沖の鳥島の問題-1



2020.12.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201227/wor2012270012-n1.html
<独自>中国の沖ノ鳥島周辺調査、日本の大陸棚延長阻止狙いか 「中国政府が主導」政府分析
(1)
  日本が大陸棚延長を申請している国内最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)周辺で、中国の異なる組織に所属する複数の調査船が緊密に連携して海洋調査を行っていることが27日、分かった。日本政府は同島周辺で活発化する中国の海洋調査について、「中国政府が主導している」とする分析結果をまとめた。大陸棚延長が認められると日本が海底資源開発の権利を持つため、中国政府は反論に向けて各組織に指示し、海底地形・地質データを収集しているとみられる。
  中国の海洋調査実態について、日本政府の体系的な分析が明らかになるのは初めて。中国側は、沖ノ鳥島のほか尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む沖縄近海など日本の排他的経済水域(EEZ)内で無許可調査を繰り返しているが、日本政府の中止要求に応じていない。外交を展開する上でも中国側の意図分析が急がれていた。
  今年7月に沖ノ鳥島周辺のEEZ内で中国の調査船「大洋号」が無許可調査を実施したことを受け、同海域での中国調査船の過去の活動を詳細に分析。分析は海上保安庁が担当し、結果が外務省などに報告された。海保は今年度から海洋情報分析調整官を置き外国の不法な海洋調査の監視・分析を進めている。

  分析では、平成30年以降に沖ノ鳥島南方のEEZ外側の公海上で計5隻の中国調査船の航行を確認。所属が政府機関や大学などで異なり、調査時期もばらつきがあったが、数百キロ四方に及ぶ海域で活動範囲はほとんど重複せず、空白域もほぼなかった。5隻は一定速度で進み、等間隔で折り返すという海底地形調査の際に特徴的な動きも共通していた。
 調査目的について「複数の異なる組織に所属する調査船が緊密に連携し、31年以降に極めて集中的に実施されている」として「中国が政府として調査を主導している可能性がある」と結論付けた。
  中国が調査を行っている海域は「九州・パラオ海嶺南部海域」と呼ばれており、日本は20年に、東西約4・5キロ、南北約1・7キロの沖ノ鳥島を基点とする大陸棚延長を国連大陸棚限界委員会に申請している。申請に向けた調査では海底地形やプレートの特徴から、沖ノ鳥島から南方のパラオ共和国に向かう場所で、大陸棚が延長していることを示す海底山脈を確認した。
(2)
  だが、申請は沖ノ鳥島を「岩」と主張する中国などの反対で判断が先送りになっている。
  大陸棚の延長が認められれば、日本が海底地下資源開発の権利を持てる一方で、中国など他国は日本の同意なく探査や開発活動ができなくなる。その基点である沖ノ鳥島も国際的に「島」として位置づけられることになる。中国側は海洋戦略上、周辺海域を重要視しており、地形的なつながりを否定する反論材料を探しているとみられる。
  同海域ではパラオも同様の大陸棚延長を申請しており、パラオ側の延長が認められれば日本の申請を後押しする。ただ、パラオの申請を審査する同委員会の小委員会副議長は「大洋号」を運航する中国自然資源省の所属で、日本側はパラオの審査の難航も懸念している。
  日本は沖ノ鳥島以外の海域でも、中国をはじめ他国と権益の確保をめぐる問題に直面している。政府関係者は「政府の海洋調査を主導する海保を中心に体制を強化し、民間の調査機関も巻き込んだ効率的なデータの構築が必要になる」と指摘した。

大陸棚延長 
  沿岸から200カイリ(約370キロ)の排他的経済水域(EEZ)の海底下を大陸棚と呼び、地形・地質的に陸とつながっていると証明できれば国連海洋法条約に基づき延長が認められる。日本政府は平成20年、国連大陸棚限界委員会に7海域の延長を申請、24年に四国海盆海域など4海域について認める勧告が採択された。九州・パラオ海嶺南部海域は判断が先送りされ、日本政府は当時、「早期に勧告が行われるよう努力を継続する」との考えを示した。


2020.8.5-Yahoo!!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/674f7d03ac50687fed3e50a2a3bb2e9957a77baa
中国、海底資源サンプル採取か 沖ノ鳥島周辺に無人潜水機投入、日本政府が確認

