社会問題-1(皆さんで考えてね!)


2024.06.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240613-VL3YB52LTJA6PAYSXTQKOZOXAE/
悪質ホスト防止法に込めた立民議員の思い「若者の未来奪わぬ」海外に売春イメージ拡散懸念
(奥原慎平)

  立憲民主党が風営法改正案(通称・悪質ホストクラブ被害防止法案)を衆院に提出した。悪質ホストクラブを巡っては10代を含めた若い女性が多額の売掛金(ツケ払い)を背負い、借金返済のため、国内外の性風俗店で働かされるなど社会問題化している。近年は観光目的で海外を訪れた一般の日本人女性が売春目的と疑われ、入国拒否される事例も相次ぐ。立民議員は被害女性や家族に寄り添いつつ、「日本人女性=売春」の負のイメージの拡散も危惧し、党派を超えて危機感を共有したい考えだ。

被害は深刻度を増している
  「少なくない女性が海外売春に駆り出され、米国や韓国などで日本人女性が検挙される事例も相次いでいる。被害は深刻度を増し、地方に、海外に、拡大している。根本的な解決には被害者のマインドコントロールからの解放が重要だ。日本の子供や若者が性搾取で、未来が奪われないよう尽くす責務がある」
  立民の塩村文夏参院議員は7日の参院本会議で悪質ホストクラブを巡る現状について、こう指摘した。 塩村氏は昨年11月、国会審議で悪質ホスト問題を取り上げた。娘がホストクラブに通い、借金を抱え、海外で売春しているという母親の思いを聞いたことがきっかけだという。塩村氏を皮切りに、立民議員らは悪質ホストクラブの被害対策を政府に訴えていく。
  悪質ホストクラブを巡って、はまってしまった側に自己責任を求める向きは根強い。ただ、数百万円の借金を抱えるまで、社会経験の乏しさにつけ込む形で、SNSなどを利用して恋愛感情を錯覚させていく手口などがマニュアル化されている背後に暴力団や犯罪グループの存在が指摘され、若い学生やフリーターが対応するには一定の難しさがある。
「家族にとって娘の代わりはいない」
  立民は今月7日、悪質ホストクラブ被害防止法案を衆院に提出した。客の支払い能力に照らして不相当に高額な債務を負担することにならないよう、ホストクラブ側に確認などの義務を課しており、是正指示に従わなかった場合は最悪、営業停止処分とする。
  法案を提出した吉田晴美衆院議員は「多額の借金を経済力のない人に負わせる状況を止める。その人によって違うだろうから不当な金額がいくらかは明示していない。今まで『いくら借金を負わせてもいいだろう』と歯止めがなかった所にハードルを設ける所が法案の肝だ」と説明した。
  提出後、立民の議員団が紹介した女性は20歳の娘が昨年10月頃から悪質ホストクラブに通い、2カ月弱で風俗店で働くようになり、現在は家出して、行方不明だという。この女性は娘について「普通の恋愛関係のような振る舞いに言葉巧みに惑わされ、家族が気が付いたときは、マインドコントロールされた状態になっていた。自分の無能力さに絶望するばかりだ」と唇をかむ。
  その上で「私たち家族にとって娘の代わりはどこにもいない。幸せを願って、育ててきた娘がまさかこんな風になるとは思ってもいなかった」と述べ、「常識を超えた多額な借金を知らずに背負わされる。そこが無くなれば風俗に行く必要もなくなる。売掛金が規制されれば被害者はかなり減るのではないか」と同法の成立を訴えた。
海外の冷ややかな目
  会期末を23日に控え、議員立法に必要とされる超党派の合意は見通せない。女性と同じく記者団の取材に応じた支援団体「青少年を守る父母の連絡協議会」代表の玄秀盛(げん・ひでもり)氏は、法整備について「あらゆる議員に声をかけたが、与党は全く無反応だった」という。立民議員によれば、ホストクラブ側が国会議員の政治資金パーティーのパーティー券を購入する実態も確認されているという。
  昨年秋以降、厚生労働省は相談窓口の紹介などを啓発し、警察も取り締まりを強化する。東京都公安委員会は5月17日付で東京・歌舞伎町のホストクラブに対し、当時勤務していたホストが女性客に売掛金返済名目で売春させた事件を受けて、風営法に基づき営業許可取り消し処分を出した。売掛金問題を巡る営業許可取り消し処分は都内で初めてという。
  一方、玄氏によると悪質ホストクラブは歌舞伎町から大阪市や札幌市を含めた地方都市の繁華街に拡大し、加害の手口も悪質化しているという。
  海外からも冷ややかな目が向けられる。悪質ホストクラブ被害者は米国や韓国、豪州など海外でも売春が強いられ、その結果、一般の日本人女性が1人で海外旅行する際は、「売春婦」と疑われ、入国を拒否される事例も確認されている。悪質ホストクラブの実態について最近も米CNNテレビなど海外メディアが報じている
日本人の売春イメージの拡散を危惧
  立民議員は被害者の声を聴くことで問題の深刻さを共有してもらおうと関係閣僚に被害当事者らとの面会を促している
  5月22日には武見敬三厚生労働相が被害者や保護者から話を聞いた。武見氏は国会審議で立民議員から悪質ホストクラブ問題について指摘されていたといい、「そこで初めて事態の深刻さに気が付いた。本来夢を持ってもらわねばならない若い世代の皆さんにとってダメージになる話だと受け止めた」と被害者らに語った。
  武見氏は各地の女性相談支援センターで悪質ホストクラブ問題の研修会を実施し、相談体制の強化を図る考えを示したという。
  松村祥史国家公安委員長は今月7日の参院本会議で、被害者との面会を求める塩村氏に対し、警察庁の担当者を通じて報告を受けているとして、「現時点で調整に至っていない」と述べた。
  議席に戻っていた塩村氏は「被害は広がっている」と叫ぶと、自民党席からは「うるせえんだよ」と塩村氏に大声が浴びせられた。
  問題に取り組む立民議員は「日本の若い女性が大量に海外で売春させられて、外国から批判や苦情が出ている。問題と思わないなら、国会は存在意義がない。日本の若い女性が世界で売春しているイメージが広がることは国益を大きく損なう。日本は発展途上国なのか」と語る。
(奥原慎平)


2024.06.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240605-6FBLZBEFRFHBBKWREVLDZQPSKU/
日本人「私は幸せ」57% 30カ国中、下から3番目 世界調査 1位は85%のオランダ

  世論調査会社イプソス(本社パリ)の発表によると、日本で「自分は幸せ」と感じている人の割合は57%で、2011年の調査時の70%から大きく減少した。調査対象となった30カ国の中では、3番目に低かった。

  この調査は昨年12月から今年1月、米欧や中南米、アジアなど各国で実施され、日本では5月に結果が公表された。「幸せ」と答えた人の合計は、オランダが85%で最も多かった。2位はメキシコ、3位はインドネシアで、30カ国の平均は71%だった。
  最も低かったのはハンガリーと韓国で、ともに48%。日本が続き、28位となった。項目別では、日本で「自分は評価されている」と感じる人の割合は36%、「恋愛に満足している」は37%、「仕事に満足している」は47%、「自分の見た目に満足している」は39%で、それぞれ30カ国で最低だった。「安全」や「自国の経済状況」はやや高かった。
  過去13年間の調査で、日本では「自分は幸せ」とする人の割合は11年が最高で、昨年は60%だった。
  同社日本オフィスは「幸福感の低下傾向は日本だけに限ったことではない。政治不信、紛争や自然災害、新型コロナウイルスなどに起因しているのではないか」との分析を示した。


2024.06.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240604-YPAJO3ZEU5LU3MIGJLAZNC5ROM/
一筆多論 政権交代期待高まる立民 「まっとうな政治」を目指すなら今こそ「立憲共産党」結党を
(政治部長兼論説委員)

  報道機関の世論調査によれば、自民党派閥パーティー収入不記載事件で批判を浴びる岸田文雄政権に代わり、立憲民主党などの野党による政権交代に期待が高まっている。だが、立民にその決意があり、準備が整っているとは言い難い。・・・衆院で100人弱の立民の次期衆院選候補予定者は約180人にとどまる。過半数の233人にさえ届かないが、泉健太代表は4月の衆院3補欠選挙全勝の勢いに乗り、目標と定めた200人から増やす意向だ。

  ただ、実際は容易ではないので、他の野党との選挙協力が視野に入る。日本維新の会、国民民主党と軋轢(あつれき)がある中、有力な相手は共産党だ。
  立民と共産は補選で連携の威力を存分に発揮した。東京15区では共産が候補を取り下げて支援した立民の新人が次点に約2万票差の4万9476票で勝った。選挙の構図は異なるが、過去の15区の結果を見ると共産候補は2万~3万票を獲得する力があり、共産が候補を出していれば結果は違っていた可能性が高い
  選挙戦では野田佳彦元首相が共産の小池晃書記局長と立民候補への支援を訴えた。保守系とされる野田氏と革命政党幹部の共闘は共産機関紙「しんぶん赤旗」で好意的に紹介された。
  しかし立民は煮え切らない。泉氏は共産との連立政権を否定する一方、選挙協力の態度は曖昧だ。
  共産は綱領で日米安全保障条約の廃棄、自衛隊の廃止を明記しているが、他党との連立政権に入る場合は綱領を「持ち込まない」と主張する。政権を担っても実現させない綱領に何の意味があるのかはともかく、国の根幹への姿勢が異なる党同士の国政選挙での連携は、立民が掲げる「まっとうな政治」ではない。まさかとは思うが、選挙だけは共産に協力してもらい、政権を獲得したら排除する暴挙をするはずもあるまい
  そもそも、肝心な立民の政権構想がよく分からない。憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を容認した安保関連法について、立民は令和4年の政策集で「憲法違反」と断言した。特定秘密保護法は「廃止」だ。安保3文書にある反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有も、党文書で「賛同できない」と明記した。
  立民政権になれば、米国が眉をひそめても、中国や北朝鮮が大喜びする憲法解釈の再変更などに着手するだろう。例示した立民の方針すべてに賛同する共産は心強い味方だ。何が何でも実現させなければ約束違反を繰り返した旧民主党政権の「悪夢」の再来になる。
  さらに踏み込み、綱領を作り直して「立憲共産党」を結党したほうが分かりやすい。立民には「立憲共産路線て、なにが悪いんですかね?」(石垣のり子参院議員の5年5月のX=旧ツイッター)との声もある。共産は7月の東京都知事選に立候補する立民の蓮舫参院議員の勝利に向けて「全力を尽くす」(小池氏)という。もはや躊躇(ちゅうちょ)する障害はあるまい。
  政治資金パーティー禁止法案を提出した立民は、幹部がパーティーを計画し、予定通りの開催を明言した。泉氏も容認したが、世論の批判を受けると一瞬で方針転換した。このまま政権交代したら旧民主党政権のドタバタ劇が再び起きることは必定だ。やはり心機一転、「立憲共産党」で出直したほうがいい
(政治部長兼論説委員)


