電力の問題-1


2023.12.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231223-GLEKJY4V3FBZPKGLF4472VQWXY/?outputType=theme_weekly-fuji
日本経済蝕む「再エネ」 世界は来年、幻想からの脱却に向かう 杉山大志

  洋上風力発電の入札をめぐり、東京地検特捜部は、自社が有利になるような国会質問をするように依頼した日本風力開発のA社長(当時)と、A氏側から約6000万円もの資金提供などを受けたB衆院議員=自民党を離党=を贈収賄罪で起訴した。この事件で、再エネにはとんでもない利権が絡んでいることが世に広く知られた。

  この利権が、国民経済を蝕(むしば)んでいる。再エネ賦課金は昨年、総額2・7兆円、一人当たり2万円に上った3人世帯であれば6万円という巨額である。そして、今年5月にはグリーントランスフォーメーション(GX)関連法が国会で成立した。これは今後10年の累積で150兆円の投資を促すとしているが、これはこれまでの再エネと同様、国民の負担による投資だ。
  150兆円といえば国民1人あたり120万円3人世帯であれば360万円だ。こんな大金を支払うことに国民がいつ同意したというのか。150兆円のうち20兆円は、今後のエネルギーへの賦課金で賄うとしていて、これは「ステルス増税」だ。
  その一方で、岸田文雄政権は、ガソリン、電気代などの光熱費への補助を続け、累積10兆円を超えて延長するとしている。「脱炭素」のためステルス増税し、負担軽減のため補助金を配る。チグハグである
  再エネが最も安いというのは大ウソで、欧州で太陽・風力が最も普及したドイツ、デンマークなどは最も電気代が高いいくら太陽・風力に投資しても、曇天や無風のときのための火力発電は無くせない。二重投資に過ぎないのだ
  米国では、共和党が、環境に優しい投資「ESG」について「左翼的価値の押し付けだ」として猛反発している。大手資産運用会社ブラックロックは、ESGを止めてしまった。下院に続き、2024年の大統領選では、大統領も共和党が奪還する勢いである。すると米国はパリ協定を脱退し、「脱炭素」も止める
  オランダなど、欧州では次々に右派が台頭している。24年にも国政選挙が相次ぐ予定だが、この勢いは止まらない。移民問題への不満が最大の原動力だが、不条理な「脱炭素」政策への反発もそれに次いで大きい。
24年、世界は「幻想」からの脱却に向かう
  24年、世界政治は再エネや脱炭素の幻想から醒め、大きく変わる。日本の岩盤保守層は「再エネの愚かさ」をよく理解するようになったが、「再エネ最優先」を掲げるリベラル自民党はそれを無視してきた。来たる「政界の大再編」の後、保守勢力が結集して、これを変えることができるだろうか

杉山大志すぎやま・たいし 
  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。1969年、北海道生まれ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員などのメンバーを務める。産経新聞「正論」欄執筆メンバー。著書・共著に『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『亡国のエコ』(ワニブックス)、『「脱炭素」が世界を救うの大嘘』(宝島社新書)など。


2023.08.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230818-WSHZMRGDF5P27CZWZJP7YDYTJQ/
世界初「電気運搬船」開発 地方で余る再エネ、都会へ

  東京都の新興企業「パワーエックス」が、完成すれば世界初となる「電気運搬船」の開発に取り組んでいる。地方では太陽光や風力など再生可能エネルギー由来の電気が余ることが多く、船に搭載する蓄電池にためて、都会向けに輸送する計画だ。政府は4月に閣議決定した海洋基本計画で支援を検討すると明記し、大手商社や電力会社も出資などを通して後押ししている。

  再エネの拡大が進む北海道や東北、九州などを中心に、電力会社が電気の過剰供給を避けるため事業者に一時的な発電停止を指示する「出力制御」が急増している。電気運搬船が実用化できれば、再エネの有効活用につながると期待される。


2023.04.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230428-ZUME6W3MKZIJNC7R3EM7ZR4JDU/
追加納税分「補塡」と矛盾 関電の社内文書、検審の判断に影響か
(西山瑞穂、桑村大)

  関西電力旧経営陣による補塡(ほてん)問題を巡り、金品受領に伴う追加納税分が「上乗せされた」とする元副社長の報酬額が、追加納税前から決まっていたことを示す関電の社内文書があったことが28日、関係者への取材で分かった。この日公表された検察審査会(検審)の議決は、前回の議決から一転して会社法違反(特別背任)罪などは問えないと判断したが、この文書が影響した可能性がある。

  元副社長はF氏(69)。令和元年6月に副社長を退任し、「エグゼクティブ・フェロー(EF)」に就任。報酬は月額490万円だった。補塡問題を調査した関電のコンプライアンス委員会は、当時会長だったA氏(73)の指示を受けて総務室が平成31年4月以降に作成した文書を基に、490万円のうち120万円は上乗せで、90万円が東日本大震災後に減額された役員報酬の補塡、30万円が金品受領に伴う追加納税の補塡-と認定した。
  昨年7月の1回目の検審の議決は、この認定に沿う形で「報酬に補塡の趣旨が含まれていたことは明らか」と断じ、A氏ら3人の起訴を求めた。しかし、関係者によると、報酬の決定経緯には、コンプラ委が報告書で言及していなかった前段階があった。
  金沢国税局が金品受領問題で関電の調査を始めたのは30年2月だが、それ以前の29年1月頃からF氏の退任に向けた議論が社内で行われ、同年9月頃には、退任後に原子力利用の業界団体で要職を任せ、EFとして副社長(月額約500万円)並みの報酬を支払う方針が決定。議論の経過は文書として残された。
  この方針は同年11月頃、A氏からF氏本人にも伝えられた。F氏の手帳にこの内容が記載されていたことがすでに判明しているが、それを裏付ける社内文書もあったという。
  新たに判明した経緯を踏まえると、追加納税の約1年前にすでに報酬額の方針が決まっていたといえ、追加納税分が「上乗せされた」というコンプラ委の認定と〝矛盾〟が生じる可能性が高まった。関電は取材に対し、この文書の存否について「訴訟に関する事項のため、回答は差し控える」としている。
  起訴議決を見送ったこの日の検審の議決書は、「検察官による再捜査の結果、(EFを)委嘱する方針が決定された時期は追加納税の問題が生じる以前で、当初から副社長級の報酬で処遇することが予定されていた」と判断し、特別背任罪に該当しないとした。判断の具体的な根拠は明らかにしていないが、新たに存在が判明した社内文書が一因になったもようだ。
  また検審は、東日本大震災後に減額されたF氏を含む18人の役員報酬の補塡問題についても判断を一転。1回目の議決では、「報酬に見合うだけの業務はなく、関電に損害が生じたことは明白」と指摘したものの、2回目では大阪地検特捜部の再捜査を踏まえ、「業務の実態がなかったとはいえず、(関電の)財産上の損害は発生していない」と判断した。
  補塡問題を巡る刑事責任追及の手続きは終了したものの、金品受領を含めた一連の問題で、よりハードルが低い民事責任が認められる可能性はある。
  関電は旧経営陣に19億円あまりの損害賠償を求めた訴訟を大阪地裁に起こし、審理が進行中総務室が「上乗せ」文書を作成した意図など不明な点は残されており、検審が「説明責任は民事裁判の場で明らかに」と求めたように、真相解明や民事責任の有無が今後の焦点になる(西山瑞穂、桑村大)


2023.04.28-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230428/k10014052051000.html
関西電力 前会長ら3人 強制起訴に至らず 検察審査会

  関西電力の金品受領問題などで刑事告発され、検察が不起訴にしたA前会長ら3人について、2回目の審査を行っていた検察審査会は強制的に起訴すべきという議決に至らなかったと結論づけ、3人は刑事責任を問われないことになりました。

