科学の問題-1


2023.09.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230928-HBXQ2BM2CZPBXJUEZLDXLZYA5I/
「反重力」存在せず 国際チームが証明

  重力と反対方向に働く「反重力」は存在しないことをカナダや欧米などの国際研究チームが実験で突き止め、英科学誌ネイチャーに論文が28日掲載された。反重力は50年以上前から物理学やSFで存在の可能性が議論されてきたが、精密な実験によって存在しないことを初めて証明した。

  身の回りにある普通の物質を空中に置くと、地球の重力によって落下する。だが普通の物質と電気的な性質が反対の「反物質」は、普通の物質と反発する反重力によって地球から離れ、上昇する可能性が一部で指摘されていた。
  これを確かめるため研究チームは、欧州合同原子核研究所(CERN)で縦型の筒状装置を開発。磁気を利用して、水素の反物質である「反水素」の原子を内部に約100個閉じ込めた後、筒の上下を開放し、反水素が上昇するのか、落下するのかを調べた。
  その結果、反水素は普通の物質と同じように、重力によって落下することが確認され、反重力の存在を否定するアインシュタインの一般相対性理論の正しさを裏付
けた。
  研究チームのカナダ国立TRIUMF研究所の藤原真琴上席研究員は「反物質が落下する際の重力加速度は普通の物質と厳密に同じかどうか、今後の実験で検証したい」と話す。
  反重力は宇宙の進化に関係しているとの学説があったほか、SFでは地球から離れる力をロケットや空中に浮かぶ都市などに利用するアイデアが出ていた。


0(ゼロの概念)
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  文字 0 によって表されるものは、何もないことに対応する基数自然数)であり、1 の直前の序数順序数)であって、最小の非負整数である。また、−1 の次の整数でもある。(れい、ぜろ)、ゼロ: zero)、セロ西: cero)、ヌル: Null)、ノート: nought)、ニヒル: nihil)などと読まれる。また、文字の形状から、稀にまるあるいはオーなどのように呼ばれることもある。なお、日本の通話表においては、0 は「数字のまる」と送られる。
  数としての 0 は、整数環実数体(あるいはさらに一般の数からなる代数系 )における加法単位元であるという性質をもっている。文字としての 0 の使用は位取りによる記数法の桁揃えに役立つ。

数としての 0
  0  1 の直前の整数である。多くの数体系で 0 は負の概念よりも前に同定され、負の概念は 0 よりも小さいものとして理解される。0 は偶数である[1][注 2]。0 は正の数でも負の数でもない。0 を自然数とする定義もあり、その場合自然数と正の整数は同義ではない。
  0は数量が空っぽであることを意味する数である。兄弟が0人いるというのは兄弟がひとりもいないことを意味し、重さが0であるというのは重さが無いことを表す。あるいは二つの砂山の砂粒の数の差が0であるということは、その二つの砂粒の数の差がないことを意味する。

  数を数えはじめるまえは、ものが0個であると仮定することができる。つまり、最初のものを数え始めるまでは0で、最初のものを持ってきてはじめて1であると勘定することになる。ほとんどの歴史学者をはじめ世界中の人々はグレゴリオ暦ユリウス暦から紀元0年を除いて考えるが、天文学者などは計算上不都合があるため暦に紀元0年を含めて考える。また、(紀元)0年という文言は、時間における新しい起点となりうる、非常に意義深い出来事を記述する場合にも用いられることがある。字としての 0
  代的な数字の 0 は、円、楕円、角の丸い長方形のような形に書かれるのが普通である。最も現代的な書体では 0 は他の数字と高さが同じになるものが普通だが、ノンライニング数字のある書体では、0の文字の高さが低くなることが多い
  電卓やデジタル時計、家電などで見られる7セグメントディスプレイ上では、0 は普通6個の線分で描かれるが、4個の線分で 0 を表すものも古いモデルなどで見られることもある(アルファベットの oとして表示される場合もある形である)

  位取り記数法で用いられる数字の 0 は、数あるいは数値としての 0 とは別物である。位取り記数法における数字の並びは上位の桁の数字がより高い重みを持つので、位取り記数法における数字の 0 は空位を表すのに用いられ、それによって下位および上位の桁の数字に適切な重みを与えることができる。位取り記数法で数字の 0 がいつでも必要というわけではない。たとえば 02 は数としては 2 と同値であるため先頭の 0 は冗長である。
  稀に、頭に 0 を付けた数値を付いていない数値と別のものとして扱うことがある。例えばルーレットで '00' は '0' とは別('0' に賭けたなら玉が '00' に止まっても勝ちにならないし、逆もそう)である。競技者に番号が振られるスポーツなども同様で、例えばストックカーで '07' 番の車は '7' 番の車とは別だと看做される。

  伝統的に、多くの印刷書体では、似た字体である0と大文字のO(オー)との区別のために、大文字の O を細い楕円形の 0 よりもさらに丸いものにしている。タイプライターではもともと O と 0 の字形を区別してはいなかったし、0 に対してキーを割り当てていないモデルすら存在した。これらの字形に区別がはっきりと生じるのは、コンピュータのプログラムのように明確に識別できることが必要になった、現代的な文字表示装置においてである。
  中央に点のある 0 が用いられたのは IBM 3270 表示装置の付属文字が最初であろう。この字体は Microsoft Windows でも Andalé Mono英語版 書体に受け継がれている。点の代わりに短い縦棒を用いたものもあり、これは解像度の悪い表示画面ではギリシャ文字 Θ と紛らわしいかもしれないが、Θ が表示可能な文字でなかったりともかくあまり使われないなどの理由で現実的にはそれほど問題となってはいない。
  他に、斜線付きゼロ(O を / で串刺しにしたような字形)が初めて用いられたのは、パンチカードやテープに転写する前の手書きコーディングシートにおいてであり、ASR-33 テレタイプのデフォルトのタイプホイールの流れを汲む旧式の ASCII 図形文字集合においても用いられる。この字形は空集合を表す記号  あるいは "∅"(Unicodeで U+2205 の文字)や、いくつかのスカンジナビア語群で用いられる Ø とも似ている。CSSでは、OpenTypeフォントのfont-featureタグを用いて、0に斜線を入れることもできる。Unicodeでは、バージョン9.0にて異体字セレクタを用いたシーケンスU+0030(数字0) U+FE00(VS1)で斜線付き0が定義された。

