日本と中国-1


2024.05.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240511-LPSKXZEVARJQVKI2RLMP3KNNBU/
在留外国人の4人に1人が中国人 天安門事件で「特別運用」、近年は制限なしの永住者急増-「移民」と日本人の平成史④

  わが国に在留する外国人約341万人のうち、中国人は約82万人で「最大勢力」だ。4人に1人の割合になる。かつては密航者ら不法滞在者による「中国人犯罪」が社会問題化したが、近年は農村出身の技能実習生からタワーマンションに暮らす富裕層まで多様化。永住者が増える「移民化」も進んでいる。

密航中バナナで窒息死
  2001(平成13)年暮れ、大阪南港。貨物船から降ろされたコンテナの扉を警察官が開けると、中国人の男女22人が潜んでいた。「福建省からきた。金を稼ぎにきた」。内部は床一面に毛布が敷かれ、隅には排便用の大型バケツが2個。ジュースの空き缶などが散乱し、食べ物が腐ったような異臭がしていた。
  集団密航は1990年ごろ始まり、摘発のピークは97年の73件1360人大半は中国人で、密航請負組織「蛇頭」の悪名もとどろいた
  入管OBは「件数でいえば偽造旅券を使って航空機で来る場合が大半で、漁船やコンテナの密航は少なかった。ただ、彼らは命がけで、気の毒と思えるケースもあった」と振り返る。
  OBによると、コンテナ内が高温になり脱水症状で死亡したケースがあったほか、積み荷のバナナが発酵して炭酸ガスが発生、内部の酸素濃度が低下し窒息死した密航者もいたという。
改革開放で留学熱
  中国人の来日ラッシュが始まったきっかけは80年代の日中両国の政策変更だった。日本政府は83年、「留学生10万人計画」を打ちだし、留学生や、日本語学校で学ぶ「就学生」の受け入れを本格化した。中国では改革開放政策が始まり、海外熱が高まった。
  就学生や留学生には週20時間(現在は28時間)までのアルバイトが認められたため、「日本語学校へ入れば日本で働ける」と日本語学校ブームが訪れた
  一方で、バブル景気が最高潮を迎えた89年、わが国に突然、「ボートピープル」と呼ばれる難民船も漂着し始めた。当初はベトナム難民と考えられたが、就学生として来日していた中国人女性から「ボートピープルの中に夫がいる」との申し出があり、入管が調査。漂着した約2800人のほぼ全員がベトナム人ではなく「中国人難民」と判明した。
  同じ89年、中国では民主化を求める学生らのデモ隊に軍が発砲、多数の死傷者を出した天安門事件が起きた。現在は日本国籍を取得した評論家の石平さん(62)はその前年、北京大学を卒業後に日本へ留学しており、事件に怒りを感じて祖国と決別した。
  就学生の中には、成績不良で帰国を求められていたにもかかわらず「事件」を理由に残留を主張する者も少なからずいた。入管当局は人道的配慮から、本国の混乱が収まるまで「短期滞在」や「特定活動」の在留資格で特別に在留を認める場合もあった。
  これはその後、難民認定申請者などに対し「本国の事情や情勢」を考慮して当面の間、特別に在留を認める運用の先駆けになったという。
石原慎太郎知事が浄化作戦
  90年代後半からは、不法入国した中国人らによる犯罪が多発、「世界一安全な国」といわれた日本の治安を脅かした。
  国内の不法滞在者数は、イラン人らが問題化した93年の約30万人をピークに減少に転じたが、一方で中国人は96年に最多の約4万人に及び、密航者が正業に就けず犯罪に手を染めるケースが目立った
  97年には集団密航罪が、99年には不法入国後の在留を処罰するための不法在留罪が新設された。東京都も2003年に石原慎太郎知事が「歌舞伎町浄化作戦」を始め、中国人らを多数摘発した。政府は翌04年から「不法滞在者5年半減計画」を実施、実際に5年間で約22万人から約11万人に減った
  現在は7万人程度で推移し、中国人の不法滞在者も数千人に減った
永住者は毎年1万8千人
  わが国が平成の「失われた30年」を過ごしていた間、中国は経済成長を遂げ2010年にGDP(国内総生産)で日本を追い抜いた一方で1人当たりGDPは世界74位。国内の格差社会化が進み、14億人の国民は所得上位1%が下位50%の全体よりも多くの富を持つといわれる。
  日本を目指す中国人も多様化した。農村部から技能実習生が来日する一方、留学生は親も豊かになり、本国からの仕送りでアルバイトをあまりしなくなった。中国人が多く住むことで知られる埼玉県川口市の芝園団地にはIT技術者ら中流層が集住。富裕層はタワーマンションで暮らし、子供をインターナショナルスクールへ通わせる。
  在留に期限も就労制限もない「永住者」の在留資格を取得する人も増えた永住者とは、原則10年間わが国に在留した外国人が申請により得られる
  在留するには、留学生が卒業後、日本で就職する際、主に与えられる「技術・人文知識・国際業務」という専門的な在留資格や、日本人と結婚した際の「配偶者ビザ」などが必要。
  ただ2017年からは、より専門的な「高度外国人材」に限っては、申請に必要な在留期間が特例で10年から最短1年に短縮され、中国人のIT技術者らが多く申請しているという。
  永住者は毎年約1万8千人のペースで増加。昨年末時点で約33万人、在日中国人の4割を占め、事実上の「移民化」が進む。永住者であっても彼らが外国籍であることは変わらない
  中国は2010年の国防動員法により、共産党政権が有事と認めた際、海外在住の中国人にも軍務への協力を義務づけている。
  昨年5月には、中国が在外中国人を監視しているなどとされる「海外警察拠点」が日本国内にもあるとみて、警視庁が東京・秋葉原のビルを捜索した。


2024.05.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240509-FOBVOZA3U5JXDB3WOGA35N2WJE/
中国外務省「出どころは承知していない」 海自護衛艦ドローン動画の拡散問題で

  【北京=三塚聖平】中国外務省の林剣(りん・けん)報道官9日の記者会見で、海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で空撮したとする動画が中国の動画投稿サイトなどで拡散した問題に対し「動画がどこから来たのか承知していない」と述べるにとどめた。

  日本の防衛省は同日、問題の動画が実際に撮影されたものである可能性が高いとの分析結果を公表した


2024.04.29-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240429-CTKLIZL5FVGARGXBNV3IIQF5UA/?outputType=theme_weekly-fuji
中国人民解放軍と自衛隊の圧倒的差 陸空軍6倍、海軍3倍、国防費は4.4倍 山下裕貴
(山下裕貴)

  現在、人民解放軍は「戦って勝てる軍隊を創造する」という習近平総書記(国家主席)の指令により、毎年巨額な軍事予算を投入して近代化を進めている。彼らは、1991年の湾岸戦争における米軍の指揮情報システムの活用、精密誘導兵器の使用などを見て、「自分たちが大きく遅れている」と判断した。近代的な指揮システムなど、情報化戦争を念頭においた作戦構想、編成・装備の研究に着手した

  習氏は2022年10月の共産党大会政治報告の中で、「早期に世界一流の軍隊を築き上げる」とし、27年の人民解放軍創設100周年までに「強大な戦略抑止力システムを構築する」と明言した。
  米インド太平洋軍の資料によれば、25年には西太平洋地域において同軍の戦力を人民解放軍が大きく凌駕(りょうが)するとしている。作戦戦闘ドクトリンについても侮りがたく、米陸軍の公刊資料「中国の戦術」の冒頭には、「人民解放軍は、2000年以上にわたる中国の軍事的伝統を受け継いでいる。中国は世界で最も有名な軍事戦略および哲学の書物を多く所有しており、中でも『孫子の兵法』は人民解放軍全体に大きな影響を与えている」との記述がある。米軍がどれほど人民解放軍を研究しているか、この一節を見ただけでも理解できる。

