日本とアメリカ問題-1


2024.04.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240411-JJPDVLOEFBORDC4T52NKEZ7NPI/
日米の半導体協力 共同声明で供給網強靱化など明記 中国依存度の低下進める
(中村智隆)

  日米首脳会談では経済連携も重要なテーマだ。特に幅広い電子機器に欠かせない半導体は、中国がシェアを広げつつあり、経済安全保障の観点からも重要性が増しており、日米両国の政府が巨額の補助金を投じて産業の育成を進めている。首脳会談で合意する共同声明では、次世代半導体の開発に向け、両国の民間部門の「強固な協力を歓迎する」との文言を盛り込み、「レガシー(非先端)」半導体のサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化に取り組むことも明記、中国依存度の低下を進める。

存在感増す中国半導体市場において中国の存在感は増している。
  日本貿易振興機構(ジェトロ)などによると、中国の半導体製造能力は国別のシェアで2010年は11%だったが、30年には倍以上の24%に拡大する見通しだ。中国への依存度が高まれば、輸出入を制限することで相手国に圧力をかける「経済的威圧」のリスクが高まる。
  スマートフォンや自動車などさまざまな電子製品に使われる半導体は、経済活動になくてはならない製品となっている。新型コロナウイルス禍でも、供給網の混乱から世界中で自動車の生産が滞り、その重要性が再認識された。そこで、日本や米国は巨費を投じ、国内での生産基盤の整備を進めている
  日本政府は熊本県に工場を建てた半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に最大約1兆2千億円、次世代半導体の国産化を目指して北海道千歳市で工場建設を進めるラピダスには最大9千億円超を補助する。米国も今月、TSMCに最大66億ドル(約1兆円)の補助金を交付すると発表した。
連携の象徴「ラピダス」
  とりわけラピダスは日米連携の象徴とも言われている。ラピダスは日本企業だが、先端半導体の開発には米IBMの技術を活用するためだ。「日の丸半導体」の復権のため先端技術が欲しい日本と、地政学リスクが少ない日本を供給網に組み込みたい米国の思惑が一致し実現した
  ただラピダスを巡っては5兆円に上るともされる総投資額のうち、日本政府が1兆円規模の補助金を出すが、トヨタ自動車やNTTなど民間企業8社の出資額は73億円にとどまるという課題もある。ある財務省幹部は「経済産業省が主導して成功したプロジェクトはほとんどない。民間の出資額がそれを示している」と皮肉る。
過去には半導体摩擦
  かつて日本は半導体で世界をリードした時期もあった。しかし、1980~90年代に苛烈を極めた日米半導体摩擦で、米国製品の国内シェア拡大などを求められた結果、企業が投資に消極的になり、凋落(ちょうらく)した経緯もある。
  ただ、国際情勢は大きく変化し、日本政府の関係者は「半導体産業の再興に向けた最後のチャンス」と話す。米国と官民で連携する、新たなステージを迎えている。
(中村智隆)


2024.04.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240411-3KJQDYMRVNPULEQGU4DCV3NRNA/
岸田文雄首相「日本は米国とともに」 日米首脳会談、安保・先端技術で連携 共同記者会見

  【ワシントン=永原慎吾】岸田文雄首相は10日午前(日本時間10日深夜)、米ワシントンのホワイトハウスでバイデン大統領と会談した。首相は会談後の共同記者会見で「今こそ日米がグローバルパートナーとして真価を発揮すべきだ。日本は常に米国とともにある」とバイデン氏に伝えたことを明らかにした。両首脳は、中国やロシアなどの動向で国際秩序が脅かされる中、日米両国が安全保障や先端技術などの分野で連携して取り組むことを盛り込んだ共同声明を発表した。

  両首脳は、中露が試みる力や威圧による一方的な現状変更は世界のどこであっても許容できず、同盟国・同志国とともに毅然として対応していくことを確認した。中国を巡る諸課題には引き続き日米が緊密に連携することでも一致した。
  中国の習近平政権が台湾統一に向けて武力行使を排除しない姿勢を示していることを受け、「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」を改めて表明し、両岸問題の平和的解決を促す考えも確認した。北朝鮮による日本人拉致問題に関しては、バイデン氏が即時解決に向けた支持を表明。バイデン氏は首相が意欲を示す金正恩朝鮮労働党総書記との日朝首脳会談について「対話を模索することはよいことだ」と語った。
  また、首相は米英豪3カ国の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)に将来日本が正式に加入する可能性を記者団に問われ、「わが国は地域の平和と安定に資することからオーカスの取り組みを一貫して支持している」としながらも「わが国とオーカスとの協力関係で何か決まったものはない」と述べるにとどめた。
  このほか、両首脳は米国が主導する国際月探査「アルテミス計画」を巡り、日本人宇宙飛行士に2回の月面着陸機会を提供する方針も確認した。一方、首相は会見で、日本製鉄による米鋼鉄大手USスチールの買収に関し「日米両国にとって良い話し合いになることを期待している。法に基づき、適切に手続きが進められると期待している」と語った。


204.04.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240409-YT62ZBBCIVPSNCCNY4H2X33ZXE/
対米関係、中曽根・小泉・安倍各元首相は蜜月、鳩山氏で同盟危機…過去の首脳外交
(ワシントン 永原慎吾)

  岸田文雄首相10日午前(日本時間11日未明)、バイデン米大統領との首脳会談に臨む歴代首相は首脳同士の信頼関係を土台に日米同盟の強化を図ってきた。中曽根康弘元首相とレーガン元大統領や、安倍晋三元首相とトランプ前大統領のような成功例も少なくないが、信頼関係を築けないまま同盟の危機を招いたケースもある。

  近年、日米首脳で最も強固な信頼関係を築いたのが、安倍氏とトランプ氏だ。米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約について「不公平だ」との不満を表明していたトランプ氏が2016年11月の大統領選で勝利すると、安倍氏はすかさず米ニューヨークに飛んでトランプタワーで会談。一気に意気投合し、その後の関係構築に寄与した。
  米政府高官が対北朝鮮外交などでトランプ氏の説得を安倍氏に依頼する場面もあった。安倍氏が銃撃事件で死去した際にはトランプ氏がSNSで「(安倍氏が)偉大な男であり指導者であったことを知る人は少ないが、いずれ歴史が教えてくれるだろう」と悼んだ。
  日米首脳間の交流では中曽根氏とレーガン氏の「ロン・ヤス」関係も有名だ。中曽根氏は1983年1月の訪米の際、日米関係は「運命共同体」だとレーガン氏に伝えたほか、米紙とのインタビューでは日本列島を「不沈空母」に見立てた発言を行うなど日米の結束を強調した。
  小泉純一郎元首相は2001年9月の米同時多発テロの直後に訪米し、ブッシュ(子)大統領の「テロとの戦争」に明確な支持を表明。06年の訪米時には人気歌手、故エルビス・プレスリーのものまねを披露するなど蜜月を印象付けた。
  首脳会談が同盟の危機を招いたこともある。09年9月、民主党の鳩山由紀夫元首相は就任直後に初の外遊先として米ニューヨークを訪問した。オバマ大統領と信頼関係を築いたとアピールしたが、その後に暗転。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の決着について「トラスト・ミー(私を信じて)」と発言した後も移設問題は混迷し、米側が不信感を募らせる結果となった。
  首相はすでにバイデン氏との間で首脳会談を重ね、一定の信頼関係を積み上げてきた。今回の訪米でも歴代の首脳間のような歴史に残るやり取りが行われるかどうかも注目されることになりそうだ。
(ワシントン 永原慎吾)


2024.04.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240403-6KVUOIB6GRP6ZKZDM7DP3YAFBA/
GX推進へ日米で閣僚協級対話新設、首脳会談で拉致問題協議へ 岸田首相インタビュー
(政治部長 酒井充)

  岸田文雄首相は3日、国賓待遇での公式訪米を前に産経新聞のインタビューに応じ、現地時間10日のバイデン米大統領との首脳会談で、脱炭素社会への転換を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)」の推進に向け、政策協調を進める考えを示した。閣僚級対話の枠組みの新設で合意する見通しだ。首脳会談で北朝鮮による日本人拉致問題を取り上げる考えも示し、「率直な意見交換を行い、緊密に連携して対処していくことを改めて確認する」と語った。
  首相は「脱炭素と経済成長の両立という共通目標の下、日本のGXと米国の(脱炭素技術の導入を支援する)インフレ抑制法(IRA)の2つの取り組みのシナジー(相乗効果)でクリーンエネルギー分野での政策協調を進め、持続可能なサプライチェーン(供給網)を構築する取り組みを進める」と語った。

  首相訪米には斎藤健経済産業相が同行する。首脳会談で対話実施を確認した直後に斎藤氏とIRAを担当するポデスタ米大統領上級補佐官が協議し、具体化に向けて緊密に連携していく考えだ。
  訪米の意義については「日米が法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持、強化し、防衛、安全保障協力を強化するグローバルなパートナーであることを確認したい。広範な分野での協力を発表したい」と語った。
  首脳会談では在日米軍司令部の機能を強化し、今年度末に設置する自衛隊の統合作戦司令部との連携強化を確認する見通し。首相は「相互運用性と即応性を高めるため指揮統制の連携強化について議論している。具体的な方策について今後も議論を深めたい」と述べた。「日米間の連合司令部設置といったものではない」とも説明した。
  首相は11日に米議会で演説すると言及し「米議会、米国民、世界に対し日米両国がいかなる未来を次世代に残そうとしているのか、そのためにどのような努力をするべきなのかを発信する機会にしたい」と語った。11日に初めて行われる日米比首脳会談については、東・南シナ海で威圧的行動をとる中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携の確認を行いたい」と述べた。
(政治部長 酒井充)


