2022.06.03-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/fcc8476aac1e5b3904d9a9bd41e442abc64be82c
F15墜落、空間識失調の可能性 空自が調査結果
航空自衛隊は2日、小松基地(石川県小松市)で1月に
F15戦闘機が墜落し操縦士2人が死亡した事故について、事故当時の状況から操縦士が上下の平衡感覚を失う
「空間識失調」に陥っていた可能性が高いなどとする調査結果を発表した。
空自によると、事故は1月31日午後5時半ごろ、
航空戦術教導団所属のF15戦闘機が小松基地を離陸した約1分後に発生。空自が回収した飛行記録装置を分析した結果、機体は右旋回しながら上昇した後、右へ垂直に傾いたまま機首が下を向き、高度約650メートルから11秒間降下して海面へ落下した。
異常姿勢となった状態でも操縦かんをほぼ動かしていなかったことや、離陸直後から雲の中に入り視界不良だったことなどから、
空間識失調に陥った可能性が高いと判断した。
また、離陸直後に操縦士が、先行する別の戦闘機をレーダーで捕えられていないことを通信で伝えており、操縦士がレーダー操作に集中して異常姿勢に気付くのが遅れた可能性も指摘した。
航空戦術教導団は戦闘機の指導を担う空自唯一の部隊で、操縦していたのは訓練で敵役を務めることから「
アグレッサー(侵略者)」の異名を持つ精鋭パイロットだった。
空自では令和元年にも三沢基地(青森県)で最新鋭のF35A戦闘機が墜落し、
空間識失調の可能性が高いとする調査結果を示している。
空自は再発防止策として
空間識失調に関する教育・訓練を強化するとともに事故回避システムの調査研究などを行う。 空自トップの井筒俊司航空幕僚長は記者会見で「
優秀なパイロット2名を失ったのは断腸の思い。今回のような事故が二度と起きないよう航空機の安全な運用に万全を期す」と話した。
2021.12.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211220-ETSVJSODFVMPPGJEXR6UO3KEHA/
<独自>政府専用機使用規定を見直しへ 自衛隊法改正で
政府が検討している海外で緊急事態があった際の邦人輸送を定めた自衛隊法の
改正で、
政府専用機を優先使用する規定を見直す方向で調整していることが20日、分かった。
邦人が同乗していなくても外国人らの輸送を可能にする改正や安全要件の緩和と合わせ、来年1月召集の通常国会に改正案を提出する方針だ。
自衛隊法84条の4では、在外邦人らの輸送は政府専用機を使用することとされ、空港施設の状況や輸送人員によって使用が困難な場合には、自衛隊の輸送機などでも行えるとの規定がある。これを見直し、政府専用機の使用可否を検討せずに機動性の高い自衛隊機を使用できるようにすることで判断を迅速化する狙いがある。
国外退避支援をめぐっては、今年8月にアフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握したことを受け、政府は自衛隊機を派遣。現地職員ら約600人を退避させる計画だったが、邦人の同乗が条件のため、わずかな人員しか退避させることができなかった。
自衛隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
自衛隊(
英:
Japan Self-Defense Forces)は、
自衛隊法に基づき、
日本の
平和と
独立を守り、
国の
安全を保つために設置された
部隊および
機関。
事実上の
軍事組織であり
、
国際法上は
軍隊として扱われる。
陸上自衛隊・
海上自衛隊・
航空自衛隊の3部隊から構成され、
最高指揮官たる
内閣総理大臣および隊務統括を担う
防衛大臣による
文民統制(シビリアン・コントロール)の下、
防衛省によって管理される。
1954年(
昭和29年)
7月1日設立。
概要
日本国憲法第9条の下、
専守防衛に基づき、
国防の基本方針および
防衛計画の大綱の定めるところにより、“国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛すること”を基本理念とする(
自衛隊法第3条第1項)。
内閣総理大臣が
内閣を代表して
最高指揮監督権を有し、
防衛大臣が隊務を統括する。陸、海、空の三自衛隊を一体的に運用するための統括組織として
統合幕僚監部が置かれ、防衛大臣は
統合幕僚長を通じて、陸海空自衛隊に命令を発する。
自衛隊法上の「自衛隊」とは、
自衛隊員として含まれない「
防衛大臣、
防衛副大臣、
防衛大臣政務官、
防衛大臣補佐官、
防衛大臣政策参与、及び防衛大臣
秘書官」なども含めた防衛省の「
事務次官並びに防衛省の
内部部局、
防衛大学校、
防衛医科大学校、
防衛会議、
統合幕僚監部、
情報本部、
防衛監察本部、
地方防衛局、
防衛装備庁、その他の機関並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を含むもの」(自衛隊法第2条第1項)とされ、これは「
防衛省」とほぼ同一の組織に相当する。一般的には国の
行政機関という面から見た場合は「防衛省」、
部隊行動を行う実力組織としての面から見た場合は「自衛隊」として区別されて用いられることが多い。
日本国憲法第9条は国際紛争を解決する手段としての「戦争の放棄」と「戦力不保持」、ならびに「交戦権の否認」を定めているが、
政府見解によれば憲法は
自衛権の放棄を定めたものではなく、その自衛権の裏付けとなる自衛のための必要最小限度の実力は憲法第9条第2項にいう「戦力」には該当しない。よって、日本を防衛するため必要最小限度の実力を行使することは当然に認められており、これは交戦権の行使とは別の観念であるという立場に立っている。こういった憲法上の制約を課せられている自衛隊は、通常の観念で考えられる
軍隊とは異なるものであるが、他方、自衛隊は
国際法上は軍隊として取り扱われており、自衛官は軍隊の構成員に該当するものとされている
国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とする我が国の独立と平和を守ることにある。この目的を達成するための基本方針を次のとおり定める。
・
国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、
世界平和の実現を期する。
・民生を安定し、
愛国心を高揚し、国家の
安全を保障するに必要な基盤を確立する。
・国力国情に応じ
自衛のため必要な限度において 効率的な防衛力を漸進的に整備する。
・外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、
米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。
— 国防の基本方針 - 1957年(昭和32年)5月20日閣議決定
2013年12月17日、「国防の基本方針」に代わるものとして「国家安全保障戦略」が策定された。
自衛隊の公式な英称はJapan Self-Defense Forcesであるが、日本国外において陸海空の各自衛隊は日本の実質的な