  中国の海洋調査船「大洋号」が7月に沖ノ鳥島(東京都小笠原村)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で無許可海洋調査を実施した際に、遠隔操作型無人潜水機(ROV)を海中に降ろし、海底資源サンプルを採取した可能性があることが5日、政府関係者への取材で分かった。中国は沖ノ鳥島について、条約でEEZが設定されない岩と主張。周辺海域に豊富にあるとされる鉱物資源を狙ってサンプルの分析を進めるとみられるが、日本政府は中国側の調査を止められないでいる
   中国は自国の大陸棚延長を主張する沖縄沖での過去の調査でも、ROVを運用していることが確認されている。中国は今回を含め日本政府の事前同意がない調査を繰り返しているが、日本政府は中国側が実際にどのようなサンプルを採取しているかなどを現場で確認できない状態が続いている
   海上保安庁によると、大洋号は7月9日以降、沖ノ鳥島周辺の日本のEEZで調査を実施。18日にEEZ外に出たが、24~27日にEEZ内に戻り航行、漂泊を繰り返した。海域一帯を継続的に調査していたとみられる。大洋号がEEZ内で無許可調査をしていた7月には、中国海警局の船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で連日航行を続けていた。
   政府関係者によると、日本政府は、大洋号が7月11、12日に沖ノ鳥島から北北東約160キロの海域でROVを投入したことを確認。ROVは有線式で、装備した水中カメラやロボットアームを調査船側から操作する。カメラを確認しながら海底を掘削し、堆積物を収集することが可能で、調査船に搭載されたROVは通常、サンプル採取のために運用されるという。  日本最南端の沖ノ鳥島を中心とする日本のEEZは国土より広い約40万平方キロ。周辺の海底には、電気自動車向け蓄電池などの製造に欠かせないレアメタル(希少金属)のコバルトやニッケルを含んだ板状の「マンガンクラスト」が存在しているとされる。国は資源開発の拠点を整備すれば約1400億円の利益を生むとする試算を出している。  大洋号は今回の調査でROV以外にも、「採水器」や海底の泥を採取して地質を調べる「採泥(さいでい)器」、地殻の構造を探査するための「エアガン」、漁業資源量のモニタリングに用いる「プランクトンネット」も運用。また、日本が命名した海底地形の直上を航行し、ソナーなどを使って海底の形状について測量精度を確認していた可能性があるという。
  沖ノ鳥島 東京から約1700キロ離れた日本最南端に位置し、東小島と北小島、2島を取り囲むサンゴ礁(東西約4・5キロ、南北約1・7キロ)で構成される。日本は昭和6年の内務省告示以来、島を支配し、排他的経済水域(EEZ)などを設定。中国は平成16年ごろから、日本の領土と認めながらも、岩だと主張し始めた。国連海洋法条約は「居住または独自の経済的生活を維持できない岩はEEZを有しない」と規定している。


