オリンピック・パラリンピック-不祥事-1


2023.09.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230927/k10014207981000.html
五輪汚職事件 組織委元理事 裁判に証人として出廷も証言拒否

  東京オリンピック・パラリンピックをめぐり、総額2億円近い賄賂を受け取ったとして受託収賄の罪に問われている大会組織委員会元理事のI被告が、贈賄側とされる被告の裁判に証人として出廷しましたが「自分の裁判に影響を与える可能性がある」と述べて証言を一切拒否しました。

  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会のI元理事(79)は、大会のスポンサー契約などをめぐり、5つの企業から総額2億円近い賄賂を受け取ったとして受託収賄の罪に問われていて、ことし12月に初公判が予定されています。
  それを前に27日、贈賄の罪に問われ無罪を主張している広告会社「大広」の元執行役員、(O-1)被告(58)の裁判に証人として出廷しました。
  I元理事が逮捕後、公の場に出るのは初めてで、発言が注目されましたが、元理事は検察官や裁判官、それに弁護士からの質問に対し「証言が何らかの形で自分の裁判に影響を与える可能性があるので一切答えられない」と述べ、すべての証言を拒否しました。元理事は上下スーツ姿で証言台の前に座り、自身の経歴などを問われても証言の拒否を繰り返しました。I元理事の証人尋問は来月開かれる次回でも行われる予定でしたが、取りやめになりました。関係者によりますと、I元理事はいずれの事件についても不正を否定しているということです。
I元理事とは
  I元理事は、1967年に大手広告会社の「電通」に入社し、スポーツ局長や専務を務め、日本のスポーツビジネスの第一人者として広く知られていました。
  東京オリンピック・パラリンピックの招致では、招致委員会のスペシャルアドバイザーを務め、IOC=国際オリンピック委員会の委員に対するロビー活動の中心を担い、招致のキーマンとも言われる存在でした。
  2014年6月に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の理事に就任すると、スポンサー契約やライセンス商品の審査などに関して影響力を持ち、みなし公務員であるにもかかわらず、5つの企業から総額2億円近い賄賂を受け取ったとして、受託収賄の罪で、東京地検特捜部に4回起訴されました。
  関係者によりますと、I元理事はいずれの事件についても不正を否定しているということです。
一連の五輪汚職事件
  一連の五輪汚職事件では、紳士服や広告、出版の大手企業の幹部などが贈賄側とされ、5つのルートで合わせて15人が起訴されました。去年12月に開かれたAOKIホールディングスの前会長らの初公判を振り出しに、広告大手「ADKホールディングス」出版大手「KADOKAWA」大会マスコットのぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」広告大手「大広」の5つのルートすべてで裁判が始まっています。
  裁判が始まった12人のうち、無罪を主張しているのは「大広」の(O-1)元執行役員のみで、そのほかの4つの企業の元幹部などはいずれも起訴された内容を認めました。これまで10人に執行猶予付きの有罪判決が言い渡され、確定しています。
  一連の裁判では、組織委員会の理事としてスポンサー集めなどを任されていたI元理事の影響力を頼って、それぞれの企業が繰り返しアプローチしていた状況が浮き彫りになっています。


2023.07.12-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230712/k10014126401000.html#
五輪汚職 ADK前社長に有罪判決 組織委元理事に賄賂 東京地裁

  東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に賄賂を渡した罪に問われた広告大手ADKホールディングスの前社長に対し、東京地方裁判所は「経営トップとして積極的に関わり、主導的な役割を果たした」として、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

  ADKホールディングスの前社長、Y被告(69)は東京大会のスポンサー契約などに関して便宜を図ってもらう目的で、組織委員会の元理事、I被告(79)におよそ1400万円の賄賂を渡した贈賄の罪に問われました。裁判でY前社長は、起訴された内容は認めたうえで、違法性の認識は無かったと主張していました。
  12日の判決で、東京地方裁判所の友重雅裕裁判長は「贈収賄の可能性があるという法務部門の指摘を部下から報告されていたと考えられ、違法だと認識していた」と判断しました。そのうえで、「自社の利益や実績を上げることにこだわって元理事との癒着を続けた。経営トップとして犯行に積極的に関わり、主導的な役割を果たした責任は重い」と指摘して懲役2年、執行猶予4年を言い渡しました。
  判決のあと裁判長は「オリンピックという世界的なイベントの信頼を損ねたことは真摯(しんし)に受け止めてほしい」と前社長に語りかけました。ともに贈賄の罪に問われた元幹部2人は、執行猶予のついた有罪判決が確定しています。
植野前社長「判決は真摯に受け止めたい」
  判決のあと、ADKホールディングスのY前社長は、「否認すれば勾留が長期化するという刑事司法の厳しい現実を身をもって体感し、勾留されながら裁判で争うことは並みの精神力では現実的には非常に厳しいことを痛感した。争わずに早期に勾留から逃れる選択をしたのは私自身なので、判決は真摯に受け止めたい」とするコメントを弁護士を通じて出しました。


2023.07.05-TBS NEWS DIG.-https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/583106?display=1
【速報】「間違いありません」五輪談合事件の裁判で“キーパーソン”組織委元次長が起訴内容認める

  東京オリンピック・パラリンピックをめぐる談合事件で公判が始まりました。違法な受注業者の調整を行った罪に問われている大会組織委員会の元次長、I-1被告(56)がきょう東京地裁で開かれた初公判で、「間違いありません」と起訴内容を認めました。

  この事件は、電通や博報堂など広告やイベント会社6社と、その幹部ら7人が東京オリンピックのテスト大会と本大会の会場運営をめぐる2018年の入札で、あらかじめ受注業者を決めたとして独占禁止法違反の罪に問われているものです。
  I-1被告が起訴内容を認めた後、冒頭陳述を行った検察側は、談合に至ったいきさつについて、I-1被告が「大会の準備作業が遅れていたことに危機感を抱いていたことから電通に協力を依頼した」と主張しました。
  そして検察側は、I-1被告と電通の幹部が業者と面談を進めたとして、その詳細なやりとりも法廷で明らかにしました。
   I-1被告はある業者から、バスケットボール会場の落札希望を伝えられると「バスケは電通でしょ」と述べて入札参加を断念させたほか、別の業者からはメールで「電通様のお口添えもあり話が前に進みました」と報告を受けていたということです。
  発注元である大会組織委員会の次長だったI-1被告は、最大手の電通側の担当者とともに業者の希望などをまとめた一覧表を作成していたとされていました。
  I-1被告は陸連=日本陸上競技連盟出身で大規模イベントのノウハウがあり、東京オリンピックではテスト大会業務を取り仕切っていました。
  テスト大会は会場ごとに入札が行われ、落札した業者は、その会場の本大会での運営を競争入札なしで受注していて、捜査にあたった東京地検特捜部は、その契約総額を437億円とみていました。
  関係者によりますと、I-1被告は「競技の運営に穴が空くのをおそれ、実績のある業者を割り振った」などと調整を認める供述を特捜部の捜査段階でしていたということです。


2023.04.26-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE262FZ0W3A420C2000000/
玩具会社元社長らに懲役1年求刑 五輪汚職

  東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事のI被告(79)への贈賄罪に問われた玩具会社「サン・アロー」(東京・千代田)元社長のN-1被告(50)ら2人の論告求刑公判が26日、東京地裁であった。検察側は「商機を逃したくないという利欲的な動機で賄賂を提供した」として、2人に懲役1年を求刑した。

  弁護側は賄賂提供はI元理事側からの要求で「断ることができなかった」として執行猶予付きの判決を求め、結審。判決は6月6日に言い渡される。
  検察側は論告でN-1元社長と父親で元取締役のN-2被告(75)=贈賄罪で起訴=は、同社が大会公式マスコットのぬいぐるみを製造・販売できるよう「I元理事に長期間にわたり執拗に依頼を繰り返した」と指摘した。
  起訴状などによると、2人は2017年2月〜19年2月にかけて、I元理事にぬいぐるみを製造・販売するライセンス契約を円滑に結べるように依頼。見返りに18年10月〜21年4月に元理事側に約700万円の賄賂を提供したとされる。2人は公訴時効(3年)が成立していない約200万円分の贈賄罪で起訴された。


2023.04.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230421/k10014044671000.html
五輪汚職事件 AOKI前会長ら3人 執行猶予付き有罪判決 東京地裁

  東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約などをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に賄賂を渡した罪に問われた紳士服大手「AOKIホールディングス」の前会長ら元幹部3人に東京地方裁判所は執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。一連の汚職事件ではあわせて15人が起訴され、判決が言い渡されたのは初めてです。

  AOKIホールディングス・・・前会長のH被告(84)と・・・前会長の弟で副会長だったZ被告(77)、それに、・・・元専務執行役員のZ-1被告(41)の3人は、東京大会のスポンサー契約などに関して便宜を図ってもらう目的で、組織委員会の元理事、I被告(79)に2800万円の賄賂を渡した贈賄の罪に問われました。
  1日の判決で東京地方裁判所の安永健次裁判長は、「組織委員会の森喜朗元会長を交えた会食の場や担当者とのやり取りなどでI元理事の影響力の強さを認識し、大会の開催で自社が大きな利益をあげるため犯行に及んだ」と指摘しました。
  その上で、「元理事の影響力を利用し、自社の利益を追求しようとする前会長らと、その見返りに利益を得ようとする元理事それぞれの思惑が一致して敢行された犯行で、世界的に注目された大会の公正な運営に対する社会の信頼が害された」として、H前会長に懲役2年6か月、執行猶予4年、・・・Z前副会長に懲役1年6か月、執行猶予3年、・・・Z-1元専務執行役員に懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。
  東京大会をめぐっては、受託収賄の罪に問われているI元理事や業界大手の5つの企業の創業者や経営トップらあわせて15人が起訴され、判決が言い渡されたのは初めてです。
AOKIホールディングス「再発防止等に取り組む」
  判決を受け、AOKIホールディングスは「本件を厳粛に受け止めており、お客様からの信頼を回復すべく、全社一丸となって再発防止等に取り組んでいく」とコメントしています。
一連の五輪汚職事件 5つのルートで15人起訴
  世界的なスポーツの祭典を舞台に5つのルートであわせて15人が起訴された一連の五輪汚職事件。去年12月に開かれたAOKIホールディングスのH前会長らの初公判を振り出しに、・・・広告大手「ADKホールディングス」、・・・出版大手「KADOKAWA」、・・・大会マスコットのぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」、・・・広告会社「大広」の5つのルートすべてで裁判が始まっています。

