虐待・惨殺問題-1

「児童虐待」NHK NEWS WEB
「児童惨殺」問題
京都アニメーション放火殺人事件-『ウィキペディア(Wikipedia)』
座間9遺体事件 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


2024.04.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240404-ITWKROZVNFP7HC3SLLSBX6QU4U/
育毛剤のチラシ渡され「侮辱された」 中1男子生徒に傷害容疑、男性教諭を書類送検

  中学1年の男子生徒に暴行し負傷させたとして、福岡県警中央署は4日までに、傷害の疑いで福岡市立中の男性教諭を書類送検した。1日付。市教育委員会によると、教諭は頭髪にコンプレックスがあり、育毛剤のチラシを渡され、侮辱されたと思い込んだという。

  生徒側が被害届を出した。チラシの内容を知らず、教卓に置いたと説明している。暴行や叱責により、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、今年3月には市に損害賠償を求め福岡地裁に提訴した。
  書類送検容疑は昨年10月、教室で生徒の首をつかんで引っ張るなどし、けがをさせたとしている。


2023.12.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231207-BHFJGJX53NIF7PHWYXOV3DYKFA/
女子高生を連れ去りか 58歳男を逮捕 女子高生は死亡、致死量のせき止め薬成分検出

  16歳の女子高生を連れ去ったとして、大阪府警は7日、未成年者略取の疑いで、住所、職業不詳のA容疑者(58)を逮捕した。女子生徒はA容疑者が連れ去り当時に住んでいた大阪府茨木市の集合住宅の一室で死亡しているのが発見された。女子生徒の体内からは致死量のせき止め薬の成分が検出されており、府警は死亡の経緯を調べ、保護責任者遺棄にあたるか否かを捜査する。

  府警によると、死亡していたのは高校1年の中国籍の女子生徒=大阪市。11月12日午前8時40分ごろ、「知人の16歳の女性の呼吸がない」とA容疑者から119番があった。救急隊員らがA容疑者の自宅に駆けつけたところ、寝室のベッドの上で女子生徒が倒れており、死亡が確認されたという。
  その後、A容疑者の行方が分からなくなったため、府警は11月下旬に未成年者略取容疑で指名手配。A容疑者は12月7日午後、府警茨木署に出頭した。


2023.12.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231207-HROVJNIGPROMDNTUFOYHDAFS4E/
12歳次女に熱湯浴びせ、傷害容疑で男逮捕 熊本

  小学6年生の次女(12)に熱湯を浴びせるなどして約1カ月のけがを負わせたとして、熊本南署は7日、傷害の疑いで、熊本市中央区、会社員、A容疑者(53)を逮捕した。容疑を否認している。

  逮捕容疑は11月24日ごろ、自宅で夕食中に、ウオーターサーバーの熱湯を次女の腰や背中に複数回浴びせてやけどを負わせ、左耳付近をたたいた疑い
  署には同27日、熊本市児童相談所から「事件と疑われる虐待事案がある」と通報があった。署は常習的な暴力や、他の家族に被害がないかなどを調べている。


2023.11.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231125-34PZ4DIHGNMLBEUDCCEAMPN3VA/
48歳息子の背中を包丁で刺し殺害か 父親を逮捕

  鹿児島県警鹿児島中央署は25日、同居する会社経営者の息子(48)を包丁で刺し殺害したとして、殺人容疑で鹿児島市東坂元の飲食店手伝い、田井幸秀容疑者(70)を逮捕した。署は2人に何らかのトラブルがあったとみて捜査している。

  逮捕容疑は24日、自宅で息子の兆さんの背中などを包丁で刺し、殺害したとしている。同署によると、同日夜、容疑者宅を訪れた人が「男性の意識がもうろうとしている」と119番し、現場に駆け付けた消防関係者が110番した。兆さんはその後搬送先の病院で死亡が確認された。署は詳しい死因を調べる。
  A容疑者は兆さんと妻の3人暮らし。妻は当時外出中だった。


2023.11.01-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20231101-OYT1T50336/
園児に吐き出した食べ物を食べさせたり、こぼした牛乳を飲ませたり…村立保育所で虐待15件認定

  徳島県 佐那河内(さなごうち) 村の村立佐那河内保育所(園児50人)で、20~40歳代の女性保育士5人が園児に対し、吐き出した食べ物を無理やり食べさせるなどの行為を繰り返していたとして、村の委託で調査していた弁護士らが1日、複数の虐待や不適切保育があったと認定する調査報告書を公表した。

  保育所では今年5月、30歳代の女性保育士が不適切な保育を行っていたことが発覚。村から委託を受けた弁護士らが、職員や元職員らから事情を聞いていた。
  報告書は2021~23年度の間、虐待計15件や不適切保育12件があったと認定。 保育士が、園児が口から吐き出した食べ物を食べさせるなどした結果、食事の時間になると 動悸どうき が激しくなり、激しく泣くなどの身体的変調をきたしたほか、こぼした牛乳を紙片でかき集めてコップに入れて飲ませるなどの行為もあったという。
  村は関係した保育士らの処分を行う方針で、岩城 福治 村長は、「心からおわび申し上げる」と陳謝した。


