イタリア共和国問題-1


2023.12.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231212-ZJILWQFWBFPJLLNZRETDZBPSA4/
半導体・AIでも日伊が協力、共同声明に署名 次期戦闘機に続き
(米沢文)

  西村康稔経済産業相は12日、訪日中のイタリアのウルソ企業相と会談し、半導体やAI(人工知能)などの先端分野で協力する共同声明に署名した。両国は英国も含めた3カ国で次期戦闘機の共同開発でも手を取り合っている日本はイタリアとの協力関係をハイテク分野にも広げ、経済安全保障の確立を目指す考えだ。

基本的価値観を共有
  両国政府は半導体のほか、AIやバイオなどの分野で協力することを確認した。西村氏は「国際情勢が緊迫化する中、基本的価値観を共有する同志国連携の必要性が高まっている」と指摘した。特に脱炭素化やデジタル化に欠かせない半導体分野の技術協力などに期待感を示した。
核融合発電の実現でも
  両国関係は今年に入り、「戦略的パートナーシップ」に格上げされた。次期戦闘機の共同開発以外にも、次世代エネルギーとして期待される核融合発電の実現を目指す国際協力の枠組みに参加するなど、安全保障にかかわる幅広い分野で連携を深めている。
  共同声明の署名式に続き、両国政府は半導体関連の会議も開いた。ウルソ氏「ハイテク関連の共同プロジェクトを推進していきたい」と述べた。(米沢文)


2023.10.04-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231004-EARR6VRIXNKFHF5QQU4C6WDRBI/
バスが高架橋から落下し炎上、21人死亡 伊ベネチア

  ANSA通信によると、イタリア北部ベネチアで3日夜(日本時間4日未明)、バスが高架橋から落下する事故があり、21人が死亡、18人が負傷した。死者にはウクライナ人5人、ドイツ人1人が含まれている。在ミラノ日本総領事館は「情報収集中だが、現時点で日本人の被害は確認されていない」としている。

  現場は、世界的な観光地として知られる干潟の上に建設された都市の部分ではなく、大陸側のベネチア市内。バスは高架橋の下り坂になっている箇所でガードレールを突き破って約10メートル下の線路脇に落下し、炎上した。
  バスは、キャンプ場に滞在していた観光客を乗せていた。高架橋上の道路にはブレーキをかけた跡が残っておらず、警察は、死亡した40歳のイタリア人男性運転手が運転中に急に体調が悪化した可能性もあるとみて、事故原因を調べている。(共同)


2023.09.15-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230916/k10014197801000.html
イタリア南部 島の人口上回る7000人の難民が到着

  イタリア南部の島にアフリカから地中海を渡って到着する人たちが急増し、国連が周辺の国々に協力を呼びかける事態となっています。
  イタリア南部のランペドゥーサ島では、今月11日以降、地中海を船で渡って到着する人の数が急増していて、今月12日からの2日間では島の人口より多いおよそ7000人に上りました。

  地元メディアによりますと、多くがアフリカの母国からチュニジアを経由してきた人で、イタリア政府は船でほかの場所に移送する対応にあたっていますが、収容施設に入れない多くの人が屋外で寝泊まりを続けています。
  UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のソルトマーシュ広報官は15日、「最前線にある国に任せるだけでなく、責任を共有することが重要だ」と述べ、周辺の国々に協力を呼びかけました。
  ヨーロッパでの難民申請者はことし、2015年の難民危機以降最も多い100万人に達する勢いで、EU=ヨーロッパ連合の加盟国の一部は自主的に受け入れを表明していますが、今回の事態を受けてドイツが受け入れの停止を表明するなど、波紋が広がっています。
  今後は大規模な洪水によって混乱が広がるリビアからも多くの人が逃れてくるという指摘もあり、各国が連携して対応にあたることができるのか、注目されます。


2023.09.10-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230910-VBVXFOM6IFJLXGIUAGKQIK2UFI/
伊首相、「一帯一路」離脱を中国に非公式に伝達 米報道

  米ブルームバーグ通信は10日、イタリアのメローニ首相がインドの首都ニューデリーで中国の李強首相と9日に会談した際、巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱する方針を非公式に伝達したと報じた。イタリアは、中国が貿易分野での報復措置に出ることを警戒しているという。

  一帯一路は中国の習近平国家主席の提唱から今年で10年。10月に北京で開く関連の国際会議は習指導部の「今年最重要の外交行事」(中国政府筋)だ。先進7カ国(G7)で唯一参画しているイタリアが節目の年に離脱すれば、中国に痛手となる。
  中国は引き留めに躍起となってきたが、中国外務省が発表した9日の李氏とメローニ氏の会談内容に、一帯一路に関するやりとりは含まれていなかった。(共同)


2023.05.29-JIJI COM.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2023052900895&g=int
ベネチア運河、緑に染まる 環境活動家の抗議行動か―イタリア

  【ローマAFP時事】イタリア北部ベネチアで28日、運河を流れる水が明るい緑に変色した。地元紙は、警察が環境活動家による抗議行動の可能性も視野に調べていると伝えた。

  地元州知事は、変色に最初に気付いたのが住民で「液体の出所を調査するため、警察との緊急会議を招集した」とツイッターに投稿した。ベネチアでは1968年にも、アルゼンチンのアーティストが環境意識を高めるため、運河の水を蛍光染料で緑色に染める演出を行ったことがある。


2023.05.17-Zaqzaq by 夕刊フジ-https://www.zakzak.co.jp/article/20230517-6UHQTUDJUZPG7OA4KH6LBACVOE/
イタリアが「一帯一路」からの離脱を検討も 安全保障で結束訴える米国と経済強化促す中国の板挟みに
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
(1)
  イタリアが、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を検討するという。イタリアのメローニ首相がマッカーシー米下院議長とローマで会談した際に述べたと報じられた。
  イタリアはコンテ政権時代の2019年に先進7カ国(G7)で唯一、一帯一路に参加した。その協定は24年3月に期限を迎えるが、イタリアと中国のどちらかが3カ月前までに書面で終了を通告しない限り自動更新される。

