露-ロシア問題-1



2020.9.16-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d2b1392127d4eeb978501aa501978a8452a8deab
プーチン大統領が菅首相に祝電「諸問題に共同対処」 安倍路線継続を歓迎

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は16日、新首相に選出された菅義偉氏に祝電を送り、「諸問題に建設的に共同対処していく準備がある」と表明した。露大統領府が発表した。ロシアは菅氏が安倍晋三前首相の対露協力路線を継続するとみて歓迎しているとみられる。
  祝電は「安倍氏の尽力などで近年の両国の対話は相当に発展した」と安倍前政権時代の両国関係を評した上で、「両国間の喫緊の課題や国際的な議題について建設的に共同対処していく準備がある」と強調した。
  ロシアにとり、先進7カ国(G7)の一員である日本との関係は国際的孤立を回避する観点から貴重だ。ロシアが2014年にウクライナのクリミアを併合して欧米との関係が悪化した後も、安倍氏はロシアと良好な関係を維持。平和条約締結を視野に経済・技術協力を進めてきた。そのため露側は安倍氏の後継である菅氏選出に安(あん)堵(ど)している。
  一方、菅氏にとって行き詰まっている北方領土交渉の進展は容易ではない。ロシアは現在、領土問題を棚上げした平和条約を結ぶべきだとの立場を強め、「平和条約は領土問題の解決後に結ぶとする日本との隔たりは大きい
  安倍氏と異なって菅氏にはプーチン氏との個人的関係が欠如していることなども、今後の交渉に影響するとみられている。ロシアの日本専門家の間では「菅政権下でも基本的な協調関係は変わらないが、同時に領土問題でも進展は見込めない」との見方が支配的だ。


2020.8.20-Yahoo!Japanニュース(』読売新聞)-https://www.yomiuri.co.jp/world/20200820-OYT1T50242/
露の反体制指導者、お茶に毒を盛られたか…機内で体調急変し重体

  【モスクワ=工藤武人】ロシアの反プーチン政権運動の指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏(44)の広報担当者は、ナワリヌイ氏が20日朝、体調が急変し、意識不明の重体になっているとツイッターで明らかにした。広報担当者は「毒物による中毒症状」と説明しており、毒を盛られた可能性を指摘している。

ナワリヌイ氏は、露シベリアのトムスクからモスクワに移動中の機内で体調が急変した。ナワリヌイ氏は緊急着陸先の西シベリア・オムスクの病院で集中治療を受けており、人工呼吸器が装着されているという。ナワリヌイ氏がトムスクの空港で口にしたお茶に毒物が入っていた可能性があると説明している
   昨年7月にもナワリヌイ氏は、収監先の拘置施設で体調が急変し「毒を盛られた」可能性が指摘されていた。
   ナワリヌイ氏は独自の調査で、政権幹部の汚職や不正を追及し、反政権デモの呼びかけでも主導的な役割を果たしており、プーチン政権は締め付けを図ってきた。


2020.7.22-GOO!ニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-wor2007220025.html
露極東で大規模デモ 知事逮捕に住民反発 中央集権のほころび露呈

  【モスクワ=小野田雄一】ロシア極東ハバロフスク地方で今月中旬以降、反プーチン政権デモが続いている殺人容疑で現職知事が逮捕されたことをきっかけに、中央による地方軽視への不満が噴出した。近年のロシアでは別の地域でも同様のデモが発生。プーチン政権下で構築された強固な中央集権システムの“ほころび”が表面化しつつあるとの見方も出ている。
  逮捕されたのはハバロフスクのフルガル知事。2004〜05年に極東地方で起きた複数の殺害事件などに関与した疑いで、9日に露治安当局に身柄を拘束された。フルガル氏は容疑を否認。プーチン大統領はフルガル氏を解任した
  地元実業家出身のフルガル氏は18年の知事選でプーチン政権の与党「統一ロシア」候補に圧勝し、知事に就任した。自ら報酬を削減するなど市民に近い姿勢で地元では人気が高く、プーチン政権とは一線を画して独自の政治基盤を構築してきた。
  そのため地元では逮捕が地方自治への圧力と受け止められ、フルガル氏が所属する自由民主党のジリノフスキー党首は「政治事件だ」と反発。ハバロフスク市では11日、逮捕への抗議デモが発生し、その後も拡大。露経済紙ベドモスチによると、18日には同市の人口の約10%に相当する5万人以上が参加した。
  デモではフルガル氏釈放の要求とともに、「モスクワは私たちを放っておけ!」などと、中央政府への批判もスローガンに掲げられた。同紙は「デモの主な動機は知事の逮捕以上に、地方の運命がモスクワで決定されていることへのいらだちだ」と指摘した。
  実際、石油価格下落などで財政難が続くプーチン政権は近年、限られた資本をモスクワなど大都市に集中的に投資。政権が掲げる極東などの大規模開発計画は予算不足でかけ声だけで終わっている。露専門家の間では、デモ以前から「地方では『中央に搾取されている』との不満が強まり、自治意識が高まっている」と分析されていた。
  “反中央”とも呼べるデモは近年、別の地方でも起きている。露北西部アルハンゲリスク州では18年、プーチン政権派の知事が住民への説明もなくモスクワのごみの受け入れを決め、大規模な抗議デモが発生。知事は解任されたが、抗議活動は現在も続いている。
  プーチン氏は20日、ハバロフスクの知事代行に自民党のデクチャリョフ下院議員を任命。同党から知事を選ぶことで沈静化を図ったとみられるが、同氏は地元とのつながりを持たず、反発が収まるかは不透明。ベドモスチは「今の粗雑なモスクワの中央集権主義では国家の一体性が揺らぐ可能性がある」と指摘した。


