パリ協定(気候変動)の問題


2019.11.5-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/191105/wor1911050018-n1.html
パリ協定「骨抜き」懸念 米選挙戦の行方も焦点

トランプ米政権が「パリ協定」から離脱すれば、先進国と新興国がともに温室効果ガス削減を進める同協定の取り組みが骨抜きになる懸念がある。米国は排出量が中国に次ぐ世界2位の大きさで、国際的な温暖化防止策の推進に不可欠な存在だからだ。一方、フランスなど欧州各国はパリ協定維持への努力を続ける構え。パリ協定は来年11月の大統領選でも大きな争点になるとみられ、各国は米国の選挙戦の行方も見据えながら、地球温暖化対策の道を探ることになる。
 「パリ協定順守のため、われわれは来年、新たな目標を設定せねばならない」
 フランスのマクロン大統領は5日、訪問先の上海での演説で地球温暖化対策に強い意欲を示した。ただ仏大統領府の声明は「予期されたことだが、残念だ」としており、失意は隠せない。
 2015年に合意されたパリ協定は新興国も先進国と同様に削減を進める国際枠組みだ。先進国だけに削減義務が課され、実効性が疑問視されることもあった1997年採択の京都議定書の教訓を踏まえて、公平性が増したとされる。
 しかしトランプ大統領はパリ協定離脱が持論。このため今回の米国の動きに意外性はないが、米国が自ら主導したパリ協定に背中を向けることが国際的な機運に与える影響は否定できない。マクロン氏は「中国とEUの協力が決定的に重要だ」とも述べており、米国の国際的な指導力を危ぶむ向きもある。
 一方、欧州連合(EU)は新たな温暖化対策を打ち出している。欧州委員会のフォンデアライエン次期委員長は7月、2050年に温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする目標を法制化すると公約。EUは排出量を1990年比で40%削減する目標を掲げてきたが、これを55%まで高める方針も示した。

 排出量「実質ゼロ」を目指す動きは、EU各国にも広がっている。スウェーデンが2045年の目標を法制化したほか、英国やフランス、デンマークは50年までの目標を掲げる。
 今後の焦点のひとつは1年後に迫った米大統領選だ。トランプ氏がパリ協定離脱を公約に掲げる一方、トランプ氏と争う民主党の候補らはパリ協定を支持する立場を鮮明にしている。
 常葉大学経営学部の山本隆三教授は、米国がパリ協定から離脱したとしても州レベルでの環境対応が進んでいることなどから、米国の温室効果ガス削減に向けた取り組みに大きな影響が出ることはないと分析。そのうえで、「誰もトランプ政権の政策がずっと続くと思っていないし、来年の大統領選の結果でもまた政策が変わるかもしれない」と話している。