  裁判が始まった11人のうち無罪を主張したのは「大広」の元執行役員のみで、そのほかの4つの企業の元幹部などはいずれも起訴された内容を認めました。
  これまでの裁判では、大手広告会社の電通で長年にわたりスポーツマーケティングの第一人者とされ、組織委員会の理事としてスポンサー集めなどを任されていたI元理事の影響力を頼ってそれぞれの企業が繰り返しアプローチしていた状況が浮き彫りになりました。
  AOKIホールディングスの裁判では、I元理事らとの会食の際にスポンサーの話をもちかけられたZ前会長が「AOKIのブランド力を高められるならと考え、その場で『やりましょう』と伝えた」などと、具体的なやりとりが明らかにされ、21日の判決は「自社の利益を追求しようとする前会長らと、その見返りに利益を得ようとする元理事の思惑が一致した」と指摘しました。
  また、KADOKAWAの元担当室長の裁判では、I元理事側への支払いが贈賄罪などにあたるリスクがあると法務部が指摘していたのに、当時のN会長が、『ちゃんとうまくやれよ』と言っていたことが検察の冒頭陳述で示されました。

さらに、裁判では大会組織委員会の森喜朗元会長や竹田恒和元副会長の調書を検察が読み上げ、森元会長が大会スポンサーの選定に大きな影響力を持っていたことを明らかにしました。
  一方、賄賂を受け取ったとされる組織委員会のI元理事は、去年12月に東京拘置所から保釈されましたが、初公判の日程は決まっていません。不正を否定しているということです。また、起訴された当時「汚職に関与したことなど一切ありません」とするコメントを発表したN元会長はいまも勾留されていて、初公判の日程は決まっていません。


2023.03.30-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0429c8220149653f681580a796f2654ca6ee95b8
組織委元理事がI-1氏との会合設定 KADOKAWAルート、初公判

  東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事のI被告(78)=受託収賄罪で起訴=への贈賄罪に問われた出版大手KADOKAWAの元五輪担当室長P被告(63)の初公判が30日、東京地裁であった。

  検察側は、I被告が組織委会長を務めていた森喜朗元首相(85)と同社前会長N被告(79)らとの会合を段取りし、停滞していた同社のスポンサー選定が急速に進んだ経緯を明らかにした。
  P被告は、N被告、同社元専務M被告(65)と共謀し、2019~21年、I被告に計約6900万円を提供したとして起訴された。P被告は初公判で起訴内容を認めた


2023.03.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230330-MDP6Z3SWNRLDBAMLZACKKUDBTA/
電通グループが株主総会 五輪談合事件を説明

  広告国内最大手の電通グループは30日、定時株主総会を東京都内で開いた。東京五輪・パラリンピックの大会運営事業を巡る談合事件で同社と、電通の元幹部が起訴されており、株主への経営陣の説明に注目が集まる。

  総会では取締役10人を選任する議案などを諮る。株主に送った総会の招集通知で、五十嵐博社長は事件について謝罪し、信頼回復に努めると強調していた。
  東京地検特捜部は2月、独禁法違反(不当な取引制限)の罪で電通グループなどを起訴した。


2023.02.28-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c3239b9fbf58ebd6aefcef58648cb5b222904b4a
組織委の想定外だった「民間の暴走」 五輪汚職・談合
(吉原実)

  東京五輪・パラリンピックを巡る「暗部」は、東京地検特捜部の捜査により汚職と談合という形で表面化した。計22人が起訴され、広告大手「電通」などの刑事責任が追及される事態となったが、不正を招く温床は、そもそも潜在していたといえる。

  商業化が進んだ近代五輪には、膨大な開催経費がかかる。コスト高への批判が付きまとう中、大会組織委員会には、都庁などの行政機関や民間企業からの出向者が混在。スポーツビジネスに関する知見に乏しい「行政組」は、電通を筆頭とする「民間組」に資金面や運営面を頼った
  その結果、電通OB組織委元理事は「みなし公務員」の立場でありながら複数のスポンサー企業から賄賂を受け取り、電通などは日本陸上競技連盟出身の組織委元次長と連携して広告・イベント業界で利益を山分けするような受注調整を繰り返したとされる。 税金も投入されたスポーツの祭典で貪欲に利益を追求した民の暴走」が許されないのは言うまでもない。問題は、こうした事態を組織委が見抜けなかったばかりか、想定すらしていなかったことだ。公益財団法人である組織委は情報公開制度の対象外。特捜部の捜査がなければ、事後的な検証もなされなかった可能性が高い。 事件は、民間に依存した弥縫(びほう)策の帰結といえる。目をそむけたくなるような「負のレガシー」を直視し、くみ取った教訓を次に生かすこと。それこそが、五輪事件の意義だろう。(吉原実)


2023.02.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230228-JSV7LN4MKBNMXD3W6Y7LTZYKAA/
しぼむ「2030年札幌」機運 招致活動、再開見通せず 五輪談合

  東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で組織委員会の大会運営局元次長らが起訴されたことを受け、組織委の会長を務めた橋本聖子参院議員は28日、「非常に残念であり、組織委員会の元会長として大変申し訳なく責任を感じている」と事務所を通じてコメントした。札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪への逆風は一層強まり、招致機運もしぼみかねない状況となっている。

  30年冬季五輪の開催地は昨年末までに事実上決まるはずだった。だが、五輪汚職、談合事件を受け、札幌市の秋元克広市長は昨年12月、積極的な機運醸成活動を当面休止すると発表。国際オリンピック委員会(IOC)も候補地の絞り込みを先送りし、決定は24年以降の見通しとなった
  五輪招致が争点となる札幌市長選(3月26日告示、4月9日投開票)で再選すれば、秋元市長は全国を対象に招致の是非を問う世論調査を実施する方針。「反対の声が多ければ、そのまま招致活動を進めるのは難しいのではないかと思う」といい、失墜した五輪のイメージをどれだけ払拭できるかがカギになりそうだ。
  日本オリンピック委員会(JOC)は再発防止に向け、スポーツ庁などとともに、今後の大規模大会運営の指針案をまとめて2月10日に公表。山下泰裕会長は「指針案に基づき、一歩一歩信頼を回復していくことが必要だ」と述べたが、一連の事件で民間企業にも警戒感が広がっており、協賛金集めは難航必至だ
  30年冬季五輪には、ソルトレイクシティー(米国)などが名乗りを挙げており、2月8日には新たにスウェーデン・オリンピック委員会が招致の検討を始めると発表した。札幌市が機運醸成活動を再開できない中、ライバルが増えた形で、招致への厳しさは増している


2023.02.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230228-ZJPM367FGZIJFGM24XTTWHAFBA/
博報堂など3社 都が新たに指名停止

  東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、東京都は28日、東京地検特捜部が独占禁止法違反(不当な取引制限)罪で起訴した広告会社「博報堂」、同「東急エージェンシー」、イベント会社「セイムトゥー」の3社を都発注事業の競争入札などに参加できない指名停止とした。停止は28日付

  都は既に広告大手「電通」、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション」、イベント会社「セレスポ」の3社を指名停止としており、今回の談合事件による指名停止は計6社となった。
  現時点での6社の指名停止期間は未定。今回の措置について都は「社会的信用を失墜させる行為にあたる」としている。


2023.02.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230225/k10013990721000.html
五輪談合事件 電通グループ社長責任認める 6社を刑事告発へ

  東京オリンピック・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、広告最大手「電通グループ」の社長が東京地検特捜部の任意の事情聴取を受け、談合への関与について法人としての責任を認めたことが関係者への取材で分かりました。
  公正取引委員会は電通博報堂など6社を独占禁止法違反の疑いで刑事告発する方向で最終的な調整を進めています。

  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局の元次長、(I-1) 容疑者(56)や、電通の元幹部でスポーツ事業局のマネージング・ディレクターなどを務めた(G-1) 容疑者(55)ら4人は、各競技のテスト大会の計画立案業務の入札や本大会の運営業務など、総額400億円規模の事業を対象に不正な受注調整を行っていたとして、独占禁止法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
  電通は、入札の前年の2017年7月頃から組織委員会とともに競技ごとに受注させる企業を割り付ける一覧表を作成するなど、談合を主導した疑いがあることが分かっていますが、電通グループの(P-1)社長が24日までに特捜部の任意の事情聴取を受け、談合への関与について法人としての責任を認めたことが関係者への取材で分かりました。
  公正取引委員会は、電通のほか、広告大手の博報堂、東急エージェンシー、それにイベント制作会社のセレスポ、フジクリエイティブコーポレーション、セイムトゥーのあわせて6社を独占禁止法違反の疑いで刑事告発する方向で最終調整していて、特捜部は元次長らと法人としての6社の刑事責任の追及に向け、詰めの捜査を進めているものとみられます。


2023.02.17-NHK NEWS WEB(首都圏NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230217/1000089863.html
五輪汚職事件 ADKホールディングス前社長 起訴内容認める

  東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に賄賂を渡した罪に問われている広告大手ADKホールディングスの前社長の初公判が開かれ、「間違いありません」と述べて、起訴された内容を認めました

