宗教の問題-1(religion)



2023.05.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230531-CTB4YVAWHVPINOFRDHVXLXPZ7M/
浄土真宗本願寺派、新総長に池田行信師を選出

  浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)は31日、臨時宗会を開き、実務トップの総長に池田行信(ぎょうしん)師(70)を選出した。健康問題などのため総長職の辞意を表明していた石上智康(いわがみ・ちこう)師(86)は同日、退任した。

  池田師は栃木県那珂川町出身。宗会議員5期、宗派の総務を3回務めた。自坊は慈願(じがん)寺(那珂川町)。
  同日付で総長に就任した池田師は「宗門の発展のために、宗務を推進してまいります」と抱負を述べた。


2023.05.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230517-4AHB66YKYBO45C54XJSWWW5CSE/
「信教の自由害する」国が争う姿勢 旧統一教会の名称変更開示請求訴訟 大阪地裁

  「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の名称変更を巡り、国が関連文書を開示しないのは違法だとして、神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授が不開示決定の取り消しなどを求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、大阪地裁(横田典子裁判長)であり、国側は「公にすることで宗教活動や信教の自由を害するおそれがある」と争う姿勢を示した。

  旧統一教会は平成27年、文部科学省の外局である文化庁の認証を経て、「世界基督教統一神霊協会」から現在の名称に変更した。
  訴状によると、上脇氏は昨年8~10月、申請を認めるまでの教団側とのやり取りや、省内での協議に関する文書などを開示するよう国に請求。一部は認められたが、教団側の議事録や変更理由はほぼ黒塗りで、文化庁の協議内容についても開示しなかったという。


2023.05.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230511-PE4D5URLTZOLDJ4BX7NVUP3RYI/
虐待容認せずと信者に周知 エホバの証人、国へ報告

  宗教団体「エホバの証人」は11日、こども家庭庁に、教団として児童虐待を容認していないことを信者に周知した、と報告したと明らかにした。教義に基づく輸血拒否や、むち打ち行為などがあるとの指摘があるのを受け厚生労働省が3月、教団の考えを信者に伝えるよう要請していた。

  双方の担当者は10日に面会。教団は周知内容を説明し、輸血に関して「どんな治療を受けるかは一人一人が自分で決めるべきこと。誰かから強制されたり、圧力をかけられたりして決めることではない」とした。
  脱会した元2世らが、親や親族から無視されるなどしていると訴えている点には「(脱会後も)親には引き続き子供を育てる責任がある。子供の保護や福祉に関する最新の法律を知っておくのは親の責任だ」とした。同庁担当者は「要請の趣旨を踏まえ、ご対応いただいた」としている。


2023.05.07-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/eec960599b2510bcafaa4c94bfd5c32bd70d9f5f
旧統一教会が合同結婚式 韓国で2千人超、日本でも

  世界平和統一家庭連合(旧統一教会)7日、教団本部がある韓国で合同結婚式を開いた。教団によると、日本の約550人を含め56カ国から約2600人が参加した。この日は東京都内でも約200人が参加して合同結婚式が開かれ、韓国の式典の様子が中継された。信者にとって合同結婚式を経て生まれた子どもを育てることが教義に沿った人生とされるが、婚姻の自由の侵害も指摘されている。

  韓国での式典は、ソウル中心部から北東約50キロに位置する京畿道加平の教団施設「清心平和ワールドセンター」で行われた。開始の数時間前から大型バスが続々と到着。合同結婚式のたびに花束を売りに来ているというソウルの女性(59)は「(安倍晋三元首相銃撃)事件の影響で日本からの参加者は減ると思っていたが、新型コロナウイルス禍前同様に多い」と話した。


2023.03.13-時事通信ニュース-https://sp.m.jiji.com/article/show/2909327
アレフに初の再発防止処分=半年間、施設使用や寄付禁止―公安審

  オウム真理教の後継団体「Aleph(アレフ)」が団体規制法に基づく活動実態の一部報告を怠っている問題で、公安審査委員会(貝阿弥誠委員長)は13日、活動を制限する再発防止処分を決定した。1999年に同法が施行されて以降、再発防止処分は初めて。

  処分により、アレフは官報の公示翌日から6カ月間、全国13施設の一部または全部の使用と、寄付の受領が禁止される。公安審は、十分な報告がないため、「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難」と判断し、処分を決めた。
  公安調査庁は1月、活動実態の報告が不十分だとして、公安審に再発防止処分を請求。公安審は2月に意見聴取を求めたが、アレフ側は出頭せず陳述書も提出しなかった。
  アレフは10億円以上の賠償金支払いが確定しており、公安庁は支払いを免れるため収益事業などを報告しなくなったとみている。2019年11月の報告で約12億8000万円だった資産額は、3年後に約2000万円に激減した。
  決定を受け、公安庁は「警察当局とも連携を図りながら、再発防止処分の実効性を確保していく」とコメントした。
[時事通信社]


