台湾の問題-2021年11日~2024年01日


2024.01.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240120-LMNYDRCDK5E2ZLNNYC4LVRP5OU/?outputType=theme_weekly-fuji
頼清徳氏の勝利に見る今年の国際政治 「台湾有事」リスクは 平井文夫
(フジテレビ上席解説委員 平井文夫)

  13日投開票の台湾総統選は、与党・民進党の頼清徳副総統が制した。直後、ジョー・バイデン米大統領が「米国は台湾独立を支持しない」と明言したのには少し驚いた。米国はこれまで、台湾有事について、「戦略的曖昧さ」と呼ばれる政策を取ってきた。ところが、バイデン氏は一昨年5月、東京での記者会見で、台湾有事が起きた場合に米国が軍事的に関与するかを問われ、「はい(YES)。それがわれわれの約束だ」と回答した。「曖昧」から「明確」に転換したのではとも見られていたのだ。

  頼氏は「中国との統一」でもなく「台湾の独立」でもない「現状維持」を表明しているが、中国は「独立派」と決めつけているバイデン氏が独立を牽制(けんせい)したのは、中国を強く意識してのことだ。その中国は今年5月の総統就任式で、頼氏が何を語るかを注視している。
  米アイオワ州では15日、11月の大統領選に向けた共和党の党員集会が開かれ、ドナルド・トランプ前大統領が初戦で圧勝した。81歳のバイデン氏と、77歳のトランプ氏による「高齢対決」になった場合、どちらが台湾有事にリスクとなるのだろうか。
  安倍晋三元首相が生前、ウクライナ危機について、「もし、トランプ大統領だったらネゴシエーター(交渉人)なので、ロシアの侵攻回避のためにウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟などについて、徹底的にウラジーミル・プーチン大統領とネゴシエートしたと思う」と語っていたのを思い出す。
  ある外務官僚は「バイデン氏は外交センスに自信を持っており、それが実は怖い」と言っていた。トランプ氏の「意外な」現実主義と、バイデン氏の「曖昧」から「明解」への転換を思わせる発言を考えると、バイデン氏の方がリスクは高いのではないか

  さて、日本の政治は今年どう動くのか。昨年、岸田文雄内閣の支持率が下がり続け、自民党派閥のパーティー収入不記載事件が起きて、「政治への信頼」が地に落ちてしまった
  「岸田首相は3月の予算が上がれば終わり」との声も上がっていたが、元日の能登半島地震でそれどころではなくなった感がある。被災者の生活再建や被災地の復興、新たな地震への備えなど、政治の課題が山積しているからだ。
  政治資金規正法の改正や、派閥のあり方なども決めるのは厄介な仕事だ。自民党は今トップを代える余裕はないので、岸田首相の総裁再選も見えてくるかもしれない。筆者は「岸田首相再選」に反対ではないが、心配なのはトランプ氏が復活した場合、岸田首相が安倍氏のように、うまく彼を「あしらえる」かということだ。安倍氏は、中国の習近平国家主席に対しても、沖縄県・尖閣諸島について直接、「私の島に手を出すな」と言っている。
  ウクライナと中東ガザ地区では今も戦いが続いている。だが、台湾有事が起きれば、世界に及ぼす影響は2つの戦争の比ではない。それが起きた場合、岸田首相が米中の強面(こわもて)リーダーと互角に渡り合えるのか、そこだけがちょっと心配なのだ。(フジテレビ上席解説委員 平井文夫)


2024.01.20-産経新聞(夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240120-HZ56W7HDJFAHBGICT6XAPNSB4A/?outputType=theme_weekly-fuji
台湾・総統選は習近平氏の大誤算 日本は平和ボケでいられない 高橋洋一
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

  13日に投開票された台湾総統選は、与党・民進党の頼清徳氏が予想どおりに勝った。頼氏が558万6019票を獲得、国民党の侯友宜氏は467万1021票、民衆党の柯文哲氏は369万466票で、頼氏の得票率は40・0%だった。
  総統選と同時に行われた議会・立法院の選挙では、113議席のうち国民党が52議席、民進党が51議席、民衆党が8議席をそれぞれ獲得した。民進党が過半数を維持できなったのは予想通りだが、国民党は第1党といっても過半数を確保できなかった。台湾の民主主義の微妙なバランスだ。

  頼氏は民進党の選挙本部で、「台湾は民主主義国家の共同体にとっての勝利を収めた」と述べた。
  頼氏は「現状維持」派だ。一方、野党の2人は、頼氏がかつて「自分は現実的な台湾独立工作者だ」と発言したことを取り上げていた。特に、侯氏は「民進党政権が台湾海峡の両岸に武力衝突の危機をもたらした」とまるで中国政府のような批判を展開していた。頼氏は、近年「独立」という用語を避けていたにもかかわらず、頼氏について「独立派」というレッテルを貼ったのは中国のプロパガンダでもあった。
  結果として、台湾は、中国からのプロパガンダに屈せず頼氏を選んだこととなった。台湾の民主主義はうまく機能しており、総統が国民によって選出されるようになった1996年(任期4年)以降、3期12年の政権はなかった。今回、民進党3連勝、国民党3連敗となった初めてのケースだ。
  それだけに、習近平国家主席にとっては誤算だっただろう。中国政府は13日夜、台湾での選挙結果について「民進党が(台湾)島内の主流の民意を代表できないことを示した」とし、「今回の選挙は、祖国がやがて必ずや統一されるという、阻止できない流れを妨げられない」とした。
  一方、ブリンケン米国務長官は、「台湾の人たちがまたしても、旺盛な民主制度と選挙手続きの力強さを示したことに、祝意を表したい」と述べた。その前に、バイデン米大統領は、記者団の質問に答える形で、米国は台湾の「独立を支持していない」と答えている。この趣旨は現状維持を望むということであるが、あえて記者団が独立を支持しないと吹っ掛け、それにバイデン大統領が応じたという次第だ。
  今後、中国からの台湾統一に向けた挑発のレベルは高まるだろうが、当分の間、行動に大きな変化は出てこないと考えられる。というのは、11月に米大統領選があるので、その帰趨(きすう)をみるか、その間隙を狙うのが合理的だからだ。
  日本はそれまでに米大統領選結果にかかわらず、アジアの安定のために相応の負担の覚悟が求められる。というのは、米国は、ウクライナ、中東と台湾で「三正面作戦」を強いられており、この3つに同時に対応することはできないからだ。日本が平和ボケでいることはあり得ない
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)


2024.01.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240114-U7CV5GXNWNI7HAQ237PFKCQUVQ/
中国が日本に抗議 台湾への祝意表明に「深刻な内政干渉」と反発

  【北京=三塚聖平】在日中国大使館の報道官は14日発表した談話で、上川陽子外相が台湾の総統選で勝利した民主進歩党の頼清徳氏に祝意を表したことに対し、「中国の内政を深刻に干渉した」と主張し、反発した。中国として「強い不満と断固とした反対」を表明し、日本側に抗議したことを明らかにした。

  談話は「日本の外相が公然と祝意を表した」と表現した。その上で「台湾は中国の台湾で、台湾地区の選挙は中国内部の事柄だ」と強調し、日本に対し「『台湾独立』勢力にいかなる誤ったシグナルも発さず、台湾海峡の安定や中日関係を妨害しないよう厳しく促す」と要求した。
  上川外相は13日発表の談話で、頼氏の当選と「民主的な選挙の円滑な実施」に祝意を表明。「台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく」などとの考えを示した。


2024.01.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240114-4RFGXTVR6JMZFBDGDW5LDWXHJI/
台湾・総統選の開票終了 勝利の頼氏「中国の脅威から台湾守る」 立法委員選は与党過半数割れ

  【台北=桑村朋】13日に投開票された台湾の総統選で、中国の統一圧力に屈しない姿勢を示す与党、民主進歩党の頼清徳(らい・せいとく)副総統(64)が勝利した。対中融和路線の最大野党、中国国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長(66)と、米中間でバランスをとる中間路線の第2野党、台湾民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長(64)がそれぞれ敗北を認めた

  中台統一を「歴史的必然」だとする中国に、台湾の有権者は改めてノーを突き付けた。頼氏は台北市内で記者会見し、「台湾人は民主主義の新たな1ページを刻んだ。中国の脅威から台湾を守る決意だ」と勝利を宣言した。
  1996年に総統の直接選挙が始まって以降、初めて同じ政党が3期連続で政権を担う。2000年以降、民進党と国民党が2期8年ごとに政権交代を繰り返していた。
  新総統の就任式は5月20日。任期は4年で、副総統の蕭美琴(しょう・びきん)前駐米代表(大使に相当)と新政権をスタート
させる。
  中央選挙委員会によると、頼氏の得票数は約558万票、侯氏が約467万票、柯氏が約369万票。投票率は71・8%だった。前回74・9%から3・1ポイント下がった。かなりの浮動票が野党候補に流れたとみられるが、頼氏は南部などの支持基盤で票を固め、侯氏らの猛追を振り切った

  一方、総統選と同時に行われた立法委員(国会議員に相当、定数113)選では民進党が過半数を維持できず、国民党が最大勢力となった頼氏は蔡英文政権以上に難しい政権運営を迫られることになる
  対中政策で頼氏は、中国の「一つの中国」原則に反対しつつ「独立」を唱えない蔡政権の「現状維持」路線を継承すると表明米国など民主主義陣営と連携して防衛力を強化し、対中関係は「台湾の主権尊重」を前提にすると訴えて、対中接近を望まない有権者の支持を集めた
  中国との対話の重要性で一致する侯氏と柯氏は昨年11月、候補一本化で合意したが調整は破綻した。中台が「一つの中国」原則を確認したとされる「1992年合意」を引き継ぐ侯氏は民進党の長期政権による「腐敗」を批判。柯氏も「台湾は米中間の懸け橋になるべきだ」と訴えたが、支持の広がりを欠いた。


2024.01.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240114-324MVXHHDVLSXEMXLQG2ADEITU/
中国、頼清徳氏の勝利に「民意を反映できず」と反発 台湾の総統選

  【北京=三塚聖平】中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の陳斌華報道官13日夜、同日に行われた台湾の総統選で民主進歩党の頼清徳氏の勝利が決まったことを受け、「民進党は(台湾)島内の主流の民意を決して代表できない」と表明し反発した。中国国営新華社通信が伝えた。

  陳氏は「台湾は中国の台湾だ」として「(中台)両岸関係の基本的な枠組みや発展の方向は、今回の選挙で変えることはできない」と主張した。「祖国が最後に統一することを阻止することはできない」とも訴えた。
  習近平政権は頼氏を「台湾独立派」とみなして敵視してきた陳氏は「『台湾独立』の分裂行為や、外部勢力の干渉に断固として反対する」と強調した。頼氏だけでなく、台湾支援を続けている米国を念頭に警戒感を示した。
  また、陳氏は「台湾の関係政党や団体、各界の人々とともに(中台)両岸の交流や協力を促進し、両岸の融合や発展を深める」とも述べた。対中融和路線をとる中国国民党や、中国と関係が深い経済関係者などへの働き掛けを引き続き行っていく考えとみられる。


2024.01.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240111-SI4AGA3BPZIFXBF7VJK73DZFYQ/
米、台湾へ代表団派遣 総統選直後に 英紙報道

  英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は10日、バイデン米大統領が、13日投開票の台湾総統選直後に元米政府高官らで構成する超党派の代表団を台湾に派遣する計画だと報じた。総統選直後の米政府による代表団派遣は異例。米政府高官は、時期や人選は検討中だと記者団に述べた。