2024.04.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240401-4CMXW32DVJKEBHGIR5BHVQH4PU/
<独自>日米首脳「安保5条を尖閣に適用」を再確認へ 共同声明、中国を牽制

  【ワシントン=坂本一之】4月10日に米ワシントンで行われる日米首脳会談で、共同声明に「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される」と明記することで両政府は最終調整に入った。米国の日本防衛に対する揺るぎないコミットメントを再確認し、インド太平洋地域で軍事覇権の拡大を図る中国を牽制(けんせい)する。

  日米安保条約第5条は、米国の対日防衛義務を定めている。中国海警局の船が沖縄県の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中、共同声明に盛り込むことで、米国が核を含む米軍の能力で防衛する姿勢を打ち出す狙いがある。尖閣諸島への5条適用は、昨年の日米首脳会談でも確認している。
  バイデン米大統領岸田文雄首相との会談で、武力や威圧による一方的な現状変更に反対する姿勢を示し、東・南シナ海で威圧的な行動を強める中国への懸念を示す考え。共同声明で「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」を打ち出し、武力行使による台湾統一を排除しない習近平政権に自制を促す方針だ。今回は、9年ぶりに日本の首相を国賓待遇で招いて開く重要な会談となる。
  共同声明には、北朝鮮による拉致問題も盛り込まれる。拉致被害者家族の高齢化を踏まえ、両政府は「拉致問題の即時解決」を目指すことで調整している。また、人工知能(AI)や半導体など先端技術分野の協力強化も記す方向だ
  首脳会談では、米軍と自衛隊の連携強化も協議する。すでに日米両政府は、陸海空自衛隊の一体的運用を図る「統合司令部」の設置に合わせた連携体制の強化を議論していて、首脳会談後に議論を加速させる考えだ。米軍の指揮系統の見直しを含め、有事の際の米軍と自衛隊の運用の一体性を高める
  11日には、フィリピンのマルコス大統領を交えた日米比3カ国の首脳会談も開催される。自衛隊と米比両軍による連携強化を議論する。


2024.03.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240324-4EDA7W5TVJEDPC5AW6M7XRLU7Q/?outputType=theme_weekly-fuji
どうなる「もしトラ」の対中戦略 「第二のニクソン・ショック」に備えよ 峯村健司
(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)

  17日に放送した「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ系)に出演した。関東では放送されていないためなじみが薄いかもしれないが、視聴率は10%を超える人気番組で、安倍晋三元首相も出演したことがある。筆者は普段、パネリストとして出演して時事問題を討論しているが、今回は毛色が違った。専門家が独自につけたランキングをパネリストに1位と2位を予想してもらうクイズ企画で、筆者は出題者として参加した
  テーマは「『もしトラ』で困ること トップ5」。「もしトラ」とは、11月5日投開票の米大統領選で、「もしも、ドナルド・トランプ前大統領が当選したら」の略語で、筆者も最近頻繁にテレビやラジオで使っている。以下の順位を掲げてみた。

(1)「第2の『ニクソン・ショック』」
(2)「在日米軍駐留経費5倍増」
(3)「台湾有事不介入」
  この「ニクソン・ショック」とは、ドル紙幣と金との兌換(だかん)停止ではなく、1971年7月にリチャード・ニクソン大統領が中国訪問を発表した方を指す。つまり、再選したトランプ氏が対中強硬策を急転換し、中国の習近平国家主席と「ディール(取引)」をし、関係改善に動くことを意味する
  結果はパネリストの全員不正解。ほとんどの方が、駐留経費や台湾有事を「1位」と答えていた。SNS上でも「1期目に対中強硬策をとったトランプ氏が、中国側と手を結ぶはずがない」というコメントもあった
  筆者自身もいずれの可能性も十分あり得ると思っている。ただ、日本にとって「最悪」と考えるのが「米中接近シナリオ」だと考える。

  確かに、トランプ氏は再選した場合、中国からの輸入製品に60%を超える関税をかけることを表明している。中国の自動車メーカーがメキシコで生産した車についても「100%の関税を課す」と宣言している。だが、こうした圧力は、中国への強硬策というよりは、「ディール材料」の可能性が高い、と筆者はみている。
  根拠とした一例を、トランプ政権1期目で大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏が回顧録で明かしている2019年6月、大阪での20カ国・地域首脳会議(G20)の際に開かれた米中首脳会談で、トランプ氏は習近平国家主席にこう要請した
  「翌年に控えた大統領選で再選するため、中西部の大豆や麦を買ってもらいたい」 中西部はトランプ氏の票田だ。一方、国際社会が「人権侵害」と非難していた中国政府が新疆ウイグル自治区で進めていた少数民族の「再教育施設」について、トランプ氏は「的確な措置であり、計画を推進すべきだ」と前向きな姿勢を示したという

  筆者は今月上旬、ワシントンに出張して、トランプ政権1期目の幹部らと意見交換を重ねた。トランプ氏自身の対中政策を含めて、「まだ何も決まっていない」という見方で一致した。ただ、トランプ氏が「1期目よりも自身の政策を進めようとするだろう」と口をそろえた。
  いずれにしても、トランプ氏再選により、対中外交を含めて予測不可能性が高まることだけは確かなようだ(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)


2024.01.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240118-ULOGUUYTHVIT5FWC3622PTL6BY/
日米両政府がトマホーク取得で正式契約 最大400発、2541億円

  政府は18日、米政府との間で米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得に関する契約を正式に締結した。米国の「対外有償軍事援助(FMS)」で最大400発を令和7~9年度にかけて調達する計画で、海上自衛隊のイージス艦に搭載するための関連機材を含め、取得費用は2541億円となる。

  木原稔防衛相と米国のエマニュエル駐日大使が同日、防衛省で行われたトマホーク取得に関する受諾書の署名式に立ち会った。エマニュエル氏は3月にも米軍が自衛隊に対しトマホークの運用に関する訓練を開始する見通しを明らかにした。
  日本はトマホークを他国の領域内に攻撃を加える反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する。当初は最新型のブロック5を最大400発取得する計画だったが、そのうち最大200発を旧来型のブロック4に切り替えて、取得時期を8年度から1年前倒しした


2023.08.19-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230819-OYT1T50086/
日米首脳、新型ミサイル共同開発で合意…中露など開発の極超音速兵器を迎撃に向け

  【キャンプデービッド=栗山紘尚、田島大志】岸田首相と米国のバイデン大統領は18日午前(日本時間同日夜)、キャンプデービッドで会談した。中国やロシア、北朝鮮が開発を進める極超音速兵器の迎撃に向けて、新型ミサイルを共同開発することで合意した。

  極超音速兵器は、音速の5倍(マッハ5)以上の高速で低空を変則軌道で飛行し、レーダー探知や迎撃が難しいとされる。日米両国は、ロケットモーターや耐熱などの技術で協力を進める
  両首脳は、覇権主義的な動きを強める中国に対し、日米が緊密に連携する考えも確認した。ロシアによるウクライナ侵略について、先進7か国(G7)などとともに対露制裁と、ウクライナへの支援を継続することでも一致した。
  首相は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出計画を米国が支持していることに謝意を述べた。両首脳は、処理水に関する偽情報拡散防止へ向けた連携に関しても意見交換した。
  また、首相は米ハワイ州マウイ島での山火事にお見舞いを述べ、200万ドル(約2億9000万円)規模の支援実施を決めたことを伝えた。


2023.04.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230402-LZTOKVGQ3NOU7FNPZGTCXOILPM/
米、日中外相会談の日本と連携 中国「覇権」阻止も対話は維持

  【ワシントン=坂本一之】バイデン米政権はインド太平洋地域で覇権を目指す中国の習近平政権を牽制(けんせい)するため、日本と外交・防衛や経済安全保障分野で連携を強化していく考えだ。中国の台湾侵攻を抑止する取り組みを重視する一方、緊張激化を回避するため安定した米中関係の構築も目指す。2日の日中外相会談を含め、日本とともに中国と対話を維持する方針だ。

  今年、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長を務める米国は、先進7カ国(G7)議長である岸田政権と中国の経済的威圧に対抗する同盟国や友好国との連携を牽引(けんいん)していく。
  中国が経済的威圧で民主主義陣営の分断を図ったり、小国を権威主義陣営に引きずり込んだりすることを阻止する狙いがある。このため中国に依存しない重要物資のサプライチェーン(供給網)強化や、半導体など先端技術が中国企業に流れて安全保障の脅威とならないよう日本に共同歩調を求めている。
  中国に台湾侵攻を思いとどまらせるため、オーストラリアやフィリピンなどとの多国間協力を日本と進め、安全保障や外交での関係を深めていく方針だ。ただ、習政権と大国間競争を繰り広げるバイデン政権には、軍事的緊張を緩和する仕組みも必要だ。危機管理のための軍事当局間のホットラインが「機能していない」との指摘もある。
  バイデン政権は米中関係の崩壊を防ぐ「ガードレール」の構築に腐心していて、中国の偵察気球問題で関係が冷え込んでも閣僚の中国派遣を続ける構えだ。こうしたことから、気候変動対策での協力や経済安全保障で問題にならない貿易の維持などで中国にメッセージを送っている。
  中国との対話を日米で維持していくことは、誤解による関係悪化を抑え「地域の安定に寄与する」(米政府関係者)との考えだ。


2023.02.20-FNN プライムオンライン-https://www.fnn.jp/articles/-/488605
“北”ICBM級発射に対抗措置 日米戦闘機計9機が共同訓練