  イタリアではコンテ政権の後、ドラギ政権時にも、中国は多国間のルールを守らない専制国家で、民主主義国家と同じ世界観を共有していないとして、一帯一路協定の見直しの議論があったが、メローニ政権でその検討が本格化している。
  コンテ政権時代は、中国との関係強化によってイタリアの経済発展を期待したが、その成果が上がっていないことが背景にある。実際、イタリアから中国への輸出は19年に130億ユーロ(約1兆9000億円)だったが、昨22年は164億ユーロ(約2兆4000億円)にとどまっている。一帯一路に参加していないフランスやドイツが中国向け輸出を増やしたにもかかわらずだ。
  さらに、ロシアによるウクライナ侵攻後、中国がロシア支持の姿勢を示す中、米国はイタリアに対し一帯一路から離脱するよう積極的に働き掛けている。イタリアは、安全保障の観点から民主主義の結束を唱える米国と、経済関係を維持・強化したい中国の双方からの圧力で板挟み状態だ。
(2)
  中国との距離感で苦慮しているのは他の欧州諸国も同様だ。先日、フランスのマクロン大統領が訪中し、台湾問題で軽率な発言をして批判を浴び、G7外相会談でフランスは軌道修正に追い込まれた。マクロン大統領としては、中国がエアバスを購入してくれたのでサービスしたのかもしれないが、貿易や投資で中国との関係を続けたいという本音が出たとも考えられる。欧州諸国ではまだ中国への配慮が残っている
  今回のG7広島サミットまでにイタリアが一帯一路からの離脱表明を明らかにする可能性は少ない。協定更新時期は来年3月だからだ。現時点で中国をあまり刺激したくないという思惑もあるだろう。
  中国外務省の汪文斌副報道局長は10日の記者会見で「中国とイタリアは一帯一路で大きな成果を上げており、さらに協力を強化すべきだ」と述べ、残留を呼びかけた。中国としては、日本を米国から切り離すのは無理なので、今後も欧州に対し経済関係強化を働きかけるだろう。
  一方、米国は、今回のG7その他の外交舞台裏も含めてイタリアへの説得は続くだろう。もちろん、同時にウクライナ戦争をテコとして民主主義国の結束を説いていくとみられる。
  中国がロシア支持なので、安全保障面からの配慮もあり、イタリアは一帯一路からの離脱に傾いている。
  このまま、年内にイタリアが離脱するか、それとも中国が盛り返すか。米中の覇権争いとして注目していきたい。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


2023.02.27-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB276KZ0X20C23A2000000/
イタリア沖で移民船難破、62人死亡 乳幼児も犠牲に

  【ローマ=共同】イタリア南部カラブリア州沖で26日、移民が乗った船が悪天候で難破し、27日までに少なくとも62人が死亡した。ANSA通信などが報じた。遺体は海岸や周辺の海で見つかり、乳幼児ら複数の子どもも含まれていた。約80人の生存者が浜辺で発見された。

  地元当局などによると、船にはアフガニスタンやパキスタンなどからの移民150人以上が乗っていたとみられる。トルコを出発して欧州を目指していたが、岩に衝突して船体が真っ二つに割れた可能性がある。密航業者とみられる3人が拘束された。
  航空機が25日夜に海岸から数十キロの地点で船を発見していたが、巡視船は悪天候で近づくことができなかった。
  イタリアは地中海を密航する移民・難民が到着する主な国の一つになっている。イタリア政府は不法移民の取り締まり強化を訴えており、メローニ首相は「このような悲劇を繰り返さないためにも、取り組みを続けていく」との声明を出した。


2023.02.22-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-italy-idJPKBN2UV1QZ
イタリア首相がキーウ訪問、支援継続を表明 戦闘機供与は否定

  [キーウ 21日 ロイター] - イタリアのメローニ首相は21日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を就任後初めて訪問し、ウクライナへの防衛支援を続けると表明した。ただ、一部で報じられている戦闘機の供与は否定した。

  メローニ氏はウクライナのゼレンスキー大統領との記者会見で、AMX攻撃機5機を供与する可能性があるとする伊紙レプブリカの報道について問われ、「現時点で検討していない」と応じた。
  一方で、ウクライナが敗北すればロシアによる「他の欧州諸国の侵略に道を開きかねない」と指摘し、支援継続を強調した。
  フランスと共同で近くウクライナに提供する「SAMPーT」に加え、防空システムを追加供与する可能性を検討していると明らかにした。
  メローニ氏はポーランドから列車でキーウに到着。ゼレンスキー大統領との会談前に、ロシア軍の攻撃で破壊されたキーウ近郊のブチャとイルピンも訪ねた。


2023.02.22-Yahoo!Japanニュース(朝鮮日報)-https://news.yahoo.co.jp/articles/152b68a456a5abe1aee8c6afcc07ba3173d4ebce
「水の都」ベネチアに一体何が…運河干上がり名物ゴンドラ運航中止
パク・ソンミン記者

  イタリアの「水の都」ベネチアが深刻な干ばつでピンチに陥っている。運河は底が見えるほど干上がり、名物のゴンドラや水上タクシーは運航を中止している。  20日(現地時間)、英紙ガーディアンやロイター通信などによると、最近続いている干ばつにより、干潮時の水位が平均潮位より約60センチメートル低くなっているという。 潮位低下は、毎年1-2月の乾燥期によく発生するが、運河の底が見えるほど下がるのは珍しい。今月24日までは雨の予報がないため、干ばつは数日間続くものとみられている。

  現在、一部の水路は水がほとんどなくなって船が動けないほどになっている。ゴンドラも水上タクシーも運航を中止した。
  写真を見ると、川底があらわになった水路の上に船が放置されている。いつもなら観光客を乗せてにぎわうベネチア名物のゴンドラも営業を中止したまま、水路に取り残されていた。救急患者や火災など危機的な状況が発生しても、水路による移動が不可能な状態だ。
  ベネチアの運河だけでなく、イタリアのほかの川や水路も水不足でピンチに陥っている。イタリアの環境保護団体「レガンビエンテ」によると、イタリアで最も長いポー川は例年のこの時期よりも水流が61%減っているという。ポー川はアルプス山脈からアドリア海に注ぎ、イタリアの農業生産量の3分の1を担っている。昨年7月には70年ぶりという深刻な干ばつに見舞われ、近隣地域に非常事態が宣言された。
  専門家は、大量の降雨がなければ今回の事態は解決できないとみている。イタリア学術会議(CNR)の気候専門家は「イタリアは2020年から冬の水不足に直面している」「北西地域では降水量がさらに500ミリメートル必要だ。それには約50日間、雨が降らなければならない」と語った。
パク・ソンミン記者



2022.10.22-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/6cbfe24b0dae6627ef73091d6efb6445a1bd84e5
イタリア、メローニ内閣発足 初の女性首相 外相は元EU欧州議長-(パリ 三井美奈)

  【パリ=三井美奈】イタリアで22日、9月の総選挙で勝利した強硬右派イタリアの同胞」のジョルジャ・メローニ党首(45)を首相とする内閣が就任宣誓し、右派連立政権が発足した。女性首相は同国初。主要与党は親ロシア色が濃厚だが、メローニ氏は欧州連合(EU)と協調路線をとる穏健派を外相に起用し、不安の払拭(ふっしょく)に努めた

  新政権には、選挙で第一党になった「イタリアの同胞」のほか、ベルルスコーニ元首相が率いる「フォルツァ・イタリア」、サルビーニ元内相の「同盟」の右派各党が参加する。イタリアの同胞は、独裁者ムソリーニの旧ファシスト党の流れをくむ。2012年の発足後、政権参加は初めて。