202.10.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231015-IE5XGTF6WJJLNLVX36QQ7WOZE4/
「留守番禁止」撤回 親締め付けるより支援を

  埼玉県の9月議会に自民党県議団が提出した虐待禁止条例の改正案が批判を受け撤回を余儀なくされた。

  子供だけ家に残して親が外出する留守番などが放置にあたるとされ、県民に通報義務が生じるとの内容は、誰が聞いても行き過ぎで無理があろう。子育て家庭の声をどこまで踏まえたのか。実態と隔たり、保護者らの理解を欠いては虐待防止につながるはずもない。

  改正案は児童が放置され、危険な状況に置かれることを防止する目的で、保護者らの安全配慮義務を定めた条文に追加した。具体的には、保護者らが小学3年生以下の児童を自宅に残して外出するなど放置をしてはならないと禁止し、小学4~6年生の児童については努力義務とした。県民には発見時の通報を義務化した。
 議会の質疑などでは、子供だけの公園での遊びや登下校も放置にあたるとされた。子供が車内に閉じ込められ、熱中症などによる痛ましい事故が相次ぐ。幼い子供を家庭に置いたまま若い親が遊びに行くなどネグレクト(育児放棄)が虐待として問題となっている。
  子供の安全のための趣旨は理解できるとしても、小学生が留守番するのは珍しいことではなかろう。公園での遊びは見慣れた光景である。それを一つ一つ通報されては警察や行政も混乱するばかりだ。
  海外では子供一人で出歩く危険が強く認識され、留守番できる年齢を定めるなどの例がある。だが国情や家庭状況を無視してまねても実効性はない。
  改正案は県議会委員会で自民などの賛成多数で可決し、13日の本会議で成立見通しだった。10日に一転して自民県議団長が撤回を表明し「私の説明不足」と陳謝した。改正案の内容には「瑕(か)疵(し)がなかった」としたが、内容自体に問題があるのは明らかだ。現状理解を欠き、対応はお粗末といわざるを得ない
  自民県議団は昨年のLGBT条例制定を主導したが、女性の権利侵害などの不安を拭えぬままだった。県民の声を真(しん)摯(し)に聞いているか
  家庭の孤立化を避ける施策の重要性が認識され、地域が連携した虐待防止策が問われる。保護者だけに責任を押し付けても虐待防止につながらないのは過去の事件からも明らかだ。


2023.10.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231013-TBEXVHWTCFM65JBMVH2VHQYPQQ/
「留守番も虐待」条例案の撤回、埼玉県議会が承認 案では「幅広い家庭が虐待」と批判

  埼玉県議会は13日、自民党県議団が9月議会に提出していた、子供だけの留守番などを放置による虐待と定める「虐待禁止条例」の改正案の撤回を承認した。

  改正案は放置を発見した県民にも通報の義務を課すといった内容で、子育て中の幅広い家庭が「虐待」をしているとみなされるなどとして、党内外から批判の声が噴出していた。


2023.10.11-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20231010-OYT1T50191/
トイレに失敗した園児に「赤ちゃんみたい」「うんちの臭いがする」…不適切保育で是正指導

  愛知県小牧市内にある私立保育園「村中保育園」で、保育士が園児の心を傷つける発言をするなど不適切な保育があったなどとして、市が保育園側を是正指導していたことが分かった。市などによると、保育園は今年6月、保護者の指摘を受け、不適切な保育があったと全保護者に文書で連絡した。

  市は立ち入り調査を行い、保育士らから事情を聞き、トイレに失敗した園児に「赤ちゃんみたい」「うんちの臭いがする」といった失敗をとがめる発言や、配膳された分量を時間内に食べられない園児の給食を減らすなど、虐待を疑われる行為を確認。このほか、帰り支度が遅くなった園児の帽子やカバンを手の届かない場所に置くなど、望ましくない行為が昨年度から複数回あったことも把握したという。
  同園の長谷川誓園長は「園児や保護者に申し訳ないことをした。指導体制を見直し、人権に関わる研修をしていく。アンケートなどで保護者の意見を聞く機会を増やしていきたい」などと話した。


2023.09.24-Yahoo!Japanニュース(FNNプライムオンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d247db9ff7bb80238584f7ab38ff5469f3da0c88
20分間にわたり暴行 女性殴られ死亡 同居の男性逮捕

  同居していた24歳の女性を複数回殴った疑いで、22歳の男が逮捕された。 女性は、搬送先の病院で死亡が確認された。

  逮捕されたA容疑者(22)は、9月10日の未明、千葉・柏市末広町のマンションで同居していた斎藤瑞希さん(24)の顔などを20分間にわたって複数回殴り、けがをさせた疑いが持たれている。
  斎藤さんは、意識不明の状態で病院に運ばれ、その後死亡が確認された。 A容疑者は、容疑を認めているという。 警察は殺人容疑も視野に、A容疑者が犯行に至ったくわしい経緯を調べている。