国軍(Japanese military force あるいは Japanese armed force)として認知されており、陸上自衛隊は Japanese Army(日本陸軍の意)、海上自衛隊は Japanese Navy(日本海軍の意)、航空自衛隊は Japanese Air Force(日本空軍の意)に相当する語で表現されることがある。なお、英語で"right of self-defense"の語は国際法上「
自衛権」を意味し、"Self-Defense Forces"は「自衛権を行使するための軍隊」と解釈できる。(
国際連合憲章第51条の英文も参照されたい。)
歴史
陸上自衛隊 は
1950年(昭和25年)の
朝鮮戦争勃発時、
GHQの指令に基づく
ポツダム政令により
警察予備隊が
総理府の機関として組織されたのが始まりである。同時期、
旧海軍の残存部隊は
海上保安庁航路啓開本部と各管区海上保安本部航路啓開部となり、日本周辺の機雷処分を実施したほか、旧海軍軍人主導により、将来の海上防衛力の母体として独立することを視野に入れた「スモール・ネイビー」として
海上警備隊が設立された。その後、海上警備隊は
警備隊に再編され、各管区海上保安本部航路啓開部は航路啓開隊として警備隊に統合された。
1952年(昭和27年)8月1日には警察予備隊と警備隊を管理運営のための総理府
外局として
保安庁が設置された。同年10月15日、警察予備隊は
保安隊に改組された。そして
1954年(昭和29年)
7月1日、「自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織及び編成、
自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱等を定める」(自衛隊法第1条)自衛隊法(昭和29年6月9日法律第165号)が施行され、保安隊は陸上自衛隊に、警備隊は
海上自衛隊 に改組されたほか、新たに諸外国の空軍に相当する
航空自衛隊 も新設され、陸海空の各自衛隊が成立した。また同日付で
防衛庁設置法も施行され、保安庁は
防衛庁に改組された。
自衛隊創設当時、
陸軍士官学校、
海軍兵学校などの旧軍の軍学校を卒業した旧陸海軍正規将校が幹部自衛官として、陸海空三自衛隊の
幕僚機関の主流を占めていたほか、実働部隊の指揮中枢において直接22万人の
自衛隊員を動かす立場にあった。これにより、創設当時の自衛隊は旧陸海軍正規将校の強い影響下で戦力を整備し、隊風を育ててきた
。旧陸海軍で
大佐や
中佐だった幹部自衛官の多くが定年退官し、
防衛大学校出身の幹部自衛官が年々増加していた
1967年(昭和42年)においても、陸上自衛隊には2288人、海上自衛隊には1563人、航空自衛隊には1063人の、計4914人の旧陸海軍正規将校が幹部自衛官として務めており、自衛隊幹部現員の15.3%を占めていた。また、
1969年(昭和44年)当時の自衛隊幹部における旧陸海軍出身者の割合は、
将クラスで80%、
一佐で78%、
二佐で66%、
三佐で21%であった。
自衛隊は創設以来、
ソビエト連邦の日本侵攻を想定して
アメリカ軍と共同作戦を行うことを国防の大前提としていた。自衛隊の
統合幕僚会議議長と在日米軍司令官が署名し、防衛庁防衛局長を通じて防衛庁長官に報告されていた「共同統合作戦計画」のシナリオによれば、
北海道への
ソビエト連邦軍の上陸侵攻に際して、まずは自衛隊が独力で対処し、1週間から2ヶ月かけて数次に分かれて到着するアメリカ軍の来援を待つことになっていた。共同統合作戦計画は毎年改定されていたほか、陸海空自衛隊は共同統合作戦計画を前提として、毎年度の日本防衛計画である「年度防衛警備計画(年防)」を策定していた。
冷戦後は、
1990年の湾岸危機をきっかけに新たな役割を模索するようになり、
国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO協力法)によって自衛隊は
カンボジアや
東ティモールに部隊や要員の派遣を行ったほか、
2001年9月11日の
アメリカ同時多発テロ事件を機に、「日米安保のグローバル化」が進行し、自衛隊とアメリカ軍による日米防衛協力の領域は日本周辺や極東地域から、
中東や
インド洋へと拡大し、本土防衛を主任務としてきた自衛隊の任務の変容も進んでいる。
イラク戦争においては、アメリカ軍主導の多国籍軍の一翼を担う形で、イラク南部の
サマーワに人道復興支援活動を目的として、陸上自衛隊の部隊が派遣された
。
2006年(
平成18年)3月27日、統合幕僚会議及び同事務局を廃止し、
統合幕僚監部が新設された。ほか、
2007年(平成19年)
1月9日、防衛庁は防衛省に昇格した。2015年(平成27年)6月10日、「防衛省設置法等の一部を改正する法律(平成27年法律第39号)」が可決・成立し、同年10月1日の防衛省設置法改正法施行により、内局の運用企画局が廃止され、部隊運用に関する事務が統合幕僚監部へ一本化されたほか、
技術研究本部及び
装備施設本部が廃止され、新たに
防衛装備庁が防衛省の外局として設置された。
構成
自衛隊はシビリアン・コントロール(
文民統制)の原則の下、
文民で構成される
内閣、立法府である
国会の統制下に置かれている。
内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊の
最高指揮監督権を有し、
防衛大臣が自衛隊の隊務を統括する。また、内閣には関係閣僚等で構成される
国家安全保障会議が置かれ、防衛に関する重要事項を審議する。自衛隊の
防衛出動や
治安出動等にあたっては事前又は事後の国会承認を要し、また国会は自衛隊に係る定員、予算、組織などの重要事項の議決を通じて自衛隊を統制する。
陸・海・空の各自衛隊はすべて防衛大臣の直轄部隊から構成され、各自衛隊の隊務に係る防衛大臣の
幕僚機関として
陸上幕僚監部、
海上幕僚監部及び
航空幕僚監部が置かれている。更に各自衛隊を
統合運用するための幕僚機関として
統合幕僚監部が置かれ、自衛官の最上位者である
統合幕僚長がこれを統括する。防衛大臣は各幕僚長を通じて各自衛隊に命令を発するが、部隊の運用に関しては全て統合幕僚長を通じて行うものとされている。各幕僚長は「最高の専門的助言者」として防衛大臣を補佐し(自衛隊法第9条第2項)、部隊等に対する防衛大臣の命令を執行する。
防衛事務次官は待遇等の面では統合幕僚長と同格であるが、「その省の長である大臣を助け、省務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する」(
国家行政組織法第18条2項)ものとされ、防衛省・自衛隊の機関全般にわたって監督権限を有する。
その他、防衛省の所掌事務に関する基本的方針について審議する機関として、防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与、事務次官、防衛審議官、内局の
官房長と各
局長、統合・陸・海・空幕僚長、情報本部長、防衛装備庁長官で構成される
防衛会議が設置されている。
特別裁判所の設置が憲法で禁止されているため、
軍法会議(軍事裁判所・
軍事法廷)は置かれていない(従って、
軍事刑務所の類は無く、
被疑者は一般同様
検察庁へ
送致される。微罪は別にして、禁錮以上の罪で立件される等で重大な反社会的行為に関与したと判断された場合は懲戒免職されることがあり、また懲戒免職されなくても禁錮以上の罪が確定すれば失職する)。諸外国の
憲兵に相当する部隊は陸・海・空の各自衛隊に