  ADKホールディングスの前社長、Y告(69)は、東京大会のスポンサー契約などに関して便宜を図ってもらう目的で、組織委員会の元理事、I被告(78)におよそ1400万円の賄賂を渡した贈賄の罪に問われています。
  東京地方裁判所で開かれた初公判で、Y前社長は「間違いありません」と述べ、起訴された内容を認めました。検察は冒頭陳述で「ADK側はI元理事の会社と毎月コンサルタント料を支払う契約を結び、スポンサー契約に関する業務を請け負う後押しを繰り返し依頼していた」と述べました。
  また、「ADK側は、最低5社のスポンサー獲得を目指していたが、前社長がみずから営業しても見込みが立たず、難航していた。焦りを感じ、会食の場で元理事に『どうか助けて下さい』などとスポンサー企業の紹介を依頼し元理事は『おう、わかった』と応じた」と、元理事との具体的なやりとりを明かしました。
  東京大会をめぐる汚職事件では、受託収賄の罪に問われているI元理事をはじめ、業界大手の5つの企業の創業者や経営トップらあわせて15人が起訴されています。
  裁判のあと、ADKホールディングスのY前社長はコメントを出しました。「皆さまの信頼を損なうこととなり、深くお詫び申し上げます。起訴内容を真摯に受け止め、次回以降の公判にも誠意をもって臨む所存です」としています。


2023.02.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230212-URUAHKPKXZM6XLL2GJSANGFF3M/
<独自>電通、入札資格策定関与か 公平性阻害の恐れ 五輪テスト大会

  東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、大会組織委員会がテスト大会関連業務の受注を希望する事業者向けに公表した入札参加資格の策定過程に、広告大手「電通」が関与した疑いのあることが11日、関係者への取材で分かった。組織委には電通からの出向者が多く在籍。一方で、電通はこの業務の受注業者でもあり、入札の公平性が阻害された可能性がある。

  関係者によると、テスト大会の計画立案支援業務について、発注を取り仕切る立場だった組織委大会運営局元次長の(I-1)容疑者(55)=独占禁止法違反容疑で逮捕=は当初、競技ごとに事業者と随意契約を結ぶことを希望。入札について「競技団体とのつながりがない企業が落札すれば運営に支障が出る」などと懸念を示していた。
  これに対し、組織委幹部は、国際大会の運営実績や運営能力など、複数の参加資格を設けることを提案。「一部の業者しか参加できない条件はだめだ」とも付け加えた。
  こうした経緯を経て平成30年1月、技術や価格に基づく総合評価方式で一般競争入札を行う方針が固まり、同3月に組織委は入札を正式決定。同4月以降、「国内外の大規模競技大会における運営実績」「対象競技における実績」などが盛り込まれた参加資格を公表した。
  関係者によると、(I-1)容疑者が発注方式などを組織委内で議論する際電通から組織委への出向者が度々同席電通入札関連業務を担当していた同社元幹部の(G-1)容疑者(55)=同法違反容疑で逮捕=は出向者を通じ、(I-1)容疑者が事業者側から聞き取った応札に関する意向を共有する立場にあった。


2023.02.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230209-WCSJOQAQVZMZBDTHKEQD2FEBIY/
五輪組織委元次長、応札リスト修正 入札方式に決定後

  東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された大会組織委員会大会運営局元次長の(I-1)容疑者(55)が、テスト大会の計画立案支援業務の発注方式が入札と決まった後、事業者側の応札意向を取りまとめた「リスト」を大幅に修正していたことが9日、関係者への取材で分かった。

  東京地検特捜部は、入札業務を取り仕切っていた(I-1)容疑者が、違法性を認識した上で事業者側との接触を続けたとみて捜査しているもようだ。
  関係者によると、(I-1)容疑者は平成29年夏以降、「競技ごとに事業者と随意契約を結びたい」と複数回、大会運営局内で交渉。局内では「基本は入札」と拒否されたが、(I-1)容疑者は「経験のない企業が落札することが不安だ」と食い下がり、30年1月には「国内外の大規模競技大会の運営経験があること」などと参加条件を設けた上で、入札とする方針で合意したという。
  同3月、(I-1)容疑者は入札に関し、競技ごとに事業者名が記載された「リスト」を大会運営局内で提示。同局側は「競技単位ではなく、会場ごとに入札は行うように」と指示した。関係者によると、この直後に発注方式を入札とすることが会議で正式決定した。
  入札は同5~8月に実施。局内の方針も影響し、入札開始を目前に控えた3月中に、競技ごとに当てはめていた業者を会場ごとにするなど、リストを大幅に修正していたとみられる。
  特捜部は、実際に入札が始まって以降も(I-1)容疑者は事業者側と面会しており、受注調整は7月まで続いたと判断。支援業務を落札した9社が随意契約した、総額400億円規模に及ぶテスト大会・本大会の運営なども一体となった談合だったとみている。


2023.02.08-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9408b1c277d30cdd60d11be421379c667ed5318c
五輪組織委元次長、電通側と談合主導か 独禁法違反容疑で逮捕
【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、柿崎誠】

  東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で東京地検特捜部は8日、落札企業側とともに不正な受注調整を繰り返したとして、テスト大会の運営を担った組織委員会大会運営局の元次長、(I-1)容疑者(55)を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した。企業側からは広告最大手「電通」(東京都港区)の元スポーツ事業局長で子会社社員、(G-1)容疑者(55)ら3社の担当者計3人を同容疑で逮捕した。

  特捜部は発注側の(I-1)元次長(G-1)社員と談合を主導したと判断し、企業側との共同正犯として立件した。「みなし公務員」の組織委元幹部が逮捕されたことで、発注側の意向が受注調整に反映される「官製談合」の構図となった。
  他に企業側から逮捕されたのは、イベント会社「セレスポ」(豊島区)専務取締役の(W-1)(59)イベント会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」(江東区)専務取締役の(T-1)(63)――の2容疑者
  特捜部と公正取引委員会は8日、(I-1)元次長(G-1)社員の自宅、セレスポとFCC両社の本社を家宅捜索した。関係者によると、(I-1)元次長(G-1)社員は容疑を認め、(W-1)、(T-1)両専務取締役は容疑を否認しているという。
   逮捕容疑は、4容疑者は2018年2~7月ごろ、組織委が発注したテスト大会の関連業務の入札で、電通、セレスポ、FCC以外の4社の担当者と落札予定者を事前に決定することで合意し、互いの競争を制限したとしている。
  テスト大会の落札業者はその後の本大会の運営業務も随意契約で受注しており、特捜部は本大会の随意契約も立件対象とした。テスト大会の受注総額は約5億3000万円だが、本大会を含めると400億円規模に膨らむ可能性がある。

   関係者によると、元次長と電通側は18年春ごろまでに各社がどの競技や会場に応札したいかを一覧表にまとめ、落札予定者を差配した疑いがある。特捜部と公取委は22年11月、落札8社と下請け2社の計10社を家宅捜索したが、特捜部は今回の逮捕容疑で談合に加わった企業はうち落札7社と判断した。この7社のうち逮捕者が出ていない4社の担当者は在宅で捜査が進められるとみられる。元次長は競技団体から組織委への出向を終えた22年4月から8カ月間、セレスポと顧問契約を結んでいた。
  電通、セレスポ、FCCはいずれも「当局の捜査・調査に全面的に協力していく」などとコメントした。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、柿崎誠】


2023.02.08-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b6e38ddd1b58da1b2a51035521c65cab0fbad383
五輪談合 異色の構図 組織委(I-1)元次長が中継地 官民共同の談合解明へ
(吉原実、桑波田仰太、石原颯)

  東京五輪・パラリンピックに絡む入札を巡り、大会組織委員会大会運営局の元次長、(I-1)容疑者(55)と広告大手「電通」元幹部の(G-1)容疑者(55)ら4人が独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された事件。広告業界が談合に問われるのは異例で、東京地検特捜部は発注側だった(I-1)容疑者を「中継地」とする「官民共同の談合」(検察幹部)が行われたとみて解明を進めている。(吉原実、桑波田仰太、石原颯)

  「五輪のテスト大会関連の入札で、(I-1)容疑者に応札を辞退するよう言われた」 談合があったとする情報が特捜部にもたらされたのは、組織委元理事のI被告(78)=受託収賄罪で4回起訴=を巡る贈収賄事件で、贈賄側企業の一つだった広告会社「ADKホールディングス」(旧アサツーディ・ケイ)を捜査する過程だった。
   問題の入札は平成30年に計26件(総額約5億4千万円)行われ、最多となる5件を電通とイベント会社「セレスポ」が落札していた。
  特捜部と公正取引委員会は昨年11月26日、この2社を先行して家宅捜索し、捜査を本格化。「端緒を得るのが難しい」(検察関係者)とされる談合事件で「事件が次の事件を呼び込んだ理想的な形」(検察OB)だった。
■リストで「基準」
  独占禁止法の禁じる「不当な取引制限」を巡る捜査では、入札に参加した事業者が事前に受注調整に関する合意をし、事業者間で相互に競争を制限したことを立証する必要がある。
  事業者間のやりとりを示す客観証拠をどこまで収集できるかがポイントとなる。 立件の決め手となったのが、事業者側の応札意向をまとめた「リスト」だった。
  関係者によると、(I-1)容疑者は各社と面会し応札希望や運営能力を把握すると、組織委に電通から出向していた担当者に伝え、担当者はリストの更新を繰り返していたという。
  実際、事業者はほぼリスト通りに落札。検察幹部は「リストの結果を見れば、事業者間の合意は相当程度推認できる」とする。 実際の落札結果が違っても、受注調整に関する合意が事前にあるだけで「不当な取引制限」は成立するが、刑事事件になるケースでは「実際の落札結果と一致しないと着手しない」(検察幹部)。
  こうした検察庁内の〝基準〟も、リストの存在で満たされた。
■認識のずれも 今回の事件が特殊なのは、
  事業者同士が「横のつながり」で受注調整を行う一般の談合事件と違い、担当者らが一堂に会して話し合う機会がなかった点。
  だが特捜部は、発注者側である(I-1)容疑者が、発注方式が決定する前から各事業者と繰り返し面会していたことに注目した。
  過去には、旧日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事を巡る談合事件などで、発注者側が共犯として起訴された例もあり、特捜部は(I-1)容疑者が主導して談合が行われたと判断。
  「(I-1)容疑者を『中継地』としており、事業者同士の会話はなくても独禁法違反は成立する」(検察幹部)との見方を強めていった。
  入札が行われたのは計画立案支援業務の発注のみだったが、落札した9社がそのまま本大会の運営などを入札を伴わない随意契約で受注しており、「合意時の客観証拠を見ていくと本大会の運営までが一体となっている」(検察幹部)と認定。
  本大会の運営委託なども含め立件に踏み切った。 独禁法違反事件は一般的に、容疑を認めれば在宅起訴となるケースが多い。 逮捕された4人のうち、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」専務の(T-1)容疑者(63)とイベント会社「セレスポ」専務の(W-1)容疑者(59)は否認。
  電通の元幹部の(G-1)容疑者は1月下旬以降、趣旨も含め談合を認めていたが、電通社内で主要な役割を担っていたことが考慮されたとみられる。
  当初否認していた(I-1)容疑者は認める方向に転じたが「下請けに回るよう指示したり、落札が決定したと伝えたことはない」とも供述。事業者側との認識にずれが生じており、特捜部は逮捕してさらに調べる必要があると判断した模様だ。