  関西電力の旧経営幹部らが原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取った問題などをめぐって刑事告発されたA前会長(73)、B元社長(69)、C元相談役(82)の3人について、大阪地検特捜部はおととし、不起訴にしました。
  これに対し、大阪第2検察審査会は去年、金品を受け取った役員が税務調査で修正申告した納税分を会社が補てんしたとされる問題などについて、「起訴すべき」と議決しました。その後、特捜部が改めて不起訴にしたため検察審査会は強制的に起訴すべきかどうかを決める2回目の審査を行い、28日にその結果を公表しました。
  この中で検察審査会は「真実を隠して説明責任を逃れようとする関西電力の隠蔽体質は許せない」と批判しつつも「説明責任は民事裁判の場で明らかにされるべきであり、刑事責任を問うことまでは困難だという結論に至った」として検察の不起訴の判断を追認しました。これにより今回の告発内容での強制的な起訴はなくなりました。
3人の弁護士「証拠関係に基づき適切な判断」
  A前会長ら3人の代理人の高田明夫弁護士は「証拠関係に基づいて適切な判断がなされた。証拠に基づかず、市民の感情のみに基づくような判断では、検察審査会の制度の存続が危ぶまれるおそれがあるが、今回の判断は、それを回避した妥当なものだと考えている」と話していました。
関西電力「コメント差し控える」
  関西電力は「旧経営陣らが刑事告発を受けたことについては、重く受け止めている。当社としては、立場上、これ以上のコメントは差し控えさせていただく」としています。
大阪地検「検察としてすでに不起訴の判断」
  大阪地方検察庁の北岡克哉次席検事は「検察としてすでに不起訴の判断をしているので、検察審査会において起訴議決に至らなかったことについてはコメントを差し控える」としています。
告発した市民らの弁護団「到底評価できない」
  今回の議決に対して告発した市民らの弁護団は「大変残念だ。市民の健全な良識に基づく結論であるとは到底評価できない」とする声明を発表しました。
  声明では「このような事件を検察庁が不起訴にし続けたことが関西電力を中心とする大手電力会社の闇カルテル問題などの不正を次々に発生させる背景になっているのではないか」とこれまでの検察庁の判断についても改めて批判しました。


2023.04.17-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f21b9d43d2528e1646b117a22b23b2a3e9fb1124
関電、わずか3年でまた改善命令 発送電分離 議論加速も-(牛島要平)

  関西電力が新電力の顧客情報を子会社の関西電力送配電のシステムを通じて不正に閲覧していたとして、経済産業省が両社に意識改革のための抜本策などを求める業務改善命令を出した。関電が経営陣の金品受領問題で令和2年に業務改善命令を受けてわずか約3年で再度の命令。今後の関電の姿勢次第では、発送電の完全分離に向けた議論が加速する可能性もある。

  関電は17日、命令を受け「再発防止にグループ一丸となって、全力を尽くしてまいります」とコメントを出した。 だが、同社が自浄作用を発揮できるのか、懐疑的な見方は根強い。そのことを示す動きが、発送電分離を巡る議論だ。
  関電は、電力自由化に伴う2年4月の発送電分離で、関西電力送配電を100%子会社とする「法的分離」の形に移行した。
   しかし、政府の規制改革推進会議の有識者作業部会は今年3月の提言で、不正閲覧問題を踏まえ、「(関電をはじめとする大手電力の)法的分離はまったく機能していなかった」と指摘。資本関係を解消して完全に別会社とする「所有権分離」を速やかに実現するよう促した。
  法的分離への移行にあたっては、送配電の中立性と公正な競争関係を維持するため情報管理などの規制が電気事業法で設けられた。 しかし実際には、関西送配電の本店は関電と同じビルに入り、制限はあるものの人事交流があるのが実情。結果的に規制が守られず、不正閲覧を招いた。
  提言に参加した法政大の高橋洋(ひろし)教授(エネルギー政策)は「法的分離のままにするにしても、社屋や社名、人事まで徹底して切り離すべきだ」と指摘する。
  所有権分離に対しては、「送配電会社を完全に別会社にすれば、電力会社から人員を簡単に送れなくなり、災害時の送電線などの復旧の人手が不足する」との不安が電力業界から上がる。
  経産省も作業部会で担当者が「所有権分離をすれば今回の事案が防げたということではない」と述べるなど慎重姿勢だ。
  原子力発電所の地元関係者からの金品受領問題を受け2年3月に同省が関電に出した業務改善命令と違い、今回の命令では、経営責任への言及がなかった。報酬減額などで「けじめ」を示した森望(のぞむ)社長の対応を是認した格好だ。
  また、関電は不正閲覧の再発防止策として研修や対話の強化などを打ち出している。 だが、こうした対応が不十分とみられたり同じ問題を繰り返したりすれば、所有権分離をはじめとする、さらなる改革を求める声が強まりそうだ。(牛島要平)


2023.02.23-TBS NEWS DIG.-https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/338714?display=1
成田空港に世界最大規模の太陽光発電設置へ ... - TBS NEWS DIG

  成田国際空港と東京ガスは、成田空港の脱炭素化に向けて、世界最大規模の太陽光発電の設置などをする新たな会社を設立したと発表しました。
  成田国際空港と東京ガスは20日の会見で、それぞれが50%を出資する新たな会社「グリーンエナジーフロンティア」を設立し、成田空港に供給する電気やガスなどの脱炭素化を進めると発表しました。

  今年4月から空港へのエネルギー供給を始め、2045年度までに滑走路付近の空き地や建物の屋根などに太陽光パネルを設置し、出力あわせて18万キロワット、一般家庭でおよそ7万世帯分にあたる電力を発電するということです。
  空港の敷地およそ1割を占め、空港の太陽光発電施設としては世界最大規模です。
  今後1000億円規模の投資をしていき、こうした太陽光発電の導入などで2050年の脱炭素化を目指すとしています。


2023.02.16-Yahoo!Japanニュース(ABCニュース)-https://news.yahoo.co.jp/articles/078924e24888240f5669829280a44874fde616ca
関西電力の社員が権限のないWEBサイトをまた不正閲覧

  関西電力の社員がまた、情報を不正に閲覧していたことが分かりました。

  今度は、経済産業省が管理・運営する「再エネ業務管理システム」への不正アクセスです。
  関電社員による不正閲覧が発覚したのは、再生可能エネルギーの発電事業者の個人情報や発電設備に関する情報が記されている、経産省が管理・運営するWEBサイト「再エネ業務管理システム」です。
  本来はアクセス権限のない関西電力の社員が、子会社の「関西電力送配電」に経産省から与えられたIDとパスワードを用いて不正にアクセスしていたということです。  社内調査によって発覚しました。
  不正閲覧の理由について関電は、FITと呼ばれる「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の交付金を受け取るための申請が国に認められなかった時に、その原因を確認するためなど、あくまで手続きを効率化する目的だったとしています。
  関電では1月にも、社員による新電力会社の顧客情報の不正閲覧が明らかになっていて、今後IDの入手方法や、不正にアクセスしていた社員の数について調査を進めるとしています。
ABCテレビ


2023.01.30-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230130-OYT1T50086/
関電の顧客情報不正閲覧4万件超、1000人関与…前回公表から大幅に拡大

  関西電力が競合他社の顧客情報を不正に閲覧した件数が、昨年4~12月中旬で家庭向け契約の4万件超に上っていたことが、わかった。1月13日公表の昨年9~12月分調査では1万4657件だったが、大幅に拡大した。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会は関電への立ち入り検査を踏まえ、実態解明とともに改善を求めていく方針だ。