警務隊として組織されている。
規模・各自衛隊の概説
高度な装備を保有するが、総兵力は約24万人(うち女性1万2,300人)と対人口比で主要国中最低水準である。年間防衛予算も約4兆7千億円で絶対値的でこそ世界的に上位に位置するものの、対GDP比では1%を割って主要国中最低水準である。予算は陸海空で概ね4:3:3の比率であり、予算総額の約44%は人件費で、装備品の調達費は、比較的高額な水準となっている。戦力維持のために若年
定年退職制度を導入しており、多くの自衛官の定年退職が53歳である。
近年、国家財政の悪化と
少子高齢化のために防衛予算と兵力は減少傾向にあったが、周辺国、特に中国の軍拡や
尖閣諸島問題の影響で2013年度以降は対前年比で増加に転じた。また、自衛隊が保有する装備の維持・運用・管理などにおいて他の西側諸国と同じく
日米安全保障条約による同盟国
アメリカに強く依存している装備も多く、実戦におけるノウハウ習得や幹部自衛官教育、新型装備に関する技術講習などでもアメリカ(
在日米軍)との協力関係が重要視されている。
陸上自衛隊(詳細は「
陸上自衛隊」を参照)
諸外国の
陸軍にあたる組織であり、日本に対する海外勢力による
上陸作戦を防止し、上陸された場合にはこれに対処することを主な任務とする。前身組織は
保安隊(
警察予備隊)。
普通科いわゆる
歩兵を基軸として、
戦車、
装甲車、
榴弾砲、
対戦車ロケット弾、
対戦車ミサイル、
地対空ミサイル、
地対艦ミサイル、
ヘリコプターなどを保有する。英称 Japan Ground Self-Defense Force、略称
JGSDF。諸外国からは Japanese Army(日本陸軍の意)に相当する語で表現されることがある。
陸上自衛隊の部隊は、
方面隊、
陸上総隊その他の防衛大臣直轄部隊から構成され、その所掌事務に係る幕僚機関として
陸上幕僚監部が設置されている。定数は約15万2千(
即応予備自衛官を除く)であり、三自衛隊の中で最大だが、振り分けられる予算は約1兆7千億円と、海、空自衛隊に大差は無い。
小銃をはじめ、戦闘車輌や一部の航空機は国産品を装備しているが、
輸入や
ライセンス生産による装備品もある。
遠隔操縦観測システム(FFOS)のような
無人航空機の運用能力も持つが、指揮通信能力、統合作戦能力は整備途上にある。各方面隊が担当地域の防衛警備を担っている。また、島国という地理上、離島への武力侵攻に備えた
水陸機動団も配備されている。
海上自衛隊(詳細は「
海上自衛隊」を参照)
諸外国の
海軍に当たる組織であり、海洋国家である日本の防衛力の中核を担っている。前身組織は
警備隊(
海上警備隊)。
護衛艦、
潜水艦、
機雷戦艦艇、
輸送艦、
対潜哨戒機、ヘリコプターなどを保有する。英称Japan Maritime Self-Defense Force、略称
JMSDF。諸外国からはJapanese Navy(日本海軍の意)に相当する語で表現されることがある。
海上からの侵略を阻止し、また艦船、航空機、潜水艦等の脅威を排除して、海上交通の安全を確保することを主な任務とする。年間を通じて、日本周辺海域の哨戒任務を行っており、国籍不明
潜水艦や他国の
艦艇、
不審船、
遭難信号などを探知した場合は、哨戒機を
スクランブル発進させ、護衛艦が緊急出港し、対象目標を継続追尾する態勢に移行する。また、
弾道ミサイルの監視、迎撃任務も負っている。実質的には
外洋海軍としての能力を有し、対潜水艦戦や対機雷戦では高い能力を有する。
海上自衛隊の部隊は、
自衛艦隊、
地方隊、
教育航空集団、
練習艦隊その他の防衛大臣直轄部隊から構成され、その所掌事務に係る幕僚機関として
海上幕僚監部が設置されている。定数は約4万5千であり、予算は約1兆5百億円。艦艇、
潜水艦、
航空機、各陸上基地を運用する。日本が
海洋国家であり、通商貿易国家であることから、
シーレーンの安全確保を重視し、
太平洋戦争(
大東亜戦争)の戦訓から 対潜水艦戦能力と対機雷戦能力に重点を置いている。
保有する
イージス艦の一部には
BMD能力が付与されており、
ミサイル防衛の中核を担う。
いずも型護衛艦、
ひゅうが型護衛艦や
おおすみ型輸送艦は離島防衛や大規模災害対処のシーベースとしても活動できる。
いずも型護衛艦一番艦「
いずも」が2015年(平成27年)3月に就役し、海自保有艦艇としては歴代最大の
自衛艦となった。
航空自衛隊(詳細は「
航空自衛隊」を参照)
諸外国の
空軍に当たる組織である。平時においては日本周辺の空域を警戒監視し、
領空内に不法に侵入しようとする航空機に対して、戦闘機を
スクランブル発進させて、対
領空侵犯措置をとるほか、
災害派遣、
国際緊急援助隊業務等を行っている。また、有事においては、航空優勢の確保による防空、侵入してくる陸海戦力の航空阻止と近接航空支援を主な任務とする。陸上・海上両自衛隊と違い前身組織はない。英称Japan Air Self-Defense Force、略称
JASDF。諸外国からはJapanese Air Force(日本空軍の意)に相当する語で表現されることがある。
航空自衛隊の部隊は、
航空総隊、
航空支援集団、
航空教育集団、
航空開発実験集団その他の防衛大臣直轄部隊から構成され、その所掌事務に係る幕僚機関として
航空幕僚監部が設置されている。定数は約4万7千人であり、予算は約1兆8百億円。アメリカ製の大型戦闘機
F-15、同じくアメリカ製の多用途戦闘機
F-16をベースとした
F-2戦闘機をはじめ、
E-767早期警戒管制機や、
KC-767空中給油機、
パトリオットミサイル、
バッジシステム、
JADGEの導入により、世界的にも高水準の防空能力を維持する。高度な救助能力を持つ
航空救難団は
災害派遣でも活用されている。
陸上自衛隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
陸上自衛隊(
英:
Japan Ground Self-Defense Force、略称:
JGSDF)は、
日本の
行政機関のひとつ。
自衛隊のうちの陸上部門にあたる
防衛省の
特別の機関の総称である。日本語略称は、
陸自(りくじ)。諸外国からは、
Japanese Army(日本
陸軍の意)に相当する語で表現されることがある。
概要
陸上幕僚監部並びに
統合幕僚長および
陸上幕僚長の監督を受ける部隊および機関からなる。各部隊および各機関は
防衛省の
特別の機関である。
自衛隊法の規定によれば、主として陸において行動し、
日本の平和と独立を保つため、直接及び間接の侵略に対する防衛を行うことを主任務とし、また、必要に応じて公共の秩序の維持に当たるものとされる。
主に
陸上自衛官で構成され、その最上級者は
幕僚機関である陸上幕僚監部を統括する陸上幕僚長である。他国からは
陸軍(Army)とみなされている。
平成28年度以降に関わる
防衛計画の大綱では、常備
自衛官150,875人と
即応予備自衛官8,075人の合計158,950人、
戦車約400両、
火砲約400門と定数が設定されている。2020年(令和2年)3月末時点での陸上自衛隊の各装備の保有数は、戦車570両、
装甲車990両、
高射機関砲50両、
ロケット弾発射機など60機、
野戦砲(各種
榴弾砲)380門、
迫撃砲1,100門、
無反動砲2,600門である。
駐屯地の数は158(駐屯地131・分屯地27)である。