2023.02.08-NHK NWES WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230208/k10013974221000.html
東京五輪テスト大会 入札談合 容疑の対象や事件の構図は

  東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件で、組織委員会の元次長や広告大手「電通」の元幹部ら4人が本大会の運営業務などを含めた総額400億円規模の事業を対象に、不正な受注調整を行っていたとして独占禁止法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

  東京大会をめぐっては、汚職事件に続いて、今度は談合の疑いで組織委員会の当時の幹部が逮捕される事態となり、一連の事件で電通から逮捕者が出るのは初めてです。逮捕されたのは、
    東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局元次長、(I-1)容疑者(55)や、
    電通の元幹部で、スポーツ事業局のマネージング・ディレクターなどを務めた(G-1)容疑者(55)、
いずれもイベント制作会社、
    セレスポの専務 (W-1)容疑者(59)と、
    フジクリエイティブコーポレーションの専務 (T-1)容疑者(63)の4人です。
  東京地検特捜部などによりますと、4人は東京大会の各競技のテスト大会の計画立案業務の入札や本大会の運営業務など、総額400億円規模の事業を対象に、不正な受注調整を行っていたとして独占禁止法違反の疑いが持たれています。
容疑の対象は
  談合が行われた疑いが持たれているのは大会組織委員会が発注したテスト大会や本大会の運営など総額400億円規模の業務です。
  電通などが捜索を受けた去年11月の段階では、容疑の対象は、各競技のテスト大会の計画立案の委託先を選ぶために2018年に行われた26件の入札に限られ、落札総額は5億円あまりでした。
  その後、落札した電通など9社と1つの共同企業体のすべてが、随意契約を結ぶ形で同じ競技のテスト大会や本大会の運営業務なども受注し、総額は400億円あまりに上ることが分かりました。
  さらに、組織委員会が入札の前に作成した説明用の資料に「落札した企業が原則として本大会の業務を受注する」という内容の記載があったということです。
  このため特捜部は、受注調整の対象はテスト大会の計画立案にとどまらず、その後、契約が結ばれた400億円規模の業務も含まれると判断し、逮捕に踏み切ったとみられます。
  談合事件で、入札に続いて結ばれた随意契約まで容疑の対象に含まれるのは極めて異例で、公正取引委員会で審査長などを務めた東京経済大学の中里浩教授は「過去の談合事件でも初めてのケースとみられ、今後の捜査では、本大会の受注を見据えた認識の共有が各社の間でどこまでできていたかの立証がポイントになる」と話しています。
組織委員会の関与は
  今回の事件は、発注側の組織委員会が深く関わっていたとみられるのも特徴の1つです。逮捕された(I-1)元次長を知る複数の関係者は「背景に失敗は許されないというプレッシャーがあったのではないか」と指摘しています。
  当時、(I-1)元次長は、IOC=国際オリンピック委員会からテスト大会の準備をスケジュール通りに進めるよう促されていて、「運営のノウハウがある会社がすべての競技で手を挙げてくれるか懸念があった」などと周囲に話していたということです。
  一部のマイナーな競技については入札に参加する企業が出てこない事態を懸念し、希望する別の競技と抱き合わせる形での受注調整も行っていたということです。
電通の関わりは
  関係者によりますと、こうした懸念を背景に組織委員会は、入札が行われる前の年の秋ごろには、電通側に入札への参加が見込まれる企業の実績や意向調査を依頼していたということです。この調査をもとに、競技ごとに入札の参加が見込まれる一覧表が作成され、その内容は頻繁に更新されていたと複数の関係者は証言しています。
  入札が始まる直前の2018年の春には、26件の入札のうちおよそ8割について企業から参加の合意が得られ、一覧表ではそれらの企業が青色で塗られていたということです。一覧表は電通と共有され、(I-1)元次長や組織委員会の職員が、業者側に内容を伝えていたとみられます。
  入札の多くは一覧表に沿う形で落札され、1社しか参加しないケースも数多く含まれていたということです。特捜部などは、こうした一覧表が事前の受注調整が行われたことを示す証拠とみて実態解明を進めているとみられます。
認否は
  (I-1)元次長と電通の担当者らは任意の調べに対し不正を否定していましたが、1月末までに電通の(G-1)元マネージング・ディレクターらが違法性を認め、その後、(I-1)森元次長も談合への関与を認めました。
  テスト大会の計画立案の業務を受注し、去年11月に捜索を受けた8社の中では、少なくともセレスポ、フジクリエイティブコーポレーションの2社が現在も不正を否定して、いずれの会社も8日に専務が逮捕されるとともに特捜部などの捜索を受けました。
(I-1) 元次長とは
  (I-1) 元次長は東京都出身で、大学卒業後、大手鉄道会社に入社し、2004年に日本陸上競技連盟に転職しました。事業部長などを務め「東京マラソン」や「名古屋ウィメンズマラソン」の立ち上げに携わりました。
  そして、2014年に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局次長に就任。本番に向けて課題を確認する、56に及ぶテスト大会を管轄するなど、準備段階から大会運営の中核を担いました。
  また、開閉会式や陸上の会場となった国立競技場のほか、東京から移転されマラソンと競歩が行われた札幌市の競技会場の責任者も務め、札幌への移転の際には、日程やコースについてIOC=国際オリンピック委員会や競技団体などとの調整にあたりました。
(G-1) 元マネージング・ディレクターとは
  逮捕された(G-1)元マネージング・ディレクターは1991年に電通に入社し、スポーツ事業局の局長や2020東京オリンピックパラリンピック室でパラスポーツ事業部長などを歴任しました。関係者によりますと、学生時代は水泳選手として活躍し、入社後は、スポーツビジネスの分野を長年担当し、競技団体などに幅広い人脈があったということです。
  また電通グループが自社の取り組みを紹介する2019年のレポートでは、グローバルビジネスのキーパーソンとして紹介され、「電通はラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックの成功に貢献することはもちろん、その後のスポーツ産業のさらなる発展も視野に入れています」などとコメントを寄せていました。
背景にノウハウ不足か 複数の関係者が指摘
  東京オリンピック・パラリンピックのテスト大会に関連する談合事件が起きた背景について、組織委員会に携わった複数の関係者が大規模なスポーツイベントの運営におけるノウハウ不足をあげました。
  東京大会の組織委員会は2014年に設置され、職員の多くは東京都や国、それに民間からの出向者などで構成されました。
  組織委員会の元幹部の1人は「都や国からの出向者はスポーツ大会なんて運営したことがない。そうなると日本陸上競技連盟出身であり、大規模イベントの運営経験が豊富な(I-1)元次長を頼りっぱなしになる。テスト大会の運営を決める2018年ごろだと組織委員会も成熟しておらず、時間もないなかでノウハウのある業者を頼りたい気持ちもあった」と振り返りました。
  また、(I-1)元次長と同じ大会運営局に所属した競技会場の元運営責任者は「メジャーではない競技は特に、入札で業者がついてくれるのかという心配があった。仮に業者がついたとしても不慣れなところに任せると見積もりの金額できちんとできるのか、現場を仕切れる人材を集めてもらえるかといった不安が局全体としてあった。今回の事態は、組織委員会の人材不足と専門性のなさが招いたことだと思う」と話しました。
  さらに、大会運営局の元関係者の1人は「(I-1)元次長に業務が集中し過ぎていた。その上司や法務担当、ほかにも多くの部門が関わっていたのになぜ、止めることが出来なかったのか。規律やガバナンスが機能しておらず、組織自体にひずみやゆがみがあった」と話しています。
(I-1)元次長を知る人物「絶対に失敗が許されないプレッシャーあった」
  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局で、(I-1)元次長とともに業務にあたった元職員は、元次長の働きぶりについて「会場や競技そのものの運営がスムーズに行くよう、成功に向けて努力されていた。それゆえに、成功が妨げられるようなことは早めに対処しようとしていた。その姿が、組織委員会にいた人たちの一部には独裁者やワンマンに見えていたのかもしれない」と話しました。
  組織委員会のなかには、スポーツ大会の運営経験のない職員もいたことから、(I-1)元次長は「経験のある職員でカバーするしかない」と漏らすこともあり、大会が近づくにつれ重要なポジションは、自身が信頼する人材を外部から迎え入れてあてることもあったということです。
  各競技のテスト大会をめぐる談合に関わった疑いがあることについては、「スポーツの国際大会を行う日本の能力は海外からも評価されていて、元次長には絶対に失敗が許されないというプレッシャーがあったと思う。そうであれば経験のあるところに任せたいと考えても不思議ではないし、業者と契約が成立しない競技会場が出ることを恐れていたと思う。もし、私が同じ立場だったら似たようなことをしていたかもしれない」と大会を成功させなければならないという強い思いが背景にあったのではないかと話しました。
専門家「取り返しのつかないミス」
  スポーツビジネスが専門で日本へのオリンピック・パラリンピックの招致にも関わった大阪体育大学の原田宗彦学長は「ビジネス的な感覚や通念が欠落していたのかなと思う。新型コロナウイルスの影響などで変更や突然の調整があった大会であり、いろいろなプレッシャーがかかっていたなかで調整を進めていくところにきしみがきて、事件が起きたのではないか。取り返しのつかないミスだと思うし、今後のイベントやスポーツの大会に大きな影響が出ると懸念している」と話しました。
  そして、事件が起きた背景について「スポーツでは電通を頂点に広告代理店、その下にイベント企画業者と、非常に数が限られているし、顔見知りというかよく知った『村社会』といったところがあるので、どうしてもみんなで相談するような談合が起きてしまう。オリンピックみたいに巨額な金が動くイベントはみんなやりたいわけだ。そうすると談合体質みたいなものが生まれてしまうのかなと思う。しかし、税金が使われる大会で仲間内で話し合って決めてしまうのは、一番被害を受けるのは税金を払っている国民だ」と述べました。
