ウイグル問題-1



2021.07.06-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/amp/210706/mcb2107060600002-a.htm
沈黙のウイグル族 ウルムチ暴動12年、コロナで厳戒

  中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチで2009年に発生した少数民族ウイグル族の大規模暴動から5日で12年となった。暴動は当局が「テロ対策」の名目でウイグル族への抑圧を強化した一つの契機。自治区では当局が新型コロナウイルス対策として厳戒態勢を強める状況もうかがえる一方、ウイグル族は沈黙を迫られていた。(新疆ウイグル自治区 三塚聖平)

  「新疆は良い所。各民族が幸せに暮らしている」暴動で激しい衝突があったウルムチ中心部の国際大バザール(市場)ではウイグルの軽快な民族音楽が流れていた。歌詞は標準中国語(漢語)だった。 街は地下鉄駅ができるなど観光地として整備が進み、暴動の痕跡を示すものはみられない。ただ、多くの監視カメラが異様な雰囲気を漂わせていた。
  自治区では共産党政権下で漢族の大量流入が続いてきた。200人近い死者が出た暴動の背景には、そうした中で強まったウイグル族への差別的な扱いや両民族の経済格差が背景にあったと指摘される。だが、中国政府はウイグル族の抜本的な不満の解消よりも、治安対策を優先させた。
  19年の発表によると、14年以降、自治区で1万2995人を「テロリスト」として拘束。「脱過激化」のためとして「職業技能教育訓練センター」にウイグル族らを収容した。国連人種差別撤廃委員会は収容人数を100万人以上と報告。国際社会では「強制収容」との批判が高まっている。

  ウルムチ出身という漢族の男性タクシー運転手は「治安は良くなった。ウイグル族に教育を施して働けるようにしているのに、海外(諸国)が大げさに言っている」と批判を一蹴。ウイグル族については「警戒感は残っている。経済的にも漢族より支援を受けている」と語り、両民族の亀裂の深さをうかがわせた。
  特に監視態勢が厳しいのは、ウイグル族が人口の約9割を占めるカシュガル。至る所で3人一組の警官が警棒や盾を持ち巡回していた。「カシュガルは好きか?」。ウイグル族のタクシー運転手に質問すると言葉を濁した。運転席と後部座席には防犯カメラが設置されていた。監視や密告を恐れているとみられる。
  厳戒態勢はコロナ対策としても強まっている。「住民か、事前に団体旅行の予約がないと町には入れない」。小説「西遊記」の舞台となった火焔山(かえんざん)で有名なトルファンの高速鉄道駅で、防護服姿の女性が冷たく言った。上海から子供を連れて旅行に来た男性は「中国各地でこんな所はない」と憤った。

  ウルムチやカシュガルのホテルでは、チェックイン時に館内に設けられたPCR検査場で検査を受けることを求める。コロナ対策が厳しい中国でも他にない態勢で、ワクチンを打っていても例外は許されない。
  トルファンで教師をしている漢族男性は「各地では検問所が多く設けられ、以前は対象外だった漢族の車も一律に調べられる」と説明。過去にテロ事件が起きた場所で特に警戒が厳しくなっているとささやいた。

(ウルムチ暴動)
  2009年7月5日、新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた大規模暴動広東省の工場でウイグル族が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化し漢族や治安部隊と衝突。当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した


2021.06.09-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/business/news/210609/bsm2106091118011-n1.htm
「中国ウイグル自治区で大規模な強制不妊」 米非営利団体が報告書

  【ワシントン=黒瀬悦成】中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害を調査している、米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」のエイドリアン・ゼンツ上級研究員は8日、中国政府が自治区のイスラム教徒少数民族に人口抑制を強要しているとし、向こう20年間以内に自治区で合計約260万~450万人分の強制不妊措置が取られると試算した報告書を発表した。

  バイデン米政権を含む主要各国は、中国政府による自治区でのウイグル族などに対する人権侵害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と位置付けている。
  報告書は、中国政府による自治区の少数民族の人口削減と「同化」を狙った人口抑制政策の「実態」を指摘するものとして、国際社会の注目を集めるのは確実とみられる。
  報告書によると、中国政府は自治区で「人口最適化」政策と称する強制不妊措置を2017年に導入した。中国政府がこのまま強制不妊を続けた場合、少数民族が集中的に居住する自治区南部の人口は40年までに約860万~1050万人になるとしている。

