イラン問題-1


2024.07.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240706-HVP2K3RST5KIRK6JLMEG7OTEKQ/
イラン新大統領に改革派のペゼシュキアン氏 米欧との協調模索、中東情勢に影響

  【カイロ=佐藤貴生】ヘリコプターの墜落で事故死したライシ大統領の後継を選ぶイラン大統領選の決選投票6日、開票され、同国内務省は、改革派のペゼシュキアン元保健相(69)が勝利したと発表した。米欧との協調を模索するペゼシュキアン氏の大統領就任が、イランの外交関係や中東情勢に影響を及ぼす可能性がある。

  ロイター通信によると、決選投票での投票率は49・8%と6月28日の1回目投票を上回った。
  米欧との対立を辞さない保守強硬派のジャリリ最高安全保障委員会元事務局長(58)は及ばなかった。決選投票は2005年以来、19年ぶり。


2024.05.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240522-DJDD2LRXLFF2ZG6HWOIF35YDGE/
大統領事故死のイランの体制「古いヘリコプターのよう」 国際政治学者・高橋和夫氏が指摘
(聞き手 三井美奈)

  イランのライシ大統領がヘリコプター墜落事故で死亡し、後継者を決める大統領選が6月28日に行われることになった。中東で紛争が続く中、地域大国イランはどこへ向かうのか。国際政治学者の高橋和夫氏に聞いた。

元日本大使の動向にも注目
 ―イランの現況をどうみる
   ライシ師は国民の人気が低かったため、国内に大きな動揺はないようだ。いまのところ体制に大きな影響はない。
   大統領代行に就任したモフベル第1副大統領は政治的には無名で、政権の根回し役だった。財団理事などを歴任しており、(最高指導者の)ハメネイ師の金庫番としての信頼は厚いのだろうが、大統領選の有力候補とは思えない。
 ―大統領選の行方は
   今回は事故による想定外の選挙となった。安定重視で(米欧との妥協を嫌う)保守強硬派の路線を維持するとすれば、ガリバフ国会議長やラリジャニ前議長が有力候補だろう。革命防衛隊から候補者が出るかもしれないが、国民に名前が知られた人物はいない。
 ―変化の兆しは
   ライシ師が当選した2021年の前回大統領選では(選挙監督機関の事前審査で)改革派だけでなく、有力な対立候補は軒並み排除された。国民には選挙制度への失望が広がっている。今年3月の国会選挙はかつてないほど投票率が低迷し、(第2回投票で)首都テヘランの投票率は8%だったという。ハメネイ体制は譲歩しながら生き残ってきたから今回、空気を少し変えようとするかもしれない。1990年代に日本大使を務めたモッタキ元外相は保守派だが、外交経験に富む。大統領選に意欲を示したことがあり、注目している。
対ロシア武器支援は継続か
 ―ライシ師の業績は
   ウクライナを侵略するロシアにドローン(無人機)を輸出し、プーチン露大統領に恩を売った。隣国アゼルバイジャンと悪化していた関係を改善した。この外交方針は受け継がれるだろう。ライシ師は反体制派を大量に処刑し、ハメネイ師に忠実だった。当初は「ハメネイ師の後継者か」と目されたが、特段の動きはなかった。
 ―中東情勢はどうなる
   イランにとって現在の情勢は悪くない。パレスチナ自治区ガザ紛争で、イスラエルと米国は国際的批判にさらされている。イランが支援するイスラム原理主義組織ハマス、レバノンの民兵組織ヒズボラも健在だ。米国でトランプ政権が復活すれば強硬路線をとるだろうが、これまでの姿勢からイラン攻撃に出ることはないとみられる。
   一方でハメネイ師は85歳で重病を患ったのに、後継者が決まっていない。今回、事故を起こした古いヘリコプターのように、イラン体制は不安を抱えながら飛んでいるように見える。
(聞き手 三井美奈)


2024.05.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240520-EDWA324TKJOCPEFCUEQ5DLQ3CQ/
ライシ大統領死去でイラン反米保守強硬派に試練 ハメネイ師後継の最高指導者選びに支障も
(中東支局 佐藤貴生)

  20日に確認された、ヘリコプター事故によるイランの反米保守強硬派ライシ大統領の死去で、最高指導者ハメネイ師率いる保守強硬派は国内外で試練に直面するとみられる。自由や民主化を求める国民は欧米と対立する保守強硬派に反発しており、ライシ師の後継を決める大統領選でも風当たりが強まりそうだライシ師はハメネイ師の有力後継候補の一人だったため、次期最高指導者選びに支障が出るとの観測もある。

