日本の自民党他-1
2025.04.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250429-BMUH26ELDVJIZKZZJBNEP7IEMQ/
存在意義問われる自民党-一筆多論
(政治部長兼論説委員)
自民党は夏の参院選に勝つ気があるのだろうか。
惨敗した昨年10月の衆院選後、国会で特筆した成果もなく、最近の消費税減税や現金給付を巡る騒動を見ても空回りしている。「票が欲しいため」と映る政策を打ち出しては引っ込める醜態を見ると、これまでいくつか目撃してきた政権崩壊時の「負のスパイラル」に突入した観さえある。
本来、衆院選で与党過半数割れとなった時点で石破茂首相(自民総裁)は辞めるべきだった。平成19年の参院選で大敗した当時の安倍晋三首相に「続投は理屈が通らない」と正論を吐いた石破首相こそ、自ら実践すべきだった。
しかし居座り、自民議員も責任を問おうとしない。この間に実現した高校授業料無償化は日本維新の会の主張だった。所得税がかかる「年収の壁」の引き上げも、国民民主党の強い要請で議論を始めた。最終的に同党は賛成しなかったが、壁は103万円から160万円に引き上げられた。
参院選が近づくと物価高や「トランプ関税」対策として自民内で現金給付や消費税減税が浮上したが、バラマキ批判が噴出するや、現金給付はあっさり撤回した。票目当ての姿勢が有権者に見透かされている。
一方、事業者らの負担増といった「痛み」も伴いつつ、将来世代の年金水準改善に必要な年金改革法案の国会提出に躊躇(ちゅうちょ)する。参院選で不評を買いたくないからだ。「なぜ自民は政権与党なのか」が問われている。実際、政治やマスコミと関係ない複数の知人から「自民は何がしたいのか。国民民主の方がいい」と言われることが増えた。
自民に保守政党の自負がまだあるならば、やるべきことはある。選択的夫婦別姓制度に明確に反対することだ。立憲民主党や公明党が目指す夫婦別姓が今国会で実現すれば、子供の姓の問題や戸籍との関係で大混乱する。自民にも賛成派はいるが、党を賛成でまとめれば反対派の反発は必至だ。熱心な支持者をこれ以上失わないため、旗幟(きし)鮮明に反対でまとめれば、「さすが自民」となるだろう。
憲法改正の議論をリードすることも重要だ。衆院選を経て改憲勢力は298議席となり、改憲の発議に必要な全体の3分の2(310議席)を下回った。ただ、衆院憲法審査会の枝野幸男会長(立民)は、真意はともかく「議論は積極的に進める」と公言する。改憲派もいる立民から十数人切り崩せば、発議は無謀ではない。参院は今も改憲勢力が3分の2を上回る。
しかし、自民が別姓反対でまとまり、改憲をリードする気配はない。
首相は23日の党首討論で改憲が一番大事な国政のテーマではないかと問われ、「そうだ」と答えた。だが、1月の衆院代表質問の答弁で9条への自衛隊明記を「前に進める」と訴えたのに主導権を発揮した形跡は全くない。南海トラフ巨大地震や台湾有事が切迫する中、緊急事態条項創設も待ったなしだが、自民は党是の看板を下ろしたのか。
末期症状を象徴する出来事も起きた。党東京都連は参院選東京選挙区で、反自民の女性の擁立を一時検討した。都連幹部は女性の自民批判を「知らなかった」と釈明したが、インターネットを検索すればすぐに分かることだった。悲劇を通り越し、もはや喜劇としかいいようがない。
(政治部長兼論説委員)
2025.04.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250428-AQD3N2Z7YBMF3PQBZJU6FQ37O4/
与野党が参院選控え消費減税アピール 立民は食料品0% 自民は執行部慎重で党内に亀裂も
(小沢慶太)
物価高やトランプ関税への対応として、自民党を除く主要与野党が消費税減税を目指す方針を相次ぎ打ち出している。
夏の参院選を前に各党が減税一色となり、自民党内にも参院側で減税論が広がってきた。だが、