  外相には、フォルツァ・イタリアのアントニオ・タヤーニ元EU欧州議長が就任した。欧州委員の経験があるEU政治のベテランだ。ジャンカルロ・ジョルジェッティ経済財務相は同盟出身。ドラギ政権で経済開発相を務め、先端技術産業で中国による企業買収を阻止してきた。
  新政権は上下両院の承認を得て、本格始動する。 ロシア政策を巡り、メローニ氏はEUの制裁維持を主張するが、政権内で温度差がある
  ベルルスコーニ氏はプーチン露大統領と個人的に親しい。政権発足直前には、党内の仲間に「誕生日にプーチン氏から親切な手紙と20本のウオッカをもらった」と自慢した発言の録音が伊メディアで報じられた。サルビーニ氏は、制裁の効果に疑念を示してきた。
  総選挙で右派連合は、下院(定数400)で237議席、上院(終身議員を除く定数200)で116議席を獲得した。メローニ氏は21日、マッタレッラ大統領の組閣要請を受け、閣僚名簿を提出した。イタリアで右派連立政権は、ベルルスコーニ政権以来11年ぶりとなる。
■中絶、性的少数者に否定的
  イタリアのメローニ新首相は、伝統重視の保守派を自認する。「性的少数者(LGBTなど)ロビーにノー! 性差は大事」と発言してきた。女性の権利運動とは距離を置き、人工妊娠中絶は抑制が望ましいという立場だ。
  
  ローマ出身。幼少期に両親は離婚し、貧しい母子家庭で育った。子供のころは肥満でいじめにあい、「暗くて、ろくに返事もしない子だった。うまく人間関係が作れなかった」と回想録に書いている。 15歳の時、旧ファシスト党の残党が作った右翼結社に参加し、仲間を得た。子守やバーの店員をしながら生活費を稼ぎ、21歳で地方議員に当選したのが政界入りの一歩。2006年に29歳で下院議員となった後、ベルルスコーニ政権で最年少の閣僚に起用された。12年に「イタリアの同胞」を旗揚げ。今年9月の総選挙は党首として臨み、「自国第一」を訴えて勝利をつかんだ。テレビ記者のパートナーとの間に6歳の娘がいる。(パリ 三井美奈)


2022.09.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220926-3S6MFXSEURLXZP6NX5ZK5S3YGI/
伊・メローニ党首、台湾支持 「親中」脱却の構え

  【パリ=三井美奈】イタリア総選挙で強硬右派「イタリアの同胞」を勝利に導いた女性のメローニ党首(45)は、「ファシストの末裔(まつえい)」と異端視された党のイメージを和らげ、支持拡大に成功した。外交では、北大西洋条約機構(NATO)を軸とした西側の結束を主張し、親中国姿勢からの脱却を掲げている
中国の威嚇非難
  メローニ氏は総選挙の直前、台湾の中央通信社のインタビューで、右派政権が実現すれば「台湾に強い関心を向けることになる」と述べ、台湾支持を明言した。中国による台湾への軍事威嚇を非難し、欧州連合(EU)が対中圧力を強化すべきだと訴えた

  イタリアは2019年、当時のコンテ政権が先進7カ国(G7)で唯一、中国と巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書を結んだが、メローニ氏は、覚書の更新について「明日署名が必要だとすれば、そんな政治的状況ではない」と否定的な立場を示した。同党のクロセット元党首は本紙に、「わが党は英国の保守党、安倍晋三首相時代の自民党に近い立場だ」と述べている。
紅一点で出世
  メローニ氏は15歳でファシスト党の流れをくむ極右政党に参加。青年部で「紅一点」の指導者として注目され、06年、29歳で下院議員に当選した。2年後、中道右派のベルルスコーニ政権で最年少閣僚になった。
  カトリックを信仰し、家族や伝統重視を訴え、不法移民追放を主張。女権運動とは距離を置く。「女性は軽く見られがち。でも、女性の妥協のない姿勢こそ、今のイタリアが求めているもの」と述べた。
  庶民性も、人気の理由のひとつだ。父は幼少時に出奔し、ローマの労働者街で母子家庭に育った。生計を立てるため、子守やウェイトレスなどの職を転々とした。6歳の娘を持つシングルマザーでもある。
  イタリアの同胞は12年の発足以来、野党にとどまってきた。それが総選挙で追い風になった。主要5党のうち、同党をのぞく4党の党首が、首相か副首相の経験者だったため、政党の権力争いに飽きた有権者の間で、メローニ氏は「新味ある指導者」として期待を集めた。


2022.09.26-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/204838
イタリア、極右躍進で対ロシア国際協調路線に打撃 G7・EUとの関係悪化懸念

  25日のイタリア総選挙では、極右政党「イタリアの同胞」(FDI)などの中道右派連合が勝利した。首相指名が濃厚なFDIのジョルジャ・メローニ党首(45)ら中道右派連合の指導者陣は強権志向が強く、日米欧の先進7カ国(G7)や欧州連合(EU)との関係悪化も懸念される。新政権が親ロシア化する不安も消えず、ウクライナ侵攻後に対ロシアで結束していた欧米にとって痛手となりかねない。(パリ支局・谷悠己)

◆国民の不満吸収し、急速に成長
   「これは到達点ではなく通過点だ。私たちの価値を見せる時が来た」。メローニ氏は26日未明の勝利宣言でこう強調した。
   FDIは、第2次大戦時のファシスト党幹部らが戦後創設した後継政党にルーツを持つ新興政党。当初は極右色の強さから異端視されたが、大連立のドラギ政権に主要政党で唯一加わらなかったことが奏功し、ウクライナ侵攻以降の物価高で高まった国民の不満を吸収し急速に伸長した。
   伊ペルージャ大のアレッサンドロ・カンピ教授は、多国間主義を進めた元欧州中央銀行(ECB)総裁のドラギ氏について「欧米各国の尊敬を集めたが、低所得者層には『国内を顧みていない』と評された」と指摘する。さらに「政治不信に陥った低所得者層はFDIを極右ではなく、野党を貫いた信頼できる政党とみなしていた。『イタリア人を守る』と連呼するメローニ氏の迫力が支持を拡大させた」と話す。
◆ロゴマークにはファシスト党の象徴
   メローニ氏は選挙戦で「ファシズムとの決別」を宣言し、穏健化をアピールした。かつては懐疑的だったEUとの連携を公約に明記し、称賛していたプーチン政権の批判に回った。
   一方で、FDIのロゴマークにはファシスト党の象徴である3色の炎を使い続ける。法の支配の欠如を批判され、EUから孤立する親ロシアのハンガリー・オルバン政権も支持する。
   伊ボローニャ大のファビアン・ジボ講師は「メローニ氏が実際どのような政策をとるか、伊メディアも真の姿を見定められていない」と指摘。中道右派連合を組むもう一つの極右政党「同盟」のサルビーニ党首は、ウクライナ侵攻後にもモスクワを訪問しており、新政権がロシアに接近して対ロシア経済制裁の足並みが乱れる懸念はぬぐえない。ドイツのショルツ首相は「メローニ氏の勝利はイタリアを間違った方向に導く」と警戒感を示している。
◆現在の欧州が抱える問題点
   欧州各国での極右政党の台頭は2015年の難民危機後に顕著となった後、近年はやや頭打ちになっていた。しかし、新型コロナウイルス禍で制限を強いられた人々の不満などを背景に、再び勢いを増している。