50日以内に大統領選
  ロイター通信によると、ライシ師の死去が正式に確定すれば、50日以内に大統領選が行われる。職務はモフベル第1副大統領が代行する。
  体制の動揺を突いて国内外の反体制派や武装勢力が勢いづき、地域情勢が不安定化する可能性は否定できない。ただ、イランでは大統領は行政の長に過ぎず、国政全般の決定権は最高指導者が握っている。ハメネイ師は「国政に支障は出ない」と強調した。
  イランの宿敵で4月、領土を互いに攻撃して緊張が高まったイスラエルでも、冷静に受け止められているようだ。イスラエル紙エルサレム・ポスト(電子版)は、「(大統領が)不在になれば後任を決める手続きが取られるだけ」という元軍幹部の発言を紹介した。
市民の抗議デモも
  ただ、イラン国内では保守強硬派の将来に暗雲が漂う。ライシ師が勝利した2021年大統領選の投票率は48・8%と1979年のイスラム革命以来、最低を記録した。最高指導者の影響下にある「護憲評議会」が多数の改革・穏健派の立候補を認めず、有権者が選挙への関心を失ったことが一因だった。
  ライシ師の後継を決める選挙でも評議会が保守陣営に肩入れするようなら、革命体制は信任をさらに失うばかりか、市民が抗議デモを行って治安部隊と衝突する事態も想定される。22年には女性が頭髪を覆うスカーフの着用を拒否するデモが起き、全土に拡大した。
次期最高指導者は世襲?
  ライシ師の不在は、今年推定85歳のハメネイ師の後継問題にも影を落とす。英誌エコノミスト(電子版)は、次期最高指導者の有力候補はライシ師を除けばハメネイ師の息子のモジタバ師しかいないとする一方、モジタバ師が跡を継げば革命体制が批判してきた世襲という矛盾が生じると報じた。
(中東支局 佐藤貴生)


2024.05.20-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240520-O5PJVHFEABJL7OWGTHCPFGDCRU/
濃霧の山中にヘリ残骸 イラン大統領・外相の訃報に地元メディア「体制揺らがず」

  濃い霧に覆われた山の斜面に、大破したヘリコプターの残骸が散乱し、辛うじて確認できたのは尾翼の付いた機体後部だけだった―。20日に報じられたイラン北西部の現場からの映像や画像は、墜落の衝撃の大きさを物語っていた。地元メディアは、搭乗していたライシ大統領やアブドラヒアン外相の訃報を伝えた後「悲しいが、体制は揺らがない」と訴えた。

  ヘリは19日に東アゼルバイジャン州の山中に墜落した。地元メディアによると、現場周辺は山が連なり、アクセスが非常に悪い。当局は緊急車両や無人機などを使った捜索活動を夜通し展開したが、悪天候も重なり墜落地点の特定は難航した。
  現場はトルコとの国境に近く、トルコ政府は無人機を派遣。ヘリとみられる熱源を特定したことが場所特定につながった可能性があるという。(共同)


2024.05.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240520-JJZJ5WJQVZDY7DNPKU2LF4UJ7M/
ヘリ事故のイラン大統領「イスラエルの不倶戴天の敵」 各国メディア、体制への影響を分析
(三井美奈)

  イランのライシ大統領が搭乗するヘリコプターの着陸事故は、中東紛争の拡大が懸念されるさなかに起きた。ライシ師は「イスラエルの不倶戴天の敵」(仏紙フィガロ)とみなされており、各国メディアは大統領任務の継続が難しくなった場合の影響を報じた。 イランは、イスラエルと交戦するイスラム原理主義組織ハマスの支援国。4月には初めてイスラエル領を攻撃した。米国は紛争拡大を懸念しており、17日には米メディアが、米イラン両国高官のオマーンでの接触を報じたばかりだった。

  イランで大統領が不在となる可能性を巡り、イスラエル紙エルサレム・ポストは「戦略的影響はない」とするイスラエル軍元幹部の分析を伝えた。イランでは最高指導者ハメネイ師が実権を握るため、「大統領は行政の担い手でしかない。不在になれば後任を決める手続きがとられるだけ」とみている。一方、タイムズ・オブ・イスラエル紙は、「イラン体制の方針に変化はなくても、権力闘争を引き起こす可能性がある」と報じた。
  ライシ師は、イスラム法学者で保守強硬派。2022年、20代の女性が頭髪を覆うスカーフ「ヘジャブ」の不適切着用で風紀警察に拘束され、死亡したのを機に、自由を求める抗議デモが国内に広がると、武力鎮圧で応じた。ライシ体制で、イランと米欧との関係は冷え込んでいる
  英紙フィナンシャル・タイムズはライシ師が職務不可能になった場合、モクベル第一副大統領が任務を引き継ぐだろうと伝えた。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、イスラエルのハマス攻撃や核計画をめぐるイランの姿勢に変化はないとの見通しを示した。
  イラン国営メディアは19日、ライシ師とアブドラヒアン外相が乗っていたとみられるヘリコプターがイラン北西部の東アゼルバイジャン州で異常な着陸をする事故が起きたと伝えた。
(三井美奈)


2024.05.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240520-26PNLEWTAVJGHCZSCGVXY43MXA/
イラン大統領搭乗のヘリが墜落か 安否巡り懸念強まる サウジなど周辺国が支援申し出
(中東支局 佐藤貴生)

  イラン国営メディアは19日、ライシ大統領とアブドラヒアン外相が乗っていたとみられるヘリコプターがイラン北西部の東アゼルバイジャン州で異常な着陸をする事故が起きたと伝えた。墜落した機体が見つかったとの報道もあるが、否定する情報も出るなど錯綜(さくそう)している。
  最高指導者ハメネイ師が「無事を祈っている」と述べたほか、サウジアラビアやトルコなど周辺諸国が捜索などの支援を申し出るなど、ライシ師らの安否を巡る懸念が強まっている。

