北方領土問題-1


2024.02.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240207-OEOSISI5ZBN3FLXG634DV6CDII/
「不法占拠、許されない」北方領土の日、露非難アピールを採択 首相「墓参事業に重点」

  「北方領土の日」の7日、政府や関係団体は「北方領土返還要求全国大会」を東京都内で開き、北方四島について「不法占拠されたまま今日に至っている。決して許されることではない」とロシアを非難するアピールを採択した。昨年と同じく「不法占拠」という表現を使用し、ロシアに対する厳しい姿勢を示した形だ。

  大会に出席した岸田文雄首相「日露関係は厳しい状況にあるが、領土問題を解決し、平和条約を締結するという方針を堅持していく」と語った。北方墓参を含む交流事業の再開に関しては「日露関係の最優先事項の一つだ。高齢になった元島民の切実な気持ちに応えるという強い思いで、特に北方墓参に重点を置き事業再開を引き続き求める」と強調した。
  採択されたアピールでは2022年2月24日以降のウクライナ侵略を踏まえ「混迷を深める国際情勢の影響を受け、さまざまな取り組みが一方的に中断され、外交交渉再開の兆しすらも見えない。非常に厳しい状況に置かれている」とした。
  北方四島を巡っては、1945年8月、旧ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して対日参戦し、不法占拠されて以降、日本人が自由に行き来できない状態が続いている。ウクライナ侵略の影響で、北方墓参を含むビザなし訪問の再開のめども立っていない。


2024.02.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240207-SNVNQWJ4QZLPTH4OXWKETPM3LM/
「領土は確定済み」「将来訪れる」露、北方領土巡り次々と強硬発言 日露対立の長期化必至

  日本が7日の北方領土の日を迎えるのに先立ち、北方四島を不法占拠するロシアのプーチン大統領や高官らは、四島が露領土であるのは「確定済み」の上、非友好的な対露政策を続ける日本と平和条約交渉を行うつもりはないとする強硬な立場を相次いで表明した。

  ロシアは領土問題で日本を揺さぶり、ウクライナ侵略に伴う対露制裁を続ける日米欧の結束を乱す思惑だとみられる。侵略に踏み切ったロシアに対して日本が歩み寄る余地はない。日露の外交専門家の間では、日露対立は長期化し、ロシアの体制転換など世界情勢の変革が起きない限り、北方領土問題の解決はあり得えないとの見方が支配的だ
  プーチン氏は1月11日、訪問先の極東での会合でクリール諸島(北方領土と千島列島の露側呼称)の開発に言及。「まだ行ったことはないが、必ず訪れる」と述べ、事実上、将来的な北方領土訪問を約束した。
  プーチン氏は日露関係の悪化前、北方四島が係争地だとする露政府の従来の立場を踏襲。露高官の北方領土訪問は過去もあったが、プーチン氏は対日関係を考慮して訪問を避けてきたとされる。プーチン氏の発言は日本敵視を強めるロシアの現状を浮き彫りにした。
  プーチン氏に続き、メドベージェフ国家安全保障会議副議長は30日、「『北方領土』は係争地ではなくロシア領だ」「ロシアは日本人の『北方領土への感情』など何とも思わない」などと交流サイト(SNS)に投稿。露外務省のザハロワ報道官も31日、「公然と非友好的な立場をとり、ロシアの利益を侵害している」と日本を非難し、「そうした日本と平和条約交渉はできない」と主張した。
  日露間では2010年代後半、北方領土問題の解決を本質とする平和条約の締結交渉が活発化した。しかし、ロシアは米露対立や領土交渉に批判的な世論を背景に態度を硬化させ、20年の憲法改正で他国への領土割譲を原則禁止した。日露交渉が停滞する中、ロシアは22年のウクライナ侵略で制裁を発動した日本を「非友好国」に指定。交渉停止を一方的に発表した。


2024.02.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240207-OEOSISI5ZBN3FLXG634DV6CDII/
「不法占拠、許されない」北方領土の日、露非難アピールを採択 首相「墓参事業に重点」

  「北方領土の日」の7日、政府や関係団体は「北方領土返還要求全国大会」を東京都内で開き、北方四島について「不法占拠されたまま今日に至っている。決して許されることではない」ロシアを非難するアピールを採択した。昨年と同じく「不法占拠」という表現を使用し、ロシアに対する厳しい姿勢を示した形だ。
  大会に出席した岸田文雄首相は「日露関係は厳しい状況にあるが、領土問題を解決し、平和条約を締結するという方針を堅持していく」と語った。北方墓参を含む交流事業の再開に関しては「日露関係の最優先事項の一つだ。高齢になった元島民の切実な気持ちに応えるという強い思いで、特に北方墓参に重点を置き事業再開を引き続き求める」と強調した。
  採択されたアピールでは2022年2月24日以降のウクライナ侵略を踏まえ「混迷を深める国際情勢の影響を受け、さまざまな取り組みが一方的に中断され、外交交渉再開の兆しすらも見えない。非常に厳しい状況に置かれている」とした。