  逆に、文字 O に斜線をつけて数字の 0 につけない慣習を支持するのが、著名なIBMユーザーグループの SHARE であり、FORTRAN のプログラムの書式としてこの慣習が IBM によって推奨されている。また、他のいくつかの初期のメインフレームメーカーもこれを支持している。この慣習はスカンジナビア人にとっては二つの文字の衝突を意味するため十分問題含みである。これらの他は、IBM の Algol プログラムの書式をも含め、これとは逆の慣習を支持している。 バロース/ユニシスの画面表示装置には逆斜線つき 0 を備えたものもある。別の慣習として、初期のラインプリンタでは飾りのない 0 を残したものの、大文字の O にはしっぽやひげをくわえて、逆向きの Q 筆記体の大文字 O のように見える字形としたものがあった。とあるタイプ式のプリンタで、0 と O は別の活字になっているのに、あまりに似ていて区別ができないデザインであることに腹を立てた人が、O の活字をヤスリで加工して切れ目を入れてしまった、というエピソードもある。
  計算機での使用を目的として設計されたフォントでは、アルファベット O と数字 0 の一方をより丸く他方をより(長方形に近く)角ばらせているものがある。テキサス・インスツルメンツ TI-99/4A 計算機では大文字の O が四角くて数字の 0 が丸いという特徴であったが、これ以外の計算機では逆の選択がなされている。

  ヨーロッパの大部分では、車輌のナンバープレートの書体でこの方法を部分的に用いて(0 を四角くしたり、0 よりも O のほうを幅広にしたりして)これらの記号を区別しているが、国によってはさらに 0 の右上隅に切込みをいれてより明確な区別をつけているものもある(たとえば、ドイツの車輌ナンバープレートで用いられている変造防止文字など)
  時には、混乱を完全に避けるために専ら数字の 0 を用いたり逆にまったく用いなかったりすることもある。例えば、サウスウエスト航空で用いられている予約番号では数字の 0 と 1 の代わりに専ら大文字の O と I が使用されているし、反対にカナダの郵便番号日本銀行券の記番号では 1 と 0 が用いられるのみで、大文字の I と O は使用されていない。
歴史
0 の起源
  ゼロの発明は、数学史の飛躍の一つである。
  紀元前2500年頃のピラミッドの幾何学的な正確性は、古代エジプト人が高度な数学を持っていたことを示す。しかし古代エジプトでは数学は主に暦法と土地測量の手法として発展したため、零の研究は発達せず、それを表す記号もなかった。面積がゼロの土地はなく、0日めのあるカレンダーもない。よってゼロは不要であった。
  紀元前500年頃、楔形文字を使っていたメソポタミア文明で、位が 0 であることを示す文字を使い始めたことがわかっている。六十進法を用いたバビロニアの数の表記には、古くは 0 がなく、例えば「62」と「602」は表記が全く同じで、見分けがつかなかった。これは非常に不便であったので、時代が下ると 6 と 2 の間に斜めの楔を並べて、62 と 602 の区別を表すようになった。この文字が人類が最初に 0 を表現した記号とされている。しかし、0 自体を数のうちとして扱ってはいなかった。
  古代ギリシャでは高度な数学と天文学が発展したが、ギリシャ数字は計算が非常に面倒だったので、天文学のような大がかりな計算にはバビロニアから伝わった六十進法を使った。最も古い例は130年、プトレマイオスが零と六十進法を用いて計算をした記録がある。ギリシャの数学者はこの方法で時間や角度を計算し、1時間、また角度の1の1/60を1分、1/60分を1秒とした。しかし整数部分である1時間単位や角度そのものには零を使わず、12時の次は0時ではなく1時であった。ギリシャでは、バビロニアのゼロ記号にはギリシア文字オミクロン「ο」を当てた。アラビア数字の0と形が似ているが、これはおそらく偶然であったとされる。

  アルキメデスは「ある数とある数を足せば、結果は元の数より大きくなる」という「アルキメデスの公理」を定立したが、足しても増えない性質を持つゼロは、この公理上、数ではないことになる。古代ギリシア人は「ο」を単に小数点のような位取りを表す補助記号として使い、数のうちに含めなかった。ギリシア数字にはゼロを示す文字がなく、ギリシャの数体系を継承したローマ数字にもゼロにあたる数字がない。

  古代西洋で 0 の概念が受容されなかったのは、その宇宙観によるところが大きかった。アリストテレスは「自然は真空を嫌う」と宣言し、空間は必ず何らかの物質が充満しているとして真空、つまり「無」の存在を認めなかった。またアリストテレスは、宇宙を地球を中心にする球である天球と定義し、有限なものと考えた。この哲学からは「」と「無限」は認められなかった。
  アリストテレス哲学を源流とする「無」と「無限」を否定する宇宙観は中世ヨーロッパに継承され、宗教の一部と化した。17世紀まで、ヨーロッパでゼロや無限を主張することは、キリスト教への冒瀆であり、死刑宣告を意味した。中世ヨーロッパではゼロを悪魔の数字とみなし、ローマ法王により使用が禁じられた。1600年には、宇宙が無限であると主張した修道士ジョルダーノ・ブルーノが、異端の罪で火あぶりの刑にされている。