  イランはパレスチナ自治区ガザの戦闘でイスラム原理主義組織ハマスを支持し、イスラエル本土を攻撃するなど影響力を誇示してきた。ライシ師の身に異変が起きれば地域情勢にも影響を与えそうだ。
  ライシ師は19日、ダムの完成式典に出席するためアゼルバイジャンとの国境周辺を訪れ、ヘリで戻る途中だった。アブドラヒアン氏も同乗していたとされる。
  バヒディ内相は救急チームが向かっているとしたが、「霧と悪天候のため現場到着までに時間がかかる」と述べていた。現場は森林地帯だという情報もある。国営テレビは北東部の聖地マシャドで、巡礼者らがライシ師の無事を願って祈りをささげたと報じた。

  ライシ師は1960年、北東部マシャド生まれ。シーア派聖地の中部コムで学んだ聖職者で、反米の保守強硬派の代表的存在だった。2017年の大統領選で穏健派のロウハニ氏に敗れたが、21年の選挙で勝利して大統領に就任した。
  司法畑が長く、政治犯数千人に死刑判決を言い渡した1988年の裁判の判事の一人とされ、トランプ前米政権は2019年に制裁対象に指定した。ハメネイ師同様、イスラム教の預言者ムハンマドの血筋であることを示す黒いターバンを着用していた。
(中東支局 佐藤貴生)


2024.05.15-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240515-VNGQX3ORFFNIRPOOCQS52S3T4U/
イラン映画監督が極秘出国 国家安全保障に反する共謀罪で有罪判決後、体制批判

  ベルリン国際映画祭で2020年に最高賞「金熊賞」に輝いたイランのモハマド・ラスロフ監督は13日、イランから極秘に出国したと自身のインスタグラムで明らかにしたラスロフ氏の弁護士は8日にX(旧ツイッター)で、国家安全保障に反する共謀罪で禁錮8年とむち打ちなどの判決が確定したと明らかにしていた。

  ラスロフ氏はこれまで女性の人権改革に後ろ向きなイスラム革命体制を批判してきた。AP通信によると、ラスロフ氏は12日付の声明で数日前に欧州に着いたと明らかにした「刑務所に入るかイランを去るか決めなければならなかった。つらい気持ちで亡命を選んだ」と強調した。
  17年に旅券を没収されており、イランからどのように出国したかは不明(共同)


2024.04.15-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240415-4ECXJFTVQROK7NNYTPFN5M7EKQ/
イランのイスラエル攻撃、原油高の懸念 輸送網混乱の恐れ、欧米のインフレ再燃リスクも

  イランが敵対するイスラエルへの報復攻撃に踏み切り、上昇基調にある原油相場がさらに上振れする可能性が出てきた。産油国が集中する中東地域の原油輸送網が混乱する恐れがあるためだ。欧米先進国では、沈静化してきた物価高が再燃するリスクがある。

  ニューヨークの原油先物相場は、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した昨年10月に1バレル=90ドル台を記録した後、下落に転じ、今年1月初旬に一時70ドルを下回った。イランがイスラエルへの直接攻撃を控え周辺国に戦線が大きく拡大しなかったことが影響した。
  こうした中でイスラエルが今月1日にシリアのイラン大使館を攻撃し、イランが報復を宣言。12日のニューヨーク原油先物相場は一時1バレル=87ドル台と、昨年10月以来の高値をつけた。
  イランの攻撃は原油相場だけでなく、世界経済と各国の金融政策に影響を与えるとみられる。欧州中央銀行のラガルド総裁は11日、中東情勢をリスク要因に挙げて警戒感を示した。(共同)


2024.04.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240414-7ITT3ZAE5RNQBOVOXEBIVMLPEU/
イラン、大使館空爆で「自制」一転 イスラエル大規模攻撃で風当たりさらに強まる
(カイロ 佐藤貴生)

  反米の地域大国イランが宿敵であるイスラエルの本土を初めて直接攻撃したことで、同国とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの戦闘で不安定化した中東情勢は混迷を深めそうだ。とりわけ、イランと連携する中東各地の民兵組織がイスラエルや米軍施設などへの攻勢を強めることが懸念材料となる

  イラン革命防衛隊がイスラエル攻撃に踏み切った14日未明、イランの首都テヘラン市街には攻撃を支持する数百人が集まり、「イスラエルに死を!」などと気勢を上げた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などが伝えた
  街に出た市民の中には、2020年にイラクで米軍に殺害された革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の写真を掲げる人もいた。イスラエルだけでなく、同国の後ろ盾となってきた米国への怒りも根深い
  ただ、イラン指導部はハマスとイスラエルの戦闘が始まった昨年10月以降、イスラエル軍や米軍との戦闘に直接関与するのを自制してきたとされる。両軍が本格的に参戦することになれば、イラン本土攻撃の危険性が高まるからだ。
  4月1日、在シリアのイラン大使館がイスラエルによって空爆されたことで状況は変わった。イラン国内では反イスラエルのデモが発生するようになった。
  イラン指導部はかねてイスラエルを「地図から消す」と公約してきた。それだけに、大使館空爆によって燃え上がった国民の怒りの矛先が自らに向けられる前に、イスラエル本土への「反撃」で対抗姿勢を国民に向けて示す必要があると判断したとみられる。
  しかし、イスラエルへの大規模な攻撃で国連や欧米諸国はイランへの批判を強めており、今後は厳しい立場に立たされそうだ。また、周辺地域の親イラン民兵組織の動向も情勢を左右するカギを握る
  イランはイスラエルの隣国レバノンの民兵組織「ヒズボラ」のほか、イラクやシリア、イエメンの民兵組織と「抵抗の枢軸」と称する連携を強化してきた。特にヒズボラはハマスを超える軍事力を保持しているとされ、イスラエル攻撃を一層強化する可能性がある
  さらに、紅海周辺の商船を相次いで襲撃してきたイエメンの「フーシ派」が攻勢を強めれば、国際的な海運や経済に大きな影響が及ぶ。親イラン民兵組織に強い影響力を持つイランに対する風当たりが強まることは間違いない(カイロ 佐藤貴生)