2024.06.01-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240601-AMTKNFZAMNAQXCXH6LTA6D4MGQ/?outputType=theme_weekly-fuji
中国の台湾取り囲む軍事演習は「武力による威嚇」 平和ボケ日本、与那国を守れるか-有本香
(有本香)

  先週の本コラムに記した「悪い予言」が早くも現実となりつつある。先週こう書いた。
  「今後、中国は台湾に対して軍事的威嚇を強めるだけではなく、親中的な与野党勢力を使った工作、経済的な浸透、メディアやネットを使った世論戦など、ありとあらゆる手で頼(清徳)総統を苦しめるだろう」

  この通りのことが、頼新総統の就任式直後の台湾で大規模に起きている。 まず、日本のメディアも大々的に報じた、人民解放軍による「軍事演習」である。23日から24日まで、台湾を取り囲むように計9カ所で行った。
  台湾メディアによれば、中国は24日朝からの24時間で、延べ62機もの軍用機と27隻の軍艦を繰り出したといううち約49機が台湾と中国を隔てる海峡上の暗黙ライン「中間線」を越え、台湾の南西、南東、東部の空域に侵入した。
  演習の域を越えて、もはや「武力による威嚇」である。わが国にも緊張が走って然るべきだが、その様子はない。大メディアはあいも変わらず、「台湾有事を日本有事にしないように」という平和ボケ言説を垂れ流し、国会では自民党派閥のパーティー券をめぐる、愚にもつかない「論戦」が繰り広げられている
  台湾本島からわずか110キロのところにわが国の沖縄県・与那国島があることを、国会議員のどれほどが認識しているだろうか
  中国メディアによると、人民解放軍関係者は、台湾東部の海上を封鎖し、東部の港からのエネルギー輸入を阻めば、「台湾経済は一瞬で崩壊する」と述べたという。東部区域が、有事の際の米軍などからの補給ルートにもなると想定、それを断つ狙いもあるようだ

  そんな台湾の東に与那国島はある。この位置関係で、どうしたら、「台湾有事を日本有事にしない」ことが可能か、私には皆目分からない。
  この威嚇はしかし、台湾の人たちに言わせれば、「すぐに終わったから大したことはない」そうだ。もっと深刻なことは、台湾の内部、心臓部で進行している。
  24日夜、台北市の立法院(国会)に隣接する路上には数万の人々が集まり、1月の選挙で第一党となった国民党と、第三勢力・民衆党の〝暴挙〟への抗議の意思を表した。
  民進党を除く2つの党が結託して強行採決せんとしているのは〝立法院改革〟法案。聞こえはいいが、台湾の友人らの説明によれば、立法院の権限を極端に強め、一市民から総統まで、誰でもを院が呼んでつるし上げることのできる法律だという。
  人権が侵害され、機密保持が難しくなり、総統の権限が弱められる。「喜ぶのは中国か」という〝悪法〟だが、これに反対する人々が、一説によると8万人も立法院周辺に集まった。台北のみならず、台中、彰化、嘉義、台南、高雄、台東など、全土で同じく大規模デモが行われた。

  ただし、いずれの都市でも混乱はなく、粛々と抗議の声が挙げられたという。ひまわり運動(=台湾の若者や市民が、中国に急接近する当時の国民党政権に反発して起こした社会運動)から10年。再び台湾の人々から、自由と民主を守る気概を教えられる思いだが、法案可決を阻止できる見込みは薄い。
  なぜ、台湾政界はこんなことになっているのか。 実は、中国から亡命した作家の袁紅氷氏が今年2月、中国の習近平国家主席が国民党を利用して統一戦線の目的達成を狙っていると語って物議を醸していた。袁氏は過去何度も中国の機密文書の内容を暴露した人物として国際社会でも知られている。その袁氏が語った通りのシナリオが、現在進んでいるようにも見えるのだ。
  氏によれば、今年1月27日、中国で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)が、習氏と中国の統一戦線組織、人民政治協商会議(政協)の王滬寧・政協主席に対し、「台湾立法院の制高点(=戦局の情報が取れて、かつ指揮命令がしやすい物理的な場所)を占拠する統一戦線戦略指示」と題した文書を提出したという。袁氏は加えて、台湾の政界への中国のマネートラップの侵食をも明かしていた。
  翻って、わが国の永田町はどうか。聞くまでもない。外国人によるパーティー券購入一つ禁止できないのだ。危う過ぎる集団である。

有本香(ありもと・かおり)
  ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。


2024.05.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240525-WUAAN75GAJLULGHLNC6OI4LUBY/
風を読む 論説副委員長・長谷川秀行  保護主義の競い合い

  雇用や産業を守る姿勢をアピールするためには、通商政策で負けるわけにはいかないのだろう。バイデン米政権が中国製の電気自動車(EV)や太陽光パネルなどに高い関税を課すと発表した。トランプ前大統領は中国からの輸入品に一律60%の関税を課すと主張している。大統領選に向けて、互いに保護主義を競い合う構図である。

  もとはといえば、中国政府の補助金を受けて過剰に生産された製品が安値で海外にあふれ出していることに端を発する問題だ。欧米は不公正だと中国を批判してきたが、習近平政権はこれを認めようとしない。まずは中国が頑迷な姿勢を改めない限り、米国との軋轢(あつれき)解消に向けた対話も進まないだろう
  それでもやはり米国の措置は日本が依拠する自由貿易秩序に背を向ける行為である。日本はトランプ政権時、米中対立のあおりを受けて鉄鋼・アルミニウムに高い関税を課された。米国は政治的な思惑で、同盟国にまで理のない貿易制限をかけてくるというのは日本がトランプ政権時に学んだ苦い教訓だ。
  米国が今回の措置で使った通商法301条や、日本製鉄鋼などへの高関税の根拠とした通商拡大法232条は、貿易相手国への一方的な制裁を可能とする国内法である。その発動は世界貿易機関(WTO)ルールに反する恐れがあると日本は批判してきたが、WTOに不信感を持つ米国は意に介さない
  日本には一方的制裁を可能にする法がない。ならば他国に対抗できるよう同様の法整備をすればいいかというと、そう単純な話ではない。平成13年、日本はWTOルールに基づき中国産農産物の緊急輸入制限(セーフガード)を暫定発動したが、中国が報復関税で対抗したため本発動を見送ったことがある
  日本が法整備をしてまで他国に制裁関税をかけるなら、よほどの覚悟がいる。報復の応酬に耐えられる経済力があるのかは冷静に考えておくべきだ
  むしろ日本が国際社会に果たすべきなのは自由貿易体制の堅持だということを改めて自覚したい。その総本山たるWTOが現下の国際情勢に対応できず機能不全に陥っているなら、抜本的な改革を主導すべきだ。米国で保護主義が強まらないよう働きかけるのも日本の役割だ。その上で米欧などとともに中国の不公正な貿易慣行に対抗するルール作りを進め、世界に浸透させていくことが大切である。


2024.05.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240512-IS3ALI2II5LQDFNVA6H6GWY4DA/
「ヤジ正当化」で民主主義の根幹を破壊 朝日など一部メディアは過去を総括せよ ブロガー・藤原かずえ
藤原かずえ

  衆院東京15区補欠選挙で政治団体「つばさの党」の候補者と党員他の候補者の遊説場所に乗り込み、大音量で質問を行うことで、演説の聞き取りを困難にしました。これは民主主義の根幹である選挙を妨害する行為(昭和23年最高裁判断)ですが、近年、一部のマスメディアは政権与党に対する同様の行為を強い論調で正当化してきました。

  平成29年に東京・秋葉原で行われた安倍晋三首相(当時)の都議選応援演説では、組織的な呼びかけに集まった一部聴衆が「安倍やめろ」「帰れ」と大合唱し、執拗(しつよう)に演説をかき消しました。安倍氏はこの妨害者に対し「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と抗議しましたが、一部新聞は「批判を連呼しても主権者じゃないか。このむき出しの敵意、なんなのか」(朝日)、「首相、聴衆にまで激高」(毎日)、「敵と味方に分断」(東京)などと安倍氏を徹底的に非難し、ヤジを正当化しました。
  また、令和元年の参院選での安倍氏の札幌演説で「安倍やめろ」「帰れ」という大声を演説にかぶせた人物を北海道警が移動させた事案に対しては「市民を排除。ヤジも意思表示のひとつの方法」(朝日)、「警察の政治的中立性に疑問符」(毎日)、「市民から言論を奪うな」(東京)などと非難しました。
  これらの論調に多くのテレビメディアも同調した結果、安倍氏は選挙妨害者との接触を避けることを強いられ、遊説場所を告知しない「ステルス遊説」と揶揄(やゆ)された選挙運動を展開するに至りました。また、警察の萎縮もうかがえます。例えば安倍氏暗殺事件では、テロリストが安倍氏に近寄って2発を発砲するまで取り押さえることもできませんでした。
  そもそも「安倍やめろ」「帰れ」というヤジは意見表明でなく、演説者に対する恫喝(どうかつ)的な命令であり、非言論で言論をかき消す「言論の自由」への挑戦行為です。1人のヤジを認めれば、他のすべての人のヤジも認めなければなりません。秋葉原の事例と比較してはなはだ小規模で、候補者が他の候補者に質問する体裁を取る「つばさの党」の妨害者を警察が警職法で排除することは、法の下の平等の原則から不可能です。
  何よりも、このような時・場所・方法を選ばない身勝手な「表現の自由」による最大の被害者は、候補者の政治的主張についての「知る権利」を侵害された一般聴衆です。