党執行部は慎重姿勢を崩しておらず、党内に亀裂が生じる可能性がある。
立憲民主党の野田佳彦代表は、党内の一部慎重論を抑え、食料品の消費税率を時限的に0%とする案を参院選の公約に盛り込むことを決断した。野田氏は民主党政権の首相として、税と社会保障の一体改革で消費増税への道筋を付けた当事者だ。国民民主党の玉木雄一郎代表は「選挙に有利なものを過去の政策と矛盾する形で出している」と野田氏の「変節」を批判した。
与党・公明党も「減税の実現」を参院選で訴える重点政策に掲げる。選択肢の一つが、飲食料品などに適用される消費税の軽減税率引き下げだ。軽減税率導入を主導したと自負する公明内には「こういうときのために導入したのだから活用すべきだ」との意見が強まっている。
連立を組む自民内でも参院選への危機感から参院自民を中心に減税を求める声が高まっている。松山政司参院幹事長は、森山裕幹事長ら党幹部に減税の訴えを公約に反映するよう要請した。衆参の一部議員も減税への賛同を求める署名集めに動く。
自民執行部は一貫して慎重な立場を示す。森山氏は、消費税が社会保障や地方交付税の財源になっているとして「下げるとすれば財源をどこに求めるのか。対でないといけない」と、参院選を前にした減税アピールを牽制(けんせい)する。公約策定のトップを担う小野寺五典政調会長も否定的だ。
政府は、「食料品含め税率引き下げは適当ではない」(林芳正官房長官)と、減税を重ねて否定しているが、石破茂首相(自民総裁)は党内の賛否の間で揺れている。
(小沢慶太)
2025.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250410-5RFJLZDUFJMD3AQUVKBZUQJAC4/
自民に所得制限なしで3~5万円給付案「迅速にやれる」 トランプ関税停止で機運低下も
(小沢慶太)
与党が、物価高やトランプ米政権の関税措置を受けた経済対策として、国民への現金給付を実施するよう政府に対し要求を強めている。
自民党内には所得制限なしで3万~5万円程度を給付する案が浮上しており、公明党からは上積みや減税を求める声もあがる。
夏に参院選を控え、政権浮揚を図る狙いもあるが、
政府内には慎重論も強い。米国が「相互関税」を一時停止したことで、機運がしぼむ可能性もある。
公明党の斉藤鉄夫代表は10日の党会合で「減税を前提とした現金還付(給付)が必要だ」と述べ、政府に経済対策の早期取りまとめを求めた。公明内には、自民が3万~5万円程度で検討しているのに対し「それでは弱い」(幹部)として、10万円程度の給付を訴える意見がある。
自民の小野寺五典政調会長は党本部で、米側との関税交渉を担う赤沢亮正経済再生担当相と面会し、対応を協議した。
自民幹部は公明や参院自民が主張する減税に否定的な考えを示し、「スピーディーにやるには現金給付しかない」と話す。
ただ、現金給付にも懐疑的な見方は少なくない。令和2年に新型コロナウイルス禍で国民一律10万円を給付した際は多くが貯蓄に回り、消費刺激効果に乏しいと指摘された。下落傾向にある石破茂内閣の支持率上昇に寄与するかも見通せない。自民内からも「ばらまきだ」(重鎮)との批判があがる。
国民に3万円以上を給付する場合、数兆円規模の財源が必要で補正予算を組まなくてはならないが、政府は現時点では後ろ向きだ。林芳正官房長官は10日の記者会見で「政府として補正予算の編成を検討している事実はない」と強調した。
一方、
トランプ大統領が、相互関税の一部を90日間停止すると発表したことで、与党からの歳出圧力が弱まる可能性もある。政府高官は
「検討期間の幅が延びた」として、関税措置による影響などを慎重に見極める構えを見せる。
(小沢慶太)
2025.03.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/
「6万人ショック」自民党員減、「政治とカネ」懸念も「保守と理解してもらえない」