  一方、人民解放軍と対峙(たいじ)する可能性のある自衛隊の戦力はどうか中国の24年国防費は約34兆円であり、日本の防衛予算の4・4倍、国家予算の約30%に相当する。人民解放軍の陸軍兵力は約97万人であり陸上自衛隊の約6倍、戦車保有数は約5800両と約17倍である。海軍は3個艦隊総隻数425隻であり海上自衛隊141隻程度の3倍である。空軍の戦闘機は1629機で航空自衛隊290機の約6倍である。その差は開くばかりだった。
  危機感を抱いた日本政府は22年12月、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の戦略3文書を策定し、防衛力の強化に乗り出した。岸田首相は今年3月23日、防衛大学校卒業式において、「有事の発生を抑止するため、3文書に掲げた目標の実現に向け、政府を挙げて取り組んでいる」と強調した。
  しかし、私が聞き及んでいるところ、財政当局は「個々の装備の必要性や選定などにまで、厳しい意見を言っている」という。このような査定方式は、行政面の効率化ではよいが、「戦力設計」(=戦い方に基づく編成・装備)など高い専門性が要求される防衛分野に、官僚が容喙(ようかい=横から口出しすること)することになり適切ではない。
  政府の基本方針が末端の行政機関に徹底できなくて、日本有事に国家組織の総力が結集できるのか疑問である。

山下裕貴(やました・ひろたか)
  1956年、宮崎県生まれ。79年、陸上自衛隊入隊。自衛隊沖縄地方協力本部長、東部方面総監部幕僚長、第三師団長、陸上幕僚副長、中部方面総監などの要職を歴任。特殊作戦群の創設にも関わる。2015年、陸将で退官。現在、千葉科学大学客員教授。新聞やテレビ、インターネット番組などで安全保障について解説している。著書に『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』(写真、講談社+α新書)、『オペレーション雷撃』(文藝春秋)。


2024.04.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240409-RHW7H4WOLVPEJFRFLTN5YFZGSQ/
河野規制改革相「私は国家電網と何の関係もない」

  河野太郎規制改革担当相は9日の参院内閣委員会で、内閣府のタスクフォース(TF)元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入っていた問題をめぐり、「私は国家電網公司と何の関係もない」と述べた。国民民主党の竹詰仁参院議員の質問に答えた。

  河野氏は、大林氏が所属する公益財団法人「自然エネルギー財団」と中国の関係について「不当な影響力を行使される可能性があったか否か、調査をしっかり進めている」と重ねて表明した。竹詰氏が、TFの開催中止や解散を求めたことに対して「調査したうえで判断したい」と述べるにとどめた。
  大林氏をTFに起用した経緯に関しては「再生可能エネルギーの知見などを有する者として事務方から提案があり、私が了承して決定した」と説明した。


2024.04.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240408-BR453DCLLJO7LIMFBXXW4EAGFM/
中国影響下との指摘は「全く根拠のないもの」 大林ミカ氏所属の自然エネ財団が報告書

  内閣府のタスクフォース元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入っていた問題を巡り、大林氏が所属する公益財団法人「自然エネルギー財団」は8日までに、財団と中国側の関係に関する報告書を政府に提出し、概要版をサイトで公表した。「設立以降これまで、寄付金、助成金・補助金、業務委託費など名目のいかんにかかわらず、中国政府・企業からのものは含まれていない」と強調し、中国側の影響下にあるとの指摘に「全く根拠のないもの」と反論した。

  財団の運営資金として、設立者のソフトバンクグループ(SBG)会長兼社長、孫正義氏から平成23~令和4年度の間、計31億5千万円の寄付を受けたとして「中心的な財源になってきた」と説明。現在では民間助成金、業務委託収入、個人寄付金、科学研究費が財源の中心になっているとした。公認会計士による調査で、中国政府・企業由来の収入は確認されなかったともした。
  また、財団や国家電網が構想してきた国際送電線での電力取引については、自民党の茂木敏充幹事長や世耕弘成前参院幹事長らが経済産業相在任時にその意義を評価する国会答弁を行うなど、財団だけでなく政府内でも議論されていたと指摘した。国家電網とは東京電力や関西電力など、電力業界も交流を持っているとした。
  財団はサイトで「ことさらに当財団が一時期(国家電網と)交流があったことを取り上げ問題視するのは、ためにする批判と言わざるを得ない」と強調。大林氏らに「全く事実に基づかない中傷が繰り返され、脅迫まがいのメッセージが送りつけられるに至っている」と訴えた。


2024.04.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240401-OK3BL3MXVFNBDKYMXUGDBPMHLQ/
<主張>再エネ資料にロゴ 中国の影響力工作を疑え 河野担当相の責任は重大だ

  政府のエネルギー関連の会議に提出された資料に、中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていたことが発覚した。再生可能エネルギー導入に向けて規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(TF、特別作業班)に対し、委員を務めていた大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長が提出した資料の件である。
  大林氏が経済産業省や金融庁の有識者会議などのヒアリングに呼ばれた際や、国連、欧州連合(EU)の関連機関の会議への出席時に提出した資料にも同様のロゴがあった。

全省庁で実態を調べよ
  中国は共産党支配の全体主義国家で、日本から尖閣諸島(沖縄県石垣市)を奪おうと狙っている台湾問題では軍事力行使を辞さない姿勢を崩さず軍備を増強中で、日本にとって安全保障上の脅威だ。中国国営企業は共産党政権と一体である
  大林氏は「誤解を受け、不安にさせた」として委員を辞任した。財団主催の会合に中国国家電網公司が提出した資料を自身が改編した際にロゴが残ったと説明した。財団は「資料の内容は中国国家電網とは一切関係のないもの」と釈明した。
  鵜吞(うの)みにはできず、辞任で幕引きにはできない政策形成への中国の影響力工作はなかったのか。中国共産党政権の意向が浸透して日本の政策が歪(ゆが)むことは決してあってはならない
  調査すべきは再エネTFに限らない。岸田文雄政権はこれを機に、政策決定へ影響力工作が及んでいないか全省庁で点検に乗り出してもらいたい。 今回の問題で再エネTFは信頼できなくなった。解散または活動停止が必要で、従来の提言は棚上げしたらどうか
  所管閣僚である河野太郎規制改革担当相は問題が発覚した当初、X(旧ツイッター)に「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」と投稿した。ロゴ入りの点だけを問題視していたのか。内閣府規制改革推進室の山田正人参事官も「事務ミスかもしれない」と述べていた。国政担当者として視野が狭すぎる。中国による影響力工作をなぜ一番に懸念しなかったのか
  高市早苗経済安全保障担当相は当初から「エネルギー安全保障は、国民の生活や経済活動にも大きな影響を及ぼす安全保障の中核的な課題の一つだ。他国から干渉されるようなことがあってはならない」と指摘していた。斎藤健経済産業相も「当該団体(同財団)が特定企業の強い影響を受けているとの懸念が払拭されるまで、ヒアリングを控える」と語った。
   河野氏が会見で「自然エネルギー財団と中国の特定の企業の間にどんなつながりがあったのか調査を始めている。事実関係を調べた上で対処方針を決めたい」と表明したのは、問題への批判が高まってからだ。河野氏は閣僚として高市氏や斎藤氏を見習うべきである
ASG構想ありえない
  大林氏のTF委員起用について林芳正官房長官は「内閣府の事務方が提案した案を河野氏が了承した」と語った。人選に関わった河野氏と内閣府の責任は重い河野氏が外相当時「気候変動に関する有識者会合」では委員9人のうち3人が自然エネルギー財団のメンバーだった。河野氏は同財団との関係についても説明すべきだ。
  同財団は太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を相互に活用するため日本と中国、ロシア、インド、タイなどの送電網を連結するアジアスーパーグリッド(ASG)構想の実現を唱えている。中国国家電網公司の呼びかけで設立された国際的な送電網構築を目指す非営利団体にも参加していた
  ASG構想も国際的な送電網も専制国家の中露両国などに日本の電力供給を左右される余地を与えかねない。国家安全保障、エネルギー安保の両面から到底受け入れられない構想だ。日本国民の安全と国益を損なう構想を掲げるような財団のメンバーを政府の会議体の委員にすることは極めて危うい
  国民民主党の玉木雄一郎代表は、政府の審議会などの委員選定にも、経済安保上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」が必要との見解を示した。その通りである。