  今回の事案で多くの国民がヤジ正当化の欺瞞(ぎまん)を強く認識するに至ったと推察します。「言論の自由」を守る使命を持つ言論機関の一部が非言論による選挙妨害を堂々と正当化してきたことは、民主主義の破壊行為に他なりません。

藤原かずえ(ふじわら・かずえ)
  ブロガー。マスメディアの報道や政治家の議論の問題点に関する論考を月刊誌やオピニオンサイトに寄稿している。


2024.05.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240503-GCU7L7FZSBIGVN7EEXHTD6IYGM/
選択肢示すのが「責任」 岸田首相が改憲派集会で訴え 櫻井よしこ氏「岸田氏しかいない」

  岸田文雄首相は憲法記念日の3日、東京都内で開かれた改憲派の集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、憲法への自衛隊明記や緊急事態条項の新設に意欲を示した。国民が国民投票で改憲の賛否を決められるよう、国会による発議が重要だと指摘「いたずらに議論を引き伸ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば責任の放棄といわれてもやむを得ない」と述べた。

  公明党の大口善徳憲法調査会副会長は、緊急時に国会議員の任期延長を可能にする改憲に関し「議論は出尽くした。賛同する会派とともに改正案のたたき台を出す」と強調した。
  主催団体代表の櫻井よしこ氏は、「憲法改正の第一歩を踏み出す。このミッションをやり遂げることができるのは岸田氏しかいない。他の人ではなかなかできないだろう」との認識を示した。
  一方、自民憲法改正実現本部の加藤勝信事務総長は3日のNHK番組で、「大型連休明けに具体的な改憲原案の作成に入り、ベースにして議論を深めたい」と提唱。国会機能維持が中心テーマになると説明した。


2024.05.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240503-ZF26YEMRXNI4NDKGGHV2FHRZ7E/
改憲派集会で櫻井よしこ氏「小石河連合ではやり遂げられぬ」 維新や国民も具体的議論主張

  日本国憲法は3日、施行から77年を迎えた。改憲論議を推進する与野党幹部らは「『21世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(民間憲法臨調)などが開いた集会に出席し、国民投票実施の前提となる改憲原案起草に意欲を示した。岸田文雄首相が掲げる今年9月の自民党総裁任期満了までの改憲実現が日程的に厳しさを増す中、同会代表でジャーナリストの櫻井よしこ氏は「自民党が頑張るとき」と叱咤激励した

  「政治の信頼回復のためにも、政治改革の議論と併せて、憲法改正という重要課題について、党派を超えて連携しながら、真摯に議論を行う姿を国民にお見せしていきたい」
  首相は集会に寄せたビデオメッセージで、自民派閥の政治資金問題について陳謝した上で、改憲を自民の最重要課題と位置付けた。
  改憲原案の起草を担う国会の憲法審査会では、大規模自然災害や有事に対応するための緊急事態条項の新設に関する議論が進む。 衆院憲法審では大型連休明けに、緊急時における国会議員の任期延長に関する具体的な条文案の作成に向けて動き出せるかが焦点となる。
  櫻井氏は集会で、首相の発言について「政治家です。一国の宰相です。この言葉を信じないで、どうやって政治を動かしていくのか、支持していくのか」と迫った。
  また、首相の退任後を仮定して、次期首相として世論の人気がある石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、小泉進次郎元環境相ら「小石河連合」を引き合いに出し、「憲法改正をやり遂げるとは思えない」と指摘。「岸田さんの背中を押して、国民の力でいやおうなく政治家が憲法改正に走っていかなければならないような世論を作ってまいりましょう」と訴えた。
  この日、集会には改憲論議を推進する自民や公明党、日本維新の会、国民民主党の国会議員が出席し、改めて改憲の意欲を示した 自民憲法改正実現本部の古屋圭司本部長は「(改憲草案を)取りまとめるべき時期」にきているとし、国民投票を早期に実施すべきと言及。条文化作業に後ろ向きな立憲民主党を念頭に、憲法審で改憲草案の起草作業が進まない現状を「発議権を有する立法府の不作為」と述べた。
  公明党の大口善徳氏も、緊急時の国会議員の任期延長のための改憲は「(議論は)煮詰まっている国会機能維持のための憲法改正は待ったなし」と後押しした。
  一方で、野党の日本維新の会と国民民主党からは、国民投票実施に向けた具体的な日程を詰めるべきとの意見が上がった。 維新の小野泰輔氏は「時間を区切って、ちゃんと結論を出していくっていうのが当たり前だ」と指摘。この日、首相がビデオメッセージで憲法改正を「先送りのできない課題」と発言したことに対して、「ここまでおっしゃったのだからぜひやっていただきたい」と求めた。
  国民民主党の玉木雄一郎代表「具体的なお尻を切ってやらないと結果は出ない。しっかりと緊急事態条項については前に進める必要がある」と述べ、自民に対して、改憲実現に向けた現実的な進め方を議論すべきと強調した。


2024.5.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240502-PKWQGPSOHNNTXKKQLDZLR3MCCE/
「早稲田にあったのは革マル派の自由」流れた資金は2億円超 対峙した奥島孝康元総長の気概と矜持

  この記事は、平成21年5月29日付の産経新聞大阪本社版に掲載された記事のアーカイブ配信です。肩書などは当時のまま。学生運動について描いた連載記事「さらば革命的世代」のなかで、5月1日に亡くなった早大元総長、奥島孝康さんのインタビューを掲載しています。

合鍵もつくられていた
  「早稲田は自由の大学といわれていますが、実際にあったのは、革マル派にとっての自由だったのです」
  早大の元総長で、現在は学事顧問を務める奥島孝康さんは振り返る。革マル派に大学の実権が握られているという危機感を強くした奥島さんは平成6~14年の任期中、彼らをキャンパスから追い出すことを最大の任務と位置づけていた。
  早大では昭和40年代後半から、革マル派が各セクトとの抗争を制し、勢力を強めていた。自治会の主導権を握り、サークルの部屋が学外者も含めた活動家の拠点に使われるなど、約30年間にわたり大学が利用されていたとされる。
  15万人以上の来場者を呼び「日本一の学園祭」といわれた早稲田祭の収入が革マル派の資金源になっているという疑惑もあった。公安関係者によると、サークル補助金の流用なども含めると、早大から革マル派に流れる資金の総額は年間2億円を超えていたという
  奥島さんは、革マル派の主導で行われていた学生大会でストライキ決議が可決されると、期末試験が中止になるという慣例を特に問題視していた。
  「値上げもしていないのに値上げ反対のスト決議が可決されたこともあった。こんなことが長年続けば、教育は荒廃する。だが、以前の大学執行部は『学生を追い詰める必要はない』と及び腰だった」
  革マル派は、中核派などとの激しい内ゲバで知られる過激派の一つ。警察無線すら傍受できる盗聴技術を持っているといわれる。その技術を駆使したのか、革マル派に批判的な姿勢を見せた早大関係者は次々と、金銭問題や女性問題などのスキャンダルを暴露された。アジトを捜索した警視庁が大量の合鍵を見つけたこともある。その中には、奥島さん宅の玄関ドアの鍵も含まれていたという。
合図したら逃げて
  約40年前の全共闘運動の特徴は、ノンセクトラジカルと呼ばれるセクトに属さない活動家が多かった点だ。組織に拘束されず、誰もが参加できる。ただ、そのスタイルは共感を集めると同時に、沈静化するのも早かった。セクト回帰の動きは次第に加速し、全共闘以降も生き残った各セクトは労組や大学を拠点としながら命脈をつないだ。
  こうした動きを「大学側にもメリットがあった」と指摘する関係者もいる。「彼らは不審な新興宗教や悪質商法を学内から追い出す役目も果たしてくれた。セクトをうまく使えば、学生管理がしやすいという面もあったことは否定できない」。早大では、反共産党の教授が「民青がはびこるぐらいなら、革マル派の方がまし」と支援に回ったこともあったという。
  首都圏のある大学を拠点としたセクトは大学当局と表面上は衝突しながらも、背後で「一線を越えない」と取り決めをしていたという逸話も残る。この大学の学長経験者は「団体交渉の際、学生側から『追及はするが合図したら途中で逃げてください』と事前に持ちかけられたこともあった」と打ち明ける
  だが、平成に入ったころから、新左翼セクトとの決別を進める大学が増加。早大の場合、奥島さんが法学部長に就任した平成2年ごろから、革マル派との対決姿勢が鮮明になった。奥島さんはまず、慣例を振り切り期末試験を強行する。
  平成5年1月23日の法学部の期末試験初日。試験強行の方針を知った革マル派側は全国動員で活動家を集め、教室前でピケをはった。ただ多かったのは学生ではなく40、50代の活動家。教職員ともみあいになり、けが人も出たが、教員が拡声器で「試験は予定通り行う」と連呼すると、一般学生が教室になだれ込んだ。「革マル支配に風穴が開いた」と奥島さんが思った瞬間でもあった。
保守派も結託
  奥島さんは、思想的には「左」だ。学生運動経験もある。全共闘運動の約10年前に盛り上がった昭和35年の60年安保闘争のときは、早大2年生。クラス委員として赤い腕章をつけて全学連デモの先頭に立った。
  同年6月15日の国会突入デモでは、機動隊とのもみあいで亡くなった東大生の樺美智子さんのすぐそばにいた。「学生のころから、社会主義に共感は持っていたし、そうした気持ちは今でも残っている」と話す。
  革マル派の勢いを止めるためにさらに必要なことは、資金源を絶つことだった。大学側は平成7年には商学部自治会の公認を取り消し、自治会費の代理徴収もやめた。経理の不透明な学園祭の実行委員会をめぐっては9年、事態の正常化を一気に進めるため早稲田祭そのものを中止した
  法学部長として4年、総長として8年の計12年間にわたった「12年戦争」。奥島さんは「大学の歴代執行部は、あえて対決を避ける事なかれ主義に陥っていた」と振り返り、さらにこう指摘した。
  「革マル派との対決は、いろんな人の協力があってこそできたこと。ただ、革マル派と手を組む人が学内に大勢いたことは我慢できなかった」
  例えば、教授の中にも、清廉潔白を売り物にして常々「不正は良くない」という割に、革マル派の不正は容認するという人、保守的な主張を繰り返す一方で、裏では革マル派と結託していた人もいたという。
  「彼らとの対決を通じて思想的な立場よりも、その組織や個人が実際にどんな行動を取っているのかを、見極めることができた。『世の中を変える』と口先では言いながら、実際には『変わらないほうがいい』と内心では思っている人が大勢いることも知りました」