令和2年度末の人員は、常備自衛官15万0695名、即応予備自衛官は7,981名で、年間平均人員は約14万0347名である
[4]。令和2年度の陸上自衛隊の予算は約1兆8170億円である
。
シンボルマークは「日本列島を守るように抱える緑色の両手」、キャッチコピーは「守りたい人がいる」
歴史
任務
陸上における国土の防衛を主任務とする。当初は
冷戦体制のもと、主にソビエト連邦による大規模侵攻に備え、その際に国土内で「内陸持久」戦闘を行って当面もちこたえ、
アメリカ軍の来援を待ち共同で反攻・撃退を行うことを想定していた。しかし1990年代以降、
ソビエト連邦崩壊による北方脅威の減少によって日本本土で大規模地上戦が起こる可能性は減少したものの、中国の台頭による
先島諸島等での島嶼部防衛・北朝鮮の
テロリズム対処や
ゲリラの遊撃、また、
阪神・淡路大震災以降に特に活発になった
災害派遣、海外派遣など、陸自の任務は一層増えており、北方重視であったこれまでの配備を見直して全国的な変革が現在も行われている。
国土防衛
日本は四方を海に囲まれた島国であり、海上交通路(
シーレーン)を封鎖されては国家の存立も危うくなる。また、日本の防衛基本方針は専守防衛であるために、外国からの侵攻を受けた場合は、まず
海上自衛隊、
航空自衛隊が主体となって洋上での戦闘を行う事が想定されている。そのため陸上自衛隊は、その後にある「最終防衛力」と位置づけられている。標語である『Final Goalkeeper of Defense』はこれを表している。
一般に
先進国の国防において最も費用の掛かるのが人件費(給与、糧食等)であり、日本も例外ではなく、自衛隊全体の人件費だけで防衛予算の45%を占める。そして、隊員を圧倒的に多く抱えるのが陸自(15.5万人)であり、海自(4.2万人)、空自(4.6万人)を大きく引き離している。他方、陸海空の予算比は概ね4:3:3でしかなく、このことから陸自は予算の大半が人件費であることが分かる。装備の維持費等を差し引くと、ますます装備の調達予算がないのが現状である。島国である日本にとっての現在の陸上自衛隊の存在は「潜在防衛力」であり、「確固たる陸上部隊が存在すること」による「上陸侵攻の抑止」を第一の任務としている。また災害派遣など人海戦術が必要な任務では、大量動員が可能な陸自の普通科が主力となる。
防衛任務のため、正面装備として戦車・
装甲車などの陸上装備、
ヘリコプターなどの航空機を保有しており、これらの装備は毎年8月に実施・一般公開される富士総合火力演習や各地の
駐屯地祭などで公開されている。
航空機は柔軟な運用が可能な
ヘリコプターが中心であるが、連絡偵察機として固定翼機も少数配備している。大型機を有していないため、長距離の移動や大量の物資輸送などは航空自衛隊の支援を必要とする。陸上自衛隊は海空のような
航空学生制度を持たず、入隊後に適正者を選抜する
陸曹航空操縦学生を実施している。
水上・水中装備として隠密性に優れたゴムボートや水中スクーターを配備しているが輸送艦や強襲揚陸艦はないため、長距離の海上輸送や大規模な上陸作戦では海上自衛隊の支援を必要とする。
最近では、南西諸島などの離島への侵攻に対する「上陸侵攻の抑止」任務が重要性を増しつつある。また、国内に潜伏する工作員による
ゲリラ・
コマンド攻撃、あるいは
テロリズム等に対する抑止力として重視されつつある。日本が大規模テロや特殊部隊による攻撃などを受けた場合、防衛出動または治安・警護出動の命により陸上自衛隊が最優先で防護する「
重要防護施設が全国に135箇所指定されており、各方面隊に担当施設が割り振られている。
なお、「
対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」により、2003年(平成15年)2月8日までに、訓練用など一部を除く全ての対人地雷の廃棄を完了した。また、2008年(平成20年)12月には
クラスター爆弾禁止条約に署名したことで、保有する
クラスター爆弾を新型爆弾の調達中止も含め全廃する。
災害派遣・民生協力
陸上自衛隊は、主に大規模災害に際し、救援活動に派遣される。
自衛隊法において主たる任務目的とはされていないが、世界有数の災害発生国である日本で半世紀にわたる災害派遣を経験し、多くの有事対処を行ってきた。
地震、台風、水害、雪害、火山活動など多種多様な災害に出動している。2004年の
新潟県中越地震では、孤立集落から多くの被災者を
ヘリコプターで救出したほか、
新潟スタジアム前に
野外炊具を設置し、毎食多数の被災者に食事を提供した。被災国から出動要請を受ける機会も増えており、
スマトラ島沖地震や
パキスタン地震の際にも緊急出動している。
災害出動以外にも副次的な業務として、各種
マラソン大会や
さっぽろ雪まつりなどの「民生協力」にも力を入れている。また、害獣駆除に
猟友会などと共に協力することもある。
海外派遣(詳細は「
自衛隊海外派遣」を参照)
国連平和維持活動や紛争復興、上記のような災害援助のために日本国外に派遣される事がある。
PKO協力法等によって
自衛隊の海外派遣は一般的な任務となり、また、
国際連合要請以外にも時事立法による派遣が恒常化しつつある。陸上部隊として海外派遣の中心を担う事とされている。
海上自衛隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
海上自衛隊(
英:
Japan Maritime Self-Defense Force、略称:
JMSDF)は、
日本の
行政機関のひとつ。
自衛隊のうちの海上部門にあたる
防衛省の
特別の機関の総称である
。
日本語略称は、海自
。諸外国からは、
Japanese Navy(日本
海軍の意)に相当する語で表現されることがある
規模と能力
2020年(
令和2年)3月末現在、主たる戦力として
護衛艦48隻(合計基準
排水量約26万6,000トン)、
通常動力型潜水艦20隻(合計基準排水量約5万7,000トン)、
機雷戦艦艇24隻(合計基準排水量約2万3,000トン)、
哨戒艦艇6隻(合計基準排水量約1,000トン)、
輸送艦艇11隻(合計基準排水量約2万8,000トン)、補助艦艇29隻(合計基準排水量約12万8,000トン)、航空機は、
固定翼哨戒機74機(
P-1 24機、
P-3C 50機)、
電子戦データ収集機(EP-3 5機)
、画像データ収集機(OP-3C 5機)、
哨戒ヘリコプター81機(
SH-60J 18機、
SH-60K 63機)、掃海・輸送ヘリコプター(
MCH-101 10機)等を保有する。人員は、定員45,356人(現員42,850人 充足率94.5%)である。
令和2年度(2020度)の予算額は
約1兆1589億円基地の数は約31である。
海上自衛隊の部隊をフォースユーザー(事態対処責任者)として運用する中核となるのは
自衛艦隊であり、艦艇約100隻、航空機約230機が、フォースプロバイダー(部隊提供者・練度管理責任者)として練度管理などを担当する隷下部隊の「
護衛艦隊」「
航空集団」「
潜水艦隊」「
掃海隊群」「
艦隊情報群」「
海洋業務・対潜支援群」「
開発隊群」に所属している
。
護衛艦隊は、護衛艦8隻により編成される護衛隊群4個を中心とし、それに加え沿海防衛用として配備されている5個護衛隊及びそれらを支援する部隊により編成されている。これらの艦艇は
大湊基地(青森県)、
横須賀基地(神奈川県)、
舞鶴基地(京都府)、