2024.03.31-産経新聞(週刊フジ)https://www.sankei.com/article/20240331-NIIWSWFJ75A57N7VIMXHRMTYBU/?outputType=theme_weekly-fuji
中国の電力支配、フィリピンの先例警戒 40%株式保有、送電止める危険 峯村健司

峯村健司氏緊急リポート
  再生可能エネルギーに関する規制見直しを検討する内閣府のタスクフォース(TF)に、中国の国営電力会社「国家電網公司」ロゴマークが入った資料が提出された問題が収まらない。エネルギー戦略は国家の存立に直結する最重要政策であり、「他国の干渉があってはならない」(高市早苗経済安保相)からだ。林芳正官房長官は28日の記者会見で「河野太郎規制改革担当相のもと、内閣府において中国政府から不当な影響を受けていなかったかなどの調査を行う」と語ったが、議会や第三者機関も調査すべきではないのか。キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、峯村健司氏は、国家電網公司がフィリピンの送電企業の40%の株式を保有し、同国議会が「安全保障上のリスク」を懸念した前例に迫った。
  再エネ導入に向けた規制の見直しを検討する内閣府のTFの資料の一部に、中国の「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていたことが明らかになった
  資料は、民間構成員である財団法人「自然エネルギー財団」事業局長、大林ミカ氏が提出したものだった。大林氏は27日の記者会見で民間構成員を辞任したと発表した。大林氏がTFに入った経緯について、林長官は28日の記者会見で「内閣府事務方が提案した案を、河野規制改革担当相が了承した」と説明した(=大林氏は27日の記者会見で、河野氏の推薦だったと説明)。
「パワーポイント」による事務ミス…内閣府の説明に疑問と矛盾
  問題発覚後の25日に記者会見した内閣府規制改革推進室の山田正人参事官によると、同財団が2016~19年にかけて開いたシンポジウムに中国企業の関係者が登壇した。その際の資料を大林氏が提供され、別の機会に編集ソフト「パワーポイント」を用いて引用した際、文書のテンプレートにロゴが残ったという

  山田氏は「内容に問題はなく、事務ミスかもしれない」と説明した。 この説明には早速、いくつかの矛盾や疑問が浮上している。
  同財団が翌26日、ホームページ上で発表した経緯説明では、大林氏は編集では「パワーポイント」ではなく、「キーノート(Keynote)」を使っていた。金融庁の有識者会議や経産省の小委員会に大林氏が提出した資料にも同じロゴが確認されている。内閣府の調査は不十分と言わざるを得ない。 そして、筆者が最も注目しているのが、中国政府における「国家電網公司」の役割である。
  02年に設立された中国最大の電力配送会社で、オーストラリアやブラジル、チリなどの発電・送電会社に積極的に出資をしている
40%株式保有、送電止める危険
  その中で「国家電網公司」が積極的に進出をしてきたのが、フィリピンだ。親中政策をとったアロヨ政権時代、フィリピン国家送電会社(NGCP)に40%出資し、09年から全国の発電所から配電施設までの送電を受託した。ところが、19年11月、議員向けの内部報告書で、「フィリピンの電力網が現在、中国政府の『完全な支配下』に置かれており、わが国の電力網に混乱を引き起こす能力を持っている」と警告されていることが発覚した。

  NGCPを監督する送電公社の責任者が議会の証言で、フィリピン人技術者が施設への立ち入りを制限されており、中国によって送電を止めることができる可能性があることを認めた
  中国が「国家の悲願」と位置付ける台湾併合に乗り出した場合、米国の同盟国でありバシー海峡を挟んで位置するフィリピンの存在は極めて重要だ。その際、中国がフィリピンの関与を阻止するために、全土を停電にする可能性はあるだろう。同じく、米国の同盟国であり米軍基地を抱える日本に対して、中国がフィリピンに対して実施したようなアプローチをするリスクを考慮するのは当然のことといえる。
  今回の問題を「事務的ミス」で片付けるべきではない、と筆者は考える。電力事業は22年5月に成立した経済安全保障推進法で「特定社会基盤事業」と指定されている。その所管官庁である内閣府は、地政学リスクも含めた徹底した原因究明をすべきだろう。

峯村健司(みねむら・けんじ)
  キヤノングローバル戦略研究所主任研究員北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。1974年、長野県生まれ。朝日新聞社の北京・ワシントン特派員を計9年間。ハーバード大学フェアバンクセンター中国研究所客員研究員などを歴任。「LINE個人情報管理問題のスクープ」で2021年度新聞協会賞受賞。中国軍の空母建造計画のスクープで「ボーン・上田国際記者記念賞」受賞。22年4月退社。著書・共著に『台湾有事と日本の危機 習近平の「新型統一戦争」シナリオ』(PHP新書)、『ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界』(幻冬舎新書)、監訳に『中国「軍事強国」への夢』(文春新書)など。


2024.03.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240331-7PKY4TIKKJAF3CH5AS7ORQI4JA/?outputType=theme_weekly-fuji
中国企業ロゴ 第三者のデータをぱくって資料にする人はそもそも専門家ではない 高橋洋一
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

  再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォース(特別作業班)で、民間構成員が提出した資料の一部に、中国の国営企業のロゴマークが入っていたことが問題になっている。 プレゼンテーションソフトの「パワーポイント」を使う人なら、「透かし」を入れることもあるだろう。自分で入れないなら、誰かのパワーポイント資料をもらってそれを流用したりすると「透かし」が入ることもある

  内閣府はX(旧ツイッター)の投稿で「(民間構成員が所属する)自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はない」とするが、匿名で背景情報を追加する機能「コミュニティノート」では「同団体には中国政府が強く関与している」とされている。
  筆者はXで「(いろいろな)関係が透けて見えるな」と投稿した。それに続けて「一般論として、第三者のデータをぱくってそのまま資料にする人は、専門家でないので、政府の審議会の委員にしてはいけない。それに加えてセキュリティクリアランスの観点からも内閣府はお粗末」とした。
  さらに、件の資料は削除されていたが、「【LIVE配信】第30回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」を見たので、「なんか右下にはあの企業のロゴもあるなあ。わかりやすいな」とも投稿した。役所の審議会などには筆者も呼ばれることがよくあるが、オンラインで「zoom」を使っているのは珍しい。
  さらに、「件の人(民間構成員)は、経産省や金融庁も呼んでいるので、霞が関審議会への浸透は相当なもの。政策決定の影響力を懸念するというより、審議会は隠れ蓑なので権威づけに呼ぶという政府そのものの姿勢が問題」と投稿した。
  この問題の背景には、財団がアジア各地の豊富な自然エネルギー資源を相互に活用しあう「アジア・スーパー・グリッド(ASG)」構想を推進し、ASG構想の世界版であるGEIDCOという国際送電ネットワーク構築を目指す団体に理事メンバーとして参加していたことがある。ASG構想は中国主導で、日本の安全保障にも大きく関わるものだ。
  この問題は、25日の参院予算委員会で日本維新の会の音喜多駿氏が取り上げ、民間構成員の任命経緯などを質問した。ロゴマークが入っていたことが問題なのではなく、中国企業との関係が問題だとの正論を述べていた。
  本国会では、同じ内閣府から経済安全保障分野におけるセキュリティー・クリアランス(適格性評価)制度の創設に向けた法案も提出されているが、同法案では、政府高官がチェック対象から抜けているとの指摘もある。
  さらに政府の審議会などに提出された資料が、中国企業の影響を受けていた恐れがあるとなると、中国の静かなる侵略(サイレント・インベージョン)がここまで来ているのかと驚かざるを得ない。政府全体として、安全保障体制の総点検が必要だろう。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