  「無」が実在することを認め、ゼロを数として定義したのは「無」や「無限」を含む宇宙観を持ち、哲学的に「無」を追究した古代インドにおいてである。0の位置を記号で表わすバビロニアの方法はインドにも伝わった。最近になってオックスフォード大学の研究チームが、1881年に現パキスタン国内で発見されたバクシャーリー写本と呼ばれるカバノキの樹皮の巻物の数学書が、これまで考えられていたより500年古い3 - 4世紀頃のものであることを年代測定で特定した。そしてこの巻物に記された黒点が、インドにおける最古の0を表す文字であることになった。
  古代インドの数学で数としての「0」の概念が確立されたのは、はっきりしていないが5世紀頃とされている。数学者のブラーマグプタは、628年に著した『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』において、0 と他の整数との加減乗除を論じ、0 / 0 を 0 と定義した以外はすべて現代と同じ定義をしている。ゼロは「シューニャ」( サンスクリット語: शून्य, śūnya。うつろな)と呼ばれた。9世紀頃のグワリオールの寺院の壁に残る碑銘が「0」の最古の例とされていたが、バクシャーリー写本の年代が放射性炭素年代測定によって3-4世紀であることが判明したため、年代が約500年さかのぼった。これがアラビアに伝播し、フワーリズミーの著作のラテン語訳 :により「アラビア数学」の「0」として西欧に広まっていった。

  インド・中東・ヨーロッパを除いて、数や空位を表す記号としての「0」を確立した地域としては、マヤ文明が代表例である。マヤ数字二十進法を用いたが、「0」を意味する記号として貝殻に似た模様 が用いられた。二十は「点1つの下に貝殻模様」という位取り記数法であり、例えば十進表記の1616(二十進表記の40G)は上から順に「点(一)が4つ | 貝殻模様 | 横棒(五)が3つ + 点(一)が1つ」という形式で表記された。
  中国では算木が紀元前から使われており、位取り記数法が確立していたが、空位は空白で表していた。算木を実際に使うときは誤解がないが、それを書写するときは紛らわしい。後に空位を「〇」と書くようになった。これはインドの「0」が輸入されたとも、元々、漢文で空白を表す「囗」が「〇」に変化したともいう。(漢数字#〇、零を参照。)