2023.03.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230306-UKZZJNR6TFIGVDJL2FII3S6NUE/
中国全人代「宗教の中国化」強調 少数民族の管理強化継続へ

  【北京=三塚聖平】中国で開会中の全国人民代表大会(全人代)では、「宗教の中国化」を推進する政策の重要性が強調されている。習近平政権は国内の各宗教に対し、中国の社会主義に適応した思想に転換するよう要求しており、新疆(しんきょう)ウイグル自治区などで統制・管理強化を続ける方針だ。

  国務院(政府)がまとめ、全人代に提出した政府活動報告には、過去5年間の成果として「宗教の中国化を着実に進めた」と明記。今後についても「宗教の中国化の方向を堅持し、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く」との方針が盛り込まれた。
  習政権は、信仰よりも共産党指導を優先させる「宗教の中国化」を加速している。宗教施設での国旗掲揚を進め、クリスマスなど宗教に関するイベントへの規制を強化。特に、新疆やチベット自治区といった少数民族が多い地域では、そうした方針を徹底させようとしている。宗教活動が反体制運動に発展することを警戒しているためだ。
  習国家主席は昨年7月、新疆を約8年ぶりに視察した際に「イスラム教の中国化の方向性を堅持し、宗教を社会主義社会に適応するものにしなければならない」と強調した。


2023.03.02-Yahoo!Japanニュース(FNN プライムオンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8f9a7aadce58cc0e80d5dca3e71043e72e844b57
「幸福の科学」創始者の大川隆法氏(66)が死去 “亡くなった人を代弁する”「公開霊言」活動 2日前に自宅で倒れ救急搬送

  宗教法人「幸福の科学」の創始者、大川隆法総裁が亡くなった66歳だった。

  「幸福の科学」大川隆法氏:(1991年) あなた方の前に立ちたるは大川隆法であって大川隆法ではない。われは、この地球の最高の権限を握りたるものである
東京ドームで集会、教団施設には多くの信者の姿が…
  教団のホームページによると、大川氏は1956年7月7日生まれで、東大を卒業後、1986年に「幸福の科学」を設立。 “亡くなった人の考えや思いを大川氏が代弁する”という「公開霊言」を行っていた。
  これまでに多くの本を出版し、ベストセラーになったという。 2009年には「幸福実現党」を設立し、自らも衆院選に出馬。 「幸福の科学」大川隆法氏:(2009年) 私の中には、宗教家としての魂と政治家としての魂と、この2つの大きな魂が宿っております しかし議席を得ることはできず落選した。
  FNNが2016年に「幸福の科学」の教団施設の内部を取材した際には、多くの信者がいて、たくさんの封筒が用意されていた。 封筒には「学力増進祈願」「英会話ベラベラ祈願」「花粉症好転祈願」などさまざまな願い事が書かれていた。信者はこうした封筒にお金を入れてお布施するという。
  2017年には東京ドームで大規模な講演会が行われ、多くの信者が参加した。 「幸福の科学」大川隆法氏:(2017年) 迷ったら最後は私の言葉を聞いてください。これが人類を率いてきた者の言葉だからです 。
  関係者によると、大川氏は2月28日に東京・港区内の自宅で倒れて救急車で運ばれ、3月2日午前、死亡が確認されたという。死因はわかっていない。 教団側は、大川総裁の現在の状況についてはコメントを差し控えるとしている。 (イット! 3月2日放送より)


2023.02.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230227/k10013992561000.html
“「エホバの証人」は児童虐待の可能性” 弁護団が国に訴え

  宗教団体「エホバの証人」の元信者などを支援する弁護団は27日、厚生労働省を訪れ、「子どもに輸血を拒否させるよう、教団が指導している」などとして、児童虐待にあたる可能性があると訴えました。「エホバの証人」は「事実に反する」などとしています。