  30日午後にも新たな件数を公表する。関係者によると、不正閲覧した関電社員らの人数は、前回公表の730人から1000人前後に増える見通しだ。記録が残る過去3年分を調査中で、不正件数はさらに膨らむ公算が大きい。
  電力業界は2016年の電力小売り全面自由化によって、新電力が相次ぎ参入した。一方、公益性の高い送配電事業は電力大手の子会社が担い続け、公平な競争を保つため、電気事業法は、送配電子会社が新電力の顧客情報を親会社と共有することを禁じている。
  かし、関電が今月13日公表した報告書によると、関電と子会社の関西電力送配電は、共有する業務用システムの不備で、関電の営業担当社員らが新電力の顧客情報を閲覧できる状態だった。昨秋以降で発覚した不正閲覧約1・5万件のうち842件は営業活動に利用され、12件は関電へ契約が切り替えられた。
  関電は業務用システムで、家庭の顧客だけでなく工場など大口の法人顧客の情報も管理していた。同社は、法人向け契約でも不正閲覧があった可能性があるとして、今後調査する方針だ。
  大手電力による送電子会社を通じた顧客情報の不正閲覧は、昨年12月に関電で発覚して以降、東北、中部、中国、四国、九州の5電力でも判明した。電力大手の法令順守や情報管理のずさんさが改めて浮き彫りになっている。


2023.01.13-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/cb30f90c4d7e7859d30eca9f1e8bbd22babac365
関電社員ら730人が不正閲覧に関与 情報の一部を営業に利用-【井口彩】

   関西電力の社員らが子会社「関西電力送配電」のシステムにアクセスし、関電以外の新電力と契約している一般家庭の顧客情報を不正に閲覧していた問題で、両社は13日、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会に調査報告書を提出した。

閲覧した情報の一部を営業活動に利用していた
  他社の顧客情報の閲覧は電気事業法に抵触する可能性がある。記者会見した関電の松村幹雄副社長は「規制に関する理解やコンプライアンス(法令順守)意識の徹底が不十分だった」と陳謝。社内のコンプライアンス委員会でさらに調査を継続し、関係者の処分を検討するという。  
  関電などによると、関西電力送配電が2016年の電力小売りの全面自由化後に実施したシステム改修に不備があり、情報の遮断が不十分だった。  不正閲覧は22年末に発覚。関電が今回、22年9月12日からの3カ月間に絞って調査したところ、関電社員243人と委託先の社員487人の計730人が、計1万4657件分の顧客情報を閲覧していた。  
  大半は事務手続きなどに使っていたが、一部は情報を営業活動に利用。ガスを利用している家庭にオール電化を勧め、契約を取った事例もあった。閲覧した社員のうち4割超はこの行為が電気事業法に抵触しかねないと認識していた。  
  調査では22年9月以前にも顧客情報を不正に閲覧した社員がいたことも明らかになっており、不正閲覧が常態化していた可能性もある。【井口彩】



2022.11.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221126/k10013903881000.html
電力カルテル 大手電力会社に課徴金命令へ 過去最高額の見通し

  事業者向けの電力の販売をめぐり中部電力、中国電力、九州電力などがカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が総額で少なくとも数百億円の課徴金を命じる方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。課徴金としては、過去最高額になる見通しです。

  公正取引委員会は、「中部電力」や「関西電力」「中国電力」「九州電力」などがオフィスビルや工場といった事業者向けの電力について、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう申し合わせるなど、カルテルを結んでいた疑いがあるとして、去年4月から7月にかけて立ち入り検査に入り、調べを進めていました。
  関係者によりますと、こうした申し合わせは会社間で協議のうえ、2018年ごろから行われていたとみられ、競争を不当に制限する独占禁止法違反に当たると判断したということです。
  そして、再発防止を求める「排除措置命令」とともに、中部電力、中国電力、九州電力などに総額で少なくとも数百億円の課徴金の納付を命じる方針を固めたということです。課徴金としては過去最高額になる見通しです。
  電力の小売り市場は、2016年に全面自由化されたことで各地の大手電力会社がほぼ独占する構図が変わり、異業種からの新規参入も相次いで競争が激しくなっていました。


2022.09.-ZAITEN-https://www.zaiten.co.jp/article/2022/08/post-547.html
上海電力を日本に招き入れた「日立製作所」の原罪

  「武家の商法」の大阪現代版とも言えるのが大阪・咲洲である。ここに地上55階、高さ256㍍を誇る超高層ビルが聳える。その名を「大阪ワールドトレードセンタービル」(WTCビル)という。 大阪市港湾局が中心となって1995年に完成したWTCビルは、開業当初から入居者が想定を大幅に下回った。大阪市中心部から離れ、案の定というべきか、運営会社の第三セクターは赤字経営を続け、ついに2009年、会社更生法の適用を受けて事実上倒産。08年から「大阪府庁舎を移転させるべき」としていたのが、当時の大阪府知事、橋下徹である。

  だが、府庁移転案は否決されたものの、10年には大阪府に所有権が移転17年に「さきしまコスモタワーホテル」が入居したが、賃料数億円を滞納し、大阪府から契約解除される始末。もはやここは「呪われた地」とも言える。
日本各地でトラブル続き
  この建物からほど近い場所に中国・上海電力のメガソーラー事業が展開されている。当初は大阪市内の企業2社によるJVが実施事業者として発表された。そのJVが合同会社を設立、その合同会社の代表社員が変更される形で上海電力が参加した経緯の詳細は、本誌前号で詳報した通りだ。
  大阪での上海電力のメガソーラー事業は14年5月に稼働し、ほかにも兵庫県三田市、茨城県つくば市、栃木県那須烏山市、福島県西郷村などで続々と太陽光発電所建設計画を進めている。大阪案件はその第1号なのである。

  そもそも上海電力は、いかなる企業なのだろうか。
  上海電力の創業は古く、49年に中華人民共和国が建国された頃には、中国の電力の半分以上を同社が担っていたという。世界13カ国で太陽光、風力、火力、水力の発電事業を行っている。上海電力の親会社は「国家電力投資集団有限公司」で、従業員総数が1400万人に上る超巨大企業だ。ただ、原子力発電事業が主力というから、皮肉ではある中国国務院直属の上海電力だが、日本各地で行われた事業の現場を訪れると、評判は決して良いものではない


2022.05.28-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220528/k10013646931000.html
G7 “電力部門 大部分を2035年までに脱炭素化”

  ドイツで開かれていたG7=主要7か国の気候・エネルギー・環境相会合は2日間の協議を経て閉幕しました。焦点の1つ、電力部門をめぐっては大部分を2035年までに脱炭素化するという目標を共同声明に盛り込み、G7として温暖化対策を加速させることで一致しました。

  26日からドイツ・ベルリンで開かれていたG7の気候・エネルギー・環境相会合には日本からは経済産業省の細田副大臣や環境省の大岡副大臣などが参加しました。焦点の1つとなっていた電力部門を巡っては「2035年までに大部分を脱炭素化するという目標に最大限努力する」としています。
  また、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電を最終的に廃止するという目標に向けて必要な技術や政策を迅速に拡大していく」として石炭火力発電の廃止に触れました。ただ、廃止時期は示されませんでした。
  G7のうちすでに5つの国が2030年までに石炭火力を廃止する方針を表明していて、議長国のドイツは共同声明に各国の廃止時期を盛り込むよう求めていました。
  日本は、脱ロシアと脱炭素という課題を両立させるためには二酸化炭素の排出量を抑える新たな技術を用いて石炭火力を活用していく方針で、こうした主張が一部取り入れられた形です。
「水素行動協定」を立ち上げ
  G7声明には、次世代のエネルギーとして注目される水素や、発電所の二酸化炭素の排出を抑えるアンモニアについても盛り込まれました。
  声明では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻がエネルギー価格の記録的な高騰やエネルギー安全保障に深刻なリスクを引き起こしているとして水素とアンモニアのグローバルな市場と供給網を強化するべきだとしています。
  具体的には、G7が「水素行動協定」という新たな枠組みを立ち上げ、生産や輸送、利用を進めるためのルールづくりや市場の強化に向けた資金面の支援を強力に進めていくなどとしています。
  一方、二酸化炭素を地中に埋めたり再利用したりするCCUSと呼ばれる技術についてもさらにコストを引き下げるためG7として資金提供に関わっていくとしています。