パリ協定 (気候変動)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


パリ協定(英: Paris Agreement)は、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて、2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定
概要
1997年に採択された京都議定書以来、18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する枠組みとしては史上初である。排出量削減目標の策定義務化や進捗の調査など一部は法的拘束力があるものの罰則規定はない。2020年以降の地球温暖化対策を定めている。2016年4月22日アースデーに署名が始まり、同年9月3日に温室効果ガス二大排出国である中国アメリカ合衆国が同時批准し、同年10月5日欧州連合の法人としての批准によって11月4日に発効することになった。2016年11月現在の批准国、団体数は欧州連合を含めて110である。参加していないのは世界でもシリア内戦失敗国家化しているシリアと、より厳しい環境規制を求めているニカラグアだけである。しかし、ニカラグアは2017年10月に協定に署名する意向を発表し、同年11月にシリアも批准を表明した
  第21回気候変動枠組条約締約国会議COP21での議長国であるフランスのローラン・ファビウス外相は「この野心的でバランスのとれた計画は地球温暖化を低減させるという目標で“歴史的な転換点”である」と述べていたが、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に勝利して「米国第一主義」を政権運営の柱に据えたドナルド・トランプはかねてから地球温暖化に対する懐疑論者で「地球温暖化という概念は、アメリカの製造業の競争力を削ぐために中国によって中国のためにつくりだされた」とも主張しており、2017年6月に協定から離脱する意向を表明。正式な離脱通告が可能となった2019年11月4日に正式に離脱を表明した[8]
世界2位の温室効果排出国である米国の離脱の表明を受け、協定の同時批准国で発展途上国の大量離脱を招きかねない中国(世界1位の温室効果ガス排出国)の対応が注目されたが、2017年12月に中国は世界最大の排出取引市場となる全国炭素排出取引市場を設立した
内容
目的
産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える。加えて、平均気温上昇「1.5度未満」を目指す(第2条1項)。 人々は 節電などに気を付けて生活し、 温暖化に繋がる行為は極力しないようにし、温暖化を止めるように団体や学校で進める。
「緩和」と「適応」
一般に地球温暖化等の気候変動への対処は、温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行う「緩和」と、既に起こり始めている温室効果ガスによる影響への「適応」に分けられる。パリ協定も、2条の目的を達成するため、「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成するために、(中略)世界全体の温室効果ガスの排出量ができる限り速やかにピークに達すること及びその後は利用可能な最良の科学に基づいて迅速な削減に取り組むことを目的」としており(第4条1項)、「持続可能な開発に貢献し、及び適応に関する適当な対応を確保するため、この協定により、気候変動への適応に関する能力の向上並びに気候変動に対する強靱性の強化及びぜい弱性の減少という適応に関する世界全体の目標を定める」(第7条1項)と規定している。
各国削減目標の提出義務
パリ協定の最大の特徴の1つとしてあげられるのが、各国が、削減目標(「各国が決めた貢献」(英:Nationally Determined Contribution、略称:NDC))を作成・提出・維持する義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務を負っていることである(第4条2項。なお、目標の達成自体は、義務とはされていない。
各国の削減目標
下記についてはWWFジャパンのホームページによるものである(日本は概要と特記事項、韓国は概要と環境用語解説、日本と韓国以外は概要のみ)[13]。なお、米国においてはトランプ大統領によるパリ協定離脱表明で削減目標が破棄されるものの、後に結成した米国気候同盟によって、州政府レベルの削減目標として引き継がれた。
締結および署名国
2016年11月の時点で、192ヶ国と欧州連合(EU)は、本協定を締結した。これらの当事者の111ヶ国は、批准または協定に加盟している、特に締約国のうち111団体が協定を締結しており、特に中国、米国、インドは加盟国全体の約3割の温室効果ガス排出量(約42%)を抱えている。
アメリカ合衆国の協定離脱宣言
2017年6月1日アメリカ大統領ドナルド・トランプは「中国、ロシアインドは何も貢献しないのに米国は何十億ドルも払う不公平な協定だとして米国がパリ協定から離脱すると表明した。これに対して米国内や日本欧州をはじめとする世界各国は反発し、トランプ大統領の前任者で中国とともにパリ協定を主導したバラク・オバマ前大統領は「地球の未来を拒否する一握りの国に加わった」と非難した。
  フランス大統領エマニュエル・マクロンは「米国の離脱は大きな間違い」とトランプ大統領を批判し、トランプ政権がスローガンとして掲げる「米国を再び偉大にしよう」を皮肉って「私たちの惑星を再び偉大にしよう」とパリ協定の重要性を訴えた。また、ドイツイタリアの首脳と連携して「米国との再交渉を拒否する」との声明を発表した。
  日本の麻生太郎副総理財務大臣も事例として「かつての第一次世界大戦後にウッドロウ・ウィルソン大統領が創設を提唱しながらその肝心の米国が国際連盟に加入しなかった」という歴史上の出来事を引き合いに「その程度の国」と米国のトランプ政権を非難するコメントを出している。中国の李克強国務院総理(首相)も離脱宣言をした米国に対し、「(温暖化対策で)世界の責任を全うする」としてパリ協定遵守を表明したG20の19カ国は米国を抜きにパリ協定を履行することで合意した。
  米国内でもワシントン州ニューヨーク州カリフォルニア州の3州はトランプ政権から独立してパリ協定目標に取り組む米国気候同盟を結成して、さらにマサチューセッツ州ハワイ州など他の7州も加盟した。米国気候同盟の立ち上げを主導したカリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンは結成直後に訪問した中国で「中国が米国に代わって気候変動対策のリーダーシップを握った」として中国政府との協力を表明した後、中国とクリーンテクノロジーのパートナーシップを結んだ。アメリカ合衆国エネルギー長官リック・ペリーは、トランプ大統領のパリ協定離脱表明直後に中国が気候変動対策でリーダーシップをとることを歓迎するとしつつ、依然米国はクリーンテクノロジーの開発などでリードしてると述べ、6月6日にパリ協定離脱反対派であるブラウン知事とともに中国の北京を訪れて第8回クリーンエネルギー部長級会議に出席し、中国の張高麗副首相と会談してクリーンエネルギーでの米中協力で一致するも、一地方自治体に対する異例の厚遇である習近平中国国家主席との会見を行ったブラウン知事との対応の違いが注目され、ブラウン知事は中国の一帯一路に参加する意向を示したことなどが待遇の違いに繋がったとされる
  トランプ大統領のパリ協定離脱表明に抗議してロバート・A・アイガーイーロン・マスク大統領戦略政策フォーラムから脱退、米国の500箇所を越える自治体と約1700ものの企業もトランプ大統領を無視してパリ協定を順守する決意をした
政権与党である共和党ミッチ・マコーネル上院院内総務は「石炭産業やその労働者を取り戻す決意を示した」と高く評価し、トランプ大統領のパリ協定離脱表明を支持した。環境保護局(EPA)のスコット・プルーイット長官も米国のパリ協定離脱を批判している世界各国に対して「(離脱は)正しい判断であり、米国として謝ることは何もない」とトランプ大統領を擁護した。
2018年1月10日、トランプ大統領は前政権が署名した当時の協定内容の修正を条件に「正直に言って私としては問題のない協定だ。よって、復帰もあり得る」と述べた
ポンペオ米国務長官は2019年11月4日、地球温暖化防止のための国際枠組み「パリ協定」から離脱するための手続きを開始したと発表した。離脱の手続きには通告から1年を要するため、アメリカの正式なパリ協定離脱は2020年アメリカ合衆国大統領選挙が行われる2020年11月3日翌日の11月4日となる。
離脱時の演説ポイントトランプ大統領がパリ協定の離脱を表明した時における演説ポイントは下記の通りである。なお、このポイントについてオバマ政権の国務長官だったジョン・ケリーは「醜悪な責任の放棄」とトランプ大統領を非難している。