  訪れたのは、「エホバの証人」の元信者や2世などを支援している弁護団です。元信者などおよそ100人への聞き取りの結果、「子どもの輸血を拒否するよう、教団の幹部から指導を受けた」という信者がいたほか、子どものころの体験として「親からむちでたたかれた」といった証言が複数寄せられたということです。
  厚生労働省が、去年12月に全国の自治体などに向けて出した通知では、医師が必要と判断する輸血などの医療行為を受けさせないことはネグレクトに該当するとされたほか、むちで打つなど暴行を加えることは身体的虐待に該当するとされました。
  「エホバの証人問題支援弁護団」の田中広太郎弁護士は、「厚生労働省の担当者は問題を十分に理解したうえで関心を持って対応してくれた。これからも協力して問題に取り組むことを確認でき、実りある話ができた」と話していました。
  厚生労働省は「提供された情報の内容を精査したうえで、今後の対応を検討したい」とコメントしています。
  一方、「エホバの証人」は「組織に不満を持つ元関係者のコメントのみに基づいて、ゆがんだ報告や誤った結論が出されていることに、私どもは心を痛めています。そうした元関係者の意見は、エホバの証人の親が、子どもたちのために最善を尽くしたいと願っているという事実に反しています。輸血を受け入れない主な理由は、宗教上の理由です。医療の選択は、個人や家族の決定であり、十分な話し合いに基づいて決めるべき事柄です」としています。
現役幹部が“無輸血指導”を証言
  教団の地域の組織で幹部を務める男性が「教団の指導が倫理観を逸脱しているという疑念を持った」として、匿名で取材に応じました。
  この男性は、教団が今も指導に使っているという内部文書を示し、「親は『血を避ける』ことを固く決意し、子供のために輸血を拒否しなければなりません」などと書かれていると訴えました。
  また、子どもの氏名や住所を記入する欄とともに、「無輸血の治療を希望しています」と書かれた「身元証明書」も示し、親に渡していると証言しました。
  そのうえで輸血の拒否について、「輸血の受け入れには破門も含めた重いペナルティーが科されているほか、教団を辞めた人に対しては、たとえ家族だったとしても基本的には一切の交友を禁じるように指導されている。このため信者にとって輸血を受け入れる選択肢は基本的になく、信者になっていない子どもにも教えを強要する環境になっている」と話していました。
学会発表のガイドラインは
  日本輸血・細胞治療学会などが平成20年に発表した「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」では、親権者が15歳未満の子どもへの輸血を拒否した場合、「医療側は親権者の理解を得られるように努力し、なるべく無輸血治療を行うが、最終的に輸血が必要になれば、輸血を行う」としています。


2023.02.15-NHK NWES WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230215/k10013980871000.html
“旧統一教会関連団体”に補助金 東京都が公表 返還は求めず

  東京都は旧統一教会と関連があるとされる団体と都の事業などへの関わりについて調べた結果、1つの団体に補助金を交付していたことを公表しました。都は、「補助金の目的に照らした活動」だったとして、返還は求めないことにしています。

  都は旧統一教会と関連があるとされる団体に、昨年度までの5年間の期間で事業の委託や補助金の交付、それに名義後援などをしていないか、職員に聞き取りをするなどして全局を対象に調査していました。
  都は14日、調査結果について公表し、それによりますと、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が関連団体として公表している1つの団体に、9回にわたって補助金を交付していたということです。
  都は、「補助金の目的に照らした活動」だったとして返還は求めないことにしています。
  都の担当者は「旧統一教会の違法な活動を助長しないかどうかに主眼を置いて調査していて、今回はそうした補助金に当たらないと判断した」と説明しています。


2023.02.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/fa8a7ed124dcafe1a50782ce3415a23b3632f178
宗教法人法を問う 宗教専従職員わずか35人 国と都道府県、18万法人所轄も兼務が8割弱

  全国約18万の宗教法人を所管する文化庁と都道府県の担当部局で、宗教関連業務に直接携わる専従職員が35人しかいないことが13日、産経新聞の実施したアンケートで分かった。宗教以外の業務との兼務を含めると153人で、兼務が8割弱を占める。休眠状態の法人整理といった複雑な業務などを考慮し、複数の専従職員を置く自治体がある一方、数千の法人を兼務の1人に任せるケースもある。

  少ない人員で休眠状態を含む多数の宗教法人を所管するには限界があり、文化庁も都道府県の体制の拡充を求めている。 宗教関連業務には、法人設立や解散の手続き役員名簿や財務書類など、法人に毎年提出を義務づける「事務所備(そなえ)付け書類」の写しの確認宗教活動の実態がないため解散命令の対象となる「不活動宗教法人」の整理-などがある。
  産経新聞が昨年末、所轄庁の文化庁と47都道府県に実施したアンケートによると、宗教関連業務を直接担当する職員数は、正確な人数の算出が困難な北海道の出先機関分を除き全国153人。このうち宗教だけを担当する専従職員は35人にとどまり、残る118人は私立学校や社会福祉法人といった公益法人に関する事務などを兼務していた。
  令和3年12月末時点で5962法人が所在する東京都は5人、5563法人の京都府は4人の専従職員を置く一方、4798法人ある福島県は兼務職員が1人で担当。徳島(2269法人)と沖縄(211法人)の2県も兼務の職員が1人で担当している。
  文化庁によると、毎年1万を超える法人が、備付け書類を所轄庁に提出していない。永岡桂子文部科学相は8日の衆院予算委員会で、未提出法人への督促の徹底と、応じない法人には行政罰の過料措置を取る方針を明言している。
  それでも活動再開が見込めない場合は「不活動宗教法人」と認定され、宗教法人法81条に基づく解散命令も視野に入ってくる。ただ職員の体制が脆弱な自治体にとっては手続きを進めるにも負担が大きく、文化庁の担当者は「都道府県の人員が増えてほしいというのが率直な願い」と話す。
  ある県の担当者は「宗教法人とは別の業務も抱えており、法人側に書類の提出を電話で督促することすら容易ではない。解散命令はおろか、不活動法人の調査ですら今の職員数では難しい」と明かした。(「宗教法人法を問う」取材班)


