ドイツ(Germany)-1


2024.01.26-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240126-4S7D6SGMX5JAZA233ZF6QM2FXY/
ドイツ教会、聖職者らが未成年者ら2千人超に性虐待と発表 「氷山の一角」

  ドイツのプロテスタント教会で1946年以降、少なくとも聖職者ら1259人が未成年者ら2225人を性的虐待していたことが分かった。ドイツ福音教会の要請で被害の実態を調査した研究者らが25日、報告書を発表した。特定した被害者数は「氷山の一角に過ぎない」としている。

  多くの資料が既に破棄されるなどしており、入手できたデータなどを基にした推計ではプロテスタント教会全体で被害者は約9300人加害者は約3500人に上る可能性があるという。
  報告書によると、特定した被害者の大半が当時14歳未満で、約65%が男性、約35%が女性だった。加害者の約40%が聖職者で、残りの多くは教会で教育に携わるスタッフだった。ほとんどが男性だった(共同)


2023.11.16-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231116-BIGBIYRYD5KMRBVKERP34SOZOM/
ドイツ警察、イスラム主義組織の54カ所捜索 ヒズボラ支援か

  ドイツ警察は16日、北部ハンブルクを拠点とするイスラム主義組織と関係先など54カ所を一斉捜索した。イランの影響下にあるレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラを支援している疑いがあるという。ヒズボラはパレスチナのイスラム組織ハマスに協力し、イスラエル軍と交戦している。

  ハマスのイスラエル奇襲以降、ドイツはイスラエルを強く支持しており、ハマスを支持する活動を禁止し、取り締まりを強化している。
  地元メディアによると、ハンブルクのイスラム主義組織はイラン指導部のプロパガンダを行う欧州の重要拠点とされる。以前からドイツ当局の監視下にあった。
  フェーザー内相は声明で「イスラム主義のプロパガンダや、反ユダヤ主義、反イスラエルの扇動を許さない」と強調した。(共同)


2023.11.12-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231112-6AGEVD6PPVLS3GFGDY5KWTDFGY/
ウクライナ軍大佐が関与か ガス管破壊で調整役と報道

  ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム」で昨年9月に起きたガス漏れを巡り、ドイツ有力誌シュピーゲルなどは11日、ウクライナ軍特殊部隊に所属していた大佐が破壊計画の調整役として中心的役割を担ったと報じた。ウクライナや欧州の当局者の話としている。

  ガス漏れを巡っては、以前からウクライナの関与が取り沙汰されていたが、ウクライナ側は否定している。米紙ワシントン・ポストは6月、米当局の機密文書に基づき、ウクライナ軍のダイバーらによる破壊計画を米政府が事前に把握していたと報じた。
  シュピーゲルなどの今回の報道によると、大佐はパイプラインに爆発物を設置したウクライナ軍のダイバーらの管理や後方支援を行った。軍高官からの命令を受けており、最終的にザルジニー総司令官に報告した。ゼレンスキー大統領は意図的に計画を知らされなかった可能性があるという。(共同)


2023.11.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231109-3T7AFJXLIZIBPGXW4O3NJJXXMU/
キスは「暴力」か「あいさつ」か ドイツ女性外相が〝被害〟、EU外相会議で物議
(黒沢潤)

  ロシアの侵略にさらされるウクライナの欧州連合(EU)加盟問題を協議する11月上旬の外相会議に際し、クロアチアの男性外相がドイツの女性外相にキスしたことが物議を醸している〝あいさつのキス〟だったとはいえ、こうしたキスの習慣がない女性外相は戸惑いを見せ、懸命にその場をとりつくろったクロアチア外相は謝ったものの、重要案件を討議する外交舞台で起きた珍しい騒動は、今もじわり尾を引いている。

女性外相は顔を背けたが…
  〝キス騒動〟は11月2日、ドイツの首都ベルリンで開催されたEU外相会議の集合撮影時に起きた。欧州各国の外相が居並ぶ中、遅れて到着したドイツの女性外相、アンナレーナ・ベアボック氏(42)に、クロアチアのゴルダン・グルリッチラドマン外相(65)がまず握手。その直後、彼女の頰にキスしようとした
  しかし、ベアボック氏は一瞬、嫌がるそぶりを見せ、顔を横にそむけた。ところが抗し切れず、グルリッチラドマン氏のキスを受け入れ、苦笑いを浮かべた
  ドイツ高級紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)は今回の事態について、「相手国(ドイツ)を当惑させたかもしれないとはすぐに気づかなかった」とやんわり批判。一方、ドイツ大衆紙は「キスの攻撃だ」などと嚙みついた。
  〝キス騒動〟への反発はグルリッチラドマン氏の母国、クロアチアでも起きている。
  英BBC放送(電子版)などによると、女性人権活動家のラダ・ボリッチ氏は「全く不適切な行為。彼は儀礼を知らないと見える。キスというのは、それを受け入れてもらえる関係を持つ相手との間で成立するものだ」と非難した。ヤドランカ・コソル元首相(女性)もX(旧ツイッター)への投稿で、「女性への強制的なキスは暴力。そうですよね?」と、苦言を呈した。
  クロアチアでは「公的な場所でドイツ外相を困惑させ、自国に恥をかかせた」といった意見が連日、メディアを賑わしている。
「キスは温かい人間的な行為」
  グルリッチラドマン氏は今回の事態について、「誰かが悪い意味で受け止めたなら謝罪する」としながらも、ベアボック氏と会ったことへの嬉しさを表現したものだとし、「(キスは)温かい人間的な行為」と強調した。
  今回の騒動の背景には、各国で〝あいさつ文化〟が異なるという事情がある。ドイツでは通常、あいさつは握手かハグであり、キスの習慣はあまりない。一方、フランスでは頰に、「チュッ」と音を立てながらキスをする習慣がある。他の欧州諸国でも2、3回、キスする例がある
  韓国の朝鮮日報(電子版)によると、同国の李明博(イ・ミョンバク)元大統領が2011年、インドネシアのバリで、オーストラリアのジュリア・ギラード元首相(女性)と首脳会談に臨んだ際、ギラード氏が李氏の頰にキスした後、顔についた口紅を自らふき取るなど自然な〝キスのあいさつ〟を交わしたという。
  欧米の人々の間でよく目にするあいさつのキス。ところが、異なる文化を背負う相手によっては、大変な事態となりかねない。(黒沢潤)