数学における 0 の使用
初等代数学
  数の 0 は最小の非負整数である。0 の後続の自然数は 1 であり、0 より前に自然数は存在しない。数 0 を自然数に含めることも含めないこともあるが、0 は整数であり、有理数であり、実数(あるいは代数的数、複素数)である。
  数 0 は正でも負でもなく、素数でも合成数でも単数でもない。一方、0 は偶数である。
  以下は数 0 を扱う上での初等的な決まりごとである。これらの決まりは x を任意の実数あるいは複素数として適用して構わないが、それ以外の場合については何も言及していないということについては理解されなければならない。
数学におけるその他の用法
  ・集合論では 0 は空集合の濃度である。ある人が林檎を一つも持っていないならば、その人は 0 個の林檎を持っている。実際のところ、集合論から展開されるある種の数学では 0 は空集合のこととして定義される。こう定義したとき、0 としての空集合は元を持たない集合としての空集合に対するフォンノイマンの基数割り当てであり、空集合に対する濃度は 0 個の元を持つという意味が割り当てられた値としての空集合を返す。
  ・同じく集合論で、0 は最小の順序数であり、空集合を整列集合とみなしたものに対応する。
  ・命題論理では 0 真理値であることを表すのに用いる。
  ・抽象代数学では 0 は一般に(考えている構造において定義されているならば)加法に関する単位元としての、あるいは乗法に関する吸収元としての、零元を表すのに用いられる。
  ・例えば線型代数学において零写像 0, すなわち定義域 V の任意の元を値域 W 零ベクトルに写す線型写像は、V から W への線型写像の成す線型空間。また零行列を 0 で表すこともある。
  ・同じく抽象代数学において、零元のみからなる部分代数系 {0}  0 で表すことがある。(零対象 (代数学)も参照)
  ・束論では 0 有界束最小元を表すのに用いられる。
  ・圏論では 0 始対象(特に零対象)を表すのに用いられる。
  ・ゲーデル数では、0 空文字列を意味する。
自然科学における 0 の使用
物理学における使用
  多くの物理量において 0 は特別な値であるが、それは物理的な必然性を持って設定されることもあれば、何らかの任意の基準を適当に割り当てることもある。例えば熱力学温度における 0 度は理論的な最低温度(絶対零度)である一方、セルシウス度の 0 度は(数ある物質の中から)融点を選んで定義されている。
  音の強さの単位であるデシベルホンは、基準として選んだ音の強さ(例えば、人間が聞き取れる最小の音量)を 0 と定めての相対値である。これは、倍率の表現に指数を使っているからである。すなわち「基準の1倍」が「基準の、(10のゼロ乗)倍」だからである(底としては10の他に2やeなどの場合もある)。
  零点振動量子力学不確定性原理)において許される最低のエネルギー状態における原子の振動である。
コンピュータにおける 0 の使用
  初期の、FORTRAN  COBOL などのプログラミング言語では、配列の添字は 1 から始める方式であった(「1オリジン」という)。しかし、1950年代後半の時点で既に ALGOL 58 が柔軟な配列の添字(正、負、0 のいずれの整数も可)を導入している。現代の多くの言語は「0オリジン」であり、例えばC言語では、n 個の要素を持つ配列の添字は 0 から n-1 までである。0オリジンには、配列の先頭アドレスに単に添字を足すだけで、その要素の位置を求めることが出来る利点がある。一方でBASICのように、古い標準(JIS C 6207-1982「基本BASIC」)では0オリジンだったのに、新しい標準(JIS X 3003:1993「Full BASIC」)では(変更可能だが)1オリジンがデフォルト、と逆行した例もある。
  ヌルポインタはどんなオブジェクトも指さないポインタである。C言語においては整数定数の 0 がポインタの文脈で解釈されるとヌルポインタとなる。これは単なる記法であり、実際には計算機環境に適合した内部表現のヌルポインタが作られる(0番地と決まっているわけではない)。
  0 はしばしばコンピュータにおいて特別な意味を持つ。C言語を始めとする多くの言語では、真偽値として評価する文脈において 0 は偽を意味すると判断される(0以外の全ての値は真と判断される)。一方、プログラムが戻り値として 0 を返した場合は正常終了と見なされる事が多い。errnoなどのエラーコードにおいても 0 は「エラーでない」の意味によく割り当てられる。コードポイントの 0 ('\0')はヌル文字であり、文字列の終端を意味する。
  −0 は、普通の算術では 0 とまったく同じものであるが、1の補数など、表現方法によっては別の表現が与えられることがある(現代の多くのコンピュータで採用されている2の補数では区別はない)。また、多くの浮動小数点数では、-0.0 は別のものとして扱われることがある(詳細は「IEEE 754における負のゼロ」の記事を参照)。
その他 0 に関すること0 (曖昧さ回避)も参照)
  ・慣用表現では、「無」以外にも「始まり」との意味で 0 が使われる事もある。例:「零時点」「0からやり直す」
  ・日本では、市外局番の前の 0 は国内通話を表す(国内プレフィックス)。
  ・日本では特殊サービス番号(フリーダイヤルナビダイヤルなど)、電話会社選択サービス(マイライン)の事業者識別番号(0077、0088など)の先頭にも 0 が使われる。
  ・企業等で建物構内に設置される構内交換設備(PBX)を用いて内線を確保している場合、内線から外線に切り換えるときに、相手先の電話番号の前に付ける信号として用いられる番号は 0 が多い。(0(ゼロ)発信)
  ・アマチュア無線コールサインは、所属国を表すITUプレフィックスの後に地域を表す数字が続くが、これが"0"(ゼロ)の場合に"O"(オー)と区別するために前述の斜線付きゼロで表記する習慣がある。
  ・日本語では 0 の形から部屋番号や電話番号を言うとき「まる」と読むことがある(例:「数字のまる」(通話表)、「いち・まる・きゅう」、「なな・さん・まる」)。その他日常的にも「れい」よりも「ゼロ」を使うことが多い。同様に英語では、アルファベット O に似ているため「オー」 (oh) と読むことがある。
  ・ABO式血液型のO型は、零という意味である(A抗原およびB抗原を発現する遺伝子が無い)。
  ・その他にも 0 を意味する O が用いられる事がしばしばある。例:性染色体の分類XO型ZO型など、他。
  ・0番ゲージは鉄道模型の規格名称。1番ゲージよりも軌間と縮尺が小さい規格として命名された。現在ではラテン文字の「O (オー) 」を用いOスケールOゲージと呼称されることが多いが、元来は数字で表された規格名称。
  ・新幹線0系電車東海道・山陽新幹線で運行されていた新幹線車両。1964年2008年までの44年間運行された。(東海道新幹線1999年まで)営業用の新幹線車両としては初代となる。
  ・日本海軍が、神武暦の下二桁が 00 となる年に採用した戦闘機等につけられる名称。例:零式艦上戦闘機零戦)。(→皇紀2600年、西暦1940年
  ・日付序数なので、通常は0月や0日は存在しない。
  ・年数は序数なので、通常は0年は存在しない。西暦であれ皇紀であれ、1年(元年)の前は紀元前1年である。しかし、日付時刻の表記に関する国際標準規格である ISO 8601 では、紀元前1年0年とし、それ以前は負数として扱う(紀元前 2 年は −1 年とする。)紀年法が用いられる。これは天文学的紀年法と呼ばれる。
  ・インド国定暦には0年が存在する。
  ・電気抵抗が 0 となる現象を超伝導という。
  ・物質における最低温度絶対零度 (−273.15) という。絶対零度 = 0K である。
  ・地球から見て太陽視黄経が0度となる瞬間は二十四節気春分グレゴリオ暦3月21日頃。
  ・現代では、名詞に 0 や「ゼロ」「ZERO」「零」が付記されることで、機能・性能などの面で優位性を持つことを示す形容詞的用法がある。特にサブカルチャーの分野においてはこの傾向が多くみられる。
  ・シリーズものの作品では、タイトルに 0 が付属するものは外伝的、もしくは過去の話であることが多い。例えば南国少年パプワくん特別編第 0 話、ルパン三世 EPISODE:08(エイト) など。
  ・0 はその特殊な位置付けから、ウェイト版タロット(タロー)では「愚者」という、他のカードに比べてトリックスター的な役割を与えられている。
  ・花札を用いて行われるゲームの一つおいちょかぶでは、0 を「ブタ」と呼ぶ。
  ・日本プロ野球で初めて背番号「0」を使用した選手は、1983年広島東洋カープ長嶋清幸である。0は背番号に使われる数で最も小さな数で、一桁の「0」のほかに二桁の「00」も認められている。現行の制度では、支配下選手には「01」などの使用は認められていない。
  ・テニスでは、0点のことをラブと呼ぶ。これは、フランス語の“l'œuf(the egg)”「卵」にちなみ、「0」をの形にたとえたものである。また、一方が0点のまま試合が終了する事をラブゲームと言う。
  ・野球に関する0
  ・ノーヒットノーランは、投手が被安打と失点を0に抑えて勝利すること。
  ・完全試合は、相手チームを一度も出塁させずに勝利すること。
  ・スポーツで相手の得点を0に封じることを「完封」と言う。
  ・運転経歴証明書は「ゼロ免許証」と呼ばれる。
0 を始点とする概念
  0 を始点とする概念や体系は、始点からの距離、間隔を測る場合に用いられる。


1(イチの概念)
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  1、いち、ひと、ひとつ)は、最小の整数である。0 自然数に含めない流儀では、最小の自然数とも言える。整数の通常の順序において、0 の次で 2 の前の整数である。1 はまた、実数位取り記数法で記述するための数字の一つでもある。
  「」を意味する 0 に対して、1 は存在を示す最原初的な記号なので、物事を測る基準単位、つまり順序を数える際の初めである。英語では、基数詞でone、序数詞では、1stfirst となる。ラテン語では unus(ウーヌス)で、接頭辞 uni- はこれに由来する。