2024.04.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240414-MWHBHAMZONN65G4FQLOLYEWRMA/
イランがイスラエル本土に向けた攻撃を開始か ネタニヤフ首相「直接攻撃に備えている」

  【カイロ=佐藤貴生】イスラエル軍は13日夜、イランが無人機をイスラエルに向けて一斉に発射したと述べた。無人機はイラク領空を通過し、数時間以内にイスラエル領空周辺に到着するとみられる。ネタニヤフ首相は13日、「イランによる直接攻撃の可能性に備えている」と述べた。

  ロイター通信などが伝えた。イランのイスラエルへの本土攻撃が始まった可能性がある。イスラエル軍は14日にもイランが攻撃を行うとして、最高度の警戒レベルを取った。政府は13日、翌14日以降の数時間にわたり、国内の全学校を数日間閉鎖するなど、民間の活動を制限することを決めた。
  イランはシリアにある大使館が4月1日に空爆され、革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」の幹部司令官らが殺害されたのを受け、イスラエルの攻撃だと断定、報復すると宣言していた。
  米ニュースサイト、アクシオスの記者は13日夜、X(旧ツイッター)で、イランが無人機数十機をイスラエルに向けて発射したと述べていた


2024.04.13-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240412-YKMMJDNXFRKEHAW753Z6MZ57SI/
イラン、ハマスに340億円支援か 英報道、14~21年に

  英紙タイムズ電子版は12日、イスラエルが発見したイスラム組織ハマス幹部の手紙の内容として、イランが2014~21年に、ハマスに少なくとも計2億2200万ドル(約340億円)を支援していたと報じた。イランによるハマス財政支援の具体的な証拠が見つかるのは異例。

  手紙は2通で、いずれもハマス軍事部門ナンバー2だった故イーサ幹部からガザ地区トップのシンワール指導者に宛てたもの。イスラエル軍は3月、イーサ幹部を殺害したと主張している。
  1通目は20年に出された。14年7月以降毎月イランから支払いがあり、計1億5400万ドルに上ると書かれている。2通目は21年11月で、21年のガザ戦闘後に計6800万ドルの支援があった。
  タイムズ紙によると、イスラエルの情報筋は、イランからレバノン首都ベイルートに現金が持ち込まれ、両替商のネットワークを通じガザに運ばれたとみている。(共同)


2024.04.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240402-R7K5NYL7CFO7DFM4PNWU2OAADU/
イラン最高指導者ハメネイ師、イスラエルに「後悔させる」 革命防衛隊幹部ら13人死亡

  【テルアビブ=佐藤貴生】イランメディアは、イスラエルが1日、シリアの首都ダマスカスのイラン大使館領事部を空爆し、イラン革命防衛隊のザヘディ幹部司令官ら隊関係者7人と市民6人が死亡したと伝えた。イランの最高指導者ハメネイ師は2日、「罪を犯したことを後悔させる」とイスラエルへの報復を宣言する声明を発表した。

  イランは、イスラエルと戦うパレスチナのイスラム原理主義組織ハマスを支援している。イスラエル軍はシリアで革命防衛隊幹部らを空爆で殺害するなどしてきたが、外交関連施設を爆撃したのは開戦後初とみられる。
  イスラエル軍報道官は米CNNテレビに対し、攻撃に関与したか否かには触れないまま、「イランは事態を悪化させた主要な国。現場は在外公館ではなく革命防衛隊の精鋭、コッズ部隊の軍事用の建物だ」と述べた。
  国連安全保障理事会は1日、ロシアの要請を受けて、緊急会合を2日午後(日本時間3日未明)に開くことを決めた。カタール外務省は「明白な国際協定違反だ」として、「外交使節団を標的にした攻撃」を非難する声明を発表した。
  イスラエル軍は最近、シリア北部を爆撃し、レバノンの親イラン民兵組織「ヒズボラ」の戦闘員らを殺害した。イランがシリア経由でヒズボラに兵器を供給しているとみて、対シリア攻撃を強めていた。


2024.04.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240401-JEF3U5YTP5KNHD6FDSAOOSF2RY/
イラン、露にテロ情報を事前伝達 ロイター報道

  ロイター通信は1日、複数の情報筋の話として、ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで起きた銃乱射テロの数日前に、イランがロシアに対して、ロシア国内で大規模なテロ攻撃の可能性があることを伝えていたと報じた。イラン南東部ケルマンで今年1月に約90人が死亡した自爆テロ関連で逮捕した容疑者から得た情報だという。

  イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)はロシアとイランのテロ両方で犯行声明を出している。ロイターによると、イランで逮捕された容疑者は、何人かがロシアに既に渡航したと供述した。ただ、イランがロシアに提供した情報は、時期や正確な標的に関する詳細が欠けていたという。
  テロの事前情報を巡っては、米政府がモスクワでの大規模集会やコンサートで発生する懸念をロシア側に伝達していたと説明。ロシア側はウクライナがテロに関与したと主張している。(共同)


2024.03.02-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240302-4NP2OX4ILNOPFAWZ7AOXOVJJNE/
イラン国会選挙、米と対立する保守強硬派が勢力拡大か 大勢判明まで数日見通し

  中東の地域大国イランで1日に行われた国会選挙(定数290、任期4年)の開票作業が2日、実施された。事前審査で国際協調を重視する穏健派や改革派が相次いで排除されたことで、中東やウクライナ情勢で米国と対立するライシ政権を支持する保守強硬派が多数派を維持するのは確実視されている上、国会で7割以上となっている改選前の勢力を拡大する可能性がある。大勢判明には数日かかる見通し

  立候補者は約1万5千人。保守強硬派が独占する護憲評議会が事前審査で穏健派や改革派を失格したことに対して有権者は反発し、選挙戦は低調だった。低投票率になった可能性がある。
  最高指導者を選出、罷免する権限がある専門家会議選挙(定数88、任期8年)の開票作業も2日、実施された穏健派の代表格ロウハニ前大統領が事前審査で護憲評議会に排除され、専門家会議も保守強硬路線を維持する見通し。(共同)


2024.02.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240211-XNVAALDPXZIMRK5GP5J4V3F7IQ/
米、ヒズボラの不関与をイランに要求 ガザ戦闘

  米国は、パレスチナ自治区ガザで続くイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘に関し、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラに関与させないようイランに要求したと明らかにした。イランのアブドラヒアン外相が10日、ベイルートでの記者会見で述べたと国営イラン通信が伝えた。

  イランはヒズボラを通じてハマスに武器を供与していると指摘されている。イスラエル北部のレバノン国境ではヒズボラとイスラエル軍が連日交戦しており、全面戦争への拡大が懸念されている。(共同)


2024.02.06-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240206-LOS4ZAI6TBI5HJWKWXA6AUPYTE/
米軍駐留基地に無人機攻撃 親イラン勢力、報復後初か

  シリアの少数民族クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は5日、東部デリゾール県にある米軍駐留基地内のSDFの訓練施設が無人機攻撃を受け、戦闘員6人が死亡したと明らかにした親イラン武装勢力が犯行声明を出した。シリア人権監視団(英国)によると、2日の米軍の報復以降、駐留基地が攻撃されたのは初めて

  AP通信によると、米兵に負傷者はいなかった。声明を出したのは、親イラン武装勢力の連合体「イラクのイスラム抵抗運動」米軍はこの連合体がヨルダンで米兵3人が死亡した無人機攻撃を実行したとみて、2日にイラクやシリアで親イラン民兵組織などを狙って報復攻撃した。
  イラクのイスラム抵抗運動は声明で、イスラエル軍が地上侵攻するパレスチナ自治区ガザの住民に連帯を示すため基地を攻撃したと表明。監視団によると攻撃があったのは4日夜~5日朝にかけてで、多数が負傷した。(共同)


2024.02.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240203-MAQYTDQ4YVN2LG25WZY33Z4NLU/
イラン政府、「危険で戦略的誤り」と批判 米軍の報復攻撃で

  【カイロ=佐藤貴生】米軍がイラクとシリアで親イラン民兵組織の拠点などへの報復空爆を行ったことを受け、イラン外務省報道官は3日、米軍の攻撃は「危険で戦略的誤り」と批判した。ロイター通信によると、報復するか否かには触れていない

  イラク首相府によると、西部カイムなどで民間人を含む16人が死亡。またシリア人権監視団(英国)によると、シリアでは東部デリゾール県などで民兵ら29人が死亡した。
  米軍の攻撃を受けたイラク政府は「主権の侵害だ」と強く非難し、同国外務省は3日、駐在する米国の大使級外交官を呼んで抗議した。イラクでは駐留米軍など外国軍への批判が高まっており、撤退を求める動きが強まる可能性がある。


2024.02.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240203-IK6SVHGCSJOF3NEZTDGD6RKLDU/
米軍、イラクとシリア拠点を空爆 親イラン勢力標的 米兵3人死亡の報復

  【ワシントン=渡辺浩生】米中央軍は2日(日本時間3日朝)、ヨルダンの米軍施設で米兵3人が死亡した親イラン武装勢力による無人機攻撃への報復作戦を開始した。中央軍によると、イラクとシリア国内の、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」と傘下の親イラン武装勢力の拠点などに対し空爆を行った。

  バイデン大統領は2日、声明を発表し「イラン革命防衛隊の支援を受けた武装勢力が発射した無人機で3人の米兵が殺害された」と指摘。「われわれの対処は本日始まった。われわれが選ぶ時間と場所に従い継続する」と自らの命令で報復を開始したと表明した。
  バイデン氏は「米国は中東や世界のいかなる地域での紛争も望んでいない」とする一方、「われわれに害を及ぼそうとする者には知らせよう。米国民に危害を加えれば、われわれは対処する」と警告した。
  中央軍によると、85カ所以上の標的を長距離爆撃機などが空爆。125発以上の精密誘導弾が使用され、対象には武装勢力の指揮統制や諜報活動の拠点、ミサイルや無人機、兵器供給網などが含まれる。
  武装勢力の無人機は1月28日、ヨルダンの米軍施設の宿舎近くに突っ込んだ。米兵3人の死亡に加え、40人以上が負傷した。バイデン氏は、2日の報復開始前、東部デラウェア州のドーバー空軍基地に帰還した米兵3人の遺体を迎える行事に遺族とともに出席した。