2023.06.30-Yahoo!Japanニュース(FNNプライムオンライン)-https://news.yahoo.co.jp/articles/bee385556fff6801f49136776b6c75e41686fc0f
母親は通報時「子供が食べ物をのどに詰まらせた」と説明 4歳娘暴行死疑いで逮捕 三重・津市

  三重・津市で、4歳の娘を暴行し死亡させたとして42歳の母親が逮捕された事件で、母親が消防に通報をした際、「子どもが食べ物をのどに詰まらせた」と説明をしていたことがわかった。

  三重・津市の工場作業員・A容疑者(42)は、5月22日ごろ、自宅で三女のほのかちゃん(4)をテーブルの上から床へ転倒させて、頭などにけがをさせ、その後、死亡させた疑いで逮捕され、おおむね容疑を認めている。
  A容疑者は、ほのかちゃんが転倒した3日後に119番通報をしたが、その際に「子どもが食べ物をのどに詰まらせた。除去したが呼吸が弱い」などと、消防に説明していたという。 捜査関係者によると、ほのかちゃんには、食べ物を吐き出させた痕跡は見られなかったということで、警察は通報に至った経緯などを調べている。
東海テレビ


2023.06.24-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/525b2e6e6eb5db03784126d45e473c9009f0456f
死亡6歳と祖母、同時期に家庭内暴力受けたか ともに背中負傷 神戸
【澤俊太郎、中田敦子、洪玟香】

  神戸市西区の草むらで近くに住む穂坂修(なお)ちゃん(6)が遺体で見つかった事件で、修ちゃんは今月19日に死亡した可能性が高いことが、兵庫県警への取材で明らかになった。背中には多数のあざが残されていた。家族から暴行を受けたとされる祖母(57)も、修ちゃんの死亡と同じ頃に背中を負傷したことが分かっている。県警は家庭内で2人に暴力が繰り返されたとみて関連を調べている。

  県警によると、修ちゃんの母親で無職のA(34)と、叔父のB(32)の両容疑者らきょうだい計4人は3月以降、神戸市西区玉津町居住(いすみ)の自宅で数十回にわたり、祖母を押し入れに閉じ込めて監禁。顔や背中を殴打してけがをさせた疑いが持たれている。
  修ちゃんはA容疑者ら計6人で暮らしており、近くの保育園に通っていた 捜査関係者によると、修ちゃんの遺体はスーツケースに入った状態で見つかった。
  司法解剖で遺体を詳しく調べたところ、今月19日に死亡した可能性が高いことが判明。体には殴打されたような痕が残っており、回数は10回以上に及ぶことが明らかになった。背中の広範囲であざが見つかっている。  
  県警の捜査で修ちゃんが死亡したとみられる19日、祖母はA容疑者ら4人から鉄パイプのようなもので暴行を受けたとされる。自宅から逃げ出した祖母は警察官に保護された際、背中を打撲していたことが確認されている。
  県警は暴行と死亡の時期に加え、けがをした体の部位が重なっていることに注目して詳しい経緯を調べている。  
  一方、修ちゃんは6歳児の平均的な身長・体重で発育状況に問題はなかったという。遺体で発見された際に靴を履いていなかったことから、県警は自宅内で暴行を受けて死亡した後、スーツケースに入れられたとみている。遺体は22日に発見されており、長くて死後3日間、遺棄されていた疑いもある。  
  神戸市によると、保育園の職員が4月、修ちゃんの尻や肩にあざがあるのを見つけたことが分かっている。5月に修ちゃんを児童相談所が一時保護することが決まっていたが、A容疑者や祖母が拒否して実現しないままだった。  
  県警は24日午前、A容疑者ら4人を送検。集合住宅にある修ちゃんの自宅内を調べており、付近への立ち入りを制限する高さ2メートルほどのブルーシートが張られた。住宅敷地内にはグミなどの菓子やジュース、花束が供えられていた。
【澤俊太郎、中田敦子、洪玟香】


2023.04.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230417-XXXD2WZ7AJO2LDCAQSYA2UDEEY/
武装集団が襲撃、40人殺害 ブルキナファソ北部
(共同)

  西アフリカ・ブルキナファソ北部で15日、武装集団が村を襲撃し、兵士や自警団のメンバー計40人を殺害した。ロイター通信が16日伝えた。現場はマリとの国境に近いイスラム過激派が活発な地域

  ブルキナファソでは過激派の台頭による治安悪化で政治への不信が高まり、昨年は2度にわたって軍が政権を転覆。現在の軍事政権はテロ対策で駐留してきたフランス軍部隊を撤退させた。フランスの代わりに、ロシアを対テロ作戦のパートナーに迎え入れようとしているとの見方もある。(共同)



2022.12.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221206-ZSD2R3XYEVPVROUHOSEPVJZTHY/
障害者施設で13人虐待 北海道、全裸で放置

  北海道西興部村の障害者支援施設「清流の里」で、職員が入所者を全裸で放置したり、部屋に閉じ込めたりしていたことが6日、道や村への取材で分かった。村は監査の結果、入所者13人に対し、男性職員6人による計38件の虐待行為があったと確認した。