2023.10.15-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231015-Y2L5QGDVVFN47EK6JZ5DVIKPVY/
イラン影響下にあるヒズボラの「参戦回避が重要」独イスラエル首脳が電話会談で一致

  ドイツのショルツ首相は14日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、同国とイスラム組織ハマスの戦闘を巡り、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの参戦を回避することが重要だとの認識で一致した。地域全体に対立が波及することも避けるべきだとした。ドイツ政府報道官が発表した。

  ヒズボラはイランの影響下にある。イランのアブドラヒアン外相は14日、ヒズボラを念頭に、イスラエルと対立する組織が本格参戦を視野に入れていることを示唆した。イランはイスラエルと敵対関係にあり、ハマスを支援している。(共同)


2023.07.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230713-3PLNZGQVJVOWROY4DHK5H6HKGE/
ドイツが中国戦略を発表 中国市場依存を牽制

  【パリ=三井美奈】ドイツ政府は13日、中国戦略を策定したと発表した。欧州連合(EU)の方針に沿って、対中関係では「リスクを減らす」ことを重視ドイツ企業が中国市場への依存を深めることに、警鐘を鳴らした。

  ベーアボック独外相は発表に当たって、「ドイツは変わった。中国政策も変わった」と述べ、中国との経済関係を重視したメルケル前政権との違いを強調した。
  戦略では、多くのドイツ企業が中国市場に進出している現状に触れ、「中国がルール重視の国際秩序からさらに離脱していけば、中国市場への重度の依存は問題をもたらす。企業や団体にとっても同様だ」と明記した。「過剰なリスクを回避」するため、企業や産業団体との話し合いを進める方針を示した。政府はドイツ企業への信用供与にあたって、「技術移転の危険性」を考慮するとした。
  中国はドイツにとって、最大の貿易相手国。特に、自動車産業は対中依存が強い。フォルクス・ワーゲン(VW)やBMWなど大手企業が、中国の電気自動車(EV)市場に期待して、中国への投資を発表していた。


2023.04.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230416/k10014039901000.html
ドイツで「脱原発」が実現 稼働していた最後の原発3基が停止

  国内すべての原子力発電所の停止を目指してきたドイツでは、15日、稼働していた最後の3基の原発が送電網から切り離され「脱原発」が実現しました。今後、再生可能エネルギーを柱に電力の安定供給を続けられるかなどが課題となります。