  北方四島を巡っては、1945年8月、旧ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して対日参戦し、不法占拠されて以降、日本人が自由に行き来できない状態が続いている。ウクライナ侵略の影響で、北方墓参を含むビザなし訪問の再開のめども立っていない。


2024.01.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240130-MY7C67IYJZIBTNO7T675FLAX7Q/
「北方領土への日本の感情 何とも思わない」 露メドベージェフ氏、岸田首相演説に反発

  ロシアのメドベージェフ国家安全保障会議副議長は30日、岸田文雄首相が施政方針演説で対露制裁の維持や北方領土問題の解決後に日露平和条約を結ぶ方針を堅持する姿勢を示したことに対し、「いわゆる『北方領土』は協議対象の土地ではなく、ロシア領だ」「われわれは日本人の『北方領土に対する感情』など何とも思わない」などと交流サイト(SNS)に投稿し、反発した。

  メドベージェフ氏は平和条約締結の条件として、領土問題は既に存在せず、ロシアが新兵器配備を含むクリール諸島(北方領土と千島列島の露側呼称)の開発を進めていることを日本側が理解することが必要だと主張した。
  その上で「つらい思いをしたサムライは日本の伝統的なやり方で命を絶つのがよい。切腹するのだ」などとも言い放った。


2023.11.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231123-GGLDL7ZXMZB5RGZWVWPOFVX5XY/?outputType=theme_weekly-fuji
プーチン大統領「アイヌはロシアの先住民族」 開拓の歴史を抹殺しているのは日本人
中村恵子

  江戸幕府は、ロシアの脅威に応じて、蝦夷地(現北海道)や樺太、千島を、松前藩統治と幕府直轄統治で、わが領土として防衛、交渉してきた同時に領土確定に必要な地図作製も幕府は怠っていない。
  1644年「正保日本御絵図」には、松前藩が自国領とした蝦夷地・樺太・千島が含まれていることをすでに説明したが、1790年には最上徳内が、1802年には近藤重蔵が、蝦夷地・樺太・千島のより実態に近い日本図を作製した。さらに、幕府の命を受けた北方探検家、間宮林蔵は樺太が島であると確認し、伊能忠敬の蝦夷地未測量地を再測量した。忠敬の21年の「大日本輿地全図」完成に寄与している。

  このように、江戸幕府が懸命に守ってきた蝦夷地・樺太・千島のうち、すでに樺太・千島が奪われ、残る蝦夷地も「アイヌのもの」を理由に奪われる恐れが指摘されている。
  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領2018年12月、モスクワで開かれた人権評議会で、アイヌを「ロシアの先住民族」に認定する考えを示したこれは日本の国会決議「アイヌ先住民族決議」を逆手にとった動きと見られ、警戒すべきだ
  ロシアは昨年2月、「ロシア系住民の保護」などを口実に、ウクライナに軍事侵攻した。プーチン発言は、ロシアの北海道侵攻に利用されかねない。ロシアのオンラインメディア「レグナム通信」は同年4月、セルゲイ・ミロノフ下院副議長の「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」との発言を報じている。
  今回の連載第1回で、私は北海道の歴史年表で、江戸時代の蝦夷地が「アイヌ時代」となっていることを指摘した。一部の教科書は「明治以後の開拓で、アイヌの文化、言葉を奪い差別してきた」という趣旨を広めている。

  北海道開拓記念館は、道立アイヌ民族文化研究センターと統合してアイヌ史観北海道博物館に変更されている。そして今、開拓百年を記念し道民の浄財で建てた北海道百年記念塔も解体された。
  いずれも、高橋はるみ前知事(現自民党参院議員)時代に方針が出された反対する道民の声に耳を傾けることなく、北海道知事、道庁、道議会自らが開拓の歴史を抹殺しようとしている
  これでは、ロシアが「差別されているロシアの先住民族アイヌを救う」と北海道を侵略してきても、反論すらできない。恐ろしい事態が進行している。
  私は「江戸幕府の北方防衛」の事実を、国民共有の知識にしなければならないと強く感じている北海道の歴史年表や教科書、副読本の間違いを修正し、北海道を奪取しようとする勢力の撃退の実現が急がれるのである
=おわり