2024.05.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240502-MQAGPZQYMRGQJJSPXR6OUL7NO4/
立民・亀井亜紀子氏、ウクライナ侵略は「代理戦争」2年前のXに駐日大使「間違っている」

  ロシアの侵略にさらされるウクライナのコルスンスキー駐日大使は2日、X(旧ツイッター)で衆院島根1区補欠選挙で当選した立憲民主党の亀井亜紀子衆院議員がかつて「ウクライナ戦争はロシア対NATOの代理戦争」などと持論を述べていたことについて「残念だ。ウクライナの戦争について発言する前に、全体像を見るべきだ」と投稿し、亀井氏にウクライナの現状視察を勧めた

  亀井氏は議員ではなかった令和4年8月2日、ウクライナ侵略の背景について「地理的に離れた米国がウクライナ軍を増強し、欧州に戦争を持ち込んだという恨み節も現地で出ている」とXに書き込み、台湾有事の際に日本が巻き込まれない必要性に言及した。
  コルスンスキー氏はXで「選挙で選ばれた公職者として、亀井さんは意見を述べる権利がある」とした上で、「彼女の意見が間違っていて、自分の党の公式見解とさえ矛盾している」と指摘。ロシア軍の攻撃を受けたウクライナ南部オデッサ州や東部ハリコフ州を挙げ、「彼女にウクライナに行って、人々と話すことを強く勧める。そこには日本語を話す人がたくさんいる」と書き込んだ。
  立民はロシアによるウクライナ侵略について「わが国を始め国際社会が侵略と戦うウクライナを引き続き継続して支援していくことの重要性を強調する」との声明を出している。
  亀井氏の投稿については自民党の務台俊介衆院議員も「ロシアの代弁者のようですね」とXに書き込んだ。


2024.04.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240418-MGLWA7KHYNMKPJ6DIYDSOVBXUE/
社説<主張>朴名誉教授「無罪」 表現の自由を守る判決だ

  慰安婦問題を扱った著書『帝国の慰安婦』の記述をめぐり元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)罪に問われた韓国・世宗大の朴裕河名誉教授に対する差し戻し審で、ソウル高裁は無罪判決を言い渡した。表現の自由を守る妥当な判断である。朴氏は判決後、「私の裁判がこれ以上、政治利用されないことを願う」と語った。

  『帝国の慰安婦』は慰安婦問題を人権侵害と定義する一方、朝鮮人業者が介在しており、「日本軍による強制連行」を強調するのは実態と異なるなどと論じた学術書だ。日本語にも訳され、日韓の認識の差を縮める試みとして評価された
  ところが慰安婦について「日本軍と同志的関係にあった」などとする同書の記述が名誉毀損にあたるとして元慰安婦らから刑事告訴され、韓国検察が朴氏を同罪で在宅起訴した。
  司法判断は揺れた。1審は無罪で、控訴審は有罪(罰金刑)だった。有罪判決では、表現の自由が萎縮しないよう「罰金」にとどめたとしたが、言い訳じみており無理がある。客観的事実に基づく言論に刑事責任を問うこと自体、不当だった。
  韓国最高裁は昨年10月、学問における名誉毀損の認定は必要最小限にとどめるべきだとして有罪判決を破棄し、無罪の趣旨で差し戻していたソウル高裁も今回、問題となった記述はいずれも「学問的主張、意見の表明」にとどまり、虚偽事実の記載にはあたらないとした
  この当たり前の判断を示すのに告訴から約10年かかったことは、日本をめぐる歴史問題で自由な言論が封じられた韓国の異様さを物語る。
  事実に基づく冷静な議論がなければ、日韓関係を損なうばかりだと銘記したい。
  判決は慰安婦の日本軍による「強制連行」説が虚偽だと言及したわけではない韓国では今も強制連行説の噓がまかり通っている
  強制連行説は「軍命令により韓国・済州島で女性を強制連行した」などとした吉田清治氏の虚偽証言を、朝日新聞をはじめとする日本のメディアが報じたのが発端だ。朝日新聞はその後、吉田証言は虚偽だったとして記事を取り消し謝罪した。日本側からの史実に基づく情報発信が重要である。


2024.04.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240417-F5I6TXG63BKLFCQA27JR2UJSIY/
ホストに籠絡され、マカオで売春 心身壊し、貯蓄も奪われ…当事者の証言
(外崎晃彦、橋本愛)

  ホストクラブ通いで借金が膨らみ、首が回らなくなった女性が示された返済方法は、海外での売春行為だった。貯蓄も奪われ、心身を壊した女性。その証言からは、華やかな東京・歌舞伎町の「闇」が垣間見える

言葉も通じない国で…
  「風俗店の勤務経験はなかったし、絶対無理だと思ったけど、やるしかなかった」 昨年6月、売春するため中国・マカオに渡航した40代女性は、追い込まれていた当時の心境をこう振り返る。
  歌舞伎町のホストクラブに勤務するホストに入れあげ、一昨年の年末ごろから頻繁に店に通うようになった。 獣医師の資格を持ち、動物の輸入に関する事業を立ち上げるなど蓄えがあったが「貯蓄を見透かされていた」店に入るとカードを提出させられ、無断で100万円を決済されたり、数百万円のシャンパンタワーを続けざまに注文させられたりした。 支払いに使っていたクレジットカードが限度額に達するたび、他社で新しいカードを作成。カードの枚数が30枚ほどに達し、支払いが追い付かなくなってきたとき、ホストが提示した選択肢の一つが、「海外で売春をして稼ぎ、返済する」だった。 「エージェント」と呼ばれる斡旋業者を紹介され、米国や台湾など複数の選択肢から女性が選んだのは、「東洋のラスベガス」ともいわれるマカオだ。
  売春施設が併設されている高級ホテルで、勤務時間は午後6時~翌午前4時。1時間に数回〝品定め〟のショータイムが開かれ、40~50人ほどの観客を前にステージに立った。観客から指名を受けると個室に移動し、「サービス」を施した。
  1回につき約3万円の収入が約束されていたというが、仕事は肉体的にも精神的にも過酷だった。1日5、6人を相手にして数日たったころ、心身に不調を来たし、雇用主に申し出て帰国した。 「言葉も通じない国で体を売るのは本当にきつかった」
2500万円の借金
  <どちらにしても頑張るしかない。マカオで頑張る>。女性は、ホストとのLINE(ライン)をやりとりで、こう決意をつづっていた。 ホストからは「俺が一生面倒見るから」などと甘い言葉をかけられたというが、消費者金融での借り入れや、アダルトビデオへの出演を持ち掛けられることも続いていた
  体調を崩し帰国後も、ホストからは風俗店で勤務するよう言われ続け、東京・吉原で働いた。結局、ホストクラブに支払ったのは総額約2500万円。次第に気持ちは冷めたが、カード会社などへの支払いは今も残る。「つらいが、どうすることもできない」 
  同意なく無謀な支払いを強要したとしてホストクラブ側を相手取り、支払金の返還を求め提訴を考えているというが「仕事もお金も失って、悔やんでも悔やみきれない」。後悔が口をついた。
入国拒否、摘発相次ぐ
  女性が日本から海外に行き、売春行為に従事するケースは最近、相次いでいる。円安も背景にあるとみられ、米国は売春が疑われる女性の入国を次々拒否。日本の捜査機関にも斡旋業者などの情報が寄せられているといい、専門家は「『稼げればいい』とリスクの認識が薄くなっている」と警鐘を鳴らす。
  警視庁は今月、求人サイト「海外出稼ぎシャルム」を運営し、女性に米国での売春を紹介していた男4人を職業安定法違反容疑で逮捕した。サイト上には「観光をかねての高収入」「リゾート感たっぷり」などの誘い文句が並び、男らは3年間で200~300人の女性を米国などの売春店に斡旋していた。
  ただ、売春は命の危険も伴う。警視庁が1月に摘発した女らを通して渡米した30代女性は、現地で薬物を強制させられそうになった上、砂漠に連れ去られ「口外したら殺す」と脅されたという。 また、発覚すれば取り返しのつかない〝烙印(らくいん)〟を押されることも。米国のビザ事情に詳しい佐藤智代行政書士によると、売春目的での渡航が発覚すると、10年は入国ができなくなる。売春に関わっている人物と連絡を取ったことがある程度でも追及されるなど、「水際対策は厳しくなっている」という。
  佐藤氏は、「入国拒否を受け、客室乗務員など希望の職に就けない、海外出張ができないというケースもある。絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。(外崎晃彦、橋本愛)