2020.7.21-Yahoo!!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/6647f151a746818c8e3782fa8bc8eba449f757b2
露反体制派団体が閉鎖 ナワリヌイ氏「政治圧力で活動困難」

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアの反体制派指導者、ナワリヌイ氏は20日、自身が主宰し、プーチン露政権の不正を追及してきた団体汚職との戦い基金を閉鎖すると発表した。同団体に関連する銀行口座が政権側に凍結されるなどし、活動継続が困難になったためとしている。同氏は新組織をつくって政権との対決を続けると表明。支持者らに支援を呼びかけた。  ナワリヌイ氏は昨秋のモスクワ市議会選で、有力な野党系候補に票を集める「賢い投票」戦術を主導し、与党側の議席を減少させた。露治安当局はその直後、資金洗浄容疑で同団体の関係先を一斉に捜索し、多数の銀行口座を凍結。さらに複数の政府機関が同氏や同団体を相手取った損害賠償請求訴訟を起こしていた。露国内では、一連の動きは反政権機運の強まりに危機感を抱く露政権の圧力だとの分析が出ている。
   ナワリヌイ氏は20日、自身のウェブサイトで「9年前に設立した基金』は終わった。(政権側に)団体が奪われたためだ。プーチン大統領は(団体が)怖くなったのだ」と指摘。ナワリヌイ氏や同団体は訴訟で計1億ルーブル(約1億5千万円)近い賠償義務を負ったという。  一方で同氏は「プーチン氏らを打ち倒し、刑事被告人の席に座らせるまで全力を尽くす」などと表明。支持者らに新組織への寄付など支援継続を呼びかけた。


2020.7.6-NewsWeek-https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93888.php
プーチン終身大統領に道を開いたロシア「全国投票」は不正まみれ
(ブレンダン・コール)
(1)
<投票は最初から違法、プーチンの大統領続投を国民が望んだように見せるためだけの仕掛けだった>

  ロシアで1日に行われた憲法改正の是非を問う全国投票では、8割近くが改正案に賛成の票を投じた。だがロシア国内の専門家からは不正選挙を疑う声が挙がっている。
  今回の改正案には、最低賃金や年金額に関する新たな規定のほか、結婚は「男女間のもの」と定めるといった社会に関する規定の改正なども含まれる。だが目玉は24年に任期満了を迎える予定のウラジーミル・プーチン大統領が2036年まで続投できる新たな規定で、それ以外の項目は単なるカムフラージュだとの批判も聞かれる。

ロシア中央選管によれば、賛成票は全体の77.92%で反対(21.27%)を大きく上回った。タス通信が伝えたところでは、投票率は67.97%だったという。
  だがロシアの選挙専門家で、過去の選挙でも不正に関する調査を行なってきたセルゲイ・シュピルキンは、この結果に疑いの目を向ける。
  シュピルキンによれば、一部の選挙区で賛成票がほぼ100%に達している点や、また、投票率が高い投票所で賛成票が多い傾向があるのも不正を疑う根拠になっているという。
  シュピルキンは8800万票について調査を行い、その結果をフェイスブックで公開した。フォーブズ・ロシアの取材に対し彼は、最大で2200万票が不正に賛成に投じられた可能性を指摘している。
  「近年のロシアの選挙でこれほどの規模で票の操作が行われた例は他にない」と、彼はフォーブズ・ロシアに語っている。2016年のロシア下院選でも同様の不正は見られたが、これほどの数ではなかったという。
不正票は5800万票とも
  実際の賛成票の割合についてシュピルキンは65%前後には達したと見ている。一方、投票率は43%程度だったはずだという。
  独立系選挙監視団体ゴロスによれば、不正選挙の疑いがあるとの訴えが2100件以上、届いているという。
  最大で5800万票が違法に投じられた可能性があるとの見方もある。ロシアの法律では憲法改正の是非を問う選挙では期日前投票が認められていないのに、6月25日から7月1日にかけての7日間にわたって投票が可能だったとモスクワ・タイムズは伝えている。
  一方、野党政治家のアレクセイ・ナワリヌイはユーチューブに投稿した動画の中で、全国投票は「完全な嘘ででっちあげであり、われわれは認めない」と述べるとともに「今こそ団結して力を尽くし、9月には(与党)統一ロシアを打倒しなければならない」と語った。ロシアでは来年9月に議会選挙が予定されているが、日程は繰り上げられる可能性もある。
  英王立国際問題研究所の上級研究員ニコライ・ペトロフは、今回のロシア政府の狙いは、投票という形を取ることで改憲が深刻な政治スキャンダルになるのを防ぐことにあったと考えている。実のところ、今回の「全国投票」は国民投票とは異なり、実施するハードルも低い。
(2)
  「選挙結果の数字など誰も本気で数えてなどいなかった。これ(改憲)を華々しい勝利として売り込む方法は、政府の胸先三寸だった」とペトロフは本誌に語った。「今回のようなやり方で憲法を改正するのはまったく違法だという事実が無視された。最初から違法だったのであれば、結果に不正があっても大騒ぎする必要はない」
  カーネギー国際平和財団モスクワセンターのアンドレイ・コレスニコフ上級研究員は本誌に対し、今回の全国投票は「プーチンによる統治を延長し超保守的なイデオロギーの支配を認めることで普通の人々をプーチンの共犯者に」するための手段だったと述べた。
  「プーチンが長い政治生命を保っているのは、選挙で競り合って勝ってきたからというより、さまざまなツールを使って国民の過半数から支持を受けているという印象を作り上げたことに基づいている」とコレスニコフは電子メールで述べた。
  ロシアには州や共和国などの連邦構成体が85あるが、ロイターによれば反対が賛成を上回ったのはモスクワから北東に1600キロ離れたネネツ自治管区ただ1つ。反対票は3万7490票で全体の55%を占めたという
  (翻訳:村井裕美)