2022.05.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220506-XPIJMFNSW5L3NCTTKCDSVLXAEI/
大阪府が電力料金1億円過払い 返還求め関電に法的措置も

  大阪府は6日、府道の道路照明灯の電気料金について、関西電力に1億円余りを過払いしていたと発表した。府は関電が必要な手続きを怠ったことなどが原因としているが、関電は一部について否定している。府は関電などに返還を求めているが、現時点で約1700万円分しか合意に至っておらず残りの過払い分について合意が得られない場合は法的措置も検討する。

  府によると、過払いがあったのは、府が過去に管理していた道路照明灯の電気料金。既に撤去したり市や町に移管されたりしたのに、解約されないまま関電に料金を支払い続けていた。過払いは573件、総額1億238万8千円に上り、うち約2900万円分は返還請求の時効にあたる10年以上が過ぎたという。
  令和2年1月に照明灯が倒壊したため緊急点検を実施したところ、同年10月、現地に存在しない照明灯の電気使用契約が見つかり問題が発覚した。
  関電の広報担当者は「詳細を確認できていないが、そこまで多くのミスが起きるとは考えづらい。丁寧に対応していきたい」としている。


2022.03.21-Yahoo!Japanニュース(TBS NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/523fd40fe4123d4a62646746b713c70cf521487b
経産省「需給ひっ迫警報」初めて発令 あす気温低下・発電所復旧進まず 電力需給「非常に厳しい状況」節電呼びかけ

  東京電力は明日(22日)の電力需給について「非常に厳しい状況」だとして節電への協力を呼びかけ、経産省が「需給ひっ迫警報」を発令しました。
  東京電力では今月16日に発生した福島県沖を震源とする地震の影響で火力発電所の一部で運転停止が続いています。

  加えて、明日(22日)は関東地方の気温が下がることから暖房需要が増える可能性があり、ピークとなる午後4時から5時にかけては「97%」の使用率が予測されていて、電力需給のひっ迫度合としては最も深刻な「非常に厳しい」状況です

  このため、東電は家庭や職場などでは不要な照明を消して、暖房の設定温度を20度とするなど節電への協力を呼びかけました。
  また、経産省は先ほど、明日(22日)の東京電力管内の電力需給が非常に厳しい状況だとして「需給ひっ迫警報」を発令しました。
   他の電力会社から電力を支援してもらう「電力融通」を受けても、電力会社が、安定供給のために確保しておかなければならない電力使用の予備率「3%」を下回ることが予想されているためです。 経産省が電力の「需給ひっ迫警報」を出すのは初めてです。



2021.11.09-関西 NEWS WEB(NHK NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20211109/2000053620.html
関電旧経営幹部ら9人を不起訴 金品受領問題などで刑事告発

  関西電力の旧経営幹部らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題などで、特別背任などの疑いで刑事告発されていたA前会長やB前社長ら9人について、大阪地検特捜部は9日、いずれも不起訴にしました。

  関西電力のA前会長(72)やB前社長(68)ら旧経営幹部が、原子力発電所が立地する福井県高浜町のD 元助役から多額の金品を受け取った問題で、元助役の関連企業に工事費を水増しして発注し会社に損害を与えたなどとして、市民団体が特別背任や会社法の収賄などの疑いがあるとして刑事告発していました。
  大阪地検特捜部は、去年10月、旧経営幹部が業績悪化でカットした役員報酬を補てんしていた問題などもあわせて、A前会長やB前社長ら9人への告発を受理して捜査した結果、9日、いずれも不起訴にしました。
  関係者によりますと、元幹部の一部は、特捜部の任意の事情聴取に対し、金品は預かっていたものだったなどと説明し、刑事責任を否定していたということです。
  D元助役はおととし、問題が発覚した時点で、すでに亡くなっていて、特捜部は事情を直接聞くことができませんでした


2021.11.03-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/211103/cpd2111030336002-n1.htm
東電原発事故控訴審、旧経営陣が棄却求める

  東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社元会長、A被告(81)ら旧経営陣3被告の控訴審初公判が2日、東京高裁(細田啓介裁判長)で開かれた。検察官役の指定弁護士は、津波の予見可能性を否定した1審判決について「重大な誤りがある」と主張し、第1原発の現場検証などの証拠調べを請求。3被告側は控訴棄却を求めた。来年2月9日の次回公判で、高裁が証拠の採否を決定する見通し。

  最大の争点は1審同様、大津波の襲来を3被告が具体的に予見できたかどうか。令和元年9月の1審東京地裁判決は「原発を停止する義務を課すほどの津波の予見可能性はなかったと認定、全員に無罪(求刑禁錮5年)を言い渡した

  この日の公判には、いずれも元副社長のB被告(75)とC被告(71)が出廷。A被告は、体調不良を理由に姿を見せなかった。
  起訴状によると、3被告は巨大津波が発生し、原発事故が起きる恐れがあるとの報告を受けながら対策を怠り、平成23年3月の事故で、双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら計44人を死亡させたなどとしている。東京地検は2度にわたり不起訴処分としたが、市民で構成する検察審査会の判断に基づき28年2月に強制起訴された。

  閉廷後に会見した「福島原発刑事訴訟支援団」の海渡(かいど)雄一弁護士は「控訴審の最大のポイントは、裁判官が現地に行くかどうか。現地に行けば、津波対策の必要性が分かると思う」と強調した。


2021.04.23-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a7616c0d8687e191a5b672f0af72a699c5b122f2
関電前会長ら立件見送り 大阪地検が最終協議 報酬補塡・金品受領問題

  関西電力の歴代幹部による役員報酬の補塡(ほてん)や金品受領問題で、大阪地検特捜部は、会社法の特別背任などの疑いで告発されたA前会長(71)らの立件を見送る方向で調整に入った模様だ。関係者が明らかにした。いずれも関電に損害を与える不正の認識はなかったとされ、刑事責任を問うことは困難との見方を強めている。地検は今後、上級庁と最終協議して慎重に判断する。

  報酬補塡問題は2020年3月、関電の第三者委員会の調査で発覚。東日本大震災後の経営不振で電気料金値上げと役員報酬の減額を進める中、当時会長だったC氏(80)は15~16年、退任役員を嘱託として任用し、この報酬名目で過去のカット分を補う仕組みを主導して発案。社長だったA氏らとの協議を経て取締役会に諮らず決定し、C氏を含む元役員計18人に16年7月以降、計約2億6000万円が支払われた。

   関電を巡る一連の不祥事の中で悪質性が高い問題として、A、C両氏らは会社法の特別背任容疑で告発された。同容疑は、取締役らが自己や第三者の利益を図る目的で、職務に背いて会社に損害を与えることが成立要件になる。
   C氏らは地検の聴取に、嘱託報酬は元役員の経験や人脈を生かした業務に対する正当な対価だと主張しているとされる。業務は実態を伴っており、特捜部は役員報酬の補塡のみを目的とした仕組みとは言い切れず、関電への損害の立証も困難と判断している模様だ。  また、A氏ら83人が絡む金品受領問題の経緯も問われている。第三者委の報告書などによると、歴代幹部は30年以上にわたり、高浜原発のある福井県高浜町の元助役、D氏(19年死去)から現金やスーツの仕立券など総額約3億7000万円相当の金品を受領した。