  ドイツは2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて当時のメルケル政権が「脱原発」の方針を打ち出し、17基の原発を段階的に停止してきました。
  「脱原発」の期限は去年末まででしたが、ウクライナに侵攻したロシアがドイツへの天然ガスの供給を大幅に削減したことで、エネルギー危機への懸念が強まり政府は稼働が続いていた最後の3基の原発について停止させる期限を4月15日まで延期していました。3基のそれぞれの事業者がいずれの原発も15日に発電のための稼働を終え、送電網から切り離されたことを明らかにし、「脱原発」が実現しました。
  南部のネッカーウェストハイム原発の近くでは「脱原発」を求めてきた市民団体などが集会を開き参加者は「原子力発電がついに終わる」と書かれた横断幕を掲げて喜んでいました。
  参加者たちは「原発の危険性がなくなりうれしい」とか、「何年も求めてきた『脱原発』が実現できてよかった」などと話していました。ただ、ドイツではエネルギーの確保が課題となる中、今月の世論調査で「脱原発」に反対と答えた人が59%で賛成の34%を大きく上回り、経済界からも懸念が示されています。
  今後は政府がさらなる拡大を目指す再生可能エネルギーを柱に電力の安定供給を続けられるかや高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分などが課題となります。
「脱原発」求めてきた市民団体 記念集会開き約500人集まる
  15日に停止した3基の原子力発電所のひとつネッカーウェストハイム原発の近くでは「脱原発」を求めてきた市民団体などが記念の集会を開き、およそ500人が集まりました。参加者たちは原発の停止を記念したカウントダウンをして、大きな歓声を上げていました。また「原子力発電がついに終わる」と書かれた横断幕なども掲げられていました。
  参加した20代の男性は「ドイツの原発が比較的安全であっても環境全体に大きな影響を与えるリスクは常にある。すべての原発の停止を本当に喜んでいる」と話していました。また、別の50代の男性は「何十年も続いた反原発運動でも原発のリスクをゼロにはできなかったので、喜びは格別だ」と話していました。一方、同じく15日には原発の利用の継続を求める市民団体が首都ベルリンの中心部で集会を開き、100人余りが参加して抗議の声を上げていました。
  参加した人たちは、供給が大幅に減ったロシア産の天然ガスを補うため石炭による発電を拡大させながら原発を停止するという政府の判断を批判していて、会場には「原発に賛成」などと書かれたオブジェも置かれていました。20代の女性は「いまはエネルギー危機で再生可能エネルギーでは現在の消費量をまかなえないのに、原発を停止するのは理解できない。しかも、石炭は多くの二酸化炭素を排出するが原発にはそれがない」と話していました。また、60代の女性は「原子力には未来があり、安全に設計されていれば恐れる必要はない。再生可能エネルギー、原子力のバランスが必要で、政府は考え直して欲しい」と訴えていました。
ドイツの「脱原発」とは
  ドイツでは1961年に原発による発電が始まりましたが1970年代に原子力の利用に反対する市民運動が盛り上がりました。その運動のなかから環境政策を重視する政党、緑の党が誕生
  緑の党は、1998年に発足したシュレーダー政権に連立与党として参加し、この政権のもと、国内の原発を2020年ごろまでにすべて停止する法律がつくられました。その後、首相に就任したメルケル氏は当初は原発の利用に前向きで運転期間の延長に踏み切ります。しかし、2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて姿勢を転換しました。
  17基あった原発を順次停止し、2022年末までにすべて停止する「脱原発」の判断を下します
  ドイツの発電事業者などでつくる連邦エネルギー・水道事業連合会によりますと、発電に占める原子力の割合は2000年は30%で、石炭に次ぐ多さでしたが、去年、2022年には6%と大幅に減っています。
  これに対し、再生可能エネルギーは2000年は7%でしたが2022年には45%に拡大し、最も多くなっています。しかし、去年、ウクライナへの侵攻を続けるロシアが、ドイツ向けの天然ガスの供給を大幅に削減すると、エネルギー危機への懸念から原発を使い続けるべきという声が経済界や与党の一部からも上がりました。こうした中、緑の党も参加するショルツ政権は、去年9月、「脱原発」の期限をことし4月15日まで延期しました。
  ドイツは減少したロシア産ガスの代わりとしてLNG=液化天然ガスの輸入を増加させたり、石炭での発電を拡大させたりしてきました。こうした対策を踏まえ「脱原発」を担当するレムケ環境相は、先月の記者会見で「エネルギーの供給は安定している」として、原発を停止してもエネルギー危機は起きないとして予定どおり原発を停止する方針を示しました。
  レムケ環境相は、原発には事故のリスクに加え、ウクライナのザポリージャ原発のように攻撃にさらされる危険性も浮き彫りになったとして「原子力はいまも、これからもリスクのある技術であり続ける。そのリスクはドイツのような技術力の高い国でさえ制御できない」と述べ、「脱原発」の意義を強調しました。
ドイツ ロシアが天然ガス供給を大幅削減でガスや電気料金 高騰
  ドイツでは、ロシアが、去年、ドイツ向けの天然ガスの供給を大幅に削減したことで、ガスや電気の料金が高騰しました。懸念されたエネルギー不足は表面化していませんが、企業からは安定供給の面から「脱原発」に懸念も出ています。
  このうち南部バーデン・ビュルテンベルク州に本社がある車のエンジンなどに使う部品を製造する企業は、鉄などの加工に欠かせないガスと電気の料金が去年、前の年と比べおよそ50%値上がりしたということです。

  シュテファン・ウォルフ社長は「残っている3基の原発を止めるエネルギー価格が上昇すると思う二酸化炭素の排出がゼロで、いまも利用できる原発を止めるのは大きな間違いだ」と話し、反対の立場を示しています。そして「ドイツ政府がエネルギー価格を下げることができなければ多くの企業が生産拠点をよりエネルギー価格が安い国へ移してしまう」と強調しました。
   また、ドイツ商工会議所連合会は、今月11日、「ガス価格は下がったもののエネルギー価格はほとんどの企業にとって高止まりしている。安定供給という問題はまだ解決されていない」などとする会長のコメントをホームページに掲載しドイツ企業の競争力を維持するためとして原発の利用を続けるよう訴えています。
「脱原発」後の課題は
  再生可能エネルギーの研究が専門で、政府のアドバイザーも務めるレーゲンスブルク大学のシュテルナー教授は原発は発電のわずかな割合しか占めておらず、脱原発が電気料金や供給に影響を与えることはない。産業を守るためにすべきことは風力や太陽光の拡大で、蓄電の技術も加わればとても安い電力が保証できる」と話しています。
  そして「今後は電力がエネルギー供給の核になる」とも話し、EV=電気自動車の普及などでいっそう電力が必要になるため、再生可能エネルギーを着実に拡大できるかが課題だと指摘します。
  ドイツ政府は去年、2030年に電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を80%にする方針を新たに掲げています。これについてケルン大学のエネルギー経済研究所が、今後、毎年、追加に必要となる電力を試算したところ
  陸上風力は8.4ギガワット、太陽光は17.4ギガワットで、2021年までの10年間のペースと比べ 風力はおよそ3倍 太陽光は4倍余り拡大させる必要があり、「実現できるか不透明だ」としています。

  ドイツでは再生可能エネルギーの電力を運ぶ新たな送電線や風力発電所の建設の許認可に時間がかかっているほか、住民の反対も課題となっていて、シュテルナー教授は、「新型コロナやウクライナでの戦争に対応した時のように風力や太陽光でも同じ早さの法律が必要だ」と話し、政府が対応に本腰を入れなければ安定した電力の供給が今後、難しくなるとの見方を示しています。
  また、長期にわたる原発の廃炉作業に加えて発電にともなって発生した高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分地も決まっておらず、政府は「原子力の安全に関わる課題は何十年も続く」としています。