  現在の自治区南部の人口は947万人。一方、強制不妊が導入されなかった場合の40年の人口は、中国の研究者の試算で1314万人が見込まれていた。
  中国政府の公式統計でも、自治区での19年の出生率は17年比で48・7%も低下しているという。
  また、中国政府が同国の人口の9割以上を占める漢民族の自治区への入植を奨励し、ウイグル族らを他の地域へ放逐している問題で、ゼンツ氏の試算では自治区南部でのウイグル族の人口比率は現在の約25%から40年には8・4%まで低下すると指摘している。

  中国共産党の中央政治局会議は5月31日、1組の夫婦に子供を2人まで認める制限を3人までに緩和する新方針を示した。
  ただ、報告書によると、産児制限をめぐっては他地域であれば違反者は罰金を支払えば済まされるが、自治区の少数民族に対しては違反者に強制収容や強制不妊、結婚しているカップルの離別強要などの厳罰が科せられている。このため新方針が導入された場合、少数民族の締め付け強化の道具として利用される恐れが強いと指摘している。


2021.06.8-Yahoo!Japanニュース(alterna)-https://news.yahoo.co.jp/articles/86498dafffe5c0c1b900888f7a07d48a78cac7b8
「中国当局から在日ウイグル人のスパイ活動を要求された」

  2021/06/08 — 中国の新疆ウイグル自治区で生まれ育った日本ウイグル協会(東京・文京)副会長のレテプ・アフメットさん(43)は、2002年に東大大学院に留学した。​その後も日本で就職して日本国籍を取得した。ウイグルの家.
(1)
■レテプ・アフメット日本ウイグル協会副会長インタビュー
  中国の新疆ウイグル自治区で生まれ育った日本ウイグル協会(東京・文京)副会長のレテプ・アフメットさん(43)は、2002年に東大大学院に留学した。その後も日本で就職して日本国籍を取得した。ウイグルの家族とは2017年夏以降、連絡が取れていないという。中国当局から「スパイになれ」と要求があったことも明らかにした。新疆ウイグル問題は、「事実関係がよく分からない」と考える人も多いが、同氏の言葉は「人権の重み」と「真実性」を私たちに突き付ける。(オルタナ副編集長=吉田広子)

人質に取られた家族、4年連絡取れず
  ――アフメットさんは、留学を機に来日され、日本で暮らしています。2017年ころからウイグルにいるご家族と連絡が取れないそうですね。 2002年に東京大学大学院理学系研究科に入学しました。修士号を取得した後、日本でIT企業に就職しました。
  当時は、ウイグルにいる家族と電話をしたり、チャットアプリを使ったり、いつでも連絡が取れる状況でした。 家族と連絡が取れなくなったのは2017年6月ころです。政治的な活動を行うリーダーだけではなく、普通の人まで強制収容所に送られているという話は聞いていたので、とても心配で、電話やアプリで連絡を取ろうとしても何も反応がありません。
  2018年2月に一度、警察から電話があり、母と電話することができました。話を聞くと、「父と弟、親類は2017年7月から勉強に行っていて、家にいません」と。中国では「再教育」施設と呼ばれていますが、強制収容所に送られたことを察しました。それが母との最後の会話です。 家族や親類が、収容所を出たのか、まだいるのか。生きているのか、死んでいるのか。一切の確認が取れていない状況です。