2024.01.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240117-PHP4KDW4PJKQPKUFIEYHRPL2QQ/
イラン、周辺国を相次ぎ攻撃 「報復と処罰」 中東不安定化に拍車

  【カイロ=佐藤貴生】イランが周辺国を相次ぎ攻撃して緊張が高まっているイラクとシリアへの攻撃に続き、16日にはパキスタン南西部バルチスタン州をミサイルと無人機で攻撃したと発表した。パキスタン外務省は17日、5人が死傷したとして「強く非難する」との声明を出した。

  イランはイスラム原理主義組織ハマスへの攻撃を続けるイスラエルや後ろ盾の米国と対立し、中東の親イラン民兵組織は紅海などで攻撃を強化している。イラン自らも行動をとることで地域の不安定化に拍車がかかっている。
  国営イラン通信などによると、イランはバルチスタン州にあるスンニ派民兵組織の基地2カ所を攻撃した。この組織はシーア派大国イランでも反体制活動を行っており、昨年12月にはイラン南東部で警察署を襲撃、18人が死傷した。イラン政府は「国内外を問わず、犯罪者は処罰する」との立場を強調した。
  最高指導者に近いイランの革命防衛隊は15日、イラク北部のクルド人自治区アルビルに弾道ミサイルを発射した。イスラエルの特務機関モサドの「スパイの拠点」が標的だったとしている。昨年12月にはイスラエルによるとみられるシリアへの攻撃で革命防衛隊の幹部が死亡し、イランのライシ大統領は「代償を支払うことになる」と述べ、報復を誓っていた。
  15日の攻撃でイスラエルとの貿易を手掛ける富豪ら少なくとも4人が死亡した。イラク政府は駐イラン大使を呼び戻して抗議の意を示し、米仏もイラクの主権を侵害する「無謀」な攻撃だとイランを非難した。
  現場は米国の領事館の近くだが、施設や職員は無事だった。イスラエルへの報復であり、米国との対立を煽(あお)るつもりはないという意思表示とも受け取れる
  イラン、周辺国を相次ぎ攻撃 「報復と処罰」 中東不安定化に拍車。 革命防衛隊は15日、シリア北西部イドリブにも弾道ミサイルを発射した。標的はスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の拠点で、ISは3日、イラン南東部ケルマンで90人近くが死亡した爆発事件で犯行声明を出していた
  イラン外務省報道官は16日、イラクとシリアへの攻撃は主権と治安を守るのが目的だとし、「報復する権利はためらわずに行使する」と述べて警告した。イランは連携する中東各地の民兵組織に兵器や資金を支援しているとみられるが、国民や要人が攻撃を受けない限り戦闘への深入りを避ける姿勢もうかがえる。


2024.01.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240117-S5ON2SZHYRKSRA7MSMLQNKSEBY/
イランがパキスタン攻撃 過激派基地と主張

  イランは16日、イスラム教スンニ派の武装組織の基地だとする隣国パキスタン領内の標的を攻撃した。パキスタンは領空侵犯による攻撃で子供2人が死亡し、3人が負傷したと明らかにした。AP通信が報じた。

  詳細は不明だが、イランはシリアにあるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の拠点やイラク北部クルド人自治区を弾道ミサイルで攻撃したばかり。中東の緊張に拍車がかかる恐れがある。
  イランメディアはパキスタンへの攻撃にはミサイルと無人機が使われたと報じた。イラン革命防衛隊による攻撃とする報道もある。イランはこの武装組織と国境地帯で対立してきたが、パキスタン領内への攻撃は前例がないという。(共同)


2024.01.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240112-NPGY42BV5ZK2DDILSBM5GO736M/
イランが石油タンカー拿捕 ホルムズ海峡付近、航行安全への脅威拡大も

  【カイロ=佐藤貴生】イランのタスニム通信は11日、イラン海軍がホルムズ海峡に近いオマーン北部ソハールの沿岸で石油タンカーを拿捕(だほ)したと報じた。タンカーをめぐっては11日朝、武装した覆面姿の男数人が乗り込んだとの情報もあった。

  ホルムズ海峡はペルシャ湾の入り口にある原油輸送の大動脈イスラエルと戦うイスラム原理主義組織ハマスを支援するイエメンの親イラン民兵組織は紅海周辺でイスラエル関連などの船舶を相次いで攻撃しており、航行の安全を脅かす動きが拡大する恐れもある
  タンカーはイラクで原油を積んでトルコに向かっていた。米国は昨年、対イラン制裁に反してイラン産原油を運んでいたとして同じタンカーを拿捕していた。タスニム通信は「米国のタンカー」を拿捕したと報じたが、ロイター通信は米国との関係は不明だと伝えた


2024.01.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240105-XHSYYKOQLRIYNNWP5DO5EVH4EY/
イランの爆発、イスラム国が犯行声明