呉基地(広島県)、
佐世保基地(長崎県)の5基地に配備されている。
潜水艦隊は、2個潜水隊群からなり、呉基地と横須賀基地の2基地に配備されている。潜水艦の行動は秘密性が高く、作戦行動中は戦争抑止力としても活動している。また、海上自衛隊の
対潜戦の訓練目標としても行動している。
掃海隊群は、
機雷掃海を任務とする。
太平洋戦争(
大東亜戦争)において日本周辺に日米両軍が敷設した機雷や、
不発弾(
爆弾・
砲弾)を戦後に多数処理して、航路啓開と船舶・人命の被害防止に努め、経験・技術の蓄積を得ている。掃海部隊が海上保安庁所属だった
朝鮮戦争時には
日本特別掃海隊として派遣され、
湾岸戦争後の
ペルシャ湾掃海とともに、アメリカ合衆国関係者からその力量を称えられた。また、
掃海艇部隊は掃海隊群以外にも各地方隊隷下に配備され、海中や海岸で発見される太平洋戦争や朝鮮戦争時に漂着・沈底した機雷や不発弾の処理を行っている。なお、掃海隊群は
2016年(平成28年)7月から
水陸両用作戦支援の任務も付与されている。
航空集団は、航空自衛隊とは個別に運用されている。主に
哨戒機により広大な日本周辺海域を哨戒しており、諸外国の潜水艦、艦艇の
領海侵犯、
排他的経済水域における日本国の主権の侵害行為に対して、護衛艦などと共に常時警戒体制を敷いている
[18]。固定翼哨戒機部隊として4個航空群が編成されており、
厚木航空基地(神奈川県)、
八戸航空基地(青森県)、
鹿屋航空基地(鹿児島県)、
那覇航空基地(沖縄県)に配備されている
[12]。また、回転翼哨戒機(
ヘリコプター)部隊は2個航空群が
館山航空基地(千葉県)、
大村航空基地(長崎県)に配備されており、護衛艦
艦載ヘリコプター部隊として活動している。
捜索救難に従事する部隊としては
飛行艇を
岩国航空基地に、
救難ヘリコプター部隊を各地に配備している。そのほか、航空掃海ヘリコプターや輸送機の部隊も属している。
冷戦終結以前は、太平洋戦争の教訓により、敵対勢力からの
通商破壊活動に対して脆弱な
海洋国家日本の弱点を補完するため、
対潜戦と
対機雷戦の戦術能力の向上を目指していた。
対潜戦の能力はアメリカに次ぐ世界第2位の規模と能力を持っており、また、活動面積に対する対機雷戦能力は世界最高水準にあるとされる。
海上自衛隊はその特徴の一つに航空海軍としての一面がある。艦載ヘリコプターと固定翼哨戒機からなる航空集団は航空部隊の中核となっており、自衛艦隊内におけるその人員比は航空集団が護衛艦隊に対し、常に過半数となる規模である。海上自衛隊は多数の
ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)を保有し、
ひゅうが型護衛艦、
いずも型護衛艦は外国の
ヘリコプター空母と同様な外見の
全通甲板を持つ。このように航空部隊が水上艦隊に対して優越した構成は、多数の空母と強襲揚陸艦を有する
アメリカ海軍と海上自衛隊だけに見られる特色である
。
1998年(平成10年)の
北朝鮮によるテポドン1号打ち上げを受け始まった日米共同研究を経て、
弾道ミサイル防衛(BMD)システムを導入した。日本の採用した多層防衛システムのうち、海上自衛隊は
イージスシステムを装備する
イージス艦にBMD対応能力を付加し、
RIM-161スタンダード・ミサイル3(SM-3)射程1200kmを利用する
イージス弾道ミサイル防衛システムを導入している。
任務
海上自衛隊では、
哨戒機、護衛艦、潜水艦を駆使して、年間24時間体制で、日本周辺海域の哨戒(パトロール)任務を実施している
[7]。哨戒任務で確認した目標は、
統合幕僚監部が毎日公表している。哨戒範囲は排他的経済水域と
防空識別圏を勘案して、海上自衛隊で独自に定めており、大湊基地、横須賀基地、佐世保基地、呉基地、舞鶴基地で区域を分担している。哨戒任務での捜索、監視の対象目標となるものは、他国の潜水艦や艦艇、海上プラント(
石油プラットフォームなど)等である。不審な艦艇等の目標を探知したならば、哨戒機を
スクランブル発進させ、また、艦艇を緊急出港し、継続的な監視体制に移行する。哨戒任務中も数々の訓練想定が隊員に付与されており、哨戒任務中の隊員は訓練と並行して、実目標の探知識別を行っている。哨戒任務で探知した情報は『
世界の艦船』『
朝雲新聞』『海上自衛新聞』などで公表されており、
ロシア、
中国の
情報収集艦および海洋調査船に対する監視任務は、ほぼ年間を通じて常続的に実施されている。日本周辺の
チョークポイント(
間宮海峡、
宗谷海峡、
津軽海峡、
対馬海峡、
南西諸島の
宮古海峡、
バシー海峡など)を通峡する諸外国の艦艇に対しては、特に厳重な監視体制を敷いている。通過した艦艇の種類や
艦隊の規模によっては、報道機関や国民に対して公表することもある。
海上自衛隊は自衛隊単独あるいは同盟国・友好国の海軍と共同で、
軍事演習を行う。時には、日本から遥かに離れた遠洋で行うこともある
。
日本周辺海域で行われる近隣諸国の軍事演習に対しては、海上自衛隊に継続的な監視任務が指令される。この場合、航空会社に対しては、
国土交通省から「
NOTAM」が出され、民間船舶に対しては、海上保安庁から「
航行警報」が出される。監視任務中の海自艦艇と航空機は、不測の事態に備えて高レベルの戦闘配備が下令されているといわれる。
2次的な対象目標として、
不審船や遭難船舶の捜索を海上保安庁と協力して行う。軍事的目標ではない不審船舶であれば、第一義的には海上保安庁の担当となるが、海上保安庁の対処能力を超える場合は
海上警備行動が発令され、海上自衛隊が対処することとなる
。
震度5弱以上の地震や大規模災害が発生したならば、哨戒機等が緊急発進する。
津波に対する長大な海岸線の警戒監視任務では、日本国内でもっとも有効なユニットである。
救難飛行隊は
US-2、
UH-60Jを使用して、
捜索救難(
航空救難)や患者輸送、海難事故救難のための
災害派遣に従事している。
2009年(平成21年)4月以降、
ソマリア沖の海賊対策において、航行する日本の
商船の護衛任務を行っている。(詳細は「
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣」を参照)
派遣当初は
海上警備行動及び
警察官職務執行法を準用していたが、同年7月24日以降
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に切り替えて活動を継続している。2010年代後半になると、海賊行為自体は減少の一途を辿り年数回程度となったため、漂流漁船の救援、一般漁民への啓蒙活動等も行うようになってきている。
中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を行うため、新たに編成する派遣情報収集活動水上部隊の護衛艦1隻及び海賊対処行動に従事する派遣海賊対処行動航空隊のP-3C2機により情報収集活動を実施することが決定し、活動海域は、
オマーン湾、
アラビア海北部及び
バブ・エル・マンデブ海峡東側の
アデン湾の三海域の
公海(沿岸国の排他的経済水域を含む。)とされた。(詳細は「
中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動」を参照)
この活動期間は
2020年1月20日から同年
12月26日である。ただし派遣情報収集活動水上部隊の編成日は