中村 恵子(なかむら・けいこ)
  札幌市生まれ。北海道大学大学院法学研究科修了。医療法人を経営する傍ら、長年にわたり一般社団法人、廃棄物資源循環学会(現在フェロー、元理事)に所属し、ライフワークである循環型社会構築のための執筆や講演、研究活動を行ってきた。1995年度リサイクル推進功労者等表彰通産大臣賞。一方、北海道の開拓と歴史を調査し、先人たちの名誉を守り、自虐史観から脱却した「北海道の開拓、歴史の事実」を伝える活動を続けている。著書に、第5回アパ日本再興大賞優秀賞を受賞した『江戸幕府の北方防衛』(ハート出版)、編著に『これでいいのかごみ行政』(横山出版)、『災害廃棄物分別・処理実務マニュアル』分担執筆(ぎょうせい)など。論文も「ごみ処理有料化の実態及び市民意識」(92年、廃棄物学会誌)など多数。


2023.08,.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230803-MBVN3Z5KJ5IGFG5HPOXEU4ZKVM/
貝殻島灯台にロシア国旗か 北方領土、根室海保が発見

  根室海上保安部(北海道根室市)は3日、北方領土・歯舞群島の貝殻島にある灯台の最上部に、ロシア国旗のようなものが掲げられているのを確認したと明らかにした。1日に「何かなびいているものがある」との通報があり、翌2日に巡視船が発見した。

  根室海保によると、大きさは縦90センチほどとみられる。海上保安庁を通じて関係省庁に情報を伝えた。今後も通常通りの警戒監視を続ける。
  貝殻島は根室市の納沙布岬から3・7キロ沖合にある。


2023..07.29-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230729-FNEBF6PNMJI5LJRBT2TEZPUN7M/
国後島「ムネオハウス」を露側が営利転用、宿泊・飲食施設に ウクライナ侵攻後

  ロシアが実効支配する北方領土・国後島で日本人のビザなし交流訪問団の宿泊先だった日本寄贈の「友好の家」(通称ムネオハウス)が、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後に改装され、一般向け宿泊・飲食施設に営利転用されたことが29日分かった。現在は夏季休暇のロシア人らが利用している。

  日本は侵攻後に米欧に同調し対露制裁を科し、反発したロシアは北方領土問題を含む平和条約交渉を中断。北方四島の元島民とロシア人島民らによるビザなし交流の合意も破棄した。
  「友好の家」は日本政府の資金で建設され、1999年にロシア側に引き渡された。ロシア人島民向けの日本語教育も行われた。日本からの訪問者がいない時期には日ロ交流と関係のないロシア人が宿泊することもあったが、侵攻後に改装され、宿泊・飲食施設として営業を本格化させた。
  教室として使われた部屋にはテレビやビールサーバーが設置され、食堂兼スポーツバーに転用。入り口には日本の寄贈を示す記念板が残る。(共同)


2023.07.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230701-FYQT2NEZAVIH3D42DPWSD33KGQ/
風を読む-北方領土から露が逃げ出す日 論説委員長・榊原智

  ロシアとウクライナで昨年来進行する事態が何を意味するのか。俯瞰(ふかん)すれば、「強い軍」が支えてきたロシアの衰退が加速している、ということか。
  日本は隣国で、世界最大の領土を持つロシアの崩壊、分裂に念のため備えなければならなくなった。超大国ソ連倒壊の例もある。ロシア民族の人口減少が進み、陸上兵力の縮小は確実な未来だ。ロシアにとってウクライナ侵略は、大規模な対外侵攻の最後の機会なのかもしれない。

  非道な侵略の報いとしてロシアは、経済成長や軍事力強化に不可欠な「科学技術の革新」を重ねてきた日米欧の自由主義圏から、切り離された。自給自足型の経済運営を強行しても、強力な軍を長期的に保持したり、経済成長を続けたりすることは無理である。もともと国力の源は石油や天然ガスなど鉱物資源の輸出であって、先進工業国ではない。
  民間軍事会社「ワグネル」の反乱で分かったことは、戦車や対空火器を持つ少数の陸上部隊の進軍を前に、首都モスクワの防衛に不安があったという点だ。首都でこれなら辺境はがら空きなのではないのか。
  陸軍の訓練された将兵をウクライナですり潰し、泥縄式で集めた新兵を投入した結果がこれだ。プーチン政権は核戦力を誇示して自国防衛を図るしかないが、治安や秩序、モスクワ所在の政権の正統性まで核兵器で確立することは難しい。
  ロシアがシベリア征服を終えたのは日本の江戸時代である。今後は、国力の低下と混乱で人口約700万人の極東ロシア地域を保てなくなるかもしれない。国境線の南には巨大な人口を擁する中国が控えている。

  6月8日付の本紙正論「ロシアの極東地域を狙う中国」で楊海英静岡大教授は、中国政府が今年2月、ウラジオストク、サハリンなど極東ロシアの8地名について、清朝期の名称を中国名として地図上で併記するよう義務付けたと明らかにした。権利もないのに「失地」回復を図ろうという底意が感じられる。
  ロシアが大混乱に陥り、沿海州はもとより樺太(サハリン)や千島列島、北方領土まで中国が占拠する事態となる恐れはないのか。日本政府はシミュレーションを重ね、万一の際にとるべき行動への備えと理論固めをしておいた方がいい。北方の防衛力をおろそかにしてはいけないのはもちろんである。