2023.03.11-TENY-https://www.teny.co.jp/nnn/news91dvziiv6stgyj5i0a.html
ドイツ北部「エホバの証人」施設で銃撃 容疑者は現場で自殺の元信者…教団とトラブルか

  ドイツ北部ハンブルクの宗教施設で男女6人と胎児が死亡した銃撃事件について、地元当局は10日、容疑者は現場で自殺した元信者の男だと発表しました。

  9日、ドイツ北部のハンブルクにある宗教団体「エホバの証人」の施設で銃撃事件があり、男女6人と胎児が死亡、8人がケガをしました。
  銃撃犯が逃走した形跡などがないことから、現場で捜査が続けられていましたが、地元当局は10日、容疑者は元信者の35歳の男で、現場で自殺したと発表しました。
  また、地元当局は容疑者の男をめぐり、今年に入ってから「男が『エホバの証人』に強い怒りを持っていて、多数の銃を所持している」として精神鑑定を求める通報があり、警察が男の自宅を立ち入り調査していたことも明らかにしました。
  しかし、その際には銃の保管状況などの確認にとどまり、男の精神鑑定は行われなかったということです。地元当局は、容疑者の男と「エホバの証人」との間でトラブルが起きていた可能性もあるとみて、動機などを詳しく調べています。


2023.01.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230126-NKZP4RNR7ZMNNKE4NYBUMYGTZY/
戦闘機や地上部隊は否定 独首相「同盟国と協力」

  ドイツのショルツ首相は25日、連邦議会(下院)の質疑で、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの戦闘機供与や地上部隊派遣について「今後もない」と否定した。ドイツ政府は同日、主力戦車レオパルト2のウクライナへの供与を発表した。

  ショルツ氏は、戦車を含む武器供与の決定は「同盟国と緊密に協力して行った」と指摘した。ウクライナが要望した戦車について慎重な姿勢を見せてきたが「ドイツは常に支援の先頭に立つ」と強調した。
  戦闘機の供与に関し、侵攻開始直後からバイデン米大統領と共に拒否してきたとし「方針は変わらない」と明言。地上部隊の派遣は「いかなる状況でも北大西洋条約機構(NATO)の兵士が戦闘に関わることはない」と述べた。(共同)


2023.01.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230125-UATZQHWN5ZIE5BN7ZJJMKFHYYE/
ヘルメットから戦車の供与へ ドイツ、難産の軍事支援

  【パリ=三井美奈】ドイツが主力戦車「レオパルト2」のウクライナ供与を決めたことは、武器提供の目的がロシア軍に侵略されるウクライナの自衛にとどまらず、占領地奪回を目指す攻撃支援にシフトしたことの象徴となる。ドイツには反戦平和主義が浸透し、軍事支援に慎重だったが、外圧で変化を迫られた

  レオパルト2は「世界最強の戦車」の一つにあげられ、乗員を対戦車砲や地雷の攻撃から守る防御力に優れる。時速約70キロで走行でき、機動力も高い。製造国ドイツが輸出承認に踏み切れば、ウクライナは欧州各国から大量の供与が期待できるだけでなく、機種一本化で砲弾や部品補給も容易になる。英国際戦略研究所(IISS)は戦況に大きな効果をもたらすには、約100両必要だという分析を示した。
  戦車供与をめぐり、ドイツでは「戦闘をあおる」との懸念が強かった。先週の世論調査では、賛成46%、反対43%と拮抗(きっこう)した。フランス戦略研究財団のオリビエ・ケンプ研究員は「ドイツには第二次大戦の記憶が残る。自国の戦車が進軍の先頭を走るのを見たくないのだ。ウクライナは、かつての独ソ戦の戦場でもある」と指摘する。ロシアが核兵器使用をほのめかしていることも不安の背景にある。
  プーチン露大統領は「非ナチス化」を侵攻の口実としており、レオパルト2がロシア軍の手に落ちれば、格好の宣伝材料になる。
  ドイツは長く「紛争地に殺傷兵器を送らない」を原則としてきた。露軍の侵攻直前、軍事支援は「自衛用に限る」としてヘルメット5千個を送ると表明し、ウクライナの失望を買った。その後、米英に追随して自走砲や防空システム提供を決めたが、ショルツ独首相は常に慎重な姿勢を貫いた。

  今回は春にも露軍の大攻勢が予想される中、ウクライナのほかポーランドや英国が、20日のウクライナ支援国会合でドイツに決断を迫った。ドイツは「同盟国と連携する」と繰り返し、米国と歩調を合わせたい構えを崩さなかった。煮え切らない態度に「ショルツするという造語が広がった。「前向きな姿勢を示しながら、動かない口実を探す」という意味だ。
  ドイツ連立政権内の対立もあらわになった。ショルツ氏の中道左派与党、社会民主党(SPD)はもともと親ロシア路線をとり、戦車供与に消極論が強かった。第2与党「緑の党」、第3与党「自由民主党」は前向きだった。
  ポーランドが支援国会合を前に、保有するレオパルト2の供与意欲を示した際、緑の党のベーアボック外相は「ドイツは妨害しない」と表明した。SPDのピストリウス国防相は「決めるのは首相」と述べ、外相発言を牽制(けんせい)した。


2023.01.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230118-U3PP6PVAMJNZPB7IWMJOTTUHJ4/
ドイツ、戦車供与渋る 「せめて他国の供与認めよ」の声も 新国防相は地方政界から起用