  当選者が誰であろうと、台湾を支援する姿勢を示す狙いだが、米中両政府が関係安定化を模索する中、中国政府が反発して裏目に出る可能性もあると同紙は指摘した。
  同紙によると、代表団は、オバマ民主党政権で国務副長官を務めたスタインバーグ氏と、ブッシュ(子)共和党政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官だったハドリー氏が率いる。
  スタインバーグ氏は2021年4月、バイデン氏が派遣した超党派の非公式代表団の一人として、台湾を訪問。蔡英文総統と会談した。(共同)


2024.01.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240109-BIPZBLONPVLN5IC3D4VC6HLUSM/
中国ロケット、台湾上空を通過 総統選向け圧力か

  【台北=矢板明夫】台湾の国防部(国防省に相当)は9日、中国が同日午後3時すぎに発射した衛星が台湾本島南部の上空を通過したとして、携帯電話を通じて全土に防空警報を出した。

  その後の国防部の発表によると、衛星を搭載したロケットは台湾上空通過時の高度は大気圏外に達していたが、事前に発射の通告はなかった。台湾では13日に総統選の投開票を控えており、シンクタンク、国防安全研究院の蘇紫雲研究員は「台湾の有権者に心理的圧力をかけた可能性がある」と分析した。
  一方、携帯電話への警報には、中国語と並んで英語で「ミサイル」と書かれており、国防部は誤訳を謝罪した。
  中国国営中央テレビは9日、四川省の西昌衛星発射センターから「衛星を打ち上げ成功した」と伝えた。



2023.12.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231228-MPKG2JADVRJUXKKVH3EBLL6UOM/
<独自>中国、台湾人気バンド調査 台湾当局、総統選へ「圧力」と分析

  台湾の人気バンド「五月天(メイデイ)」が中国で「口パク」を疑われて調査対象となり、台湾当局が来月の総統選に向けた中国の圧力だと分析していることが28日、分かった。中国国家ラジオテレビ総局から中国を支持する意見を表明するよう求められ、五月天が拒否したことへの「見せしめ」だという。台湾側は他の芸能人に波及することを警戒している。

  五月天が11月に上海で開いたコンサートを巡り、中国のネット上で「口パク」疑惑が拡散。上海市当局が今月3日、法令違反の疑いで調査開始を表明した。これを4、5日に国営の新華社通信や中央テレビ、共産党機関紙の人民日報が報じ、6日には最高人民検察院(最高検)の機関紙が「口パク」が証明された際のボイコットを呼びかけた。五月天は疑惑を否定している。
  台湾の当局者は、一連の報道や情報拡散は共産党中央宣伝部が「調整」して実施したものだと主張。五月天への意見表明要求は中国が「台湾独立」派とみなす与党、民主進歩党に不利に働くよう「若者への影響を狙った」もので、圧力は「他の芸能人への脅迫だ」と指摘した。
  台湾の総統選では2016年の投票前日、韓国の女性アイドルグループの台湾出身者が「両岸(中台)は一体」と表明させられる映像が拡散。この時は世論の強い反発で、当時野党だった民進党が大勝する要因の一つになったとされる


2023.12.02-産経新聞(夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20231202-FNGAAM3I7FAITEVVEQNARR3TNI/?outputType=theme_weekly-fuji
台湾総統選は東アジア情勢に影響 2024年は日本の正念場
(岩田明子)

  来年1月の台湾総統選の立候補者が先週出そろい選挙戦が本格的にスタートした。東アジア情勢に大きな影響を与えるため、日本にとっても重要な選挙である。「台湾統一」を目指す中国の習近平政権が選挙戦で世論操作を試みたり、選挙後に圧力を強めたりする恐れもある万が一の「台湾有事」も見据えて、日本は情勢を注視する必要がある。

  立候補を届け出たのは、与党・民主進歩党の頼清徳副総統と、最大野党・中国国民党の侯友宜新北市長、第2野党・台湾民衆党の柯文哲前台北市長の3人。国民党と民衆党は候補の一本化を探ったが、手法をめぐり折り合いがつかなかった。
  この結果、頼氏が優位な構図が固まった。頼氏は蔡英文総統の後継者であり、中国とは距離を置く政治家として知られている。21日に立候補手続きを済ませた頼氏は「親中の道を歩まない。国際社会の一員としてしっかり責任を果たしたい」と語った。この発言が、野党から「戦争をあおっている」と批判を浴びた。
  頼氏に比べて穏当とされる蔡氏は、外交に力を入れて米国との関係強化に成功した。一方で、米台接近を警戒する中国との軋轢(あつれき)の回避に気を配った
  昨年8月、ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が訪台し、蔡氏と会談。これに反発した中国は、台湾を取り囲むように大規模な軍事演習を強行した。ペロシ氏の後に下院議長となったケビン・マッカーシー氏は就任前、台湾を訪問する考えを示していたが、結局は今年4月、米ロサンゼルスで蔡氏と会談する形となった。
  ペロシ氏の台湾訪問後、中国軍の戦闘機による台湾海峡の「中間線」越えが常態化していたが、再び、現職の米下院議長が訪台すると、中国の反発がエスカレートする恐れがあった。このため蔡氏とマッカーシー氏との会談場所がロサンゼルスになったことについて当時、「蔡氏は、米国とかなり緻密にすり合わせを行った」と指摘されていた。

  独立志向の強い頼氏が選挙戦で優位に立ったことで、中国の反発はより強まる可能性がある。今回の総統選でも、中国の「影」をうかがわせる動きが起きていた。
  無所属での出馬に必要な署名を集めた大手企業「鴻海精密工業」の創業者、郭台銘氏が24日、不出馬を発表した。その一因として、野党票の分裂を嫌う中国当局が、中国にある鴻海の拠点を税務調査し、圧力をかけたとの見方もある。総統選と同時実施される立法委員(国会議員)選で、中国が、民進党を過半数割れに追い込む狙いから偽情報の拡散などを通じて介入を強化する可能性も指摘されている。
  来年は台湾総統選に加え、秋には米大統領選も予定されている。台湾と米国のトップがどのような組み合わせになるかという部分も、東アジアの安全保障に影響する。
  こうした情勢の中で日本は、米国との関係を強めつつ、台湾とも従来通り向き合い、中国が台湾統一に向けて力で突き進むことのないよう、安定した関係構築に努力しなければならない。またASEAN(東南アジア諸国連合)やインドなどのグローバル・サウスの国々との連携強化も必要
となってくる。2024年は、日本にとって、今まで以上に「したたかで重層的な外交」が求められる一年になるのではないか。

岩田 明子いわた・あきこ
  ジャーナリスト・千葉大学客員教授、中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。昨年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。


2023.11.01-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20231101-OYT1T50298/
郭台銘氏、台湾総統選に向け集めた署名を提出…立候補資格に必要な29万人分超えたか

  【台北=園田将嗣】来年1月の台湾総統選に無所属での立候補を予定している 郭台銘  鴻海 精密工業前会長は1日、正式立候補に向けて集めた署名を選挙委員会に提出した。署名数は明らかにしていないが、立候補資格に必要な約29万人分は超えているという。

  郭氏郭氏は提出後、「台湾には変化が必要だ」と強調し、「全ての署名が私たちに対する責任と励ましだ」と語った。は提出後、「台湾には変化が必要だ」と強調し、「全ての署名が私たちに対する責任と励ましだ」と語った。
  総統選は、与党・民進党の 頼清徳 副総統が優位に進め、最大野党・国民党の 侯友宜 新北市長と、民衆党の 柯文哲 前台北市長が追っている。国民党と民衆党が総統候補者の一本化を視野に入れた協議を進めており、氏が野党共闘にどのように関わるかが注目されている。


2023.10.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231015-UC3QI66JSJBCZKUPWLA4CSZ25M/?outputType=theme_weekly-fuji
現実化する「台湾有事」 習氏「現在は100年に一度の大変革期」
(峯村健司)

  イスラエル国会は12日、戦時下の「挙国一致内閣」を承認した。同国で1300人以上が犠牲となった大規模テロを実行したイスラム原理主義組織ハマスの掃討に向けて、今後、地上侵攻の準備を加速させる。ジョー・バイデン米政権は、イスラエルと、ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援する「二正面作戦」を展開する姿勢だが、懸念されるのは日本や台湾がある東アジアだ。中国の習近平政権は「現在は100年に一度の大変革期」という認識のもと、自国に都合のいい国際秩序を構築しようとしている。キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、峯村健司氏が、現実化する「台湾有事」に迫った。

  半年ぶりに台湾に出張している。台湾の中国政策のほか、3カ月後に迫った総統選の情勢を探るため、当局者や研究者らと意見交換するためだ。台北市の総統府前で10日、台湾が「建国記念日」と位置付ける「双十節」の式典が開かれた。
  「平和が台湾海峡両岸の唯一の選択肢だ。現状維持をそれぞれの最大公約数にすることが、平和を確実に保つカギになる」
  蔡英文総統はこう力強く訴え、中国との平和的な解決を求めた
  だが、中国の習政権は軍事力を使った「台湾併合」にかじを切っている。習国家主席は昨年10月に開かれた5年に1度の共産党大会での政治報告で、「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」としたうえで、「決して武力の使用を放棄することはしない」と言明している。
  中国共産党が、これまでの「平和統一」から強硬姿勢にかじを切っている背景について、筆者が監訳をした『中国「軍事強国」への夢』(文春新書)で、著者の劉明福・中国国防大学教授(上級大佐)は次のように解説している。

  「台湾当局は、米国による『平和統一』という庇護の下、長期的に中国による『武力統一』を阻止し、中国の『平和的分裂』状態を維持してきた。このことは、中国が長期にわたり国家統一を成しえなかった背景でもある」
  つまり、「平和統一」による現状維持とは米国による押しつけであり、中国共産党は自らの意思と方法で併合に向けて動く考えを示しているのだ。
  一部の有識者らがいう、「多くの台湾の人々は現状維持を望んでいるので有事は起きない」という主張に根拠が乏しいことが分かるだろう。先週まで訪れていたワシントンで意見交換をした米政府当局者らも、習政権の3期目が事実上終わる2027年までに、「台湾をめぐり危機が起きかねない」という認識でほぼ一致していた。こうした危機感は、米国の同盟国である日本にも共有されつつあるようだ。
  木原稔防衛相は4日、ロイド・オースティン国防長官と米ワシントンで会談した。日本政府が導入する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入時期を、26年度から1年前倒しして、25年度とする方針で一致した。
日本も「ミサイル」前倒し検討
  さらに、木原氏は10日の記者会見で、26年度の配備開始を目指している国産の長射程ミサイルについて、全種類で時期を前倒しできないかどうか、防衛省内で検討したことも明らかにした。
  中国は、日本を射程に収める地上発射型の中距離ミサイルを1250発以上保有しているとみられる。一方、米国はロシアと締結していた中距離核戦力(INF)全廃条約に基づき、射程500~5500キロの地上発射型中距離ミサイルを持っていない。一連の動きは、いずれも台湾有事が27年までに起こることを念頭に、中国と日米との「ミサイルギャップ」を埋めるための措置といえる。
  昨年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻は長期化しており、今月7日にはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスが、イスラエルに大規模軍事攻撃を始めた。
  習氏が言うように、国際秩序は「100年に一度の大変革期」に入ったと言っていいだろう。それは、東アジアも例外ではないのだ。


2023.10.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231009-W4GLUPGHDNMXLKDHIDQ2IMQ34U/
台湾、気象衛星打ち上げ 初の自主開発

  台湾が初めて自主開発した気象衛星「トリトン(猟風者)」が台湾時間の9日、南米フランス領ギアナから、フランスに本社を置くアリアンスペースのロケットで打ち上げられ、予定の軌道に入った。宇宙開発を担当する「国家宇宙センター」が発表した。

  開発には台湾の20以上の企業・研究機関が参加し、主要部品の8割以上が台湾製という。海面の風速などを観測する。
  台湾は2017年に初めて自主開発した地球観測衛星「フォルモサット5号」を打ち上げている。(共同)