  北朝鮮は、18日に行ったとするICBM(大陸間弾道ミサイル級)「火星15」型の発射訓練の映像を公開した。一方、自衛隊とアメリカ軍は19日、日本海の上空で共同訓練を行い、日米の戦闘機が編隊を組んで飛行する映像が公開された。

  関係者は、ミサイル発射への「対抗措置」と説明している。
  防衛省によると、訓練には航空自衛隊のF-15戦闘機と、アメリカ軍のB-1B爆撃機、F-16戦闘機のあわせて9機が参加した。防衛省は、「ICBM級の発射など安全保障環境がより厳しさを増す中、日米同盟の抑止力・対処力をいっそう強化した」としている。


2023.02.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230204-NRQHIFLXK5JIBJB47JNQMGVVVY/
<独自>米が中距離ミサイル配備打診 対中バランス改善

  米政府が、日本列島を含む第1列島線に配備を計画している中距離ミサイルについて、日本への配備を打診していることが4日、複数の日米関係筋の話で分かった。米国が開発を進める長射程極超音速兵器(LRHW)や巡航ミサイル「トマホーク」の地上発射型が候補に挙がっている。日本が反撃能力(敵基地攻撃能力)として配備を計画するスタンドオフミサイルと合わせて、日米で中国の中距離ミサイル網を含む「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」能力に対抗する考えだ。

  複数の日米関係筋によると、米側は自衛隊と米軍の「役割・任務・能力(RMC)」をめぐる事務レベル協議の場で、安倍晋三政権末期の3、4年前から日本への配備を打診。今年1月の日米首脳会談や外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では議題に上らなかったが、日本側は今後、米軍の中距離ミサイル配備を受け入れる方向で協議を本格化させる方針だ。
  配備場所については未定だが、日本政府関係者は「九州などが想定される」と語る。配備方式についても、インド太平洋地域を巡回するローテーション方式も含めて検討を進める方向だ。
  米国はロシアと締結していた中距離核戦力(INF)全廃条約に基づき、射程500~5500キロの地上発射型中距離ミサイルを保有していなかった。一方、中国は地上発射型の中距離ミサイルを1250発以上保有しているとされ、日米と中国の間で「ミサイルギャップ」が生じていた。
  だが、INF全廃条約は2019年8月に失効。米軍は中距離ミサイル開発を進めており、射程2700キロ超のLRHWは23年までに配備され、海兵隊が配備を目指す地上発射型トマホーク(射程1600キロ超)を26年までに約100発保有する見通し。
  自衛隊も昨年12月に閣議決定された「安保3文書」に基づき、12式地対艦誘導弾の射程を1000キロ以上に延伸する能力向上型や、トマホークを25年度以降に順次配備する計画。3文書では米国などと連携して「新しい均衡」の構築を目指すと明記しており、東アジアにおける中距離ミサイルを含む戦略バランスを改善し、中国による武力行使を思いとどまらせることを目指す。


日本とアメリカ共同声明全文-1

2023.01.14-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13DPA0T10C23A1000000/
日米首脳共同声明の全文

  ジョセフ・バイデン米大統領と岸田文雄首相は日米同盟、インド太平洋と世界にとって歴史的な瞬間に会談する。今日の我々の協力は、自由で開かれたインド太平洋と平和で繁栄した世界という共通のビジョンに根ざし、法の支配を含む共通の価値に導かれた前例のないものだ。
  インド太平洋は、ルールに基づく国際秩序と整合しない中国の行動から北朝鮮による挑発行為に至るまで、増大する挑戦に直面している。欧州ではロシアがウクライナに不当かつ残虐な侵略戦争を継続している。
  我々は世界のいかなる場所においても、あらゆる力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する。
  こうした状況を総合すると米国と日本には引き続き単独及び共同での能力を強化することが求められている。バイデン氏は新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画に示されているような、防衛力の抜本的強化とともに外交的取り組みを強化する日本の果敢なリーダーシップを称賛した。
  日本によるこれらの取り組みはインド太平洋及び国際社会全体の安全保障を強化し、21世紀に向けて日米関係を現代化するものとなる。
  我々の安全保障同盟はかつてなく強固なものとなっている。両首脳は日米同盟がインド太平洋の平和、安全及び繁栄の礎であり続けると改めて確認した。
  バイデン氏は核を含むあらゆる能力を用いた、日米安全保障条約5条の下での日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて表明した。同条が沖縄県尖閣諸島に適用されると改めて確認した。
  日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、日米の外務・防衛担当閣僚は日米同盟の現代化に向けて我々が成し遂げた比類なき進展を強調した。サイバー及び宇宙の領域におけるものを含め新しく発生している脅威に対処するため、共同の戦力態勢及び抑止力の方向性をすり合わせてきた。
 両首脳は日本の反撃能力、その他の能力の開発、効果的な運用について協力を強化するよう閣僚に指示した。我々は国家安全保障に不可欠な重要・新興技術に関する協力を深化させてきた。
  国連安全保障理事会決議に従った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを改めて確認する。バイデン氏は拉致問題の即時解決への米国のコミットメントを改めて確認する。
  台湾に関する両国の基本的立場に変化はないと強調し、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を改めて強調する。我々は両岸問題の平和的解決を促す。
  我々は直面している課題が地域横断的であることを認識している。大西洋と太平洋を越えて結束し、ロシアのウクライナに対する不当かつ残虐な侵略戦争に断固として反対することで一致している。引き続きロシアへの制裁を実施し、ウクライナに揺るぎない支援を提供していく。
  ロシアによるウクライナでのいかなる核兵器の使用も人類に対する敵対行為であり、決して正当化され得ないことを明確に述べる。ロシアによる重要インフラへの忌まわしい攻撃に直面しているウクライナを引き続き支援していく。
  日米両国はまた経済面でリーダーシップを発揮していくことを改めて確認する。民主主義的な二大経済大国として日本が議長国の主要7カ国(G7)会合、米国のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の開催を通じて国内外の繁栄を推進し、自由で公正でルールに基づく経済秩序を支えていく。
  両首脳はG7広島サミットでの優先事項を議論し、法の支配に基づく国際秩序の堅持に対するG7のコミットメントを示すため、サミットの成功に向けて引き続き緊密に連携していく。

  「日米競争力・強じん性(コア)パートナーシップ」の下での取り組みを基に、日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)などを通じ、半導体など重要・新興技術の保護や育成を含む経済安全保障、新たな二国間での宇宙枠組み協定を含む宇宙、そして我々が最も高い不拡散の基準を維持しながら原子力エネルギー協力を深化させたクリーン・エネルギー、エネルギー安全保障に関し、日米両国の優位性を一層確保していく。
  我々は経済的威圧や非市場的政策、慣行、自然災害などの脅威に対して、同志国間で我々の社会、サプライチェーン(供給網)の強じん性を構築し、気候危機に対処する地球規模の取り組みを加速させ、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を推進する。
  インド太平洋経済枠組み(IPEF)はこれらの目標達成の軸となる。
  包摂的な民主主義国家として我々は経済的繁栄を広く社会全体で享受することを確保するとともに、ジェンダー公平・平等、女性のエンパワーメントの実現に改めて関与する。
  グローバルには(温暖化ガス排出量を実質ゼロにする)ネットゼロへの持続可能な前進を促進し、グローバル課題によりよく対処するために国際開発金融機関を進化させ、債務救済を提供するための債権者の協調を改善するべく協働する。
  ロシアによる世界的なエネルギー・食料安全保障の毀損を含め、自らの経済力を用いて他者を利用する全ての主体を非難する。
  世界中の公衆衛生当局が感染拡大を抑制し、新たな変異株の可能性を特定する体制を整えられるよう、中国に新型コロナウイルスの感染拡大に関する十分かつ透明性の高い疫学的データ、ウイルスのゲノム配列データを報告するよう求める。
  我々は強固な二国間関係を基盤としながら、インド太平洋及び世界の利益のために、域内外の他の主体と協働していく。
  オーストラリア、インドとともに国際保健、サイバーセキュリティー、気候、重要・新興技術、海洋状況把握において成果を出すことなどで地域に具体的な利益をもたらすことに関与し善を推進する力であり続けることを確保する。
  引き続き東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心性・一体性及び「インド太平洋に関するASEANアウトルック」を支持していく。安全保障及びその他の分野における、日本、韓国、米国の間の重要な三国間協力の強化に献身する。
  「ブルー・パシフィックにおけるパートナー」を通じたものを含め、太平洋島しょ国との間で拡大しつつある連携をより強固なものにする。バイデン氏は日本が国連安保理の非常任理事国としての2年間の任期を開始し、1月に議長国を務めることに祝意を表した。
  最も緊密な同盟国及び友人として、言葉だけでなく行動を通じて平和と繁栄を実現する決意を新たにし2023年をともに歩み始める。まさにそれが時代の要請だ。


2023.01.04-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230104/k10013940731000.html
日米首脳 今月13日に会談へ 米ホワイトハウス発表

  アメリカのホワイトハウスは、バイデン大統領今月13日に首都ワシントンで岸田総理大臣と首脳会談を行うと発表しました。

  アメリカ・ホワイトハウスのジャンピエール報道官は3日、声明でバイデン大統領が今月13日にホワイトハウスで岸田総理大臣と対面での首脳会談を行うと発表しました。
  声明では、会談について「両国の政府、経済、国民の関係を一層深める」として、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組み「クアッド」を含めた協力関係の拡大や、自由で開かれたインド太平洋の推進などについてさらに取り組んでいくしています。
  さらに「北朝鮮による違法な大量破壊兵器や弾道ミサイル計画、ロシアによる非道なウクライナへの侵攻、それに台湾海峡の平和と安定の維持など、さまざまな課題について協議する」としています。
  また、会談でバイデン大統領は日本が防衛力の抜本的な強化に向けて安全保障関連の3つの文書を改定したことや、ことし、G7=主要7か国の議長国を務めることについて、全面的な支持を表明するとしています。
  バイデン大統領と岸田総理大臣が対面で会談するのは去年11月にカンボジアの首都プノンペンで会談を行って以来で、岸田総理大臣がワシントンを訪問するのは就任後初めてです。



