ。しかし〝植物大統領〟とはいえ、韓国の大統領権限は大きい。外交は専権事項だし、国会のチェックを受けずに行える政策は多々ある
  反省したなら、3年後の大統領選挙で、自由陣営の候補が勝利できるよう手を尽くすべきだ。その大前提になるのは、李王朝型政治文化からの脱却だ。
(ジャーナリスト 室谷克実)


2024.04.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240417-5MXUYFWCQFM4NJ47I2HKD5IQYI/
韓国政治への揶揄に抗う選挙区 「まつりごと」の高揚感伝えた39歳候補
(時吉達也)

  政権与党「国民の力」が惨敗した韓国総選挙。同党の重鎮候補が出馬した地方選挙区の取材中、外回りする陣営の運動員が記念写真を撮り合っている場面を目撃した。「こんなに緊張感がないのか」と目を疑ったが、この候補は結局、僅差で野党候補に敗れた

  対照的な熱気だったのが、若くして与党の代表を務め、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との対立の末に新党を立ち上げた李俊錫(イ・ジュンソク)候補(39)の陣営だった。遊説会場は子供連れの30~40代を中心とした有権者であふれ、ツーショット撮影を求める人々が百メートル以上列をなす、アイドルのライブさながらの光景も。当初、2大政党の間で存在感が埋もれ、当選が絶望的とみられていた李氏は劇的な逆転勝利を収めた。
  首都圏は革新系、南東部は保守系。韓国は地域ごとに政党支持が大きく分かれ、「党公認さえ得られればどんな候補者でも当選できる」と揶揄(やゆ)される選挙区も多い。それでも、今回の選挙区取材を通じ、真摯(しんし)な選挙活動や有権者を引き付ける候補者の資質の重要性を改めて実感した

  投開票の前夜、李氏の演説を最前列でまっすぐに見つめる、男子小学生の表情が今も印象に残っている。「政(まつりごと)」の高揚感を子供たちに伝え、選挙を身近に感じさせる政治家が、日本にも現れるよう願う
(時吉達也)


2024.04.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240412-3WCEJZM5WNNZZK35N7NHDOQH3I/
「帝国の慰安婦」著者の名誉教授に無罪判決 韓国高裁差し戻し審

  【ソウル=時吉達也】慰安婦問題に関する著書「帝国の慰安婦」記述で元慰安婦の名誉を傷つけたとして、名誉毀損(きそん)罪に問われた韓国・世宗(セジョン)大の朴裕河(パクユハ)名誉教授(67)の差し戻し審判決で、ソウル高裁は12日、無罪を言い渡した
  韓国最高裁は昨年10月、無罪の趣旨で高裁に審理を差し戻していたソウル高裁は最高裁に続き、問題となった記述はいずれも「学問的主張、意見の表明」にとどまり、虚偽事実の記載にはあたらないとの判断を改めて示した
  朴氏は2013年8月に出版した「帝国の慰安婦」に関し、慰安婦が「売春婦」にあたり「日本軍と同志的関係にあった」とする虚偽の記述で慰安婦の名誉を傷つけたとして、15年に在宅起訴された。1審無罪、2審逆転有罪(罰金刑)となった後、上告審は公判が長期化し約6年を費やした
  朴氏は高裁での無罪判決後、フェイスブックに「(14年6月の告訴からこの日まで)2カ月少ないが10年かかりました」と投稿、喜びを示した。


2024.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240410-EGS5HI6U5ZNSPFFYFWRIEX4BCQ/
韓国「対日協力」路線にも陰りか 尹大統領の「突破力」、総選挙で裏目に

  【ソウル=桜井紀雄】韓国で10日に投開票が行われた総選挙で、韓国メディアの出口調査によれば、保守系与党「国民の力」が過半数を大きく割り込む見通しとなった。妥協せずに押し通す尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の政治スタイルへの審判が焦点とされた。約3年の任期を残し、尹氏の政策運営のレームダック(死に体)化は避けられず、安全保障などでの対日協力策も推進力を失いかねない