沖ノ鳥島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  沖ノ鳥島は、太平洋フィリピン海)上に位置する小笠原諸島に属する孤立島。サンゴ礁からなる島であり、東京都小笠原村に属する。日本の領土としてもっとも南に位置しており、日本最南端の島である
概要
  東京都心部から1,740キロ、硫黄島から720キロ、フィリピン海プレートのほぼ中央、九州・パラオ海嶺上に位置する、太平洋の絶海に孤立して形成された南北約1.7キロ、東西約4.5キロ、周囲約11キロほどの米粒形をしたサンゴ礁の島である。北回帰線の南に位置するため熱帯に属する。
  干潮時には環礁の大部分が海面上に姿を現しているが、満潮時には礁池内の東小島(旧称・東露岩)と北小島(旧称・北露岩)を除いて海面下となる。
  沖ノ鳥島は過去100年あたり1センチという、地盤沈下が極めて小さいことでも知られ、地球温暖化に伴う海面の水位変化を調べるのに役立っている。1999年から2002年のGPS調査によると、沈降こそないものの、N70°W5.0cm/年(1年間に進む距離が、真北から西へ70度回った方向に5センチ)で西北西に移動していることが確認されている
  島周辺は海面と海底の海水の温度差が年間を通じて20ほどあり、海洋温度差発電にふさわしい条件が揃っている。
  なお、「沖ノ鳥島」として公式に記載されたのは1929年(昭和4年)のことであるが、沖ノ鳥島という名前自体の由来は不明である。
地理
北小島
  東京都小笠原村沖ノ鳥島1番地。旧称は北露岩。北緯20度25分31秒 東経136度4分11秒に位置する。面積7.86平方メートル。海抜は第二次世界大戦以前の海図では2.8メートルと記載されていたが、2008年3月時点で約1メートル。高潮(満潮)時も約16センチが海面上に現れる。三等三角点「北小島」が設置されている
東小島
  東京都小笠原村沖ノ鳥島2番地。旧称は東露岩。北緯20度25分32秒 東経136度4分52秒に位置する。面積1.58平方メートル。海抜は第二次世界大戦以前の海図では1.4メートルと記載されていたが、2008年3月時点で約0.9メートル。高潮(満潮)時も約6センチが海面上に現れる。一等三角点「沖ノ鳥島」が設置されている
建造物
  日本は1988年から北小島および東小島に鉄製消波ブロックの設置とコンクリート護岸工事を施し、東小島にはチタン製防護ネットを被せて保護している(詳細は#浸食防止策を参照)。
  第二次世界大戦前の1940年(昭和15年)7月中旬、大日本帝国海軍は北露岩に無人灯台建設を計画した。その後、中断していた旧灯台基盤跡に、人工島の観測所基盤が、海面上に大規模な観測施設(作業架台:60メートル×80メートル)が建築されており、無人の気象・海象観測が行われている(海洋研究開発機構)。
  その他、船舶が沖ノ鳥島に座礁することを防止するため、海上保安庁によって領海内に「沖ノ鳥島灯台」が設置されている。この無人灯台の灯火は海面上から26メートルの位置にあり、発光ダイオードの光を沖合い12海里まで届けるもので太陽電池によって稼働している
  東小島には一等三角点「沖ノ鳥島」、北小島には三等三角点「北小島」、観測所基盤には水準標石が設けられている。また、2005年には電子基準点「沖ノ鳥島」が東小島に設置されている
消失した露岩
  第二次世界大戦の前の1933年の調査記録では、海抜最大2.8メートルの北露岩、1.4メートルの東露岩、さらに北露岩の南側に海抜2.25メートルの「南露岩」があり、それ以外に0.9 - 0.6メートルの露岩があり、合計6つの露岩が満潮時にも姿を現していたことが記されている。
  これらのうち、南露岩は1938年に消失が確認された。1968年に日本へ施政権が返還されたあとの1982年以前は露岩の数は4つとされていたため、1987年までに、現在の北小島、東小島を除いたものは風化海食により消え失せたと見られている。
歴史
行政区分
  日本では小笠原諸島の一部として東京都小笠原村に属し、住所は郵便番号「100-2100」、東京都小笠原村沖ノ鳥島 1番地(北小島)および、2番地(東小島)となっているが、無人島のため交通困難地の一覧には掲載されていない。1987年10月に東京都によって海岸保全区域に指定されたが、東京都だけでは保守費用を負担しきれないことから、1999年6月以降は、全額国費による直轄管理(所管は国土交通省)となっている。2011年6月、一部が低潮線保全区域に指定されている。
  過去に東京市京橋区硫黄島とともに所属していたという説があるが、これは誤りである。電話の市外局番は小笠原村の04998だが、現状では無人島であることから加入者は存在していない。
地位に関する論争
  沖ノ鳥島が日本国の領土であり、その周囲に日本国の領海を持つことはどこの国からも異論が出ていない。ただし下記のように、沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域(Exclusive Economic Zone、略称:EEZ)の存在について、日本国と中華人民共和国(中国)、中華民国(台湾)および大韓民国(韓国)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の間で主張が異なっている
  1994年11月16日に発効した、国際海洋法の基礎となっている海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)では、「島」と「岩」について以下のように定義されている。

第121条 第1項:島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
第121条 第3項:人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。

  日本国はこの第121条 1項の定義に従って沖ノ鳥島は「」であるとし、「海洋法に関する国際連合条約」(国連海洋法条約)発効に併せて制定した「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」によって、沖ノ鳥島を中心とする排他的経済水域を設定した。
  しかし、沖ノ鳥島が同3項の「岩」にあてはまるとすれば、沖ノ鳥島は領海は有するものの、排他的経済水域や大陸棚を有しないということになる。海洋法専門家でハワイ大学マノア校教授のジョン・ヴァン・ダイクは、1988年1月21日のニューヨーク・タイムズで「沖ノ鳥島――せいぜいキングサイズのベッドくらいの大きさしかない、2つの浸蝕された突起から構成される」と独自の経済的生活を維持することのできない居住不可能な岩という記述に間違いなくあてはまるので200海里排他的経済水域を生み出す資格を与えられない、と主張した。ダイクは同様の主張を繰り返し、その意見は2005年2月16日のウォール・ストリート・ジャーナルで「日本の立場は、イギリス1990年代にEEZの主張を諦めた、大西洋ロッコール島の例に酷似している」「沖ノ鳥島のEEZをもっともらしく主張することはできない」として紹介されている。こうした意見に対して日本国政府は、「」の定義が同条約上に存在しないことを根拠に、沖ノ鳥島の排他的経済水域を主張している。
  