2022.05.23-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232SF0T20C22A5000000/
中国念頭「現状変更に反対」 日米首脳の記者会見-速報日本の常任理事国入り、バイデン氏支持

  初の本格的な首脳会談に臨んだ岸田文雄首相とバイデン米大統領は23日午後、東京・元赤坂の迎賓館で共同記者会見した。
「力を背景とした現状変更の試みに反対」
  首相は中国を念頭に「東・南シナ海における力を背景とした現状変更の試みに強く反対すること、人権問題を含めた中国をめぐる諸課題への対応にあたり引き続き日米で緊密に連携していくことなどで一致した」と述べた。
  バイデン氏と北朝鮮の核・ミサイル問題に深刻な懸念を共有したと説明した。日米、日米韓で一層緊密に連携すると確かめた。北朝鮮による日本人拉致問題の即時解決に向け、首相はバイデン氏に全面的な理解と協力を求め、支持を得た。
  首相は「地域の安全保障環境が一層厳しさを増すなか、バイデン氏と日米同盟の抑止力、対処力を早急に強化する必要があると再確認した」と語った。
  バイデン氏はトランプ前政権が中国製品に課した制裁関税について、引き下げの是非を「検討している」と述べた。
日本の防衛力強化
  首相は「日本の防衛力を抜本的に強化し、裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、支持を得た」と述べた。日米の安全保障、防衛協力を拡大・深化させていくことで一致したと強調した。
  記者会見で相手のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と表現した。「いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除しない」とバイデン氏に伝えたと明らかにした。
  バイデン氏は「日本が防衛能力を高めることを評価する。より強い日本、より強い日米同盟はこの地域によいことをもたらす。これが台湾海峡でも持続し、東・南シナ海でも続くことを望む」と語った。
  首相はバイデン氏から日本の防衛へのコミットメント(関与)が改めて表明されたと説明した。「今後も拡大抑止が揺るぎないものであり続けることを確保する」ため、日米間で緊密な意思疎通をしていくことで一致したと紹介した。
台湾情勢
  バイデン氏は記者から台湾有事が起きた場合に米国が軍事的に関与するかを問われ「はい(YES)。それが我々の約束だ」と発言した。「台湾について平和と安定のコミットメントは変わらない。一方的な現状変更の試みに反対する」とも語った。
  ロシアに対して毅然と対応することが台湾についても中国の抑止力となるとの認識を示した。
  ウクライナ侵攻を引き合いに出し「ロシアは制裁で長期的な代償を払わないといけない。そして、制裁が持続しないと、どういうメッセージを中国に送るか。台湾を力によってとろうとするかもしれない」と話した。
  一つの中国政策を米国が認めていると触れたうえで「力によって奪うことができるというのは適切ではない」と強調した。
  首相は会談で台湾情勢について協議したことも明かした。協議内容について「国際社会の平和と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸関係については平和的に解決を促していくものだった」と言及した。
  日米の台湾を巡る対応について「両国の基本的な立場は変更がないことを確認した」と強調した。台湾有事における米国の関与についての質問に「日本としても拡大抑止をはじめとするアメリカの対応を信頼している」と述べた。
日本の国連安保理常任理事国入り
  首相は日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りを巡りバイデン氏から「支持するとの表明があった」と言明した。
インド太平洋経済枠組み(IPEF)
  首相はバイデン氏が唱える「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を歓迎し、日本の参加を表明した。
  「米国がインド太平洋地域に対して経済的な面からも深い関心を示し関与しようとしていることについて日本として高く評価する」と語った。「インド太平洋地域における持続可能で包摂的な経済成長を実現していくことが重要だ」と訴えた。
  東南アジア諸国連合(ASEAN)には参加のメリットが少ないとの指摘に関して「前向きな協力の議論を(IPEFの)場を通じて行うことが大事だ。こうした取り組みで具体的な結果、実利にもつなげていくことができる」と指摘した。
  バイデン氏はIPEFに関し「21世紀に競争力を裏付けるものだ。デジタル時代の信頼性を確保することで、サプライチェーンを強化し、腐敗を防止する」と語った。
  首相は「環太平洋経済連携協定(TPP)」について「ぜひ米国の復帰を期待したい」と訴えた。会談でTPP復帰を求めた際のバイデン氏の反応について、外交上のやりとりとして回答を控えた。
  首相は7月に日米で経済閣僚同士の会合「2プラス2」を実施することでも一致したと説明した。
G7サミット広島開催・核軍縮
  首相は2023年に日本で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)を巡り「広島で開催し成功に向けてともに取り組むことを確認した」と明らかにした。「G7首脳とともに平和のモニュメントの前で平和と世界秩序と価値観を守るために結束していくことを確認したい」と強調した。
  バイデン氏もG7サミットの広島での開催に期待を示した。
  首相は日米両首脳で核軍縮・不拡散に関する取り組みを進めると表明した。両首脳は「核兵器のない世界」の実現で一致した。
米国のアジア関与強化
  首相はバイデン氏の来日について「米国のこの地域への関与を強化し続けることを示すものとして高く評価する」と話した。
  首相は日米首脳会談を受けて「共同声明を発出することになった」と明かした。ウクライナ情勢やインド太平洋の戦略的重要性を念頭に「自由で開かれた国際秩序の維持発展を目指す共同戦略だ」と訴えた。
在日米軍の再編
  首相は会談で沖縄県宜野湾市にある米軍普天間基地の名護市辺野古への移設を巡っても議論した。地元の負担軽減の観点から、移設を含む在日米軍再編を着実に実施することで一致した。
ウクライナ侵攻
  バイデン氏はロシアによるウクライナ侵攻を「非道な戦争で、わたしたちの原則に反する」と非難した。ロシアに対する経済制裁の実施やウクライナ支援を通じて「ルールに基づいた国際的な秩序を構築していく」と強調した。
  首相は「力による一方的な現状変更の試みはいかなる場所であれ断じて許容できず、G7をはじめ国際社会とともに引き続き毅然と対応する」と再確認したと明かした。
米国経済
  バイデン氏は米国が景気後退に陥っているのかとの記者からの質問に対し、日韓企業の半導体や電気自動車(EV)投資が相次いでいることなどを紹介した。
  「米国はサプライチェーンを再び立ち上げようとしており、雇用が生まれ、失業率は改善している。ロシアによる攻撃があっても、米国経済はより大きな前進をしている。米国経済は強さを維持し、成長を遂げている」と語った。
  トランプ前政権が中国製品に課した制裁関税の引き下げの是非を「検討している」とも述べた。
「新しい資本主義」
  首相は自らが掲げる「新しい資本主義」について「バイデン氏から改めて力強い支持をいただいた」と表明した。「中間層重視の政策を掲げるバイデン氏と協力し、主要国に共通する経済政策の大きな潮流をつくっていきたい」と唱えた。


2022.05.23-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220522/k10013637871000.html
米バイデン大統領訪日【速報中】日本滞在2日目 日米首脳会談

  就任後初めてアジアを訪問しているアメリカのバイデン大統領は22日夕方、日本に到着しました。日本滞在中は岸田総理大臣との首脳会談に加え日米豪印の4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に臨む予定です。バイデン大統領の最新情報を速報でお伝えします。

