人権問題-1


2023.12.14-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20231213-OYT1T50250/
0~2歳の園児に「バカ頭、あのお母さんだもん」…保育所所長の発言に保護者「あり得ない」

  0~2歳の園児に対し、「バカ頭」と言い放つ不適切保育や、大声を上げて泣かせる心理的虐待を行っていたとして、埼玉県熊谷市が市立吉見保育所を調査していることが13日、わかった。市は中心的な人物だった可能性があるとみて、田谷美保子所長(51)と、主任保育士の女性(49)を保育業務から外した

  市保育課などによると、2人は11月下旬から12月上旬にかけて、園児に向かって「ダメ。バカ頭。あのお母さんだもん。あのお父さんだし」と言ったり、ぐずった園児に対して「これやるよ?泣かすか」と脅すような言葉を投げかけたりした。「○○ちゃんはいじられる人生だからね」といった発言もあった。
  11月29日に市への通報があり、保育室内の状況を録音したデータから、田谷所長らの発言が不適切保育にあたると判断した。今後、音声データの確認や、保育士全員のヒアリングを行って詳しく調べ、他の保育士の関与も調査する。
  市は今月9日、保育所で保護者に対し、不適切保育や心理的虐待が行われていたことを説明した。同席した田谷所長は「本当に申し訳ない。反省している」などと謝罪した。市は年内に保護者向けの説明会を再度開き、当時の詳しい状況や、今後の対応などを説明する。
  保護者の一人は読売新聞の取材に対し「あり得ない。何をやったのか明らかにしてほしい」と不信感をあらわにしていた。 吉見保育所は2015年に開設。0~6歳児約60人を預かっている。


2022.03.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220323-NMBTGB63WBIRXLEFYIQGJHAE2U/
鎖でつながれた「8児の母」に中国社会のゆがみ 政府、対策強調
(北京 三塚聖平)

  中国で1月、40代の女性が首を鎖でつながれた状態で発見され、中国社会に衝撃を広げた人身売買の被害者で8人の子供を産まされており、地元当局者が処分を受けた北京冬季五輪で求心力向上を狙った習近平政権に冷や水を浴びせた格好で、政府は対策強化に乗り出したが、背景には30年余り続いた「一人っ子」政策による中国社会のゆがみがある。

  1月下旬、ネット上で首を鎖でつながれた中年女性の動画が公開された。夫は「8人の子供の父親」として有名な50代男性で、撮影者は慈善活動家という。奴隷のような女性の映像は一気に拡散し、救出と真相解明を求める声が高まった
  地元の江蘇省徐州市豊県の当局は当初、女性が精神疾患を抱え「子供や老人を殴っていた」と拘束を正当化。だが、当局説明の矛盾を突く投稿が相次ぎ、調査主体が江蘇省政府に格上げされた。

  江蘇省政府は2月23日、調査結果を発表。それによると、女性は江蘇省から2000キロ以上離れた雲南省の出身で、10代で結婚と離婚を経験し、その頃には精神を患っていたとみられる。1998年に病気治療名目で江蘇省東海県に連れてこられ、5千元(約9万5千円)で「嫁」として地元男性に売られた。すぐに逃げ出し、河南省の食堂に身を寄せたが、食堂経営者は女性を豊県出身の労働者に売り、さらに「転売」されて、今の夫の父親に売られたという。
  女性は99年に長男を出産。一人っ子政策による避妊措置が行われたが、効果が失われて2011~20年に7人の子供を産んだ。第3子を出産した12年以降、精神障害が悪化し拘束されるようになったが、治療は行われなかった。

  調査結果を受け、女性の夫や人身売買に関わった人間が逮捕され、豊県トップの党委員会書記ら当局者17人が処分された。ネットでは、北京五輪で話題になったフリースタイルスキー女子2冠の谷愛凌(こく・あいりょう)選手を引き合いに「谷愛凌と『8児の母』のどちらが、より中国女性を代表しているのか」といった投稿もあった。
  中国では通例、政権に不利なニュースは削除されるが、事件は官製メディアでも盛んに報じられた。下手に報道を規制しては世論の反発を招くという判断があったとみられる。今年後半には習総書記(国家主席)の長期体制を目指す共産党大会が予定されており、社会の不安定化は避けたい。
  実際、習政権は事件への対応を積極化させる姿勢を示している。李克強首相は3月5日、全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で「女性や子供の人身売買という犯罪行為を厳格に取り締まる」と表明。11日の記者会見でも、「心が痛く、非常に腹が立つ」と力を込めた。

  中国は人口増加を抑制するため1979年に一人っ子政策を導入。段階的に緩和した後、2016年に全ての夫婦に第2子を持つことを認めたが、この間、社会に大きなゆがみをもたらした。一例が、女児より男児を望む傾向が強まったことだ。男性の結婚難が進んだだけでなく、女性・子供の誘拐や人身売買などの社会問題を引き起こしたとされる。特に農村部では顕著で、「8児の母」は中国政治の被害者ともいえる。
  全人代期間中、当局は女性や子供を誘拐して売った罪で21年に1135人を起訴したと発表した。00年の1万4458人から減少したとしているが、「8児の母」に類似した事件は今も続いているとみられる。
(北京 三塚聖平)


2021.06.17-Yahoo!Japanニュース(HUFFPOT)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b0742d4eda9ab05746908548865f157426f6e369
強制労働リスク、「ABCマート」「しまむら」は最低評価。英国の人権団体が調査