  尹氏は2022年5月の就任以来、「人気がない政策もやり遂げる」と強調してきた。その姿勢を顕著に示したのが対日外交だ。尹氏は昨年3月、いわゆる徴用工訴訟問題で日本への一方的な譲歩だとの批判をものともせず、韓国側が賠償相当額を支払う解決策を発表。反日感情による支持率の低下も覚悟して韓国の安保のためにも日本と協力するとの信念を貫いた。
  「検事出身で大統領選まで政治経験がゼロだったからできた。経験があれば、議員仲間の落選が頭をよぎる」と政界関係者は説明する。その突破力が今回、裏目に出た
  尹政権は今年2月、歴代政権が医療界の反対で挫折してきた大学医学部定員の大幅増員策を決定。医師不足を実感してきた国民も多く、当初は世論から支持された。だが、反発した研修医らの集団職場離脱が長期化するにつれ、増員策で一歩も妥協しない尹氏の姿勢を懸念する声が高まり始めた。
  尹氏は3月、李鐘燮(イ・ジョンソプ)前国防相を駐オーストラリア大使に任命し出国させた。その後に李鐘燮氏が海兵隊員の殉職事故調査を巡り職権乱用容疑で出国禁止となっていたことが判明し、尹氏の決定に批判が集中した。
  与党は、韓東勲(ハン・ドンフン)前法相が昨年末に臨時トップに就任。複数の不正疑惑で公判中の革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表を舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判しながら改革策を次々に打ち出し、今年3月初頭には政党支持率で最大野党より優位に立っていた。それが尹氏の「強権」ぶりに批判が集まるとともに、世論の関心は、与野党トップの対決から尹氏の国政運営に対する審判論に傾き、政権・与党への逆風になったと分析される。
  尹氏は日米韓の安保協力を外交の中核に置いており、対日関係重視には変更はないもようだ一方、李在明氏ら野党側は尹政権を「対日屈辱外交」と厳しく非難してきており、国会の承認や立法化が必要な対日協力策を進める余地は消える
  野党側が3分の2の議席を占めれば、大統領の弾劾訴追が可能になる上、尹政権の外交路線を否定するような法案を、大統領が拒否権を行使しても再可決できるようになる。


2024.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240410-A7BNTSPWDZMXRDAX5HVOJOHCCU/
韓国総選挙、与党が惨敗へ 「大統領弾劾」ライン割れも、尹政権に打撃

  【ソウル=時吉達也】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に対する中間評価と位置づけられる総選挙(定数300、任期4年)の投票が10日、行われた。KBS放送は、地上波3社による共同出口調査の結果を基に、革新系最大野党「共に民主党」が過半数の議席を獲得して第1党を維持するとの予測を発表与党「国民の力」は予想議席が87~105議席にとどまり、惨敗する見通しだ

  野党側が議席の過半数を占める現在の「ねじれ」状態が解消され、尹政権の運営安定化につながるかが焦点だった。尹氏は今後も厳しい国政運営を迫られる結果になり、5年間の大統領任期の折り返しを前に早くもレームダック(死に体)に陥る公算が大きくなっている。
  KBSは、共に民主党が178~196議席、革新系新党「祖国革新党」が12~14議席を獲得するとの予測を示した。革新系野党勢力が、大統領の弾劾訴追が可能となる議席の3分の2(200議席)を獲得する可能性もある。この場合、憲法改正案も可決できるようになる。
  投票率(暫定)は67・0%で、前回総選挙の66・2%から0・8ポイント増加した。
  前回2020年4月の総選挙では、当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権の新型コロナウイルス対応が評価され、与党だった共に民主党が系列政党を含め全体の5分の3となる180議席を獲得して圧勝した。一方、21年以降は大統領選(22年3月)や統一地方選(同6月)などの主要選挙で、保守系の連勝が続いてきた。
  現有議席は系列政党を含め、共に民主党が156議席、国民の力が114議席だった。







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