2024.04.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240416-UCYROO2PNJLN3DF7SFWNMR24NY/
角栄の最後の秘書がみる「政治とカネ」 安倍派幹部「潔さ感じず」、派閥は「なくならず」
(竹之内秀介)

  田中角栄元首相が金脈問題で退陣してから半世紀。今年1月に旧宅が焼失した際はメディアで大きく取り上げられ、平成5年の死去後も社会の耳目を集め続けている。自民党が「政治とカネ」で揺れる今、田中氏の秘書を23年間務め、現在も与野党国会議員の選挙参謀を務める朝賀昭さん(80)は、自民派閥のパーティー収入不記載事件を受けた安倍派(清和政策研究会)幹部の対応について「潔さを感じなかった」と語った。(竹之内秀介)

―1月に目白の田中邸が焼失した
  「悲しくて焼け跡を見に行くこともできなかった。見たら余計に泣けちゃうんじゃないかと。数々の歴史の舞台になった場所だし、信じられない思いだよ」
―田中氏は政治資金パーティーを開いていたか
  「オヤジさんはほぼほぼ献金で賄っていたね。昔は親分が子分の面倒を見るのが基本的な考え方。パーティー券を売らせて金を上納させるシステムが本格化したのは(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘の各氏が首相の座を争った)『三角大福中』後だった」
―田中氏は金脈問題で退陣した後の昭和51年にロッキード事件で逮捕・起訴され、1審で実刑判決を受けた。田中氏は集めた金をどうしていたのか
  「派閥の議員には金を配る必要があるから、『もち代』や『氷代』として配っていた。一人頭で一律いくらというベースがあって、厳しい選挙区の候補者には積み増したりしていた」
―選挙に金がかかるという問題は改善したか
  「全く変わっていない。僕が三大経費と呼んでいるのはポスターやビラなどの紙代に会食費、それと人件費だ。田中事務所には秘書が30人くらいいたね。時代を問わず、有権者の投票行動の決め手はフェース・トゥ・フェースだ。選挙に金がかからないなんてあり得ないよ」 
―田中氏は100人を超す田中派(木曜クラブ)を率いた。岸田文雄首相(自民総裁)が打ち出した派閥の解消をどうみるか
  「竹下登さんが立ち上げた『創政会』(現平成研究会)だってもとは田中派内の勉強会として始まった。サルも集まれば派閥ができる。やみくもに派閥を否定しても絵に描いた餅になりかねないんじゃないかな」
―収入不記載事件が自民を直撃した
  「安倍派などの議員が出席した政治倫理審査会を全部見たけど、全員潔さを感じなかったな。知らない、覚えていないと繰り返しているが、そんなに記憶力が悪いのか。政治が劣化していると感じてしまうな。『ザル法』と呼ばれてきた政治資金規正法をキッチリ見直すことも必要だろう」
―議員と秘書の関係も変化している
  「今は良くも悪くもお互いビジネスみたいだよね。昔は政治家にほれ込んで、自分の人生をかけて仕える秘書が多かった。今の議員は不祥事が起きると、すぐ『秘書に任せていた』と責任転嫁してトカゲの尻尾切りをしようとするけど、秘書は尻尾なんかじゃないんだけどな」

あさか・あきら 
  昭和18年、東京都港区生まれ。中央大法学部卒。37年から田中角栄氏の秘書を務める。田中派(木曜クラブ)の秘書会統括などを歴任。現在は政治団体「政経調査会」の会長。


2024.04.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240407-F63CGZTFTRML5OKF7CW7HPOURU/
SNSで少女手なずけ性的動画を次々要求 卑劣「グルーミング犯」に共通する5つの特徴
(吉国在)

   小学5年の女児(11)に自ら撮影させた性的な動画を交流サイト(SNS)を通じて送るよう要求したなどとして、兵庫県警は2月、映像送信要求などの疑いで、神戸市の無職の男(31)=児童買春・児童ポルノ法違反などの罪で公判中=を逮捕した。逮捕は5度目10代の少女ばかりを狙い、信頼関係を作った上で巧みに性への興味を刺激しながら思春期の少女たちを手なずける「グルーミング」の手口で、性的な動画の要求や、性行為の撮影などを繰り返していた子供の純粋な気持ちを踏みにじる男のやり口はあまりにも卑劣だった。

  「ちゃんと俺の名前呼びながら好きっていいながら同じ動画撮って」  女児が、下腹部に指を伸ばす姿を自ら撮影した映像LINE(ライン)を通じてこの動画を受け取った男は、さらにこんな甘言を用いて、繰り返し性的な動画を送信するよう女児に要求していた。
  男は県警生田署に2月6日、わいせつ目的面会要求や映像送信要求などの疑いで再逮捕され、同署によると、容疑を認めている。
昨年7月に新設「性的グルーミング罪」
  両罪は、性的な目的で16歳未満の子を手なずける「性的グルーミング罪」として昨年7月に改正刑法で新設された。少年課によると、同罪を適用した兵庫県内の逮捕者は初めてという。
  再逮捕容疑は昨年8月、当時小学5年の女児(11)に、16歳未満と知りながらSNSを通じ面会を要求。同9月、この女児にわいせつな画像を送信するよう要求し、女児に撮影させた画像と動画を送らせたとしている。
  起訴状などによると、男が女児のSNSをフォローし、昨年8月ごろに知り合ったとみられ、ラインを通じてやり取り。性的な話題で盛り上がり、「会いたいな」「いつか会えるなら会おう」などと複数回にわたって、2人で会うことを要求していたという。
  さらに女児がやんわりと面会を拒むと、女児に対し、男の下半身を写した動画を送信。年端もいかない女児に自身の下半身を撮影した動画と画像を送らせた上で、「ちゃんと俺の名前呼びながら好きっていいながら同じ動画撮って」「今撮ってよ、俺のために」「それができるまで仲直りじゃないからねー」などと要求を繰り返していた
驚く捜査員「おとなしそうな子ばかり」
  最初の逮捕は昨年11月。当時12歳の別の少女に現金1万5千円を支払い、神戸市内の宿泊施設で児童買春したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された。その後、携帯電話の解析などの捜査を行ったところ、この少女を含む当時11~16歳計6人に対し、性行為やその動画撮影などの犯行に及んでいたことが判明したという。
  ある捜査関係者は「被害に遭った少女はみなおとなしそうなまじめな子ばかり。なぜこんな事件に巻き込まれたのか」という。
  性的グルーミングとは、もともと動物の毛づくろいを意味する英語に由来する。子供と親しくなり、信頼関係を築いた上で、その信頼を巧みに利用して子供に性的な接触を図るのが特徴とされる。
  警察庁の統計によると、令和4年に児童ポルノ事案の被害に遭った小中高生の数は1487人に上り、このうち自ら撮影した画像に伴う被害者数は577人と約4割を占めた。これとは別に、SNSに起因して事件に巻き込まれた被害児童の数は、平成25年には1293人だったが、令和元年には2倍近く増え、過去最多の2082人に上り、4年も1732人と高水準で推移する
  塾などに通う際の連絡手段として、小学校低学年でもスマートフォンやタブレットを所持する子供が増えている。さらにSNSの急速な普及ともあいまって、児童がオンライン上で知り合った大人からの性被害に遭うケースが相次いでいる。
大人の不審な行動、見極めを
  子供への性犯罪やグルーミングの手口に詳しい追手門学院大心理学部の桜井鼓(つつみ)教授(犯罪心理学)によれば、オンラインを通じた性的グルーミングには、5つの特徴的なプロセスがあり、加害者はターゲットを選ぶ子供に接近し、周囲から分離する信頼関係を醸成する性的話題への抵抗感をなくさせる加害後に口止めし、関係を維持する-といった共通した行動を取るとされる。
  加害者は、同じ趣味の話題をしたり、被害児童を褒めたりしながら、信頼関係を醸成。被害児童の承認欲求や愛着につけこんで、徐々に性的な話題や行為に持ちこんだ上で、「2人だけの秘密」「性教育」などと口止めし、児童自身の罪悪感や羞恥心をあおることで犯行が発覚しないよう仕向けるのだという。
  桜井教授は「グルーミングは、親身に話を聞いてくれたり、褒めてくれたりするまともな大人とのやりとりとも似ているため、子供にとっては見極めが難しい」と指摘。その上で「分別のある大人は性的な話題や口止めは絶対にしない。まずは見知らぬ人とは会わないようにすることが必要だが、知り合った大人がこうした不審な行動をしてきた段階で、身近にいる家族や学校の先生に相談してほしい」と話している。(吉国在)


2024.04.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240403-UUEWIZDP5FIVBFRQC4OQS4X46M/
社説 <主張>翻訳本発売に脅迫 言論封じの暴挙許されぬ

  民主主義の根幹をなす表現の自由への不当な侵害は決して許されない。 3日発売の翻訳本「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽(あお)る流行の悲劇」を巡り、取り扱う書店や発行元の産経新聞出版に脅迫メールが送り付けられた。「発売日に抗議活動として大型書店に放火する」などと予告する内容である。