   八木氏は岩根茂樹前社長(67)らとともに、森山氏の関連企業に不当な高値で原発関連工事を発注し、関電に損害を与えたとする特別背任容疑でも告発された。ただ、工事価格の設定に不適正な要素は見当たらず、八木氏らが発注に直接関わった証拠もないとされる。特捜部は森山氏の死去で金品提供の趣旨に関する供述を得られておらず、立件は難しい状況だという。
   一連の問題を受け、市民団体が公訴時効や関与の度合いを踏まえて八木、森両氏ら元役員9人に絞って告発。特捜部は20年10月に受理し、捜査を続けている。
   八木氏は10年、社長に就任。16年に森氏の後任として会長に就いたが、金品受領問題を受け、19年10月に辞任した。【山本康介、松本紫帆、榊原愛実】



2020.9.27-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50298240X20C19A9MM8000/
関電、金品受領を1年公表せず 「違法性なし」理由に

  関西電力の役員らが高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死去)から金品を受け取っていた問題で、関電は27日、大阪市内でB社長らが記者会見し、同社長ら20人が計3億2千万円相当を受領していたと発表した。金品提供は国税当局の税務調査で判明。同社は「違法性がないこと」などを理由に社内調査後の約1年間、公表していなかった

  金品の原資は原発関連工事を担う地元の建設会社からの資金だった可能性があり、原発マネーが関電側に還流した疑いがある。A会長とB社長を含め報酬返上の社内処分としたが、同社長自身の辞任は否定した。
  B社長は電気事業連合会の会長を務めており、原発を巡る不透明な資金の流れは、関電や他社の原発の再稼働などにも影響を与えかねない。
  金品を提供したのは高浜町の元助役、D氏で高浜原発の誘致にも携わった。A会長、B社長を含む関電の20人は2011~18年までお中元、お歳暮、社長就任祝いなどの名目で、現金のほか、背広、そうめんなどを受領したという。役員のほかに、同社OBや社員らも含まれる。
  会見でB社長は「一時的に保管していた。地元の有力者で、返却を拒まれたので関係悪化を恐れた」と説明。20人全員が儀礼の範囲を超える金品はすでに返却したという。
  国税当局による税務調査を受け、関電は18年7月から9月まで、弁護士らでつくる調査委員会で社内調査を実施。約3億2千万円を受領したとする調査報告書をまとめたが公表しなかったB社長は「工事の発注プロセスは適当だった。違法な行為ではなく、外部に公表する事案ではなかった」と釈明した。
  一方関電の月山将執行役員は27日、経済産業省を訪れ、資源エネルギー庁の担当者に経緯を説明。月山氏は「できるだけ早く、事実関係を含めて詳細に報告するよう指示を受けた」と話した。
  元助役から関電への金品提供を巡っては、税務当局は高浜原発や大飯原発(福井県おおい町)の関連工事を請け負う高浜町の建設会社を調査。工事受注に絡む手数料として元助役に約3億円の資金が流れていたことが確認された。さらに元助役が関電幹部ら6人に約1億8千万円の金品を提供していたことが判明した。
  関電によると、税務当局からは一部、所得税の対象に該当するものがあると指摘され、修正申告して納付を済ませた。


2020.8.26-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082600910&g=eco
関西電、社外取締役1人は提訴見送り 金品受領問題、注意義務違反に当たらず
   関西電力は26日、社外取締役の佐々木茂夫元大阪高検検事長について、損害賠償訴訟を提起しないと発表した。金品受領問題をめぐり、関電は当時監査役だった佐々木氏が問題を取締役会へ報告していなかったことから、個人株主から提訴請求を受けていた。社外の弁護士による調査の結果、同氏については注意義務違反に当たらないと判断した。


2020.7.21-JIJI COM
関電前会長ら却下求める 金品受領問題めぐる賠償訴訟
  関西電力の幹部による金品受領問題で、同社から損害賠償を求めて提訴されたA前会長ら旧経営陣5人が、関電側代理人の人選が不公正だとして、訴えを却下するよう大阪地裁に申し立てたことが21日、分かった。
  関係者によると、5人は旧経営陣の法的責任を認定した「取締役責任調査委員会」のメンバーだった弁護士が、訴訟で関電側の代理人を務めるのは不公正だと主張。調査委による事実認定が一方的とも訴えているという。
  関電は6月、調査委の報告書を基に、A氏やB前社長、C元会長ら5人が取締役としての注意義務を怠り、会社に損害を与えたとして、計19億3600万円の損害賠償を求める訴訟を起こしていた。第1回口頭弁論の期日は、まだ指定されていない。
 関電は「速やかに内容を確認し、対応について検討する」とコメントした。


2020.6.29-JIJI COM
関電社長選任、賛成59% 金品受領問題で過去最低―株主総会
  25日に開かれた関西電力の定時株主総会で、森本孝社長に対する取締役選任議案への賛成率が59.6%にとどまったことが29日、明らかになった。賛成率が開示されるようになった2010年以降、同社の取締役として過去最低。幹部らによる金品受領問題が影響した。
  問題の発覚前に行われた昨年の総会では、当時社長だったB氏に対する賛成は85.4%だった。
  関電は「株主総会で判断していただいた結果であり、重く受け止めている」としている。


2020.6.25-JIJI COM
関西電力、金品受領に非難相次ぐ 遠い信頼回復、抜本改革が急務
   関西電力は25日、大阪市内で定時株主総会を開いた。幹部らによる金品受領問題について、森本孝社長は「ご迷惑とご心配をかけた。深くおわび申し上げる」と陳謝したただ、会社側が提案した取締役候補には旧体制で経営の中心にいた人物がおり、株主からは非難の声が相次いだ。信頼回復への道のりは遠く、抜本的な改革が急がれる。
  総会では取締役の過半を社外とするなどの会社提案の全議案を賛成多数で可決した。一連の不正を受けて関電は同日、役員報酬の水準を見直すと発表。社長は約10%、副社長は約6%減額する。森本氏は総会後に開いた記者会見で、「実効性の高いガバナンス(企業統治)に向け、スタートを切ることができた」と語った。
  もっとも、森本氏は、旧体制で経営企画を担うなど中核にいた。総会では、筆頭株主の大阪市の代理人を務める河合弘之弁護士が「(旧経営陣と共に経営の中枢にいた森本社長は)いわば戦犯。これが解体的再出発をする関電の姿勢なのか」と追及。企業統治に詳しい久保利英明弁護士も「やり直しの第一歩を間違えている」と手厳しい。
  関電は、指名委員会等設置会社に移行し、社外による経営監視を強化する。しかし関電は2015年、経営不振の際に減額した役員報酬の補填(ほてん)について、当時の社長と会長だけで決定。社外取締役などで構成する諮問委員会に諮らず、「社外の目」が機能しなかった経緯がある。
  会計監査を専門とする青山学院大の八田進二名誉教授は「(制度を変えても)倫理観の高い社風が構築されないと意味がなく、元のもくあみになる」と警告する。株主をはじめ顧客や原発周辺住民からの信頼を取り戻せるか。関電には徹底した、不断の意識改革が求められる。


2020.6.23-JIJI COM
関電株主が代表訴訟 金品受領、役員らに92億円―大阪地裁
  関西電力幹部による金品受領問題株主5人が23日、現役と元職の役員、監査役の計22人を相手に、計約92億1000万円の損害賠償を同社に支払うよう求める株主代表訴訟を大阪地裁に起こした
  訴状によると、元役員らは福井県高浜町の元助役(故人)らから巨額の金品を受領するなどしていた。こうした不正行為により、会社の信用を損ない株価を下落させるなどして損害を与えたと主張している。