2023.01.30-日本経済新聞(KYODO)-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE306FQ0Q3A130C2000000/#
アレフに再発防止処分請求 2回目、「報告不十分」と

  公安調査庁は30日、オウム真理教の後継団体「アレフ」が、団体規制法で義務付けられた活動状況の報告が不十分だとして、同法に基づき再発防止処分とするよう公安審査委員会に請求した。2021年10月以来2回目。1回目は、アレフがその後報告書を提出したため請求を撤回している。

  公安庁は、全国13施設の一部または全部の使用、布施といった金品などの贈与を受けることを6カ月間禁止するよう求めた。公安審が認めれば、アレフの活動は大きく制限される。
  公安庁によると、アレフは00年以降「観察処分」の対象で、3カ月ごとに構成員や資産状況などの報告が課されている。報告資産は19年11月に約12億8千万円だったが、その後、報告しないものが大きく増え、22年11月には過去最少の約2千万円だった。セミナーなどの事業収益のほか、構成員の地位を表す位階なども報告していない。アレフ側は「その点は報告義務はない」などと主張しているという。
  公安庁は「必要な限度で活動の一部を一時的に停止させ、速やかに危険性を把握するため処分を請求した」と説明した。公安庁によると、アレフの信者は22年10月末時点で少なくとも1280人。約20施設を保有している。〔共同〕


2023.01.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230102-EP4B3N2EUVKWLJFGUJKBNCHX6E/
公明、統一選へ始動 「10増10減」巡り自民との調整も課題
(大島悠亮)


  公明党の山口那津男代表は2日、東京都内で新年恒例の街頭演説を行い、4月の統一地方選に向け始動した。前哨戦と位置付けた昨年12月の茨城県議選では候補者全員を当選させたが、続落する岸田文雄政権の内閣支持率は懸念材料だ。衆院選挙区の定数が「10増10減」となる次期衆院選では、定数増となる1都3県の4選挙区で候補者擁立を目指す。自公間の調整は難航も予想され、公明にとって「試練の一年」となりそうだ。

  「公明の59年目の歴史の中で、(党の)基盤はまさに地方議員だ。統一地方選挙の全員当選を目指す」
  山口氏は2日、東京都豊島区の池袋駅東口でこう訴えた。2800人超の地方議員を抱える公明にとって、統一地方選は「党勢拡大のための重要な選挙」(党幹部)だ。山口氏が昨年、異例となる8期目の代表を託されたのも、同選挙を見据えてのことだ。
  支持層の高齢化を背景に、公明の比例代表の得票は平成17年衆院選の約898万票をピークに減少傾向にあり、昨夏の参院選は約618万票にまで落ち込んだ。昨年の茨城県議選は全員当選を果たしたが、防衛力強化のための財源として首相が増税に言及したことや短期間での4閣僚の「辞任ドミノ」で、自公政権には逆風が吹く。
  今後は衆院選挙区の「10増10減」を受けた自民との協議も本格化する。公明は新選挙区での候補者擁立も党勢回復のために必要な要素とみる。選挙区が増える東京、埼玉、千葉、愛知の1都3県で擁立を目指し、埼玉や東京で選挙区が獲得できた場合は、石井啓一幹事長や高木陽介政調会長の擁立も取り沙汰される。
  ただ、自民側は「減員県はすべて自民が候補者を立ててきた。公明に渡すことはできない」(党中堅)との考えが大勢で、調整は一筋縄ではいかなさそうだ。
(大島悠亮)