  また、東京都や国、それに民間からの出向者などで構成された組織委員会について「国際スポーツイベントの経験の多い電通におんぶにだっこみたいなところがあったと思う。誰かは違法性を感じていたと思うが、チェック機能が働かなかったという構造的な問題もあった」と指摘しました。
  その上で、今後の再発防止やスポーツイベントのあり方について「組織委員会の理事会の役割が大きい。公認会計士や弁護士、学術経験者のような人材がガバナンスとコンプライアンスをしっかり注視していく組織であるべきだ。また、スポーツマネジメントやスポーツビジネスにたけた人材が徹底的に不足している。スポーツとビジネスをうまくハンドリングするようなリテラシーを高めていく仕組みが必要だ。競技団体などにそうした人材を入れると風通しのいい組織になると思う。2025年には大阪で万博が、その翌年には名古屋市でアジア大会が開かれるので、企業とイベントの関係をよくしていかないといけない」と話していました。
組織委元理事「オリンピックを開催する能力に欠けていたのでは」
  オリンピック・パラリンピックの理念や歴史に詳しく、東京大会の組織委員会で理事を務めた中京大学の來田享子教授は、汚職事件に続いて、談合の疑いでも逮捕者が出たことについて「非常に残念でスポーツに関わる日本の社会的信頼を失う出来事になっている。
  汚職事件も談合事件も関係する当事者はある意味、大会の成功のために倫理的に踏み外してしまったとも言える。このことは日本のスポーツイベントに関わるビジネスが非常に脆弱であるということ、そもそもオリンピックを開催するだけの能力に欠けていたのではないかということを考えざるを得ない」と指摘しました。
  その上で、「どうしてチェックすべきところに情報が上がらなかったのか、あるいは第三者、組織外の人がチェックできる仕組みが無かったのかを明らかにし、引き継がないといけない。負の遺産を残しただけで終わるのではなく、そこからの反省や見直しにつなげられるよう関係していた人たちはそれぞれのやり方で責任を取っていくべきだと思う」と話していました。
公正取引委員会の事務総長「大変、問題が大きい事案」
  東京大会の組織委員会の(I-1)元次長らの逮捕について、東京地検特捜部と連携して捜査を進めている公正取引委員会の小林渉事務総長は8日の定例会見で、「東京オリンピック・パラリンピックは、およそ60年ぶりに日本で開催された世界的、国家的な行事だったが、それを利用して談合が行われたとすれば、大変、問題が大きい事案ではないかと思う」と述べました。
  また、談合の疑いで広告業界から逮捕者が出る異例の事態となったことについては、「一般論として、これまでほとんど対象としてこなかった業界に対する調査は、警鐘を鳴らすという意味も含め、意義があるのではないかと考えている」と述べました。
各社のコメント
  NHKの取材に対して電通は、「このような事態となりましたことを重大かつ厳粛に受け止めております。引き続き、当社は当局の捜査・調査に全面的に協力してまいります。皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心よりおわび申し上げます」などとコメントしています。今後、原因の究明や再発防止策の策定などを目的に社内調査を行うとしています。
  また、セレスポは「このような事態となりましたことを厳粛に受け止め、引き続き、当局の捜査に全面的に協力してまいります。関係者の皆様に多大なるご心配およびご迷惑をおかけしておりますこと、深くおわび申し上げます」などとコメントしています。
  フジクリエイティブコーポレーションは、「弊社役員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、関係者の皆さまに多大なるご心配およびご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます。引き続き、当局の調査に全面的に協力して参ります」というコメントを発表しています。
東京都 小池知事「大変遺憾に思う」
  東京地検特捜部が独占禁止法違反の疑いで大会組織委員会の(I-1)元次長を逮捕したことについて、東京都の小池知事は都庁で記者団に対し、「組織委員会の(I-1)元幹部が逮捕されるという事態は大変遺憾に思う。組織委員会そのものはすでに解散しているので、清算法人に『引き続き全面的に捜査に協力するように』と伝えている」と述べました。
日本陸上競技連盟会長「あってはならないこと」
  大会組織委員会の(I-1)元次長の逮捕を受けて当時の出向元だった日本陸上競技連盟の尾縣貢会長が都内で取材に応じました。
  尾縣会長は「あらゆる企業と団体は適切な手続きを取りながら業務を進めていくべきで、とくに公共性の高い東京オリンピック・パラリンピックに関しては慎重に、かつ適切な業務執行を行うべきだ。容疑が事実であればあってはならないことだ」と話しました。
  また、(i-1)容疑者の人となりについて「陸連にいた頃はすべての事業に前向きに取り組んでいた。上昇志向の強い人だったので努力を続けていたし、出向先でもしっかりと業務を果たしてくれているものだと思っていた。優れた人材でありこれから陸上界だけでなく、スポーツ界に貢献して頂ける方だと思っていたので、本当に残念だ」と話しました。
  そして、スポーツ大会の運営と公正さをいかに両立させていくべきか問われると、2025年に東京都で世界選手権の開催を控えていることを踏まえ「運営組織をつくる最初の段階からコンプライアンスとガバナンスの重視を徹底すべきだ。大会運営にあたってもきちんとした体制を組んで適切に手続きを踏んでいく」と話していました。
松野官房長官「不正があったとすれば誠に遺憾」
  松野官房長官は、午後の記者会見で「不正があったとすれば誠に遺憾だ。現在、スポーツ庁などが設置したチームで、ガバナンス体制や情報公開のあり方を検討しており、今後の大規模な国際大会の運営の透明化や公正化を図るための指針を策定していく」と述べました。
  また、2030年冬のオリンピック・パラリンピックの招致について「指針を参考に今後、札幌市とJOCが検討を行い、札幌市民をはじめ国民の支持を得られるよう、丁寧に説明していくことが大切だ」と述べました。
対策迫られるJOC
  東京大会をめぐる汚職や談合事件を受け、JOC=日本オリンピック委員会は、大規模なスポーツ大会の運営や広告代理店との関わり方などについて対策に迫られています。
  JOCは、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会元理事による汚職事件を受けて、去年11月、スポーツ庁などと大規模なスポーツ大会での運営組織のあり方を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、ガバナンスの確保などに向けた指針の策定に着手しました。
  そのやさきに発覚したのが東京大会のテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件です。
  JOCの山下泰裕会長は「特定の広告代理店に多くの業務をいわば丸投げしていると受け取られる構図を見直す必要がある」と述べ、改革が必要だという認識を示しました。
  各競技団体に広告代理店との関わり方について聞き取りを行ったうえで、大会運営に必要なノウハウの確保などについて対策を検討する方針です。
  また、相次ぐ事件を受け、JOCと札幌市が進めている2030年冬のオリンピック・パラリンピック招致についても、国民の不安や不信感の払拭が必要だとして、去年12月から積極的なプロモーション活動をいったん休止するなど影響が広がっています。
G7広島サミットや大阪・関西万博に影響のおそれも
  広告業界が談合事件で摘発されるのは極めて異例で、今後、国や自治体などの間で電通など大手広告会社を指名停止にする動きが広がった場合、スポーツだけでなくほかの大規模イベントの運営に影響が出るおそれがあるという指摘も出ています。
  このうち、ことし5月に開かれる「G7広島サミット」では、会場の設営と運営を請け負う事業者を決めるための、企画競争による選考が行われる予定で、外務省は、先月6日から今月13日までの期間、参加する業者を受け付けています。
  しかし、外務省の調達情報によりますと、広島サミットの運営業務については、指名停止になるような行為で捜査を受けていないことが選考参加の条件とされていて、今回の事件で捜索を受けている電通など各社も対象になるとみられます。

  サミットのような大きなイベントの運営にはノウハウが必要とされ、4年前の「G20大阪サミット」では、会場の設営と運営業務の選考に電通1社だけが参加し、およそ117億円で受注しました。外務省は談合事件の影響について「状況を注視しつつ適切に対応したい」とコメントしています。
  また、2025年に開かれる大阪・関西万博でも、今回の談合事件で捜索を受けた企業が多くの事業を受注しています。
  大阪・関西万博の実施主体である博覧会協会のホームページによりますと、電通、博報堂、それにADKのグループ会社は、公募型プロポーザル方式で、子会社やほかの会社との共同企業体を含め、計画策定や管理業務などあわせて16の事業を落札しています。
  このうち、大阪・関西万博の中核事業とされ、映画監督や学者など8人のプロデューサーがパビリオンを展開する「いのちの輝きプロジェクト」の統括管理業務は、入札が行われた5つの事業すべてを電通と博報堂のグループが受注しています。
  落札額は公表されていませんが、5つの事業の委託料の上限額の総額は118億円余りとなっています。
  NHKの取材に対し、博覧会協会は、今回の事件の影響について「すでに契約しているものについては基本的に影響が及ばないものとして取り扱っています。万博の準備に支障をきたすことのないよう対応してまいります」などと回答しています。
  一方、大阪府の職員からは、「こうした事業を任せることが問題視されて、万博のイメージ低下につながらないか心配だ」という声も聞かれます。
  広告業界に詳しい千葉商科大学の松本大吾教授は今回の談合事件が今後の国際的なイベント運営に与える影響について、「大きな国際イベントを手がける経験値は、一朝一夕で身につくものではなく、規模が大きいイベントを大手の広告会社以外がやっていくのはなかなか難しい。大手が受注できない事態になれば、運営自体がうまくいくのか不安な面がある」と指摘しています。