  産経新聞出版は威力業務妨害罪で警視庁に被害届を出した一部の書店は店頭での発売開始を延期する対応を迫られた
  憲法第21条は「集会、結社及(およ)び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と明記している。書店や出版社に対して暴力をちらつかせて言論を封じようとする脅迫は、趣旨の方向性にかかわらず、国民が享受する自由、民主主義に挑戦する暴挙だ
  産経新聞社と産経新聞出版はこのような脅迫に屈しない。最大限の言葉で非難する
  原著は米国のジャーナリストによるノンフィクションで2020年に出版された。ブームに煽られて性別を変更し、回復不能なダメージを受けて後悔する多くの少女らに取材しており、独仏など各国で翻訳されて話題となった
  日本では出版大手のKADOKAWAが「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」の邦題で発行を予定していた。だが、「トランスジェンダーへの差別だ」とする抗議や批判があり、昨年12月に発行中止を決めた経緯がある。
  その後、産経新聞出版が発行を決めた。米国でベストセラーになるなど外国で評価を得た書籍が日本で出版できなくなることに危機感を覚えたからだ。LGBTなど性的少数者への差別があってはならないのは当然だが、そもそも翻訳本は差別を助長するものではない。それでも同出版には発行中止を迫るメールが届くようになった。
 性の多様化が進む米国の子供たちや家族が今、どのような状況にあるのか。その一端を示すのが翻訳本だ読者にトランスジェンダーについて考える材料を提供するのが狙いである
  翻訳本の内容に批判があるなら、それはあくまで言論でなされるべきである。暴力や脅迫は断じて認められない


2024.03.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240321-XGE5TNCJL5EJBOQBJAZ5UZ6PCE/photo/FIP5NXXMNJAAVLUYHCSXHWLYGU/
過度なハイレグ、ローライズ「不可」 埼玉県公園協会が水着撮影会に「細かすぎる」手引き

  埼玉県営プールで昨年開かれた水着撮影会で過激な水着やポーズが問題になったことを受け、プールを管理する県公園緑地協会は、水着撮影会の新たな許可条件を示し、水着やポーズなどについて詳しく説明した「開催の手引き」を公表した。撮影会を巡っては、昨年6月、協会がイベントを開催予定だった複数の団体に中止を要請。条件が明確でなかったことなどを理由に県が撤回を指導し、協会が一部を取り下げるなど混乱した。

  これを受け、協会は「埼玉県営水上公園における水着撮影会の在り方検討会」を立ち上げた。大学教授や県職員OB、経済団体役員、弁護士、広告代理店社員の5委員が、あるべき水着やポーズなどについて検討を重ねたという。
  新たな許可条件では、18歳未満の青少年は出演も入場も禁止とし、外部から撮影会が見えないよう遮蔽措置を取ることを必須条件とした。
  また、手引きでは「総則」で「乳首や性器が露出する水着又はその可能性のある水着の着用は禁止」とし、トップス、ボトム、出演者のポーズなどについて、過度なハイレグやローライズ「不可」とするなどイラスト入りで細かく規定した。
  SNS上では「細かすぎる」との指摘も出ている。


2024.03.16-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240316-KEN2T5IBBRAGDDZFDH6YNH2MBI/
私も自民党青年局幹部務めたが、これほど幼稚でいちびりな話は聞いたことない 松井一郎
(前大阪府知事、前大阪市長 松井一郎)

  東日本大震災の発生から11日で13年となった。2万2000人以上が犠牲となった「戦後最大の自然災害」である。改めて、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りしたい。インフラ整備など被災地のハード面での復興は進んだが、被災者の方々は震災前の生活を取り戻していない。原発事故などの影響で今も約2万9000人が避難を余儀なくされている。日本国民はこれからも被災者や被災地に寄り添い、支援を継続していくべきだ
  日本列島は現在、地震の活動期に入っている。今年元日には震度7を観測した能登半島地震が発生した。千葉県東方沖では2月末から震度4程度の地震が続いている私が住む大阪や西日本で最も警戒されるのは、南海トラフ巨大地震である。静岡県から宮崎県にかけて一部では震度7となる可能性も指摘されている。それに伴う津波から、国民の生命と財産を守らなければならない。
  大阪府は、私が知事時代の2012年から「防潮堤の整備」と「液状化対策」を進めてきた。23年でいったん終了したが、想定される浸水区域面積は対策前の約1万1000ヘクタールから約5300ヘクタールに、人的被害(死者数)は13万人以上から7400人に、経済被害は28・8兆円から12・5兆円まで下がった。自然災害の被害はゼロにはできないが、できる限り最小限にするために、ハードとソフト両面の「備え」が必要だ。

  さて、和歌山市で昨年11月、自民党青年局の近畿ブロック会議後に開かれた懇親会に、下着姿のような女性ダンサーが複数招かれていたことが発覚した。党和歌山県連が主催したもので、報道では、ダンサーに口移しでチップを渡したり、尻を触る参加者もいたという。
  私も15年ほど前、自民党大阪府連青年局の幹事長を務めた経験があるが、青年局関係の行事で、これほど幼稚でいちびりな(ふざけた)話は聞いたことがない。懇親会の画像を見たが、情けない。
  準備した県議は「多様性の重要性を問題提起しようと思った」と釈明していたが、言い訳がひどすぎる。それで国民が納得すると思っているなら、国民をバカにしている。
  政治家というより、社会人としてのモラルが欠如している。自民党派閥の裏金事件では「派閥幹部の責任」が問われたが、次世代を担う青年局のメンバーが多数集まって、誰もハレンチ行為を止めなかったということは、「自民党の再生」は相当難しいのではないか。自民党の「緩み」「たるみ」「おごり」は頂点に達していると言わざるを得ない。
(前大阪府知事、前大阪市長 松井一郎)


2024.03.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240311-KIPO7RFEZNF3XJPMKNCM6GMHAI/
中国、日本EEZ内の尖閣沖観測ブイ使い複数の論文発表 活動を既成事実化、軍事利用も
(データアナリスト 西山諒)

  尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が大型の観測ブイを設置している問題で、中国の研究者が、ブイの観測データを基に少なくとも4本の学術論文を発表していることが11日、分かった。ブイのデータを活用することで、尖閣周辺海域の管轄権の既成事実化も狙っているとみられる。また、ブイのデータは軍事利用されている可能性がある。

識別番号「QF209」
  海上保安庁などによると、観測ブイは2013年に尖閣諸島の魚釣島の北西約80キロ、EEZの境界線である日中中間線付近で初めて確認された。その後、ブイが流される度に新しいブイが設置されたとみられ、2016年以降は日中中間線より日本側に入った位置で確認されている。政府は外交ルートを通じて中国側に抗議しており、岸田文雄首相は昨年11月の日中首脳会談で即時撤去を求めていた
  産経新聞が論文検索サイトを使って調べたところ、尖閣諸島沖に設置されたブイに関連する英語の学術論文が2018年から2020年にかけて4本発表されていた。ブイは識別番号「QF209」とされ、中国の研究者がブイの観測データを使って気象予測などを論じている。ブイが日本のEEZ内にある時期に収集されたデータも含まれているとみられる。
  2019年に中国国家海洋環境予報センターの研究者が発表した論文では、QF209は24基のブイで構成された中国の観測ネットワークの一部として登場。QF209の観測期間は2013年2月以降としている。またQF209をめぐる4本の論文は、他の論文に引用されており、中には26本の論文に引用されたケースもあった。
  東京大学大気海洋研究所の柳本大吾助教(海洋物理学)は「日本の研究者も掲載を目指す米国の科学雑誌も含まれている。東シナ海は台風や線状降水帯の予測において重要な海域で、貴重なデータがとれている。係留型のブイは、気象庁の漂流型のものと違い、時間変化するデータを同じ場所で細かく取得することができるという利点がある」と指摘する。
天気予報で領有権アピール
  中国国家海洋局の2014年の文書によれば、QF209は直径約10メートルで、風速、風向き、気圧、気温、水温、波浪のデータを収集し、送信する能力がある。
  中国の軍事ニュースサイト「新浪軍事」の2013年の記事では、高精度な地図の軍事転用を引き合いに出し、観測ブイも軍事と民生の両面で大きな意義があるとしている。
  また香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの2021年1月の記事は、国家海洋局当局者の発言として、係争海域にある新型のブイが装備しているカメラやセンサーを使い、他国による侵入とみなされる行為を察知した場合、中国海軍と法執行機関に通報すると伝えている。この記事では、潜水艦の安全な航行にブイのデータが役立つとも書かれている。
  2021年には海上自衛隊が奄美大島沖で中国の潜水艦を確認しており、こうした活動にブイの観測データが活用されている可能性がある。
  元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「海中のデータは重要だ。水温が変わると、海中での音の伸びも変化する。地球温暖化で海水温が1度上がるだけでも、潜水艦の探知のために蓄積した過去のデータが無駄になることさえ懸念されている」と話す。
  中国は、日本が2012年9月に尖閣諸島を国有化すると同時に、中国国営中央テレビ(CCTV)で尖閣諸島の天気予報を始めており、気象をめぐる情報が領有権を示す道具として使われている。
新型ブイは大型化、能力向上か
  QF209と同じ場所へ2023年に設置されたブイは、識別番号「QF212」とされ、さらなる能力向上が図られているとみられる。中国メディアの報道や、衛星画像を使った分析を総合すると、新しいブイは直径が約15mと大型化している可能性がある
  昨年、中央軍事委員会の指揮下にある海警局の船舶は過去最多の352日にわたって尖閣諸島周辺の接続水域に入域し、うち42日は日本の領海に侵入した。ブイは海警局の船が出航する浙江省台州市と尖閣諸島周辺の接続水域を結ぶ航路上に位置している。
  中国のブイを巡っては、フィリピンやベトナムも同様の問題を抱えている。フィリピンは同じ海域にブイを設置して応酬したり、漁師や沿岸警備隊が浮遊障壁を撤去するなどして対抗してきた。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の報告によると、ベトナムも1988年に中国のブイの設置を阻止するなど長年、中国と沿岸の領有権を争ってきた。
「政府は初動を誤った」
  ブイが海洋警備や軍事に用いられる例は、中国以外でもみられる。米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は「Oceans of Things」と称し、数千の小型フロートからなるセンサーネットワークを自国の沿岸に展開しており、搭載された高感度のマイクで水中の様子を監視している。
  国連海洋法条約はEEZを管轄する国にしか構造物設置を認めておらず、科学調査には事前の許可が必要としている。同条約は、EEZの境界が未画定の海域についても、最終的な合意に向けて当事国同士があらゆる努力を講じることとしており、中国の一連の行動はこれと相容れない。一方、撤去に関して明文化された規定がないこともあり、日本政府は10年以上にわたって対応できずにいる。
  香田氏は「政府は明らかに初動を誤った。論文は米国の雑誌にも掲載され、国際法上の既成事実を与えてしまっている」と指摘。「(侵攻に)徹底抗戦するウクライナと違い、国際社会からわが国の国際法上の権利であるEEZにおける管轄権を諦めているとみなされる。今頃撤去すれば中国は、対応策として自国の管轄権を守るためと称して軍艦を派遣する可能性もある」と厳しい認識を示した。(データアナリスト 西山諒)