  施設を運営する社会福祉法人「にしおこっぺ福祉会」(同村)は取材に「利用者や家族に多大な迷惑と心配をおかけし、申し訳ない」と陳謝。再発防止のため、弁護士ら外部の有識者による委員会を設けるとした。
  道や村によると、6月に「施設職員が入所者を虐待しているようだ」との趣旨の通報があった。職員への聞き取りなどの結果、5~6月、屋内で入所者を全裸のまま最長約2時間放置するなどの虐待を確認。道は運営法人に改善や再発防止を求め、近く行政指導する。施設には現在39人が入所している。


2022.12.05-あなたの静岡新聞-https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1160042.html
犯人隠避容疑で園長告発 裾野市 さくら保育園虐待事件

  裾野市は5日、私立さくら保育園の虐待事件で、園長に対する犯人隠避容疑の告発状を裾野署に提出した。保育士の女3人による虐待行為を知りながら「組織的に隠蔽(いんぺい)しようとしていた疑いがある」としている。

  園長は運営する社会福祉法人桜愛会(同市)の理事長を兼務している。市によると、一連の虐待行為が明らかになった10月下旬、園長が複数の保育士に3人による暴行などの行為を黙秘して口外しない」とする誓約書を提出させたとされる。ほぼ全ての職員に書かせていた疑いがあるという。
  保護者説明会で園長は「隠蔽の意図はなかった」などと釈明。一方で、市に告発しようとした同僚の保育士に土下座をして、口外しないよう求めたことは認めたという。同署は内容を検討した上で告発状を受理するか判断する。


2022.12.05-日刊スポーツ(KYODO)-https://www.nikkansports.com/general/news/202212050000472.html
「さくら保育園」虐待事件、裾野市長へ報告怠った幹部3人を処分 監督責任で市長ら給与カット

  静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で園児を虐待したとして、暴行容疑で保育士3人=退職=が逮捕された事件で、同市の村田悠市長は5日、問題を把握しながら市長への報告を怠ったとして、健康福祉部長と子育て支援監、こども未来課長の幹部3人を懲戒処分にする方針を示した。部長は更迭する。

  事件を巡っては、園から報告を受けながら3カ月以上にわたり問題の公表を見送り続けた市の対応に批判が集まっていた。監督責任を問い、市長給与を2カ月間、副市長給与を1カ月間それぞれ全額カットする。
  市によると、市は8月に事態を把握したが、11月30日まで問題を公表しなかった。村田市長が報告を受けたのは同28日だった。(共同)


2022.11.30-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221130/k10013908281000.html
静岡 裾野の保育園 保育士3人 1歳児ら倉庫に閉じ込め 宙づりも

  静岡県裾野市の保育園で、保育士3人が受け持っている1歳の園児らを倉庫に閉じ込めたり、足を持って宙づりにするなどしていたことが分かりました。
県と市は、園に対する特別監査を検討しています。

  裾野市などによりますと、市内にある私立の認可保育園「さくら保育園」では、ことし6月から8月にかけて、30代から40代の保育士3人が受け持っている1歳児らを倉庫に閉じ込めたり、大声でしかりつけたりしたほか、給食を食べないと、ほおをつねっていたということです。
  保育園は園児の人格を傷つける「不適切な保育」だとして2人を出勤停止にしたうえで退職を勧告し、もう1人を口頭で注意したということです。保育士は「指導のつもりだった」と釈明しているということです。保育園は29日夜、保護者説明会を開き櫻井利彦園長が「大切なお子さんの尊厳を傷つけてしまい、深くおわびします」と謝罪しました。
  その後の説明では、保育士が園児の足を持って宙づりにしたほか、ズボンをむりやり脱がせたり、園児の容姿をやゆしたりしていたことなども明らかにされたということです。保護者からは、なぜこうした行為が繰り返されたのか質問が出されましたが、具体的な説明はなかったということです。一方、静岡県の関係者によりますと、県は、児童福祉法に基づく特別監査を市と合同で行う方向で調整を進めているということです。
裾野市が会見 「15の不適切な行為が確認」
  裾野市は30日、臨時の記者会見を開き、これまでの調査でほかにも保育士らが園児に対して、カッターナイフをみせて脅したり、頭をバインダーでたたいたりしたほか、寝かしつけたあとに「ご臨終です」と発言したり、容姿をばかにした暴言を浴びせたりするなど合わせて15の不適切な行為が確認されたことを明らかにしました。
  さらに、保育園が今回の一連の行為について、口外しないよう職員全員に誓約書を書かせていたことも新たにわかったということです。
  村田悠市長は会見で「安全でなければならない保育現場で許しがたい行為を行ったことに大変強い憤りを感じている」としたうえで「虐待に当たると認識している」と述べて、刑事告発を検討する考えを示しました。
  市は現在、児童福祉法に基づく特別監査を行う方向で県と調整を進めていて、告発の内容や対象などは、監査の結果などを踏まえ、判断したいとしています。