ワーキングランチ始まる(23日 12:30前)
  東京 港区の迎賓館で行われている岸田総理大臣とアメリカのバイデン大統領の首脳会談は、同席者を限定した少人数会合が終了しました。そして両首脳が昼食をともにしながら意見を交わす「ワーキングランチ」が午後0時半前に始まりました。
岸田首相 冒頭発言“日米両国で国際社会を主導”
  岸田総理大臣はバイデン大統領との日米首脳会談に臨んでいます。冒頭、岸田総理大臣はバイデン大統領の日本訪問はアメリカのインド太平洋地域への関与を示すものだとしたうえで、ウクライナ情勢などを踏まえ「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであり、このような力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであっても絶対に認められない」と指摘し、日米両国で国際社会を主導する考えを示しました。
バイデン大統領 冒頭発言「ウクライナの人々への支援を感謝」
  日米首脳会談の冒頭、バイデン大統領は「地域の国々との連携を強化しインド太平洋地域の人々に利益をもたらすためにIPEF=インド太平洋経済枠組みを立ち上げることにしている」と述べました。そして「日米同盟は長きにわたりインド太平洋地域の平和と繁栄の礎となっており、アメリカは日本に対する防衛に資することについて揺らぐことはない」と述べました。
  さらにバイデン大統領は「日本は世界のリーダーの1つとしてG7の各国とともにウクライナ侵攻を続けるプーチンの責任を追及し、われわれが共有する民主主義の価値観を守るために立ち上がっている。岸田総理大臣のリーダーシップとウクライナの人々への支援を感謝している」と述べたほか「われわれを日本に歓迎して頂くとともに、あすのクアッドの会合を主催していただき感謝する。われわれはインド太平洋地域の民主主義国家として常に協力して課題に取り組む方法を模索しているし、今後も話し合っていくことを楽しみにしている」と述べました。
日米首脳会談 少人数会合始まる(23日 11:30ごろ)
  東京 港区の迎賓館で行われている岸田総理大臣とバイデン大統領の首脳会談は、通訳のみを交えた2人だけの会談が終了しました。これに続いて午前11時半ごろ、同席者を限定した少人数会合が始まりました。
日米首脳会談始まる(23日 11:00すぎ)
  岸田総理大臣とバイデン大統領の日米首脳会談は午前11時すぎに始まりました。対面での本格的な会談は今回が初めてで、両首脳はまず通訳のみを交えた2人だけの会談に臨んでいます。
  ウクライナ情勢や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携のほか、北朝鮮をめぐる対応をめぐっても意見が交わされる見通しです。
岸田首相 バイデン大統領 迎賓館で栄誉礼(23日 11:00前)
  岸田総理大臣とバイデン大統領は東京 港区の迎賓館で、日米首脳会談に先立って陸上自衛隊の儀じょう隊による栄誉礼を受けました。
バイデン大統領 迎賓館に到着(23日 10:45)
  バイデン大統領は午前10時45分、東京 港区の迎賓館に到着しました。岸田総理大臣も午前10時すぎに迎賓館に到着していて、両首脳は日米首脳会談に臨みます。
バイデン大統領 皇居出発(23日 10:38)
  バイデン大統領は天皇陛下との会見を終え午前10時38分、皇居を出ました。皇居前広場では多くの警察官が警備に当たり、広場の外では大勢の人が車列が出て行く様子を見守っていました。
バイデン大統領 御所出発(23日 10:30すぎ)
 バイデン大統領は天皇皇后両陛下のお住まいの御所を訪れて午前10時すぎから陛下との会見に臨み、午前10時半すぎ、会見を終えて御所をあとにしました。陛下は玄関で大統領とにこやかに別れのあいさつを交わしたあと、車が見えなくなるまで見送られていました。
バイデン大統領と天皇陛下の会見終わる(23日 10:30ごろ)
  バイデン大統領は午前10時すぎから天皇皇后両陛下のお住まいの御所で天皇陛下との会見に臨んでいましたが、午前10時半ごろ会見は終了しました。
バイデン大統領と天皇陛下の会見始まる(23日 10:00すぎ)
  バイデン大統領は天皇陛下との会見に臨むため午前10時すぎ、天皇皇后両陛下のお住まいの御所に到着しました。御所の玄関では陛下が大統領を出迎え、笑顔であいさつを交わされました。
  そしてバイデン大統領と天皇陛下の会見が午前10時すぎから、天皇皇后両陛下のお住まいの御所で始まりました。
岸田首相 迎賓館に到着(23日 10:00すぎ)
  岸田総理大臣はバイデン大統領との日米首脳会談に臨むため、午前10時すぎに東京 港区の迎賓館に到着しました。
岸田首相 総理大臣公邸を出発(23日 10:00前)
  岸田総理大臣はバイデン大統領との日米首脳会談に臨むため、午前10時前に総理大臣公邸を出発しました。

バイデン大統領 皇居に到着(23日 09:56)
  バイデン大統領は天皇陛下との会見に臨むため、午前9時56分に皇居に到着しました。バイデン大統領はパトカーに先導され、およそ20台の車列で正門から皇居に入り、二重橋を通って天皇皇后両陛下のお住まいの御所に向かいました。

バイデン大統領 日本滞在2日目 ホテル出発(23日 09:53)
  バイデン大統領は午前9時53分に宿泊先の東京 港区のホテルを車で出ました。皇居を訪れ、天皇陛下との会見に臨むことになっています。

24日まで首都高や周辺の一般道路などで通行規制を予定
  バイデン大統領の滞在中は一部で首都高速道路や一般道路の通行が規制されることになっています。
  警視庁はウクライナ情勢で国際的な緊張が高まっていることから、アメリカ大統領の来日時としては最大規模となる1万8000人の警察官を動員し警戒にあたっています。大勢の人が集まるターミナル駅や空港などのいわゆる「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でも警戒を強化し、爆発物を探知する警備犬によるパトロールなども行います。
バイデン大統領 東京 港区のホテルに到着(22日 18:30前)
  バイデン大統領は午後6時半前、宿泊先の東京 港区のホテルに大統領専用の車両「ビースト」で入りました。24日まで滞在する予定です。
バイデン大統領 アメリカ大使公邸に到着(22日 18:05ごろ)
  バイデン大統領を乗せた大統領専用の車両「ビースト」は午後6時5分ごろ、東京 港区赤坂のアメリカ大使公邸に到着しました。
ヘリコプター「マリーン・ワン」港区に到着(22日 17:50ごろ)
  バイデン大統領を乗せたヘリコプター「マリーン・ワン」は午後5時50分ごろ、東京 港区のアメリカ軍基地「ハーディー・バラックス」に到着しました。バイデン大統領は大統領専用の車両「ビースト」に乗り換え、アメリカ大使館に向かいました。
バイデン大統領 横田基地を出発(22日 17:30前)
  東京のアメリカ軍横田基地に到着したバイデン大統領はヘリコプターに乗り込んで午後5時半前、横田基地を飛び立ち、東京 港区のアメリカ軍基地「ハーディー・バラックス」に向かいました。
バイデン大統領 横田基地に到着(22日 17:00すぎ)
  バイデン大統領は午後5時すぎ、東京のアメリカ軍横田基地に大統領専用機で到着しました。バイデン大統領が日本を訪問するのは就任後初めてです。

バイデン大統領 大統領専用機で韓国出発(22日 15:30すぎ)
  バイデン大統領は22日午後3時半すぎ、日本に向けて大統領専用機で韓国を出発しました。日本には22日夕方到着する予定です。
  バイデン大統領は23日、岸田総理大臣と首脳会談を行うほか、24日には日米両国にオーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に出席することになっています。
  また日本滞在中、中国への対抗を念頭においた新たな経済連携IPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた協議の開始も表明する見通しです。
バイデン大統領 訪日のねらいは?
  バイデン大統領が今回初めて日本を訪問する最大のねらいは、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続く中でもアメリカのインド太平洋地域への関与は揺るがないと明確に示すことにあります。
  アメリカが軍事侵攻への対応に追われ、中国が軍事力を背景に影響力を増すインド太平洋地域への関与を「後回し」にするのではないかという懸念が関係国の間で生じているからです。
  このためバイデン大統領は今回、日本と韓国という信頼を置く東アジアの同盟国に足を運び、強固な同盟関係や地域の安全保障への一貫した関与をアピールしたい考えです。とりわけ岸田総理大臣との首脳会談では、アメリカの核兵器を含む軍事力による抑止力を同盟国に提供するいわゆる「拡大抑止」が強固で十分であることを再確認することで中国をけん制したい考えです。
バイデン大統領の主な予定
  22日(日) 夕方来日
  23日(月) 岸田総理大臣と日米首脳会談
  24日(火) 日米豪印の4か国による首脳会合

日本滞在中、中国への対抗を念頭においたIPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた協議の開始を表明する見通し。


2022.04.09-FNN プライム オン ライン-https://www.fnn.jp/articles/-/344544
「バイデン大統領の失言は危険!」 アメリカ政界の“ご意見番”ハガティ前駐日大使が久しぶりに帰ってきた
【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】


日本出発を翌日に控えた4月7日、忙しいスケジュールを縫ってインタビューに応じてくれたのは、トランプ政権下で駐日大使を務め、2021年に上院議員に選出された共和党のウィリアム・ハガティ議員だ。
日本の桜が見たい!
  駐日大使を離任してから日本を訪問するのは今回が初めてとなる。約2年8か月ぶりの“帰還”だ。花見シーズンは過ぎてしまったが、遅咲きの桜を一目見たいと話す。

  ハガティ氏は、8日にワシントンを出発し訪日する。東京では、岸田首相をはじめ政府要人と会談しウクライナ情勢を巡るロシアへの対応について協議するという。「日本はロシアへの制裁において素晴らしい役割を果たしているし、日本とアメリカは常に強固な連携ができている」と話すハガティ氏。日米の連携によって対ロシア制裁は効果を発揮していると指摘する。
  また、台湾統一を目指す中国の軍事脅威が高まるなか、ハガティ氏は日本の自衛隊とアメリカ軍の合同演習などで軍事的存在感を示すことが、中国へ「明確なメッセージを送ることになり、地域の安定につながる」と話し、日米が安全保障面で緊密に協力することが重要だと強調した。
上院議員2年目にして外交政策通で「存在感」
  ハガティ氏は2021年1月に上院議員に就任してわずか1年ほどで、持ち前の外交政策への豊富な知識で存在感を示している。ウクライナを巡るロシアへの対応についても、老練の政治家、バイデン大統領にも臆することなく問題点を次々に指摘。アメリカ政界の”ご意見番”的な地位を獲得しつつある。
  3月26日にバイデン大統領が外遊先のポーランドで演説し、「プーチンを権力の座にとどまらせるわけにはいかない」と発言した。プーチン大統領の失脚をアメリカが画策しているともとれる発言をした際には、アメリカのテレビ番組に出演し「バイデン大統領は自分の発言についてよく考える必要がある。こうした発言はロシア政府に体良く利用されるだけでなく、プーチン大統領をさらに窮地に追い込む危険な発言だ」と批判した。さらに、「アメリカの強さに裏打ちされた重みのある発言は重要だが、その場しのぎの発言要らない」とバッサリ。元外交官としてバイデン大統領の外交手腕に厳しい視線を注ぎ続けている。
日本の政界や経済界と交流
  ハガティ氏は今回、超党派の議員を引き連れて、東京を皮切りに京都や名古屋を回り、日本の政府要人だけでなく経済界など幅広い人脈と意見交換する予定だ。アメリカで外交政策通として存在感が高まっているハガティ氏。舌鋒鋭い御意見番を味方につけておくことは、今後の日本にとっても損はないだろう。