2020.7.2-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200702/k10012492491000.html
プーチン大統領 2036年まで続投可能に 全国投票で憲法改正へ

  ロシアの憲法改正の是非を問う全国投票は開票が終了し、賛成が78%近くと反対を大きく上回り、憲法は改正されることになりました。これによって、プーチン大統領は現在の任期が切れたあとも最長で2期12年、2036年まで続投することが可能となり、プーチン氏の今後の出方が焦点となります。
  ロシアで1日に行われた憲法改正の是非を問う全国投票について、中央選挙管理委員会は2日、開票が終了し、賛成が77.9%となり、反対の21.2%を大きく上回ったと発表しました。
  パムフィロワ委員長は「結果に影響を与えるようなことは起きていない」と述べ、深刻な違反は確認されず、投票結果は有効だとしています。
  これによって憲法は改正されることになり、プーチン大統領は今の任期が切れる2024年以降も立候補することに道が開かれ、最長で2期12年、2036年まで続投することが可能となります。
  プーチン大統領は、2日、テレビ会議の冒頭で、「あなた方が支持と信頼してくれたことにお礼を言いたい」と述べ、改正への支持に謝意を示しました。
  一方、野党勢力の有力な指導者ナワリヌイ氏はロシアは偽の投票結果の記録を打ち立てた。発表された結果なんて世論とはかけ離れたものだ」とツイッターに投稿するなど、反発を強めています。
  プーチン大統領は「続投という新たな選択肢を得て、最大限、権力を維持し続け、今後もロシアの国家運営の在り方をみずから決めていくものとみられ、実際に次の大統領選挙に立候補するかなど、今後の出方が焦点となります。
官房長官「関心持っていることを伝えている」
  菅官房長官は、午後の記者会見で、北方領土問題を含む平和条約交渉への影響について、「交渉がまさに進められている中、わが国の具体的な方針や進め方は、外交交渉の機微に触れる問題であり、答えを差し控えたい」と述べるにとどめました。
  そのうえで「ロシア側には憲法改正の動きに日本として関心を持っていることをしっかりと伝えている。領土問題を解決し平和条約を締結するという基本方針のもとに、引き続き、粘り強く取り組んでいく考えに変わりはない」と強調しました。
元島民「これまで以上に強い姿勢で交渉を」
  北方領土の元島民などでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の河田弘登志副理事長(85)は「領土の返還交渉に今後どう影響するのか不安だ」と述べました。
  そのうえで「改憲があっても、日本側はこのままの状態にしておかないはずだ。これまで以上に強い姿勢でロシア側と交渉に当たってほしい」と話しています。


2020.6.17-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200617/wor2006170002-n1.html
【遠藤良介のロシア深層】ベラルーシ異変…揺らぐ欧州最後の独裁者
(1)
  ロシア・旧ソ連諸国で反政権デモが粉砕される現場を数多く見てきたが、空恐ろしさを覚えたのはロシアよりも隣国ベラルーシ(人口約950万人)の治安機関だった。「欧州最後の独裁者」と称されるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が26年間にわたって君臨している国である
  首都ミンスクで2011年、人々が拍手して政権に抗議するという“デモ”を取材した。約千人がただ歩道上を歩き、時折、一部の者が手をたたく。それだけの行動だったが、手をたたいた者には即座に私服の治安要員らが無言で襲いかかった。この国ではロシアをしのぐ独裁体制が敷かれ、反政権運動は萌芽(ほうが)にもならないうちに摘まれてきた。
  そのベラルーシで今、前例のない動きが起きている。次の大統領選を8月9日に行うことが先月発表されると、ルカシェンコ氏の有力対抗馬3人が名乗りを上げ、現職退陣を公然と要求し始めたのだ。
  ベラルーシでは立候補者の選管登録に有権者10万人の署名が義務付けられている。この署名運動が各地で広範な盛り上がりを見せる。5月末のミンスクでは、署名を求める反政権派運動員に有権者が約1キロもの列をなしたという。
  大統領の任期制限は04年に撤廃されている。今回の大統領選も「出来レース」となり、ルカシェンコ氏が容易に6選を果たすとみられていた。しかし、経済の低迷などで鬱積していた国民の不満が、新型コロナウイルスの感染拡大によって一気に増幅された。
  ルカシェンコ氏はコロナをめぐり、国境閉鎖や外出制限などの措置を一切とらなかった。コロナを恐れるのは「精神障害」で、「ウオッカを飲み、サウナに行くこと」が最善の感染予防策だと公言。プロスポーツの試合も軍事パレードも通常通りに行われてきた。
(2)
  累計感染者数は約5万5千人、死者は300人強。これすらも実態をどれだけ表しているかは不明だ。国民はすっかり疑心暗鬼に陥り、独裁者が国民の健康に何の思いも致していないことを悟った。
   ルカシェンコ氏の対抗馬3人は(1)ロシア系銀行のトップを長年務めたババリコ氏(2)外務次官や駐米大使、ハイテクパークの所長を歴任したツェプカロ氏(3)起業家の人気ユーチューバー、チハノフスキー氏=拘束中=の妻-である。民主化や経済の自由化を訴えており、欧米との関係改善の必要性を認識している。
   むろん、3人の立候補登録が認められない可能性は高い。最有力とみられるババリコ氏の出身銀行には脱税などの容疑で捜査の手が伸びており、同氏が投獄される展開もあり得る。
   しかし、今回の大統領選に関しては、政権が対処を誤れば国民の怒りが暴発しかねない。ネット上の動画でルカシェンコ氏がゴキブリになぞらえられたのを機に、人々の間では「ゴキブリを止めろ」という過激なスローガンが広がっている。あるオンライン世論調査ではルカシェンコ氏の支持率がわずか3%と出た。
   強権指導者が居並ぶ旧ソ連地域にあって、ベラルーシ情勢は潮目の変化を予感させる。今後、ベラルーシ併合をもくろんできたプーチン露政権がどう出るかにも注目する必要がある。(外信部編集委員兼論説委員)