2003年以降には、中華人民共和国および大韓民国の2か国が日本の主張に対する異議を申し立てるようになった。両国は、沖ノ鳥島が日本の領土であることは認めるものの、それは国連海洋法条約第121条第1項の「島」ではなく、同条第3項の「岩」であり、沖ノ鳥島周辺に日本国が排他的経済水域を設定することはできないと主張している。
  なお同条約には、島に関する以下のような条文も定められている。沖ノ鳥島に設置された鉄製消波ブロックとコンクリート製護岸、チタン製防護ネットはこの条文に記された人工の「構築物」に該当する。ただし、沖ノ鳥島の本体は自然に形成されたものであるため、この条文には該当しない。
  第60条 第8項:人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しない。これらのものは、それ自体の領海を有せず、また、その存在は、領海、排他的経済水域又は大陸棚の境界画定に影響を及ぼすものではない。
サンフランシスコ平和条約の中での沖ノ鳥島
  日本がアメリカ合衆国やイギリスをはじめとする48か国と締結したサンフランシスコ平和条約条約第3条では、日本は「北緯二十九度以南の南西諸島琉球諸島及び大東諸島を含む。)、孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島」を、アメリカ合衆国を施政権者とする国際連合信託統治制度の下に置くことを承認し、さらには国際連合がこの信託統治制度を可決するまでの間は、アメリカがこれらの島々に対する施政権を持つことを承認した。実際にはアメリカは国際連合に対してこれらの島を信託統治する提案をしなかったため、沖ノ鳥島は小笠原諸島とともにアメリカの施政下に置かれたものの、領土主権は日本に残された。1968年(昭和43年)に日本国とアメリカ合衆国が結んだ小笠原返還協定が発効したことにより、小笠原諸島および沖ノ鳥島の施政権は日本に返還された。
中華人民共和国の主張
 ・2001年(平成13年)ごろから、中華人民共和国の海洋調査船による調査が沖ノ鳥島の排他的経済水域内で多く行われ、この件について日本は2004年(平成16年)に事務レベル協議で抗議した。
 ・これに対し同年4月22日、中国側は、沖ノ鳥島は「島」ではなく「岩」であり、日本の領土とは認めるが、排他的経済水域は設定できないと主張。
 ・2009年(平成21年)8月24日には国連大陸棚限界委員会において、沖ノ鳥島を「人の居住または経済的生活を維持できない岩」であると認定するよう意見書を提出した。
 ・一方で、中華人民共和国は南シナ海南沙諸島ジョンソン南礁(赤瓜礁)の領有権を主張しており、その周囲に排他的経済水域を設定している。しかし、ジョンソン南礁は沖ノ鳥島と同様、満潮時に水面上に出ている部分は小面積であるとされており、中国の主張はダブルスタンダードであるという批判がある
台湾(中華民国)の主張
 ・2016年(平成28年)4月、台湾馬英九中国国民党政権は、排他的経済水域を設定できない岩との認識を示していたが、翌5月に発足した蔡英文民主進歩党政権は、自由民主党国会議員らとの対話後、5月23日に「法律上の特定の立場を取らない」として扱いを修正した。
 ・2018年現在は地位が確定するまで漁業権を認めるよう主張している。一方で、中国国民党や民主進歩党の一部の議員や、小政党のひとつである「時代力量」は、沖ノ鳥島は島ではなく「岩」であるとの立場を示している。
大韓民国の主張
  サンフランシスコ平和条約においては沖ノ鳥島の存在について明記されており、日韓基本条約ではサンフランシスコ平和条約の関係規定を想起し条約を締結することに決定と定められており、大韓民国も沖ノ鳥島が日本の領土であることは承認している。しかし、同国は沖ノ鳥島は排他的経済水域を設定できない「岩」だと主張している。
朝鮮民主主義人民共和国の主張
  沖ノ鳥島は日本領土から数百キロも離れた太平洋の上に位置した岩であり、国連海洋法協約で規定された島の範疇に属してもおらず、自らの経済水域を持つことができないと主張している。
日本の対抗措置
  2005年1月31日、石原慎太郎東京都知事(当時)は首相官邸小泉純一郎首相(当時)と会談、経済活動の実証のため、沖ノ鳥島周辺での海洋深層水と表層水の温度差を利用する実験的発電所の建設計画や漁業活動の計画があると明らかにした。沖ノ鳥島周辺は深海底からせり上がる地形のため、海洋温度差発電に適している。