2023.02.01-Yahoo!Japanニュース(TBS NEWS DIG.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2e2cf214c7de98841403d6768b5f9a3e563ec0cc
【詳報】五輪汚職 AOKI前会長に検察側が懲役2年6か月を求刑 東京地裁

  東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件で、贈賄の罪に問われている紳士服大手AOKIの前会長に対し、検察側は懲役2年6か月を求刑しました。

  AOKIの前会長・H被告(84)ら元幹部3人は、大会のスポンサー契約などで便宜を図ってもらう見返りに、組織委員会の元理事・I被告(78)に2800万円の賄賂を贈った罪に問われています。3人は初公判で起訴内容を認めていました。
  2月1日午前、東京地裁で開かれた裁判で、検察側は「高い公平性が求められる元理事に対し高額の賄賂を渡し、私利私欲のために、東京大会の国内外の信頼を失墜させた悪質な犯行だ」と指摘。
  H被告は「主犯で責任は最も重い」として、懲役2年6か月を求刑しました。 さらに弟のZ被告ら2人には、懲役1年6か月と1年をそれぞれ求刑しました。

  結審は4月21日


電 通
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  株式会社電通は、日本の広告代理店。その規模は広告代理店としては国内最大で、世界では第6位である。2020年1月1日に純粋持株会社体制へ移行。また本項では、持株会社である株式会社電通グループについても記述する。
概要
  日本最大の広告代理店であり「広告界のガリバー」の異名を持つ。
  国内2位の博報堂DYホールディングスの売上高の約4倍と圧倒的なシェアにより、市場の寡占化が問題視され、 2005年平成17年)には公正取引委員会(当時・竹島一彦委員長[注 1])が調査を開始し、調査報告書において電通の広告業界における寡占化の進行の事実を指摘した上で「公平性、透明性の確保が必要」と結論づけた。
  1987年(昭和62年)に制定された「CED」の5番目の社章は「Communications Excellence DENTSU -卓越したコミュニケーション活動を」を表しており、2002年(平成14年)12月まで使用された。現在使用されている「dentsu」の社章は2002年(平成14年)12月の汐留移転を機に制定された6代目である。
  海外の広告会社を積極的に傘下に収めることにより規模が拡大し、近年では広告代理店グループとして世界6位の規模となっている。
沿革
  ・1901年 - 7月1日、光永星郎によって電通の前身「日本広告」が設立された。東京市京橋区弥左衛門町、「銀座松崎」の数軒北側の間口二間、奥行き三間の二階家の1階で、社員7~8名から開業。  ・1907年 - 光永が通信社を設立したことで日本広告は吸収され、「日本電報通信社」(この略称が電通)となる。  ・1914年 - 第一次世界大戦が勃発。電通は大戦報道で顕著な成果をあげ、通信社としての声価を一挙に高めることになった。  ・1932年 - 満州事変を受けて、政府は日本の情報通信機関を一元化して国家的通信社を作る必要があると判断。満洲国において当時、電通と競合関係にあった日本新聞聯合社の通信網を統合した国策会社「満洲国通信社」(国通)を創立。  ・1935年 - 5月、電通と日本新聞聯合社の統合推進派は創立準備委員会を開き、新社名を「同盟通信社」に決定。11月、逓信大臣が設立を許可。  ・1936年 - 6月1日、通信部門は同盟通信社に合流し、電通は広告代理店専業となる[4]。資本金二百万円、社員数三百余名、取締役社長光永星郎、常務取締役光永真三、取締役不破瑳磨太、松野鶴平、古野伊之助、木下源一郎、安藤彪雄、岩子竜太郎、富安三郎、監査役曽我祐邦、原田徳次郎が就任、上田碩三常務取締役、能島進、永江真郷両取締役、中根栄監査役は辞任。  ・1947年 - 連合国軍最高司令官総司令部により公職追放された第3代社長・上田碩三の後任として吉田秀雄が第4代社長に就任し、広告取引システムの近代化に努めた。軍隊的な社則「鬼十則」を作るなど、電通発展の礎を築いた。  ・1955年 - 7月1日、創立55周年記念日に社名を株式会社日本電報通信社から株式会社電通に改める。  ・1973年 - 広告会社年間取扱高で世界1位に。  ・1984年 - ロサンゼルスオリンピックよりスポーツイベントに本格参入。以降、スポーツイベントでの業務拡大が続く。  ・1986年 - 日本放送協会(NHK)との肝いりで、NHKの子会社である株式会社NHKエンタープライズ25%、当社25%の共同出資による株式会社総合ビジョンを設立したが、これは諸般の事情により2013年7月1日付けでNHKエンタープライズに吸収合併される形で解散した。  ・1988年 - 広告会社としては世界初の売上高1兆円突破。  ・2000年 - イギリスの大手広告会社コレット・ディケンソン・ピアースを買収し、アメリカ合衆国の「レオ・バーネット」などと共に、広告会社グループ「bcom3」を結成。  ・2001年11月30日 - 株式を東証一部に上場。  ・2002年 - レオ・バーネットを買収したフランスに本拠を置く世界有数(世界3位)の規模を持つ広告代理店「パブリシス」グループと資本提携を締結。  ・2011年1月5日 - 日本BS放送(BS11)との共同制作で、「BSイレブン競馬中継」と「うまナビイレブン」放送開始。  ・2012年 - 英国大手で世界8位の広告代理店Aegis社を買収し、ロンドンに電通イージス・ネットワーク社を設立。世界140か国に拡がる約10社の広告代理店を擁し、その売り上げはグループの半分以上(2015年で54.3%)に及ぶ。  ・2014年2月 - ドイツのエクスプリード社の株式100%を取得し連結子会社化。  ・2016年11月 - ドイツで創業のフロッグデザインと業務提携したことを発表した。  ・2018年7月17日 - 麻雀プロリーグ「Mリーグ」に参加表明。「TEAM RAIDEN/雷電」をスポンサードする。  ・10月22日 - サンライズぴえろMAPPAなど国内の有力アニメスタジオ9社と連携し、企業・団体および商品・サービスのブランドの魅力を高めるオリジナルの映像コンテンツをアニメーションで制作する体制を構築した。また、電通本社内にはグループ横断組織「Dentsu Japanimation Studio」(電通ジャパニメーションスタジオ)の本部を設置した。  ・2020年1月1日 - 株式会社電通グループに社名変更し、純粋持株会社体制へ移行-6月25日 - バンダイナムコエンターテインメントと協業し、インディーゲームのパブリッシング事業を展開するPhoenixxと業務提携契約を締結。  ・2021年2月15日 - 2020年の電通グループ全体の決算は、収益が前の年を10.4%下回る9392億円、最終的な損益が1595億円の赤字となり、2年連続の最終赤字であり、赤字額は過去最大であることを発表した。-6月29日 - 電通本社ビルの売却を検討する事を決議したと発表。なお電通グループ自体はテナントとして入居を続ける。  ・2022年11月14日 - ロシア事業を現地企業へ譲渡すると発表した。
企業体質
 社風
   現場優先体質(管理部門からの管理の軽視・無視)、コンペ至上主義(コンペで勝つことを最優先し、そのために他を犠牲にする)であると指摘されている。
   電通は、もともと通信社も抱えてはいたがそれを同盟通信社に譲渡、そして同盟通信社の広告事業を吸収して広告専業になった会社である。労働時間を考慮せず日夜ニュースを追いかける通信社(報道機関)的な悪い体質がDNAとして残り、労働時間などに関して残業規制を含めた会社からの細かい管理を現場が嫌い無視する気質が企業風土となった。逆に通信社ではなくなった為、行政からの監督もほとんど入らなくなってしまった。
 鬼十則
   4代目社長・吉田秀雄により1951年に作られた電通社員の行動規範。
   1991年の男性社員の過労死電通事件)の発生後、新入社員研修の教本などからは除外されたが、その後も社員手帳には記載が続けられ、特に第5則が電通の労働体質の背景になっているとされた[21]2015年12月に発生した新人女性社員の過労自殺を受け、2016年度限りで除去。
    1・仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
    2・仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
    3・大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
    4・難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
    5・取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
    6・周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
    7計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
    8・自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
    9・頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
   10・摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
責任三カ条
  鬼十則と同じく4代目社長・吉田秀雄により1953年に作られたが、1987年に社員手帳から記述が除外され、現在では使われていない。
    1・命令・復命・連絡・報告は、その結果を確認しその効果を把握するまではこれをなした者の責任である。その限度内に於ける責任は断じて回避出来ない。
    2・一を聞いて十を知り、これを行う叡智と才能がないならば、一を聞いて一を完全に行う注意力と責任感を持たねばならぬ。一を聞いて十を誤る如き者は百害あって一利ない。正に組織活動の癌である。削除せらるべきである。
    ・我々にとっては、形式的な責任論はもはや一片の価値もない。我々の仕事は突けば血を噴くのだ。我々はその日その日に生命をかけている。
戦略十訓
  1960年代、ヴァンス・パッカード(en:Vance Packard)の『浪費をつくり出す人々』(en:The Waste Makers)の内容を基に、電通PR(現・電通パブリックリレーションズ)社長だった永田久光により提唱されたとされる。ただし、電通の発行物内にはこの戦略に関する記載はなく資料による裏付けはない。