2023.10.02-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014213591000.html
台湾初の自主建造潜水艦 中国への機密漏えい疑惑 検察が捜査へ

  台湾が初めて自主建造した潜水艦の機密中国に漏えいした疑惑が浮上し、台湾の検察が捜査に乗り出すことになりました。この潜水艦は、台湾南部の高雄にある造船所で2020年から建造されていたもので、先月28日、蔡英文総統も出席して進水式が行われました。

  この潜水艦をめぐっては、建造を指揮した元参謀総長が、一部の台湾メディアに対し、国会議員にあたる立法委員の中にプロジェクトを終始妨害した人物がいるとか、落札できなかった業者が機密資料を中国に漏らしたなどと話し、その内容が報じられていました。
  こうした報道について台湾の最高検察署は2日、「国家の安全と国防の機密にかかわるもので、各界の重大な関心を引き起こしている」として、高等検察署と台北地方検察署に対し、迅速に捜査するよう指示しました。最高検察署は、疑惑の詳しい内容や具体的な人物の名前などには言及していません。
  潜水艦を自主建造して実戦配備することは、台湾周辺海域で空母などの活動を活発化させている中国軍に対し、抑止力の向上につながると期待されているもので、捜査の行方が注目されます


2023.09.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230918/k10014199141000.html
台湾 周辺空域で活動確認の中国軍機 24時間でのべ100機超は初

  台湾国防部の発表によりますと、18日朝までの24時間に台湾周辺の空域で活動が確認された中国軍機の数が初めてのべ100機を超えました。台湾国防部は「破壊的な行為」だとして中国側に即刻停止するよう求めました。

  台湾国防部の発表によりますと、日本時間の18日午前7時までの24時間に、のべ103機の中国軍機が台湾周辺の空域で活動し、このうちのべ40機が台湾海峡の「中間線」を越えたり、台湾の南西や南東沖の防空識別圏に入ったりしました。
  このうち中国の戦闘機である殲16の一部と早期警戒管制機の空警500の一部は、台湾海峡の「中間線」を越えたあと、フィリピンの間のバシー海峡を通過して台湾の南東の太平洋上空まで達したほか、空中給油機の運油20も台湾本島最南端の恒春半島沖まで飛行したということです。
  台湾周辺の空域で活動が確認された中国軍機の数が1日でのべ100機を超えたのは、台湾国防部が今の形式で発表するようになってからでは初めてです。
  台湾国防部はコメントを発表し「中国軍が軍事的な嫌がらせを続けることは、緊張の急激なエスカレートと地域の安全の悪化を容易に招く」と非難した上で、中国当局に対し「責任を持って、こうした破壊的で一方的な行為を即刻停止するよう呼びかける」としています。


2023.08.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230812-TGCRCPY3Z5MLPM6D747MJ2AY6A/
台湾の副総統、南米へ出発 NYなど経由 中国反発

  【台北=矢板明夫】台湾の頼清徳副総統は12日、南米パラグアイで15日に行われる大統領就任式典に出席するため、台北を出発した。往路でニューヨーク、復路でサンフランシスコと米国を経由し18日に台湾に戻る。

  頼氏は来年1月に行われる総統選の与党、民主進歩党の候補者で、外遊先で米国の要人と会談するか注目される。中国は米国への立ち寄りに反対しており、12日から14日まで東シナ海で軍事演習を実施すると発表した。
  頼氏は出発前、今回の訪問で「台湾とパラグアイの友好関係の深化」に加え、国際社会における台湾の支持拡大を達成したいと表明した。
  パラグアイは南米で唯一、台湾と外交関係を持つ国。近年、中国の圧力で、ニカラグア、ホンジュラスなど台湾と外交関係のあった国々が台湾と断交し、中国と国交を樹立している
  4月に行われたパラグアイの大統領選も、親中派と親台派の戦いとなった。野党連合の候補が中国との外交関係樹立に向けて台湾との関係見直しを訴えたが、台湾との外交関係維持を明言する与党のペニャ元財務相に敗れた。
  一方で、頼氏は与党の総統候補として、台湾の最大の支援国である米国から支持を取り付けたいとの思惑もある。台湾メディアによると、米国は「現状維持」を主張する蔡英文政権と良好な関係を築いているが、かつて「台湾独立」を主張したことがある頼氏の外交・対中政策を不安視する向きがあるという。頼氏は最近、「蔡政権の外交政策を継承する」と繰り返し強調している。今回の訪米について「面接を受けに行く」と表現するメディアもあった
  台湾当局が発表した頼氏外遊の公式日程に、米国要人との会談は含まれていない。台湾大手紙の政治部記者は「総統選が近づいており、中国を刺激しないため米側との接触があっても公表しないだろう」と話している。


2023.08.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230804-NQBSS6ZJMBJGPAWOLKXOFCV2IA/
中国演習1年、台湾に変化 副総統の訪米批判もなく 経済は「脱中」
(台北 矢板明夫)

  昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に反発した中国台湾周辺で大規模な軍事演習を開始して4日で1年演習は中国に対する台湾の警戒を一気に高め、外交や防衛、経済などさまざまな分野で変化をもたらした。

  台湾の総統府は2日、外交関係を持つ南米パラグアイの大統領就任式への出席を目的とした頼清徳副総統の外遊を発表。12~18日の日程で、往路で米ニューヨーク、復路で米サンフランシスコを経由。米側要人と会談する可能性がある。
  頼氏は来年1月に行われる総統選の与党、民主進歩党の候補であり、投票約5カ月前の訪米に中国外務省は「断固として反対」と反発した。以前であれば台湾でも最大野党、中国国民党の関係者や親中派メディアが「中国を刺激すべきではない」と批判するところだが、今回はそうした声はほとんど聞かれない
  昨年夏のペロシ氏訪台以降、米台間の要人の往来は従来以上に活発になった。2020年1月の前回総統選で国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)候補は「経済は中国、安全保障は米国に頼る」と、米中間での「等距離外交」を主張した。
  だが、次回総統選の主要3候補はいずれも「米国との関係を最も重視している」と強調している。
  経済の「脱中国」も顕在化しつつある。台湾のシンクタンク、中華徴信所によれば、今年1~4月の台湾の対中投資は約9億ドル(約1280億円)で、このペースでは通年で40億ドルを下回り、03年以降最低となる可能性がある。中華経済研究院の研究者、王国臣氏は「中国の景気低迷などの理由もあるが、台湾社会の対中不信が強まったことも関係している」と指摘した。

  台湾人の防衛意識にも変化が出てきた。ロシアによるウクライナ侵略の影響もあり、「戦争はいつでも起きる」と認識が広がったようで、市民に軍事的な専門知識や技術を教える民間団体が増加した
  その中で注目されるのが「黒熊学院」。大手企業、聯華電子(UMC)の創立者、曹興誠氏が巨額の寄付を行い、3年間で300万人の「黒熊勇士」と称される民兵の育成プロジェクトを発表した。学院関係者によれば、各地で週末に開催する授業には申し込みが殺到し、講師が足りない状態が続いている。
  蔡英文政権が昨年末、18歳以上の男子に義務付ける兵役期間を4カ月から1年に延長することを決めた際も、大手シンクタンク、台湾民意基金会の世論調査で73%が賛成した。台湾大学名誉教授の明居正氏(政治学)は「ペロシ氏訪台(と中国の軍事演習)は台湾の人々にとって国際社会や中国との関係を再考する契機となった。米国と連携して中国の脅威に対抗する気持ちは一層強くなった」と話している。(台北 矢板明夫)


2023.07.24-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230724-E72GCEZHLRP25HNIIMCVHZIA7A/
市民対象の防空演習も 台湾、中国軍の攻撃に備え訓練

  台湾で中国軍の攻撃に備えるため軍事演習「漢光39号」と一般市民も対象にした防空演習「万安46号」が24日始まった。漢光は28日までで、万安は27日まで。両演習は年1回実施されている。漢光は中国から攻撃を受けた際の戦力温存や、海上での迎撃作戦などを訓練するのが目的。

  24日の漢光は台湾西部の空軍基地が攻撃を受けたとの想定で、軍用機を東部の基地に移動させる演習などを実施した。
  一方、万安は4地区に分けて実施。初日の24日は台北市を含む北部地区で行われた。台北市では演習開始の午後1時半(日本時間同2時半)になると、サイレンが鳴り響き、市民のスマートフォンには近くの避難場所に移動するようメッセージが届いた。車両も道路の端に停車し、演習が終わるまでの30分間、街中は人けがなくなった。(共同)


2023.07.23-産経新聞(夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20230723-UT4VSMN2YRG4RLXAGDNMWJJSTI/?outputType=theme_weekly-fuji
米中台、演習から一気に「台湾有事」展開も 緊迫情勢伝えない日本のメディア
(峯村健司)

  透き通るような青みを帯びた空を横切るように、薄灰色の軍用機がひっきりなしに行き交った。米海軍の対潜哨戒機P―8A「ポセイドン」の姿も確認できた。
  筆者は先週末、沖縄県那覇市に出張した。足を延ばして米軍嘉手納基地(嘉手納町など)も訪れた。中国と対峙(たいじ)する東アジア最大の米軍基地の動向を探るためだ。定期的に基地を訪問しているが、この日に飛行していた軍用機の数は、これまで見たことがないほど多かった。

  台湾国防部の発表を見て合点がいった。
  中国軍の艦艇16隻が14日、台湾を取り囲むように周辺の海域で軍事演習を実施した。艦船数としては最多で、ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)の訪台後に実施した昨年8月の大規模演習を上回る規模といえる。またこの日、空中では延べ15機の中国軍機が台湾周辺を飛行し、うち3機が台湾南西の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。
  中国共産党系機関紙、人民日報系の「環球時報」によると、一連の演習は北部、南部の両戦区が合同で実施したもので、「台湾を包囲する能力を示すもので、台湾東岸での上陸を想定したものだった」と解説している。
  その前日(13日)にも、中国軍の30機の軍用機と9隻の艦艇が台湾周辺で演習を実施している。昨年8月以降、台湾周辺で活動した中国軍機は5300機を超え、中国軍による台湾周辺での演習は、ほぼ連日行われている状況となっている。
  これに対し、米軍や台湾軍の動きも活発になっている。米海軍によると、「ポセイドン」は13日に台湾海峡の上空を飛行した。筆者が嘉手納基地で目撃したのも、中国軍の演習に関連した作戦行動のようだ。中国軍東部戦区司令部は「同戦区の部隊は常に厳戒態勢にあり、国家の主権と安全、地域の平和と安定を断固として守る」との声明を発表した。
  台湾軍も今月24日から5日間、台湾全土で中国軍による軍事侵攻を想定した軍事演習「漢光」を実施する。台湾国防部の報道官は演習について、「ロシア・ウクライナ戦争から教訓を得た内容で、あらゆる場所が戦争になり得る」と指摘した。海岸部や港湾、空港の防衛のほか、反攻作戦も想定した訓練となるという。
  台湾周辺をめぐり、中国軍と、米軍・台湾軍との対立が緊迫化してくると、両軍の軍用機や艦艇による衝突から有事に発展するリスクが高まる。中国軍が演習から台湾への軍事侵攻を一気に展開する可能性も否定できない。
  にもかかわらず、こうした緊迫した情勢を日本メディアはほとんど伝えていない。こういう状況を知らないまま、「台湾有事」が起こるか、起こらないかという議論をしても意味はない、と筆者は考える。実際の軍事行動をしっかりと把握して客観的な分析をすることこそが重要なのだ


2023.04.22.-Rti(Radio Taiwan International )-https://jp.rti.org.tw/news/view/id/96909
台湾の出版社編集長が中国で消息絶つ
(編集:王淑卿)

  台湾の読書共和国出版グループ傘下の八旗文化の富察(李延賀)・編集長が今年3月、親族訪問のため、中国大陸に赴いた後、消息を絶ちました。上海で逮捕されたとされています。