数としての1
  0 を除いて最小の自然数であり、自然数のうちで最小の奇数でもある。任意の数 x に 1 を掛けても x のままであるので、1 は乗法に関する単位元と呼ばれる。
  この性質より、1 は 1 自身の階乗であり、自乗であり、より一般の累乗でもある。
  0 以外の任意の数の0乗は 1 である。多くの場合、0の階乗や0の0乗は規約により 1 とされる。
数字としての1
  西洋で今日 1 を表す数字の字形は垂直に立った棒であるが、単なる線と区別するために、しばしば上部にひげ飾りが付けられたり、下部に水平の短い線が付けられたりする。アラビア数字インドに起源を持ち、古くは漢字の「一」のように水平の線で 1 を表していた。グプタ文字ではやや丸まった線になり、デーヴァナーガリーではときに左端に小さな黒丸が付された。これが90度回転して 9 に似た字形になり、グジャラート語パンジャーブ語の文字で現在用いられる字形になった。ネパール語でも回転した字形を用いるが、黒丸が残っている。この黒丸が上部のひげ飾りになった一方、下部の短い水平の線はローマ数字の I からきたものと考えられる。ドイツなどのいくつかのヨーロッパの国では、1 のひげ飾りを比較的長く書くため、他国での 7 の字形に近くなって誤解を生じやすい。そのような国では、7 を書くときに垂直の線に水平の線を入れて区別する。
  現代のほとんどの欧文の書体において、1 は h と同じ高さであるが、古典的な書体の中にはx と同じ高さであるものもある。古いタイプライタには 1 のキーが無いものがあり、代わりに似た字体である小文字の l (エル)を用いた。また、体積の単位のリットルの記号は、単位名称が人名由来ではないため本来は小文字の l となるが、数字の 1 と似ていて紛らわしいことから大文字の L とすることが推奨されている。装飾の目的のため、1 の代わりに大文字の J を用いる例も見られる。
数学的性質
  ・1 はちょうど1個の正の整数で割り切れる唯一の正整数である(素数はちょうど2つの正の整数で割り切れ、合成数は3個以上の整数で割り切れ、0 はすべての整数で割り切れる。)    ・約数の和は1。  ・約数の和が奇数になる最小の数である。次は2。  ・最小の倍積完全数である。次は6。また約数の和が自分自身になる唯一の数である(1倍完全数)。  ・最小の高度合成数である。奇数で唯一の高度合成数である。次は2。  ・1 = 20 × (21 − 1)  ・2n−1 × (2n − 1) で完全数にならない最小の数である。次は120。(オンライン整数列大辞典の数列 A144858)  ・1 = σ(1) (ただし σ は約数関数)  ・N = σ(N) を満たす唯一の整数である。(ただしσは約数関数)  ・約数の和の平均が整数になる最小の数である。次は56。(オンライン整数列大辞典の数列 A047727)  ・実数複素数における乗算単位元である。  ・乗算と除算においては、1 を乗数や除数とする演算の積や商は、被乗数や被除数と同じ数になる。  ・累乗では、指数が 0 の場合、値は必ず 1 となる。
  ・過去には、素数の定義として「1 と自分自身で割り切れる整数」を採用することにより、1 を素数と見なす数学者もいた。1 を素数と公言した最後の数学の専門家は、1899年アンリ・ルベーグである。現代では、1 は素数でも合成数でもなく、−1 やガウス整数における i および −i などと同じく単数であるとされる。算術の基本定理によれば、単数の違いを違いと見なさなければ、素因数分解は一意である(例えば 2 = 21 = 13 × (−1)2 × 21 だが、この2つの分解は同じと見なす)。  ・位取り記数法の底に用いることができない。画線法は底 1 の記数法(一進法)と言われることがあるが、これは位取り記数法ではない。
  ・関数 1x は常に 1 に等しく逆関数を持たないため、底 1 の対数は定義しない。  ・最小の自己同形数である。次は5。  ・あらゆる種類の図形数、例えば三角数三角錐数五角数六角数中心つき六角数の最初の数である。  ・次のn角数 n 中心つきn角数n角錐数は n + 1 、八面体数6 平方三角数 36 である。詳しくは下記の2桁までの自然数を参照。
  ・三角数が三角数になる約数の個数をもつ最小の数である。次は28。(オンライン整数列大辞典の数列 A116541)  ・三角数が三角数になる約数の個数をもつ数の中で前の数を上回る個数をもつ最小の数である。次は28。(オンライン整数列大辞典の数列 A076172)  ・三角数の数列において、1 から a までの和の初めて n 桁となる a の値とみたとき、次は4。(オンライン整数列大辞典の数列 A068092)  ・1 = 11 = 12 = 13 = 14 …  ・なんらかの累乗数の最初の数である。
  ・次の数については後術を参照。  ・nn で表される最小の数である。次は4。  ・nnn で表される最小の数である。次は16。  ・最小のカタラン数である。次は2。  ・最小の高度トーティエント数である。次は2。また、奇数の中では唯一ノントーティエントではない。  ・1 = 21 − 1  ・最小のメルセンヌ数である。次は3。  ・12 + 1 = 2 であり、n2 + 1 の形で素数を生む最小の数である。次は2。  ・1! + 1 = 2 であり、n! + 1 の形で素数を生む最小の数である(0! の時も実際の値は同じである)。次は2。  ・フィボナッチ数列の最初の数かつ2番目の数でもあり、その他の多くの整数列の最初の数である。フィボナッチ数列の次の数は 2 
  ・整数列を集めたニール・スローンの最初の本 Handbook of Integer Sequences では、1 で始まらない数列にも慣習として最初に 1 を加え、その 1 は数列を順序付ける辞書式順序の考慮外とした。改訂版の Encyclopedia of Integer Sequences およびウェブ上の後継であるオンライン整数列大辞典では、数列の最初に並んだ 0 や 1 は辞書式順序の考慮外となっている。
  ・最小のベル数である。次は2。  ・交互階乗の最小の数かつ2番目の数でもあり、2番目の場合、2! − 1! = 2 − 1 である。次は5。  ・単位ベクトルの長さであり、単位行列行列式である。
  ・確率論において、確率最大値であり、必ず起こる事象の確率である。  ・統計学において、相関係数は −1 から 1 の間の値を取り、1 に近いほど正の相関が強い。  ・自然数を定式化する方法によって、1 は異なる表現を持つ。