2020.6.6-朝日新聞-http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN23C2UC.html
ロ大統領、北極圏の燃料流出事故受け法改正指示 ノルニッケルを非難

 [モスクワ 5日 ロイター] - ロシア北極圏のノリリスクにある火力発電所の燃料タンクから燃料が大量に流出し、広範な環境汚染が広がっていることについて、プーチン大統領は5日、再発防止に向けた法令の改正を指示すると同時に、事故が起きた施設を保有する非鉄金属生産大手ノリリスク・ニッケル(ノルニッケル)<GMKN.MM>の筆頭株主のウラジーミル・ポターニン氏が適切な対応を取らなかったとして非難した
 事故が起きたのは5月29日。ノリリスク・ニッケルの主要生産施設の近くにある発電所の燃料タンクが圧力を失い、1万5000トンの燃料などが河川に流出したほか、6000トンが地面に流出した。これを受けプーチン大統領は今月3日に周辺地域に非常事態宣言を発令した。 
 ノリリスク・ニッケルは、永久凍土が溶け、燃料タンクを支える支柱が沈下したことが事故の要因だったと説明。ロシア検事総長は、永久凍土の上に建てられている全ての危険な建造物の点検を命令した。 
 プーチン大統領はテレビ会議方式で開催した会合で、類似の事故の再発防止に向け法令を改正するよう指示。ポターニン氏に対し「適切な時期に交換していれば、このような環境汚染は引き起こされなかった」とし、社内調査の実施を要請した。
 ポターニン氏はノリリスク・ニッケルの株式34.6%を保有する筆頭株主。政府から罰金が課されるか推測できないとしながらも、除染作業にノリリスク・ニッケルが最大100億ルーブル(1億4500万ドル)を拠出する方針を示した。
 事故を受けポターニン氏は解任されるべきとの見方が議員の間で出る中、大統領報道官はこの日、同氏の解任を否定した。


2020.6.5-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200605/mcb2006050856016-n1.htm
露北極圏で燃油大量流出 プーチン大統領激怒「報告遅い」

  【モスクワ=小野田雄一】ロシア北極圏の都市ノリリスクの火力発電所で大規模なディーゼル燃料流出事故が起き、燃料が河川に流入して環境への悪影響が懸念されている。プーチン大統領は3日、非常事態宣言を発令するとともに、事故の把握や報告が遅い」と関係者を叱責した。
  旧ソ連の諜報機関出身のプーチン氏は、情報のずさんな扱いに危機感と怒りを抑えられなかったようだ。
  事故は5月29日に発生。露経済紙コメルサントによると、永久凍土の融解により燃料タンクの土台が壊れ、破損したタンクから燃料2万1千トンが流出。大半が河川に流入した。
  油膜は厚さ20センチ、水質汚染は基準値の数万倍に達しているという。除去作業が行われており、現時点で環境にどの程度の影響が出るかは不明だが、同紙は「ロシア北極圏では過去最大の事故だろう」と報じた。
  6月3日、プーチン氏は緊急対策会議を開催。ジニチェフ非常事態相とウス知事は「事故は5月31日に知った」と報告した。ウス氏は「事故の実情はSNS(会員制交流サイト)で把握した」とも述べた。
   プーチン氏は「なぜ当局が2日後に事故を知るのか。私たちは非常事態をSNS経由で知らなければならないのか」と激怒した。
会議では、火力発電所側は発生直後に事故を地方関係機関に報告したものの、情報が中央に適切に伝達されていなかった可能性が浮上。プーチン氏は情報の伝達経路の検証を指示した。


2020.6.3-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200603/wor2006030019-n1.html
ロシアが核使用の指針公表、「発射情報」など明示 米国を牽制