2020.6.17-JIJI COM
関電、旧経営陣に賠償請求 5人に19億円超―大阪地裁
  関西電力の幹部による金品受領問題で、関電は16日、A前会長ら旧経営陣5人を相手取り、計19億3600万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したと発表した。関電によると、一部の損害額は算定中で、請求額は増える可能性がある。
  提訴の対象はA氏のほか、B前社長、C元会長、F元副社長、G元取締役。5人が取締役としての注意義務を怠り、会社に損害を与えたと判断した。関電は「旧取締役に対して損害賠償請求訴訟を提起する事態に至ったことを改めておわびする。この訴訟に適切に対処していきたい」とコメントした。
  今回訴えられた旧経営陣と共に経営の中枢にいた森元孝社長ら現経営陣も、株主から提訴請求を受けていた。しかし、関電は注意義務違反はなかったとして提訴を見送った。現旧監査役についても、訴えても回収が期待される利益が訴訟費用を上回るのは難しいと判断して提訴しない。
  株主は、現旧役員を提訴するよう関電に求めている。株主の代理人を務める弁護士は、今回の訴えの内容を精査した上で、株主代表訴訟を起こすかどうか検討する。


2020.6.16-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20200616/k00/00m/040/087000c
関電、株主総会招集通知に事実と違う記載 役員候補元検事長の「金品受領認識」巡り
【鈴木健太】

   関西電力が25日に開催する株主総会の招集通知で、元幹部らによる金品受領問題に関し事実と異なる記載をしていたことが16日、明らかになった。関電は同日、「虚偽記載には当たらないが、分かりにくいところがあった」として同社ホームページ上で修正した。
   事実と異なる記載があったのは、関電が社外取締役の一人として選任を提案する元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士(現関電社外監査役)に関する部分。佐々木氏は2019年6月に社外監査役に就任したが、「事前にはこれらの問題を認識していなかった」と通知に記載していた。
   しかし、関係者によると、金品を受け取った関電幹部が金沢国税局から税務調査を受けた後の18年4月、大阪市内の本店で関電の当時の経営陣が佐々木氏と国税・検察対策などについて協議したという。社外監査役に就任する前で、関電は弁護士としての立場からの助言を求めていたとされる。これについて、関電は「個別の協議内容についての回答は差し控えたい」としている。
   関電は16日、事実と異なる部分の記述について、同社ホームページ上で「当社は問題に関して複数の弁護士に相談しており、佐々木氏に関しても社外監査役就任前にその一端を知る立場にあった」との補足説明を加えた。
   佐々木氏は07年に検事長を退官して弁護士となった。11~16年度に関電コンプライアンス委員会の社外委員を務め、19年6月に社外監査役に就任した。招集通知は5月26日にホームページに掲載、6月5日から株主宛てに順次発送した。
   金品受領問題を巡っては、関電は16日、「善管注意義務」に違反したとしてB前社長ら旧経営陣5人を相手取り損害賠償を請求する訴訟を起こした。【鈴木健太】


2020.6.16-Yahoo!!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/6af0050b259c6b182c1a7cce8a538ca32e1c2e99
関西電力、旧経営陣5人提訴 19億円賠償請求、金品受領問題

  関西電力は16日、金品受領問題を巡りA前会長やB前社長ら5人の旧経営陣に計19億3600万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴したと発表した。5人が取締役としての注意義務に違反し、会社に損害を与えたとしている。福井県高浜町の元助役D氏(故人)から関電役員らが多額の金品を受け取っていた問題の責任追及は司法の場に移る。
   5人はA氏、B氏、C元相談役の歴代3社長のほかF元副社長G元取締役。関電は15日の臨時監査役会で5人の提訴を決めた。訴訟では会社法の規定により代表取締役ではなく監査役が会社を代表する。


2020.6.12-関西 NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200612/2000030933.html
関電 旧経営陣に賠償求め提訴へ

  経営幹部らによる金品受領問題で、関西電力は、A前会長ら旧経営陣が職務を適切に行わず会社に損害を与えたとして、週明けにも損害賠償を求めて提訴する方針を固めました。賠償請求の額は13億円を大幅に超える見通しです。
  関西電力は経営幹部らによる金品受領問題で、一部の株主から当時の経営陣を訴えるよう求められたことから、外部の弁護士による調査委員会を設け、今月8日、報告書がとりまとめられました。
  報告書では、A前会長やB前社長ら5人が取締役としての職務を適切に行わず、会社におよそ13億円の損害を与えたと認定しました。
  関西電力の監査役会はこの報告書にもとづいて、旧経営陣に損害賠償を求めるかどうか協議し、週明けにも提訴する方針を固めました。法的責任は免れないと判断したものとみられます。
  監査役会は週明け15日に最終決定する予定ですが、対象は5人の旧経営陣となる可能性が高いものとみられています。また、損害賠償の請求額は、問題を調査するためにかかった費用なども加わり報告書で認定された13億円を大幅に超える見通しです。
  関西電力の旧経営陣は、福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていただけでなく、業績悪化で減額した役員報酬の一部をひそかに補填(ほてん)するなど、ガバナンスの機能不全が厳しく指摘されています。

【大阪市長“提訴は当然の話”】
  関西電力の筆頭株主である大阪市の松井市長は、記者団に対し、「提訴は当然の話だ。ユーザーから見ても、株主としても、旧経営陣はあってはならない行動をしていたので、非常に大きな損害になっている。会社として再出発するのであれば、疑念を持たれることに対しては徹底的に、はっきりとわかりやすい対応をしてほしい」と述べました。

【責任調査の報告書】
  取締役の責任を調べる外部の調査委員会は、金品受領問題をめぐり、一部の株主から関西電力の監査役会に5人の元経営幹部を訴えるよう求められたことを受けて、ことし3月末に設置されました。
  関西電力が第三者委員会に提出した資料をもとに、幹部へのヒアリング調査を行い、今月8日、関西電力に報告書を提出しました。報告書では、金品受領問題などによって、C元相談役、A前会長、B前社長、F元副社長、G元常務の5人の元取締役が、会社に損害を与えたと認定しています。
  損害につながる要因としては、主に次のような問題点を指摘しています。
福井県高浜町の元助役から巨額の金品を受け取っていたこと、
元助役側に事前に工事情報を伝え、工事の発注を約束し、その約束どおりに発注していたこと、さらに、
業績が悪化していた時期に減額した役員報酬の一部をひそかに補填していたことです。
そして、元経営幹部たちが職務を適切に行わなかったために次のような損害が会社に発生したとしています。
代表的なものでは、
事前に元助役側に工事情報を伝えるなど、ゆがんだ工事発注によって、本来よりも高い金額での発注や不要な工事が発注されたなどとして3億2000万円の損害が発生したとしています。
また、
一部の自治体で入札の参加資格を停止されて新規の契約を受注できなくなったことなど、営業上の損失が7億円
役員報酬の補填を含め一連の問題で大きく失墜した信頼を回復するための広告費用などとして2億5000万円を認定しています。
こうしたものをあわせると、損害はおよそ13億円に上ります。


2020.4.28-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58578830Y0A420C2LKA000/
関西電力、社外取に日鉄・友野氏ら 橋下氏受け入れず

  関西電力は28日、新体制の社外取締役を発表した。役員らの金品受領問題を巡り筆頭株主である大阪市が推薦した前大阪維新の会代表で元大阪市長の橋下徹氏は受け入れず、日本製鉄相談役の友野宏氏など8人を発表した。6月の株主総会で選任する。
  関電は橋下氏の登用を政治色が強く特定の大株主の意見を聞き入れることになるとして断った。一方で、橋下氏を社内研修などに招き経営について意見を聞く機会を設けることを検討している。
  外部の経営監視が厳しい指名委員会等設置会社への移行も正式に発表した。関電の一連の問題を調査した第三者委員会が原因として挙げた「内向き体質」の改善を図る。