2022.10.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221008-QTZ3D3C5GBIYLINDJEW6TLHQYY/
ゼレンスキー氏「北方領土は日本」 露軍、司令官交代相次ぐ

  ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は7日、交流サイト(SNS)に投稿したビデオ声明で、「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と述べ、対応する政令に署名したと明らかにした。ゼレンスキー氏はウクライナを支援する日本との連携を確認し、ロシアへの共同対処を呼び掛けた形だ。

  一方、露国防省は、東部軍管区の司令官を交代させた。露南部ダゲスタン共和国のメリコフ首長が7日、SNSで明らかにした。3日には西部軍管区の司令官交代も露メディアが報じていた。ウクライナで露軍の劣勢が目立つ中、露国内では最近、右派勢力を中心に軍上層部への不満が強まりつつあり、政権側は司令官を更迭して不満の矛先をそらす思惑だとみられる。
  7日のビデオ声明でゼレンスキー氏は「ロシアは、わが国と国民、国際的な法秩序に対するこの戦争を通じ、自分自身を一つの条件下に置いている。それは、ロシアがかつて奪取して支配している全てのものが真に解放されるということだ」と指摘。「侵略者の手には何も残らない。われわれのパートナー国にも正義が回復されることを確信している」と述べた。

  戦況を巡り、ウクライナのティモシェンコ大統領府副長官は7日、ロシアが併合を宣言したヘルソン州など南部で2400平方キロメートルの領土を露軍から解放したと発表ウクライナ東部軍の高官も同日、ロシアが併合を宣言した東部ルガンスク州で新たに集落1カ所を奪還したと発表した。ウクライナメディアが伝えた。
  ゼレンスキー氏は同日のビデオ声明で「われわれは間違いなく、以前にロシアに占領された領土に到達する」と述べ、反攻作戦を進展させる意思を示した。


2022.09.06-NHK NEWS WEB -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220906/k10013805111000.html
北方四島 ビザなし交流 ロシアが“協定破棄” 一方的に発表

  ロシア政府は、北方領土の元島民らによる、いわゆる「ビザなし交流」などの日本との合意を破棄したと、一方的に発表しました。ウクライナへの軍事侵攻を受けて、日本政府が制裁を科してきたことに反発した形です。

  ロシア政府は5日、北方領土の元島民らによる「ビザなし交流」や、元島民が故郷の集落などを訪問する「自由訪問」など、これまでに日本との間で結ばれた合意を破棄したと、一方的に発表しました。そのうえでロシア外務省に対して、この決定を日本政府に通知するよう指示したとしています。
  「ビザなし交流」などの交流事業をめぐっては、ことし3月、ロシア外務省がウクライナへの軍事侵攻を受けて、日本政府が制裁を科したことに反発して、停止する意向を明らかにしていました。
  その際に、北方領土問題を含む平和条約交渉を中断する意向を表明していて「すべての責任は、反ロシア的な行動をとる日本側にある」と一方的に非難していました。「ビザなし交流」は日本人と北方四島に住むロシア人がビザの発給を受けずに、相互に訪問する枠組みです。

  先月亡くなった旧ソビエトの最後の指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏が1991年(平成3年)4月に初来日した際に署名した「日ソ共同声明」の中で、北方四島の名前が具体的に書かれ、ソビエト側が領土画定の問題の存在を初めて文書で認めました。
  そして、ソビエト側から日本人と四島住民との交流を拡大するため「ビザなし」の枠組みが提案され、その後同じ年の10月に日ソ外相の間で往復書簡が交わされる形で合意されました。

  そして、今から30年前の1992年(平成4年)4月にロシア人訪問団の第1回目の受け入れがあり、翌5月には日本人の元島民らの第1回目の北方領土訪問が実現しました。
  その後、1999年(平成11年)からは元島民が故郷の集落などを訪問する「自由訪問」という枠組みも作られ「ビザなし交流」と合わせてこれまでに双方およそ3万人が参加しました。北方領土問題の解決に向けて、民間レベルでも草の根の交流を行い相互理解を深めてきました。

  日本人が北方領土を訪れる際には、船が使われていましたが、元島民の高齢化を考慮して、2017年(平成29年)4月にモスクワで行われた日ロ首脳会談では人道的な観点から航空機を利用した北方領土への墓参が合意され、元島民や政府関係者らがチャーター機で墓参に訪れました。