2023.03.31-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240331-5T7MZWOMOFBIPBEYYRTB3OG56U/?outputType=theme_weekly-fuji
K-1氏の国会答弁がひどすぎる 中国企業ロゴ問題、再エネ賦課金を廃止せよ 有本香

  本コラムは通算260回を迎えた。長年、読んでくださった皆さまに深く感謝申し上げるが、毎週木曜の寄稿は今回で最後となる。来週からは月曜の寄稿となることをお知らせし、今週の本題に入らせていただこう。

  再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(TF)で、中国国営企業のロゴマーク入りの資料が使われていた問題で、キーパーソンであるK-規制改革担当相の国会答弁がひど過ぎるとネット上で話題だ
  同会議をいわば牛耳り、問題の資料を持ち込んだ人物を自ら推薦しておきながら、K-1氏が国会での追及に「所管外」を連発し、答弁を避け続けたからである。
  しかし、この件、大手メディアの追及は鈍い。問題の本質は「ロゴマーク付き資料」ではなく、わが国のエネルギー政策への中国の浸透なのだが、その本質を論じることを避けている理由は近年、経産省の旗振りによって企業にも「再エネ転換」が迫られるなか、再エネ関連の広告出稿が増えていることにあろう

  筆者はかねてから、わが国の「再エネ偏重」に警鐘を鳴らしてきた。
  日本で今後、「再エネ」を進めることは、「百害あって一利なし」と断言してもいい。理由は5点。(1)山々を切り開いて太陽光パネルを敷き詰めるなどの環境破壊(2)天候などに左右されるため電力の不安定化を招く(3)電気代が上がる(4)太陽光パネルは中国産が大半で、その多くがウイグル人の強制労働による産物と世界では認定されている(5)インフラ事業であるにもかかわらず外資規制がない。
  多くの点で中国を利する「再エネ偏重」といって過言でないのだが、われわれがこうした警鐘を鳴らし続けても、政府や自治体の再エネプロパガンダはやまない。そんななか、昨夜、鹿児島県伊佐市のメガソーラー(大規模太陽光発電施設)で爆発・火災が発生した。消火に約3時間半を要し、消防隊員4人が負傷した。1件の事故の例をもって全体を語るのは悪手になりかねないことを承知のうえで、あえていま一度、太陽光発電、ことにメガソーラーのリスクを強調したい。
  総務省行政評価局は26日、全国の自治体の4割超が設備導入に起因するトラブルを抱えていたとする初の調査結果を公表した。調査は、太陽光発電施設の設置件数が多い上位24都道府県の全市町村を対象に実施した。回答が得られた861市町村のうち41・2%にあたる355市町村が「トラブルがあった」と回答した。そのうち、何と16・6%が「未解決のトラブルがある」とも回答している。「解決しているか不明」と答えた自治体も11・8%に上ったという。
  主なトラブルは、次の4点。(1)工事中の敷地から土砂や泥水が発生し河川に流入(2)事業者の住民説明が不十分(3)工事の施工内容が許可条件と相違(4)働後に事業者と連絡がつかない
  これまでに筆者が取材したメガソーラーでも、付近の住民の方々から同様の悩みが聞かれた。中には4点のすべてを満たす、「悪徳業者」の例も見た。しかも発電事業者のかなりの割合が外国系企業である。
  調査結果を受けて、総務省は違反状態を放置した発電事業者への交付金の留保など必要な措置を取るようだ経産省に改善を勧告したというが、そんな生ぬるい策で十分なはずがない。ちなみに、日本保守党は昨年の結党時から「再エネ賦課金の廃止」を重点政策の1つとして明記している。
  国会では、国民民主党が「再エネ賦課金の徴収を停止する法案」を提出したそうだが、賦課金廃止まで頑張っていただけるなら後押ししたい
  日本を貧しく弱くし、敵対的な隣国を富強させるコストを、日本国民が負担するという欺瞞(ぎまん)を一刻も早くやめさせなければならないそのためには「再エネ村」の食い扶持を止めるしかないのである

有本香(ありもと・かおり)
  ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。


2024.03.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240327-JRNRBLAKBRLJ5LZAOSH4SOGWPQ/
「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり

  再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(TF)に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入った資料が提出された問題で、資料を提出した公益財団法人「自然エネルギー財団」の大林ミカ事業局長と大野輝之常務理事が27日、都内で記者会見した。記者会見の主なやりとりは以下の通り。

  大林氏 ロゴが入っていたことにより、それが気がつかなかったことによって多くの皆さまに大きな懸念を抱かせる結果となって大変申し訳なく思っており、おわびを申し上げたい。大きな誤解を受け、皆さんを不安にさせたのは当然だ。本当に慙愧(ざんき)に耐えないし、あまりにも不注意だったと反省している。
  ただし、今回の件は、他の国の影響下にあるとか、国のエネルギー政策をゆがめているとか、そういったことは一切無縁のことだ。他国の政府や企業のデータを引用することは発表には常にあることで、他の方もなさっていることだと思う。
  今回の件では総理、(規制改革担当の河野太郎)大臣、国会議員を含む多くの方々を混乱させてしまった。TF委員は一旦辞することととしたい。先ほど大臣とTF事務局には報告しており、大臣からは承認の返事を事務局経由でいただいた。
-中国電網公司と財団の関係は
  大野氏 財団と中国企業・政府の金銭的、資本的、人的関係はない。金銭の授受があったか(ないか)で言えば、中国の国家電網の方を財団のシンポジウムに招いたことがある。そのときに登壇料という形でお金を支払ったことはあろうかと思う。
-タスクフォース構成員に就任した経緯は
  大林氏 河野大臣から推薦があったという風に聞いている。
-経産省や金融庁の資料にもロゴがあった
  大野氏 内閣府に加えて、経済産業省と金融庁の資料にも出ていた。斎藤健経済産業相もいわれているが、なぜこうなったのか、中国企業との関係が明確になるまでは財団をヒアリング対象にしないという話だ。現在、3省庁から財団に対し、中国との関係について資料要求が来ている。誠実に対応したい。何も後ろ暗いことはないので丁寧に説明したい。
-河野氏とのやりとりは
  大林氏 月曜日(25日)に(海外出張から)戻ってきたときに大臣から連絡をいただき、今回の件について「いつもいろいろやっていただいてありがとうだけれども、つまびらかに経緯を説明してほしい」ということを言われた。今回の辞任に関しては大臣には相談せず、今日、皆さんにお話しする前にはTF事務局と大臣には話さないといけないということで、メールで連絡した。「大臣からは了承したという連絡があった」という風なメールが(事務局から)来た。
-辞任の理由は
  大林氏 発端は単純なミスだったが、社会的な影響が非常に大きく出るミスであったということから、国会で総理や大臣や議員の先生方に質問させるような事態にまで発展してしまった。本来の業務である政策の推進や、TFの運営に支障をきたすのではないかと懸念している。私はまた別の立場から自然エネルギーの政策を推進させていただく。今回の騒動に関しては大変申し訳ございませんでした、ということで辞任した。
-太陽光パネルのほとんどは中国に頼っている。中国国営電力会社から影響を受けているとか、中国を利するように誘導しているのではないかという懸念があがっている。全くないと言い切れるか
  大林氏 言い切れる。私どものスタンスとしては当然、日本の企業に頑張っていただきたいと思っているし、自然エネルギーも日本政府がしっかりと産業化していくことを望んでいる。
-財団にも疑惑の目が向けられている
  大野氏 われわれは昨日(説明の)プレスリリースを出したが、解明に時間がかかってしまった。その間に大量のツイッター(現X)などがあり、あまり事実に基づかないことも含め、財団が中国の意向で動いているのではないかというものが大量に流れた。いろんな懸念、疑いをもたれてしまったのは残念だ。私どもの政策提言が中国政府の意向を反映したものではなく、純粋に日本の脱炭素化、世界の脱炭素化、世界のエネルギー転換を目指したものだということを示していきたいと思う。それによって疑念を早期に払拭して、本来、われわれが果たすべき役割を果たしていきたい。
-国際的な送電網についてどう考えているか
  大林氏 私どもの自然エネルギー財団は国際送電網を推進しているが、財団だけでなく、日本でもかねて国際送電網を推進していた方がいる。日本創成会議も丸紅も提案を出しているし、世界全体を見渡すと、今回の国家電網だけではなく、韓国、モンゴル、ドイツなどのシンクタンク、事業者が提案している。
  日本は島国だから他と電線がつながっていないが、欧州では国同士が相互に自然エネルギーの電気を送りあい、相互依存しながら、それを1つの経済の発展の基盤として自然エネルギーを拡大していくということがある。日本が島国だからできないというが、例えば欧州でも英国が島国だし、他にもたくさんの島を抱えた国々がある。例えば英国は欧州連合(EU)を脱退したが、他の国と国際送電網を今も構築、強化していくことで自然エネルギーを促進している。アイルランドも島国だが、英国やフランス、オランダとつながりながら自然エネルギーを拡大している。
  2050年のカーボンニュートラルのことを考えたとき、日本は本当に2050年になっても東アジアの国々の中から孤立した国であるのかどうか。それは果たして日本にとって、あるいは他の国々にとって幸せなことなのかどうかということは、考える必要があると思う。
  大野氏 国際送電網という考え方は珍しいものではない。日本、韓国、豪州、ニュージーランド以外は、主要な国々は必ずどこかの国とつながっている。効率的にエネルギーの利用を進めるために必要だ。一方で、国際情勢の中で現在、ただちに日本と中国、ましてロシアと送電網を結ぶというのはほとんど現実には可能性はない。
-あくまで財団として、中国を含む国際送電網の必要性を訴えていくのか
  大野氏 今、それが重点ではない。それを中心にやっているつもりはない。
-財団は(国家電網が主導した)グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)には2016年3月から入っていた
  大野氏 そうだ。2016年3月ごろに立ち上がったが、国際送電にはいろいろな企業が関心をもっている。国際的な企業がたくさん参加していることも含め、国際送電の議論をする意義があるだろうということで参加した。
-今、国家電網との関係は直接的なものはないのか
  大野氏 2016年、2017年くらいにはかなり活発に検討も行ったし、シンポジウムに招いて話をいただくことがあった。2020年以降はほとんど関係がないという状況だ。実体的には、最初に(GEIDCOに)入っていたので、形式的に残っていたというのが実態に近いと思う。それが無用の誤解、疑惑を生んでいる。残るメリットはまったくないし、デメリットのほうが大きい。
-経産相が懸念払拭まではヒアリングに招かないと。影響は
  大野氏 仮にこのような状態が続くと非常に大きなダメージ、問題がある。私どもの財団は日本の中でエネルギー転換に関し、具体的な提案を脱炭素化という方向で出している唯一のシンクタンクだ。われわれが本来果たすべき役割は大きい。一刻も早く、疑問が解けるようにしたい。