   6月のフランス下院選ではマリーヌ・ルペン氏率いる「国民連合」が第2党に急伸2週間前のスウェーデン総選挙では極右政党が右派連合を勝利を導いた。来年のスペイン総選挙でも、メローニ氏が支持する極右政党「VOX」が躍進するとみられている。
   仏シンクタンク「国際関係研究所」のクロードフランス・アルヌ顧問は「既成政党が民衆の不満に応えられず、選挙のたびに極右の勢力図が拡大していくことは、現在の欧州が抱える問題点だ」と指摘する。


2022.07.23-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022072200709&g=int
債務危機再来、おびえる欧州 首相交代で「イタリア売り」

  【パリ時事】欧州連合(EU)域内3位の経済規模を持つイタリアの政治が、再び混乱している。ドラギ首相が辞めれば、市場で辛うじて保たれていたイタリア経済への信頼は消えそうだ。10年ほど前、欧州を襲った債務危機の再来を恐れる声が広がり始めている。

  イタリア経済の今後を支える原資となるのは、新型コロナウイルス危機に対するEUの経済再建策だ。しかし、資金拠出にはEUから求められた構造改革が必要で、国内の既得権層の抵抗は強いイタリアの巨額の債務残高を前に、中国の「債務のわな」に沈んだスリランカの姿を重ね合わせた不安がよぎる

  市場では「イタリア売り」が加速し、イタリア国債の金利が上昇。ロイター通信によれば、ドラギ氏が辞任を表明した21日、最も信用度の高いドイツ国債との利回り格差が拡大し、かつての欧州債務危機と重なる光景となった当時の危機を救った一人が、欧州中央銀行(ECB)総裁を務めていたドラギ氏本人だった

  ドラギ氏は昨年4月、国会で合計2215億ユーロ(約31兆円)規模の経済復興計画を発表した。財源として頼るのは、EUからの拠出金1915億ユーロ(約27兆円)。水素発電をはじめとする再生可能エネルギーへの移行や、訴訟手続きの迅速化など構造改革に着手したばかりだ。
  ミラノ工科大のジュリアーノ・ノーチ教授は、AFP通信に対し「ドラギ政権は何十年も待たれていた改革を実行中だった」と指摘。「ドラギ氏の辞任は、イタリアだけでなく欧州にとっても損失だ」と嘆いた。
 
 9月にも行われる総選挙では、政党支持率で首位の「イタリアの同胞」を中心とした右派政権が誕生するとみられている。しかし、欧州債務危機が吹き荒れた2011年、右派政権を率いたベルルスコーニ首相は、荒っぽい言動と未成年買春など疑惑の数々で相場を揺さぶる元凶となり、最終的にドイツのメルケル首相らが暗躍した欧州総掛かりの退陣工作で引きずり下ろされた。


2022.07.22-YTV ニュース-https://www.ytv.co.jp/press/international/158093.html
伊・ドラギ首相辞任へ 総選挙9月の見通し

  イタリアのドラギ首相は連立政権内の対立をうけて21日、大統領に辞表を提出し受理されました。総選挙が9月に行われる見通しです。

  イタリア国営メディアによりますと、20日、ドラギ首相への信任投票で、連立を組む左派政党の「五つ星運動」など複数の与党が投票を棄権しました。
  連立政権の維持は困難となり、ドラギ首相は翌21日にマッタレッラ大統領に、辞表を提出し、大統領が受理して議会を解散しました。
  ドラギ氏は暫定的に首相にとどまり、総選挙が9月25日にも行われる見通しです。

  直近の世論調査によると、総選挙では極右政党の「イタリアの同胞」などの保守連合が、過半数を占める勢いです。その場合には、「イタリアの同胞」のメローニ代表が、イタリア初の女性首相に選出される可能性があるとみられています。


2022.07.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220715-X367ZBQ73RJSRJN5KMNIOIYJB4/
イタリア政局が流動化 ドラギ首相辞意 前倒し選挙も

  【パリ=三井美奈】イタリアのドラギ首相は14日、中道左派の第2与党「五つ星運動」が同日、上院での政府法案の採決を棄権したのを受け、マッタレッラ大統領に辞意を表明した。マッタレッラ氏はドラギ氏の辞任を認めず、議会で収拾を図るよう求めた。政権内では右派与党から前倒し選挙を求める声が出ており、政局が流動化してきた。

  法案は、エネルギー高騰に対応した経済支援策への信任を問うもので、賛成多数で成立した。だが、ドラギ氏は五つ星運動の造反を受けて「政府は与党の信任なしに、政策を進められない。その条件がもう存在しない」と述べた。
  五つ星運動の代表、コンテ前首相は採決を棄権した理由について「政府の家計支援が十分でない」と説明している。


2022.03.13-Yahoo!Japanニュース(テレ朝News)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a34321a2633d11af532fe4a8f9849c3362453bd0
【速報】ウクライナの避難者50人乗せたバス横転 イタリア

  イタリアでウクライナから避難してきた約50人を乗せたバスが高速道路で横転して1人が死亡、数人がけがをしています。
  ロイター通信などによりますと、イタリア北部のフォルリ付近で13日、ウクライナからの避難してきた約50人を乗せたバスが高速道路で横転しました
  この事故で、乗っていた女性1人が死亡、数人がけがをしたということです。
  ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、イタリアにはウクライナから約3万5000人が避難しています。
テレビ朝日


2020.5.5-msn ニュース-https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/AE
イタリア、封鎖措置緩和 製造・建設業など再開

  [ローマ 4日 ロイター] - イタリアで4日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため2カ月近く実施されているロックダウン(都市封鎖)の段階的な解除が始まった。製造業や建設業が再開され、約450万人が仕事に復帰した。
  一方、多くの商店は今月18日まで休業を続ける必要があるほか、学校や映画館、劇場などの再開はめどが立っていない
  コンテ首相は、イタリアは依然として「パンデミック(世界的大流行)の苦しみの中にある」と述べた。
  イタリア保健当局は4日、新型コロナ感染症による死者が195人増え、累計2万9079人になったと発表した。死者数はここ数週間、減少傾向にあったものの、1日の死者数は前日の174人から増加した。
  イタリアの新型コロナ感染症による死者数は米国に次いで世界で2番目に高い。
  新規感染者数は1221人で、前日の1389人から減少。累計の感染者数は21万1938人で、世界で3番目に高い。
  イタリア国立統計研究所(ISTAT)は同日、数千人の死者の死因が新型コロナと正式に特定されていないことを示すデータに言及し、実際の死者数が保健当局の公式発表を大幅に上回っている可能性があるとの認識を示した。