15の不適切な行為とは
  裾野市が保育園で行われていた不適切な保育として公表した15の行為です。
   1:ロッカーに入って泣いている園児の姿を携帯電話で撮影。-2:園児の頭をバインダーでたたいて泣かせる。-3:棚に入った園児の足をつかんで引っ張り出し、宙づりにする。-4:あらかじめ遅刻の連絡があった園児に対し、腕を引っ張り「遅いんだよ」とどなる。-5:寝かしつけた園児に対し「ご臨終です」と何度も発言.-6:泣かない園児に対し額をたたき無理やり泣かせようとする。-7:昼食時に園児をどなりつけほおをつねる。-8:日常的に特定の園児をにらみつけて声を荒げ、ズボンを無理やりおろす。-9:園児を宙づりにしたあと、真っ暗な排せつ室に放置。-10:園児の容姿をばかにした呼びかけ、暴言を浴びせる。-11:手足口病の症状のある園児の尻を、無理やりほかの園児に触らせる。-12:給食を食べない園児に対し、突然、後ろから頭をたたく。-13:不適切な発言をして玩具が入っている倉庫に閉じ込める。-14:園児にカッターナイフをみせて脅す。-15:丸めたゴザで園児の頭をたたく。

園児の保護者からは驚きと怒りの声
  「さくら保育園」に通う子どもの保護者からは、驚きや怒りの声が聞かれました。このうち、1歳の娘を預けている父親は、「本当に怒りと悲しみで、今まで説明しなかった園に預けることも不安です。1歳とはいえ、今回の行為が記憶に残るかもしれないので、今後一切ないようにしてほしい」と話していました。
  5歳の息子を通わせている父親は、「夏ごろ起きたことなのに、今まで説明しなかったことが驚きです。事態が大きくならないと知らせてもらえないのはショックです」と話していました。
  また、29日夜の保護者説明会に出席した父親は、「説明には納得できません。質問への回答はあいまいで、答えられない部分もありました。何より当事者である保育士3人が謝罪しないことが不満です」と話していました。
「さくら保育園」とは
  ホームページによりますと、裾野市にある「さくら保育園」は、社会福祉法人「桜愛会」が運営する私立の認可保育園です。1981年4月に開設され、生後8週間から就学前の子どもを受け入れています。定員は120人で、職員は園長を含め、分園と合わせておよそ50人とされています。保育目標は、伸び伸びと恵まれた環境の中で育成することを掲げています。


2022.08.25-NHK NEWS WEB(神奈川)-https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20220825/1050017659.html
頭部に強い衝撃の痕 4歳児への傷害致死容疑で男逮捕 横浜

  4年前、横浜市内のアパートの部屋で、4歳の男の子に暴行を加えて死なせたとして母親の当時の交際相手が傷害致死の疑いで逮捕された事件で、男の子の頭部には強い衝撃を加えられた痕があったことが捜査関係者への取材でわかりました。調べに対し、容疑を否認しているということです。

  横浜市緑区に住む内田正也容疑者(30)は2018年1月、横浜市鶴見区のアパートの部屋で当時交際していた女性の長男、紺野叶志郎くん(当時4歳)に暴行を加え、死なせたとして傷害致死の疑いで24日逮捕されました。
  捜査関係者によりますと、叶志郎くんの遺体を詳しく調べた結果、頭部には外から見て目立つ傷はなかったものの、強い衝撃を加えられた痕があったということです。また、事件の4か月前に母親が「交際相手が子どもを殴る」などと警察に相談したときには、叶志郎くんのおでこに腫れがあり、内田容疑者は警察に対して「しかるときに殴った」と説明したということです。調べに対し、「暴行はしていません」と、容疑を否認しているということで、警察は事件の詳しいいきさつを調べています。
【鶴見区で3人で暮らす】
  5年前の2017年9月、亡くなった紺野叶志郎くん(当時4歳)と母親、それに交際相手の内田容疑者は横浜市鶴見区のアパートで3人で暮らしていました。
【保育所が区に相談】
  2017年9月21日、叶志郎くんが通っていた保育所から横浜市鶴見区のこども家庭支援課に、「叶志郎くんの体に傷やあざがある」という相談があったということです。
【母親が署に相談】
  それから8日後の9月29日、今度は、叶志郎くんを連れて母親と祖父母が鶴見警察署を訪れ、「交際相手が子どもを殴るから別れたい。注意してほしい」と相談していたということです。このとき、叶志郎くんのおでこには腫れがあり、警察官に「たたかれて怖い」と話したということです。
  警察は、相談を受けた当日、容疑者に直接、注意し、この際、容疑者は「しかるときに殴った」と話したということです。
【実家へ避難、再び同居】
  母親と叶志郎くんは警察に相談したその日のうちに、アパートを出て実家に戻ったということです。
【警察から児相への通告】
  およそ1か月後の10月25日、母親から相談を受けていた警察が、横浜市の児童相談所に虐待の通告をしました。
【虐待認定は事件5日前】
  市の児童相談所や区の担当者は、保育所や警察からの情報を受けて家庭訪問を行い叶志郎くんの母親から話を聞いたり、保育所を通じて子どもの様子を確認したということです。そして、児童相談所が身体的虐待を認定したのは、相談や通報があってからおよそ4か月が経過した、2018年1月18日。
事件が起きる5日前でした。
【一時保護されないまま死亡】
  虐待が認定されたあとも児童相談所は一時保護を行わず、その理由については「対応は必要だと認識していたがリスクの判断として保護が必要だという判断はしていなかった」などと説明しています。時期はわかっていませんが、叶志郎くんは母親、それに容疑者と鶴見区の現場となったアパートで再び同居するようになっていました。そして、1月23日、このアパートから心肺停止の状態で病院に運ばれ、その2日後、死亡しました。