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は2日、核兵器使用の指針を定めた文書核抑止力の国家政策原則」の更新を承認した。内容は露大統領府のサイトで公表された。ロシアや同盟国に対する弾道ミサイル発射の「信頼できる情報」を得た場合には核兵器を使用できるなどと明記している。
  これまで「原則」の内容は明らかにされていなかった。今回の公表は、戦略兵器の開発で競争関係にある米国を牽制するとともに、米国を軍備管理交渉に引き込みたいとの意図を反映しているとみられる。
  2010年にメドベージェフ大統領によって承認された上位文書軍事ドクトリン」は、「核兵器や大量破壊兵器による攻撃を受けた場合」や「通常兵器の攻撃で国の存立が脅かされる場合」に核兵器を使用する権利があるとしている。
  今回公表された「原則」は、弾道ミサイル発射に関する「信頼できる情報」を得た場合や、「核反撃に必要な重要施設」に対して敵国の行動があった場合にも、核兵器を使用できるとしている。また、ロシアの脅威として「宇宙空間へのミサイル防衛(MD)施設や攻撃システムの設置」を挙げ、名指しは避けながらも米国への警戒を示した。
  米露間では昨年8月に中距離核戦力(INF)全廃条約が失効した。21年2月に期限が切れる新戦略兵器削減条約(新START)をめぐっても、米国が中国を枠組みに参加させることを主張し、延長協議に消極的な姿勢を見せている。


2020.5.20-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/life/news/200519/lif2005190054-n1.html
【遠藤良介のロシア深層】プーチン氏の「存在意義」喪失
(1)
   新型コロナウイルスは多くの国家指導者にとって想定外だったに違いないが、ロシアのプーチン大統領は特に割を食った。
   「コロナ前」にプーチン氏が熱を上げていたのは憲法改正だった。自身のこれまでの大統領任期を帳消しにし、通算4期目の終わる2024年以降も大統領を続けられるようにする内容を含んでいた。改憲法は3月に成立したが、プーチン氏はあえて4月22日に改憲への賛否を問う国民投票」を行い、「圧倒的支持」を演出する手はずだった。
   戦後75年の今年、5月9日の対ドイツ戦勝記念日には例年以上の軍事パレードをモスクワの「赤の広場」で行う予定だった。閲兵する自らの両脇に、安倍晋三首相や中国の習近平国家主席、フランスのマクロン大統領といった来賓がいることを期待していただろう。
  「ソ連は欧州をナチス・ドイツから解放した」との宣伝で国民の愛国心を高揚させる。ロシアは日中や欧州の指導者から敬意を受ける大国だと誇示する…。
   全てはコロナで延期を余儀なくされ、目算は大きく狂った。ロシアは欧米諸国に遅れてコロナの猛襲を受け、累計感染者数は29万人を超えた。独立系世論調査機関によると、プーチン氏の支持率は4月、大統領に就任した2000年以降で最低の59%となった。報道が統制され、有力な対抗馬がない中での数字である。
   今回のコロナ禍でプーチン氏は、外出制限の発動などを地方首長に一任した。そうして難題からできるだけ距離を置いてきたにもかかわらず、不満はプーチン氏に向き始めている。最大の理由は経済の悪化だ。政権による企業や家計への支援表明は後手に回り、規模も小さい。今年の国内総生産(GDP)は前年比6%減と予測されており、より悪くなる可能性も高い。
   ロシアの痛手を大きくしているのが原油価格の急落である。経済多角化はかけ声倒れに終わり、資源依存の体質は変わっていない。石油・天然ガスなど燃料エネルギー部門は輸出の6割、歳入の4割を占める。原油高の時期に蓄積した国民福祉基金は2年で底をつく恐れがある。
(2)
 プーチン氏がまがりなりにも国民から支持されてきた理由、つまりレゾンデートル(存在意義)は2つある。
     第1安定と経済成長をもたらしたことであり、
     第2国民に「大国復活」の高揚感を与えたことだ。
 政権1、2期目には強権でソ連崩壊後の混乱を押さえ込み、00~08年のGDPは年平均7%で伸びた。だが、原油価格が1990年代の何倍にもなったのだから経済成長は当然だった。
 原油価格の低下や強権統治の硬直化で経済が頭打ちになると、プーチン氏は「大国路線」に傾斜した。その象徴が、米欧の制裁を恐れずに強行した2014年のクリミア併合である。プーチン氏の支持率は一時8割超まで伸びたが、長続きしなかった。こうして作為的な求心力維持がかなり難しくなっていたところにコロナの荒波が押し寄せた。
 ロシアでは、危機対応を委ねられた地方首長の一部や、ネット上での活動にたけた反体制派が存在感を増す可能性がある。日本も含め諸外国が警戒すべきは、プーチン氏が国内の不満をそらす思惑で「外敵」を設定し、強硬な対外政策に出ることであろう。
(外信部編集委員兼論説委員)


2020.5.19-Yahoo!!Japanニュース-産経新聞-https://news.yahoo.co.jp/articles/ba1a8ed6c7a66323025ac7d58d1532b27309e00f
アサド政権に異変 露、シリア出口戦略を加速か