2020.3.20-東洋経済 OnLine-THE NEW YOUK TIMES-https://toyokeizai.net/articles/-/336509
まるで戦時中「人が消えたイタリア」の現状
医師を圧倒する疫学的災難と指摘する声も
(1)
イタリアはメッセージを理解した。蔓延する新型コロナウィルス拡散を阻止するため、ヨーロッパ初の全国規模の人の移動と公共の集会を制限した初日、イタリア国民は、街頭、店舗、教会、サッカー場からいなくなった。
  イタリア国民は、高齢者を守り医療システム崩壊を防ぐために公衆の犠牲を訴えた、3月9日夜、ジュセッペ・コンテ首相が発表した政府の「自宅にとどまる」政令を守っていた。
スーパーでは一度に店内に入れるのは数人
しかし、国民が屋内にとどまっている間も、大流行の最前線であるイタリア北部地域の当局者は、感染抑圧のため、原則的に全商業活動と、公共交通の停止といった、さらに強力な措置を求めていた。
  ミラノと感染が広がった大半の都市があるロンバルディア州のアッティリオ・フォンタナ知事は、「断固たる措置の時」だと話した。当局者は、全面閉鎖は2週間続く可能性を示唆した。この要請が速やかにロ-マ政府の承認が得られることを知事は希望していると知事の広報担当官は述べた。
  こうした中、イタリア国民はウイルス拡散と戦うため、ソファーに腰掛け、戦闘体制の配置に就いた。
  ローマでは、通常はごった返すトレヴィの泉から水は流れていたが、あたりには誰もいない。サン・ピエトロ大聖堂を通り過ぎる人影はほぼなく、政府は旅行者に帰国するか、ホテルに戻るよう指示した。スーパーマーケットの外には人が並んでいた。政令で定めた社会的距離のルールを守れるように、一度に買い物できる客は数人に限られていた。
  これは完全閉鎖ではなかった。外出を控えるよう命令されていたが、仕事、食料品、生活必需品(政府によると電球など)を求めるなどのほか、医療、育児、高齢者介護に関連する理由があれば、まだ動き回ることができた。
  しかし制服を着た警官と兵士は全国に検問所を設けた。後日当局が確認できるよう、呼び止めた人は、公式書類に記入し移動を説明することが必要だ。書類上の虚偽は犯罪である。
  鉄道のボローニャ駅の警察検問所の隣に立っていたヴァレンティーナ・シコローネ(30)は、この状況を「シュールレアリスム」と言う。彼女はボーイフレンドに会いにやってきて、今はミラノ行き列車を待っていた。ミラノでは勤務先のホテルの改修の監督を手伝う必要があるからだ。ホテルはこのところキャンセル続きで休業していた。
(2)
シコローネさんは、恋愛は旅行の正当な理由ではないと政府が規定していることを承知していた。だから、いつボローニャに戻って将来の夫と一緒に過ごせるかわからなかった。「彼といつ再会できるかわからない」と彼女は話す。
  街頭は戦時の雰囲気がするという高齢者もいた。毎朝6時に、イタリア市民保護局の当局者が全国中継のカメラ前に現れ、感染者数(3月10日時点で1万149人)と死者数(631人、前日から168人増加)の最新情報を知らせる。これは、災難という意味に追加された儀式である。
「戦争は文字どおり炸裂し、戦闘は昼夜絶えない」
ロンバルディア州のベルガモ市の病院に勤務する医師は、圧倒的な数の患者による医療システムへの負荷の生々しい説明をソーシャルメディアに投稿した。10日、イタリア最大の新聞紙コリエーレ・デラ・セーラにその内容が再掲載された。
  「戦争は文字どおり炸裂し、戦闘は昼夜絶えない」と医師のダニエル・マッキーニは書き、この状況を、医師を「圧倒した」「疫学的災害」と呼んだ。「次から次へと不幸な患者が緊急治療室に入ってくる」とマッキーニは言う。「患者はインフルエンザの合併症どころではない。重症のインフルエンザと呼ぶのはやめよう」。
  マッテオ・レンツィ前首相は、ウイルスは政府より10日先行しており、政令のような抜本的対策が全ヨーロッパを救済するために必要だとインタビューで語った。「現時点でレッドゾーンはイタリアだ」と前首相は語った。「しかし10日経てばレッドゾーンはマドリード、パリ、ベルリンになる。イタリアはウイルスの止め方を示す必要があり、そうしないとレッドゾーンはヨーロッパ全域になる」と話す。
  大流行の影響を受けたベネチアなどの都市があるヴェネト州のルカ・ザイア知事は、厳格な措置を要請する点でロンバルディア州の政治的盟友に同意した。ウイルスを阻止し、医療システムを救済するには、「全面閉鎖」などさらに過酷な対策のほうが、「苦悩を引き延ばすより望ましい」と同知事は語った。
  ヴェネト州のヴェローナ市は、アレーナ・ディ・ヴェローナの外は普段はにぎやかな地域なのに今は誰もいない。この場所で、音信不通だった幼なじみと数十年間互いに探しあった末、3月10日涙ながらの再開を果たした。だが、ハグはできなかった。「ルールは守らなければならない」と、アンナ・ブロ(56)は話す。友人が近くに立ったが、近づきすぎてはいなかった。ブロも政府はあらゆるものを閉鎖すべきと考えていて、中途半端な措置ではイタリアの傷を悪化させると心配していた。
  イタリアは8日、北部地域のみで移動制限を行った。この制限をコンテ首相が宣言したとき、ルールを試したり、卑怯なことをせず、回避しないよう、イタリア国民に訴えた。
(3)
著名な政治家やウイルス学者は、コンテ首相にイタリア半島全体の包括的制限によって、危険度を明確にするよう急がせた。首相の新措置の説明は、深夜2時ではなくゴールデンタイムに行われた。イタリア政府は、FAQ形式でイタリア国民にできること、できないことをはっきりと詳しく説明する努力も行った。
  10日、イタリアは本当に動揺しているようだった。ミラノでは、以前の陽気なミラノのように見えたが、人々の減少や商業活動の低下は著しかった。
  ローマでは、市のモンテヴェルデ地区の静かな通りをジョギングする人々が、マスクとゴム手袋を着用していた。イタリア国民は無頓着さをかなぐり捨て、使命感を持って閉じこもった。4月3日まで学校は休校となり、自宅で子供を教える親もいた。
「自宅にとどまる人は余裕のある人」
サルサメンテリア・ルッジェリでは、肉屋のエプロン姿で白いマスク姿の男が同時に入店する顧客数を制限していた。
  「みんな怖がっている」と老舗チョコレート屋であるマリオンド・ガリオの店員であるナディア・ブチャレリは話す。「仕方ないけど」。今出歩いているのは観光客だが、政府は観光客にも出かけてほしくないと考えている。政府の政令では観光は「避けるべき」ことで、観光客の移動は「自宅、居住地、住所に戻ること」に限定すべきであると書かれていた。
  ローマ中心、パンテオンのそばにある閉鎖されたドア横の掲示は、観光客に観光する代わりに遺跡などについてのアプリをダウンロードするよう勧めていた。聖イグナチオ教会の神父は、入り口隣の聖水盤を空にした。スペイン階段近くのコンドッティ通りでは、高級店は開店しているが、店に入る者はほとんどいなかった。
  その中でもほぼひとつだけ、ミラノが本拠のアルマーニは、公衆の「健康を守る」ため閉店したままだ。
  「状況は悪化している」と、ピザ・ナヴォーナでレストランに客を呼び込みながらオルジェスト・ドジャは語る。
  トラステヴェレのレストランでは、デンマークからの観光客であるミシェル・デジュール(49)がテーブルの端でコーヒーを飲み、夫は白ワインをもう片方の端ですすっていた。「ウェイターにそうするように言われた」と彼女は話す。
  人と接触することが強制される労働者の中には、イタリアのセレブたちが自宅から出ないように要請していることに階級差を感じている人もいる。「家にとどまるのは余裕があるからだ」と、タクシー運転手のアンドレア・アルカンジェリ(41)は話す。店が休業しているのは閉店を命令されたのではなく「外に誰もいないから」だと不平を言った。まったくそのとおりだった。