2020年2月2日とし、同日以降速やかに活動海域に進出することとされた
。
2020年2月2日、派遣情報収集活動水上部隊として護衛艦「
たかなみ」が横須賀を出港した。同艦は2月下旬に活動海域に到着し、日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集活動を開始する予定。
2020年
2月26日、護衛艦「たかなみ」がアラビア海北部で情報収集活動を開始。哨戒ヘリコプター2機を併用し活動を実施する。なお艦艇部隊は、対象海域のうちオマーン湾やアラビア海北部などの公海を活動担当とし、バブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾は、P-3C部隊が担当する。ホルムズ海峡では原則、活動を行わないとされている。また、「たかなみ」は4か月活動後次直護衛艦と交代予定と発表された
国内外の組織との関係・・・
海上保安庁との関係
海上保安庁は海上の安全および、治安の確保を図ることを任務とする
国土交通省(旧
運輸省)の機関(
外局)であり、主に
海難救助、
交通安全、
防災及び
環境保全、
治安維持が任務の内訳となるが、それ以外にも
海洋権益(
領海警備や
海洋調査)も任務としている。一方、国外の
艦艇に対応する任務は行政上別系統である
防衛省の
特別の機関である海上自衛隊が担当しており、
船舶に対する任務を海上保安庁が担う。海上自衛隊は
防衛大臣による
海上警備行動の発令によって初めて洋上の
警備行動が取れる。
海上保安庁は
第二次世界大戦敗戦後、
高等商船学校出身の
旧海軍予備士官が中心となり、
1948年(昭和23年)5月設立された。これに対し、海上自衛隊の前身・
海上警備隊は
海軍兵学校を卒業した旧海軍の正規
士官(
海軍将校)が中心となり海上保安庁内に
1952年(昭和27年)4月に設置された。
高等商船学校生は卒業時に海軍予備
少尉又は海軍予備
機関少尉に任官され、戦時に
召集されると
海防艦の艦長、特設艦艇の艦長・艇長、あるいはそれらの艦艇の機関長等として船団護衛、沿岸警備の第一線で活躍したほか、乗り組んでいた商船が船ごと軍に徴用されて危険海域の物資・兵員輸送業務に従事するなど、予備士官といえども海軍兵学校出身の正規士官に負けない働きをした。 しかし、優秀なエキスパートであっても予備士官は
将校とはされず、有事の際には指揮権継承の優先権を
軍令承行令に基いて、将校たる正規士官より下位とされた。
太平洋戦争(大東亜戦争)では高等商船学校出身者の戦死率が海軍兵学校出身者よりも高く、これが後に至るまで海上保安庁(高等商船学校出身者)と海上自衛隊(海軍兵学校出身者)の関係に禍根を残した。組織的な背景を詳らかにすれば、商船学校はピュアに高等船員を養成するのに対し、海軍兵学校はロジスティックスも含めた海軍の官僚組織員の養成学校という本質的な違いがある。
1999年(平成11年)に
能登半島沖不審船事件が発生し、事態が海上保安庁の能力を超えているとして海上自衛隊に初の
海上警備行動が発動された。この時の反省を受け事件後に、海上保安庁と海上自衛隊との間で
不審船対策についての「共同対処
マニュアル」が策定され、長らく続いてきた両者間の疎遠な関係を改善する切っ掛けとなり、情報連絡体制の強化や両機関合同の
訓練が行われるようになった。同時に海上警備行動発令下の
ROE(行動基準)、とりわけ武器の使用に関する隊員教育が行われるようになっている。海上警備行動は、「海上自衛官の制服を着た
海上保安官」としての行動であり、
警察官職務執行法に準じた行動が求められるためである。
ただし、
自衛隊法第80条には、「
内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」(第1項)、「内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。」(第2項)との規定があり、有事の際には海上保安庁の指揮権を一時的に
防衛大臣に委ねることができる旨を定めている。
しかし、自衛隊法第80条に基づく海上自衛隊艦艇と海上保安庁船舶の統一運用は、指揮命令系統がまったく別であること、これを調整する諸規定が定められていないこと、船名艦名で同一のものが少なからず存在すること等から、不十分な状態にある。
また、
海上保安庁法第25条は「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と海上保安庁を非軍事組織として強く定義している。この点が、
準軍事組織である
コーストガード(
アメリカ沿岸警備隊など)との大きな違いである。
海上保安庁では固定翼の練習機を配備していないため、操縦士の初等教育は海上自衛隊に委託されている。
日米同盟
1960年(昭和35年)、国内での多くの反対を受けつつも成立した
日米安保(新安保)体制は、成立後
冷戦下における
ソ連の脅威に対して抑止力として機能し、
同国の崩壊により結果として冷戦は日米を含む
資本主義(
自由民主主義)陣営の勝利に終わった。この間、日米両国は、
1978年(昭和53年)、日本有事を想定したガイドラインを制定。冷戦後においても、湾岸戦争に引き続く、
ペルシャ湾への掃海部隊の派遣、新ガイドライン、
周辺事態法、
平和安全法制等、日米同盟関係は段階的に発展を続けている。
海上自衛隊も、
日本国憲法第9条との整合性という問題を抱えつつも、対潜水艦作戦、常続的監視、弾道ミサイル防衛能力等を生かし、また、
統合運用による進展も経て、
北朝鮮のミサイル対処など、日本の周辺地域で想定される有事に、限定的ながらも日米相互に補完する態勢を構築してきた。1996年(平成8年)の共同声明では同盟の意義を「
アジア太平洋地域の平和と繁栄」と再定義をして現在に至っている。
また、
2001年(平成13年)
9月11日の米国
同時多発テロ以降、日本はこれまでの国際環境の変化に応じて、
自衛隊インド洋派遣、
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣等、国際貢献に対して積極的な取り組みを実施している。日米同盟はこれらの国際的活動においても、日本の外交的側面、または自衛隊活動の運用、情報、ロジスティック面等について活動を支えている。今日の日米同盟は、このように「
日本の防衛」「
地域の安定」「
国際社会における外交・安全保障施策の基盤」という、主に3つの側面においてその機能を有する。
アメリカ海軍との共同訓練
太平洋戦争において、
大日本帝国海軍は
アメリカ海軍との激戦でほぼ壊滅し、組織としても解体された。戦後は機雷処理と東西冷戦の激化により、日本はアメリカを主体とする
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の理解を得て、アメリカ海軍から艦艇を貸与・供与されて(
タコマ級フリゲート→
くす型護衛艦など)、海自の前身である
海上警備隊、
警備隊 (保安庁)を設置した。以降、海上自衛隊と
アメリカ海軍とは良好な関係にあり、
陸自・
空自と比較して、自衛隊の3軍種の中でも極めて日米の相互運用性が高い。日米共同の対潜特別訓練は
1958年(昭和33年)に始まった。また、米国派遣訓練は
1963年(昭和38年)に潜水艦派遣が行われたのが最初である。さらに、
1980年(昭和55年)以降は
環太平洋合同演習にも参加している。
国際協力