  八旗文化出版社の作者とスタッフは22日、北京当局に対して富察・編集長を早期釈放するよう呼びかけました。遼寧省出身の満洲人である富察・編集長は中国の大学で博士号を取った後、出版編集の仕事をしていた頃に台湾人女性と出会い、結婚し、2009年に台北に移住しました。台湾国際放送の運営母体である、中央放送局のラジオ番組のパーソナリティも務めています。中央放送局の頼秀如・董事長は、放送局の代表者として、この声援活動に参加しています。
  八旗文化出版社の一部の作者とスタッフは次の声援声明を発表しました。
  『読書共和国傘下の八旗文化』の編集長である李延賀氏(ペンネーム:富察)が、上海で中国の関連機関に「監視居住(軟禁に近い意味)」され、自由を失い、家族も弁護士も本人に会えないと聞いて驚きました。
  「八旗文化」の作者、翻訳者、編集者、スタッフである我々は、過去数年間、富察(李延賀)氏と仕事をしてきました。富察氏は、読書と出版を熱愛しており、編集という仕事に対して情熱を抱き、すべての時間と精力を知識の普及と文化の啓蒙に注いでいます。常に積極的で、楽観的な態度で人生と仕事に向き合っています。
  台湾の自由な環境の中、富察氏は、世界各地に散在している広大な中華圏の読者に奉仕するため、積極的に取り組んでいます。
  台湾における出版の自由、学術の自由、言論の自由は、空気のように、すべての読者、作者、翻訳者、編集者の日常生活の一部になっています。富察・編集長リードの下、「八旗文化」の出版物が非常に多元的になり、世界の中華圏の読者に好まれています。言論の自由と出版の自由を享受している富察・編集長には罪はないと信じています。
  中国当局に呼びかけたいです。富察・編集長が一日も早く家族と一家団欒でき、大好きな出版社の仕事に戻れるよう、富察・編集長を早期釈放するよう呼びかけています。
(編集:王淑卿)


2023.04.01-dmenuニュース-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2023040101000206
米「裏庭」切り崩す中国 中南米、台湾と断交ドミノ

  【サンパウロ共同】台湾の蔡英文総統が3月31日、外交関係のあるグアテマラに到着し、ジャマテイ大統領と会談、隣国ベリーズを含む中米訪問を開始した。中米ではホンジュラスが台湾と断交し中国と国交を樹立したばかり。米国の「裏庭」とされる中南米で、中国は台湾の外交関係の切り崩しを加速させており、蔡氏は断交ドミノを食い止めたい考え

  台湾と外交関係を持つ国は13カ国と過去最少になり、うち7カ国が中南米・カリブ海地域にある。その中でグアテマラは、人口や国内総生産(GDP)で最大。ベリーズは英連邦の一員で日本も駐在官事務所を置き重視する国だ


2023.03.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230327/k10014021221000.html
台湾 馬英九前総統が中国訪問を開始 総統経験者の訪中は初

  台湾の最大野党・国民党に所属する馬英九前総統が、27日から中国への訪問を開始しました。台湾の総統経験者の訪中は初めてで、中国側は歓迎していますが、与党・民進党は国際社会に誤ったメッセージを発するものだ批判しています

  馬前総統は、27日から来月7日まで、国民党が中国大陸を治めていた時期に首都としていた南京や、自身の先祖の出身地の湖南省などを訪問します。馬前総統には台湾の青年らも同行し、中国の学生らと交流するということです。
  出発を前に、馬前総統は「若者の熱意ある交流によって、台湾海峡両岸の雰囲気が改善し、より早く平和が訪れることを願っている」と述べました。
  馬前総統は27日夕方、上海の空港に到着し、高速鉄道に乗り換えて、夜は南京に宿泊します。
  台湾の総統経験者の訪中は初めてで、馬前総統が「中国大陸と台湾はともに1つの中国に属する」という立場でもあるため、中国側は歓迎していて、高官との会談の可能性もあります。これに対し、「1つの中国」を受け入れない民進党は、中米のホンジュラスが中国と国交を結んで台湾と断交したことも念頭に、「今のタイミングで中国を訪問するのは、融和主義そのものであり、国際社会に誤ったメッセージを発するものだ」と批判しています。
  空港では、中国との統一を主張する団体が、馬前総統の訪中を支持する横断幕を掲げたほか、台湾独立を主張する団体が前総統の訪中に反対の声をあげて一時、騒然となりました。
  一方、蔡英文総統は今月29日からアメリカを経由地とする中米2か国の訪問を開始する予定で、アメリカではマッカーシー下院議長と会談することになっています。


2023.01.10-Beoomberg-https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-10/RO8MEOT1UM0W01
中国が台湾侵攻でも「早期に失敗」、米軍が反撃で-シンクタンク分析

  米ワシントンを拠点とするシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は9日、中国が台湾に軍事侵攻した場合、その企ては「早期に失敗」する一方、台湾と米海軍にも多大な代償を強いることになるとの机上演習の結論を公表した。

  CSISは「最も可能性の高い」シナリオとして、「中国による大規模な砲撃」にもかかわらず、台湾の地上部隊は敵の上陸拠点に展開する一方、米軍の潜水艦や爆撃機、戦闘機は日本の自衛隊に頻繁に補強されて、中国軍の水陸両用艦隊を迅速に無力化し、侵攻する中国軍は補給の増強や上陸に苦戦すると結論付けた。
  机上演習は計24回に及び、米軍の退役将軍・海軍士官、元国防総省当局者らが参加した。 

  CSISはその中で、日本の基地や米軍の水上艦を中国が攻撃したとしても「結論を変えることはできない」としつつも、「台湾が反撃し、降伏しないというのが大きな前提だ」と説明。「米軍の参戦前に台湾が降伏すれば、後の祭りだ」とし、「この防衛には多大な代償が伴う」と指摘した。
  さらにリポートでは、米国と日本は「何十もの艦船や何百もの航空機、何千もの兵士を失う」とともに、「そうした損失を被れば米国の世界的立場は多年にわたり打撃を受けるだろう」としている。
日本の役割
  CSISが主な分析結果として挙げたのは、米国として「日本との外交・軍事上の結び付きを深化」させる必要があるとの点だ。
  具体的には、オーストラリアと韓国も中国との広範囲の競争では重要な存在であり、台湾防衛でも一定の役割を果たすかもしれないが、「日本が要だ。在日米軍基地を使わなければ、米軍の戦闘・攻撃機が効果的に戦闘に参加するのは不可能だ」と論じた。

原題:Taiwan-Invasion War Game by US Think Tank Sees a Fast China Flop(抜粋)


2023.01.05-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c7565b492891f00f9d1ad832c3973c74d88c81f1
台湾の元将校ら中国に機密漏洩 軍配置など 7人立件

  【台北=矢板明夫】台湾高等検察署(高検に相当)の高雄分署は5日までに、「国家機密保護法」違反などの容疑で台湾軍の元大佐と現役将校の計4人を拘束した。中国情報機関の依頼で台湾軍の部隊配置や軍機の性能に関する情報を中国側に漏洩(ろうえい)した疑い。検察当局は既に保釈された3人を含む計7人が機密流出に関与したとして立件した。5日付の台湾紙、自由時報などが報じた。

  台湾の軍幹部が中国情報機関の協力者となったスパイ事件は毎年のように発覚している。昨年夏には元空軍少将と元陸軍中佐が検挙された。ただ、退役軍人に加えて現役将校6人が立件され、防衛の要とされる軍配置状況と軍機や軍艦の性能が漏れたことは珍しい。
  報道によると、拘束されたのは台湾空軍の元大佐1人と海軍や空軍の現役将校の3人。調べでは元大佐は退役後の2013年ごろから中国に渡り、中台間の貿易ビジネスに従事。その際に中国の情報機関関係者と接触し、協力者となった。
  台湾に戻った後は実体がない会社を立ち上げ、中国側から定期的に活動資金を受領。軍の元部下らを勧誘して中国側に渡すための情報を収集し、情報の重要度に応じて報酬を払っていたとされている。
  元大佐は中国側への1回の情報のやりとりで、報酬として20万~70万台湾元(約85万~約300万円)を受け取っていたという。 中国側に伝えた情報には台湾軍の部隊配置や軍機、軍艦の性能など重要な機密が含まれていたという。
  台湾当局は5日までに元大佐の自宅と複数の空、海軍の拠点を捜索した。 台湾国防部(国防省)の孫立方報道官は5日、記者会見し、「現場教育を徹底させ、再発防止に努める」とのコメントを発表した。
   軍事評論家の黄澎孝氏は事件を巡り、中国側が情報収集活動を活発させているとして、「事態は極めて深刻で、法律改正を含めた抜本改革が必要だ」と指摘している。



2022.12.27-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/taiwan-defence-idJPKBN2TB04H
台湾、兵役義務を1年に延長へ 中国の脅威に対処=当局高官

  [台北 27日 ロイター] - 台湾当局は中国の軍事的圧力の高まりに対処するため、兵役義務を現在の4カ月から1年に延長する計画を27日に発表する。高官が明らかにした。
  台湾総統府は、蔡英文総統が27日午前に安全保障会議を開き、民間防衛の強化について話し合うと発表している。その後、新たな民間防衛措置について記者会見を開くという。

  高官によると、蔡英文総統の安全保障チームは2020年から台湾の軍事制度の見直しを進めてきた。この軍事改革には米軍が使用している戦闘教育の導入や射撃演習の強化など、徴集兵向け訓練の向上も含まれる。新制度は24年に導入される予定という。
  徴集兵はまた、主要インフラの警備を担い、正規部隊が中国による侵攻の試みにより迅速に対応できる態勢を整えることを可能にする見通し。
  台湾国防部(国防省)はコメントを避けた。
  高官は「中国のさまざまな一方的行動が地域安全保障の主要な懸案事項になった」と語った。
  台湾は軍の徴兵制から志願制へ段階的に移行したが、中国が台湾に対する圧力を強めていることや、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、自衛の強化を巡る議論が高まっている。
  2年以上だった男性の兵役義務は中国との緊張が和らいでいた際に4カ月に短縮されてきた経緯がある。


2022.12.18-Rakuten Infoseek News(読売新聞)-https://news.infoseek.co.jp/article/20221218_yol_oyt1t50032/
中国が台湾に情報戦…「政権がTSMCを米国に売った」と揺さぶり

  【台北=鈴木隆弘】台湾企業が先端半導体の工場を米国に進出させることを巡り半導体産業の「脱台湾化」といった不安をあおる主張が広がり、台湾当局は中国が仕掛けた情報戦とみて警戒を強めている

   ターゲットは、半導体受託製造の台湾積体電路製造(TSMC)だ。世界シェア(市場占有率)は5割を超え、先端半導体に限れば9割にも及び、その動向は世界的に注目される
   米アリゾナ州で建設を進める先端半導体の工場は、米台協力を象徴するプロジェクトになっているが、生産コストが高く、米国の求めに応じた政治的な背景のある進出という否定的な見方は台湾でもある。
   偽情報を監視する台湾の民間団体「台湾民主実験室」によると、米メディアが10月、米国が台湾有事で優秀なエンジニアを避難させる可能性に言及した後、中国では、共産党機関紙傘下の環球時報などの官製メディアやSNSが「TSMCが米国の会社になる」「米国がTSMCをとろうとしている」との見方を広げた。11月下旬にTSMCが米工場を拡張する計画が明らかになると「民進党政権がTSMCを米国に売った」と沸騰した。
   こうした主張は、台湾で中国寄りのメディアや政治家らに影響を与え、半導体産業の「脱台湾化」や米国への「懐疑論」が議論される流れをたどっている。11月26日に投開票された統一地方選前には、野党が民進党政権を批判する材料になった。
   米工場が稼働しても、生産量はTSMC全体の4%にすぎない。王美花・経済部長(経済相)は今月9日、「脱台湾化」議論の広がりに「多くは中国メディアの誇張で、台米関係に影響を及ぼすのが狙いだ」と警戒感を示した。中国メディアは当局の統制下にあり、意図的に世論を誘導しているとみられる。台湾民主実験室は、統一地方選前に域外からとみられる情報約2900件を分析した。台湾で議論になっている社会や教育問題を利用し、中国のメディアやSNSが誇張して影響を与えようとするケースが目立ったという。
   情報戦を研究する沈伯洋・台北大副教授は「中国側は半年から1年をかけて台湾を分断する話題を準備し、徐々に誤った情報を信じ込ませている。当事者がどれほど釈明しても、すでに誤認している人には信じてもらえない。最大の目的は住民が政権や米国を疑うように仕向けることだ」と指摘し、巧妙化する手法に注意を呼びかけた。