  ・ペアノの公理では、1 は 0 の後者である。すなわち、1 = {0} = {Ø} である(Ø は空集合)。
  ・プリンキピア・マテマティカでは、1 は単集合(1つの元のみを持つ集合)全ての集合と定義される。
  古代エジプトでは、23  34 は別格として、一般の分数を、分子が 1 で分母が異なるいくつかの分数の和として表した。例えば、25 = 13 + 115 などである。分子が 1 の分数、あるいはそれらの和で表す形式は、単位分数またはエジプト式分数と呼ばれる。  ・全ての項が 1 である数列の母関数は次で与えられる。  ・この級数は、|x| < 1 のときに限り収束する。
  ・自然界に出現する数値や2の冪などの数学的対象の多くはベンフォードの法則に従い、1 で始まるものが最多で全体の約30 %を占める。  ・最小のリュカ数である。次は3。また、初項2の後者である。 ・・1 = 1!  ・最小の階乗数である。次は2。
  ・n! が n 桁となる数である。他には 22  23  24 しかない。  ・級数 12 + 14 + 18 + 116 + ⋯ は 1 に収束する。  ・約数の和が 1 になる数は1個ある (1) 。約数の和1個で表せる最小の数である。次は3。  ・約数の和が奇数になる最小の奇数である。次は3
  ・倍積完全数の約数の和としては最小の数である。次は12。  ・約数の和 n 個で表せる n 番目の数である。次は18。  ・約数の和の個数別の最小でいうと、これも最小にあたる(1個)。次は12(2個)。
  ・連続してある数に対して約数の和を求めていった場合1個の数が 1 になる。その最小の数。次は4(2個)。いいかえるとn が1個あるということである。(ただし σ は約数関数)(オンライン整数列大辞典の数列 A241954)  ・九九においては、1 の段で 1 × 1 = 1(いんいちがいち)と表し方が 1 通りしかない。九九で表し方が 1 通りのしかない数は他に 25, 49, 64, 81 があり、計5つである。  ・各位の和が 1 となるハーシャッド数 100 までに3個、1000 までに4個、10000 までに5個ある。  ・各位の和が 1 となる数は、全てハーシャッド数。そのような数は、十進法では他に 3  9 しかない。
  ・小のハーシャッド数である。次は2  ・1 を基とする最小のハーシャッド数である。次は10。  ・n を基とする n 番目のハーシャッド数である。次は20。  ・各位の和(数字和)が n となる n 番目の数。次は11  ・平方数がハーシャッド数になる最小の数である。次は4。  ・立方数がハーシャッド数になる最小の数である。次は 8。  ・三角数がハーシャッド数になる最小の数である。次は 3
  ・フィボナッチ数がハーシャッド数になる最小の数である。次は2。  ・各位の積が 1 になる最小の数である。次は11。(オンライン整数列大辞典の数列 A000042)
  。最小のカプレカ数(第1定義)。次は9。  ・1 の約数の個数は1個になり 1 の1倍になる。1~n までの約数の個数が n の整数倍になる最小の数である。次は4(2倍)。(オンライン整数列大辞典の数列 A050226)
抽象代数
  抽象代数学では、乗法モノイド単位元 1 で表すことがあるが、eドイツ語の Einheit に由来する)で表す方がより伝統的である。整数に限らない一般のにおいて、乗法における単位元を 1 で表し、加法における単位元を 0 で表すことは一般的である。1 を n 回足して 0 になるとき、その環の標数 n であるという。通常の整数では 1 を何度繰り返し足しても 0 にはならないため、そのような環の標数は 0 と定める。例えば標数 2 のは、符号理論などに応用を持つ。通常の体の定義は、1 と 0 が等しくないことを要求するので、標数 1 の体は存在しないが、一元体という概念はある。ただし、それは単集合ではない。
その他 1 に関すること
  ・西洋の数秘術では、1 は万物の始まり、唯一絶対であること、神などを象徴する。
  ・デジタルで状態を表すときの、2個の要素の内の一つであり、デジタル信号で、信号がアクティブである場合を表す。
言語・表記
  ・和語数詞の「ひと」は単独で用いることはできず、「ひと - つ(一つ)」「ひと - よ(一夜)」など接尾辞助数詞)を伴って用いられる。
  ・ただし、通話表で 1 を送る場合「数字のひと」と送られる。
  ・の第1日を意味する「ついたち」は「月立ち」が転訛したものである。時間としての1日(24時間)を和語系数詞では「ひとひ」と呼ぶが、現代日本語ではほとんど用いられず、専ら漢語系数詞による「いちにち」が用いられる。
  ・非常に多くの数字体系で、1 は1本の棒や1つの点などで表される。
  ・書道では、漢字の一は基本の練習文字として多用される。
  ・「ピンからキリまで」といった慣用句や、おいちょかぶというゲームなど、限定された文脈においては、1 を「ピン」と呼ぶ。
  ・日本語圏のスレッドフロート型掲示板において、コメント番号が 1 になることから、1 はそのスレッドを立てた人(スレ主)のこと。
  ・1 を乗数・除数とする演算の値が元の数と同じになる性質から、1 は、数量の概念としての複数に対する単数、言語としての複数形に対する単数形のように、特殊な取り扱いを受けることが多い。
  ・1 の接頭辞:[uni-、[mono-
  ・」ユニフォーム (uniform)、モノラル (monoral) など。
  ・単一であること、単独であること、1倍、1重をシングル (single) という。「ダブル」に対して使われることも多い。
1 の付く言葉
  ・「1 のつく日」に開かれた定期市に由来する地名である「一日市」「一日市場」は多くの場合「ひといち」「ひといちば」と読まれる。恐らくは「ひとひ・いち(ば)」からの転訛であると思われる。
  ・当選に必要な得票数が選挙区によって異なることを「一票の格差」という。
第1のもの
  ・原子番号 1 の元素水素 (H) である。  ・太陽系第1惑星水星であり、太陽に近い順に数えて1番目の惑星である。  ・タロット大アルカナでIは魔術師
  ・易占六十四卦で第1番目の卦は、乾為天。  ・1909年に制定された形式番号体系による1号機関車(当時の日本の官設鉄道最小の機関車) - 国鉄1形蒸気機関車  ・クルアーンにおける第1番目のスーラ開端である。  ・年始から1日目は1月1日。  ・JIS X 0401、ISO 3166-2:JP都道府県コードの 01 は北海道。すなわち都道府県コードの若い番号順に都道府県を配列したとき、最初になるのは北海道。  。1番目の元号は大化。