  【カイロ=佐藤貴生】シリアのアサド大統領が支援者である富豪の資産接収に乗り出した。政権に起きた異変の背景には内戦でアサド氏と蜜月関係を築いたロシアの存在があるとも伝えられている。アサド政権を支援してきたロシア、イランを含めた3者の共闘態勢に変化が生じたとの見方が強まっている。
  ■標的は親類  シリア随一の富豪で、国内最大の携帯電話会社シリアテルを所有するマハルーフ氏は17日、「社長を辞めなければ資産を差し押さえると通告された」とフェイスブックに書き込んだ。アサド政権は同社に許認可料などの名目で少なくとも1億7千万ドル(約183億円)を納めるよう命じた。
    マハルーフ氏はアサド氏と同じイスラム教の国内少数派、アラウィ派の出身で、アサド氏の親類。資金面から同氏を長く支援しており、欧米の経済制裁の対象にも指定されている。  イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)は資産接収を指示したのはロシアだと報じた。ロシアは、復興を主導してシリアの経済権益を独占する狙いがある。資産接収は、政権がロシアの求めに応じて復興資金を調達するためだという。
    一方のアサド氏は外国が介入する形での復興には消極的で、現状維持を図ってきた。出口戦略を探るロシアとしては、復興を軌道に乗せたいのが本音。同国の意向に沿って動かないアサド氏に対して不満が強まっており、ロシアでは「腐敗体質」「頭痛の種」と批判する報道も出ている。
    ロシアはシリア内戦で人的犠牲や出費が膨らんでおり、復興を軌道に乗せて負担を軽減したいとの観測は数年前から出ていた。
   ■攻撃を黙認  ロシアが復興の枠組みからイランを排除するため、同国にシリアからの撤収を促しているとの指摘もある。英誌エコノミスト(電子版)によると、イスラエルが4月以降にシリア国内の軍事施設を空爆した際、シリアにあるロシア製防空システムS300が作動しなかったと報じた。
    イスラエルの攻撃はシリアに駐留するイランやその系列組織を狙ったもので、同誌は、システムを管理するロシア軍が攻撃を黙認した」との見方を伝えた。
   ロシアはシリア復興には欧米の協力が不可欠と認識している。欧米がテロ組織に指定しているイランの影響下にある民兵組織がシリアに残っていれば、幅広く資金拠出を求める上で障害となるのは間違いない。


2020.5.15-Goo!!ニュース-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-wor2005150007.html
露外務省、米英紙の「死者過少報告」報道に抗議 登録剥奪も

【モスクワ=小野田雄一】ロシア外務省のザハロワ報道官は、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)と英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が「ロシアは新型コロナウイルスの死者数を過少報告している可能性がある」などと報じたことについて、「ディスインフォメーション(偽情報)だ」とし、今後の両紙の対応次第では露国内での報道機関登録の剥奪もありうるとの認識を示した。イタル・タス通信が伝えた。
   NYT(電子版)は11日、モスクワ市が毎月公表している死者数の統計を基に「市当局が公式に発表している新型コロナの死者数は642人だが、4月の同市の死者数は過去5年間の平均を1700人上回っていた。重大な過少報告を示唆している」と報道。FT(同)も同日、モスクワ市とサンクトペテルブルク市の統計を基に「ロシアの新型コロナによる死者数は公式発表より70%増加する可能性がある」と報じた。
   これに対し、露外務省は13日、死者数の過少報告を否定し、「記事はロシア側に事実確認せずに書かれた。西側メディアによる反露キャンペーンの一環だ」などとする声明を公式サイトに掲載。露下院委員会は「両紙の報道機関登録の剥奪も検討すべきだ」とする見解を露外務省に示した。
   ザハロワ氏は同日、報道機関登録の即時剥奪はしないとする一方、「両紙に(外務省の指摘に対する)反論を求める書面を送る。今後の措置は彼らの対応次第だ」とし、両紙の対応次第では厳しい措置を取る可能性も示唆した。
   NYTはタス通信に「報道は正しく、抗議を受けるものではない」と表明している。
   ロシアでは14日時点で計25万人超が新型コロナに感染。死者は約2300人で、死亡率が他国より低いと指摘されている。露保健当局は「新型コロナに感染していた場合でも、死因に応じて死者にカウントしない場合がある」とし、過少発表ではなく統計手法上の問題だとしている。


2020.5.12-Sankei Biz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200512/mcb2005121121013-n1.htm
ロシアが企業の活動制限を段階的解除 プーチン氏、求心力低下を危惧

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は11日、新型コロナウイルスの感染拡大により全土で3月末から実施していた飲食店や企業の活動制限を、12日から段階的に解除すると発表したロシアでは現在も感染者が急ペースで増加しているが、活動制限の継続により経済低迷が深刻化するリスクを考慮したとみられる。

  プーチン氏が主導した活動制限に目立った効果が出ていないことで、これ以上の制限継続は自身の権威失墜につながると警戒した可能性もある。
  プーチン氏は11日、政府の新型コロナ対策会議にビデオ通話形式で出席し、活動制限の解除を表明。3月末に導入した活動制限により「数千人の国民の命が救われた」と述べた。今後の感染に対し、十分な検査や治療の態勢が構築されたことも解除の理由とした。
  一方、各連邦構成体(自治体)が個別に実施している外出制限などの解除については、地域の感染状況に応じて各自治体が判断すべきだとした。国内感染者の約半数を占めるモスクワ市は、罰則を伴う外出制限を5月末まで続ける方針だ。
  プーチン氏は制限解除を表明したが、ロシアの感染状況は実のところ悪化の一途だ。プーチン氏が制限導入を決めた3月末時点のロシアの感染者数は2千人未満だったが、5月12日午前(日本時間)で感染者は22万1344人、死者も2009人に上った。政権側は「感染者数の増加は検査増によるもので、実際に感染が拡大しているわけではない」と説明するが、国民の間には不信感も根強い。