宗教法人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  宗教法人は、宗教者と信者で構成される法人格を取得した宗教団体の事である。持分が全くなく、営利(剰余金配当、残余財産分配を出すこと)を目的としない非営利団体(収支相償)で、文部科学大臣もしくは知事が所轄庁である広義の公益法人の一つ
  また、境内地などは公共施設でもあり、さらには社会慣習儀式及び祭礼行事を始めとして、口承による伝統及び表現庭園建築物芸能自然及び万物に関する知識及び慣習伝統工芸技術などの分野において国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産世界遺産文化遺産などへ該当したり、加えて日本文化財保護法に示される数々の文化財や、その上に経済産業大臣指定伝統的工芸品等も数多く承継したり、宗教法人法第18条では法規に反しない範囲宗教上の規約規律慣習及び伝統を十分に考慮するよう求められている団体でもある。
  税法上の扱いは公益法人等(法人税法 別表第二)。公益法人等の範疇に置かれる根拠のひとつとして「超自然的なものへの信仰があり、それを信じる者が『信者』になり、信者の心の拠り所になるということで、公益性が認められる」(第134回通常国会における文化庁長官答弁)が挙げられる。
概説
 法人格の付与
   宗教法人法昭和26年4月3日法律第126号)(民法第33条に基づく特別法)にもとづいて宗教団体に附与される。宗教団体に法人格を与える目的を、この法律では、「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他の目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えること」(法第1条第1項)と規定する。また「礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他の目的達成のための業務及び事業を運営すること」を「事務処理」といい、その処理経過を記載する帳簿を「事務処理簿」という。
   なお、宗教法人となったからといって、宗教団体としての格が上がるというわけではなく、不動産等を所有する権利主体になれるだけである。また、法人格を取得していなくとも、宗教団体として宗教活動を行うことは自由である。言い換えれば、日本国内に存在する宗教活動グループの全てが法人格を有するとは限らず、宗教法人法によって付与される権利、及び課せられる義務・制約を持つとも限らない。
  宗教法人は設立に際して、法人定款に類する根本規則として「規則」を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けることを必要とし(法第12条第1項)、認証申請の少なくとも1か月前に、信者その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して、宗教法人を設立しようとする旨を公告しなければならない(法第12条第3項)。
   所轄庁による規則の認証書の交付を受けた日から2週間以内に、以下の事項について登記し(法第52条)、宗教法人の成立後は、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出ることを要する(法第9条)。
    ・目的(公益事業や公益事業以外の事業を行う場合には、その事業の種類を含む)
    ・名称 : 事務所の所在場所 ・当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別 ・基本財産がある場合には、その総額 ・代表権を有する者の氏名、住所及び資格
    ・規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る、財産処分等の公告に関する事項を定めた場合には、その事項
    ・規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
    ・公告の方法 : 宗教法人法では宗教法人に対して名称に特定の文字を含めることを義務付ける規定を設けていない。そのため、正式名称に「宗教法人」の文字が入っていないケースもある。
    ・所轄庁は、新規の設立認証申請、規則の変更認証申請いずれにおいても、可否の決定を申請の受理から3か月以内に行わなければならない(法第14条4項)。
 単位宗教法人と包括宗教法人
  宗教法人には、単位宗教法人包括宗教法人がある。さらに単位宗教法人は、被包括宗教法人単立宗教法人に分類される。単位宗教法人とは神社、寺院、教会のような境内建物(法第3条)を有する宗教法人であり、法第2条第1号に該当する団体である。包括宗教法人は単位宗教法人あるいは非法人の単位宗教団体を包括する宗教法人であり、法第2条第2号に該当する。例えば、仏教では宗派(宗団)が包括宗教法人に、本山末寺が被包括宗教法人にあたる。
  また、単位宗教法人のうち、包括宗教法人もしくは非法人の包括宗教団体の傘下にあるものを被包括宗教法人といい、そうではないものを単立宗教法人という。被包括宗教法人が規則の変更手続きによって、包括宗教法人から独立して(被包括関係を解消して)単立宗教法人となることもでき(法第26条第1項)、その場合、包括宗教法人はその独立を妨害してはならない(法第78条)。
 所轄する官庁
  宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所を所管する都道府県知事とされるが、以下については文部科学大臣の所轄となる(法第5条)。但し、文部科学省は国としての宗教法人政策実務を担当する部署を直下に持たず、文化庁宗務課がそれを担う(文部科学省設置法第19条)。
    ・他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
    ・上記の宗教法人を包括する宗教法人
    ・他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
事業活動
  宗教法人は、公益事業を行うことができ(法第6条第1項)、ほとんどの場合、寺社教会といった宗教施設を有する。法人によっては、淀川キリスト教病院(在日本南プレスビテリアンミッション)といった病院や神宮幼稚園(伊勢神宮)のような学校[注釈 1]鞍馬山鋼索鉄道鞍馬寺)といった鉄道も運営している場合がある。