  米国と市民を守る重大な義務を果たすためパリ協定から離脱する。
  協定は他国に利益をもたらし、米国の労働者に不利益を強いる。
  今日限りで、協定がわが国に課す目標の全ての履行や財政負担をやめる。
  途上国の温暖化対策支援もやめる。支援により米国の富が持ち出されている。
  他国が米国に協定残留を求めるのは、自国を経済的に優位に立たせるためだ。
  米国にとって公正な協定に変えた上で再加入するか、新しい枠組みをつくる交渉を始める。
  中国の温室効果ガスの排出増やインドの石炭生産増加は認められており、非常に不公平だ。

大統領のピッツバーグ発言
トランプ大統領はパリ協定離脱を表明している最中に「私が大統領になったのはピッツバーグのお蔭であり、パリではない」と発言している。これを受けてピッツバーグ市長のビル・ペドゥートは「我々市民はこれからの未来のために、大統領選では市民の80%がヒラリー・クリントンに投票した」とトランプ大統領に反論し、パリ協定を順守することを断言した。
基金に対する批判
トランプ大統領は2017年6月1日にホワイトハウスの前で、国連の気候部門のトップが毎年基金へと拠出されている1000億ドルを「極少額のカネ」と何度も例えていて、1000億ドルは「米国の経済、産業、労働者、国民と納税者の利益に大きな害を与えるものだ」と批判している。また、米国家経済研究協会の調査結果を踏まえて、パリ協定は「2040年までに米国の国内総生産(GDP)に3兆ドルの損失をもたらし、650万人の雇用を失う」との見解を示している
2015年にも、緑の気候基金の事務局長は、何度も2020年以降は見積もられた基金は毎年4500億ドルを必要とするように増加するだろうと述べているが、誰も拠出した金が何処に行くのかさえ知らない。そして、トランプ大統領は「拠出した金は何処へ行くの?」の質問に答えられる者は誰もいないとして、温暖化対策を名分に悪用されているとして批判している








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