  しかし、北方四島との交流事業は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でおととし以降中止されていて、さらに、ことし3月にはウクライナへの軍事侵攻に対する日本の制裁措置に反発したロシアが、平和条約交渉を中断し、ビザなし交流などの交流事業も停止すると一方的に発表していました。
岸田首相「極めて不当で断じて受け入れられない」
  岸田総理大臣は、記者団に対し「極めて不当で断じて受け入れられない。ロシアに対し、こうした考え方を伝達した上で、改めて強く抗議した」と述べました。
  そのうえで「政府として、高齢になった元島民の思いに何とか応えたいとの考え方に変わりはないが、現状の日ロ関係のもとで北方四島の交流事業などを行う状況にはなく、こうした対応をとらざるを得ないことについては理解を賜りたい。今後のウクライナ情勢やロシアの対応をしっかり注視していきたい」と述べました。
松野官房長官「ロシア側に改めて強く抗議」
  松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「極めて不当なもので断じて受け入れられない。現在までのところロシア側からの通知はないが、きょう、ロシア側に対し、改めて強く抗議した」と述べました。
  そのうえで「日ロ関係の現状は、すべてロシア側に責任があるが、北方四島の交流事業などを行う状況にはない。もちろん、高齢になった元島民の方々の思いに何とか応えたいという考えに変わりないが、このような対応を取らざるをえないことについて、ご理解を賜りたい」と述べました。
林外相「極めて不当 改めて強く抗議」
  林外務大臣は閣議のあとの記者会見で「極めて不当であり、断じて受け入れられない。現在までのところロシア側からの通知はないが、きょう外務省の欧州局参事官から、在京ロシア大使館の次席に対してこうした考えを伝え、改めて強く抗議した」と述べました。
根室 石垣市長「非常につらい」
  北海道根室市の石垣雅敏市長は6日午後、NHKの取材に対し、「北方領土との交流拠点としての役割を果たしてきた私たちにとって許せないことだ」と述べ、非難しました。
  そして、「ビザなし交流は元島民や四島の隣接地域にとって北方領土を感じるための大きなウエイトを占めている。それが閉ざされるというのは非常につらい」と述べました。
  そのうえで、「30年の交流の積み重ねは閉じようと思っても閉じきれないと信じている。元島民が最も多く暮らす根室市の役割は大きいと思っているので、これからも返還運動をしっかり続けたい」と話していました。
北方領土元島民からは落胆の声
  歯舞群島の多楽島出身で、元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の河田弘登志副理事長(87)は「今まで積み重ねてきた努力が水の泡になってしまったようで、がく然としている。これまでお互いに話し合いながらやってきたが、今回は一方的な発表で、考えられないことだ」と落胆した表情で話していました。
  そのうえで「できれば元に戻してもらって、全ての交流事業ができるようになってほしい。こうした状況だからこそ、北方領土の返還が国民1人1人の問題だということを皆さんに理解してもらいたい」と話していました。


2022.03.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220308-5PLZI7PX4BPO3NQUEIJIDB4RZI/
林外相、北方領土は「不法占拠」 ロシア侵攻で復活

  林芳正外相は8日の記者会見で「ロシアによる北方領土の占拠法的根拠のない占拠という認識だ。法的根拠を何ら有していないという意味で不法なものだ」と述べた。政府はこれまでロシア政府との領土交渉を進めるため不法占拠」という表現を控えていたが、ウクライナ侵攻で姿勢を転換した。

  岸田文雄首相は7日の参院予算委員会で、北方領土について「不法占拠」と同様に使用を控えていた「固有の領土」という表現を用いている。林氏は8日の記者会見で「平和条約交渉の展望について申し上げる状況にないことも踏まえわが国固有の領土と申し上げている」と説明した。
  「不法占拠」をめぐっては、平成31年2月に政府や関係団体などが開いた「北方領土返還要求全国大会」で採択した「アピール」で、例年盛り込まれていた「不法な占拠」という表現が抜け落ちた。昨年から「法的根拠のないまま占拠され続けている」と表現していたが、「不法」という言葉は使っていなかった。


2022.02.07-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0a26d904442614533271f6a3a3617929352a4acd
令和4年北方領土返還要求全国大会アピール全文

  本日、令和4年「北方領土の日」を迎え、わが国固有の領士である択捉島、国後島、色丹島および歯舞群島、すなわち北方四島の返還実現を目指し、ここに「令和4年北方領土返還要求全国大会」を開催いたしました。