  【パリ=三井美奈】ドイツのショルツ首相は17日、北部ニーダーザクセン州のボリス・ピストリウス内相(62)を新国防相に指名した。19日に就任し、20日にドイツ駐留米軍基地で行われるウクライナ支援国会合に臨む。会合を控え、ドイツに戦車供与を求める圧力が国内外で高まる中、首相は応じる姿勢を見せていない。

  ピストリウス氏は、16日に辞意を表明したランブレヒト国防相の後任。第1与党、社会民主党(SPD)に所属し、国政経験はない。ショルツ首相の出身地、同州オスナブリュックで約7年間市長を務めた。首相が地元の側近を起用したのは「国防方針は変えない。自分で決める」という意思の表れとみられる。
  ショルツ首相は17日の記者会見で、ピストリウス氏を「よき友人、よき政治家だ」とたたえる一方、主力戦車「レオパルト2」ウクライナ供与の是非には触れなかった。ピストリウス氏も同日、沈黙を保った。
  ドイツへの圧力は、英国が14日、主力戦車「チャレンジャー2」14両の供与を表明したことで強まった。
  ウォレス英国防相は16日の声明で、英国の決定を契機としてレオパルト戦車を供与できるようにしてほしい」と訴えた。ドイツはレオパルト2を供与しないなら、せめて保有国が移転するのを許可するべきだという主張だ
  レオパルト2は、欧州の10カ国以上が計約2千両を保有し、外国移転には製造国ドイツの承認が必要となる。ドイツが決断すれば、ウクライナは欧州各国からの供与を期待できる。すでにポーランドやフィンランドが提供意欲を示している。チャレンジャー2は、欧州で英国にあるだけで、波及効果に乏しい。ウクライナは、レオパルト2提供を強く求めている。

  ドイツ連立政権では、第2与党「緑の党」のハーベック経済・気候保護相が12日、「ドイツの決定がどうであれ、ほかの国が支援を決めるのを妨害すべきではない」と述べ、ショルツ首相に決断を促した。緑の党は戦車供与に前向き。SPDは慎重で、閣内に温度差がある。
  ハーベック氏は17日、米民放テレビで「米国が戦車供与を決めれば、ドイツも決断しやすくなる」と発言。まず、米国が主力のエイブラムス戦車の供与を決めるよう促した。ショルツ首相は「わが国単独では決めない。同盟国と連携する」と繰り返している。
  ピストリウス氏は支援国会合を前に、19日にもオースティン米国防長官と会談するとみられ、米独のすり合わせが焦点になる。
  昨年末のドイツ世論調査では45%がレオパルト2供与に反対し、賛成は33%にとどまった。ドイツは第二次大戦後、反戦平和主義が浸透し、国民は軍事支援で目立つことを敬遠する。独連邦軍では長年の投資不足で、武器の不備が相次いで露呈していることも供与への不安につながっている。

  フランス戦略研究財団のオリビエ・ケンプ研究員 ウクライナが米欧に戦車供与を強く求めるのは、昨年秋以降、戦局が膠着しているからだ。接近戦で、突破力を必要としている。
  だが、戦車には軍事より、政治的意味の方が大きい。占領地奪回の戦いを後押しするという米欧の意思の象徴になる。ウクライナは「武器支援が新段階に入った」とロシアに示すことになる。接近戦の支援では、すでに米独が歩兵戦闘車、フランスが「軽戦車」の供与を表明している。
  ウクライナはソ連製戦車を使用しており、米欧からの歩兵戦闘車、さらに戦車が数種加われば、それぞれの修理用部品が必要になる。調達や補給の複雑化という問題を抱えることになる。ドイツの「レオパルト2」を求めるのは、欧州各国からの供与が期待でき、調達も単純化できるという狙いからだろう



2022.11.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221102-4ZMWBJZFGRJADM2QS624GAFTLE/
ドイツ最大港へ中国参入 連立政権内で賛否-(パリ 三井美奈)

  ドイツではショルツ首相の訪中を前に、ハンブルク港のターミナルに中国の国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」が資本参加することが決まった。国内最大の貿易港だけに、「安全保障上の危険を招く」として連立政権内で是非論が分かれ、対中政策の迷いが浮き彫りになった。

  ターミナルをめぐっては9月、港湾運営会社とCOSCOの間で、35%の権益獲得を認める計画で合意していた。ショルツ氏は2018年までハンブルク市長を務めており、この計画を支持した。「ギリシャやベルギーの港にも中国企業が参入している。特別なことではない」と主張した。
  だが、第2与党「緑の党」のベーアボック外相は独紙で重要インフラへの参入には慎重であるべき。中国が民主主義に対抗するとき、何を意味するかを考えねばならない」と警告。第3与党、自由民主党からも反対の声が出た。連邦議会では情報機関トップが公聴会で、中国企業のインフラ投資に警戒を促した
  独報道によると、6閣僚がCOSCO参入計画の見直しを要求10月26日の閣議で、資本比率を25%未満にすることで妥協が成立した。人事などの重要決定を覆せない比率にとどめ、参入を認める(パリ 三井美奈)


2022.09.03-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20220903-GSIJFABIORJBXDH2LR6NH23J2I/
露、独へのガス再開延期 オイル漏れが原因と説明

  ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムは2日、保守点検を理由に一時停止しているロシアからドイツに天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム」の供給再開を、予定していた3日から延期すると発表した。オイル漏れが見つかったため問題が解決するまで完全停止すると説明し、再開予定は明らかにしていない。