2022.07.20-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1fd19776af7407a9843c1630d1145426bc397209
<独自>2歳児熱中症死 「水1回だけ飲ませた」 四男、祖母ら不在の2日間

  大阪府富田林市の小野優陽(ゆうは)ちゃん=当時(2)=が自宅に放置され、熱中症で死亡した事件で、保護責任者遺棄容疑で逮捕された祖母らが不在だった約2日間、自宅にいた四男(15)が大阪府警の調べに「(優陽ちゃんに)水を1回だけ飲ませた」という趣旨の説明をしていることが19日、捜査関係者への取材で分かった。司法解剖で優陽ちゃんの胃に固形物はなく、最後の食事から半日以上が経過しており、四男は通学などで世話をほぼしていなかったとみられる。

  また、祖母らが優陽ちゃんの手足を粘着テープで縛って外出後、「自宅に2日間一度も戻らず、食事の用意もしていなかった」と供述していることも判明。
  大阪地検は勾留期限の20日にも刑事処分を判断する。 府警によると、逮捕されたのは、祖母のA(46)と内縁の夫、B(50)の両容疑者。
  2人は当初、「(死亡当日の)6月29日早朝に外出した」と説明し、優陽ちゃんを乳幼児用の柵「ベビーサークル」内に約11時間放置したとして府警に逮捕されていた。
   捜査関係者によると、A容疑者は当初の説明を一転させ、6月27日午後、優陽ちゃんの手足をテープで縛って外出したと供述した。
  2人は、27日から大阪市此花区のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)近くのホテルに連泊。29日午後4時過ぎに四男から連絡を受けるまで一度も自宅に戻らず、「食事などの用意はしていなかった」と供述した。
  2人が不在の間、優陽ちゃんとともに在宅していた四男は「1回だけ水を飲ませた」などと説明。優陽ちゃんの手足の拘束については「(容疑者から)指示を受けて切った」と話し、自宅から丸められた状態のテープが見つかった。
  四男は高校への通学や塾などで世話をせず、優陽ちゃんはおむつをはかされたまま不衛生な環境に置かれていた。 優陽ちゃんが死亡するまで、富田林市の最高気温は連日30度を超えていたが、柵内に飲食物は置かれていなかった。28度に設定されていたエアコンの稼働状況についても、四男は当初「ついていた」と説明したが、その後は「覚えていない」と話しているという。
  優陽ちゃんが放置された柵には2つに折り畳める上蓋もあり、半分開いた状態で設置されていたが、A容疑者は「外した」と説明している。B容疑者は「育児のストレスがあった。過去にも優陽を縛って柵内に放置した」と供述しており、府警は育児放棄の実態解明をさらに進める。


2022.07.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220716-FZSWMKT67JJ5XKWAZMML5AUXWA/
経済支援19都府県が条例規定 京アニ事件3年でアンケート

  令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件を受け、京都府が犯罪被害者支援に特化した条例の検討を始めたのを機に、産経新聞が47都道府県を対象にアンケートを実施した結果、東京都や大阪府など19都府県が特化条例に見舞金などの経済的支援を規定していたことが16日、分かった。ただ、金額や内容にはばらつきがあり、被害者や遺族が居住地により利用できる支援に差が出る実態も浮き彫りとなった。

  社員36人が死亡、32人が重軽傷を負い、殺人事件として平成以降で最悪の犠牲者を出した事件は、18日で発生から丸3年となる。

  アンケートは7月上旬に実施。8割に当たる39都道府県が、犯罪被害者支援の条例を設けていると回答し、京都、山梨など5府県が「制定予定」とした。
  条例がある自治体のうち30都道府県は過去5年以内に制定。「凶悪事件が頻発し犯罪被害者支援の重要性が高まっているため」「交流サイト(SNS)による誹謗(ひぼう)中傷や周囲からの二次被害など被害者が困難な状況に直面しているため」などを理由に挙げた。
  特化条例で見舞金支給や弁護士費用の助成といった経済的支援を定めているのは19都府県。経済的支援の項目で最も多いのは見舞金(8都県)で、遺族や負傷した被害者らに5万~60万円を給付する。次に多いのが弁護士費用助成金(7都府県)で、主に弁護士への相談費用や訴訟の着手金を想定している。
  ほかに加害者に対して損害賠償などを求める再提訴費用(4府県)や転居費用の助成(5都県)もあった。栃木県や奈良県は条例には定めていないが、独自に経済的支援を行っているとしている。
  一方、育児や買い物の代行など日常生活の支援を行っているのは埼玉と福岡など12県で、条例を定める自治体の3割にとどまっている。(鈴木文也)
■犯罪被害者支援に特化した条例 
  平成16年制定の「犯罪被害者等基本法」は、国から被害者への給付金支給のほか、自治体に被害者支援策を実施する責務があると規定。同年の宮城県を皮切りに各都道府県が条例制定を進めている。支援内容は自治体によって異なるが、被害者や遺族へのカウンセリングによる精神的ケアや居住先の提供のほか、見舞金支給といった経済的支援もある。一部の市町村も見舞金給付を盛り込んだ条例を制定している。