富士登山研修
  「新入社員研修の一環」として、新入社員らに毎年富士登山を行わせている。同社ではこれを「電通富士登山」と称しており、もともと初代社長・光永が社員の敢闘精神を養う目的で開始したという
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不祥事・諸問題
 不祥事等
   CM撮影における迷惑行為
     2010年槍ヶ岳でのテレビCM撮影を巡り、ヘリコプターを使用し登山者に迷惑をかけたとして、環境省は電通、日清食品葵プロモーションの3社に文書指導を行った。環境省はヘリによる撮影の自粛を事前に求めていたが、担当者が撮影を強行し、撮影中の約30分間、一般登山者への山頂への立ち入りを無断で拒むという迷惑行為を行っていた。
   2020年東京五輪エンブレム盗作騒動
     2015年8月、ベルギーリエージュ劇場とそのロゴデザイナーが、元博報堂社員だった佐野研二郎による2020年東京五輪のエンブレムのデザインは自作の盗作であるとして、IOCを相手取りベルギーの裁判所にエンブレムの使用差し止めを求める訴訟を起こした。
     この中で、東京2020五輪組織委員会に出向し、クリエイティブディレクターとエンブレム審査員を務めていた電通社員の高崎卓馬が、佐野が制作した原案を2度にわたり修正した上で審査に推薦したことが明らかになり、選考の公平性に疑惑が生じた。さらに、電通マーケティング局長を務め、組織委員会に出向していた槙英俊、審査委員代表永井一正らの判断で、公募前に佐野を含む国内の8人のデザイナーに応募を要請していたことや、彼らの作品を2次審査に残すための不正が行われたことも明らかになった。
     こうした一連の騒動から、佐野によるエンブレムは白紙撤回され、高崎と槙も組織委員会からの出向を解かれ事実上更迭された。(「佐野研二郎#東京オリンピックエンブレムに関する騒動」も参照)
   2020年東京五輪大会開閉会式や運営業務にまつわる問題(詳細は「#関わりがあるプロジェクト・イベント」を参照)
   2020年東京五輪招致における裏金関与疑惑
     2016年5月、英国ガーディアン紙が2020年東京五輪招致過程における裏金疑惑を報じ、その中で電通の関与を指摘した[49]。記事によると東京五輪開催決定に関し、日本の東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会シンガポールコンサルタント会社、ブラック・タイディングス社の銀行口座に7月と10月の2回に分けて計200万ユーロ(約2億2000万円)を振り込んでおり、この資金が当時の国際オリンピック委員会(以下、IOC)委員であるラミーヌ・ディアック(元国際陸連会長、セネガル人)へ渡ったとされる。この口座を所有するブラック・タイディングス社のコンサルタントは、電通の子会社とされるスイスローザンヌのアスリートマネジメント・アンド・サービス社(Athlete Management and Services)のコンサルタントも務めていた。
     日本オリンピック委員会(以下、JOC)の調査チームによると、ブラック・タイディングス社のコンサルタントから招致委員会に対して業務の売り込みがあり、電通からも同社のコンサルタントがラミーヌ・ディアックと繋がりがあるとの情報提供を受けたことから契約に至ったが、招致委員会はこの取引が贈与にあたると認識することができたとは認められないとし、違法性はないと結論づけた。電通は、「知る範囲内の実績を伝えただけであり、招致委員会とブラック・タイディングス社の契約について関与していない」と述べ、アスリートマネジメント・アンド・サービス社についても出資関係を否定した。
     2018年12月、電通高橋治之らとIOCを巡るロビー活動を続けていたJOC会長竹田恆和が、東京五輪招致をめぐる贈収賄容疑でフランス検察捜査当局による捜査過程で容疑者となったため、竹田は2019年6月の任期満了に伴い、JOC会長、IOC委員、東京2020五輪組織委員会副会長・理事のいずれも退任した。
     フランス検察当局が収賄容疑で取り調べているラミン・ディアクと、その息子パパマッサタ・ディアク、その他主だったIOC委員への贈与を含めたロビー活動をしていた点は、高橋治之自身も認めた。しかし竹田は、JOCとIOCを辞職後に、高橋が主導するディアクに対するロビー活動を指示したこともなく、高橋がディアクに贈った「土産」についても認識していなかったと語った。
  2020年東京五輪組織委員会元理事にまつわる贈収賄事件
     2022年7月、東京2020五輪組織委員会で理事を務めた高橋治之が、AOKIホールディングス青木拡憲前会長から数千万円を受け取っていたことをめぐり、東京地検特捜部が電通本社を家宅捜索した。同年8月、電通子会社を介して資金を受け取っていたとして高橋治之が受託収賄、青木拡憲ら3人が贈賄罪で東京地検特捜部に逮捕された。(「AOKIホールディングス#東京五輪スポンサー関連での大会組織委員会への贈賄」も参照)
     2022年9月、AOKIと同じオフィシャルサポーターであったKADOKAWAのスポンサー選定にも高橋が関与していた疑いが明らかになり[60]、高橋の慶應義塾高校・大学の後輩にあたるKADOKAWA顧問らも逮捕され[61]、さらに資金授受に関与していたとして、後輩にあたる元電通雑誌局長及び元電通東日本常務でコンサルタント会社経営者も逮捕された。(「KADOKAWA#東京五輪スポンサー関連での大会組織委員会理事への贈賄」も参照)
     以降も、大広ルート、ADKルート、サン・アロールートなどで特捜部による検挙が重なり、いわば「五輪疑獄」の様相を呈している。
  2020年東京五輪テスト大会及び本大会の入札談合事件
     2022年11月25日、東京地検特捜部と公正取引委員会により、東京五輪・パラリンピック組織委員会が発注したテスト大会業務で入札談合をした疑いがあるとして、独占禁止法違反の疑いでイベント制作会社セレスポとともに電通本社ビルの家宅捜索を受けた。11月28日、博報堂東急エージェンシー、イベント制作会社セイムトゥーフジ・メディアHGの番組制作会社フジクリエイティブコーポレーションなどに家宅捜索が行われ、翌11月29日には、ADKホールディングス電通ライブ、イベント制作会社シミズオクト及びトレスにも行われた。
     テスト大会に続いて五輪本大会では、主に電通からの出向者で占められる大会運営局が広告会社9社などに随意契約で割り振った額は、平均3割増しだったとのことである。
     2023年2月8日、東京地検特捜部は、受注調整はテスト大会及び本大会などで一体的に行われたとの見方を示し、テスト大会の計画立案支援業務を巡る入札で受注調整をした独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で五輪組織委員会大会運営局元次長、受注側である電通元スポーツ事業局長、セレスポ及びフジクリエイティブコーポレーションの幹部ら4人をそれぞれ逮捕し、各関係先の家宅捜索を行った。(「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会#テスト大会及び本大会の入札談合事件」も参照)
  インターネット広告における不正詐欺
     2016年7月、広告主であるトヨタ自動車からインターネット広告で効果が出ていないという指摘があり、社内調査で不正が発覚。電通は同年8月に外部の弁護士を含む内部調査委員会を発足し、電通とグループ会社18社がネット広告を提供した2263社に聞き取りなどの調査を実施した。
     同年9月に予備調査を公表し、インターネット上に掲載する広告について契約通りに掲載しなかった上、約111社に対し広告料を不当に請求していたことが明らかにされ、この時点で不正被害は計約2億3000万円に上ると想定された。過剰請求のみならず架空請求まで行っていたが、トヨタ自動車による指摘があったにも関わらず、2000年に発覚した自動車メーカースズキへの3億円広告料不正請求・受領事件同様に、表沙汰にならない限りは電通社内内部で処理するつもりであったと指摘されている。しかし同年9月21日、英経済紙フィナンシャル・タイムズが不正問題をめぐって電通がトヨタのほか100社以上の企業と緊急の会談を行っていると報じ、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルも報道。そのため電通は記者会見を開かざるを得なくなった。
     不正は主にバナー広告や動画の中で、主に年齢や検索傾向などから興味のありそうな広告を表示する運用型広告で見つかった。2016年12月に調査結果を公表する予定としていたが、調査データが膨大だったこと、女性社員の過労死事件の後は残業時間が制限されたことを理由に、予定は遅れ2017年1月に公表された。不正被害に遭った企業は96社、作業件数は997件、被害金額は計1億1482万円分。実際に広告が掲載されず架空請求が行われたのは10社・40件・338万円分であった。不正請求ないし架空請求詐欺などの犯罪に該当するという認識が欠如していたとして、およそ100社にのぼる被害企業には過剰請求・架空請求など不正請求していた代金を返金するなど、各社の要望に沿う対応をとるとした。
     また、担当者が一人で出稿からレポート作成まで行うなど、ミスを隠蔽したり数字改竄が行われてもチェックする体制が整っておらず、組織全体として補う体制も不十分だったこと、ネット広告需要の急増に反して人員の補充や育成を怠った点に問題があり、国内デジタルグループ各社との連携も不足していたことが原因だとした。担当の執行役員ら17人を報酬減額処分(額面は不明)にし、これまで担当者による人力での広告掲載レポート作成から、今後は人手を介在しない自動生成システムを開発するなど再発防止に努めるとしたが、膨大な規模に上る不正請求事案に対しては見当違いな対応だと指摘されている。子会社による医療報道記事への成功報酬支払い
     2017年、子会社の電通パブリックリレーションズ(電通PR)が、医薬品を宣伝する記事を広告ではなく通常の記事として共同通信のグループ会社に配信させ、その記事の見返りに成功報酬を支払っていたことが明らかとなった。
  持続化給付金事業の受託をめぐる問題
     2019年新型コロナウイルス感染症の流行に伴う経済産業省外局中小企業庁による持続化給付金事業を、サービスデザイン推進協議会が769億円で受託し電通に749億円で再委託していた。さらに電通から電通ライブ電通テック電通国際情報サービス電通デジタル電通東日本などに再々委託し、電通ライブからはパソナ大日本印刷トランスコスモステー・オー・ダブリュー(TOW)などに再々々委託していた。