2020.3.16-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/economy/news/200316/ecn2003160018-n1.html
関電、役員18人に計2億6千万円補填 トップ2人が密室で決定 報酬減額分を非公表で

関西電力の役員ら75人が福井県高浜町の元助役(故人)から総額約3億6千万円相当の金品を受領していた問題で、関電が平成23年の東京電力福島第1原発事故以降に大幅な赤字を出した際の役員報酬の減額分のうち、18人分の計約2億6千万円を補填(ほてん)していたことが16日、分かった。取締役会や株主総会での審議を避けるため、役員らが退任した後に支給するという「抜け道」を使っていた。不透明な役員報酬の還元は批判を集めそうだ。
   金品問題を調査した第三者委員会の調査報告書などによると、平成27年に当時会長と社長だったC元相談役とA前会長が協議して決定。役員を退任後に嘱託職員として雇用し、給与として減額分を補填していた。現役時に報酬を補填する場合は取締役会や株主総会での議決が必要になるため、秘密裏に支払う方法を考案したとみられる。
   減額分が支払われていたのは、金品問題で役職を退いたD氏とF元副社長を含む25年6月~令和元年6月に退任した常務執行役員以上の18人。F氏は金沢国税局の指摘で修正申告した税負担分の補填も受けていた。
   関電はD氏とF氏以外の役員について「個別の事案については特定を差し控える」(広報)として公表しない方針。金品問題が発覚した昨年10月以降は補填の支払いを停止しており、今後返還を求めるという。
   関電は福島原発事故後に原発を稼働停止したため大幅な赤字に転落し、2度の電気料金の値上げに踏み切った。役員報酬を減額したほか、一般職員も給与の一部をカットし、平成25年夏以降の計7回の賞与を停止し、値上げに理解を求めていた。ただ、一般職員は給与や賞与減額分の補填は受けておらず、一部の役員だけが救済されていた格好だ。
   第三者委は14日に提出した調査報告書で、関電経営陣のコンプライアンス(法令順守)意識の欠如を指摘している。


2020.3.14-LiveDoorニュース(産経新聞)-https://news.livedoor.com/article/detail/17965529/
原発“優等生”関電への不信、再稼働停滞に拍車も

関西電力と原子力発電所立地との不健全な関係が14日、第三者委員会の報告で露呈した。
   関電は、東日本大震災発生後、原発7基が原子力規制委員会の安全審査をクリアし、うち4基が再稼働を果たすなど、「優等生」として原発の再稼働を牽引(けんいん)してきた。だが、関電による今回の不祥事は、地域住民との関係性を重視して推進してきた日本の原発全体への信用に悪影響を与えかねない。
   電力業界は、収益改善と電気料金の引き下げには、原発が必要との立場だ。そのため、原発事故を起こした東京電力に代え、関電を先頭に立たせて原発再稼働を進めてきた。だが、関電自らが引き起こした問題で、たち行かなくなった。
   そうした中、九州電力の池辺和弘社長が14日、業界団体の電気事業連合会の会長に就任した。4基を再稼働させた九電の経験を生かすための抜擢(ばってき)で、東電、関電、中部電力以外からの起用は初。ただ、国との交渉力など手腕は未知数だ。
   東日本大震災後、電力各社は全国で、5原発9基の再稼働にこぎ着けた。それでも、10月下旬には、関電の大飯3号機、九電の玄海4号機の2基しか稼働しない事態となる。
   九電は、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を16日に停止する。テロ対策で設置を義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が期限の17日に間に合わないためで、特重施設の完成遅れによる原発停止は全国初だ。
   他の原発でも特重施設の工事が遅れており、川内2号機が5月20日、関電高浜原発3号機(福井県高浜町)は8月2日、高浜4号機も10月7日にそれぞれ停止予定だ。
   原発1基が稼働しなければ、代替する石炭など火力発電の燃料調達代で、「1日およそ1億円」の損失ともいわれる。
   関電の不祥事で原発への不信の目が強まれば、「安定電源」と位置づけられている原発の再稼働停止に拍車がかかりかねない。
   「(金品受領問題を)関電単体の問題として片づけたいが、そうなる保証はない。原子力は終わりかもしれない」
   ある電力業界関係者は、関電の金品受領問題の深刻さをこう指摘する。


2020.3.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200314/k10012331431000.html
関西電力第三者委 元助役への便宜認定 金品受け取った社員75人

関西電力の経営幹部らが福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、調査を行った第三者委員会は最終報告書をまとめました。金品を受け取っていた社員は75人と、これまでに公表された数から大幅に増え、金品の総額は3億6000万円相当に上るということです。
  関西電力は、経営幹部ら23人が原子力発電所がある高浜町のD元助役から3億2000万円相当の金品を受け取っていたことを去年秋に明らかにしています。
  この問題を調査してきた弁護士4人で構成する第三者委員会は、最終報告書をまとめ、14日、公表しました。
  この中で、金品を受け取っていた社員の数は75人と、会社が公表した23人より大幅に増えました。金品の総額は3億6000万円相当に上るということです。
  また元助役に対して、関西電力の役員や社員が工事を発注する前に工事の内容や発注予定額を伝えたうえで、約束に沿って発注するなど特別な配慮をしてきたとして、便宜を図っていたことを認定しました。
  一方、元助役が金品を提供したのは、その見返りとして自分の関係する企業に関西電力から工事を発注させて経済的利益を得るためだったと分析しました。
  報告書では原子力事業の閉鎖性を指摘し、正しい意見が実現しにくい状況が見受けられるとしています。
  当時の経営陣は、社内調査の内容を取締役会に報告しなかったうえに監査役も取締役会に報告せず、また会長、社長が相談役と協議して対外公表しない方針を、はやばやと決めたことは極めて不適切だと指摘しています。
  第三者委員会の但木敬一弁護士は記者会見で「電力の利用者から自分たちの行為がどうみえるのか全く考えていないことが構造を長引かせた1つの原因だ」と述べ、会社の体質を批判しました。
経産省 関電に来週にも業務改善命令へ
  経済産業省は、関西電力の第三者委員会が金品受領問題について最終報告書を取りまとめたことを受けて、来週にも業務改善命令を出す方向で検討しています。
  関西電力の内藤直樹常務執行役員は14日午後、経済産業省を訪れ、金品受領問題で第三者委員会がまとめた最終報告書について説明しました。
  報告書では、原子力発電所がある高浜町のD元助役から75人の社員が総額3億6000万円相当の金品を受け取っていたことや元助役に対して役員や社員が事前に工事の内容や発注予定額を伝えたうえで、約束に沿って発注するなど、特別な配慮をしてきたことが認定されています。
  説明を終えた内藤常務は記者団に対し、「お客様や社会の皆様の信頼を損ねる行いがあったことについて、深くおわびを申し上げる。経済産業省からは、厳正な対処を検討したいと承った。第三者委員会の指摘や提言を真摯(しんし)に受け止め、再発防止や会社の改革に取り組んでいきたい」と述べました。
  これを受けて経済産業省は、来週にも関西電力に対し、電気事業法に基づいて、ガバナンス体制の構築や再発防止策などを求める業務改善命令を出す方向で検討しています。
元助役関係企業への発注約束 120件以上と認定
  第三者委員会は、関西電力の役職員がD氏の要求に応じる形で、D氏の関係する企業に工事を発注することを事前に約束し、実際に発注したケースもあったとしています。こうした発注の約束は遅くとも2000年代から行われ、その件数は120件以上に上ると認定しました。
  事前発注約束は個別の工事の発注を約束するケースと年度ごとの発注予定額を約束するケースに分けられるということで、報告書には具体的な事例が示されました。
  このうち個別工事の発注約束では、D氏が顧問を務めていた「吉田開発」への発注を具体例としてあげています。報告書では、2012年4月に当時の高浜発電所長から原子力事業本部長らに送ったメールの内容が明かされています。
  「先生」と呼んでいたD氏との電話のやり取りを伝える文面で「いつもながらの工事要求。機嫌は普通。以下、先生の指示。『明後日会うときに、いい話(工事)を持って来い。びっくりするような。』最近、再三にわたり吉田開発に工事を持って来いとの要求。上期に子会社経由で4000万円の工事を約束したが、それではもの足りない?様子。明後日会うときには、さらに6000万円程度の工事を出す予定。これでことしは計約1億円」などと書かれています。
  そして3日後、高浜発電所長がD氏と会った結果を報告するメールには「工事(4000万円)を提案し、了解。この程度か、との感触を示されたが、とりあえず今回はこの程度にしておいてやる、とのこと。その後、全員での会食になり、至極ご機嫌」などと書かれています。
  メールにあった工事は、緑地帯の整備やアスファルト舗装などの工事で、最終的におよそ3000万円で吉田開発に発注されたということで、第三者委員会は約束していた4000万円には満たないものの、D氏の要求に応じて関西電力が工事の発注を約束し、その約束に従って工事を発注したと認定しています。