 こうした中でプーチン氏が制限解除を決断した背景には、経済低迷への懸念がある。ロシアは現在、新型コロナに加え、経済の柱としてきた原油価格の急落という“二重苦”に直面。露連邦中央銀行は7日、2020年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス4~6%に達するとの予測を発表した。4月の失業率も大幅な上昇が見込まれ、活動制限が長期化すれば経済や国民生活へのさらなる打撃は避けられない情勢だ。
  これまで2回にわたり延長してきた活動制限を再び延長すれば、プーチン氏の判断の甘さを露呈することになり、低下傾向が続く自身の支持率がさらに低下するとの懸念もありそうだ。
  実際、プーチン氏は新型コロナの具体的な収束対策は実質的に各自治体に任せてきた。これについて露メディアからは「(自身の終身大統領化も可能になる)改憲の国民投票を控え、感染拡大の責任が自身に及ぶことを避ける思惑がある」との分析も出ていた。
  ただ、制限解除後も感染状況が悪化すれば、不満がプーチン氏に集まるのは避けられない。プーチン氏は大きな賭けに出た形だ。


2020.5.2-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20200502/ddm/007/030/103000c
新型コロナ ロシア首相も感染 軍施設、医療機関も 10万人突破

ロシアのミシュスチン首相は4月30日、新型コロナウイルスに感染したことをプーチン大統領とのテレビ会議で報告した。医療機関に入院し、ベロウソフ第1副首相が首相代行を務める。閣僚級の感染判明は、同国で初めて国内の感染者数は同日、10万人を突破し、各地の軍施設や医療機関にも広がっている。1日から連休が始まり、外出の増加が予想されることから、当局は警戒を強めている。
   ミシュスチン氏は1月に首相に就任し、新型ウイルス対策の取りまとめを担当。露紙コメルサントによると体調不良を訴え、高熱が出た。今後は病室から可能な執務を続ける。同氏と接触のあった人は隔離され、検査を受けるという。


2020.3.26-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200325/wor2003250026-n1.html
東京五輪延期にほくそ笑むロシア 薬物問題風化、処分緩和狙う

【モスクワ=小野田雄一】東京五輪・パラリンピックの延期は、組織的ドーピング問題で大会から排除されることになっているロシアにとってはメリットとなる。薬物スキャンダルの風化が期待できるほか、延期される東京大会への代表団参加に向けた対策を講じる時間的猶予も得られたためだ。
   マティツィン露スポーツ相は24日、「延期の決定を尊重する」と評価。露オリンピック委員会のポズニャコフ会長も「理性的な決定だ」と歓迎し、各競技団体も理解を示した。いずれも選手や観客らの安全が最優先としているが、本音は別にある可能性がある。
   ロシアをめぐっては、世界反ドーピング機関(WADA)が昨年12月、ドーピング問題で代表団を主要大会から4年間排除する処分を決定。東京大会には潔白を証明できた選手のみ個人資格での参加が認められた。ロシアの異議申し立てを受けて今後、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が決定の妥当性について裁定を下すが、決定が覆る可能性は極めて低い情勢だった。
   仮に大会が予定通り実施されれば、ドーピング問題が再び世界の注目を集め、ロシアはさらに評価を下げることが避けられない。しかし、延期でそうした事態はひとまず回避された。
   さらに東京大会までに下される見通しだったCASの裁定も延期で先延ばしされる可能性がある。ロシアはその間に自身に有利な状況をつくることが可能となった。
   実際、露政府は今年1月、ドーピング問題への関与が指摘された元スポーツ相のムトコ副首相を更迭。2月末に露陸上連盟の新会長に就任したユルチェンコ氏も「前体制下での不正」を認めた。CASの裁定を見据え、処分内容の緩和などを狙った措置とみられ、大会延期を奇貨としてロシアは今後もこうした動きを加速させる可能性がある。


2020.3.12-中日新聞 CHUNICTI WEB-https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020031201000627.html
ロシア改憲案が議会通過 プーチン氏5選に道

【モスクワ共同】ロシアの上下両院は11日、現在通算4期目のプーチン大統領に5期目出馬の道を開く憲法改正案を相次いで採択した。改憲案では大統領任期を通算2期に制限する一方で、現憲法下での大統領経験者は過去の任期数を問わずに出馬が可能となる内容が最終的に盛り込まれた。今後、地方議会の承認などを経て、4月22日の全国投票で是非が問われる。
  現行憲法で大統領任期は連続2期までに制限され、プーチン氏は任期切れを迎える2024年の大統領選に出馬できない。


2020.2.7-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200207/mcb2002070700001-n1.htm
ガス輸出の危機で低下する“ロシアの影響力” 販路の多角化に躍起

(モスクワ 小野田雄一)
ロシアの主要な外貨獲得源である天然ガス輸出事業が新たな局面を迎えている。米国の制裁で、欧州向け新パイプライン「ノルドストリーム2」の稼働開始が遅れることが確実となったほか、ガス通過料をめぐるウクライナとの交渉でもロシアは一定の譲歩に応じた。主要輸出先である欧州でもシェア低下が予想されている。ロシアは、外交戦略カードでもあるガス輸出のほころびが収入減や自国の影響力低下につながることを危惧。販路の多角化に躍起だ。(モスクワ 小野田雄一)