  また、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業をも行うことができる(法第6条第2項)。もっとも、収益が生じたときは、自己又は関係のある宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。
宗教法人の役員
  宗教法人には、「規則」で定めるところにより、3人以上の責任役員をおき、そのうち1人を代表役員とする(法第18条第1項)。代表役員は規則に定めがないときは、責任役員の互選によって定める(法第18条第2項)。代表役員は当該宗教法人を代表して、全事務を総理し(法第18条第3項)、「規則」で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する(法第18条第4項)。しかし、これらの役員の法人の事務に関する権限は、宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限をも含むものではない(法第18条第6項)。
  つまり、代表役員は必ずしも宗教団体の主宰者である必要はなく、教団事務の責任者が代表役員を務める宗教団体(浄土真宗本願寺派真宗大谷派天理教など)も多い。『宗教年鑑』の文部科学大臣所轄包括宗教法人一覧には、備考欄に代表役員ではない宗教団体の主宰者の氏名が掲載されている。すなわち「法人の代表権者」と「宗教活動従事者の最上位にある者」は必ずしも同一人物にならない。
  代表役員又は責任役員が死亡その他の事由で欠員が生じた場合において、速やかに後任者を選ぶことができないとき、または代表役員又は責任役員が病気その他の事由により3か月以上その職務を行うことができないときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない(法第20条第1項)。代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員の職務を代行する(法第20条第2項)。
  代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については代表権を持たず、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない(法第21条第1項)。責任役員は、当人と特別の利害関係がある事項については議決権を持たず、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなったときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない(法第21条第2項)。
  「未成年者は宗教法人の代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員になれない(法第22条第1項第1号)」とされており、現在は18歳以上しか代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員になれない。また「心身の故障によりその職務を行うに当たつて必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者(法第22条第1項第2号)」や「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者(法第22条第1項第3号)」も、欠格事項に該当する。
法律的能力
  ・権利能力 : 宗教法人は法令の規定に従い、規則で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う(法第10条)。人格権は持たないとされるが、名称権や名誉権、精神的自由権などは宗教法人が享有でき、また、財産権については権利能力を具備しているため、宗教法人が営利企業の株主、設立時の発起人になることは可能である。
  ・行為能力 : 実行行為は自然人が行うため、その責任の所在を明確にするため、代表役員が行った行為が法人の目的の範囲内のものであれば、当該宗教法人が行ったものとみなされる。つまり、宗教法人の行為能力は規則に定める目的の範囲内に限定されることになる。
  ・不法行為能力 : 宗教法人は、代表役員その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(法第11条第1項)。宗教法人の目的の範囲外の行為によって第三者に損害を加えた場合は、その行為をした代表役員その他の代表者及びその事項の決議に賛成した責任役員、その代務者又は仮責任役員は、連帯してその損害を賠償する責任を負う(法第11条第2項)。
会計の公開
  宗教法人は、規則認証や合併による設立時に財産目録を、また毎年の会計年度が終了してから3カ月以内に財産目録と収支計算書を作成しなければならない(法第25条第1項)。また、信者及びその利害関係者から当該書類の閲覧を求められた際に、要求が不当な目的を伴っているものと認められない限りは、請求を拒絶できない(法第25条第3項)。
  さらに、収益事業を行っている場合や、年間の総収益が8000万円を超えている場合は、収支計算書を税務署にも提出しなければならない(租税特別措置法第68条の6)。但し、以下の全ての条件を満たす法人に限っては、収支計算書の作成が当面の間に限り任意となる(宗教法人法附則第23号、平成8年9月2日文部事務次官通達)。これは、収支計算書の提出義務が平成8年度の宗教法人法改正によって新設されたものであるため、法改正以前から存在する法人に配慮した経過措置としての意味合いがある。
  ・平成8年9月15日以前に法人格を取得している。  ・公益事業以外の事業を何ら行っていない。  ・年間の総収益が8000万円以内である。
  なお、貸借対照表の作成は全ての宗教法人において任意と扱われるが、財産目録に資産及び負債が記載されているため、実務上は財産目録で代用される。
宗教法人事務所への常備が義務付けられる書類等
  1.規則及び認証書類(法第25条第2項第1号)
  2.役員名簿(法第25条第2項第2号)