  ウクライナ危機では、力ずくで現状が変えられていく有様を世界が目の当たりにした。今振り返ってみれば、ロシアや中国、北朝鮮と海を挟んで隣国の日本の安全保障環境は実はギリギリのバランスで維持されているがとても脆弱だといえる。混沌とする世界情勢の中でも明確になっているのは日米同盟の重要性であり、ハガティ氏のように日本と関係の深いアメリカの政治家も大切にしていく必要がありそうだ。
【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】


2022.02.19-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220219/k10013493031000.html
日系人強制収容から80年 バイデン大統領「二度とないように」

  太平洋戦争中、アメリカで日系人が強制収容されることになった大統領令の発令から19日で80年となるのにあわせて、バイデン大統領は声明を発表しました。この中で「二度とないように」という日本語も交え、過ちを繰り返さないことを約束するとともに、人種差別問題と向き合う決意を強調しました

  旧日本軍による真珠湾攻撃からおよそ2か月後の1942年2月19日、当時のアメリカのルーズベルト大統領は大統領令に署名し、これを受けておよそ12万人の日系人などが「敵性外国人」と見なされ各地の収容所に送られました。

  大統領令の発令から80年となるのを前に18日、バイデン大統領は声明を発表し、日系人の強制収容について「アメリカの歴史の最も恥ずべき章の一つだ。取り返しのつかない被害を受けた日系人への、連邦政府の公式謝罪を再確認する」としました。
  そして「80年前に日系アメリカ人を収監したことは、人種差別や恐怖などの増長を許したとき招くことになる悲劇的な結果を、今日の私たちに思い起こさせる」としたうえで、日本語で「二度とないように」と記し、過ちを繰り返さないことを約束するとともに、現代においてもコロナ禍などによって顕在化した人種差別問題と向き合う決意を強調しました。
  日系人が強制収容されることになった大統領令の発令から80年となるのにあわせ、アメリカでは各地で現在にもつながる人種問題について考える行事などが予定されています。


2022.01.06-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA060OP0W2A100C2000000/
在日米軍の外出制限要請 林外相、米国務長官に

  林芳正外相は6日、ブリンケン米国務長官と電話で35分間協議した。在日米軍施設で新型コロナウイルス感染が拡大する状況を受けて「外出制限の導入を含めた措置の強化と徹底を強く求める」と伝えた。

  ブリンケン氏は「地域住民の健康と安全が重要だ。日本と連携してできる限りのことをしたい」と答えた。電話協議は米側が要請した。
  沖縄県の玉城デニー知事は記者会見で米軍の対応について「県内の感染拡大は米軍からの染みだしが大きな要因だ」と非難していた。林氏とブリンケン氏は北朝鮮が「極超音速ミサイル」と主張する飛翔(ひしょう)体の発射やウクライナ情勢に関しても対応を話し合った。
  米国務省の声明によると、ブリンケン氏は発射を批判したうえで、日本防衛に関する米国の責務は「鉄壁だ」と伝えた。朝鮮半島の完全非核化に向けた協力を話し合った。ウクライナの独立や主権などを支持する考えで一致し、ロシアによる侵攻を阻止するための取り組みも協議した。
  日米は7日、両氏に岸信夫防衛相とオースティン国防長官を加えた外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)をオンラインで開く。



2021.12.02-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211202/k10013371211000.html
戦闘機の燃料タンク投棄 米軍“油圧低下の警告出たため投棄”

  青森県三沢市のアメリカ軍三沢基地に所属するF16戦闘機が11月30日、飛行中に燃料タンクを投棄し、一部が住宅地近くに落下したトラブルで、アメリカ軍が三沢市に対し、訓練に向かう際エンジンの油圧が下がり続けているという警告が出たため、パイロットが飛行が困難になると判断して投棄したと、説明していたことが分かりました。

  11月30日、青森空港に緊急着陸したアメリカ軍三沢基地のF16戦闘機は、着陸前に燃料タンク2個を投棄し、このうち1個が青森県深浦町の住宅地近くに落下しました。
  このトラブルについて1日、アメリカ軍が三沢市に対し「訓練のため基地を離陸して西に飛行している際、エンジンの油圧が下がり続けているという警告が出たため、パイロットが飛行が困難になると判断して、マニュアルに沿って地上の状態を確認したうえで投棄した」と説明していたことが分かりました。
  市によりますと、アメリカ軍のマニュアルでは、飛行中にエンジントラブルなどが起きた場合は機体を軽くするために、水面や、家などがない地上に燃料タンクを投棄すると定めていることについても説明があったということです。
  このトラブルを受けて、アメリカ軍は事故調査委員会を立ち上げて原因究明を進めるとともに、まだ見つかっていないもう1個の燃料タンクの確認を急いでいます。


2021.04.17-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210417/k10012980541000.html
日米共同声明 約半世紀ぶりに台湾に言及 中国を強くけん制

  菅総理大臣とアメリカのバイデン大統領は、日米首脳会談を受けて共同声明を発表しました。中国を強くけん制する内容となっていて、およそ半世紀ぶりに台湾に言及し、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に対し、深刻な懸念を共有するとしています。
  共同声明で、日米両国は、日米同盟が揺るぎないものだとして、自由で開かれたインド太平洋を推進するとともに、航行や上空飛行の自由を含む海洋における共通の規範を推進するとしています。
  そして、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動に対する懸念を共有し、日米両国は、東シナ海でのあらゆる一方的な現状変更の試みに反対するとともに、南シナ海での中国の不法な海洋権益に関する主張や活動への反対を表明するとしています。

  また、中国が「核心的利益」と位置づける台湾をめぐり「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記しました。
  首脳会談の共同声明で台湾に言及したのは、日中国交正常化前の1969年の佐藤総理大臣とニクソン大統領の会談以来、およそ半世紀ぶりです。

  また日米両国は、香港および新疆ウイグル自治区の人権状況への深刻な懸念を共有するとした一方、中国との率直な対話の重要性を認識し、直接、懸念を伝達するとしたうえで、共通の利益を有する分野で、中国と協働する必要性を認識したとしています。
  また安全保障をめぐり、日本は、日米同盟および地域の安全保障を一層強化するため、みずからの防衛力を強化する方針を示したのに対し、アメリカは、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日本防衛への揺るぎない支持を示し、沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であると再確認したとしています。
  また、北朝鮮の完全な非核化に向けて、国際社会による国連安保理決議の完全な履行が必要だと指摘したほか、拉致問題の即時解決へのアメリカのコミットメントを再確認したとしています。

  世界的に不足している半導体などのサプライチェーンをめぐっては、国家主導で生産力の強化を図る中国との競争を念頭に両国の安全と繁栄に不可欠な重要技術を育成・保護しつつ、半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携するとしています。
  気候変動の分野では、気候危機は、世界にとって生存に関わる脅威であることを認識し、日米両国は、この危機と闘うための世界の取り組みを主導していくとしています。そして、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」に整合的な形で2030年までに確固たる行動をとるとしています。