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正の数と負の数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  数学における正の数(英: positive number; 正数)は、0より大きい実数を言う。対照的に、負の数(英: negative number)は、0より小さい実数である。(とくに初等数学・算術や初等数論などの)文脈によっては、(暗黙の了解のもと)特に断りなく、より限定的な範囲の正の有理数や正の整数という意味で単に「正の数」と呼んでいる場合がある(負の数も同様)である。
定義
  数学において負数はマイナス記号を数字の前につけて表されるが、簿記などでは数字を赤くしたり三角形を数字の前に付けることによって表すこともある。
  は増減の無い状態であるため、正でも負でもない。負でない数 (non-negative number) とは零より小さくない、つまり零または正の実数である。正でない数 (non-positive number) とは零より大きくない、つまり零または負の実数である。
(注意) 
  複素数の体系で考えている場合、そのうち実数についてのみ正負を論じ、虚数は正でも負でもないとされる。例えば「正の数」と言えば、それが実数であることを暗黙のうちに含意するが、明確化のために「正の実数」ということもできる。
  一般に順序体において、零元より大きな元を正の元、零元より小さな元を負の元という(後述)。順序体ではない、例えば複素数体、有限体p 進数体においては、四則演算と両立する正負の概念を定義することができない。
負の数
  負の整数は、方程式 x  y = z がどんな x  y に対しても、z に関する方程式として意味をもつように自然数の体系を拡張して得られるものだと考えられる。このような負の整数の捉え方と同様にして、負の有理数や負の実数も得られる。
  負数は、温度のように目盛り上で零より低くなる値を記述するのに有用である。簿記においても、負債の表現に使用できる。簿記において、負債はしばしばい数字(赤字)や三角形を前に付けた数字によって表す。
負でない数
  負でない数は非負(ひふ)であるといわれる。ゼロに等しいかそれより大きい(すなわち正であるかゼロである)実数を、非負実数という。非負実数は負でない。実数は、負の実数か、非負実数のいずれかである。非負実数のうち整数となるものを非負整数という。
関数
符号関数
  定義域が実数であり、正数に対して1を、負数に対して−1を、ゼロに対して0を返す関数 sgn(x) を定義できる。この関数は符号関数と呼ばれることがある
  このとき(x=0の場合を除き)以下の式が得られる。ここで |x| は x 絶対値であり、H(x) はヘヴィサイドの階段関数である。微分法も参照。
複素符号関数
  定義域が複素数であり、正数に対して1を、負数に対して-1を、ゼロに対して0を返す csgn(x) を定義できる 。この関数は複素符号関数と呼ばれることがある。
  複素数の大小は以下のように解釈する。
符号付き数の算術演算
加算と減算
  数列は、零・正数・負数の三種類が組み合わさって構成されており、基準点が零、基準点から増えている分が正数、基準点から減っている分が負数となる。
  従って、加算減算では、負数は負債であり、正数は収益であると考えることができる。同じく、時間や世代の距離を数える場合にも、零は現在や自分、負数は過去や年上(親や祖父母など)、正数は未来や年下(子供や孫など)であると考えることもできる。
  負数を加えることは、対応する正数を減ずることになる。逆に、負数を減ずることは、対応する正数を加えることになる。
  減算と負符号の概念の混乱を避けるため、負符号を上付きで書く場合もある(ただし、会計では負符号を△で表現する)。
乗算
  負数を掛けることは、正負の方向を逆転させることになる。負数に正数を掛けると、積は負数のままとなる。しかし、負数に負数を掛けると、積は正数となる
  これを理解する方法の1つは、正数による乗算を、加算の繰り返しと見なすことである。3 × 2 は各グループが2を含む3つのグループと考える。したがって、3 × 2 = 2 + 2 + 2 = 6 であり、当然 −2 × 3 = (−2) + (−2) + (−2) = −6 である。負数による乗算も、加算の繰り返しと見なすことができる。例えば、3 × −2は各グループが−2を含む3つのグループと考えられる。3 × −2 = (−2) + (−2) + (−2) = −6これは乗算の交換法則を満たすことに注意3 × −2 = −2 × 3 = −6「負数による乗算」と同じ解釈を負数に対しても適用する。
除算
  除算も乗算と同じく、負数で割ることは、正負の方向を逆転させることになる。負数を正数で割ると、商は負数のままとなる。しかし、負数を負数で割ると、商は正数となる。被除数除数の符号が異なるなら、商は負数となる。る。両方の数が同じ符号を持つなら、商は(両方が負数であっても)正数となる。
累乗
  累乗乗算除算と同じく、指数を正数にすると、「n乗」に倍増される。しかし、指数を負数にすると、「1 / n乗」に分割される。つまり、指数 n を正数にすると「n 回乗算を繰り返す」ことになるが、指数 n を負数にすると「n 回除算を繰り返す」ことになる。
負の整数と負でない整数の形式的な構成
  有理数の場合と同様、整数を自然数の順序対 (a, b) (これは整数 a  b を表していると考えることができる)を下に述べるようにして同一視したものとして定義することによって自然数の集合N整数の集合Zに拡張できる。
  ここで以下の規則により、これらの順序対に同値関係 ~ を定義する。(a, b) ~ (c, d) となるのは a + d = b + c なる場合、およびこの場合に限るこの同値関係は上記の加法と乗法の定義と矛盾せず、ZN2の ~ による商集合として定義できる。
  すなわち2つの順序対 (a, b) と (c, d) が上記の意味で同値であるとき同一視する。さらに以下の通り全順序Zに定義できる。(a, b) ≤ (c, d) となるのは a + d  b + c となる場合、およびこの場合に限る
   これにより加法の零元が (a, a) の形式で、(a, b) の加法の逆元が (b, a) の形式で、乗法の単位元が (a + 1, a) の形式で導かれ、減法の定義が以下のように導かれる。
負の数の起源
  長い間、問題に対する負の解は「誤り」であると考えられていた。これは、負数を実世界で見付けることができなかったためである(例えば、負数のリンゴを持つことはできない)。その抽象概念は早ければ紀元前100年  紀元前50年には認識されていた。中国の『九章算術』には図の面積を求める方法が含まれている。赤い算木で正の係数を、黒い算木で負の係数を示し、負の数がかかわる連立方程式を解くことができた。紀元後7世紀ごろに書かれた古代インドの『バクシャーリー写本[2]は"+"を負符号として使い、負の数による計算を行っていた。これらが現在知られている最古の負の数の使用である。