2024.03.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240327-WRMKU4EIEFLBPA25ES2QMUTQKI/
内閣府TF入りは「河野太郎氏の推薦」辞任の大林ミカ氏、中国企業ロゴ問題で説明

  再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(TF)に中国の国営企業のロゴマークが入った資料が提出された問題で、資料を提出した公益財団法人「自然エネルギー財団」大林ミカ事業局長は27日の記者会見で、TFに入った経緯について、河野太郎規制改革担当相の推薦だと語った。
  大林氏は同日、TF民間構成員を辞任したと発表。大林氏は「あまりにも不注意だった。多くの方々を混乱させた」と陳謝。辞表は27日、TF事務局を通じて河野氏に提出、受理されたという。また、大林氏は資料にロゴが入ったのは事務的なミスだとして「他国の影響下にあるとか、国のエネルギー政策をゆがめているとかいったこととは一切無縁だ」と釈明した。

  過去に財団が開いたシンポジウムに参加した国家電網側から提供された資料を引用した際のミスで、ロゴだけが編集ソフトのテンプレート(ひな型)に残ったのが原因だと説明した。「他国の政府や企業のデータ引用は、発表には常にあることだ」とも語った。
  同席した財団の大野輝之常務理事は「中国の企業・政府と金銭的、資本的、人的関係はない」と語り、金銭授受はシンポの登壇料だけだと説明。政府から中国との関係について説明を求められており「誠実に対応したい」と語った。「財団の政策提言は中国政府の意向を反映したものではなく、純粋に日本や世界の脱炭素化を目指したものだ」と強調した。
  大野氏は、財団では現在、国際送電網の議論を活発には行っていないとして「直ちに日本と中国、ましてやロシアと送電網を結ぶのはほとんど現実の可能性はない」と述べた。大林氏は2050年に二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする日本政府の目標に言及して「2050年になっても東アジアで孤立した国であるのが、日本や他の国々にとって幸せなことかは考える必要がある」と語った。


2024.03.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240325-TLX5VBLGCRAVJGSCG3YOYTN35U/
中国企業ロゴ問題 内閣府「意図したものではない」原因究明を急ぐ考え、Xの指摘で判明
(規制改革推進室の記者会見要旨)(上)

  再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていた問題で、内閣府規制改革推進室の山田正人参事官は25日、東京都内で記者会見し、ロゴが入った経緯について説明した。山田氏は「意図したものではない」と強調し、原因究明を急ぐ考えを示した。山田氏の発言要旨と記者団との主なやり取りは以下の通り。

今は付き合いない
≪会見の冒頭、山田氏は経緯などについて説明した≫
  「内閣府『再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース』民間構成員の大林ミカ氏が勤務する公益財団法人『自然エネルギー財団』が2016~19年に開いた複数のシンポジウムで、国家電網公司の関係者が登壇。その際、資料のスライドを先方の許諾を得て、大林氏が引用したところ、普段使っているパワーポイントのテンプレートに当該の記載(=国家電網公司のロゴ)が残ってしまった」
  「20年に新型コロナウイルス禍が起き、そこから国家電網公司とは、自然エネルギー財団も大林氏も付き合いがなくなったと聞く」
  「20年11月に大林氏はタスクフォースの構成員に就任。これまで30回開催している。昨年12月の29回会合の準備で、大林氏に資料集をパワーポイントのスライドで内閣府に送ってもらい、一部スライドに透かしのロゴの記載があった」
  「内閣府がスライドを統合して編集した。ロゴの記載は入ったままだったが、(内閣府で使用している)基本ソフト(OS)『ウィンドウズ』では気が付けず、PDF化して公表した。昨年12月25日にホームページに当該ロゴが記載されている状態で資料をアップした。3月23日まで掲載されたままになっていた」
  「30回会合を3月22日に開き、それに向けた準備で参考資料集を、大林氏と相談しながら(作成した)。29回会合でのファイルをベースに編集し、スライドに反映されてしまった。22日に公表し、23日にX(旧ツイッター)で『一定のブラウザから見るとロゴの記載がある』『内閣府のHPの資料がウイルスに感染しているのではないか』などと指摘を受けた」
不正アクセスの疑いが指摘
  「30回と29回の資料について『不正アクセスの改竄(かいざん)があったのではないか』との指摘で一時的に資料を削除した。大林氏から掲載資料を差し替えたいとの要望があり差し替えた」
≪山田氏の説明の後、記者団との質疑が行われた≫
  ─大林氏が16~19年にパワーポイントのテンプレートに記載が残ってしまった経緯は・・・・・「スライドを借りて使い、それがパワーポイントのテンプレートに残ってしまったということだ。なぜ起こったのか。自然エネルギー財団に調査してもらっている」
  ─ミスなのか・・・・・「意図したものでは当然ない。恐らく、大林氏も透かしのロゴが含まれていることを認識していなかった」
 ─国家電網公司とは・・・・・「世界最大の電力会社で中国国営の送配電会社だ」
 ─自然エネルギー財団との関わりは・・・・・「財団は東アジアなどを送電線でつなごうという『アジアスーパーグリッド(ASG)構想』を持ち、それを議論する場が16年から19年に行われた。16年にシンポジウム、ほかにワークショップなども開かれたようだ。どの会議のどの資料を使ったのか教えてほしいと(自然エネルギー財団に)頼んでいる。現時点で特定できていない」
タスクフォースでASG構想議論ない
 ─過去30回のタスクフォースの会合で、ASG構想が議論された経緯は・・・・・「ない」
 ─ASG構想の実現を目指した非営利団体「グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)」は16年3月の設立時、(自然エネルギー財団を設立した)孫正義氏が副会長で、国家電網公司の当時会長が会長を務めていた
「現在、孫氏は副会長の座から降りている」
 ─大林氏が問題の資料の提供を国家電網公司側から受けた際のシンポジウムとは、GEIDCOの設立会合が該当するのか・・・・・「該当すると理解している。これ以外にも何回か財団が主催した会で登壇されたことはある」
 ─今後の原因究明体制は・・・・・「事実関係を究明しないことには実効的な再発防止策にはならない。事実関係を調べ、折に触れて明らかにしたい」
 ─経済産業省や金融庁でも同様の透かしがあったようだが・・・・・「大林氏から『同様の理由で起きているのではないか』と回答があった」