2024.03.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240304-EVCFTBEIXVLZHADKKSJLNRO45E/
異論暴論 「もしトラ」に備える 第2次政権への臆測と期待
(溝上健良)

  11月に行われる米大統領選で返り咲けば、第2次トランプ政権は西側諸国との同盟を破棄して孤立主義的傾向を強めるのではないか―との懸念が米国や日本の一部から発せられている。しかし麗澤大学の古森義久特別教授は、第1次トランプ政権がNATO(北大西洋条約機構)を強化してきたと指摘し、日米同盟重視の姿勢は今後も変わらないとの見通しを示す。そして民主党寄りの米メディアと、それに追随してトランプ氏への懸念を発信する日本の一部報道に惑わされないよう訴える。ニュート・ギングリッチ元米下院議長も、再選すればトランプ氏は「歴史的な米日関係を支持し強化すると信じています」と強調した。

  慶應義塾大学非常勤講師の安藤優香氏は、第2次トランプ政権誕生で中東の人権状況悪化が予想され、日本は中立的な立場で人道支援を行っていくべきだと訴える。本紙の矢板明夫台北支局長は、中国の習近平国家主席はバイデン米大統領の続投を熱望しているはずだと分析する。
  朝鮮半島の「統一の放棄」を宣言し、従来とは異質の動きを始めた北朝鮮の意図について、本紙の久保田るり子客員編集委員とジャーナリストの城内康伸氏が対談。前々回の米大統領選では「トランプ氏がまだ泡沫(ほうまつ)候補扱いされていた時点で北朝鮮の政府関係者は『トランプが当選する』と予測して」いた秘話が明かされる。(溝上健良)


2024.03.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240303-3TUNL3M6SBKFLOUJLXZ2R4LWW4/
麻生発言報道のダブルスタンダード 新聞に喝!
(ブロガー・藤原かずえ)

  自民党の麻生太郎副総裁は、1月28日の講演で、上川陽子外相の仕事ぶりを「このおばさんやるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども」という言葉を交えつつ絶賛し、「こういった女性・若い人たちをわれわれは育てねばならない義務と責任がある」と結論付けました。

  これに対し、一部メディアは、麻生氏の発言趣旨とは正反対に「麻生氏の発言 女性進出阻む旧態依然」(朝日新聞)「麻生氏発言と自民 女性蔑視放置する無責任」(毎日新聞)などと、女性を容姿・年齢で差別する時代錯誤者として麻生氏を断罪、その声を無批判で受け止めた上川氏を非難した上で、これを自民党の体質と断じました。この一連の報道には強い違和感を持ちます
  まず「そんなに美しい方とは言わんけれども」は、単なる無神経な表現です。だからといって、この一言で差別と断罪するのは軽率なとらえ方だと考えます。また、上川氏の内心に土足で踏み込み、、麻生氏に抗議するよう求めたのは乱暴ではないでしょうか
  何よりも危惧するのは、年長者に対して身内(叔母)のように親しみを込めて使う「おばさん」という言葉を悪意の差別語と独断で判定して言葉狩りを展開している点です。言葉の負の側面のみに着目して発言者をたたくのは不公正です。実際「おばさん」は、今もなお親しみ深いステレオタイプを想起する善意の言葉として多用されています。それが証拠に、朝日新聞や毎日新聞のウェブサイトで「おばさん」キーワード検索すれば大量の記事が表示され、その大半が「おばさん」を友好的表現として使っています。

  また、極めて不可解なことに、国会で麻生氏と上川氏を非難した立憲民主党・田島麻衣子議員が過去に菅義偉政権「菅おじさん内閣」と呼んで批判していたことがSNSで話題になりましたが、この事実を問題視した一般紙は皆無です。これらのダブルスタンダードから素直に推論すれば、今回の麻生氏と上川氏に対する非難は、一部メディアが無理やり仕掛けた自民党に対するネガティブキャンペーンの可能性があります。
  哲学者の中島義道氏は、著書『差別感情の哲学』で、快・不快を統制する社会の恐ろしさを指摘しています。差別感情の強い人は、正常と思われたい欲望によって、自らを正義の側におき、自ら認定した加害者を徹底的に打ちのめしてよいという信念をもちます。快・不快を思うままに統制し、独善的な正義を振りかざして政治家個人を断罪する一部メディアの報道は狡猾(こうかつ)なモラルハラスメントです。

【プロフィル】藤原かずえ(ふじわら・かずえ)
  ブロガー。マスメディアの報道や政治家の議論の問題点に関する論考を月刊誌やオピニオンサイトに寄稿している。


2024-02.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240225-WHVLQGCEFVEZFIVGQ64L46OFHA/?outputType=theme_weekly-fuji
「中国非公式警察」捜索、コロナ補助金詐欺は「糸口」だ 日本の諜報機関は能力高い 有本香

  手前味噌の話題で恐縮だが、政治団体「日本保守党」(代表:百田尚樹/東京)の大型街宣車第1号「ブルーサンダー号」が完成したことを、本紙読者の皆さまにお知らせしたい。

  街宣車ぐらい、どの政党も持っているではないか、大したことなかろうと―思われるだろうが、設立から半年とたたない弱小団体にとって大型街宣車は非常に大きな買い物だ。約6万人の党員の皆さんの浄財(党費)で賄うものゆえ、その購入・加工には大いに神経を使い、知恵を絞ったつもりである
  身内の会食での高級イタリアンや焼き肉に、湯水の如く大枚をはたく自民党の〝大物〟議員方とは異なる金銭感覚が要求されるのだ。
  日本保守党の街宣車にはパーティー(政党)カラーである鮮やかなブルーの車体にロゴが染め抜かれていて、大変目立つ。ルーフには人が立って演説できる台も設置した。この青い車で日本各地に雷鳴「ブルーサンダー(青い雷鳴)」を轟(とどろ)かせようというわけだ。
  このブルーサンダー号は今週末、日本保守党が国政「初陣」の地と決めた衆院東京15区(江東区)に投入する。同時に、東京15区衆院補選(4月28日投開票)の候補者も内定した。来週以降、記者会見を開いて発表する。さらに時を同じくして、かねて公募していた「現職議員の所属」認定第1弾も発表した。
  地方議員8人、6期目を務める大ベテランから1期目の議員まで、まさに多士済々の顔ぶれが集まったと自負している。結党メンバーの一人である東京荒川区の小坂英二議員を筆頭に、9人の地方議員が「日本保守党」の旗を携えて各地で活動することになる。
  おかげさまで、日本保守党のこの動きに、ネット上では歓迎の声が多く寄せられた。所属認定された地方議員のXアカウントにはフォロワーが集まり、大阪から名古屋へ陸送された「ブルーサンダー号」の〝追っかけ〟をした人の投稿も見られた。
  日本保守党への期待の声(同時にアンチも一定数いるが)に改めて感謝しつつ、高杉晋作の「面白きこともなき世を面白く」という辞世の句ではないが、支援者の皆さまと大いに楽しみながら、現代の世直しをやりたいと思っている。しかし、そんな気分に水を差す嫌な事件の報もある。
  「近々捜査に入る」と噂されていた東京都内にある「中国の海外警察(非公式警察署)拠点」を捜索し、警視庁公安部は21日、詐欺容疑で、中国籍の女2人を書類送検したのだ。具体的には、新型コロナウイルス対策の持続化補助金の不正受給である。
  おそらく補助金詐欺は「糸口」に過ぎなかろう。大きく報じられてはいないが、近年、コロナ補助金の詐取を緒として、公安が特定国と強い関係を持つ人々を取り調べる事案は複数ある。特に中国、北朝鮮のいわゆるスパイ活動を炙り出す捜査に、現場担当者は従来以上に注力している。「諜報機関の未整備」がよく指摘されるが、実は日本のインテリジェンス関係者の捜査能力は非常に高い。
  筆者が具体的事例を知るのは、中国の民族問題に関する数年前の件だが、日本のインテリジェンス関係者が米国当局者も驚くほどの情報を取っていたと確かな筋から聞いた。ただし、その貴重な情報を活用する術がわが国にはなく、米国に提供するしかなかったという情けない現状についても併せて聞いた。
  「諜報機関の再編、拡充」。この活動をバックアップするための法整備が急務であることは、これまでも口を酸っぱくして言ってきたが、今の永田町にこれへの熱心な動きは見られない
  日本国内に張り巡らされ、日々増幅されている中国や北朝鮮の〝赤いネットワーク〟。日本保守党が、これらを切り裂く「青い雷鳴」たらんと思っている。