  ――その後、2018年3月、ウイグルの警察から電話が掛かってきたそうですね。 収容所にいる父からのビデオメッセージが送られてきました。イスラム教徒の習わしであるひげをそり、伝統の帽子もかぶっていない、目に力がない、変わり果てた父の姿でした。とてもショックを受けました。
  父はこう語りました。「私は施設で勉強しています。体も健康です。あなたも中国の利益を最優先に考え、協力すれば、私たちも安全に暮らせます」。 父の意見ではなく、言わされているのは分かっていました。
  父の映像の後ろには監視カメラが見えました。そして、中国当局からは、日本にいるウイグル人の情報を提供すれば、家族を解放すると。つまり、スパイ活動を命じられたのです。 家族が人質に取られて、スパイ活動を要求される
  ――。こんな悪夢が自分の身に起こるとは想像しませんでした。 この動画を受け取り、一年間はだれにも打ち明けることができませんでした。毎日、動画を見ては涙があふれてきました。 家族への迫害が心配です。家族を救いたい、でも、人間としての良心がそれを許さない。人間として越えてはいけない一線だと思いました。
  これを最後に、ウイグルにいる誰とも連絡を取ることができなくなりました。毎日電話をかけても、電話は鳴りますが、だれも出ません。怖くて出られないのか、手元にないのか分かりません。
  2019年7月に、ウイグル旅行に行くという日本人に実家を見てきてほしいと頼みました。それが唯一の手段でした。現地に行ったところ、大都市間は移動できても、私が住む小さな町の入り口では、厳重な検問があり、近付こうとすると警察に尾行され、結局、家の確認はできませんでした。
   こうした状況に置かれているのは、私だけではありません。世界中にいます。 現代ではITで世界中つながっているのに、どこかで生きているのか、死んでいるのか分からない。消息が分からないのです。
(2)
強制収容所の実態を知り、実名公表を決意
  ――現在は、実名で顔も出し、日本での抗議活動を続けています。以前は、匿名だったようですが、なぜ公表するに至ったのでしょうか。 私はある日突然、家族が奪われました。ところが、中国政府は2018年3月当時、施設の存在自体を否定していたのです。
その後、国際社会からの批判が高まると、施設の存在を認め、2019年10月、施設はすべて閉鎖し、「みんな家に帰って、幸せに暮らしている」と発表しました。「施設に行く人は自ら進んで入っている、帰りたければいつでも帰れる」とも。 こうした中国のプロパガンダが広がってしまうことを恐れました。家族と連絡が取れなくなり、1年、2年経っても何も進展しない。徐々に気力もなくなっていく。それでも、黙っていれば、中国政府の思う通りに進んでしまう。 生死にかかわるリスクを伴うが、だれかがやらなければならない。何もできないまま家族を失ってしまうかもしれない。 収容所の実態の証拠をもって、反論することを決め、取材にも実名で応えるようになりました。
   ――いつころから監視が強くなったのでしょうか。子どものころはどのように過ごしていたのですか。 私は1977年に新疆ウイグル自治区ケリピン県で生まれました。小さな田舎町で、ウイグル人の学校に通い、放課後は友人と遊ぶような、至って普通の子ども時代を過ごしました。夜外に遊びに出ても、危険なこともありません。 何でもモノがそろっているような経済的な豊かさではなかったのですが、家族同士、人間同士のつながりを感じられる、昔ながらの人間関係があり、平穏な暮らしでした。住んでいるのはウイグル人だけで、いまのように中国人が監視するようなことはありませんでした。

  2000年に入ってからでしょうか。徐々に中国人移民が増えてきました。そのころから、ウイグル人の女性が結婚適齢期になると、沿岸部の工場に連れて行かれるようなことが起こり始めました。そして、徐々に、人々が互いに疑い合うような空気になっていきました。
(3)

日本企業の沈黙は、人権侵害への「加担」
  ――オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は2020年3月に報告書を発表し、日本企業14社(※)を含む82のグローバル企業のサプライチェーン上でウイグル人の強制労働が起こっていることを指摘しました。日本ウイグル協会とヒューマンライツ・ナウは、その報告書をもとに日本企業14社にアンケートを行いました。日本企業の姿勢をどのように評価しますか。
   (※日本企業14社(五十音順):京セラ、しまむら、シャープ、ジャパンディスプレイ、ソニーグループ、TDK、東芝、任天堂、パナソニック、日立製作所、ファーストリテイリング(ユニクロ)、三菱電機、ミツミ電機、良品計画(無印良品) アンケート実施後、京セラとジャパンディスプレイは取引を停止することを表明しました。)

  アンケートの対象企業ではないですが、カゴメは新彊産のトマトの輸入を停止し、ミズノも新彊綿の取り扱い停止を発表しました。これらは非常に心強い流れです。
   当協会では2回、14社にアンケートを送ったのですが、1回目(2020年4月)はほとんど反応がありませんでした。 結果を公表し、それが報道されるようになると、企業に対し、メディアや消費者からの問い合わせが入るようになり、2回目(2020年12月)からは、パナソニックを除く企業が回答してくれるようになりました。
   パナソニックは電話をしても、無反応で、絶望的です。その後、報告書をまとめ、2021年4月に記者会見を開き、発表しました。 ほとんどの対象企業は、強制労働の事実や問題を指摘された中国企業との取引を否定しています。日立製作所、ソニー、TDK、東芝、京セラは、第三者機関による監査を実施するなど、問題意識を持っていることに対しては評価したいと思います。