2024.03.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240324-6LOESLXGRZBS5K5HYSQGFSW2II/
内閣府の再エネタスクフォース資料に中国企業の透かし 河野太郎氏「チェック体制の不備」
(奥原慎平)

  再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料の一部に、中国企業の透かしが入っていたことが分かった内閣府規制改革推進室が23日、X(旧ツイッター)の公式アカウントで認めた

  資料は22日と昨年12月25日などに開かれた「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」で出されたもので、タスクフォースの民間構成員が提出した。中国の電力会社「国家電網公司」の企業名やロゴが確認できるという。
  推進室が確認したところ、この民間構成員が事務局を務める財団法人「自然エネルギー財団」(東京都港区)が過去に行ったシンポジウムで、財団の関係者が登壇した際の資料をタスクフォースで使ったところ、ロゴが残っていたという。
  推進室はXで「自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はないとのこと。内閣府でも確認を行う」と説明した。
  これを受け、河野太郎規制改革担当相は同日、Xで「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していく」と書き込んだ。
  国民民主党の玉木雄一郎代表は23日にXで、「わが国の再エネ政策が中国の影響が及んでいる疑惑であり、見過ごすことはできない。背景を徹底調査すべきだ」と投稿。「審議会などのメンバー選定にも、ある種の(経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る)セキュリティー・クリアランスが必要ではないか」と指摘した。
  一連の問題は言論サイトを運営するアゴラ研究所の池田信夫所長らが指摘していた。(奥原慎平)


2024..0312-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240312-LOQFUV2RKJKJ5PNCCOWODA5U2E/
中国、処理水の賠償制度創設を要求 「安全問題なし」日本政府は拒否 輸入停止撤廃巡り

  東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り中国が将来の経済的な被害の発生に備え、日本に損害賠償制度の創設を水面下で要求していることが分かった。日本は、処理水の安全性に問題はないとして拒否した。複数の日中関係筋が12日明らかにした。両政府は処理水に関する外交当局間協議を続けているが、中国が要求を撤回する動きはない。日本産水産物の輸入停止措置の撤廃は依然見通せない状況だ

  中国は日本との対話、独自の監視体制構築と共に、賠償制度を「三大メカニズム」と位置付け重視している。政府高官が昨年、複数回にわたり外交ルートを通じて日本に伝えた。日本側は、賠償制度は科学的根拠に基づいていないとして反発。「高い要求を示すことで、結果的に中国に有利な合意を得たいとの思惑がある」(外交筋)との見方も出ている。


2024.03.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240308-PN2TGMN2TVLMVDRU5OQGCNRWNE/
王毅外相会見で日本メディア指名なしは「時間の関係」と釈明 中国外務省報道官
(北京 田中靖人)

  中国外務省の毛寧報道官は8日の記者会見で、王毅共産党政治局員兼外相の7日の記者会見の際に日本メディアが指名されなかったのは「時間の関係」だと釈明した。毛氏は、外相会見は「現場での質問に基づいて進行する」と事前の割当制だとする報道を否定。会見場には900人を超す内外メディアの記者がおり、「全ての質問に答えることはできない」と理解を求めた。
(北京 田中靖人)


2024.03.03-産経新聞(週刊フジ)-https://www.sankei.com/article/20240303-KWJUCCDQABHLNHLTGJBZWAABOA/?outputType=theme_weekly-fuji
中国が台湾を力で統一する日 米大統領選次第で日本は難題突き付けられる 高橋洋一
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

  台湾の離島、金門島周辺の海域で中国の漁民が死亡したのをきっかけに、中国海警局の艦艇が巡視活動を行うなど威嚇を強めている。王毅共産党政治局員兼外相が主宰した「対台湾工作会議」では、『台湾独立』の分裂行為に断固として打撃を与え、外部勢力の干渉を阻止する」との方針が示されたが、中国と台湾の緊張はさらに高まるのか。日本はどのように対処すべきか。
  習近平国家主席は3期目の目標として「台湾統一」を掲げており、これを絶対に成し遂げるとしているが、結果としては台湾の現状変更になる。しかし、台湾の頼清徳副総統は「現状維持」を公約として総統選を制した。「現状変更」「維持」かでは大きな差がある。この差は話し合いによって埋まる可能性は少ないので、残念ながら、力による解決とならざるを得ないだろう。

  力による現状変更は、国際社会のルールでは認められていない。だが、国連の常任理事国であるロシアがそのルールを破り、ウクライナを侵攻した。
  中国としては、ロシアによるルール破りを相当研究しているはずだ。中国が力による現状変更として台湾統一に踏み切った場合、国際社会からどのような制裁を受けるのか。台湾に対してどのような支援があるのか。最終的に現状変更が成功するのかどうかを見極めているだろう。
  ポイントとなるのは11月の米大統領選だ。「ジョー・バイデン大統領対ドナルド・トランプ前大統領」の様相だが、どちらが中国の野望達成に好都合なのか。米議会は超党派で中国に厳しいが、やはり米政府のスタンスの差は大きい。もしトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、ビジネス的には対中国で強硬姿勢だが、安全保障面では中国と対峙(たいじ)せずに、「台湾のことはアジアに任せる」と言い出しかねない。「ウクライナのことは欧州でやれ」というのと同じロジックだ。
  トランプ氏は、イスラエルについて関与するのは確実だ。となると、「台湾はアジアの問題」と言いかねないのだ。 となると、中国は11月の米大統領選の帰趨(きすう)がはっきりするまで、簡単には力による現状変更はやらないのが得策だろう。
  「台湾有事」になれば、「日本有事」にならざるを得ない。さらに、台湾のことはアジアの問題となれば、日本が前面に立たざるを得なくなる。そのうえ、北朝鮮も韓国に対する敵意をむき出しにして、軍事力に自信を持ち、韓国との対立も辞さないと考えているフシもある。米国が自国優先主義でアジアに本腰を入れず、韓国も北朝鮮対応で忙しいとなると、日本のアジアにおける役割は重大だ
  これまで日本は安全保障で厳しい判断をしなくてもよかったが、今回はそうもいかない。非核三原則の見直し、核共有の実施、米国、英国、オーストラリアの安全保障の枠組み「AUKUS」への参加など、これまでタブーとされてきた難題を検討し、まともな国防を考え、実行する絶好のチャンスと思うべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)


2024.02.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240226-LKQTRWVIHFHTVI27KISKUAJSJA/?outputType=theme_weekly-fuji
日中友好路線に縛られる政財界 岸田政権はこの機に企業の脱中国を支援せよ 田村秀男
(産経新聞特別記者 田村秀男)

  中国の国家外貨管理局発表の国際収支統計によれば、昨年1年間の外国の対中直接投資は前年に比べ約4・7兆円、81・7%も減った「中国経済衰退」の言説を封じ、不都合な情報を隠すか粉飾するケースが習近平政権で横行しているが、国際収支だけは国際通貨基金(IMF)のガイドラインに従う必要があるので、ごまかすわけにはいかなかったのだろう。