  本大会では、会場参加とオンライン配信を併用し、北方四島の返還実現に寄せる私たちの思いを再確認した上で、国内外に向けて幅広く訴えることができました。
  北方四島がロシアによって法的根拠のないまま76年にわたって占拠され続けていることは、決して許されない問題です。
  北方四島を故郷とする元島民の方々は「故郷に戻る」との願いをかなえられぬまま、毎年多くの方々が亡くなられています。これ以上問題解決を長引かせるわけにはいきません。
  こうした厳しい現状の中で開催した本大会では、元島民の「故郷に戻りたい」訴えと、返還要求運動の現場から「四島返還を求める」声を発信しました。 私たちは、「北方領土の日」制定の基本である北方領土問題を解決し、日露両国間の平和条約の締結によって、両国間に真の平和と友好が構築されるよう、日露交渉の加速を求めます。
  本大会では、北方領土問題の解決に向けて、政・官・民が一体となった、まさに国民運動として、これまで以上にそれぞれが自らの役割を果たし、北方領土返還要求運動に取り組むとの意思統一が確認されました。
  私たちは、北方四島の返還実現を目指し、次のとおり決意を表明いたします。

  記 一、私たちは、北方四島の返還実現を目指し、情報化時代に合わせ、あらゆる方法で北方領土問題を発信してまいります。
    一、私たちは、地域・職場・学校・家庭などのあらゆる場で全国の仲間と手を携え、返還実現を目指し、広範な国民運動に取り組みます。
    一、私たちは、署名活動をより一層推進します。
     一、私たちは、あらゆる機会を生かし、北方四島の返還こそがわが国とロシアとの真の友好と信頼関係を築き、ひいては世界の平和に寄与するものであることを訴えます。
     一、私たちは、北方四島に今も残る日本の建物や遺構について、さらなる発見と保存に取り組みます。
     一、私たちは、北方四島相互訪問 (「ビザなし交流」等)の再開を強く求めます。


2022.02.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220204-BIJVOAFFJ5NDVMOAX4AUUDL2MM/
〈独自〉ロシアが「北方領土の日」に四島周辺でミサイル訓練 新たに通告

  ロシアが、不法占拠する北方四島周辺を含む広大な海域ミサイル発射訓練を行うと新たに通告したことが4日、日本政府関係者への取材で分かった。日本の「北方領土の日の7日から開始するとしており、日本政府は外交ルートで強く抗議した。

  ロシアは既に、8日から国後(くなしり)(くなしり)島周辺で射撃訓練を行うと通告しており、日本側は外交ルートで抗議していた。度重なる抗議にもかかわらず、軍事活動を強行し、実効支配を強調した形だ。
  日本政府関係者によるとロシアは北方領土周辺を含め、北海道の東方や宗谷海峡などの広大な海域を指定し、7日から2月のほぼ全ての日でミサイル発射を行うと通告。日本政府は外交ルートを通じ「ロシアの北方領土での軍備強化につながるもので受け入れられない」などと抗議した。
  7日は北方領土の日で、政府や関係団体は一日も早い領土返還に向け東京都内で「北方領土返還要求全国大会」を開催する予定だ。


2022.01.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220113-RQFPCB4FFRN27DGLJF3ANXQJM4/
〈独自〉露が北方領土で演習通告 軍事活動活発化

  ロシアが、不法占拠する北方領土国後(くなしり)島周辺で射撃訓練を実施すると通告してきたことが13日、政府関係者への取材で分かった。政府は外交ルートを通じて抗議した。年明け以降に北方領土周辺で地対空ミサイルの発射や大規模な射撃演習を行っており、軍事活動が活発化している。政府は実効支配を強める動きとみて警戒している。

  政府関係者によると、露側は11日以降、国後島周辺で月末まで断続的に射撃訓練を行うと通告してきた。政府は、外交ルートで「ロシアの北方領土での軍備強化につながるもので、受け入れられない」などと強く抗議した。
  北方領土をめぐっては、露軍の極東地域を管轄する東部軍管区が8日、露側が「クリール諸島」と呼ぶ北方領土と千島列島で高性能地対空ミサイル演習を実施したと発表した。敵機が侵入する事態を想定し電子プログラム上で追跡して撃墜する訓練だったとしているが詳細な地域は示さなかった。2020年にミサイルを配備した択捉(えとろふ)島や国後島だった可能性がある。
  一方、10日にもクリール諸島やサハリン島で1千人超の将兵が参加する大規模演習を行ったと発表。この際も具体的な場所は示さなかったが、多数の装備を使う射撃訓練だと説明した。
  政府関係者らによると、露側が通告してきた射撃訓練は、10日の大規模演習とは別とみられる。
  露は昨年も、国後島や隣接する択捉(えとろふ)島周辺で軍事訓練を相次いで通告した。2月と6月には先進的戦闘を想定した大規模演習を行った。また12月には、情報収集機と、露のものとみられる航空機がオホーツク海経由で日本海と太平洋を往復し、一部が北方領土上空を通過するなど特異な長距離飛行を行ったことが確認されていた。



2021.12.16-SakeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/article/20211216-T5KHQZRGK5MAHMGDQXLA7J5WRI/
<独自>露が北方領土周辺で軍事演習、日本は抗議