  3.財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合の貸借対照表(法第25条第2項第3号)
  4.境内建物(財産目録に記載されているものを除く)に関する書類(法第25条第2項第4号)
  5責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿(法第25条第2項第5号)
  6事業を行う場合の関連書類(法第25条第2項第6号)
  このうち、2、3、4、6については、会計年度終了から4ケ月経過するときまでに、その写本等を所轄庁に提出しなければならず(法第25条第4項)、正当な理由なくこれを怠った場合は、宗教法人の代表機関(代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人ら)は、10万円以下の過料に処せられる(法第88条第5項)。
  所轄庁は提出された書類の取り扱いに際して、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない(法第25条第5項)。
報告及び質問
  所轄庁は、以下に該当する場合は、宗教法人審議会の意見を聞いた上で、当該宗教法人に対し報告を求め、又は所轄庁の職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。所轄庁の職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない(法第78条2第1項)。
    ・公益事業以外の事業の収益が、公益・宗教事業以外に使われている疑義がある
    ・認証の取り消し事由に該当する疑義がある
    ・解散命令の請求事由に該当する疑義がある
  所轄庁は報告徴収・質問に際して、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない(法第78条2第4項)。また報告徴収・質問は犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない(法第78条2第6項)。
  所轄庁が宗教法人に報告を求め、また質問した際に、当該宗教法人が報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、また所轄庁の職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした場合は、宗教法人の代表機関は、10万円以下の過料に処せられる(法第88条第10項)。
宗教法人の解散
  宗教法人は、任意に解散することができるほか(法第43条第1項)、以下の事由が発生した場合に解散する。
    ・規則で定める解散事由の発生(法第43条第2項第1号)
    ・合併による消滅(法第43条第2項第2号)
    ・破産手続開始の決定(法第43条第2項第3号)
    ・所轄庁の認証の取消し(法第43条第2項第4号)
    ・裁判所の解散命令(法第43条第2項第5号)
    ・包括宗教法人における被包括宗教法人の欠亡(法第43条第2項第6号)
  裁判所は、以下の事由に該当する宗教法人に対し、所轄庁・利害関係人・検察官の請求または裁判所の職権に基き、解散を命ずることができる(法第81条)。
    ・法令に違反し、著しく公共の福祉を害している
    ・宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしている、または宗教団体の目的を1年以上行っていない
    ・礼拝施設がない
    ・代表者が1年以上いない
    ・宗教法人の要件を満たさない(認証書を交付した日から1年を経過している場合)
宗教法人に関する統計
  文化庁宗務課は『宗教年鑑』を発行しており、これは日本国内における宗教法人の動静を説明する唯一の公的機関資料である。以下のとおりの三部構成が取られている。
    ・第1部「日本の宗教の概要」    ・第2部「宗教統計」    ・第3部「宗教団体一覧」
  平成7年版(1995年)以降の発行分は文化庁のホームページからダウンロードできる。なお、平成26年版(2014年)以降は冊子媒体での頒布を行っておらず、ダウンロードのためのページを設定することによって公開としている。
統計上の分類
  宗教法人は統計上、神道系・仏教系・キリスト教系・諸教に分類される。「諸教」とは、それ以外の3つに分類されないあらゆる宗教(例えば、イスラム教(宗教法人日本ムスリム協会)など)のことである。ただし、これらの分類は当該宗教法人からの届けに基づくものであり、いずれかの宗教の影響を強く受けているにもかかわらず「諸教」に分類されているものも少なくない。
    ・神道系包括団体一覧    ・仏教系包括団体一覧    ・キリスト教系包括団体一覧
問題点
 法人に所属する宗教者の労働者性
   宗教者は、「宗教上の儀式、布教等に従事する者、教師、僧職等で修行中の者、信者であって何等の給与を受けず奉仕する者等は労働基準法上の労働者ではない」を根拠とし、一般の企業の労働者と同様に労働契約に基づき賃金を受ける場合を除いては雇用保険及び労災保険のいずれからも除外される。一方で当該通達は、具体的な労働条件等を一般企業と比較し個々の事例について実情に即して判断することも求めているため、同じ法人に属する他の宗教者から儀式の執行や布教活動に関し恒常的に指揮命令を受けている場合において労働紛争が生じた際、紛争の当事者に労働者としての権利がある前提で対処すべきかが曖昧な状況となる。
 活動実態不明の宗教法人の急増
   宗教法人とは宗教法人法第2条に謳われているとおり、「宗教教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者強化育成することを主たる目的とする宗教団体法人格を与えたもの」であり、宗教公益活動団体として常時行っていることが鉄則である。さらには宗教法人法などのとおり、所轄庁等へ毎年活動実態などを報告する義務もあるが、ここ数年間、無報告や不活動な宗教法人が倍増している(2004年以降)。
   中には、インターネット上で堂々と宗教法人の法人格が売買されるケースもある。そこで、宗教行政の主管である文部科学省文化庁は、法第81条などに基づき「不活動宗教法人」の合併や解散を進めるよう都道府県自治体、各宗教法人へ指導しているが、地域の長い伝統風習や人情、数々な諸事情により合併や解散へは多くの困難が伴って長丁場となっている。