有本香(ありもと・かおり ジャーナリスト)
  1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。


2024.02.24-産経新聞(夕刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240224-ITT7TJEQWZA3FA2WCY4GBQZXV4/?outputType=theme_weekly-fuji
深層韓国 ドイツ国賓訪問を「ドタキャン」した韓国・尹大統領 夫人のためなら外交欠礼も 
(ジャーナリスト 室谷克実)

  外国の元首を国賓として迎えることは、どの国の政府にとっても一大行事だ。外交儀典に粗相がないよう、首脳が失言しないよう、事務当局は万全を期す
  そうしたことは十分に承知しているだろうに、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、ドイツ国賓訪問の4日前になって突然キャンセルを通知した。理由は「諸般の事情を考慮して」。ひどい「外交欠礼」だ

  韓国メディアがほぼ一様に挙げる〝本当の理由〟は、評判の悪い金建希(キム・ゴンヒ)夫人が西欧の華やかな外交儀典の場に立つと、国民感情がさらに悪化するから。もちろん選挙への影響もあるが、夫人をかばうためなら外交欠礼も厭(いと)わずその決断も4日前まで、できなかった…もうボロボロの大統領だ
  1月26日付の本連載で、《「自由主義政権の存続より夫人を守る」―。尹大統領は状況を総覧して適切な判断を下す目を失っている》と指摘した。 夫人は従北派の牧師から34万円相当のバッグを受け取る場面を盗撮された。左翼メディアが仕掛けた「罠」だったが、受け取ってしまった事実は重い。野党代表の疑惑は数百ウォン規模だが、汚職の構図は分かりにくい。 バッグ受け取りはとても分かりやすい。与党「国民の力」内部からも「夫人は早く謝罪しろ」との声が噴出し、韓東勲(ハン・ドンフン)「国民の力」臨時委員長はそうした声に「理解」を示した。
  尹大統領は、それが気に入らないとばかり、就任1カ月にもならない韓氏に「退陣」を要求した。韓氏は「国民だけを見て進む」と述べ、辞職要求を拒絶した。保守系メディアが挙げて大統領を批判すると、側近は「大統領府は与党人事には介入しない」と言を翻し、激突は回避された。
  尹氏は2022年8月以来、記者会見をしていない。今年の旧正月は会見をするとの観測もあった。が、国営KBS放送のキャスターと対談、それを編集して録画放映することで会見に代えた。
  その対談で、大統領は夫人のバッグ受け取りについて、「きっぱり断らなかったことがちょっと問題と言えば問題」とだけ述べて、また支持率を落とした。
  保守系紙「東亜日報」(2月15日社説)は「大統領と参謀たちの度重なる民心読みの失敗が、今回の外交欠礼を生んだ」と断じた。
  与党支持率が韓氏の主導によって上向いていることが、保守陣営にとっては唯一の〝救い〟だ。(ジャーナリスト 室谷克実)


2024.02.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240218-RELP2OQZVRLOVNJDKA3J6K2U7A/
<主張-社説>与正氏の拉致発言 妄言を事態打開に繫げよ

  北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長が、岸田文雄首相が訪朝する可能性に言及した。
  与正氏は金正恩党総書記の実妹であり、極めて異例の談話だが、拉致問題は解決済みとした上で「拉致問題を両国関係の展望の障害にしないのであれば」と条件をつけている。

  北朝鮮の工作員に連れ去られた横田めぐみさんら拉致被害者全員を奪還することは、日本国民の宿願であり、日本政府の最重要課題だ。林芳正官房長官が「解決されたとの主張は全く受け入れられない」と述べたのは当然である。
  拉致は国家機関による残酷な誘拐事件であり、加害国による一方的な「解決」の主張は到底許しがたい。ストックホルム合意による「再調査」の約束も反故(ほご)にしたままである。一日も早い肉親の帰国を切望する被害者家族の思いを、土足で踏みにじるような妄言だ。
  日本政府内には「日米韓3カ国の緊密な連携にくさびを打ち込む思惑がある」との見方がある。深刻な食糧不足打開へのすり寄りも考えられる。いずれにせよ、談話の背景には北朝鮮の窮状があるとみるべきだ。
  与正氏は談話の最後で「これはあくまでも、私の個人的な見解でしかなく、私は公式に朝日関係を評価する立場にはない」と断っているが、独裁国家の北朝鮮で「個人的な見解」の披瀝(ひれき)はあり得ない
  兄の正恩氏の意向をくんだ談話とみる方が自然だろう。正恩氏は1月、「日本国総理大臣 岸田文雄閣下」宛てに、能登半島地震の被災者を見舞う電報を送った。これも与正氏の談話と同じ文脈にあるとみていい。
  平成14年、当時の小泉純一郎首相の訪朝で、金正日国防委員長は初めて拉致の事実を認めて謝罪し、5人の拉致被害者が帰国した。当時の北朝鮮は、米ブッシュ政権による「テロ支援国家」指定や「悪の枢軸」と名指しされた圧力に追い込まれていた。北朝鮮の窮状は、膠着(こうちゃく)した事態打開の糸口となり得る。
  北朝鮮に対する外交の基本姿勢は、拉致問題の解決なしに国の未来は描けない―と理解させることだ
  与正氏の妄言を改めて拉致問題を俎上(そじょう)に載せる好機ととらえるような、したたかで冷徹な外交を求めたい。目的は拉致被害者全員の帰国である。


2024.02.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240216-ITBR6FBLNZIPLGKRXUTNASGFOY/
同僚女性の飲み物に体液動画 専門家「『注目』が原動力に」 器物損壊や傷害罪の可能性
(橋本愛)

  X(旧ツイッター)で今月、会社で同僚女性の飲み物に体液を混入させる動画を投稿するアカウントの情報が拡散された。他人の持ち物に体液をかける行為は器物損壊罪などに当たる可能性があり、警察当局が事実確認を進めている。他にも同様の投稿をしているアカウントがあり、SNSでの発信がこうした行為に拍車をかけているとみられる。

映り込んだ景色から特定
  2月上旬、会社で同僚女性の飲み物に体液を混入させたり、女性トイレに侵入してサニタリーボックスをあさったりする様子を撮影、投稿するユーザーの情報が拡散された。ユーザーはアカウントを消したが一時、2000人以上のフォロワーがいた。
  投稿者は会社内でこうした行為を繰り返していたとみられ、投稿を見たネットユーザーが、動画や画像に映り込んだ付箋の文字や周辺の景色などから現場が岡山県内にある不動産会社の営業所と「特定」した。
  この不動産会社はホームページで、投稿は同社勤務の派遣社員が行ったと確認し、派遣契約を解除した上で弁護士に相談していると説明。岡山県警も事実確認を進めているといい、同社は「捜査に全面的に協力する」としている。
別人の名前が拡散
  他人の持ち物に体液をかける行為は器物損壊罪などが適用される可能性がある。甲南大の園田寿名誉教授(刑事法)は「物理的に破壊していなくても、心理的に物を使えなくさせることは器物損壊罪に当たる」と指摘。被害者がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するなどした場合は傷害罪も成立しうるとしている。
  一連の行為はネット上での「告発」で表面化したが、専門家は書き込みなどが過熱することで、犯行のエスカレートにつながる可能性も指摘する。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「投稿は『自分がやった』という一種の自己顕示で、注目を浴びることが原動力になっている」と分析。模倣犯を生む可能性があり、警察や関連団体に通報するなど冷静な対処が必要と話す。
  ネット上では「加害者ではないか」として、ホームページに掲載されていた社員の写真や名前が拡散したが、同社が確認した当該の派遣社員とは別人だった。井上氏は「ネット上の特定だけで犯人に行き着き、正しく罪が罰せられることは少ない。『私人逮捕』が問題になったように、すぐ騒ぎにするのではなく、落ち着いて対応を求めることが適切」としている。(橋本愛)


2024.01.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240122-DGE262Q7NRLI7LVA4KXFY75PAU/
群馬・高崎の朝鮮人追悼碑、県が行政代執行で撤去の方針 市民団体との協議平行線で

  群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある戦時中の朝鮮人労働者追悼碑について、群馬県は行政代執行により撤去する方針を固めた。最高裁決定を受けた県の撤去要請に対し、碑を管理する市民団体側が逆に撤去命令の取り消しを求めて訴訟を起こすなど事態が膠着(こうちゃく)したことから判断した。具体的な時期は明らかにしていない。

10年間の設置許可、更新認めず
  追悼碑をめぐっては平成16年、革新系の市民団体が県による10年間の設置許可を受け設置。「政治的行事を行わない」との条件付きだったが、追悼式で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」などと発言したため県は26年、条件に反したとして更新を認めず、市民団体が不許可処分の取り消しなどを求め訴訟となった。
  1審前橋地裁判決は県の更新不許可処分は裁量権を逸脱し違法と判断したが、2審東京高裁は「追悼式で『強制連行』という文言を含む政治的発言があり碑は中立的な性格を失った」とし、市民団体側の請求を棄却した。令和4年6月、最高裁は市民団体の上告を棄却、高裁判決が確定した。
市民団体「徹底的に闘う」
  これを受け県は昨年春、市民団体に追悼碑の撤去と原状回復を命じ、その後も協議を持ったものの平行線をたどり、県は7月、直ちに撤去するよう求め、着手しない場合、法定手続きに沿って行政代執行を行うことも通知していた。
  これに対し市民団体は10月、撤去命令の取り消しなどを求める訴訟を前橋地裁に申し立て、「追悼碑は公園内で10年にわたって静かに鎮座しており公益を害するようなことはない。徹底的に戦う」(弁護団長の角田義一氏)と現状維持を強く訴え、折り合う姿勢は見せなかった。山本一太知事は「司法の場で議論し、最高裁で結論が出た以上、その判断に従って必要な手続きを粛々と進めていくだけだ」と語っていた。







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