  ロシアが不法占拠する北方領土の国後島周辺で、同国が16日から射撃訓練を実施すると通告してきたことが、日本政府関係者への取材で分かった。ロシアは北方領土で大規模な軍事演習を実施、各島で局地的な訓練も常態化させおり、日本政府は実効支配を強める動きとして警戒している。

  政府関係者によると、ロシアは16日以降、国後島で射撃訓練を行うと通告してきた。日本政府は外交ルートを通じて「ロシアの北方領土での軍備強化につながるもので、わが国の立場と相いれず、受け入れられない」と抗議した。
  15日にはロシアの情報収集機とロシアのものとみられる航空機が、オホーツク海経由で日本海と太平洋を往復し、一部が北方領土上空を通過するなど長距離を飛行した。航空自衛隊の戦闘機は緊急発進(スクランブル)して対応した。ロシアが同じ日に多発的に日本周辺を飛行するのは特異な行動で、防衛省は警戒している。

  ロシアは今年、国後島や隣接する択捉島の周辺で軍事訓練を相次いで通告してきた。両島には地対空ミサイルシステムを実戦配備している。北方領土では2月と6月、先進的な戦闘を想定した大規模演習も行ったとされ、軍備強化が懸念されている。
  一方、プーチン大統領は9月、北方領土での経済特区創設を表明した。韓国政府に投資を呼びかけるなど経済活動も活発化させている。日露間では北方四島での共同経済活動が議論されてきた経緯があり、日本側は露主導の第三国も含めた開発や投資呼び込みは容認できないとする立場だ


2021.09.24-Rakuten Infoseek News-https://news.infoseek.co.jp/article/kyodo_kd-newspack-2021092401000099/
北方四島特区「容認せず」茂木氏 ロシア外相に伝達

  茂木敏充外相は米ニューヨークで23日昼(日本時間24日未明)、ロシアのラブロフ外相と会談した。日本側によると、ラブロフ氏は北方四島に各国の投資を誘致する特別区設置構想に言及。茂木氏は、ロシア法令を前提とする構想は容認できないとの日本の立場を改めて伝達した。特区構想はプーチン大統領が今月上旬に発表した。

  日ロ外相の対面による会談は約1年7カ月ぶり。茂木氏は、日ロが4島で実施を目指す共同経済活動に関し、日本の法的立場を害さず実施する必要があると伝えた両氏は停滞する北方領土問題を含む平和条約締結交渉や、2年連続中止となったビザなし交流事業なども議論した


2021.09.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210903-KTVJFGWNZFORPLUGTYEHYMIQDA/
露、北方領土全域で税優遇へ 実効支配を強化

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は3日、露極東ウラジオストクで開かれた露主催の国際会議「東方経済フォーラム」の全体会合で演説し、ロシアが不法占拠する北方領土全域に新たな税優遇措置を導入すると表明した。国内外から投資を呼び込んで北方領土の開発を促し、実効支配を強めることで、日本を牽制(けんせい)する狙いとみられる。

  日本は露主導の北方領土開発や第三国からの投資呼び込みは容認できないとする立場。今回の措置が、日露平和条約の締結交渉に悪影響を及ぼすのは確実だ。新たな措置は、クリール諸島(北方領土と千島列島)で活動する国内外の企業に所得税や固定資産税などを10年間免除する内容。露政府が具体化に向け作業中で、プーチン氏は導入時期には言及しなかった

  ロシアは2017年、北方領土・色丹(しこたん)島の一部を経済特区に指定。今回の措置は実質的に特区を北方領土全域に拡大するもので、プーチン氏は「前例がない。日本や近隣国の企業が利益を享受できる」と述べた。新措置導入案は今年7月、択捉(えとろふ)島を訪れたミシュスチン首相が明かしていた。
  プーチン氏は日露平和条約にも言及。平和条約が存在しないのは「ナンセンスだ」とした一方、「ロシアは対話を拒否したことはないが、日本側の状況が常に変化している」と述べた。
  東方経済フォーラムには安倍晋三前首相が16~19年に出席。プーチン氏と会談を重ねてきた。新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの開催となった今回、菅義偉首相は出席しなかった。


2021.08.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210825-WA5QEVEGE5JEPFZUDCCPDGLCOQ/
<独自>露、北方領土周辺でさらに演習実施 射撃訓練を通告

  ロシア政府が不法占拠する北方領土択捉島周辺で、26日から新たに射撃訓練を実施すると日本側に通告したことが25日、日露関係筋の話で分かった。ロシア側は北方領土で大規模な軍事演習を実施すると共に、各島周辺で局地的な訓練も常態化させている。日本政府は実効支配を強める動きとして警戒している。

  政府関係者によると、ロシアは26日から数日間、択捉島で射撃訓練を行うと通告。これを受け、日本政府は外交ルートを通じ「ロシアの北方領土における軍備強化につながるものでわが国の立場と相いれず、受け入れられない」とロシア側に抗議した。