2020.3.19-BBC ニュース Japan-https://www.bbc.com/japanese/51955789
イタリア、新型ウイルスの死者1日で475人増加 計2900人に

イタリアは18日、新型コロナウイルスによる死者が前日から475人増え、2978人に達したと発表した。1日あたりの死者数としては、アウトブレイク(大流行)が始まって以降で最多。
イタリアではこれまでに3万5713人の感染が確認されている。その内、4000人以上が順調に回復した。
  イタリアで新型ウイルスの影響を最も受けているロンバルディア州では、1日で319人が死亡した。イタリアでの症例数は、新型ウイルスが発生した中国の外では最多。
  多くの国が、新型ウイルスの感染拡大のスピードを遅らせ、医療制度への負担を軽減するため、他人との距離を置いたり、大規模イベントを中止するなどの抜本的措置を講じている。
  「それでも、地域的な流行を鎮圧し抑制するには、各国が隔離措置やウイルス検査、感染者の治療や感染経路の追跡を行わなければならない」と、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は18日に述べた。
  <関連記事>
EU、非加盟国からの入域を30日間禁止へ 各国首脳が合意
  アメリカ、全50州で感染確認 新型ウイルスの死者100人に
  仏独など欧州で移動制限が拡大 新型ウイルス対策
  世界の死者数は少なくとも8700人以上。そのほとんどは中国国内で確認されている。
  WHOによると、全世界で20万人以上の感染が確認されており、その8割は欧州地域や、アシアの大部分を含む西太平洋地域だという。
  イタリアでは新型ウイルスの拡大阻止のため、2週間近くにわたり封鎖措置が取られている。住民は屋内待機を要請されているが、国内の死者は増え続けている。
  こうした現状について、WHOの健康危機担当マイケル・ライアン氏は、北イタリアでは一度に「とんでもない」人数が集中治療を必要としていることや、総人口に占める高齢者の割合が高いことが、事態悪化の要因だろうと指摘した。
  テドロス事務局長はツイッターで、新型ウイルスのワクチンの初めての試験がこれほど早期に開始されたことについて、「信じられないほどの成果」だと歓迎した。
  新型ウイルスのワクチンの臨床試験は、米ワシントン州シアトルのカイザー・パーマネント研究施設で16日に始まった。しかし複数専門家は、ワクチンに効果があるかが明らかになるまでには何カ月もかかると警告している。
欧州諸国の状況は
  スペインでは598人が死亡し、1万3716人が感染した。首都マドリードでは数十人が新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」を発症。少なくとも17人の入居者が死亡した市内の介護施設について、当局が調査に着手する予定。
  フランスでは17日、感染者数が16%増え7730人に、死者数は175人に達した。死者の7%は65歳未満。
  イギリスの死者数は104人に達した。
  ドイツでは12人が死亡、8198人が感染している。アンゲラ・メルケル首相はテレビ演説で、パンデミック対策の行動制限を順守するよう国民に求めた。「ドイツ統一以降、実際のところ第2次世界大戦以降、この国にとって連帯行動がこれほど重要な事態はかつてなかった」と述べた。
  ベルギーでは14人が死亡、1486人が感染している。
欧州国境で何が起きているのか
  欧州連合(EU)加盟27カ国の首脳は17日、ビデオ会議を開き、EU域外からの入域を30日間禁止することで合意した。これを受け、EU域外からの渡航者が空港や国境から追い出されている。
  この措置では、アイルランドを除くEU加盟26カ国と、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスへの外国人の入国を禁止するイギリス国民は制限の対象にはならない。また、通勤のために国境を越える必要がある人などにも適用されない。
  EU加盟国首脳は、過去数日間に封鎖されたEU域内の各国国境について、解除すべきだという認識で一致した。
  措置が適用されるすべての国の市民については、帰国できるよう支援が行われるという。ドイツは、モロッコやエジプトからフィリピンやアルゼンチンに至るまで、外国に取り残されている数万人の市民について、空路で帰国できるよう対応を続けるとしている。


2020.3.18-新潮社 FORESIGHT フォrゲット-https://www.fsight.jp/articles/-/46663
イタリア「新型コロナ危機」と中国人「歴史的大移動」の相関関係