  ガスプロムが6月以降にノルドストリーム経由の天然ガス輸送量を大幅に減らしたことで、ドイツではガス不足の懸念が高まっている。欧州ではガス価格が高騰し、記録的な物価上昇も招いており、停止期間延長で混乱が深まる恐れがある。ロシアへの制裁として先進7カ国(G7)は2日、ロシア産石油の取引価格上限の設定で合意した。ノルドストリームの再開延期は、ロシア側が報復として欧州に揺さぶりをかける措置ではないかと疑う声も出ている。(共同)


2022.07.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220711-S7LAYADJRJISFNNOA3HA22I6UU/
露、独へのガスパイプライン停止 供給不安高まる

  【パリ=三井美奈】ロシア産天然ガスをドイツに送るパイプライン「ノルドストリーム」が11日、保守作業のため供給を停止した。ノルドストリームを運営する露政府系ガスプロムは「作業は21日まで」と通告したが、ウクライナ支援国に対するロシアの報復との見方が強く、ドイツでは供給不安が強まっている

  ロイター通信によると、独連邦エネルギー当局の高官は11日、「ノルドストリームはゼロになった」と述べ、供給が遮断されたことを認めた。ハーベック独経済・気候保護相は、訪問先のチェコで「作業後に供給が再開されるか否かは、はっきりしない」と述べ、暖房需要が高まる冬に向け、備蓄を急ぐ方針を示した

  ガスプロムは先月、ノルドストリームの設備改修を理由に、ガス輸出の6割削減を発表したばかり。相次ぐ供給削減に対し、独政府は「ガスを政治的武器にしている」と警戒している。
  ロシアからドイツに向けてはノルドストリームのほか2本のパイプラインがあり、このうちポーランド経由は5月に停止している。ドイツはパイプラインを通じた露産ガスに長年依存し、国内に液化天然ガス(LNG)のターミナル施設がないため、供給元の多極化が難航している。

  一方、ノルドストリームをめぐり、カナダ政府は9日、対露経済制裁を一時棚上げして、修復部品の輸出を認めると発表した。ガス不足にあえぐドイツに配慮した措置で、設備改修を促す狙い目的がある。


2022.04.26-Yahoo!Japanニュース(REUTERSロータス)-https://news.yahoo.co.jp/articles/6259caac7f34c3d72fe73bceb59163e5ca0c80fd
ウクライナへの大型兵器供与に乗り出す西側、ロシアは核戦争のリスク言及

  「ウクライナは勝利を確信している。ここにいる全員がそう信じている」
  オースティン米国防長官は26日、独空軍基地で国際会議を開催。ウクライナに対する新たな軍事支援を約束し、ロシアとの戦いに自信を示した。ウクライナへの軍事支援は核戦争につながりかねないとするロシアの脅迫を一蹴した

   米政府関係者は今週、ウクライナを防衛するという従来の論点から、ウクライナの勝利によってロシアの近隣諸国に対する脅威を弱体化させるという大胆な議論へ移行させた。
   北大西洋条約機構(NATO)加盟国は最近になって、当初は供与を控えていた兵器数億ドル規模のウクライナへの引き渡しを許可。他の同盟国にも追随するよう求めている。

   変化が顕著なのはドイツだ独政府は、ウクライナからの重火器供与の要請を拒否して批判を受けていたが、今回ゲパルト自走対空砲を提供すると発表した。  ロシア政府は激怒。ロシア政府はウクライナ侵略を、同国の「非ナチス化」を目的とした「特別軍事作戦」であると一貫して主張している。
   ロシアのラブロフ外相は25日、国営テレビに出演し第3次世界大戦の可能性に言及した。
   ロシア ラブロフ外相
    「本当に(第3次大戦の)リスクは相当なものであり、私はそのリスクを人為的に高めようとは思わない。大半の人は同じ気持ちだろう。危険は深刻であり、現実であり、過小評価してはならない
    ラブロフ氏によると何としても核戦争を防ぐという原則を守るべく、ロシアは様々な努力をしているという。
    ウクライナや西側諸国はこの発言を真に受けていない。英国防担当閣外相は、発言は「虚勢」だと語った。また米国防総省のカービー報道官も、脅しに過ぎないとの考えを示した。
    一方、国連のグテーレス事務総長は26日、仲介のためモスクワを訪問した。グテーレス氏はラブロフ外相に対し、ロシア軍が包囲を続けるマリウポリから市民を避難させ、人命を守るために国連として行動する用意があると伝えた 国連 グテーレス事務総長 「国連と赤十字国際委員会、そしてウクライナとロシアの部隊が協調することで、マリウポリの製鉄所および市内から退去を望む市民を希望する場所へ避難させ、必要な人道支援を届けることを提案した」
   ラブロフ氏はロシアは外交的解決に取り組むと述べた一方、マリウポリ市内で停戦交渉を行うというウクライナ側の提案について、時期尚早だとして拒否した。



2021.12.30-熊本日日新聞-https://kumanichi.com/articles/512729
ドイツの2閣僚、北京五輪欠席-内相と外相、政府は検討中

  【ベルリン共同】ドイツメディアは29日、スポーツ行政を担当するフェーザー内相が来年2月の北京冬季五輪に出席しない考えを示したと報じた。新型コロナウイルスの感染拡大を理由に挙げ、「個人的な決断」とした。中国の人権問題に批判的なベーアボック外相も欠席を表明している。ショルツ首相は欧州連合(EU)加盟国と対応を検討中という。