  ロシアは先月、択捉島に隣接する国後島周辺で長期間の射撃訓練を行うと通告し、実施中とみられる。同月26日にはミシュスチン首相が択捉島を訪問するなど、北方領土の実効支配を強化する動きを見せている。
  ロシアは国後、択捉両島に地対空ミサイルシステムを実戦配備しているとされる。2月と6月には、北方領土で先進的な戦闘を想定した大規模演習を行ったと発表相次ぐ訓練に対し、日本側はそのつど抗議しているが、ロシア側は受け入れる姿勢を見せていない。


2021.08.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210808-JFJOC2QVZ5P3TILMAGATXSHCPQ/
露首相択捉上陸と「新提案」に臆測 観測気球か圧力か

  日露両国による北方四島の共同経済活動をめぐり、プーチン大統領が新たな提案に言及したことが臆測を呼んでいる。政府内には日本の出方を探る「観測気球」との受け止めがある一方、停滞する平和条約交渉に影響する可能性もある菅義偉首相はプーチン氏と対面の会談を行っておらず、9月2日からロシア極東ウラジオストクで開催される東方経済フォーラムで実現するかも焦点になる。

  ミシュスチン露首相が択捉(えとろふ)島に上陸した7月26日、加藤勝信官房長官は記者会見で上陸を非難しつつ「プーチン氏の発言は留意している」と述べた。プーチン氏は同月23日の国家安全保障会議で、北方領土をめぐりミシュスチン氏から投資促進の「良い提案」を受け取ったと発言した。そして択捉に上陸したミシュスチン氏は無関税特区の設置などを検討すると述べた。

  その意図について、菅首相に対露政策を助言する日本維新の会の鈴木宗男参院議員は、2016年に当時の安倍晋三首相とプーチン氏が合意した共同経済活動が「何も動いていない」として、「日本は本当にやる気があるのか、ロシア側は探っている」と指摘する。

  共同経済活動は観光や環境など複数の分野に及び、パイロット(試行)事業として観光ツアーなどが行われてきた。ただ、「双方の法的立場を損なわない形で実現するのは簡単ではない」(外務省幹部)うえ、新型コロナウイルスの感染拡大もあって、本格的な事業化は難航している。
  政府は「提案」の情報を収集しており、外務省の山田重夫外務審議官は今月2日、モルグロフ外務次官と協議した。中身次第では共同経済活動や平和条約交渉の障害となる可能性もあるが、詳細な説明はないという。政府筋は「観測気球ではないか。日本は真剣に共同経済活動に取り組んでおり、提案があるならその中で話せばいい」と強調する。
  安倍氏は交渉を前進させるため、国後(くなしり)、択捉両島の返還には触れない1956年の日ソ共同宣言を重視する姿勢を打ち出した。菅首相も路線を継承したが、目立った進展はない。

  東方経済フォーラムが対面形式になれば、菅首相がプーチン氏と初の直接会談を行う機会となる。ただ、衆院選や自民党総裁選を控えて政治情勢が不安定な上、国内のコロナ感染が深刻化する中での外遊は一定の成果も求められることになり、難しい判断を迫られそうだ。(田村龍彦)


2021.07.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210726-WNMS7XVKRRIG3AORWFJZON2HOU/
露首相が択捉島訪問 2年ぶり 北方領土の実効支配を誇示

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアのミシュスチン首相が26日、同国が実効支配する北方領土の択捉島を訪問した。ロシア通信が伝えた。ロシア政府は25日に、ミシュスチン氏が26~29日の日程で、北方領土含む極東地域を訪問すると発表していた。

  露首相の北方領土訪問は2019年8月のメドベージェフ前首相の択捉島訪問以来約2年ぶり他国への領土割譲を原則的に禁じる条項が新設された昨年の露憲法改正後では初。ロシアは近年、日本の抗議を無視する形で北方領土への軍備増強や経済投資を拡大しており、東京五輪期間中となる今回の訪問にも実効支配の強まりを誇示する思惑がうかがえる。

  ミシュスチン氏は択捉島で病院や水産加工場などを視察する予定。極東サハリン州やハバロフスク地方、シベリアのイルクーツク州なども訪れ、現地知事らと会談するほか、住宅や工場などを視察する。
  ミシュスチン氏の極東訪問をめぐっては、プーチン大統領が23日、露国家安全保障会議の席上で、「南クリール諸島(千島列島と北方領土の露側呼称)に特別な注意を向けてほしい」と述べ、北方領土訪問を実質的に指示していた。

  ロシアでは9月、大統領選に次いで重要とされる5年に1度の下院選が予定されている。極東は伝統的に反中央意識が強く、露メディアからは今回のミシュスチン氏の訪問について、「政権の極東重視姿勢をアピールするための選挙対策だ」との見方も出ている。







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