2022.12.10-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20221210-JDXMCT7YK5PTLGFVIQEMQGSD3Y/
中国、台湾産ビールも禁輸 総統府「厳重な懸念」

  台湾の衛生福利部(衛生省に相当)食品薬物管理署は10日、中国が9日までに台湾産のビールやコーリャン酒(蒸留酒)、清涼飲料水などの輸入を停止したと明らかにした。総統府の報道官は10日「両岸(中台)の正常な貿易を損なうとの談話を発表し、「厳重な懸念」を表明した。

  中国関税当局は今月、台湾産のサンマやイカ、カツオなど水産物の輸入を禁止したばかり。中国が求める「一つの中国」を拒否する蔡英文政権に対する圧力の一環とみられる。
  台湾メディアによると、中国関税当局は台湾側が提出した輸出申請の登録情報に不備があったことを理由にしている。ただ、不備の具体的内容に関する台湾側の問い合わせには回答していない。
  農業委員会(農水省)は、水産品禁輸による影響は約60億台湾元(約266億円)に上るとの見通しを示した。

  中国は昨年にパイナップルなどの台湾産果物、今年6月には高級魚ハタやアジなどの台湾水産物をそれぞれ禁輸とした。(共同)


2022.11.27.-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221126/k10013904691000.html
台湾 統一地方選 与党敗北で蔡英文総統 党主席の辞任を表明

  26日に投票が行われた台湾の統一地方選挙で与党・民進党が敗れ蔡英文総統は自身が兼務してきた党のトップの主席を辞任する意向を表明しました。焦点となったのは、合わせて22の市長選挙と知事選挙の勝敗です。

  候補者の死去に伴って投票が延期された1つの市を除く21のポストのうち、選挙前に7つを占めていた与党・民進党は、離島の澎湖県を獲得した一方、桃園市など北部の3つの市を失いました。
  台北市長奪還もならず、全体では5つの市長と知事のポストを得るにとどまりました。
  今回の選挙では、民進党のトップの主席でもある蔡総統が「中国共産党大会のあとに行われる初めての選挙に全世界が注目している」と、対中関係を争点化しようとしたほか、事実上、政権の信任投票とも位置づけていましたが、有権者には受け入れられなかった形です。
  蔡総統は26日夜に記者会見し「所期の成果を挙げられなかった。台湾人民の決定を謙虚に受け入れる。私がすべての責任をとらねばならず、ただちに主席を辞任する」と述べました。総統の職にはとどまりますが、候補者の擁立を主導したため、党内での求心力は低下するとみられます。
  一方、最大野党・国民党は台北市で勝利したほか、桃園市などを民進党から奪い返し、6つある直轄市の過半数獲得という目標を達成しました。
  結果を受けて、与野党とも再来年の総統選挙の候補者選びに焦点が移っていくことになります。
台北市長選挙で国民党の蒋万安氏が勝利宣言
  台湾の統一地方選挙のうち、台北市長選挙で国民党の蒋万安氏が勝利宣言をしました。台北市長選挙には12人が立候補し、蒋万安氏と民進党の陳時中氏、無所属の黄珊珊氏による事実上の三つどもえとなりました。開票は続いていますが、中央選挙委員会によりますと蒋氏がリードしていて、さきほど支持者を前に勝利宣言をしました。
  一方、これに先立って陳氏と黄氏は敗北を認めました。国民党にとっては8年ぶりの台北市長奪還となります。蒋氏は初代総統・蒋介石のひ孫にあたり、今月10日まで日本の国会議員にあたる立法委員を務めていました。
選挙権の年齢 18歳以上への引き下げ成立せず
  台湾では、26日の統一地方選挙と同時に、選挙権の年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる憲法改正の是非を問う住民投票も行われましたが、賛成が有権者総数の過半数を下回り、成立しませんでした。
中国 政府報道官「結果は平和と安定を求める民意を反映」
  今回の結果について、中国国営の新華社通信は26日夜、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官のコメントを伝えました。
  この中で朱報道官は「結果は『平和と安定を求め、よい生活を送りたい』という主流の民意を反映したものだ」と評価しました。
  そのうえで「われわれは引き続き多くの台湾の同胞と団結し、両岸関係の平和で融合した発展をともに推し進め『台湾独立』の分裂勢力と外部勢力の干渉に断固として反対する」と強調し、中国政府が独立志向が強いとみなす民進党の蔡英文政権をけん制しました。


2022.11.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221125-PTMHA5IW35KANHWP6YSQE7FE3U/
中国共産党台湾へ「影響力工作」軍改革で活発化 中国安全保障レポート2023

  防衛省のシンクタンク、防衛研究所は25日、中国の安全保障に関する動向を分析した年次報告書「中国安全保障レポート2023」を公表した。報告書は中国が近年、情報活動で自国に有利な状況を作る「影響力工作」を活発化させ、台湾統一に向けた発信を強めている実態を示した。一方、中国と類似した活動を行うロシアがウクライナ侵攻で影響力工作に苦戦し、「中国がどう検討するか注目に値する」とも指摘した。

  報告書によると、中国では2015年から習近平国家主席が主導し、陸海空の指揮権限を地区ごとに付与するなど大規模な人民解放軍の改革を実行。党組織の関与を強め、党の意思を反映させやすい態勢にした。
  改革の中で情報収集、技術偵察、サイバー空間での攻防、心理戦などを担う「戦略支援部隊」を新設。専門部隊や党中央組織などが公式発信でのプロパガンダ(政治的宣伝)やソーシャルメディアでの情報発信などを活発に行い、影響力工作による「認知戦」を展開している。特に台湾統一に関する動きは活発で、地方選挙で親中派候補を当選させるなど一定の成果を挙げたとみられる。
  中国やロシアはもともと、影響力工作を活発に行う国として知られる。2014年のクリミア併合でロシアはプロパガンダを徹底し、最終的に住民投票でロシア編入を決定させた。
  だが、今年2月に始まったウクライナ侵攻では、米国が事前に警告を発信し、ロシアの奇襲攻撃の効果を下げたほか、ロシア側の偽情報を即座に否定することで情報戦における主導権を米国が渡さなかった。
  報告書は、ロシアの苦戦は「中国にとってショック」としたうえで「中国の影響力工作はロシアと類似した部分も多く、有効性に疑問が付されることになった」として中国側が何らかの対応を行う可能性を指摘した。


2022.10.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221005-KEDGP2EN6RJKHE5KAUCN3PDPVE/
「領空侵犯を第1撃とみなす」 台湾の国防部長

  【台北=矢板明夫】台湾の邱国正国防部長(国防相に相当)は5日、「中国の航空機やドローンが台湾の領空に侵入した場合、台湾側は中国による第1撃だとみなして、対抗措置を講じる」と表明した。

  邱氏は同日、台湾の立法院(国会)で、与党、民主進歩党の議員から「敵方(中国)の飛行機が領空に侵入した場合でも、第1撃とみなすか」と聞かれた際に「そうだ」と答えた。
  邱氏によれば、台湾側はこれまで敵の発砲を「第1撃」とみなしてきたが、中台両岸の軍事的緊張が高まったことを受け状況が変わり、敵の飛行機による領空侵入を「第1撃」とみなすようになった。邱氏はさらに「わが軍にはレッドラインがあり、(中国が)レッドラインを越えれば、対抗措置を取る」とも表明した。ただ、対抗措置の詳細については言及しなかった。
  中国軍機は近年、台湾海峡付近で挑発行為を繰り返しており、これまでに台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したほか、台湾海峡の中間線を越えたこともあったが、台湾の領空への侵入はなかった。だが、8月以降、中国の民生用ドローンが頻繁に台湾の離島、金門島の領空に侵入するようになった。9月1日に台湾軍による発砲で中国のドローン1機が撃墜された。
  邱氏の発言は「レッドラインを明確に示し、これ以上の挑発行為を行わないように」と中国軍を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。


2022.09.02-Yahoo!Japanニュース(テレ朝NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a33568d9fef91e4a88f5b2a16f6c207e809faf58
台湾軍がドローン撃墜 中国「危機あおる意味ない」

  台湾が実効支配する金門島付近で台湾軍が所属不明のドローンを撃墜したことについて、中国外務省は危機をあおることは意味がない」と強調しました。  

  金門島近くの海域で1日、所属不明のドローンが進入し、台湾陸軍が撃墜しました。  
  これについて中国外務省は1日、「状況を把握していない」として、ドローンが中国大陸側から飛来したかどうかについては言及を避けました。  
  そのうえで、危機をあおることは意味がないと述べ、冷静な対応を求めました。  
  アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問以降、金門島付近ではドローンが連日、確認されていますが、中国側は「中国のドローンが中国の領土を飛ぶことについて大げさに騒ぐ必要はない」と主張しています。
テレビ朝日


2022.08.30-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e1fd9b5a6cd3cff0c2e91ef7b9982b6541500e32
米、台湾に1500億円武器売却 圧力「常態化」対抗、対艦ミサイルも

  【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米政権が台湾向けに約11億ドル(約1500億円)の武器売却を検討している。米政治サイト、ポリティコが29日報じた。連邦議会に売却承認を申請し、認められる見込みという。

  売却案には対艦ミサイル60発、空対空ミサイル100発が含まれる。ペロシ下院議長の訪台後、中国が台湾への軍事的威圧を「常態化」しており、台湾の自衛力を支える武器売却を進めて対抗する姿勢を示す。
  米政権は、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻を抑止できなかった教訓から、議会も超党派で台湾の対中抑止力の向上を目的とする法案を準備している。

  ポリティコによると、計画には、対艦ミサイル「ハープーン」の空中発射型60発(3億5500万ドル相当)空対空ミサイル「サイドワインダー」100発(8560万ドル相当)監視レーダーの関連費用が含まれる。
  ミサイルは台湾空軍が保有する米国製F16戦闘機が搭載できる。 1979年に制定された台湾関係法は、平和的手段以外での台湾の現状変更の試みは「米国の重大な関心事」とし、「十分な自衛能力の維持」に必要な武器などの供与を定めている。

  ペロシ氏訪台以降、中国の軍用機や艦艇が中台間の事実上の停戦ラインである台湾海峡の中間線を越える事例が相次いでいる。中国側は侵攻能力を誇示するとともに、半導体の供給拠点である台湾の事実上の封鎖も念頭に置いて世界経済に揺さぶりをかけている。
  今回の売却案は、中国軍の威圧の阻止に不可欠な台湾の対艦、防空能力の向上を支援し「いかなる常態化の動きも容認しない」(米国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官)姿勢を示す狙いがある。
  議会では来月から、メネンデス上院外交委員長(民主)らが提案した「台湾政策法」案の審議が開始される。同法案は「人民解放軍による侵略」の抑止につながる防衛協力を規定。台湾を「NATO(北大西洋条約機構)非加盟の主要な同盟」の一員と正式に位置づけ、台湾の在米窓口機関「台北経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更することを盛り込んだ。
  米台関係をめぐり「79年の台湾関係法以来、最も重要な法律となる」(米紙ワシントン・ポスト)と注目されている。