海外派遣
湾岸戦争後の
自衛隊ペルシャ湾派遣に始まり、
自然災害や
PKO派遣等による海外派遣の輸送の要として活動している。
米軍のアフガニスタン攻撃の際は、海上での米軍支援のため
インド洋に自衛隊の大型補給艦を派遣した(
自衛隊インド洋派遣参照)
また、2009年(平成21年)より、
ソマリア沖アデン湾にて
ジブチ共和国を活動拠点としたソマリア沖の
海賊対処活動 (
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣参照)を実施している。
防衛交流
・海上自衛隊は、各国海軍との防衛交流を積極的に推進している。
・
1980年(昭和55年)以降は、米海軍主催で
ハワイ付近で実施されている多国軍事演習である
環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加している。
・海上自衛隊が日本海域で実施する
観艦式に合わせて外国艦艇が来航するほか
[33]、外国の観艦式に艦艇を派遣する。
ロシア海軍300周年記念観艦式に参加するため、
1996年(平成8年)7月には71年振りに海上自衛隊の艦船が
ウラジオストク港へ派遣された。また、これに対して、
ロシア側も
1997年(平成9年)6月に103年振りにロシア軍艦「
ウラジーミル・ビノグラードフ」が
東京港に来航した。
・
2006年(平成18年)
10月3日から
5日まで、第6回アジア太平洋潜水艦会議(APSC2006)を初めて海上自衛隊が主催した。この会議には、日、
豪、
加、
中、
コロンビア、
仏、
印、
インドネシア、
マレーシア、
パキスタン、
韓、露、
シンガポール、
タイ、
英、米の16ヶ国海軍が参加した。同会議は2001年(平成13年)から毎年開催されている。
・こうした交流は政治問題の影響を受けることもある。韓国は
2018年10月11日に
済州国際観艦式に招待した海上自衛隊に、
自衛艦旗(
旭日旗)を降ろすよう要求。防衛省はこれを拒否して、10月5日に参加中止を発表した
航空隊
航空自衛隊とは別に、
海軍航空隊に相当する
航空集団が存在し、旧海軍の
海軍飛行予科練習生(予科練)に相当する
航空学生により
操縦士と
戦術航空士を独自に養成している。海自の航空学生は冬制服に海軍飛行予科練習生と同じ「紺色の詰襟に七つボタン」、夏制服に同じデザインで白色の制服を採用している。
旧海軍航空隊では
旧陸軍航空部隊や
航空母艦とは別に、多数の陸上基地と陸上航空機を運用しており、海上自衛隊は航空基地の一部を引き継いでいる。海上自衛隊の航空集団は固定翼及び回転翼の
哨戒機による防衛警備、警戒監視、災害派遣、航空救難、民生協力等を主な任務としている。イギリス軍では陸上基地の固定翼哨戒機を空軍が運用しており、第二次世界大戦後に空軍を創設した英連邦諸国でもこれに倣うことが多いが、海上自衛隊やアメリカ海軍では独自運用している。
30大綱及び31中期防により、
いずも型護衛艦の事実上の空母への改修が決定しているが、艦載機である
F-35B(42機)は航空自衛隊が運用する。
導入している機種は哨戒機・救難機・輸送機・練習機の他、護衛艦の訓練支援のために標的曳航等を行う
訓練支援機がある。ほか、捜索救難専用の飛行艇を配備している。操縦士は
機長の資格を取得し最初のフライトを終えると、基地の隊員からバケツで水をかけられる伝統行事がある
航空自衛隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
航空自衛隊(
英:
Japan Air Self-Defense Force、略称:
JASDF)は、
日本の
行政機関のひとつ。
自衛隊のうちの航空部門にあたる
防衛省の
特別の機関の総称である。
日本語略称は、
空自(くうじ)。諸外国からは、
Japanese Air Force(日本
空軍の意)に相当する語で表現されることがある。
概要
海上幕僚監部並びに
統合幕僚長および
海上幕僚長の監督を受ける部隊および機関からなる。海上幕僚長は最上級者として
海上幕僚監部を統括する。各部隊および各機関は
防衛省の
特別の機関である。他国からは
海軍とみなされている
。
日本の
平和と
独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し日本を防衛することを主たる任務とする。必要に応じ、公共の秩序の維持に当る。
日本の
領海や
排他的経済水域(
接続水域を含む)などにおいて平素から警戒監視、情報収集、各種訓練を行い、有事において
海上交通の安全確保(
シーレーン防衛)や周辺海域の防衛に対応する。また、ソマリア沖で、日本商船(外国船も可能)の護衛任務も行っている。
平時における
警察活動は後述するように他国の
沿岸警備隊に相当する
海上保安庁が担当している
規模と能力
2020年(
令和2年)3月末現在、主たる戦力として
護衛艦48隻(合計基準
排水量約26万6,000トン)、
通常動力型潜水艦20隻(合計基準排水量約5万7,000トン)、
機雷戦艦艇24隻(合計基準排水量約2万3,000トン)、
哨戒艦艇6隻(合計基準排水量約1,000トン)、
輸送艦艇11隻(合計基準排水量約2万8,000トン)、補助艦艇29隻(合計基準排水量約12万8,000トン)、航空機は、
固定翼哨戒機74機(
P-1 24機、
P-3C 50機)、
電子戦データ収集機(EP-3 5機)、画像データ収集機(OP-3C 5機)、
哨戒ヘリコプター81機(
SH-60J 18機、
SH-60K 63機)、掃海・輸送ヘリコプター(
MCH-101 10機)等を保有する。人員は、定員45,356人(現員42,850人 充足率94.5%)である。令和2年度(2020度)の予算額は約1兆1589億円
基地の数は約31である。
海上自衛隊の部隊をフォースユーザー(事態対処責任者)として運用する中核となるのは
自衛艦隊であり、艦艇約100隻、航空機約230機が、フォースプロバイダー(部隊提供者・練度管理責任者)として練度管理などを担当する隷下部隊の「
護衛艦隊」「
航空集団」「
潜水艦隊」「
掃海隊群」「
艦隊情報群」「
海洋業務・対潜支援群」「
開発隊群」に所属している
。
護衛艦隊は、護衛艦8隻により編成される護衛隊群4個を中心とし、それに加え沿海防衛用として配備されている5個護衛隊及びそれらを支援する部隊により編成されている。これらの艦艇は
大湊基地(青森県)、
横須賀基地(神奈川県)、
舞鶴基地(京都府)、
呉基地(広島県)、
佐世保基地(長崎県)の5基地に配備されている。
潜水艦隊は、2個潜水隊群からなり、呉基地と横須賀基地の2基地に配備されている。潜水艦の行動は秘密性が高く、作戦行動中は戦争抑止力としても活動している。また、海上自衛隊の
対潜戦の訓練目標としても行動している。
掃海隊群は、
機雷掃海を任務とする。
太平洋戦争(
大東亜戦争)において日本周辺に日米両軍が敷設した機雷や、
不発弾(
爆弾・
砲弾)を戦後に多数処理して、航路啓開と船舶・人命の被害防止に努め、経験・技術の蓄積を得ている。掃海部隊が海上保安庁所属だった
朝鮮戦争時には
日本特別掃海隊として派遣され、
湾岸戦争後の
ペルシャ湾掃海とともに、アメリカ合衆国関係者からその力量を称えられた
[17]。また、
掃海艇部隊は掃海隊群以外にも各地方隊隷下に配備され、海中や海岸で発見される太平洋戦争や朝鮮戦争時に漂着・沈底した機雷や不発弾の処理を行っている。なお、掃海隊群は