  ドイツにとって中国は最大の貿易相手国で、メルケル前政権は中国に融和的な姿勢だったが、ショルツ現政権は専制主義への懸念から厳格な対中外交指針を示している。ベーアボック氏の具体的な欠席理由は不明だが「今回の五輪には絶対に行かない」と語った


2021.12.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211208-AD62RYSEVZISHIEL4LLJYQ43Q4/
メルケル首相が残した言葉の重み 8日退任
(パリ 三井美奈)

  ドイツのメルケル首相が8日、16年間の任期を終えて退任する。彼女は「危機の宰相」だった。

  最初の試練は、2011年に深刻化した欧州債務危機。ユーロ圏が沈没寸前になった。15年にはシリア内戦で難民の波が欧州に押し寄せた。2つの危機を切り抜けたメルケル氏は、欧州の恩人である。
  どちらも最大の〝壁〟となったのはドイツ国民だった。債務危機では公金でギリシャを救済することに拒否反応を示した。100万人近い難民をドイツが引き取るという構想は、メルケル氏の側近をも愕然(がくぜん)とさせた。「私たちにはできる」という同氏に励まされ、国民は難局を乗り切った

  メルケル氏には、必要と思ったとき、方針を修正する決断力がある。
  欧州連合(EU)で新型コロナウイルスが大流行すると、「他国の債務には責任を持たない」とする長年の方針を引っ込め、共同債務による7500億ユーロ(約96兆円)の復興基金を実現させた。コロナ規制では今年3月、1日で政策撤回を迫られ、「私の失敗だ。混乱を招いたことを国民におわびする」と謝罪した。11年の福島第1原発事故後には原発支持の立場を大転換し、脱原発を決めている
  政治家が「ブレる」ことは通常、信念の欠如とみなされる。だが、メルケル氏は常に「なぜ方針を変えたか」を説明した。ほぼ毎週、3分前後のインターネット動画を発信し、国民に政策を語った。06年の開始から600回以上続いた。各国首脳がツイッターで発信を競う中、あえて短文投稿は避け、自分の肉声で伝えることにこだわった。メルケル氏の真の強さは「言葉の重み」にある。

  2005年からのメルケル政権の間、日本では9人の首相、米国では4人の大統領が在任した。異例の長期政権が欧州安定の要だった。メルケル氏は国民に「ムッター(お母さん)」と呼ばれ、退任直前まで70%近い支持率を保った。
  では、なぜこの時期に去るのか。
  「メルケル後」を担うドイツの3党連立政権で、緑の党、自由民主党の2与党は共に40代の指導者が率いる。9月の総選挙でこの2党は、25歳未満の有権者の半分近い票を獲得した。物心ついて以来、メルケル首相しか知らない世代が、変化を求めている。
  16年間で世界も変わった。中国という強権国家が民主主義圏に挑戦し、軍事や経済、通信網など、あらゆる分野で競合する。しかも欧州にとって米国は、もはや頼れるリーダーではない。新しい時代、新しい指導者が必要とされている。
  民主主義は今、大揺れだ。米国は「トランプ派か否か」で分裂し、フランスは来年の大統領選を前に極右旋風が止まらない。日本も野党が脆弱(ぜいじゃく)で、有権者に政権の選択肢がない。そんな中、ドイツの政権交代は民主政治が健全に機能していることを示した。3党はいずれも、人権と国際協調を重視している。

  メルケル氏は共産圏の旧東ドイツに育った。東西冷戦崩壊後、家柄や人脈、資産なしに、たった1人でドイツ初の女性首相に上り詰め、民主主義圏の比類なき指導者になった。
  先週の退任式で政治には信頼が大切だと訴え、「みなさんには、他人の目で世界を見ることを忘れないでほしい」と話した。言うは易く、行うは難しの政治的遺言である。
(パリ 三井美奈)


2021.12.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211203-BCFY6N673FPRDGOOAYEADHXQZQ/
独メルケル首相、退任式 「欧州の顔」8日に交代

  ドイツのメルケル首相(67)退任式が2日夜、ベルリンで開かれた。欧州債務危機など数々の難題をさばき「欧州の顔」として知られたメルケル氏は、16年に及んだ任期を8日に終える。退任式で「首相として波乱に満ち、しばしば非常に困難な歳月を送った。だが同時に充実した日々だった」と振り返った。

  メルケル氏は2005年に首相に就任し、債務危機や欧州の難民危機など押し寄せる課題に安定した政治手腕で対応。民主主義や多国間主義の旗頭として各国の首脳と渡り合い、米国第一主義のトランプ前米大統領にも苦言を呈してきた。
  式典での音楽に、メルケル氏は自分が育った旧東ドイツで人気を得た女性パンク歌手ニナ・ハーゲンの「カラーフィルムを忘れたのね」などを選んだ。(共同)


2021.08.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210821-ENEF7RB6DRMV5AGWK33HB3A5FE/
メルケル独首相、人権侵害で露非難 退任控えなお強い姿勢

  【モスクワ=小野田雄一】ドイツのメルケル首相は20日、ロシアの首都モスクワでプーチン露大統領と会談し、イスラム原理主義勢力タリバンが掌握したアフガニスタンや、ロシアによる主権侵害圧力に直面しているウクライナ、人権侵害が続くベラルーシなどをめぐる情勢を協議した。

  9月に16年間務めた独首相を退任するメルケル氏にとって、長年の対話パートナーだったプーチン氏との最後の会談となる見通しだが、メルケル氏はロシアの人権侵害などを非難。別れのムードを演出せず、ロシアの強権主義と対峙(たいじ)する強い指導者像を示した