  プトレマイオス朝エジプトではディオファントス3世紀に『算術』で 4x + 20 = 0 (解は負となる)と等価な方程式に言及し、この方程式はばかげていると言っており、古代地中海世界に負数の概念がなかったことを示している。
  7世紀の間に、負数はインドで負債を表すために使われていた。インドの数学者ブラーマグプタは『ブラーフマスプタ・シッダーンタ』(628年)において、今日も使われている一般化された形式の解の公式を作るために、負数を使うことについて論じている。彼は二次方程式の負の解を発見し、負数とが関わる演算に関する規則も与えている。彼は正数を「財産」、零を「0 (cipher)」、負の数を「借金」と呼んだ。12世紀のインドで、バースカラ2世も二次方程式に負の根を与えていたが、問題の文脈では不適切なものとして負の根を拒絶している。
  8世紀以降、イスラム世界ブラーマグプタの著書のアラビア語訳から負の数を学び、紀元1000年頃までには、アラブの数学者は負債に負の数を使うことを理解していた。負の数の知識は、最終的にアラビア語とインド語の著書のラテン語訳を通してヨーロッパに到達した。
  しかし、ヨーロッパの数学者はそのほとんどが、17世紀まで負数の概念に抵抗を見せた。ただしフィボナッチは、『算盤の書』(1202年)の第13章で負数を負債と解釈し、後には『精華』で損失と解釈して金融問題に負の解を認めた。同時に、中国人は右端のゼロでない桁に斜線を引くことによって負数を表した。ヨーロッパ人の著書で負数が使われたのは、15世紀中のシュケによるものが最初であった。彼は負数を指数として使ったが、「馬鹿げた数」であると呼んだ。
  イギリスの数学者フランシス・マセレスは1759年、負数は存在しないという結論に達した。
  負数は現代まで十分に理解されていなかった。つい18世紀まで、スイスの数学者レオンハルト・オイラーは負数が無限大より大きいと信じており(この見解はジョン・ウォリスと共通である)、方程式が返すあらゆる負の解を意味がないものとして無視することが普通だった。負数が無限大より大きいという論拠はの商と、x が正の側から x = 0 の点に近づき、交差した時何が起きるかの考察によって生じている。
一般化
正の行列
正行列
  行列Aについて、A負でないということを、Aのすべての成分が負でない、というふうに定めることができる。このとき、実行列のうちには正とも負とも言えないものもあることになる。また、行列Aについて、Aの全ての正方部分行列の行列式が負でないとき、Aのことを完全に非負(行列理論)あるいは、完全に正(コンピュータ科学者)と呼ぶことがある。
正定値行列
  一方で、線形代数学的な観点から、実対称行列やより一般に複素エルミート行列について、上とは異なった正負の概念がしばしば用いられる。エルミート行列Aは、その固有値の全てが負でないときに、負でない(あるいは単に、正である)とよばれる。Aが負でないということはある行列BについてA B*.Bと書けることと同値になる(行列の定値性も参照)。無限次元の場合として、函数解析学における正作用素の概念が対応する。
正錐(「順序群#定義」、「順序線型空間#正錐」、および「順序体#定義」も参照)
  抽象代数学の言葉では、正の数の全体 P は実数全体  正錐と呼ばれる対象を成す。これにより  は加法に関して順序群、加法と乗法に関して順序体と呼ばれる構造を持ち、また逆に、順序群や順序体としての  の正錐 P が与えられれば「正の数とは P の任意の元のことである」と述べることができる。
  xy-平面 2 第一象限 xyz-空間 3  x > 0, y > 0, z > 0 なる八分象限 などが順序線型空間としての正錐の例であり、この構造に「錐」の名称がつけられている理由をみることができる。
  これらのような順序構造において、正錐はそれぞれの付加構造によって記述できる良い性質を様々に持つ。
  函数解析学における正作用素全体の成す凸錐もまたそのような例であり、より抽象的にバナッハ環C*-環における正の元などが考察の対象となる。







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