2022.08.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220828-SKDEH67OVNO7DI43OD5MV66ICI/
米イージス艦2隻が台湾海峡を通過 中国の「現状変更」常態化を牽制

  【ワシントン=坂本一之】米海軍のイージス巡洋艦2隻が台湾海峡現地時間28日、通過した。第7艦隊(神奈川県横須賀市)が発表した。ペロシ米下院議長による今月2~3日の台湾訪問で中国軍が演習を実施後、初の米軍艦の航行となる。

  台湾海峡で航行作戦を実施したのはアンティータム」と「チャンセラーズビル」の2隻。第7艦隊は国際法に基づき航行の自由が適用される海域」とし、定期的な通過だと説明した。自由で開かれたインド太平洋への「米国のコミットメントを示すものだ」としている。
  今後の対応に関し「米軍は国際法が許す場所であればどこでも飛行し、航行する」と台湾海峡の航行を継続する方針を示した。
  バイデン米政権は、ペロシ氏の訪台に反発した中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を実施し、米国との軍事分野の対話を停止するなどしたため、中国への過度な刺激を避けてきた。
  8月上旬頃に予定していた大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験も延期し、日程をずらした。
  一方、バイデン政権は中国が台湾への軍事圧力レベルを引き上げて「ニューノーマル(新常態)」をつくり出そうとしていると批判。今回、従来と変わらず台湾海峡を米軍艦に通過させることで、中国の台湾を巡る「現状変更」を認めない姿勢を示す狙いがある。
  米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は12日、台湾海峡で米艦船を航行させる作戦を今後数週間で実施すると説明していた。


2022.08.26-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/aa13ea917ed6ee3be10acd9fef7cad9541d3a36c
米議員が台湾で蔡総統と会談 今月3回目の訪問団

  【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統は26日、訪台した米共和党のブラックバーン上院議員と総統府で会談した。

  蔡氏は会談で「最近、多くの米国の重要人物が訪台した台湾への力強い支援であり、私たちは台湾を守る決意を新たにしている」と強調。
  ブラックバーン氏も「私たちが独立と自由を守ろうとする台湾を支援することは何よりも重要だ」と応じ、台湾支持の姿勢を確認した。 今月だけで米国からペロシ下院議長、マーキー上院議員がそれぞれ率いた超党派議員団に続いて、3回目の議員訪台となった。

   会談でブラックバーン氏は、「米国と台湾は自由と民主主義という共通の価値観」を持っていると指摘した。同氏は蔡氏との会談に先立ち、ツイッターへの投稿で「私は共産党に決して屈しない。これからも台湾の自由と民主主義を支持する。習近平国家主席は怖くない」とした。
  ブラックバーン氏は南部テネシー州選出で、上院の軍事委員会や商業科学運輸委員会に所属。厳しい対中姿勢で知られている。

  台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)は26日の記者会見で、中国が台湾付近で大規模な軍事演習を実施したにもかかわらず、外国から多くの政治家が訪台していることについて、「台湾は国際社会からの支持を必要としている。中国の圧力に負けずに来てくれる友人たちを、心から歓迎している」と述べた。
  また、「香港の自由はすべて中国に奪われた。台湾は香港になってはいけない」と話した。 米国以外からは、日本の超党派議員連盟「日華議員懇談会」の会長、古屋圭司衆院議員が22日に台湾を訪問。カナダ、英国、ドイツなどの議員団も10月以降に訪台を計画している。


2022.08.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220816-6FY54QUMOVKYHOKPVDIC5MCU2I/
台湾セレクトショップ、日本で活発展開 日台の絆を強化-(黒川信雄)

  台湾の人気セレクトショップが日本でのビジネス展開を活発化している。昨春、「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市)に日本1号店をオープンした「神農(しんのう)生活」は今夏、東京、埼玉、高知などで期間限定店を相次ぎ開設。東京・日本橋で運営する「誠品(せいひん)生活日本橋」も今月、台湾で表彰されたブランド製品を集めた特設店を設置する。中国の軍事演習などで台湾をめぐる情勢が緊張する中、運営を担う日本側の企業は「日台の絆を強めることにつながれば」と期待を寄せる。

  セレクトショップとは、独自の視点で選んだ複数のブランドを取り扱う小売店のこと。
  神農生活は台湾各地の高品質の食品やお茶、雑貨などを集めた台湾の人気セレクトショップで、台北に2店舗がある。日本での運営はフランチャイズ契約を結んだ近鉄百貨店(大阪市)が手がけている。
  昨年4月、あべのハルカス近鉄本店へ日本1号店となる常設店をオープン。今年6月から9月にかけ、一気に首都圏(東京、埼玉)の3カ所、四国(高知、香川)の2カ所で特設店を展開する。特設店は大型商業施設などに置かれる。
  神農生活にはコロナ禍でも根強いファンが多かったといい、近鉄百貨店は今後の中核事業のひとつに育てたい考え。「常設店の(さらなる)開設も検討したい」(近鉄百貨店の森口正浩事業開発部長)とする。
  書籍、雑貨などを手がけるセレクトショップ「誠品生活」の日本1号店「誠品生活日本橋」は大型複合商業施設「コレド室町テラス」にあり、令和元年9月、書店国内大手の有隣堂(横浜市)が運営を始めた。

   今月18日から10月17日までは同店内で、台湾当局に表彰された、パソコンやスマートフォン、アウトドア関連などのブランド製品を販売する「台湾エクセレンス ポップアップストア」を開設する。
  このほか、伊勢丹新宿店(東京・新宿)では今月17日から30日まで、日本人実業家が1932年に台湾で設立した「林(はやし)百貨店」の特設店を設置。バッグ、財布などの雑貨類を販売する。日本は人口規模が台湾の約5倍ある上、日本人の台湾への親近感が強いため、台湾側からみると日本市場は魅力的だという。一方、日本側からみると、「台湾製品は技術力が高く、品質も良い」(有隣堂の担当者)。台湾旅行で店のファンになった日本人も少なくなく、台湾が親日的な点も製品の魅力を高めていると指摘される。

  台湾をめぐっては、周辺海域での中国の軍事演習などで緊張が高まるが、近鉄の森口氏は神農生活の事業拡大を通じ、「日台のつながりを強化できれば」と期待を寄せている。(黒川信雄)


2022.08.06-熊本日日新聞-https://kumanichi.com/articles/751322
中国、台湾本島攻撃の演習 連日の中間線越え

   【台北、北京共同】台湾国防部(国防省)は6日、中国軍の多数の艦船と航空機が台湾海峡で台湾本島を攻撃する模擬演習を実施したと発表した。前日に続き、一部は中間線を台湾側に越えた。台湾軍は海空部隊を配置して警戒を強化した。ペロシ米下院議長の訪台に反発した中国の大規模な「重要軍事演習行動」は3日目となり、「台湾統一」を念頭に圧力をさらに強めた。

 中国軍東部戦区も6日陸地への攻撃と海上への突撃の訓練を同日実施したと発表した。台湾国防部によると、5日の演習でも多数の艦船と航空機が中間線を越えた。中国軍が台湾側への進入を常態化させる恐れがある。


2022.08.03-日本経済新-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM034QG0T00C22A8000000/
ペロシ氏、蔡総統と会談「米台は団結」 台湾離れ韓国へ

  【台北=龍元秀明、北京=羽田野主】ペロシ米下院議長が3日、訪問先の台湾で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。ペロシ氏は「米台の団結を明確にするため訪問した」と述べ、台湾の民主主義を支える考えを強調した。蔡氏は謝意を示し「民主主義の防衛線を守る」と語った。訪問に強く反発する中国は、台湾を取り囲む形で軍事演習に乗り出す。ペロシ氏は3日夜、次の訪問先である韓国に到着した。

  米下院議長の訪台は1997年のギングリッチ氏以来、25年ぶり。米下院議長は大統領の継承順位が副大統領に次ぐ2位の要職だ。ペロシ氏は会談で「米国は揺るぎない決意で台湾と世界の民主主義を守る」と語った。

  中国本土と台湾が不可分だとする中国の立場に異を唱えないが、台湾の安全保障には関与する米国の「一つの中国」政策を尊重し「台湾への関与を放棄しない」と強調した。蔡氏は「自衛力を高め、台湾海峡の平和と安定に努力する」と述べた。
  ペロシ氏は会談後の共同記者会見で、米台の貿易協定が近く実現する可能性があるとの見方を示した。台湾積体電路製造(TSMC)などの半導体工場を補助金を出して誘致する米の新法については「米台の経済交流の扉を開くものだ」とアピールした。
  台湾は先端半導体の生産で世界の9割を占める。台湾メディアは蔡氏が3日開いた昼食会に、ペロシ氏に加え、TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏が出席したと報じた。

  ペロシ氏は2日夜に台北に到着した。中国への配慮から滞在を短時間にとどめるとの見方もあったなか、一晩を過ごしたのは台湾が歴訪先の他のアジア諸国と「同格」と示す狙いがあったとみられる。4日には日本を訪れる。
  ペロシ氏の訪台を受け中国は猛反発している。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は3日の異例の談話で「中国の平和的台頭をぶち壊すことは完全に徒労で、必ず頭を打ち付けて血を流す」とペロシ氏を非難した。謝鋒外務次官は2日深夜に米国のニコラス・バーンズ駐中国大使を呼び「強烈な抗議」をした。
  台湾の国防部(国防省)は3日、中国軍機27機が防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。うち22機が台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を、台北に近い北側で越えた。ペロシ氏訪問後、中国軍機の中間線越えが確認されたのは初めて
  中国人民解放軍は即座に対抗措置に動いた。2日夜から、海空軍やロケット軍、サイバー攻撃を担う戦略支援部隊などが台湾の北部、西南部、東南部の空海域で統合演習を実施している。
  4日から7日にかけては台湾を取り囲む6カ所で軍事演習を始める。演習場所は複数の箇所で台湾の「領海」と重なるうえ、台湾海峡の中間線上でも実施する。
  96年の台湾海峡危機の際の演習エリアは4カ所だったが、今回は2カ所増やした。台湾本島から約20キロメートルの空海域も演習エリアに指定されている。軍事的な緊張が高まるのは必至で、偶発的衝突も懸念される。

  主要7カ国(G7)外相は3日中国の「威嚇的な行動、特に実弾射撃演習や経済的威圧を懸念する」との共同声明を出した。
  中国は演習エリアへの船舶や航空機の進入を禁じている。ANAホールディングスは、5日と6日の羽田―松山(台北)便について、通常とは別ルートでの対応を検討する。バンコク便や香港便にも影響が生じる可能性がある。日本航空(JAL)も同様の対応をとる。日本郵船は台湾海峡の通航回避を検討するよう注意喚起を出した。
  中国は台湾への経済的な締めつけも強めている。中国税関総署は3日、台湾からかんきつ類や太刀魚などの魚類の輸入を停止すると発表した。商務省も同日、台湾向けの天然砂の輸出を止めると発表した。
  2日夕には台湾域外からのサイバー攻撃で、台湾総統府のホームページが一時閲覧不能になった。


2022.08.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220802-YM6OEWAUANNVBG74VUCBS5EZAA/
ペロシ氏が台湾到着 米下院議長25年ぶり訪台

  【台北=矢板明夫、ワシントン=渡辺浩生】アジア歴訪中のペロシ米下院議長は2日、専用機で台湾に到着した。AP通信が報じた。現職の米下院議長の台湾訪問は1997年以来25年ぶりとなる。ペロシ氏の訪台に反発する中国側は事前に台湾周辺での軍事的威圧を高め、訪台への対抗措置をとる構えをみせている。台湾をめぐる緊張が高まるのは必至だ