2022.07.07-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/64c127fb05b1762a3e64588d3a6e4c36ec1beb4f
<独自>2歳児熱中症死 祖母らUSJ近くで連泊 供述虚偽、放置は丸2日か

  大阪府富田林市の小野優陽(ゆうは)ちゃん(2)が自宅に放置され、熱中症で死亡した事件で、保護責任者遺棄容疑で逮捕された祖母らが、遺体発見の2日前から大阪市此花区の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」近くのホテルに連泊していたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。祖母らは遺体発見当日の早朝に自宅を出てUSJに行ったと説明していたが、虚偽だった可能性が高い。大阪府警は放置が丸2日間に及んだとみて裏付けを進める。

  府警によると、祖母のA(46)と内縁の夫、B(50)の両容疑者は当初、6月29日午前5時ごろ、A容疑者の五男(5)を連れて自宅を出て車でUSJに遊びに行ったと説明。同日午後4時過ぎ、学校から帰宅したA容疑者の四男(15)が、乳幼児用の柵「ベビーサークル」内で倒れていた優陽ちゃんを見つけるまで約11時間放置したとして逮捕されていた。
   捜査関係者によると、A容疑者は「USJの前に奈良に行った」とも供述したが、府警が裏付けを進めたところ、A容疑者らが6月27日と翌28日、大阪市此花区のUSJ近くのホテル2カ所に宿泊していたことが判明。少なくとも丸2日間ほどは優陽ちゃんを放置し、USJで遊ぶなどしていた疑いがあり、府警は両容疑者の行動を詳しく調べる。
  府警によると、優陽ちゃんは29日昼ごろに熱中症で死亡したとみられる。放置されていた柵は四方に板が張られ、通気性が悪くなっていた。
  A容疑者らは「クーラーと扇風機をつけ、窓を開けて外出した」と供述したが、柵内には飲食物もなく脱水症状を起こしやすい状況だった。 29日午前7時40分ごろに自宅を出た四男も、帰宅した際に「クーラーはついていた」と話していたが、その後の説明には変遷もみられるという。
  府警は改めて四男からも事情を聴き、優陽ちゃんが放置された時期や、A容疑者らが不在の間、優陽ちゃんの面倒をどのように見ていたか、状況の確認を進める。


2022.07.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20170101-RMAUNPNMKBPDLFB3PZX3USDT5Q/
顔面火あぶり、監禁、踏みつけ…「邪魔な存在」3歳児を不条理な死に追いやった虐待地獄 救える命救う仕組みを
(1)
  顔をライターであぶり、浴槽で後頭部を踏みつける-。堺市堺区のマンションで昨年6月、当時3歳の男児が意識不明となり死亡した事件。傷害致死など3つの罪で起訴された両親が、男児に対して日常的に激しい暴行を加えていた実態が明らかになった。「養育が困難」として一時は児童相談所(児相)に預けた男児を自らの意思で引き取ったにもかかわらず、「邪魔な存在」と疎んじて凄惨(せいさん)な虐待を繰り返した末、死亡させるというショッキングな内容に、社会は震撼(しんかん)した。明らかに「子育てをしてはいけない親」をどう見抜き、子供を守るべきなのか。事件から教訓をくみ取り、社会全体で救える命を救う制度を整える必要がある。
「いつの傷か記憶ない」
  「何度もたばこを押しつけたり、ライターであぶってやけどを負わせた。これまで何度もやったので、どれがいつの傷かは記憶がありません」
  長男の常峰英智(つねみね・えいち)ちゃんの顔や腕など12カ所に全治1カ月のやけどを負わせたとして今年9月、傷害容疑で大阪府警に再逮捕された養父のアルバイト、常峰渉(わたる)被告(32)は、こう供述した。
  英智ちゃんは昨年6月15日未明、自宅マンションの浴槽から心肺停止の状態で緊急搬送され、3日後に死亡した。司法解剖の結果、死因は低酸素虚血性脳症で、全身にはやけどを含む30カ所以上の傷があった。
  府警は今年7月、英智ちゃんを浴室に閉じ込めたとする監禁容疑で、渉被告と実母の美香被告(23)を逮捕。翌8月、浴槽で英智ちゃんの後頭部を足で踏んで水没させ殺害したとして殺人容疑で両被告を再逮捕したが、殺意の立証には至らず、傷害致死罪で追起訴された。
  その後、罪自体は軽い傷害容疑で9月に再逮捕するという異例の展開をたどったのだ。
(2)
  府警は、わが子の顔をライターであぶるという信じがたい行為の悪質性を際立たせるため、2人の立件に踏み切ったとみられる。英智ちゃんの死への関与はかたくなに否定していた美香被告も、傷害容疑については「頬にライターを使ってやけどをさせた」などと素直に認めた。 両被告はその後、傷害罪でも起訴された。
  「なんで子供にこんなことができるのか。思い出すだけで夜も寝られない」。ある捜査員は、怒りで声を震わせた。
複雑な環境環境
  府警によると、渉被告は英智ちゃんについて「邪魔な存在だった」と供述。美香被告も「どうでもいい存在だった」と、自分の腹を痛めて産んだとは思えない発言をしていた。
  こうした伏線ともいえるのが、美香被告の連れ子だった英智ちゃんをめぐる複雑な生育環境だ
  英智ちゃんは平成24年7月、美香被告の親族が「堺市子ども相談所」(児相)に「養育が困難」と相談したのを受けて、生後約3カ月で児童福祉施設に入所。その後に美香被告は渉被告と結婚し、1年後の25年7月に「(英智ちゃんを)引き取って育てたい」と児相に申し出た。
  面接などを重ねて昨年3月下旬、英智ちゃんは両親と一緒に生活するようになったが、1カ月後の4月下旬、英智ちゃんが通う保育園から「顔にひっかき傷やあざがある」と通報があり、児相は再び英智ちゃんを保護した。
  だが、2人は強硬に虐待を否定。医師も両親の説明と傷に矛盾はないと判断したため、5月中旬に英智ちゃんを自宅に戻していた。