  さらに、新型コロナウイルスの感染拡大について日米両国は、パンデミックを防ぐ能力を強化するとともに、パンデミックを終わらせるため、世界的なワクチンの供給と製造で協力するとしています。
   東京オリンピック・パラリンピックについて、バイデン大統領は、この夏、安全・安心な大会を開催するための菅総理大臣の努力を支持するとしています。
台湾「心からの歓迎と感謝」
  日米首脳が共同声明で台湾に言及したことについて、台湾総統府の張惇涵報道官は「アメリカと日本が台湾海峡の平和と安定を重視していることに感謝し、評価する」というコメントを発表しました。
  張報道官は「台湾海峡の平和と安定はすでに海峡両岸の関係という範ちゅうを超えて、インド太平洋地域、ひいては全世界の焦点になっている。われわれは、北京当局が地域の一員としての責任を尽くして、台湾海峡および地域の安全に前向きな貢献をともにするよう期待する」と呼びかけました。
  また、台湾の外交部も「心からの歓迎と感謝を表す」というコメントを発表しました。
  この中で外交部は「台湾は第1列島線の要に位置し、地域の安定と繁栄の鍵であり続けるが、このところ地域の国々が直面しているのと同様の圧力や侵略の脅威を感じている」という認識を示しました。
  そして「アメリカと日本が地域の安全に関する現状を懸念していることをうれしく思う。米日および理念の近いほかの国々と緊密に協力しながら、民主制度やルールに基づく国際秩序を守り抜き、インド太平洋地域の平和と安定と繁栄を守る」としています。
  台湾の主要なメディアは日米首脳会談とその後の共同記者会見や共同声明について詳しく報じています。
米 中国大使館「強い不満と断固とした反対を表明」
  日米首脳の共同声明についてアメリカにある中国大使館は記者の質問に答える形で報道官の談話を発表し「台湾と香港、新疆ウイグル自治区に関わる問題は中国の内政であり、東シナ海と南シナ海は中国の領土と主権、海洋権益に関わるもので、干渉することは許さない。われわれは強い不満と断固とした反対を表明する。中国は国家の主権と安全、発展の利益を断固として守る」と強く反発しました。
  そのうえで「2国間の関係の範囲を完全に超えており、第三者の利益や、アジア太平洋地域の平和と安定を損なうものだ。時代に逆行し、地域の人々の心に背こうとする企ては自身を傷つける結果になるだろう」としています。
駐日中国大使館「日米双方に厳正な申し入れ行った」
  日米首脳会談の共同声明について東京にある中国大使館は記者の質問に答える形で報道官の談話を発表し「中国に対していわれのない非難を行い、中国の内政に干渉し、領土と主権を侵害しており、われわれは強い不満と断固とした反対を表明する。中国側はすでに日米双方に厳正な申し入れを行った」と強く反発しました。
  そして「台湾と新疆ウイグル自治区、香港などは純粋に中国の内政であり、いかなる外部からの干渉も許さない」としたうえで、沖縄県の尖閣諸島について「中国固有の領土であり、日米が何を言っても、中国に属するという客観的事実を変えることはできない」と、中国側の従来の立場を改めて主張しました。
  さらに「最近、日本側は中国に関わる問題で相次いで消極的な行動をとり、政治的な相互信頼を著しく損ない、双方の関係発展の努力を妨害している。われわれは日本側に対し、両国関係が振り回されず、停滞も後退もせず、大国間の対抗の渦に巻き込まれないよう忠告する」としています。
中国「1つの中国」原則堅持 米が踏み込んだ背景は
  中国は、台湾は中国の一部であるとする「1つの中国」の原則を堅持しています。
  このため、中国が各国と国交を結ぶ際には、各国に対し、台湾との間で政府高官の往来など政治的な交流は認めていません。
  中国は台湾に関する問題について主権などに関わり、一切譲歩することができない「核心的利益」だとしていて、将来的には台湾の統一を目指しています。
  一方、アメリカのバイデン政権が台湾で踏み込んだ姿勢を示す背景には、情勢の緊迫化への懸念があります。
  アメリカ軍の司令官は先月、議会の公聴会で台湾をめぐる情勢について「今後6年以内に脅威が明白になる」と述べて警戒感を示していて、これを防ぐためにも圧力と抑止力を強めたいねらいがあると見られます。
  また、バイデン政権は中国との競争を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけています。
  このため、民主主義の理念と価値観を共有する台湾の蔡英文政権への支援により積極的に取り組んでいるとみられます。
共同声明 安全保障面での協力推進の記述
  共同声明には、両国間の安全保障面での協力を推進する記述が盛り込まれました。
  このうち、鹿児島県西之表市の馬毛島に在日アメリカ軍などが使う施設を建設する計画について、日米両国が「在日米軍再編に関する現行の取り決めを実施することに引き続きコミットしている」と明記されました。
  この計画は、現在、小笠原諸島の硫黄島で行われている在日アメリカ軍の空母艦載機の離着陸訓練の移転先などとするため、自衛隊施設を建設する計画で、防衛省はことし2月に、周囲の環境に与える影響を調査するため、法律に基づく環境影響評価の手続きを始めています。
  一方、地元の西之表市の市長は、計画に反対を表明して、ことし1月の市長選挙で再選され今月12日に防衛省を訪れ、改めて計画に反対する考えを伝えました。
  計画については、先月行われた日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」などでも着実に進めることを確認していましたが、首脳会談の共同声明に明記されたことも踏まえ、防衛省は、計画の重要性を引き続き説明しながら、地元の理解を求めていきたい考えです。
  また、共同声明では、在日アメリカ軍の駐留経費の日本側負担をめぐっても「安定的及び持続可能な駐留を確保するため、時宜を得た形で、有意義な多年度の合意を妥結することを決意した」と明記されました。
  在日アメリカ軍の駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」は、日本政府がアメリカ軍基地で働く従業員の給与や、光熱費の一部などを負担しているもので、日米両政府は、ほぼ5年ごとに特別協定を更新しています。
  政府は去年11月にトランプ前政権との間で実務者による交渉を始めましたが具体的な負担額で折り合いがつかず、バイデン政権に引き継がれました。
  そして、ことし3月に特別協定の期限が迫っていたことを踏まえ、両政府は、今年度の負担額を前年度と同じ水準の2017億円とし、来年度・2022年度以降について継続して協議することで合意しました。
  今回、共同声明に明記されたことを受け、継続協議とされている来年度以降の負担額については、年内の妥結に向けて、日米の実務者による交渉が今後、加速することも予想されます。
イノベーションの分野での成果文書まとめる
  日米首脳会談では、共同声明に加えてイノベーションの分野での成果文書をまとめました。
  この中では高速・大容量の通信規格、5Gや6G、ビヨンド5Gなどと呼ばれる次世代の通信規格での競争力を強化するためにアメリカが25億ドル、日本が20億ドルを投資し、研究開発を行うとしています。
  また、半導体を含む機微なサプライチェーンの構築や重要技術の育成・保護に向けて協力を行うほか、脅威が高まっているサイバーセキュリティーの分野でも日米が連携して対応していくとしています。
  また、気候変動対策では、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標と整合する形で2030年までに確固たる行動を取るとして、水素や蓄電池の活用や二酸化炭素の再利用などの技術開発で連携することや、インド太平洋諸国を含む新興国で再生可能エネルギーを普及させるために支援していくことが盛り込まれました。
  このほか、新型コロナウイルス対策ではワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」や「クアッド」と呼ばれる日本とアメリカ、オーストラリアとインドの4か国の枠組みを通じて途上国へのワクチンの供給に向けて緊密に連携するほか、日本の「富岳」などのスーパーコンピューターを活用してより効果的な感染防止対策の開発にも取り組むことで一致しました。
  さらに、日米両国が人的な絆を強化するため留学の機会を拡大するなどの方針が確認されました。


2021.04.16-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f73fd7786e26275381c832ce4f07694970da0c46
日米、台湾の平和明記へ 共同声明 首脳会談で中国牽制

  【ワシントン=杉本康士、黒瀬悦成】訪米中の菅義偉首相は16日(日本時間17日未明)、バイデン大統領とホワイトハウスで会談する。会談では台湾海峡の平和と安定が重要との認識で一致する見通しで、バイデン政権高官は15日の電話記者会見で会談後に発表される共同声明に明記したい意向を示した。中国企業がシェアを拡大する第5世代(5G)移動通信システムなどに関し、日米が20億ドル規模の協力を進める方針を発表することも明らかにした。

  首相はバイデン氏が就任してから初めて米国に迎える外国首脳で、対面形式で会談する外国首脳としても初めて。会談に先立ち、首相はハリス副大統領と会談し、「バイデン・ハリス政権が同盟国との協調を重視していることを高く評価したい。今回の訪米で日米同盟をさらに強固なものにしていきたい」と述べた。  会談で両首脳は中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区と香港の人権状況について深刻な懸念」を共有。中国に依存しない半導体などのサプライチェーン(調達網)構築や中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗するインフラ整備支援での協調も確認する。
   バイデン氏は「核の傘」を提供する意向を示すほか、中国海警船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)に関し、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象に含まれることを確認するとみられる。
   首相はまた、北朝鮮による拉致問題の解決に向けバイデン政権の協力を改めて求める。核・ミサイル開発に関し、日米韓3カ国で連携して対処する方針でも足並みをそろえる。
   一方、両首脳は地球温暖化対策をめぐり、目標、手法、第三国支援の方針を共有し、パートナーシップ協定締結を目指す。2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロに向け、22~23日にオンラインで開催されるバイデン氏主催の気候変動サミットで日米が主導的役割を果たす姿を描く。
   新型コロナウイルス対策に関しては、日米豪印4カ国の首脳が3月12日のオンライン会合で東南アジア向けを中心に新型コロナワクチンの生産、流通で連携する方針を打ち出しており、日米首脳会談でも改めて協力を確認する。
   今夏の東京五輪・パラリンピックも議題に上る見通しで、バイデン政権高官は「(五輪開催を目指す)日本の取り組みに水を差したくない」としつつ、事態がどう展開するかを見通すのは「やや時期尚早だ」と述べるにとどめた。


2021.03.21-ニッポン報送NEWS NLINE-https://news.1242.com/article/279257
中国排除・日米連携の通信政策でNTTが中心を担う複雑な環境

  ジャーナリスト・須田慎一郎が3月21日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『須田慎一郎のスクープ ニュース オンライン』に出演。日本の通信政策・安全保障においてNTTがおかれる複雑な環境について解説した。

日米の緊密な連携の継続をアピールできワンポイントゲット
  菅総理は来月(4月)にアメリカを訪れ、バイデン大統領と初めて対面し、日米首脳会談を行う。他の主要国首脳に先んじてバイデン氏と顔を合わせて会談が行われるのは、アメリカが最優先する対中国戦略で、地政学的にも重要な位置にある日本との連携を重視しているからとされているが、本当にそれだけなのか。
  須田:アメリカというと、これまでトランプ政権のなかで一国主義というか、自国最優先主義のような形で進んで来た。ところが、バイデン政権になったら国際協調、特に同盟国との関係を優先してしっかりやって行きますよ、という方向に転換したわけです。そのなかで、アメリカにとって重要な地域や国がいくつかあって、やはりアジア太平洋地域で言えば、日本との関係ということになる。もちろん日本にとって、いちばん重要な国際関係、外交関係はアメリカであり、日米同盟であると。
  ですからアメリカの大統領が変わる、あるいは日本の首相が変わると、いちばん最初にどこへ行くのかと言えば、一部例外はあるにせよほぼアメリカへ行って、大統領と会談をやるというのが習わしになっているわけです。