  日本分については未公表だが、日本の対中直接投資は財務省や日銀統計から拾い出せる。グラフがそれである。見ると、投資の回収は年々増加し、昨年は7703億円に上った。投資の回収には中国からの引き揚げ、撤退も含まれる。投資実行額から回収を差し引いたネット(正味)の対中投資は21年の約6割、7976億円減り、22年比では約25%、1794億円減だ。世界全体の対中投資激減ほどではないが、日本企業の中国離れはかつてなく強い
  気がかりなのは、政財界のいずれも、依然として「日中友好」路線に縛られ、横暴極まりない習政権に毅然(きぜん)とした対応をとらないことだ。日中経済協会と経団連、日本商工会議所の代表団が1月下旬、訪中したが、相方は経済政策の専門家集団の国家発展改革委員会の劉蘇社副主任であり、政治的影響力は期待できない。経団連の十倉雅和会長と劉氏は互いに型通りの「日中協力」の必要性を述べ合った。進藤孝生日本製鉄会長は中国当局に拘束されたままのアステラス製薬の駐在員問題などを念頭に、中国のインターネット安全法や反スパイ法の運用が透明性を欠いていると批判したというが、改革委員会レベルでまともな返答ができるはずはない。
  不動産バブル崩壊は依然として底が見えず、金融不安が続発し始めている。昨夏に表面化したノンバンク最大手の中植企業集団や傘下の中融国際信託の信託商品の巨額焦げ付き問題は緩和のメドも立っていない。習政権の対策は情報の隠蔽と公安当局による脅しである。投資家の問い合わせに対し、金融管理当局は「調査継続中」を繰り返すのみである。
  各地の公安警察の刑事は、損害を受けている投資家が中植や中融に抗議に出向こうとすれば、深夜早朝を問わず投資家の自宅にやってきて「拘束」をほのめかす毎日だ。公安警察はすでにこれら投資家の個人情報を把握し、SNSなどを通じて投資家どうしが相互連絡できないように仕組んでいる。中国から逃げ出しているのは外資ばかりではない。中国の中間層以上は資産を海外に移そうとし、情報技術(IT)などの高度人材や企業家は中国ではなく、海外での働き口や起業を追い求めている。従って、中国からはカネが流出する一方である。拙近著「中国経済衰退の真実」(産経新聞出版刊)で詳述しているように、外貨が入らなくなれば中国金融は行き詰まる。
  岸田文雄政権はこの機に乗じて日本企業の脱中国を支援し、習政権に断固とした態度で臨むべきなのだ。(産経新聞特別記者 田村秀男)


2024.02.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240202-N5WXIJ6EGFOAXEDTW5ITWFG7VU/
「日本のEEZという言い方は受け入れない」 中国、日本のEEZ内のブイ確認に反発

  【北京=三塚聖平】中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は2日の記者会見で、東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内で中国のものとみられるブイを確認したと日本政府が発表したことに対し、「日本のEEZという言い方は受け入れない」と反発した。

  汪氏はブイについて、長江(揚子江)河口付近の海域に設置されていたものが、「技術的な故障」が起きたために発見された海域にまで流れていったという説明を行った。汪氏は「中日双方は、この件に対応するため意思疎通を保っている」と述べた。
  日本の森屋宏官房副長官が1日の記者会見で、海上保安庁が1月29日に東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内で転覆した状態のブイを確認したと表明した。すでに機能しておらず、中国当局が設置したブイとみられている。日本政府は中国側に通報するとともに、ブイについての説明を求めた


2024.02.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240201-NLINMXUSSRJMVIY5ODTSML2EQ4/
自民、日本のEEZ設置の中国ブイの即時撤去要求 尖閣周辺、自力撤去見据えた外交努力も

  自民党外交部会などは1日、党本部で会合を開いた尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に中国が設置したブイの即時撤去を重ねて要求すべきだと確認。自力での撤去も見据え先進7カ国(G7)など国際社会の理解を得る外交努力をするように政府に求めた。会合後、藤井比早之外交部会長が明らかにした。

  岸田文雄首相昨年11月の習近平国家主席との会談で即時撤去を求めた


2024.01.25-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240125-FZTODB5VPRL5VDHMGW5KQOZA6Q/
劉建超氏と金杉大使、日中政党交流促進で一致

  金杉憲治駐中国大使は24日、中国共産党中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長と会談し、日中両国の政党間交流を促進させる方針で一致した。中連部が発表した。

  会談で金杉氏は、日中両国の「政府、政党、議会の交流強化を期待する」と表明。劉氏も与野党や各界の人的交流に意欲を示した。(共同)



2023.11.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231128-TWS6K3JFFZPRXM65W44S3MHLRI/
3カ国外相会談 日韓の対中姿勢弱すぎる

  日中韓3カ国の外相会談が韓国の釜山で行われた。対面での3カ国外相会談は2019年以来約4年ぶりだったが、焦点のひとつだった北朝鮮への対応で足並みがそろわず、首脳会談の日程も決まらないなど、成果に乏しい会談となった。
  北朝鮮は、外相会談を控えた21日に軍事偵察衛星を打ち上げた国連安全保障理事会の決議違反であり、地域の安定を脅かす挑発的な行為である。3カ国は核・ミサイル問題も含め、一致して対北非難の強いメッセージを発すべきだった。

  しかし、議長国である韓国政府の発表は「(北朝鮮の)核問題解決に向け、各レベルで意思疎通を続けていくことで合意した」との内容にとどまった。4年前に日中韓外相が発した「安保理決議の完全な履行を含め緊密に連携していく」との文言と比べて大幅に後退している。
  安保理の対北決議は中国も賛成して採択された。中国の王毅共産党政治局員兼外相は今回、「緊張が続くのはどの当事者の利益にもならない」と発言した。決議に沿わず、北朝鮮を擁護するものだ。安保理常任理事国にあるまじき態度である。
  この4年間で3カ国の関係は変化した。19年当時の日韓関係はいわゆる徴用工訴訟や反日親中の文在寅政権下で冷え込んでいた。現在の尹錫悦政権は日米との協力を重視し、中国とは一定の距離を置く。3カ国会談は、日韓が結束して中国に北擁護の姿勢を改めるよう迫る場としても活用できたはずだ。日韓両国の対応は弱腰だった。
  台湾問題について3カ国が深い議論を交わした様子がうかがえないことも問題だ。来年1月の総統選挙を控え、中国が選挙に干渉しないこと、台湾海峡の平和と安定が守られることは極めて重要である。日韓は中国が挑発的な行動を取らないよう迫る必要があった
  上川陽子外相は、中韓に拉致問題への協力を要請した。外相会談と同じ日に開かれた拉致問題の解決を求める「国民大集会」では、家族会代表の横田拓也さんが「政府は本気で取り組んでいるのか甚だ疑問だ」とかつてない強い調子で政府の覚悟を促した。
  待ったなしの解決が求められる拉致問題でも、政府はこの3カ国の枠組みを生かすよう努めなくてはならない。


2023.11.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231121-TUDFIOXRQJL43GAI6F63J5XMB4/
尖閣周辺の中国のブイ、岸田首相「日中各レベルで協議」 立民・泉代表の批判に

  岸田文雄首相は21日の衆院予算委員会で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に中国当局が設置した大型ブイに関し、立憲民主党の泉健太代表から日本政府による撤去を求められ、「(日本時間17日の)日中首脳会談で撤去について私から具体的に指摘し、各レベルで協議を続けていくことを確認した」などと述べるにとどめた。