 政教分離原則
  政教分離原則は次の3項の禁止を定める。
    ・特権付与の禁止 - 特定の宗教団体に特権を付与すること。宗教団体全てに対し他の団体と区別して特権を与えること。
    ・宗教団体の「政治的権力」行使の禁止
    ・国の宗教的活動の禁止 - 宗教の布教、教化、宣伝の活動、宗教上の祝典、儀式、行事など。
  しかし、公明党創価学会)、幸福実現党幸福の科学)、統一協会神道政治連盟神社本庁)、日本会議(神社本庁など)立正佼成会等、宗教団体を母体としたり、深く関与する政党政治団体が多く存在する。
  内閣法制局の見解は、以下である。 : :「憲法の政教分離の原則とは、信教の自由の保障を実質的なものとするため、国およびその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨である。それを超えて、宗教団体が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではない。」 : 以上の公式見解のように現在、政教分離原則に抵触するのは国や地方公共団体・公的機関が宗教活動をすることであり、靖国神社参拝も公務として参拝すると違法になる。宗教団体は私設団体であり、宗教団体が政治活動をしてはいけないというものではないし、公務員ではない宗教者が政治活動に関与したり政治思想に関する発言を公の場で行なったりすることも当然ながら政教分離の問題とは何らの関連性も無い。
  法律論として解りやすく述べると  ・  「△議院議員 〇〇」が「××寺院・神社・教会」を、公的身分で公務としての参拝は許されない。 逆説的に「△議院議員 〇〇」を名乗っていても、プライベートタイムで私費で参拝している場合は法律上の問題は生じ得ない。
  ・また「××寺院・神社・教会」の信者・信徒である「〇〇議員」を、同輩である「××寺院・神社・教会の信徒・信者」が支持応援するのは「当然の権利」であり、そこに直接・間接問わず組織的圧力等が無ければ、法律上の問題は無い。
 宗教法人の課税の仕組み
  まず、法人税法がいう「儲け」とは「配当金」のことであり、法人税などは、その法人の株主などへ支払われる剰余金配当(配当金)と、残余財産分配(みなし配当)に対して課税されている。
  また、日本法人擬制説の立場で税法が運用されていて、法人税などは法人自体に課税されたものという見解は法人実在説に立ったもので誤りであり、実際は配当金を貰う個人に対して課税されているのである。
  しかし、税法で公益法人等に分類される宗教法人は持分が全くないため、公益事業(公益・宗教事業)以外の事業において「儲け」が出た場合には、法人税等が課税される。
  このように「本来事業は剰余金配当と残余財産分配ができないから非課税、収益事業は納税義務を持つ」という構造は、宗教法人に限らず法人税法にて「公益法人等」に設定された法人全てに共通する。ゆえに、宗教法人への収益に対する課税を主張するのは、上記の法人税制の基本原則と矛盾する言い分に過ぎず、論理が破綻している。
  宗教法人の収益事業で「儲け」が出た場合は、その総てを公益事業(公益・宗教事業)へ使わなければならず(法第6条第2項)、一般企業のように個人へ配当することは出来ないので、その点で軽減税率が適用されている。そして、法人収益は公益事業(公益・宗教活動・文化財の保護・伝統と慣習の承継等の本来事業)に、法規どおり使わなければいけない。
  ちなみに、公益法人である宗教法人の役職員は、通常の場合給与を受けており、これは一般勤労者と同じく所得税住民税などを課税されている。さらに、僧侶・神官等の宗教者が個人資産として、不動産・自動車等の動産を所有している場合は、相続税を始め普通に課税される。また自動車関係の道路特定財源制度諸税については、宗教法人が公益・宗教事業用に自動車を所有する場合でも、自動車税自動車重量税などの課税がなされる。。また、固定資産税が一定条件下で減免されることもあるが、地方税法では固定資産税の減免対象になる事例が鉄道用地など他にも多く列挙されており、いかにも宗教法人であるゆえの特権のように論じるのは詭弁に過ぎない。
  なお、宗教法人を含む公益法人へも、国税庁の税務調査は普通に行われる。そして、所轄官庁や税務署へ財産目録などの法定書類を毎年確定申告する必要もあり、税務申告に問題があれば指導もなされる。したがって「宗教法人には一切課税がされない」ことはない。その証左として、宗教法人会計に特化、あるいは強い税理士事務所が複数存在する。
  但し、公益財団法人公益社団法人等が運営する収益事業の税率と、宗教法人を含む広義の公益法人が運営する収益事業の税率との間に減額されていることなどから、宗教法人に対しても租税の公平性を確保するため、収益事業に対する税率の統一を求める声は多い。
  宗教法人が公益法人として課税の優遇措置を受けていることを逆手に取り、宗教法人が運営する寺院の住職が宗教法人の収入を私的流用していたことが、税務調査で指摘された例がある。しかし、法人運営の主導的立場にある者が地位を悪用して財産を流用する不祥事は他種の法人でも生じることであり、上記の事例を宗教法人特有の問題としてあげることは失当である。
公称信者数の不確実性
  前述の『宗教年鑑』には各宗教法人の信徒数も統計項目のひとつとして掲載されているが、文化庁やその他の所轄官庁は、憲法の保障する内心の自由に触れるため実数調査を行っておらず、あくまでも各法人が調査票に記載した自己申告の人数である。従って、公表されている数値を単純合計すると日本の総人口を優に超える値となる(菩提寺の檀信徒としてのみならず、地域の神社の氏子としても重複登録されている人が多いため)。しかしながら、既述の通り公的機関による統計資料は他に存在しないため、厳密な意味で正確な信者の人数、その中でも恒常的に活動に参加している者の数を確定することは事実上困難である。
個人情報の取り扱い
  宗教法人は宗教活動の用に供する目的に限り、個人情報保護法第57条の規定により、個人情報取扱事業者の義務の適用除外となり、主務大臣から勧告や命令を受けることはない。そのため、信者・檀家等のプライバシーの尊重に十分配慮することが求められる。







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