  一方、年度ごとの発注予定額の約束では、D氏が相談役を務めていた「柳田産業」のケースを具体例としてあげています。
  関西電力の電子データを復元したところ、この会社との間で行った各年度の交渉経緯を時系列でまとめた電子ファイルが見つかったということです。
  このファイルには、2004年度=平成16年度分に関して「11月上旬に相談役会談を予定している。内容は34.5で手打ち」と記されていて、この年度に34億5000万円の発注を約束することを示しているということです。
  このファイルからは、関西電力がD氏らと柳田産業に対する発注予定額を事前に協議していたことがわかるということです。ファイルには「各発電所キーマンに対してH16年度実勢34.5について通知。未達無きよう指示」などという記述もあり、原子力事業本部がD氏と合意した発注予定額を美浜、高浜、大飯の各原発の担当者と共有し、約束した額を達成するよう指示していたとしています。
  第三者委員会は5年度分を例示し、いずれの年度も35億円前後の発注を約束し、実際に、ほぼ同額か、それを超える額を発注していたと認定しています。
地元住民「裏でこそこそやめて」
  地元の高浜町の住民に話をききました。このうち40歳の女性は「金額の問題ではなく、今回の件でまだ隠していることがあるのではないかと不信が強まったことが問題だと思います」と話していました。また、18歳の男性は「自分たちの世代がこれからの新しい町を作りたいという思いがあるので、裏でこそこそするのはやめてほしいです」と話していました。また、76歳の女性は「お金を渡してうまく便宜を図ってもらって、真面目にやっている会社がかわいそうです。関西電力にはもっと透明性をもって町民にもわかりやすい形で仕事をしてほしいです」と話していました。


2020.3,7-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/affairs/news/200307/afr2003070004-n1.html
迫る処理水タンクの限界…水との闘い続く 福島第1原発のいま
(1)
未曽有の事故からまもなく9年を迎える今も、東京電力福島第1原発は「水」と闘っていた。放射性物質による汚染水は発生し続け、それを浄化処理した水を貯蔵するタンクは増え続けている。記者の眼前では海洋など環境への放出を念頭に、浄化・分析施設で厳しい水質管理が行われていたが、政府は風評被害への懸念から処理水の処分方法を示せないままだ。見通しではタンク用の敷地が満杯となるのは令和4年夏。決断を迫られている。(福田涼太郎)
1003基のタンク
  「非破壊検査などを行うので、タンク1基の完成に3カ月かかります」
  敷地南側では処理水タンクの増設が進む。東電の担当者はタンクが手間をかけてつくられていることを説明した。このエリアのタンクは高さ直径とも12メートル、容量は1350トン。増え続けた計1003基のタンクが海側まで隙間なく並ぶ。約118万トンが保管され、年末までに137万トン分まで増設予定だ。
  担当者は「もう(処理水の)処分を考えてもらわないと…」と漏らす。タンク群の存在は、今後の廃炉に必要な作業スペースの確保に影響を与えかねない。
  処理水の元になる汚染水は、原子炉建屋の下部に流れ込んだ地下水が、溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れることで発生。平成30年度は1日平均約170トンもうまれた。それを処理する多核種除去設備(ALPS)の建屋に入った。
  内部は放射性物質を取り除くための薬液処理をする設備や、フィルターが設置された吸着塔などが並ぶ。トリチウム以外の放射性物質はほぼ除去可能という。ただ、処理速度が優先された初期のころの処理水は、環境放出可能なレベルまで低減されていないものもあり、再処理が必要だ。
近づく廃炉作業
  続いて、処分方法を議論する上で不可欠な処理水の濃度などを測定する「化学分析棟」に入った。地下の分析場に入るには全身フル装備で、靴下や靴の履き替えも求められた。人体に付着していた放射性物質で、実測より高い濃度が検出されるのを防ぐためだ。
(2)
 分厚いコンクリート壁で囲まれた場内は、ビーカーや蒸留機器など理科の実験室を思わせる。空間放射線量率は自然界とほぼ同じ毎時0・06マイクロシーベルト。日々運び込まれる処理水サンプルを約200人が365日確認している。地元・広野町出身の池田幹彦さん(46)は「ここで出るデータに間違いがあれば廃炉に影響してしまう。復興の足を止めないようにしたい」と語った。
  事故が起きた1~4号機を見渡せる高台に立つと、短くなった解体中の1、2号機共用排気筒以外は、1年前から目立った外観上の変化はない。一方、3号機で燃料の取り出しが始まり、2号機ではデブリの取り出しに向けた準備が進むなど、廃炉は内部での作業フェーズに入った。
  政府などの廃炉工程表では、デブリの取り出し開始は来年中で、保管施設を早急につくる必要がある。処理水の判断が遅れれば、作業の遅滞も招き、事故から30~40年後の廃炉完了の目標もおぼつかなくなる。
福島第1原発の処理水
 1~3号機の原子炉建屋下部に溶け落ちた核燃料(デブリ)に、流入した地下水などが触れることで発生した汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水。放射性物質のトリチウムはALPSで除去できず、敷地内のタンクに保管している。人体への影響が比較的小さいとされるトリチウムについては、国内外の多くの原発が基準値以下の濃度に希釈した上で海洋放出しているが、福島第1では風評被害に対する懸念から地元漁業者らが反発している。処理水のもとになる汚染水の発生量は、平成30年度で1日平均約170トン。ALPSは敷地内に3施設7ラインあり、現在は1施設のみで浄化処理が可能な量となっている。


2020.3.5-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200305/k10012316111000.html
関電 幹部の金品受領問題 第三者委が14日に最終報告を説明

関西電力の経営幹部らが3億円を超える金品を受け取っていた問題で、調査を行っている第三者委員会は今月14日に記者会見を開き、最終報告を説明すると明らかにしました。
  関西電力では、経営幹部らが原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から現金や金貨、スーツの仕立券など合わせて3億円を超える金品を受け取っていたことが去年9月に発覚し、会長などが辞任に追い込まれました。
  この問題の調査にあたっている弁護士4人で構成される第三者委員会は今月14日に記者会見を開き、調査結果の最終報告を説明すると明らかにしました。
  委員会では、1990年代や2000年に入ってからの当時の社員らから多くの証言を集めたもようで、金品を受け取っていた人の数や総額は、会社の公表よりさらに増える見込みです。
  一方、B社長はこの報告の発表と同じ今月14日に辞任する方針です。関西電力は、同じ日に臨時の取締役会を開き、後任の社長を選任する方向で調整を進めています。







このTopに戻る





monomousu   もの申す
TOPにもどる
電気・電池の問題-1
最近のニュース