イタリアにおける新型コロナウイルス感染状況は、凄まじいばかりだ。「全土崩壊前夜」といった類の煽り気味で絶望的なニュースが飛び交う。
   だが、なぜイタリアでこれほど感染が拡大したのか、といった視点が決定的に欠落しているように思える。
   そこで、鄧小平が断行した対外開放、つまり「中国人の移動」という観点からイタリアを襲っている惨状の背景を考えてみたい。
   おそらくイタリア社会における中国人――その大部分は対外開放以後に海外に「走出去」して飛び出して行った新華僑世代――の振る舞いを捉えることで、ヨーロッパ全体を覆いつつあるパンデミック危機の背景を知ることが出来るはずだ。
中国人がいないと米作りが成り立たない
  今から7、8年ほど前になるが、香港の中国系書店で『“不死的中国人”――他們干活、掙銭、改変着意大利、因此令当地人害怕』(社会科学文献出版社 2011年)なる書籍を購入した。
   地下にしっかりと根を張りながら咲き誇るタンポポの表紙に魅かれたと同時に、日本語に訳すと『“不死身の中国人”――彼らは働いて、カネを稼いで、イタリアを変えている。だから土地の人に怖がられる』となる書名が醸し出す反中・嫌中の雰囲気が気になったからだ。
   それにしても不思議に思ったのは、この本が北京の出版社から刊行され、しかも香港の中国系書店に置かれている点だった。
   じつは、この本は中国人が著したものではなく、2人の若いイタリア人ジャーナリストがイタリア全土を駆け巡り、イタリア社会で生きる中国人の姿を克明に綴った『I CINESI NON MUOIONO MAI:LAVORANO,GUADAGNANO,CAMBIANO L’ITALIA E PER QUESTO CI FANNO PAURA』(R.Oriani&R.Stagliano Chiarelettere 2008)の翻訳である。
   筆者にはイタリア語が分からないので、翻訳の出来不出来は判断のしようがない。が、なにはともあれページを追ってみた。
   すると、中国人のイタリア社会への逞しくも凄まじいばかりの浸透ぶりが、溢れんばかりに綴られていた。
   たとえば西北部の穀倉地帯として知られるピエモンテでのこと。
   1980年代末に「紅稲」と呼ばれる雑稲が突然変異のように発生し、増殖をはじめ、稲の生産を急激に低下させた。ところが紅稲は除草剤や除草機では駆除できない。やはり1本1本を人の手で丁寧に抜き取るしかない。だが、肝心の単純労働力は不足するばかり。
   そこへ、農家の苦境をどこで聞きつけたのか、大量の中国人がやって来た。イタリアで半世紀以上も昔に忘れ去られてしまった田の草取りの方法のままに、彼らは横一列に並んで前進し、紅稲を抜き取っていく。
  <7、8月の灼熱の太陽を受け泥に足をとられながら、手足を虫に咬まれ、腰を曲げ、全神経を紅稲に集中する。想像を超える体力と集中力、それに一定の植物学の知識が必要だ。紅稲は一本残らず抜き取らなければ正常な稲に害が及ぶ。抜くべきか残すべきかを知っておく必要がある>(同書より抜粋)
   過酷な作業ながら収入は少ない。だが喜んで中国人は請け負う。
   ある日、田圃で中国人が脱水症状で倒れた。彼らに「健康を考慮し、明日からは10時間以上の作業を禁ずる」と告げた翌日、雇い主が田圃に行ってみたが、誰もいない。慌てて宿舎に駆けつけると、彼らは荷物をまとめて立ち去るところだった。
  「毎日10時間しか働けないなんて、時間のムダだ」と、口々に言う。雇い主は、「中国人は疲れることを知らない。気が狂っている」と呆れ返る。
   かくして同書は、「中国人がいないとイタリアの米作りは成り立たなくなってしまった」と嘆く。
「中国人って1カ所には留まらない」
イタリアにおける新型コロナウイルス感染状況は、凄まじいばかりだ。「全土崩壊前夜」といった類の煽り気味で絶望的なニュースが飛び交う。
   だが、なぜイタリアでこれほど感染が拡大したのか、といった視点が決定的に欠落しているように思える。
   そこで、鄧小平が断行した対外開放、つまり「中国人の移動」という観点からイタリアを襲っている惨状の背景を考えてみたい。
   おそらくイタリア社会における中国人――その大部分は対外開放以後に海外に「走出去」して飛び出して行った新華僑世代――の振る舞いを捉えることで、ヨーロッパ全体を覆いつつあるパンデミック危機の背景を知ることが出来るはずだ。
対外開放でカネ・ヒト・モノが流入
   1975年の時点で、イタリアでは400人前後の中国系住民(旧華僑世代)が報告されているが、鄧小平が対外開放に踏み切った1978年末から7年ほどが過ぎた1986年には、1824人になっている。
   以後9880人(1987年)、1万9237人(1990年)、2万2875人(1993年)へと急増していったが、彼らは新華僑世代である。1990年代半ば、新華僑はイタリア在住外国人としては6番目の人口を擁していた。
   1986年から1987年の間の1年間に見られた5倍以上の増加の主な要因は、1985年1月にイタリア・中国の両国間で締結(同年3月発効)された条約によって、イタリアへの中国資本の進出が促された点にある。
   人民元(カネ)と共にヒト、つまり中国人労働者が大量にイタリアに送り込まれるようになった。また中国料理・食品(モノ)への嗜好が高まったことも、中国人労働者(ヒト)の流入に拍車を掛けたはずだ。カネ・ヒト・モノが中国からイタリアに向かって流れだしたのだ。
   新華僑世代も旧華僑世代と同じように、同郷・同姓・同業などの関係をテコにして「会館」と呼ばれる相互扶助組織を持つようになる。1980年代半ばから1990年代末までの10年ほどで十数個の相互扶助組織が生まれた。これこそ新華僑世代増加の明らかな証拠だろう。
商品の発送元は温州市
   彼らは強固な団結力をテコに、自らの生活空間の拡大を目指す。
   たとえば、2010年前後のローマの商業地区「エスクィリーノ地区」には、衣料品、靴、皮革製品などを中心に2000軒を超える店舗がひしめいていたが、その半数は中国人業者が占めていた。
   現在はそれから10年ほどが過ぎているから、その数はさらに増したと考えて間違いないだろう。
   彼らが扱う商品の発送元は、浙江省温州市である。温州は、遥か昔の元代(1271~1368年)から中国における日用雑貨の一大拠点として知られる。新型コロナウイルスを巡っては、2月初旬に湖北省武漢市に続いて封鎖措置を受けた。
   ローマの商業地区と新型コロナウイルスによって危機的レベルにまで汚染された中国の都市がモノとヒトで日常的に結ばれていたことを考えれば、イタリアの惨状が納得できるはずだ。
   友人のイギリス人は、感染拡大の背景にはイタリア人の生活様式もあると指摘する。
   イタリア人はオリーブやトマトといった健康的な食生活によって、肥満の多い欧州先進国においては珍しいほどに長寿国で、高齢者が多い。周辺先進国に比べて核家族化が進んでおらず、3世代同居も珍しくない。特に高齢者には敬虔なカトリック信者が多く、教会でお椀を共有してワインを飲む習慣があるという。であるとするなら、中国人の「移動」という極めて今日的要因がイタリアの社会的・文化的伝統という“宿主”を得たことで、被害の拡大に繋がったとも考えられる。
中国人の数は40万人超
   いま手元にある『海外僑情観察 2014-2015』(《海外僑情観察》編委会編 曁南大學出版社 2015年)を参考にし、近年のイタリアにおける中国人の状況を素描しておきたい。
   中国人の人口は全人口の0.49%で30万4768人(2013年1月1日現在)。これに非合法入国者を加えると、実際は40万人超ではないか。