  アジアなどに展開する生産工場で、従業員らの人権が侵害されないよう、企業はきちんと管理しているか――。英国の人権団体「Know The Chain」(KTC)が世界のアパレル系企業64社を調査したところ、「ABCマート」(本社・東京都渋谷区)と「しまむら」(本社・さいたま市)は、「何の措置も講じていない」という厳しい評価となった。対策の情報公開が不十分だったことが影響した。【小林豪

ABCマート「関連情報を一切公表していない」
  調査は2020年から21年に行われ、5月に結果が公表された。対象に日本企業5社が含まれた。 このうち、ABCマートは「関連情報を一切公表していない」と認定され、5段階で最低の評価となった。しまむらに関しても、KTCは「綿花を9カ国から調達し、実際に強制労働の申し立てを受けているにもかかわらず、強制労働リスクに対する措置を一切公表していない」と指摘し、同じく最低評価だった。 KTCでは海外の労働者や投資家が把握できるよう、自社サイトに英語で取り組みを開示するよう求めているが、両社とも対応が不十分と判断された。
良品計画も低評価「最低限の措置しか講じていない」
  無印良品を手がける「良品計画」(本社・東京都豊島区)は、下から2番目の「最低限の措置しか講じていない」と評価された。 同社はKTCに対し、中国・新疆ウイグル自治区にある工場について、「徹底した調査を行った結果、重大な問題は確認されていない」と報告したが、KTCは「『強制労働を特定するための調査は新疆では不可能』とする業界他社や監査機関の指摘と矛盾している」と疑問の目を向けている。
ファーストリテイリングとアシックスは「大幅改善」
  5社の中で評価が高かったのが、ユニクロを展開する「ファーストリテイリング」(本社・山口市)と、「アシックス」(本社・神戸市)だった。
   両社は、5段階で上から2番目の「大半の領域で措置を講じている」とされ、「2018年の評価以降、大幅に改善している」と認められた。

   ファーストリテイリングについて、KTCは「2020年に賃金や社会保険料の差引額について、工場労働者から相談が寄せられたケース」を取り上げ、「(同社は)工場へ確認を行い、工場が差額を支払った。支払いの完了を相談者にも確認し、工場に対して体制強化を要請した」と紹介した。
  アシックスについては「タイと日本の工場で働く移民労働者が利用できる苦情処理メカニズムを導入した」とされ、「2020年には労働者から2件の相談があり、ハラスメントと残業に関するものであったことを開示している」と取り組みを評価した。
  
日本政府は2020年10月、「ビジネスと人権に関する行動計画 」を策定し、企業に対し「国際的に認められた人権等の尊重」を求めている。しかし、人権保護の制度化が進む欧州などに比べ、日本の対応は遅れている。

  人権団体「ビジネスと人権リソースセンター」日本リサーチャー代表で、KTCの報告書作成に関わった佐藤暁子弁護士は、「世界的に注目されている企業ほど外部からプレッシャーを受け、それに応える形で取り組みを進めている。その差が5社の評価の違いになったのでは」と指摘する。
  評価が低かった企業については「自社の取り組みを検討・開示することはグローバルスタンダードだ。人権の視点を経営に組み込まないと、アパレル産業では持続可能な競争力を維持できない。社内の体制構築に迅速に取り組んでほしい」と語った。
  KTCは各企業の取り組み状況を測るうえで、「サプライヤー行動規範」「説明責任」「トレーサビリティとサプライチェーンの透明性」「結社の自由」「苦情処理メカニズム」「救済措置」など10項目を指標に設定している。

<調査結果に対する5社のコメント>
  ハフポストは日本企業5社に対し、調査結果に対する見解を聞いた。

  ABCマート ※回答なし
  【しまむら】  サプライチェーンについては、取引開始前に「しまむらサプライヤーCoC(取引行動規範)」について説明し、遵守していることを確認した上で取引を行っています。プライベートブランドの現地工場には社員を派遣し、状況を確認しています。
   【良品計画】  当社の取り組みが不十分と指摘されている点を真摯に受け止め、今後も、適切に国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)をはじめとする国際規範や各国の法令を遵守し、サプライチェーンが当社の行動規範及び国際規範に沿っていることを確認するために、人権デュー・ディリジェンスに関する取り組みを強化してまいります。(回答文の抜粋)
  【アシックス】 継続した責任ある調達の推進が重要であると再確認いたしました。引き続き改善を重ねて責任ある調達に努めます。今後は、責任ある調達慣行のさらなる推進や工場で働く方々の救済措置の拡充を行います。サプライヤーや工場で働く方々へ負担のかからない調達行動(発注変更など)や、グリーバンス(苦情窓口の設置)の拡充を含めて工場で働く方々の声をさらに聴くことも課題として認識しております。(回答文の抜粋)
  【ファーストリテイリング】 改善の余地ありとされた、トレーサビリティとリスクアセスメント、雇用領域についてもすでに取り組みを進めています。トレーサビリティについては、2022年に全取引先工場の開示を予定しています。雇用領域についても、移住労働者の雇用リスクのある地域の取引先工場向けにガイドラインを作成しています。今後は、こうした取り組みの推進とあわせて、透明性向上のための情報開示を一層進めていきます。(回答文の抜粋)







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