  虐待はこの直後からエスカレートしたとみられ、事件の約2週間前の6月初旬には「やけどの痕がある」と再び通報があった。児相職員が家庭訪問したが、2人は「自分で壁に頭をぶつけたり、遊具から落ちたりした」と主張。やけどについても「料理中にてんぷら油がはねて当たった」と説明した。
(3)
周囲に「子煩悩」装う
  ただ府警によると、事件直前の6月6日以降、自宅マンション近くの防犯カメラには英智ちゃんの姿は一切写っておらず、自宅で監禁状態だった可能性がある。両被告はこの間、2人の実子である長女(3)と3人で食事に出かけていたこともあった。
  一方で英智ちゃんの死亡後、2人は周囲に対し、自分たちは「ぬれぎぬを着せられた子煩悩な被害者」だと訴えていた。
  逮捕前の今年1月、産経新聞の取材に応じた美香被告は、「保護される度に英智はパパ(渉被告)と距離を感じてしまい、なつくのに時間がかかった。児童相談所に『虐待はなかった』と書面で回答してくれとお願いしたが、聞いてもらえなかった」と、児相への不満をあらわにした。
  さらに、英智ちゃんが買ったばかりの服を着てポーズをとっている写真が掲載された子供服店のブログがあると明かし、「妹(長女)の分も合わせて40着ぐらい買い、8万~9万円かかった。かわいがるつもりがないなら、わざわざ施設から子供を引き取ったりしない」とアピール。渉被告も「血がつながっていないから虐待を疑われるのは偏見だ」と語気を強めた。
児相の仕組み改善を
  事件をめぐっては、保育園から児相に通報が複数回寄せられ、何度も児相職員が英智ちゃんや両親に接触していたことから、児相が「救える命を救えなかった」と批判を浴びた。堺市は「子ども虐待検証部会」を開き、再発防止に向けた検証を始めている。
  2人が英智ちゃんと一緒に暮らしていたのは計2カ月間に過ぎない。府警幹部は「保護されたときにそのまま施設に預けておけば、命は守られたはず。育てる気がないのに、なぜわざわざ自ら英智ちゃんを引き取ったのか」と首をかしげる。
(4)
  一方、児童虐待問題に取り組む関係者は「虐待をする親が執拗(しつよう)に子供を自分の手元に置こうとするのは、決して珍しい行為ではない」と明かす。
  「子を虐待する親は精神的に不安定で、親という役割を実感することで心の安定を図ろうとする人もいる。子供を児相に保護されると『親失格』の烙印(らくいん)を押されたように感じ、強く反発してしまう」。関係者はこう解説し、「児相は保護解除後も家庭訪問だけでなく、子育ての様子を長時間観察し、間違っていることを細かく丁寧に教えてあげるなどの手厚いアフターケアをする必要がある」と訴える。
  児相の所長経験もあるNPO法人「児童虐待防止協会」(大阪市)の津崎哲郎理事長は「日本では児相が子供の保護と親の指導という両方の役割を担っているが、アメリカでは行政と裁判所でその役割が分担されている」と、日本の児相が抱える制度的な問題を指摘。「子供を保護すれば親から反発される可能性は高く、この2つの役割を両立させるのは難しい。制度の改正を社会全体で本格的に議論する必要がある」と話している。
(2016年10月10日掲載)







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