   中国系企業が集中している地方は西北部のロンバルディア(1400社)、中部のトスカーナ(1万1800社)、東北部のヴェネト(8000社)、北部から中部に広がるエミリア・ロマーニャ(6800社)であり、貿易を主にして2万5000社前後。他にアパレルや製靴関係が1万8200社、レストラン・バー・ホテルなどが1万3700社を数える。
  「イタリアにおける中国人の首都」であるミラノを見ると、イタリアが2008年のリーマンショック以後、経済危機に陥ったにもかかわらず、中国系企業、殊に食品関連は急増。同市で外国からの移住者が経営する600社のうち、中国人移住者のそれは17%を占めている。
   アパレル産業の中心でもある中部のプラトでは、人口20万人余のうちの3万4000人を中国人が占めている。じつに7人弱に1人だから、一大勢力だ。彼らは有名ブランドの下請けから始まり、いまや伝統的な家内工業的システムを駆逐し、新たなビジネス・モデルを構築しつつあるという。
   2014年4月、東北部のパドヴァには中国人経営のアパレル・チェーン店「CVG」が創業し、有名なファストファッションブランドの「H&M」や「ZARA」のライバルとして急成長を見せる。イタリアにおける中国系企業の小売り最大手は「欧売集団」で、イタリア全土で34軒のスーパーマーケットを経営しているという。
   ――以上は飽くまでも『海外僑情観察 2014-2015』に基づいたものであるが、ここからもイタリア社会への中国人の浸透度がある程度は理解できるだろう。
「ACミラン」の経営にも中国の影
  「イタリアにおける中国人の首都」ミラノの象徴といえば名門サッカーチームの「ACミラン」だが、ここの経営にも中国人が大きく関係していた。
   2014-15年シーズン終了後、ACミランのオーナーだったシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相は、タイの青年実業家「Mr.Bee」ことビー・テチャウボンとの間で売却交渉を始め、2015年5月にACミラン株の48%売却で合意した。
   Mr.Beeは、タイの「康蒂集団」と『星暹日報』の両社を傘下に置くサダウット・テチャブーン氏の長男である。
   サダウット・テチャブーンは華人2代目で、華字名は鄭芷蓀。父親の鄭継烈が起こした建設業を引き継ぎ、1990年代初頭から積極経営に転じ、タイ国内のみならず中国やオーストラリアでの不動産開発やホテル経営にも乗り出した。
   その後、タイの老舗華字紙『星暹日報』を買収し、2013年11月には広東省政府系の「南方報業伝媒集団」からの資本参加を得て、紙面も一新。それまでの繁体字からタイの華字紙としては初の簡体字横組みとし、電子版の配信、中国版Twitter「微博」の活用なども始めた。
   当然のように論調にも南方報業伝媒集団の強い影響が感じられる。『星暹日報』は、タイにおける中国メディアの“別動隊”とでも言えそうだ。
   さて、アブダビの資産管理会社「ADS Securities」と中国政府幹部が資金源と伝えられていたMr.Beeだが、ACミラン買収資金に苦慮していた。そこで彼が資金援助を申し入れた相手が、「阿巴里里集団」を率いる馬雲(ジャック・マー)であった。
   2016年8月、ACミランは中国企業のコンソーシアム(共同事業体)に約832億円(株式の99.93%)で売却され、2017年4月にベルルスコーニ元首相はACミラン経営から撤退した。その後、2017-18年シーズン途中で中国系オーナーの債務不履行が原因で、最終的にはアメリカのヘッジ・ファンドが新オーナーに就任した。
華僑・華人の本質は移動
   こう見てくると、「アンナと呼ばれる20歳の美しい中国娘」から現在の中国を代表する企業家・資産家の馬雲まで、じつに多くの中国人がイタリアと関わりを持っていることが分かるだろう。
   同時に対外開放以後に顕著になった中国人の「移動」という現象が、合法・非合法に限らず世界各地の社会に様々な影響を与えていることも確かだ。武漢から感染が始まった新型コロナウイルスもまた、その一環と考えるべきではないか。
   華僑・華人研究の第一人者である陳碧笙は、中国が開放政策に踏み切った直後に『世界華僑華人簡史』(厦門大学出版社 1991年)を出版しているが、同書で彼は、帝国主義勢力が植民地開発のために奴隷以下の条件で中国人労働者を連れ出した、つまり華僑・華人は帝国主義の犠牲者だという従来からの見解を否定した。
そして、華僑・華人の本質は、「歴史的にも現状からみても、中華民族の海外への大移動にある。北から南へ、大陸から海洋へ、経済水準の低いところから高いところへと、南宋から現代まで移動が停止することはなかった。時代を重ねるごとに数を増し、今後はさらに止むことなく移動は続く」 との考えを提示した。
   この主張をイタリアのみならず今や危険水域に達しつつあるヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国、東南アジア、さらには感染報告が比較的少ないアフリカ、南米、そしてウズベキスタン、タジクスタン、キルギスタンなど中央アジアの国々にまで重ねてみるなら、新型コロナウイルスはもちろんのこと、中国発の“未知の危機”を今後も想定する必要があるだろう。
   極めて逆説的な表現ながら、いまこそ国境を閉じて富強を目指した毛沢東の“叡智”を見返す必要を痛感する。新型コロナウイルスを「毛沢東の怨念」と見做すのは、筆者の偏見だろうか。
   農業に次いで、大理石の石工、ゴミ処理工場労働者、ソファー・皮革・衣料職人、バー、レストラン、床屋、中国産品の雑貨商などが中国人に依存するようになり、中国人はミラノを「イタリアにおける中国人の首都」にして、ありとあらゆる産業を蚕食していった。
   その大部分は浙江省や福建省の出身者で、多くは非合法でイタリア入りしている。教育程度は他国からの移民に比較して低く、それゆえイタリア社会に同化し難い。
   苦労をものともせず、倹約に努めるという「美徳」を備えてはいるものの、それ以外に目立つことといえば博打、脱税、密輸、黒社会との繋がりなど……。どれもこれも、胸を張って誇れるビジネスではない。文化程度の低さは、勢い生きるためには手段を選ばないことに繋がる。
   これがイタリアで増加一途の中国人の現実である。
   イタリア人は彼らを通じて中国を知る。だが中国人は、そんなことはお構いナシだ。
   子供をイタリアの学校に通わせ、イタリア人として育てようとしている両親もいることはいるが、カネ儲けに邁進しているので、学校や地域社会で偏見に晒されている子供の苦衷なんぞを推し量る余裕も意識も持ち合わせてはいない。
   同書の著者が、アンナと呼ばれる20歳の美しい中国娘に「夢は?」と尋ねる。すると彼女はこう答える。
  <夢! そんなもの知らないわ。中国人って1カ所には留まらないものなの。あっちがよければ、あっちに行くわ。おカネの儲かり次第ってとこね。この地に未練なんてないの。もう14年は暮らしたけど、とどのつまりは行きずりのヒトなのネ……>
   この印象的なシーンで、同書は終わっている。
   アンナも他の中国人と同様に「とどのつまりは行きずりのヒト」なのだろう。
   だが、新型コロナウイルスが「行きずりのヒト」と共に世界中を動き回ったとするなら、イタリアのみならず人類にとっては、やはり危険過ぎるというものだ。







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