米の狙いは自国LNGの販路拡大?
 「米国は欧州からガスの安定供給源(ロシア)を奪い、割高な自国の液化天然ガス(LNG)を欧州に押しつけようとしている」 
露外務省は昨年12月21日、米国が前日にノルドストリーム2の建設に携わる企業の資産凍結を可能にする制裁を導入したことを受け、米国をこう非難した。
 ノルドストリーム2はバルト海底を通す約1200キロのパイプラインで、ロシアとドイツを結ぶ。輸送力は年550億立方メートルで、ロシアから欧州へのガス輸出の約4分の1に当たる。
 米国は「欧州のロシア依存が高まり、安全保障上のリスクとなる」と建設に反対してきたが、真意は自国産LNGの欧州向け輸出の拡大にあるとの見方も根強い。脱原発の推進に向け、安価なガス供給源を確保したいドイツのメルケル首相も制裁に苦言を呈した。
 パイプライン建設は約160キロを残すのみだったが、制裁導入を受け、建設に参加していたスイス企業が現場から作業船を撤退。ロシアは当初予定した今年半ばの稼働開始を今年末以降に変更した。
ウクライナにやむなく譲歩
 旧ソ連時代から存在する欧州向けパイプラインを通るガスの通過料をロシアから受け取ってきたウクライナとロシア間の通過契約(09年締結。19年末期限)の更新交渉も難航した。
 両国間では00年代、ガス価格などをめぐる紛争が相次ぎ、06、09年にはロシアがウクライナ経由のガス供給を一時停止する事態に発展。欧州に混乱を招いた。ロシアはウクライナへの依存度を下げるため11年、ウクライナを迂回するパイプライン「ノルドストリーム」の稼働を開始した。
 ウクライナとの更新交渉は、こうした中で行われた。露メディアによると、ロシアは契約期間の短縮を主張。ロシアには、ウクライナへの依存度をさらに減らして揺さぶりをかけ、将来的な同国への発言力を強める狙いがあった。一方、ガス通過料を重要な歳入源とするウクライナは長期契約や通過料値上げを要求。同国は、ガス供給を再び停止すれば収入減や欧州での信用低下を招く-とのロシアの弱みをてこに交渉を展開した。
 最終的に両国は昨年12月下旬、5年間の契約更新で合意。ロシアは以前の契約違反の賠償金約29億ドル(3000億円)をウクライナに支払うことになったほか、通過料の値上げにも応じたとされる。コザク露副首相は「より大きな損失を避けるための厳しい決断だった」と、一定の譲歩をしたことを示唆した。
欧州の需要減少
 ロシアにとってガスの最大輸出先である欧州では、ガス需要が長期的に減少していく見通しだ。また、エネルギー安全保障の観点などから調達先を多角化させており、ロシア産ガスのシェアは低下が予想されている。
 ロシアにとって、外交戦略にも利用してきたガスの輸出がつまずくことは、経済的打撃にとどまらず、国際的影響力の低下にも直結する。こうした危機感の中、ロシアは昨年12月、中国と結ぶ初のパイプライン「シベリアの力」を稼働。今月1月にはトルコと結ぶ「トルコストリーム」も稼働させた。さらにアジアへの輸出を見据えて北極圏のLNG開発も進めるなど、販路拡大を急いでいる。


2020.1.27-IZAイザ(産経新聞)-http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/200127/wor20012716270014-n1.html
ロシア、プーチン批判勢力が攻勢強める 政権側はスピード改憲で対抗

【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領が改憲案を提示したことについて、政権の批判勢力は支持基盤拡大の好機ととらえ、「改憲はプーチン体制の永続化につながる」などと攻勢を強めている。これに対し、政権側は異例の速さで改憲を実施する意向だ。批判勢力が改憲阻止へ“共同戦線”を張る前に改憲を済ませ、プーチン氏あが狙う権力構造の変更を早急に既成事実化する狙いがあるとみられている。

 改憲案はプーチン氏が15日の演説で提示した。プーチン氏の狙いは、2024年に控える大統領退任後も実権を保持することにあるとの見方が支配的だ。

 これに対し、反体制派指導者のナワリヌイ氏は20日、自身のウェブサイトで「プーチン氏は永遠に指導者の座にとどまろうとしている」と指摘。「プーチン氏によるこれ以上の権力簒奪(さんだつ)を防ぐ必要がある」とし、抗議デモの実施や選挙闘争を行う方針を示した。

 ナワリヌイ氏は昨年9月のモスクワ市議会選で、有力野党系候補に政権批判票を集中させる「賢い投票」戦術を呼びかけ、与党側の議席減に導いた。今年9月の統一地方選や来年の露下院選でも同様の戦術で、改憲によるプーチン氏の権力保持を牽制(けんせい)する考えだ。

 一方、リベラル政党ヤブロコの創設者、ヤブリンスキー氏は19日、自身のサイトで「党独自の作業部会を設置し、別の改憲案を作成して国民に提示する」と表明。プーチン氏の政敵として長年獄中にあった元石油王、ホドルコフスキー氏も19日、フェイスブックで、改憲阻止のために改憲の及ぼす影響を分析して国民に提示する「憲法会議」を創設すべきだと訴えた。

 ただ、各勢力は政権主導の改憲を防ぐべきだとの主張で一致しているものの、方法論はさまざまで、共闘の動きも現時点では出ていない。その背景には、プーチン氏の真意や改憲後に権力構造がどう変わるかといった見通しが必ずしも明瞭でないことがある。

 そうした中、政権側は異例の速度で改憲を実現する方針だ。改憲案は20日に下院に提出され、23日に第1読会(3段階審議の1番目)を通過。第2読会は2月11日に予定され、改憲の是非を問う国民投票も4月までに行われるとの観測が出ている。露専門家は「政権側の狙いは、批判勢力が結集したり、改憲の本質について国民の理解が追いたりする前に改憲を行うことだ」と指摘している。







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