     この丸投げの過程で電通本体だけでおよそ104億円あまり、電通グループ子会社6社を含めると少なくとも154億円あまりの、緊急支援のための多額の公金ないし税金中抜きされていたことが報じられ、国会審議などで波紋を呼び起こした。
     2020年6月、サービスデザイン推進協議会、電通が記者会見をする中で、梶山弘志経産相は、経産省が外部専門家を入れた第三者委員会で検査することを表明し、官民揃って火消しに追われた。同年10月12日、同委員会の中間審査では外部の公認会計士の意見も踏まえ、「不当とは言えない」とした。(「経済産業省#委託事業に関わる問題」も参照)
     また、環境共創イニシアチブ2017年度からの3年間、政府から35件160億円の事業を受託して電通に再委託していたが、マイナンバーを使ってポイント還元する総務省のマイナポイント事業でも環境共創イニシアチブが受託していた。代表取締役に元総務次官桜井俊らが在籍する電通を再委託先として、電通ライブや電通国際情報サービスなど、さらにトランスコスモス、大日本印刷などに再々委託、再々々委託されていたことが明らかとなっている。
     コロナ禍により同業他社等が軒並み赤字決算に転落していくなか、電通は前年同期では12億円の赤字だったが、2020年6月中間連結決算発表では、コストカットが功をなしたとして純損益157億円で2年ぶりの黒字になった。2020年1−6月期業種別売上高では、「官公庁・団体」で前年同期比99.9%増の873億1400万円であった。
  家賃支援給付金事業の受託をめぐる問題
     上記持続化給付金事業の受託を巡る問題に引き続き、2020年(令和2年)6月、経済産業省中小企業庁による家賃支援給付金事業を巡り、サービスデザイン推進協議会、電通、そして電通ライブを通して持続化給付金事業の一部を再々々受託していた大手イベント会社テー・オー・ダブリュー(TOW)担当者の行為が問題となっている。同TOW担当者が、この家賃給付金事業について複数の下請け会社に、もし電通とは別の広告大手博報堂がこの事業を受託しそれに協力した場合、出入禁止相当の対応をとる等と電通以外の広告会社に協力しないよう圧力をかけ、さらに電通社員がこの問題に関与していた疑いが判明した。これを受け、取引先企業が下請け会社に圧力をかける独占禁止法違反・下請法違反に抵触する可能性のある行為に、電通が社員が関与したことを認めたものと報じられた。電通は同年6月17日に「社員が受発注関係にある協力会社の従業員に業務にまつわる不適切な発言を行った」として厳正に処分すると発表したが、当該社員の上司への厳重注意処分に留まった。
     結果として、家賃給付金事業入札に参加していた2社のうち、博報堂は同事業を落札できずリクルートが落札し、電通の求めた通りとなった。さらにリクルートが共に事業を担う他5社には電通の下請けとして持続化給付金事業に関与している企業は入っていないため、この点も電通が求めた通りになった。このように、上述の持続化給付金事業でサービスデザイン推進協議会が落札した過程同様に、この家賃給付金事業においても委託先選びなど入札過程が不透明だと指摘されている。
     これに対し、経産省による渦中のサービスデザイン推進協議会への聞き取りで、当該担当電通社員が個人としてテー・オー・ダブリュー(TOW)担当社員に対し圧力をかけたものであり、電通が当該社員を処分し再発防止策等を示したとして、梶山弘志経産相は追加調査をしない考えを示した。一方で公正取引委員会山田弘審査局長は、独禁法の規定に基づいて適切に対処したいと述べた。しかし2020年12月17日、電通に対する行政調査に基づき公正取引委員会が行った措置は、独占禁止法の「注意」「警告」「排除措置命令」のうち最も軽い「注意」措置に留まった。
労働問題
  男性社員の自殺(電通事件)(詳細は「電通事件」を参照)
     1991年8月発生。訴訟に発展し、判決では上司から革靴の中に注がれたビールを飲むよう強要されたり、靴の踵で叩かれるなどのパワーハラスメントの事実も認定された。
  新人女性社員の自殺
    ・2015年
      12月25日 - 新入女性社員が社員寮から飛び降りて自殺過労自殺)した(享年24)。この社員は2015年4月の入社後、デジタル・アカウント部に配属されインターネット広告を担当していたが、本採用後の10月以降に仕事量が急増。遺族側弁護士の推計によると、1か月の時間外労働は約130時間に達し、過労死ラインといわれる80時間を大幅に越えていた。電通は労使協定で決められた残業時間を越えないよう、勤務時間を過少申告するよう指示していたとみられる。当初は女性社員の別れ話を利用し、個人の問題として片付けようとしていた電通であるが、女性社員個人のTwitterには過労だけでなく、上司によるパワーハラスメントセクシャルハラスメントの被害を窺わせる書き込みもされていた。
     ・2016年
       9月30日 - 三田労働基準監督署は、この社員が自殺したのは長時間労働によりうつ病を発症したのが原因と判断し、労働災害(労災)を認定した。これを受け、2016年10月14日厚生労働省東京労働局過重労働撲滅特別対策班は労働基準法に基づき、電通本社に臨検監督と呼ばれる抜き打ち調査を実施し、名古屋・大阪・京都の各支社も、地元労働局がそれぞれ調査した。こうした中で、社員に違法な長時間労働をさせたり、労働時間を適切に把握していなかったとして、2010年には中部支社、2014年には関西支社、2015年には東京本社と子会社の電通九州が、それぞれ各地元労働基準監督署から是正勧告(行政指導)を受けていたことが分かった。また、本社に勤務していた男性社員が2013年に病死したのは長時間労働が原因だったとして、2016年に労働災害に認定されていたことも明らかになった。
       11月7日 - 複数回にわたる是正勧告後も違法な時間外労働が全社的に常態化していた疑いが強まったことを受け、東京労働局過重労働撲滅特別対策班などは強制捜査に切り替え、電通本社と全国の3支社に労働基準法違反の疑いで家宅捜索を行った。
       12月23日 - こうした一連の事実を受け、電通は2016年のブラック企業大賞「大賞」を受賞。
       12月28日 - 社員に違法な長時間労働をさせた上、勤務時間を過小に申告させる犯罪行為をしたとして、東京労働局は法人としての電通と自殺した女性社員の当時の上司を、労働基準法違反の疑いで東京地方検察庁書類送検した。同日、石井直電通社長が、2017年1月の取締役会で引責辞任することを発表。
     ・2017年
       4月25日 - 労使協定で定めた上限を超える残業を社員にさせていたとして、厚生労働省は法人としての電通と、中部、関西、京都の各支社の幹部らを労働基準法違反の容疑で書類送検した。
       5月 - 社員に違法な長時間労働をさせていたとして、電通の子会社である電通東日本、電通西日本、電通九州、電通北海道、電通沖縄の5社が各労働基準監督署から是正勧告を受けた。
       7月6日 - 社員に違法な残業をさせていたとして、法人としての電通が東京地検に略式起訴され、一連の捜査は終結した。過労死した女性社員の当時の上司は刑事責任を問われず、不起訴処分(起訴猶予)という結果となった。
       7月12日 - 東京簡易裁判所が、書面審理だけで量刑を即決する略式命令では「不相当」と判断し、正式な刑事裁判を開廷することを決定したため、電通の刑事責任が公開法廷で問われることとなった。電通本社が労働組合と交わしていた、残業時間を月に50時間までなどと定めた労使協定(三六協定)が、組合員が従業員の50%を下回っており協定無効となっていたことも明らかになった。
       9月22日 - 東京簡易裁判所にて初公判が実施され、電通社長の山本敏博が出廷した。起訴内容の罪状認否について「間違いありません」と罪状を認めた。東京地方検察庁は「自社の利益を優先させ、違法な残業が常態化していた」として罰金50万円を求刑し、裁判は結審した。
       10月6日 - 東京簡易裁判所は「違法な長時間労働が常態化し、サービス残業が蔓延していた」とし、電通に対して労働基準法違反により罰金50万円の支払いを命じる判決を下した。50万円という額であったため、電通は控訴期限日まで控訴せず、10月20日に罰金刑が確定判決となった。
自由民主党との関係
  電通の場合、政治家それも"自民党議員のボンボン"が多いと指摘されている。自民党の広報宣伝は電通が長く担当している。2012年(平成24年)12月に発足した第2次安倍内閣以降、内閣官房内閣広報室の外部民間職員採用で博報堂が外された代わりに9年連続で事実上1~2人の電通職員枠が設けられていた。2019年新型コロナウイルス感染症の流行での持続化給付金事業を巡る委託事業同様(#持続化給付金事業の受託をめぐる問題参照)、自民党政権と電通との親しき関係ないし蜜月関係が指摘されている(自由民主党 (日本)#問題にも同旨関連情報あり)。
  民間職員採用は民主党政権下の2011年当時の内閣官房長官であった仙谷由人の発案であり、民主党政権下では中心的な存在を博報堂が、自民党政権下では電通単独で担っていた事がわかっている。
その他
  ・1990年代には、複数社員が大麻取締法違反容疑等により逮捕された事件があったり、2000年代に入ってからも複数の痴漢性的暴行容疑で逮捕された事件や、複数の詐欺容疑での逮捕事件があった。また、元社員によるセクハラ告発がネット社会で注視されたりした。但し、実際に報道されているのは一部であり、報道されても、他の会社であれば社名や名前が記事に載るのに、同社の場合には伏せられたりする場合が多い(報道におけるタブー#スポンサー・広告代理店タブーも参照)。
  ・2019年、ラグビーワールドカップ2019日本大会のマーケティングも担当していた電通の新聞局長が暴行容疑で逮捕された。
  ・2022年9月28日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、同局コメンテーターの玉川徹が、故安倍晋三元首相の国葬の場で菅義偉元首相が読んだ弔辞に「これこそが国葬の政治的意図」「政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ。当然これ、電通が入ってますからね」と論じた。その後、玉川は発言内容は事実誤認であったとして謝罪し、テレビ朝日から10日間の出勤停止処分を受けたが、その処分内容に賛否両論の声があがった。
電通グループ
  株式会社電通グループは、電通グループを統括する純粋持株会社(株式会社電通から商号変更)。2020年1月1日に設立された。日経平均株価の構成銘柄の一つ







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