  一方で、中国共産党政府が許す範囲内での調査は、透明性や信憑性に欠けます。本当に自信をもって、「強制労働の事実がない」ことを証明できるのでしょうか。 私たちは取引をすぐに停止してほしいと主張しているわけではありません。
  ただ、「強制労働の事実がない、あるいは指摘された中国企業との取引がない」というのであれば、だれがどのような形で調査したのか、監査のプロセスも公表するべきです。 取引先企業、工場に確認したといっても、本当のことを言えるはずがありません。国連など外部から専門家を呼んで、すべてのプロセスがオープンな形で、監査なり調査なりが行われるべきです。 取引を続けたいのであれば、だれがどう見ても問題ないと評価されるようなレベルが求められるでしょう。
   ――オルタナ編集部でも、企業にアンケート調査を実施しました(6月30日発売のオルタナ65号で公表)。 日本企業がよく認識していないことがあります。 このウイグルの問題は、どこにでもある不祥事やクレームとは訳が違います。何百万人という人が、非人道的な方法で大規模な強制収容所に入れられているのです。
   世界的な関心が高まっているいま、これから先、ASPIの報告書よりも詳細な報告書が出てくる可能性は十分にあるでしょう。 いま「問題がない」と答える企業も、将来的に責任を問われるかもしれません。 ファーストリテイリングは、取引がないと否定していますが、当該企業のホームページには、ロゴや企業名がしっかりと掲載されています(2021年3月時点)。
  それ以外にも、ASPIも裏を取って報告書を出しているわけですから、何をもって、強制労働の事実がないといっているのか、説明するべきです。 柳井正会長兼社長は「これは人権問題ではなく、政治問題だ」と発言しました。なぜ人権問題ではないと言えるのでしょうか。 私自身を含む、消えた家族の消息を探し求めているウイグル人が日本や世界中に大勢います。私たちの消えた家族が何処かの工場で強制労働させられている可能性もあるわけです。
  もしかしたらサプライチェーン上に、強制的に働かされている人がいるかもしれないのです。こうした無責任な言動がなぜ出てくるのでしょうか。さらに同社は、新彊綿を使っていない、とは明確に否定をしていないのです。
  企業がビジネスを第一に考えるのは仕方ないことです。 ただ、こうした「知りません」という態度では、どこかの時点で必ず社会的責任が問われることになります。現に米国はユニクロの綿シャツの輸入を差し止めました。 すべての企業にいえることですが、社会的責任を問われる前に、企業自身が積極的に関与し、透明性のある監査・調査をして、本当に大丈夫か、世間が納得する形で説明してほしい。
  10年、20年、どれだけかかるか分かりませんが、中国が必死に隠している情報が必ず明らかになるときがくるはずです。 中で起きていることと、対外的に発信している情報は全く違います。ナチスの収容所もそうでした。中の実態は隠されているのです。
   中国のプロパガンダと、私たちが実際に味わっている苦痛、いずれ全容が明らかになる時代がくると信じています。 いま企業が、声を上げず、ビジネスを続けたら、将来、「止めるべきだった」と後悔するはずです。非人道的な方法でつくられた製品の社会的責任が問われるはずです。 「ウイグルの話は本当なの?証拠はあるの?」と言う人や企業は少なくありません。
  信じられないのであれば、現地に行ってみてください。問題ないことを証明する努力をしたうえで、反論してほしい。 日本企業のいまの姿勢は、対応として非常に不十分です。「取引がない、事実が確認できなかった」と否定する逃げ方は誠実とはいえません。 意図的な関与ではなくても、声を上げない、止めないことは、「加担」とみなされます。
  ウイグルから何らかの原料を調達しているのであれば、極めてリスクが高いのです。綿でいえば、中国産の8割は新彊綿です。
  ――米政府やEU、英政府などは、ウイグルの問題を「ジェノサイド(大量虐殺、民族浄化)」と認定しました。一方で、企業にとって中国市場を失う不安もあります。 簡単に取引を停止できないことは承知しています。依存度が高ければ高いほど、難しいことです。
  中国からの報復を恐れている心情も理解できます。 しかし、正直に答えずに、都合よく回答するのは、ビジネス以前の問題でしょう。 机上のレベルではいけません。実態の調査が必要です。本当に、この大規模な強制収容、ジェノサイドに目を向けているのでしょうか。民族の独自性が消し去られようとしています。 いま真剣に向き合わなければ、企業の名誉が地に落ちてしまう可能性もあるのです。










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