  泉氏は、9月に日本政府が即時撤去を求めた後も放置されていると指摘し、「日本の側が撤去しなければならないのではないか」「話し合いをずっと続け、その間、(中国側に海洋の)データが送られ続けるのを放置するのか」と批判した。
  首相は「解決に向けて双方で努力することが重要だとの方針を(中国側と)確認できた。これは大きな取り組みだ」と強調した。泉氏は「どこが大きな取り組みなのか。高市大臣、分かりました?」と語り、「日本が撤去しても違法ではない」との認識を示している高市早苗経済安全保障担当相に水を向けた。
  泉氏はさらに、首相が対中外交について「冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」としていることに言及し、「これのどこが毅然なのか」と批判した。


2023.11.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231117-NZUQGUDOQZLLNJFATNCZKHTZEY/
岸田首相、習近平氏に「ブイ即時撤去求めた」 邦人の早期解放も

  【サンフランシスコ=原川貴郎】岸田文雄首相は16日午後(日本時間17日午前)、米サンフランシスコで中国の習近平国家主席と会談した後、記者団の取材に応じ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる情勢について「深刻な懸念」を表明し、「日本のEEZ(排他的経済水域)に設置されたブイの即時撤去を求めた」と明らかにした。中国で拘束中の邦人の早期解放を求めたことも明かした。

  首相は、ロシアとの連携を含む中国による日本周辺での軍事活動の活発化についても「深刻な懸念」を表明したと説明。「台湾海峡の平和と安定が、わが国を含む国際社会にとっても極めて重要だ」と伝えたことも明かした。


2023.11.17-NHK NEWS WEB-https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/103843.html
解説)日中首脳会談 何を話す?焦点は?成果は?
(伊藤詩織、小口佳伸、松田智樹)

  岸田総理大臣と中国の習近平国家主席の首脳会談がアメリカで日本時間の17日午前、行われます。APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせたものです。およそ1年ぶりとなる日中首脳会談でどんなことが話し合われるのでしょうか?そして成果は?解説していきます。
(伊藤詩織、小口佳伸、松田智樹)

Q.17日午前に会談があることは、日本時間の午前5時20分ごろ、発表になったということですが、なぜここまでぎりぎりになったのか?
A.政府関係者は、このように話しています。-「会談を行うこと自体は概ね固まっていたものの、形式など、細かい詰めの調整に時間がかかった」(政府関係者)。中国側が16日行われた米中首脳会談への世論の反応をぎりぎりまで見極めようとしたからではないかという見方もあります
Q.日中首脳会談に向けて、水面下でどんな調整が行われてきたんでしょうか?
A.両首脳の会談は、去年11月以来、およそ1年ぶりとなります。-政府関係者の1人は、こう明かします.-「今回の会談には中国のほうが積極的だった。経済の不調もあってか、焦りも感じた」(政府関係者)
  岸田総理大臣は今回のアメリカ訪問への出発に先立って15日、記者団に対し、日中首脳会談について、こう述べています。「建設的かつ安定的な関係をお互いの努力によって維持していくという基本方針は変わっていない。さまざまな形で意思疎通を行っていきたい」・・・今回、どんな首脳会談になるかは、両政府の高官同士の会談から見えてくる部分もあると思います。
  それが、先週、中国で行われた、秋葉国家安全保障局長と、中国の王毅外相の会談です。秋葉局長は中国側とやり取りを重ねてきました
Q.秋葉局長が王毅外相と会談した際、どのようなことが話し合われたのでしょうか?
A.9日夜、およそ3時間半にわたる2人の会談では、首脳会談の実現に向けて意見を交わしています。・・・秋葉局長は、中国による日本産水産物の輸入停止措置の撤廃を求めるなど両国間の懸案について、日本側の主張を伝えました。さらに、イスラエル・パレスチナ情勢や、ロシアによるウクライナ侵攻など国際社会の課題についても意見を交わし、両氏は、引き続き緊密に意思疎通を行っていくことで一致しています。
Q.このときの中国側の反応はどうだったのでしょうか?
A.中国外務省「双方が両国関係を健全で安定した発展の軌道に戻すよう努め、意思疎通を続けることで一致した」と発表しました。
  一方、会談のなかで王毅外相は、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水について「核汚染水」と呼んだうえで「海洋放出や台湾、歴史などの問題について中国の立場と懸念を表明した」としています。そして「日本側はできるだけ早く、両国関係を改善する姿勢を具体的な行動で示すべきだ」強調したということです。
Q.中国が福島第一原発の処理水の放出に反発し、日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことで日本の水産業への影響が広がっていますが、今回の首脳会談で成果は得られるんでしょうか?
A.日本産水産物の輸入停止措置などで進展が得られるかが焦点ですが、具体的な進展までは難しいという見方が大勢です。事前の調整でも中国は譲らない構えを見せたようです。政府関係者の1人もこう話しています。「中国の振り上げたこぶしを1回の会談で降ろさせることはできないだろう」(政府関係者)
Q.一方、首脳会談に臨む中国側の狙いについて、どう見ますか?
A.中国は、建設的で安定的な両国関係の構築に向けて前向きな姿勢を示す一方、台湾情勢では日本が関与しないよう強くけん制するものとみられます。
  台湾について、中国は、一歩も譲ることができない「核心的利益」と位置づけていて、習近平国家主席は、日本時間の16日行われたアメリカのバイデン大統領との首脳会談でも台湾の平和的な統一への支持を求めました。・・・中国は、台湾情勢を「内政の問題だ」としていて、日本との首脳会談の場でも、「いかなる者も内政干渉は許さない」など日本が関与しないよう強くけん制するものとみられます。一方、中国は、両国関係の改善には意欲を示すものとみられます。
  中国としては、国内経済の先行きに不透明感が広がるなか、日中平和友好条約の締結からことしで45年となることも踏まえ、日本とは両国の経済関係を強化し、日系企業の投資を呼び込みたい考えを示すとみられます。
Q.会談では、ほかに、どんな議論が交わされそうでしょうか?
A.中国による日本産水産物の輸入停止措置のほかには、沖縄県の尖閣諸島をめぐる問題、それに相次ぐ日本人の拘束事案などが話し合われるとみられます。
  岸田総理は会談で、両国間の懸案への日本の立場を重ねて主張する方針です。政府関係者は次のように話していて、双方の主張をぶつけ合うだけになる可能性もあるとしています。「事前調整の段階で、中国側『譲れないものは譲れない』という姿勢だった」(政府関係者)
  一方、与党内からは、次のような声も聞かれます。「トントン拍子とはいかないが、1年ぶりの首脳会談となれば、それ自体が成果だ」(与党内)。政府は、中国との対話の扉は閉ざしたくないという立場で、「『戦略的互恵関係』というかねてからの原則に立ち戻ることも含め、最低限、意思疎通の継続は確認したい」としています。
  岸田総理としては、およそ1年ぶりの首脳会談を契機に、首脳間の意思疎通を継続し、経済面などで協力できる分野を広げることで、懸案解決への距離を少しでも縮めたい考えです。


2023.09.22-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230922-6I7F4PZB4VMPDBPRQ6W7N3LHCM/
中国、掘削船発表「ミス」 日本に釈明

  中国海事局が東シナ海で移動式掘削船が活動すると発表し、その後撤回したことについて、中国政府は22日までに外交ルートで日本政府に「発表は入力ミスによるものだ」と釈明した。日本政府関係者が明らかにした。

  中国海事局は当初、中国の引き船が掘削装置「勘探8号」をえい航し、浙江省近海から沖縄本島北西に移動させると発表した。活動海域が日中中間線の日本側に及んでおり、日本政府は「受け入れられない」として申し入れを行った。中国は21日午後に発表を撤回し、日本政府に伝えた(共同)


2023.09.05-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230905-OYT1T50139/
[深層NEWS]日本産水産物の輸入停止した中国は「ガス抜き終わり、事態の収拾図る」

  東京財団政策研究所の 柯隆(かりゆう) 主席研究員神田外語大の興梠一郎教授が5日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を巡り、中国が日本産水産物の輸入全面停止に踏み切った背景や、低迷する中国経済の行方について議論した。

  柯氏は、中国経済が落ち込み、若者の失業率も高いことを指摘した。今後については「(国内の)ガス抜きが終わり、事態の収拾を図る」との見方を示した。







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