2016年(平成28年)7月から
水陸両用作戦支援の任務も付与されている。
航空集団は、航空自衛隊とは個別に運用されている。主に
哨戒機により広大な日本周辺海域を哨戒しており、諸外国の潜水艦、艦艇の
領海侵犯、
排他的経済水域における日本国の主権の侵害行為に対して、護衛艦などと共に常時警戒体制を敷いている
[18]。固定翼哨戒機部隊として4個航空群が編成されており、
厚木航空基地(神奈川県)、
八戸航空基地(青森県)、
鹿屋航空基地(鹿児島県)、
那覇航空基地(沖縄県)に配備されている。また、回転翼哨戒機(
ヘリコプター)部隊は2個航空群が
館山航空基地(千葉県)、
大村航空基地(長崎県)に配備されており、護衛艦
艦載ヘリコプター部隊として活動している。
捜索救難に従事する部隊としては
飛行艇を
岩国航空基地に、
救難ヘリコプター部隊を各地に配備している。そのほか、航空掃海ヘリコプターや輸送機の部隊も属している。
冷戦終結以前は、太平洋戦争の教訓により、敵対勢力からの
通商破壊活動に対して脆弱な
海洋国家日本の弱点を補完するため、
対潜戦と
対機雷戦の戦術能力の向上を目指していた。対潜戦の能力は
アメリカに次ぐ世界第2位の規模と能力を持っており、また、活動面積に対する対機雷戦能力は世界最高水準にあるとされる。
海上自衛隊はその特徴の一つに
航空海軍としての一面がある。艦載ヘリコプターと固定翼哨戒機からなる航空集団は航空部隊の中核となっており、自衛艦隊内におけるその人員比は航空集団が護衛艦隊に対し、常に過半数となる規模である。海上自衛隊は多数の
ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)を保有し、
ひゅうが型護衛艦、
いずも型護衛艦は外国の
ヘリコプター空母と同様な外見の
全通甲板を持つ。このように航空部隊が水上艦隊に対して優越した構成は、多数の空母と強襲揚陸艦を有する
アメリカ海軍と海上自衛隊だけに見られる特色である。
1998年(平成10年)の
北朝鮮によるテポドン1号打ち上げを受け始まった日米共同研究を経て、
弾道ミサイル防衛(BMD)システムを導入した。日本の採用した多層防衛システムのうち、海上自衛隊は
イージスシステムを装備する
イージス艦にBMD対応能力を付加し、
RIM-161スタンダード・ミサイル3(SM-3)射程1200kmを利用する
イージス弾道ミサイル防衛システムを導入している。
任務
海上自衛隊では、
哨戒機、護衛艦、潜水艦を駆使して、年間24時間体制で、日本周辺海域の哨戒(パトロール)任務を実施している。哨戒任務で確認した目標は、
統合幕僚監部が毎日公表
している。哨戒範囲は排他的経済水域と
防空識別圏を勘案して、海上自衛隊で独自に定めており、大湊基地、横須賀基地、佐世保基地、呉基地、舞鶴基地で区域を分担している。哨戒任務での捜索、監視の対象目標となるものは、他国の潜水艦や艦艇、海上プラント(
石油プラットフォームなど)等である。不審な艦艇等の目標を探知したならば、哨戒機を
スクランブル発進させ、また、艦艇を緊急出港し、継続的な監視体制に移行する。哨戒任務中も数々の訓練想定が隊員に付与されており、哨戒任務中の隊員は訓練と並行して、実目標の探知識別を行っている。哨戒任務で探知した情報は『
世界の艦船』『
朝雲新聞』『海上自衛新聞』などで公表されており、
ロシア、
中国の
情報収集艦および海洋調査船に対する監視任務は、ほぼ年間を通じて常続的に実施されている。日本周辺の
チョークポイント(
間宮海峡、
宗谷海峡、
津軽海峡、
対馬海峡、
南西諸島の
宮古海峡、
バシー海峡など)を通峡する諸外国の艦艇に対しては、特に厳重な監視体制を敷いている。通過した艦艇の種類や
艦隊の規模によっては、報道機関や国民に対して公表することもある
。
海上自衛隊は自衛隊単独あるいは同盟国・友好国の海軍と共同で、
軍事演習を行う。時には、日本から遥かに離れた遠洋で行うこともある。
日本周辺海域で行われる近隣諸国の軍事演習に対しては、海上自衛隊に継続的な監視任務が指令される。この場合、航空会社に対しては、
国土交通省から「
NOTAM」が出され、民間船舶に対しては、海上保安庁から「
航行警報」が出される。監視任務中の海自艦艇と航空機は、不測の事態に備えて高レベルの戦闘配備が下令されているといわれる。
2次的な対象目標として、
不審船や遭難船舶の捜索を海上保安庁と協力して行う。軍事的目標ではない不審船舶であれば、第一義的には海上保安庁の担当となるが、海上保安庁の対処能力を超える場合は
海上警備行動が発令され、海上自衛隊が対処することとなる。
震度5弱以上の地震や大規模災害が発生したならば、哨戒機等が緊急発進する。
津波に対する長大な海岸線の警戒監視任務では、日本国内でもっとも有効なユニットである。
救難飛行隊は
US-2、
UH-60Jを使用して、
捜索救難(
航空救難)や患者輸送、海難事故救難のための
災害派遣に従事している。
2009年(平成21年)4月以降、
ソマリア沖の海賊対策において、航行する日本の
商船の護衛任務を行っている。(詳細は「
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣」を参照)
派遣当初は
海上警備行動及び
警察官職務執行法を準用していたが、同年7月24日以降
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に切り替えて活動を継続している。2010年代後半になると、海賊行為自体は減少の一途を辿り年数回程度となったため、漂流漁船の救援、一般漁民への啓蒙活動等も行うようになってきている。
中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動を行うため、新たに編成する派遣情報収集活動水上部隊の護衛艦1隻及び海賊対処行動に従事する派遣海賊対処行動航空隊のP-3C2機により情報収集活動を実施することが決定し、活動海域は、
オマーン湾、
アラビア海北部及び
バブ・エル・マンデブ海峡東側の
アデン湾の三海域の
公海(沿岸国の排他的経済水域を含む。)とされた。(詳細は「
中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動」を参照)
この活動期間は
2020年1月20日から同年
12月26日である。ただし派遣情報収集活動水上部隊の編成日は
2020年2月2日とし、同日以降速やかに活動海域に進出することとされた。
2020年2月2日、派遣情報収集活動水上部隊として護衛艦「
たかなみ」が横須賀を出港した。同艦は2月下旬に活動海域に到着し、日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集活動を開始する予定
。
2020年
2月26日、護衛艦「たかなみ」がアラビア海北部で情報収集活動を開始。哨戒ヘリコプター2機を併用し活動を実施する。なお艦艇部隊は、対象海域のうちオマーン湾やアラビア海北部などの公海を活動担当とし、バブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾は、P-3C部隊が担当する。ホルムズ海峡では原則、活動を行わないとされている。また、「たかなみ」は4か月活動後次直護衛艦と交代予定と発表された