  ペロシ氏は2日午後11時45分ごろ、軍の人員輸送機で訪問先のマレーシアから台北市の松山空港に到着し、台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)が出迎えた。台湾メディアは、ペロシ氏が3日午前に立法院(国会)を訪問した後、蔡英文総統と会談、記者会見を行い、午後に韓国に向けて出発する予定だと報じている。
  下院議長は米国の大統領職継承順位で副大統領に次ぐ2位。前回の訪台はクリントン政権時代で、ギングリッチ下院議長(当時)が台湾の李登輝総統(同)と会談などした。
  ペロシ氏の訪台の可能性は報じられていたものの、米国、台湾とも事前に計画を発表しなかった。台湾の外交部(外務省)の欧江安報道官は2日、先立つ記者会見で、「発表できる情報はない」などとコメントを控えていた。
  ロイター通信は2日、関係筋の話として、中国軍機数機が台湾海峡の中間線に接近したと報道。一方、台湾軍は2日午前から4日正午まで戦闘警戒態勢を強化した。米海軍第7艦隊によると、米空母ロナルド・レーガンは7月31日現在、フィリピン海に展開。ロイターによると、2日には台湾の東方に位置しているという。中国軍の動向を警戒しているとみられる。

  米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、「下院議長には訪台の権利がある」と言明した。
  カービー氏はその上で、バイデン米政権として「一つの中国」政策を堅持し、中台両岸の一方的な現状変更行為に反対し、台湾の独立も支持しない姿勢に変更はないと強調。中国が台湾への軍事的威圧を強める「口実に利用する理由は何もない」と牽制(けんせい)した。


2022.05.14-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20220514-4WZ4226JOZIPVC7XSQGORF3QTI/
台湾WHO復帰支援法成立 米大統領が署名

  バイデン米大統領は13日、台湾の世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加復帰を後押しする法案に署名し、同法が成立した。米国務省に、復帰に向けた具体的な戦略策定を指示する内容。台湾のオブザーバー参加は、独立志向の蔡英文政権発足を受けた中国の反発により2017年以降実現していない。

  同法は「台湾の国際的な取り組みに対する中国の抵抗が増大している」と批判。新型コロナウイルス対策を含めて、台湾は世界の公衆衛生に貢献しており、国際的な協力から排除すべきではないと指摘している。
  上院が昨年8月、下院が今年4月下旬にそれぞれ可決していた。(共同)


2022.04.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220421-X4PUS53DHZMGLJPXCPLGDYNC6A/
〈独自〉台湾、射程1200キロ巡航ミサイル配備へ 上海射程、対中抑止力強化
(田中靖人)

  台湾が最大射程1200キロの巡航ミサイルの量産を近く開始することが21日、分かった。台湾当局の高官が産経新聞の取材に明らかにした。台湾本島から発射した場合、中国大陸の上海が射程に入るロシアによるウクライナ侵攻を受けて中国が台湾に武力侵攻する可能性に関心が集まる中、この時期の情報開示は中国に対する抑止力の強化を図る狙いがありそうだ。

  台湾が量産を開始するのは、射程1000~1200キロの地上発射型巡航ミサイル「雄昇」。弾頭は高性能爆薬型と広範囲を破壊する集束型の2種類で、目標は都市部ではなく中国軍の指揮所や滑走路などの軍事施設、台湾侵攻部隊の集合地点だとしている。配備済みの巡航ミサイル「雄風2E」(推定射程約600キロ)の射程延長型で、目標までの通過地点を設定できるため防空網を突破する能力も向上しているという。
  雄風2Eは、台湾侵攻時に中国大陸の台湾海峡沿岸部に集結する中国軍の部隊など「策源地」への攻撃が主目的。雄昇が実戦配備されれば、台湾側はさらに後方の部隊や弾道ミサイル基地などを攻撃できる。また、中国最大の経済都市、上海が射程に入ることで、中国の政治・軍事指導部への心理的な圧力も高まる。
  「雄昇」を巡っては、蔡英文政権が昨年11月、立法院(国会に相当)に提出した今年度から2026年度の「海空戦力向上特別予算」に項目だけが記載された。その後、与党、民主進歩党寄りの台湾紙、自由時報が今年3月、関係者の話として、射程に加え100発以上の生産計画があることを報道。立法院の外交・国防委員会に所属する立法委員(国会議員)らが昨年10月に国防部(国防省)系の研究開発機関「中山科学研究院」で秘密裏に説明を受けたとも報じていた。

  民進党で同委員会に所属する王定宇立法委員は20日夕、自身のフェイスブックに、「メディアが報じた軍の公開資料」が根拠だとして「雄昇」が「近く量産に入る」と投稿したが、台湾の国防部はこれまで関連の情報を公開していない。(田中靖人)


2022.03.14-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1c934177feb10871ec82228e55d15946f691e062
台湾 予備役の射撃訓練を公開

  【台北=矢板明夫】台湾の国防部(国防省に相当)は14日、有事の際に動員される「予備役」の射撃訓練をメディアに公開した。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、台湾の防衛態勢を内外にアピールした形だ。 台北市北部の射撃場で行われた訓練には、数年前に退役した20代後半と30代前半の男性らが参加した。今回の訓練は5日から18日まで14日間連続して実施され、射撃のほか、移動や食事なども訓練の内容に含まれているという。 ある参加者は「みんなの士気はとても高い。自分の故郷を守る決意を新たにした」と話した。
  蔡英文総統は12日に同訓練を視察し、台湾の安全を守るためには「国際社会の支援だけでなく、全住民の一致団結が必要であることは、最近のウクライナ情勢が改めて証明した」と述べた。


2022.02.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220225-UXDSLOR2P5JLNJOGKHG5R75Q4Q/
台湾、対露制裁を表明 半導体関連輸出規制か

  台湾の外交部(外務省に相当)は25日、ロシアがウクライナを侵攻したことについて「武力を使用して一方的に現状を変更することに反対する」との声明を出すとともに、ロシアに対し、経済制裁を科す方針を表明した。台湾メディアは「半導体関連製品のロシアへの輸出規制などを検討している」と伝えた。蔡英文総統も同日、フェイスブックで「台湾も国際社会によるロシア制裁に参加する」と表明した。


2022.02.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220210-MOMYKQHUKVJYBJFOT7HDF3DGDA/
中国、リトアニア牛肉禁輸 台湾「厳正な非難」表明

  台湾の外交部(外務省に相当)の欧江安報道官は10日の定例記者会見で、中国がバルト3国のリトアニアに対する圧力として、同国産の牛肉の輸入禁止を9日に一方的に発表したとして「厳正な非難」を表明した。台湾とリトアニアは中国対抗で一致し、関係を深めている

  欧氏は「中国は悪質な手段でリトアニアに圧力をかけ、ルールに基づく世界の貿易秩序を破壊している」と指摘し、台湾が欧米各国とともにリトアニアを支持していく立場を表明した。
  リトアニアは昨年7月に台湾と相互に代表処(代表部に相当)を設置することで合意。台湾は11月に首都ビリニュスに欧州で初めて「台湾」の名称を用いた代表処を立ち上げた。中国はリトアニアとの外交関係を格下げするなど猛反発している。(共同)


2022.01.06-BBC News Japan-https://www.bbc.com/japanese/59890602
台湾、中国の圧力受けるリトアニアに投資 2億ドルの基金設立へ

  台湾は5日、リトアニアへの投資を目的に、2億ドル(約230億円)規模の基金を設立すると発表した。リトアニアは昨年、台湾の事実上の大使館設置を認めたため、中国から外交・通商面で圧力を受けており、台湾が支援を表明した格好だ。

  台湾は、リトアニアに対する最初の投資を今年後半に実施することを目指していると説明した。資金は開発基金と中央銀行が出すという。基金について発表した台湾外交部(外務省に相当)の曽厚仁政務次長は、リトアニアに対して、「困難を抱えているあなた方を私たちが支える時だ」と述べた。
  中国はリトアニアについて、台湾の代表機関の設置を認めたとして、昨年11月に外交関係を格下げした。同機関の名称には、多くの国が中国に配慮して使用する「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」が用いられた。

  リトアニアでの台湾の代表機関設置は、双方が正式な外交関係をもつことを意味するわけではない。だが、双方が関係を深めるサインと受け止めることができる。
  台湾にとってリトアニアでの外交機関の開設は、ヨーロッパで18年ぶりとなった。中国の圧力のため、台湾と正式な外交関係をもつ国はわずかしかない。リトアニアは台湾と関係を保つ権利を主張している。だが、中国が掲げる「1つの中国」の方針を尊重するとしている。
ラム酒を2万本購入
  台湾は最近、リトアニアが中国に売る予定だったラム酒のボトル2万本を購入した。中国が輸入を拒む可能性があると知り、台湾タバコ酒株式会社が買い取ったと、台湾当局系メディアは報じた。
  これを受けて台湾当局は、ラム酒の飲み方や料理での使い方について、市民向けに情報発信している。
  一方で中国は、リトアニアとの貿易を妨害したことはないと主張している。だが欧州連合(EU)は、中国の税関当局が輸入品の流れを抑えていることを証明する報告があるとしている。
  中国はこれまでも、対立する国に対して、非公式に貿易面で制裁を科してきた。現在、オーストラリアが輸出する牛肉やワイン、大麦など十数の物品の購入を拒んでいる。リトアニアにとって中国への輸出は、輸出全体の1%ほどに過ぎない。


2022.02.04-Yahoo!Japanニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/nojimatsuyoshi/20220204-00280221
なぜ台湾は五輪で「チャイニーズ・タイペイ」なのか

中華台北、それとも、中国台北?
  スポーツと政治は切り離すことはできない。特に国家の威信をかけて勝敗を争う場面では、なおさら「政治」が前面に出やすくなる。その最たるものが皮肉なことに「平和の祭典」をうたう五輪であり、五輪において中台対立が絡む台湾の名称問題はしばしばトラブルの種になってきた。
  4日夜に開かれる冬季北京五輪の開会式での隠れた注目ポイントは、台湾選手団の名称がどのようにアナウンスされるかだ。今回、台湾は15人の代表団を送り込むが、すでに中国との間で名称問題をめぐって一悶着起きている
  発端は、中国・国務院台湾事務弁公室の報道官が1月26日の記者会見で台湾のことを「中国台北」と呼んだことだった。IOCの取り決めで台湾の呼称は「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」とされてきた。台湾の民進党政権は反発し、コロナ対策を理由に開閉会式への不参加を表明した。もし開閉会式で「中国台北」と呼ばれれば、台湾としては受け入れられないとの判断があったと見られる。
  ところが1日、台湾側は、開閉会式に参加をすると態度を翻した。その理由は明らかにされていない。IOCを通して中国が「中国台北」を使わないと内諾した可能性があるが、蓋を開けてみるまで4日の開会式で何が起きるかわからない。
「一つの中国」とロス方式
  五輪などの国際スポーツ大会で、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」を名乗り、国旗ではなく、梅をモチーフにした専用の旗を使う。誰が正統な「中国政府」なのかという「一つの中国」問題をめぐり、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)との間で繰り広げられた外交戦の結果考え出された措置である。
  「チャイニーズ・タイペイ」という奇妙な名称の由来は日本とも多少関係がある。1979年に名古屋で開催されたIOCの理事会で、中国代表として「中華人民共和国」の参加を認め、台湾を「チャイニーズ・タイペイ」と呼ぶ決議が採択された。
  台湾は当初決議を拒否し、中国も台湾の完全排除を求めたが、最終的には1981年にロサンゼルスで行われたIOCの討議で「チャイニーズ・タイペイ」を台湾が受け入れたので、「名古屋決議」「ロス方式」などと呼ばれてきた。
  その後、中国と台湾との話し合いで「チャイニーズ・タイペイ」の中国語訳は「中華台北」になった。中華台北には中華民国という台湾の国名の2文字も入っている。かろうじて台湾側も容認できる解決策だった。IOCコードは「TPE」である。
  以後、世界の大半のスポーツ大会でこの「ロス方式」が適用されてきた。およそ40年間にわたって守られてきた台湾の呼称が、この北京五輪で改めて脚光を浴びている伏線には、2021年東京五輪でのNHK中継がある。