  2005年5月20日、石原都知事は沖ノ鳥島の視察を行い、周辺海域へシマアジの稚魚を放流した。同年6月17日には国土交通省が縦1メートル、横1.5メートルのチタン製銘板を設置した。「東京都小笠原村沖ノ鳥島一番地」「日本国最南端の島」のほか、沖ノ鳥島の緯度・経度が刻まれている
  2005年8月24日、海上保安庁は経済活動実証のため沖ノ鳥島に灯台を設置することを決定し、2007年3月16日に、周辺海域を航行する船舶や操業漁船の安全と運航能率の増進を図ることを目的として「沖ノ鳥島灯台」を設置して運用開始した。また、同灯台を海図に記載した。
  2009年11月6日、環礁部分に船舶が接岸できるような港湾施設を建設する方針を決めたと報道され、2013年に建設を開始した(#浸食防止策を参照)。中国の「『経済的生活の維持』ができない」とする主張に対抗する意図があるとされる。
  2010年7月23日には「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」を閣議決定し、沖ノ鳥島における特定離島港湾施設の建設に着手している
国連大陸棚限界委員会への申請
  2008年11月12日、日本は大陸棚限界委員会に対して、沖ノ鳥島を基点とする海域を含む7つの海域を「大陸棚の延長」として申請を提出した。その申請に対してアメリカ合衆国、中国、韓国およびパラオがそれぞれ、自国の見解を示す文書を提出している。米国とパラオは日本に異議を唱えなかったが、中国と韓国は「沖ノ鳥島は、島に該当せず岩に当たる」という抗弁を2009年2月に提出した。
  2011年8月に開催された第28回大陸棚限界委員会において中国と韓国は改めて異議を提出し、委員会の議論は紛糾して日本に対する勧告案は採決されず、継続審議となった。
  その後、沖ノ鳥島事案は審査ののち、2012年4月27日に島北側の海域は認められたが、南側(九州パラオ海嶺南部海域)は結論が先送りにされた。南側に関しては大陸棚限界委員会の勧告(20項)によると「口上書に言及された事項が解決される時まで、CLCSとしては勧告を出すための行動をとる立場にない」とされた口上書とは中国と韓国による異議のことで、採択には委員の3分の2位以上の賛成が必要だが、結果は賛成5、反対8、棄権3で日本に必要な支持を得られなかった。
浸食防止策
  沖ノ鳥島にある2つの小島が風化や海食などで浸食され、満潮時に海面下に隠れてしまうと、定義上の「島」と認められなくなり、その場合、日本の国土面積(約38万平方キロメートル)を上回る排他的経済水域が失われてしまうため、1987年から「災害復旧工事」として2つの島の周りに鋳鉄消波ブロックによる消波堤を設置し、内部に直径50メートルのコンクリート製護岸を設置した。ところが、護岸コンクリートの破片が東小島を傷つけるという事故が起こったため、東小島の上はチタン製の防護ネットで覆っている。これらの工事費用は約285億円かかった。
自然による造成策
  地球温暖化にともなう海面上昇により、島そのものが将来水面下に没することが予想されている。そこで、自然の力により島を高くしようとの構想がある。具体的には、島の周囲の珊瑚礁を活性化して大規模な珊瑚礁を生成させる。これが砕けて砂となり堆積や波による集積を行うことにより、自然の力により島の高さを上げてしまうという構想である。この構想の調査のために、水産庁は実施期間を2006年度から2年間とする「生育環境が厳しい条件下における増養殖技術開発調査事業」を創設、業務取りまとめ機関として「サンゴ増養殖技術検討委員会」を設置し、初年度に3億円の予算を充てている。
有人島化計画
  2010年、民主党政権下において国土交通省が750億円を投じ、沖ノ鳥島の西側に港湾設備、岸壁泊地臨港道路などインフラストラクチャーを建設し、輸送補給が可能な活動拠点を作ることを決定した。経済的な活動拠点が完成すれば、事実上の有人島となり「同島では経済的生活の維持ができない」とする島の地位に関する批判(前出の「#地位に関する論争」を参照)を退けることができることから、計画されたものである。
  この計画に従って、2011年度に国土交通省が特定離島港湾の建設に着手した。長さ160メートルの岸壁を作る工事で、130メートル級の大型海底調査船も停泊可能な岸壁となる。港湾整備は2016年度に完成する予定。国土交通省は「輸入頼みの資源を自前で開発する拠点。経済的な安全保障につながる」と説明している








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