  【カイロ=佐藤貴生】イラン南東部ケルマンで80人以上が死亡した爆発事件で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)4日、犯行を認める声明を交流サイト(SNS)に投稿した。ロイター通信が伝えた。


2024.01.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240103-U3WVYYPYPNIFZJHQEETBYHRSKI/
イランで爆発、100人超死亡 殺害司令官の墓近くで追悼中 当局者「テロ攻撃だ」

  【カイロ=佐藤貴生】イラン南東部ケルマンで3日、2度の爆発があり、ロイター通信はイラン国営メディアの情報として、少なくとも103人が死亡したと伝えた。負傷者も多数いるもよう。原因は不明。地元政府関係者は「テロ攻撃だ」と述べた。

  現場の近くには2020年、イラクの首都バグダッドで米軍に暗殺されたイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の墓がある。3日はソレイマニ氏の殺害からちょうど4年だったため追悼式典が営まれており、多数の人が詰めかけていた。



2023.12.27-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231227-PDVFXQVJKRME5BFYWOBE4VUZPM/
イラン最高指導者、軍事顧問殺害の報復許可 軍施設など攻撃か

  イランの最高指導者ハメネイ師が、イスラエルによるイラン革命防衛隊のムサビ上級軍事顧問の殺害を受けて、革命防衛隊やイラン軍に報復許可を与えたことが27日、分かった。革命防衛隊に近い情報筋が明らかにした。イランでは保守強硬派を中心に報復論が高まっている。情報筋はイスラエルの「主要な動脈を狙う計画が準備されている」と語った。親イラン組織を通じて軍事施設や主要インフラを標的とする可能性がある。

  イスラエルと敵対するイランは、パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍と戦うイスラム組織ハマスを支援している。実際に報復に出れば、中東情勢のさらなる悪化が懸念される。
  情報筋は、イランの国土が直接攻撃されない限り、イランがイスラエルを直接攻撃することはないとも語った。親イラン組織に資金や武器をさらに提供し、イスラエルを攻撃させる選択肢を検討している可能性がある。(共同)


2023.12.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231217-Q2CDCYSPJNJRFP7UQBDMYHJE44/
米英、無人機計15機を撃墜 紅海、親イラン組織か

  米中央軍は16日、紅海で活動中の米駆逐艦が、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の支配地域から飛来した無人機14機を撃墜したと発表した。英国防省も16日、英海軍艦が紅海で無人機1機を破壊したと明らかにした。英メディアによると、英海軍が攻撃目標を撃墜したのはここ数十年で初めて。

  米国はイスラエルと敵対するイランや親イラン勢力がパレスチナ自治区ガザ情勢の混乱に乗じて、中東で活動する米軍部隊に揺さぶりをかけているとみて警戒している。
  シャップス英国防相は「最近の相次ぐ違法な攻撃は、紅海での国際貿易と海洋安全保障に対する直接的な脅威だ」と述べ、攻撃に対し引き続き尽力すると強調した。 米駆逐艦カーニーが現地時間の16日早朝に14機を撃墜した。米駆逐艦への被害や負傷者はないという。(共同)


2023.09.03-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230903-OYT1T50107/
イランがロシア製高等練習機を空軍に編入、ステルス戦闘機の輸入も計画

  【テヘラン=吉形祐司】イランの複数のメディアは2日、ロシアから輸入した高等練習機の「Yak(ヤコブレフ)130」がイラン空軍に編入されたと報じた。イラン政府当局は同機の輸入を公式に認めていないが、国営通信は映像が確認されたと伝えた。

  タスニム通信によると、Yak130は攻撃機としても利用が可能で、3トンの弾薬を搭載できる。イランがロシアから輸入を計画しているとされるSu(スホイ)35、ステルス性を備えたSu57などの戦闘機の飛行訓練にも使えるという。


2023.03.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230308-3IK2F2NUCFOPXDYBNAQ5T4SIRY/
イラン 女子学生に有毒物質を散布? 反政府デモ主導に「警告」か

  【カイロ=佐藤貴生】イランの女子校で体調不良を訴える生徒が相次いでいる。有毒物質が原因とみられ、イランのファルス通信は7日、容疑者数人が逮捕されたと伝えたが、動機や原因物質などの詳細は明かされていない女子学生は昨秋に始まった反政府デモで大きな役割を果たしており、これに反発する勢力が〝警告〟を発している可能性もある。

  毒物散布の騒ぎは昨年11月30日、イラン中部のイスラム教シーア派の聖地コムで、約20人の女子学生が体調の異常を訴え、病院に搬送されて初めて確認された。ファルス通信は全国約230の学校で5000人以上の学生らに被害が出たとしている。
  英BBC放送(電子版)は5日も、少なくとも15の街で被害があったと伝えた。女子学生らは「腐った果物のような、不快で強い刺激臭」がしたと訴えており、呼吸困難や吐き気、目まいなどの症状が出るのが特徴だ。しばらくすれば回復するケースが多い。
  親たちが娘を登校させず政府に抗議する例も出ており、最高指導者ハメネイ師は6日、「許しがたい犯罪だ」として関係部局に全容解明を命じた。内務省は7日に声明を出し、逮捕した容疑者らは「海外に本拠を置く反体制メディア」と関係があると伝えた。
  一方、ロイター通信は政府関係者らの話として、イスラム教シーア派の支配体制を信奉する勢力の犯行との見方があるとしている。
  イランでは昨年9月、女性(22)が頭髪を覆うスカーフ「ヘジャブ」をきちんと着用しなかったとして拘束され急死し、警察による暴行疑惑が表面化し反政府デモが全土に拡大した。女子学生はデモを主導する中心的な役割を担った