開会式中継でNHKは「台湾」と呼ぶか?
  昨年の東京五輪の開会式中継で、NHKの和久田麻由子アナウンサーが「チャイニーズ・タイペイ」の入場の際、「台湾です!」と呼び直したのだ。
  台湾メディアが速報で流し、台湾が歓喜の声で包まれた。台湾の人々はNHKを国際放送でよく見ている。「NHKありがとう」「よく言ってくれた」「感謝日本」の声を、SNSなどで続々と上げた。
  うかがえるのは「チャイニーズ・タイペイ」という名称について、完全には納得できない気持ちを抱えながら、国際社会の現実の前に、仕方なく受け入れてきた台湾の人々の心情である。
  彼らが求めているのは、「台湾」でも「中華民国」でもいいから、少なくとも、いまの台湾と実体的な関わりのある名前なのである。中華台北はスポーツ以外の場で使われることはない。
  その鬱屈した台湾人の心に、和久田アナ「台湾です」は深く刺さったと考えることができるだろう。NHKが公式方針として「台湾」と呼んだのか、和久田アナのとっさの判断なのかはわからない。4日の開会式の中継担当は和久田アナではなく、廣瀬智美アナと一橋忠之アナ。「台湾」と呼ぶかどうか注目したい。
中国では政府系メディアも「中国台北」
  香港メディアによると、東京五輪でNHKの「台湾です」の放送部分が中国で流れたとき、番組が一時的に中断されたという。中国では今回の北京五輪前、新華社などの公式メディアは「中国台北」を使った。「中国台北」には台湾が中国の一部であるというニュアンスが込められている。中華台北でも我慢しているのに・・という風に、台湾の人々は「ボトムラインを超えている」と感じてしまう。
  2008年の夏季北京五輪でも、中国のメディア は「中国台北」を使ったが、台湾側の抗議で撤回した経緯がある。ただ、当時の台湾は、中国との関係が非常に良好だった国民党の馬英九政権だった
  現在の民進党政権の台湾と中国は「冷対抗」と呼ばれるほど、冷え込んだ状態に陥っている。「一つの中国」を受け入れない民進党・蔡英文総統との対話を中国は拒否し、中国軍機による台湾への異常接近が日常的に行われている。
  中国もIOCのメンバーとして「ロス方式」を認めてきた立場だ。今回あえて「中国台北」を使っているのは、習近平政権の対台湾強硬路線に加えて、愛国主義が強まって反台湾の愛国感情があふれる中国世論への配慮という要素もあるだろう。
  昨年の東京五輪のとき、中国選手と台湾選手の対決で中国のネット民は盛り上がり、台湾選手への厳しい批判も広がった。2008年の北京五輪開会式で、台湾代表団の入場に対して、ひときわ大きな歓声がスタジアムに鳴り響いたが、そうした心温まる場面の再現は期待できそうにない。

正しい名前で呼ばれる「権利」
  台湾に絡んでこうした政治問題が起きるたびに脳裏に浮かぶのは、スポーツに政治を持ち込んでいるのは誰かという問題だ。今回の北京五輪で、中国は各国の外交ボイコットに対して「五輪の政治利用だ」と反論しているが、こと台湾に関わる問題では、政治的トラブルを起こすのは客観的にみて中国の方が多い。
  「台湾」「中華民国」「チャイニーズ・タイペイ」など、複数の名称がくるくると入れ替わる迷路のような台湾の名称問題を我々はどう考えるべきか。
  台湾社会の意識は「自分たちは台湾人であり、中国人ではない」と考える人々は人口の6割を超えており、台湾アイデンティティが完全に主流化している。そのなかで、台湾の代表団を「中華台北」という名前で呼び続けることが妥当かどうかも、公の場で議論するタイミングかもしれない。
  人権問題としても正しい名前で他者から呼ばれる権利は保護されるべきである。
  パレスチナなど国連未加盟のところも五輪には正式な国名で参加している。中国だけが特別扱いでいいのか、という疑問は当然誰もが感じるはずだ。
  中国自身も台湾のことを「台湾当局」や「台湾地区」と呼んでいる。ならばスポーツ大会でも「台湾」名義の参加でいいではないか。それが台湾独立と直接結びつくとは思えない。「大人」の対応を見せれば台湾の世論も中国を見直すだろう。
  4日夜の開会式で台湾がどのように呼ばれるにせよ、今回の呼称をめぐる騒動は「チャイニーズ・タイペイ」という空疎な名称を台湾に押し付け続けることの問題点を、世界に少しでも認識させたことは確かだだろう。



2021.12.21-Yahoo!Japanニュース(夕刊フジ)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c607a9bad7facec5417421562859d5966970174e
台湾、韓国にブチ切れ オードリー・タン氏の講演が当日キャンセル 「礼儀を欠く行為」と厳重抗議 松木氏「文政権が中国恐れた結果」

  台湾が、韓国にブチ切れた。台湾外交部(外務省)は20日、台湾のオードリー・タン唐鳳)政務委員(閣僚)にオンライン講演を依頼していた韓国大統領直属の政策立案機関が、当日にキャンセルを通告してきたとして、「礼儀を欠く行為」として厳重抗議したことを明らかにした。

   台湾外交部などによると、韓国の「第四次産業革命委員会」は今年9月にタン氏に講演を要請し、今月16日に「台湾のデジタル社会イノベーション」という講演を行う予定だった。
  しかし、タン氏の事務所に当日朝、韓国側からメールで取りやめの通知があったという。韓国側は「両岸(中台)関係を考慮した」と理由を説明したという。 タン氏は10日、米政府が開催したオンライン方式の「民主主義サミット」に台湾代表として出席したが、中国は反発していた。
  今回も、中国の圧力に韓国が屈したとみられている。 台湾外交部は、韓国の駐台北代表処の代理代表を呼び出し「強烈な不満」を伝えて抗議した。さらに、民主国家と関係を深めて民主主義や人権といった普遍的価値を守ると強調した。 今回の騒動をどう見るか。 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、軍事的かつ経済的理由から中国の逆鱗に触れることを恐れたのではないか
  今回の非礼は国際社会の信頼を失う。岸田文雄政権も対中姿勢を明確にしなければ、自由主義諸国からは失望され、中国には軽蔑される。韓国と同じ轍(てつ)を踏んではならない」と語った。


2021.11.17-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASPCK4GN7PCKUHBI006.html
バイデン氏「米国は台湾の独立を促していない」 台湾政策は変更せず

  15日に行われたバイデン米大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談をめぐり、バイデン氏は16日、記者団に対し、米国の台湾への対応について「米国は自分たちの政策を全く変えるつもりはない」と述べ、「米国は(台湾の)独立を促していない」と語った。

  バイデン氏の発言は、米国は台湾を軍事的に支援しているものの、中国を正当な国家として認める歴代米政権の「一つの中国」政策を堅持する姿勢を示したものだ。
  15日の首脳会談で、両首脳は意思疎通の必要性では一致した。しかし、最大の懸案の台湾問題をめぐっては、バイデン氏は一方的な現状の変更や平和と安定を損なう試みに強く反対する」と語る一方、習氏は台湾独立勢力が一線を越えれば、断固たる措置をとる」と応じた。(ワシントン=園田耕司


2021.11.09-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/2d962fc45b4cd385b8042224f220ef2d4d768482
台湾当局、中国研究機関の事務所を即時退去要求 清華大キャンパス内

  台湾当局が北西部・新竹市の清華大に対しキャンパス内にある中国の研究機関の事務所を退去させるよう強く要求している。台湾当局は、中国が近年、半導体など科学技術人材の引き抜きを狙った浸透工作を進めているとみて警戒感を強めており、他の大学でも同様の問題が起きていないかを調査する方針。

   清華大によると、中国福建省アモイ市の政府が中国の大学などと共同で設立した研究機関「清華海峡研究院」が、清華大に「新竹事務所」を設置人材の誘致や技術開発などに取り組んでいる。台湾の財団法人が事務所を借り、それを同研究院に転貸していた。台湾メディアによると、この研究院の本部は北京にあり、中国政府とも関係があるという。清華大は毎日新聞の取材に「運営には関与していない」と説明している。
   台湾政府は、中国による台湾統一工作を阻止するため、中国側との交流制限についての条例を制定している。この条例は、大陸側の組織・団体などが台湾当局の許可なく事務所を設置・運営することを禁じており、違反者には最高で50万台湾ドル(約200万円)の罰金を科すと定める。教育当局は8日、清華大に対し「条例違反に当たる」として事務所を即時撤去するよう要求した。

  財団法人側は、研究院との転貸契約をすぐに解除すると説明しているという。  清華大は、理系分野での業績で知られる台湾有数の大学。中国の習近平国家主席の母校・清華大(北京)とは異なる。世界最先端の半導体製造技術を持つ企業「台湾積体電路製造」(TSMC)と共同でキャンパス内に研究開発センターを開設し、人材育成を進めている。
   台湾の情報機関・国家安全局の陳進広副局長は8日、立法院(国会)で、清華大の問題を把握していると答弁。「中国では半導体などの科学技術分野で60万人以上の人材が不足している」と述べ、人材の引き抜きを狙った可能性があるとの認識を示した。台湾で対中国政策を所管する大陸委員会の邱太三・主任委員(閣僚)は同日、全大学を対象に類似の事案がないかを調査すると表明した。【台北・岡村崇】


2021.11.09-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM094J80Z01C21A1000000/
台湾の国防白書 中国「グレーゾーン作戦」の脅威指摘

  【台北=中村裕】台湾の国防部(国防省)は9日、2021年版の国防報告書(国防白書)を発表した。統一圧力を強める中国が情報戦など明確な武力攻撃でない手法で台湾に被害を与える「グレーゾーン作戦」の脅威を指摘したことが特徴だ。中国の武力侵攻を視野に、米国との連携強化も強調した

  白書の公表は隔年で、16年の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の就任後では3回目。前回の19年版との違いの一つは、台湾が地政学上の要衝だと強調した点だ。
  インド太平洋地域の安全には、台湾の安全が欠かせないと論理を展開国防部トップの邱国正・国防部長は白書で中国がさらに軍事力を整備して実践的な演習を重ね、(中台を隔てる)台湾海峡の安全を将来、一段と著しく脅かすだろう」と警告した。

  そのうえで、武力攻撃と判断するのが難しい侵害行為、いわゆる「グレーゾーン作戦」の脅威について、新たな項目を作り、解説した。
  具体的には、20年9月16日から21年8月31日までの約1年間に、延べ554機の中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入した事実を指摘した。19年から21年8月までに台湾が14億回を超えるサイバー攻撃を受け中国からの偽ニュースやメディア操作による情報戦や心理戦で、台湾社会が揺さぶられている実態も指摘した。

  台湾の防衛能力の向上が欠かせないと明記。予備役の強化を新たに紹介した。米軍とは19年9月から21年8月までの2年間で人材交流が大きく進んだと指摘した。
  白書によると、台湾から米国へ2年間で延べ542人が訪問し、米国からも延べ618人が台湾を訪れた。米台の連携強化を浮き彫りにした。蔡総統は10月、米CNNに対し、米軍が台湾軍を訓練するため、台湾に駐留している事実を初めて公表していた。
  国防予算の中台格差にも言及した。21年の台湾の国防予算は3618億台湾ドル(約1兆4700億円)で、1兆3553億元(約24兆円)の中国の約16分の1にすぎない。過去5年間の増加率は台湾(特別予算除く)は13%だったが、中国は30%だった







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