(奥原慎平)
自民党員の減少幅が近年まれにみる規模となり、
党執行部を悩ませている。令和6年末時点の党員数は102万8662人で5年末時点から6万2413人減少した。
「6万人ショック」ともいわれ、
特に有権者と直接接する機会の多い地方議員に危機感が広がる。
派閥パーティー収入不記載事件の影響だけでなく、近年の自民の政策が岩盤支持層とされる保守層の離反を招いているとの見方も増えている。
「党員集めは厳しさを増している」
「党員集めは厳しさを増している。自民はいつまで『政治とカネ』の問題に決着をつけられないのかと思われている」
神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は9日の党大会後、記者団にこう語った。
党員数は自民が政権復帰した平成24年の73万人以降、増加傾向にあった。安倍晋三政権から菅義偉政権へと変わった令和2年は113万6445人と近年で最も高かった。しかし、岸田文雄政権下の5年末になると、党員数は109万1075人となり、前年末比で3万3688人の減少に転じた。石破茂政権下の今回は、減少幅が倍増した形となる。
小泉氏と同じく地方議員も政治とカネの問題で党員の離反を招いたと指摘する声は多い。
山形県の柴田正人県議は「『政治とカネ』の問題をずっと引きずっている。政治家は悪いことをしているというイメージが植え付けられている」と指摘した。政治資金の「見える化」を進めた上で、早期の決着を求めた。
宮城県連の遠藤隼人青年局長も、「政治とカネ」を挙げて「直接党員にお願いして回っているが、これまで支えてくれた人も『こういう党の状況では継続できない』という人もいる。反応は厳しい」と語る。
「コアな保守層が逃げた」
遠藤氏は、自民が選択的夫婦別姓の導入を求める声に対し、明確な反対姿勢を示せていないことも疑問視する。
遠藤氏は「旧姓使用の拡大」にとどめるべきだと訴えた上で「自民以外の政党は夫婦別姓派だ。分かりやすく自分たちが保守であるということを理解してもらえないような党本部の姿勢が、保守離れを起こしているのではないか」と危惧する。
大阪市の木下吉信市議は、昨年10月の衆院選比例代表で自民支持層の投票先が保守党や参政党に流出したとの見方を示し「コアな保守の支持者が逃げた」と指摘する。・・・大阪府泉南市の添田詩織市議も「地元を歩いて反応がいいことはない。(石破内閣は)中国寄りのイメージで語られている」と述べる。ただ、首相が力を入れる自衛官の処遇改善などの取り組みを挙げて「実際は保守層に評価される政策もあることを知ってほしい」と語った。・・・鳥取県連の斉木正一幹事長は、党員減少について「やはり少子高齢化ではないか。われわれが田舎を回ると高齢化が進み、昔の人が亡くなっている。もう一つは『政治とカネ』の問題。この2つが原因かと思う」と分析した。
(奥原慎平)
2025.02.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250220-VJ7ONMBG6NJZVOVHNONZCNCRK4/
自公維、高校無償化と社会保険料引き下げで合意に至らず 与党関係者「20日中は難しい」
自民、公明、日本維新の会の3党政調会長は20日昼、国会内で会談し、
前日に引き続き、高校授業料無償化や社会保険料引き下げなどを巡り3党合意文書の取りまとめに向け、詰めの調整を行った。しかし
合意に至らず、午後8時に再会談する日程を決めた。・・・与党関係者は取材に
「20日中の合意は難しい」との見通しを示した。
維新は、就学支援金増額など関連予算が5千億円超となる高校無償化に関する自民の提案は受け入れる意向だ。ただ、社会保険料引き下げに関しては合意文書案の記述が不十分だとの意見が維新内で出ている。
与党は衆院で過半数を割り込んでいる。維新が求める高校無償化などで合意し、令和7年度予算案を修正することで、維新の賛成を得て予算案を可決させたい考えだ。