  イランやアフガニスタンなど一部のイスラム教国の宗教界には、女性が教育を受けることに否定的な考えが残っているとされる。また、一部の反体制派は、デモを牽引した女子学生に政府が報復していると非難。政府が情報公開を控えていることも、疑念を呼ぶ一因になっているようだ
  昨秋に始まったデモは、政府が参加者を死刑に処するなどしたことで減少傾向にあるとされる。しかし、国民を監視下に置いて自由を抑圧する政府の統治手法に変わりはなく、民衆の反発はあらゆる契機に噴出しかねない。シーア派の法学者による政教一致の統治体制を堅持する体制側との確執は先鋭化している。


2023.01.20-Yahoo!Japanニュース(総合ニュース)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9651bc74682d2df24107eb0266076147575ac378
尹大統領発言に対するイランの抗議 韓国大統領室「誤解あった」

  【チューリヒ聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領アラブ首長国連邦UAE)に派遣されている韓国軍部隊を訪問した際に「UAEの敵はイラン」と発言したことに対するイラン側の反発について、韓国大統領室の関係者は19日(現地時間)、スイス・チューリヒで行った記者会見で「イラン側にやや誤解があったようだ」と述べた。

  尹大統領のスイス訪問に同行している同関係者は「UAEが直面した安全保障の厳しい現実を直視しながら熱心に勤務してほしいという趣旨の、将兵たちに対する発言だった」と説明。尹大統領の発言が韓国とイランの関係とは無関係だという立場を改めて示した。
  尹大統領は15日、国賓として訪問したUAEで韓国軍の「アーク部隊」を訪れ、将兵を激励しながら「われわれの兄弟国であるUAEの安全保障はすなわち、われわれの安保」と述べた。「UAEの敵、最大の脅威はイランで、われわれの敵は北(朝鮮)」とし、韓国とUAEはよく似た立場にあると語った。
  尹大統領の発言を受け、イラン側は尹ガン鉉(ユン・ガンヒョン)駐イラン韓国大使を呼び出して抗議した。韓国外交部も19日にシャベスタリ駐韓イラン大使を呼び、尹大統領の発言について説明した。
  同関係者は、イラン側が韓国の銀行にイランの資金が凍結されている問題尹大統領が先ごろ独自の核武装論について言及したことなどを問題視しているのを見て、焦点が合っていないという印象を受けたとし、「誤解したため焦点がぼやけている。誤解ということが証明されたため韓国側も駐韓イラン大使を呼び、明確に説明した」と述べた。
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2023.01.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230109-MP7BT2NW5ZLGXDBMK5AU2XUOCI/
イランの人権デモ 体制は追い込まれている

  イランは、いつまで耳をふさぎ続けるのか自由と人権を求める国民の決死の要求から。国際社会の非難からも。女優ら著名人を一時逮捕し、デモ参加者の公開処刑を行っても、課題は解決しない。デモが表面上は沈静化しても、体制への反発と失望は、むしろ水面下で深まっている。

  イラン当局は、弾圧は自らを弱体化させていると認め、国民と真摯(しんし)に向き合うべきである。
  首都テヘランを旅行中だった20代の女性が頭髪を覆うヘジャブの着用が不適切だったとして風紀警察に拘束され、不審死を遂げた。これをきっかけにデモが始まって4カ月がたつ。デモへの連帯は、ワールドカップに出場したサッカーの代表チームや最高指導者ハメネイ師の親族にも広がり、消防士や石油産業に従事する労働者も賃上げを掲げて街頭に繰り出した。
  専門家は「問題はもはやヘジャブや女性の死亡ではない。体制が統治の正当性や影響力を失ったことだ」と指摘し、イスラム教の教えに至上の価値を置く「革命の意義」は失墜したと分析する。
  追い込まれているのは体制の側であり、国際社会も非難を強めている。
  国連経済社会理事会は昨年末、女性の権利を抑圧しているとしてイランを「女性の地位に関する委員会」から排除する決議案を採択した。決議はイランが表現の自由など女性の人権を抑圧し、委員会の目的や役割に著しく反した政策を取っていると指摘し、委員会からの即時排除を決めた。
  決議の採択後、イランのイラバニ国連大使は「根拠のない捏造(ねつぞう)された主張であり、欧米による女性の権利の政治問題化を非難する」と述べたが、聴くに値しない。

  イラン排除の決定には「問題解決にならない」といった反対の意見もあったが、委員会の使命や目的に反する政策を強行する国が居座り続けるようでは組織の信頼性にも傷がつく。当然の判断だ。
  イランが直ちにやめるべきは、国民に対する人権抑圧とともに、国際法違反の大義なき戦争を続けるロシアへの肩入れである。昨年末から元日にかけてのロシアによるウクライナ攻撃にも多数のイラン製無人機が使われた。ロシアへの支援は、イランの将来に禍根しか残さないと知るべきだ







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