  今回はアメリカの大統領が交代したということで、菅総理がいつ訪米して会談するのかということが注目されていましたが、各国首脳のなかではトップバッターで会談を持つことができたのは、外務省ないし日本の外交としてはワンポイントゲットかなと思います。
  政権交代が行われても日米が緊密な連携、そういう関係にあるということを世界に向けて発信できたのは、評価できるのかなと思います。
  新行:はい。
  須田:私が最も注目しているのは、米中関係と言うとさまざまな局面があるけれども、やはり注目はハイテク分野です。特に通信などを中心とするハイテク分野、例えば5Gですよね。
  言うまでもなくトランプ政権はファーウェイの排除……ファーウェイ以外にも、いくつか中国系のハイテク企業はあるのだけれども……政府調達からそういった企業の製品、サービスは外すということを決めました。加えて、そういったリストに載っている企業と取引しているような、外国企業からの政府調達もしませんよ、ということで、ある意味でデカップリングが進んで来ています。
  実は、これは政策面で進めていると同時に、民間企業というか、民間も主導する形で静かに深く潜行しています。
ハイテク分野での「日米連携」「中国排除」の中心的存在NTT
  須田:例えばどういうことかと言うと、中国では中国共産党政府が指示を出せば、企業が集めて来たデータを提供しなくてはならないという義務を負っているわけです。いくら「やりません」と言っても、その法律に逆らうことはできない。だから、個人情報の漏洩等々を含めて非常にリスキーなので、要するに取引を切りましょうという動きが、アメリカなどを中心に起こって来ている。
  新行:はい。
  須田:そのなかで、最終的に完成した製品だけではなく、その製品に組み込まれているような、製品をつくるために必要な部品……部品と言っても、例えばCPUなどがなければパソコンなどの通信機器は使えませんよね。そういった、中心になっている部品です。これについても、チャイニーズリスクから除外するために、「中国製品は使いません。あるいは中国に部品を提供している企業のものは使いません」という動きになって来ているわけです。
  全面的に中国排除という動きになっているのですが、実を言うと日本もかなり深く連携していて、その中心企業になっているのがNTT、旧電電公社ということで、ある意味で国策企業ですからね、NTTがそちらの方にずっと動いていくのも当然なんですが。
  加えて、かつて電電公社を支えた電電御三家というものがありました。1社はもうすでにそういう役割を果たしていないのですが、残り2社のうち1社は富士通、もう1社は日本電気(NEC)です。こういったところが今後、半導体の生産を担って行くのではないかと思います。一時期は日の丸半導体というと、斜陽と言われていたのですが、いままさにもう1回チャンスが巡って来ている。
  新行:なるほど。
  須田:そういった流れで考えてみると、中国あるいは中国陣営サイドからすれば、「NTTって何だか目障りだよね」ということにもなるのですよ。もちろんそれに追随するかのように、ソフトバンクもかつてはファーウェイの端末を使うような動きを見せていましたが、いまは完全に関係を切っています。
  NTTがそういった主導役、リーダー役を務めるとなると、結局日本の通信政策というのは反中国、非中国になってしまう。やはりここは、「NTTにくさびを打ち込んだ方がいいのではないか」というところもある。ですから、なぜNTTが、澤田社長がいま矢面に立っているのかを考えてみると、場合によっては水面下でそういう動きがあってもおかしくないと思っています。それが事実かどうかは別として、可能性として言っているのだけれども。
  NTTをめぐる環境を考えてみると、非常に安全保障的な……あるいは中国との関係を考えてみても、複雑な状況に置かれていると思います。その枠組みのなかで日米連携というのが、日を追うごとに着々と進んでいる。そして、日本においてその中心を担っているのがNTTなのだと、そのように読み解いていただきたいなと思います。


2021.03.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/affairs/news/210310/afr2103100024-n1.html
トモダチ作戦の日米調整役「日米の絆が太くなった」
(1)
  【台北=矢板明夫】東日本大震災発生時に米国の駐沖縄総領事を務め、米軍による支援活動「トモダチ作戦」に深く関わったレイモンド・グリーン米国在台協会(AIT)台北事務所(在台湾大使館に相当)副所長が10日までに、産経新聞のインタビューに応じ「日本人被災者のマナーの良さに感銘を受けた。震災支援を通じて日米の絆はさらに太くなった」などと述べた。

  東日本大震災の発生直後、沖縄にいたグリーン氏は東京の米大使館に呼ばれ、救援に参加する米軍の政治顧問の役割を与えられた。その後の約6週間、都内の米軍横田基地に赴き、日米両政府や米軍との調整役を務めた。

  2万4000人が参加し、米軍史上で最大級の支援活動となった「トモダチ作戦」の中心にいたグリーン氏は「日米間の意思疎通はいつもスムーズだったが、逆に米国の政府関係者、専門家と軍人の考え方などに大きな違いがあり、米国人同士間での調整にかなり苦労した」と振り返った。
  グリーン氏らは毎日のように「救援活動に必要な人材、資金、技術」といった要望を本国に提出したが、ワシントンからの対応の早さに驚いたという。
  「政府に予算を申請するときは常に煩雑な手続きを強いられるが、当時の米国は『
日本が必要なものなら何でも出す』という姿勢で、震災に関する要請はすぐ聞き届けられた」と話す。グリーン氏は「あんなに効率の高い政府は見たことがなかった」と笑った。
  司令官と一緒に第一線で支援する各部隊を回り、兵士らを激励することもグリーン氏の仕事の一つだった。「しかし、『同盟国のために頑張ろう』という兵士たちの士気はとても高く、激励する必要はなかった」という。
  グリーン氏が最も感銘を受けたのは、沿海部の被災地を回り、水や食料を配った、あるヘリコプター部隊からの報告だった。
(2)
  この部隊はそれまでに世界各国で災害支援をした経験があったが、日本の被災者だけはほかの国と違っていたという。みんなが整然と列に並んで静かに待ち、もらった物資が全員に行き渡るように分け合っていた。多くの兵士が被災者の姿に感動していたという。
  トモダチ作戦を経て沖縄に戻ったグリーン氏は「地元で米軍に対する印象が良くなっており、日米同盟を支持する人が増えた」ことを実感したという。

  レイモンド・グリーン氏 米メリーランド大学で日本語を学び、シンクタンクの研究員などを経て国務省入り。1998年から2012年にかけて計9年間日本に駐在し、駐沖縄総領事などを歴任した。駐(中国)成都・米総領事などを経て、18年から米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所副所長。



2020.12.08-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201208/wor2012080018-n1.html
米知日派「アーミテージ・ナイ報告」 ファイブアイズへの日本参加促す

  【ワシントン=黒瀬悦成】アーミテージ元米国務副長官、ハーバード大のナイ特別功労教授ら米国の超党派の知日派有識者は7日、バイデン次期米政権と菅義偉政権が「安全保障上の最大の課題」である中国との「競争的共存」に向け、日米同盟を強化していくべきだとする報告書を発表した。
  報告書は「アーミテージ・ナイ報告」と通称され、公表されるのは2000年以降5回目。
  報告書は、米英とカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」に関し、日本を加えた「シックスアイズ」にする方向で日米が真剣に努力し、同盟協力を深化させていくべきだと訴えた。
  また、菅首相がバイデン政権発足後、できるだけ早い段階で訪米し、日米首脳会談を行うことを強く支持するとした。
  トランプ政権下での日米関係については、日本が自由貿易や多国間協調で主導的な役割を果たしたとし、「両国関係史上、日本が初めて同盟において対等な役割を担うようになった」と評価した。
  日米同盟のあり方については「共通の戦略構想の実現に関心と取り組みを集中させるべきだ」と指摘。「同盟は重荷ではない」との見方も示し、トランプ政権下で大幅な増額要求があった在日米軍の駐留経費負担に関する交渉については「早急に仕切り直し、決着させる必要がある」とした。
  台湾情勢では「中国による台湾への軍事・政治的圧力に対する米国の懸念を日本が共有していることに疑いの余地があってはならない」とし、日米が台湾との政治・経済的関与で連携し、中国の圧力に対抗していくべきだと強調した。
  北朝鮮の非核化については「短期間で実現させるのは非現実的だが、長期的な目標であり続ける」とし、北朝鮮の核の「抑止と封じ込め」に向けて日米と米韓が優先課題として取り組んでいくべきだとした。同時に、日米韓の情報および防衛協力の強化も不可欠だと強調した。
  日韓関係については「過去ではなく、未来に関心を向けるべきだ」とした。
  経済分野では、トランプ大統領が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に米国は復帰すべきだとしたほか、クリーンエネルギー分野や環境対策でも協力を拡大させていくべきだとした。


2020.10.7-CNN co.jp(香港)-https://www.cnn.co.jp/world/35160592.html
ポンペオ米国務長官、日豪印との4カ国外相会合で対中結束を確認

  香港(CNN) ポンペオ米国務長官は6日、訪問先の日本でオーストラリア、インドを加えた4カ国外相会合に臨み、中国の脅威に対する結束を確認した。
  ポンペオ氏は東京都内での会合に先立ち、新型コロナウイルス感染拡大の初期段階で中国共産党による「隠ぺい」があったと批判。「我々が中国共産党の搾取と腐敗、抑圧から自国民と友好国を守るために連携することが、今ほど重要だった時はない」と訴えた。
  残る3カ国のうち、オーストラリアのペイン外相とインドのジャイシャンカル外相はともに「自由で開かれた包含的なインド太平洋」を目指す必要があると述べた。この表現は、中国の領有権主張に対抗する場面でよく使われる。
  会合後に会見した国務省高官も、日本やインドが米国と同様、中国によって民主主義や自由市場経済が侵される現状に対して行動を起こしているとの認識を示した。
  ポンペオ氏はトランプ政権きっての対中強硬派として知られる。政権内部がトランプ大統領の新型コロナウイルス感染で混乱するなかでも、対中戦略に重点を置いてきた。
  4カ国外相会合が初めて提唱された2007年から、中国は全参加国に強く抗議し、オーストラリアがこれを懸念して脱退。会合自体も見送られたが、中国の南シナ海進出に対抗する形で17年に再開された経緯がある。







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