  会談冒頭、メルケル氏はプーチン氏に「これは別れを述べるためだけの訪問ではない。実務協議のための訪問でもある」と伝えた。
  会談後の記者会見でメルケル氏は、ロシアによる反体制派指導者ナワリヌイ氏の収監は容認できず、釈放を求めたと表明2014年のロシアによるクリミア併合はウクライナの主権侵害だとも指摘した。
  さらに、ベラルーシのルカシェンコ政権による欧州への攻撃的政策を強く非難するとし、ルカシェンコ政権を支援するロシアを牽制(けんせい)した。
  一方、プーチン氏はナワリヌイ氏の収監は露国内法に基づく正当なものだと主張。ウクライナに対しても「和平合意を履行していない」などと批判した。ベラルーシ情勢については「外国の干渉なしで、ベラルーシ国民自身によって内部対立が解決されるだろう」とし、欧米の対ベラルーシ制裁などを暗に批判した。

  アフガン情勢に関して、プーチン氏は、タリバンが秩序ある統治を行うよう国際社会が協調して監視していくべきだとの考えを表明メルケル氏はアフガンに残る独関係者が安全に退避できるようロシアに協力を求めたと明らかにした。


2021.07.30-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/57459ffa5206adaaa21543fbe6e083a00b843841
ドイツ、南シナ海にフリゲート艦派遣発表 8月出航

  【パリ=三井美奈】ドイツ国防省は29日、海軍のフリゲート艦「バイエルン」を8月2日、インド太平洋に向けて派遣すると発表した。中国の軍事拠点化が進む南シナ海を航行するほか、日米やオーストラリア、シンガポールとの合同訓練を予定している。

  ドイツは昨年、インド太平洋戦略を策定しており、艦船派遣には、地域の安全保障に関与する姿勢を示す狙いがある。南シナ海で中国と東南アジア諸国との領有権問題が続く中、独国防省は艦船派遣で、「価値観を共にするパートナーとともに、ルールに基づく国際秩序を守るとしている。

  発表によると、バイエルンは、北海岸の独ビルヘルムスハーヘンを出港し、来年2月まで航海を続ける。インド太平洋では合同訓練のほか、国連安全保障理事会決議に基づき、北朝鮮船の違法な「瀬取り」に対する監視活動を行う。
  寄港先には、日本や韓国、オーストラリアが列挙された。中国への寄港を検討していると報じられていたが、発表文には記されていない。
  発表に先立ち、クランプカレンバウアー国防相は今月初め、中国の魏鳳和・国務委員兼国防相とのオンライン会談で、インド太平洋へのバイエルン派遣について話した。この際、南シナ海の領有権問題で、中国の主張を退けた2016年の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判断を支持する立場を中国側に伝えた


2021.07.23-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20210723-OYT1T50019/
独洪水 総選挙争点に…発生1週間 気候変動 関心高まる

  【ベルリン=石崎伸生】ドイツ西部などを襲った洪水被害の発生から、22日で1週間となった。ドイツ、ベルギー両国の死者は計200人を超えた。今回の洪水をきっかけに、災害復旧や気候変動対策への関心が高まっており、9月の連邦議会(下院)総選挙にも影響しそうだ。

  独連邦政府は21日、建物や道路、橋などのインフラ(社会基盤)再建に向け、総額約2億ユーロ(約260億円)を拠出すると発表した。メルケル首相は22日の記者会見で、「被害の回復には根気が必要だ」と述べ、復旧作業が長期化しても、さらに予算を確保する考えを示した。
   メルケル氏は訪米を終えてすぐに被災地を訪れ、矢継ぎ早に対策を指示した。だが、メルケル氏の後継候補とみられている与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の首相候補、アルミン・ラシェット氏は存在感を示せずにいる。

   ラシェット氏は、甚大な被害を受けた西部ノルトライン・ウェストファーレン州首相を務めており、20日にはメルケル氏と共に被災地を視察した。しかし、被災地で談笑している姿が報じられると、「配慮に欠ける」と批判が噴出し、謝罪に追い込まれた。独誌シュピーゲル(電子版)が19日に報じた世論調査では、「ラシェット氏が自然災害の危機対応に適している」と答えたのは26%にとどまった。
   シュピーゲルは21日の世論調査で、各党指導者が「気候変動問題の克服に適しているかどうか」を聞いた。環境政党・緑の党の首相候補アンナレーナ・ベーアボック共同党首は56%と高い評価を得たが、経済活動と気候変動対策の両立を訴えてきたラシェット氏は26%と引き離された。


2021.03.22-ドイツ連邦共和国大使館・総領事館-https://japan.diplo.de/ja-ja/aktuelles/-/2449208
日独情報保護協定

3月22日、日独情報保護協定が署名されました。安倍前首相は、2019年2月のメルケル首相訪日時、情報保護協定締結に向けた交渉実施を表明していました。

  3月22日、日独情報保護協定が署名されました。インド太平洋地域において価値を共有する重要なパートナーである日本との協力を一層深めていくためのさらなる重要な一歩です。

  情報保護協定とは、政府が、相手国の当局や企業、また国際機関との間で保護する必要のある情報をやりとりできるようにするものです。例えばドイツは、多国間の平和活動・安定化活動等において、こうした協定を土台として他国と協力し、テロ関連等、必要な情報のやりとりを行います。また、防衛技術分野での協力の実施や、相手国に拠点があり情報保護手続を経た企業への業務発注にあたっても情報保護協定は欠かせません。

  ドイツと日本は技術立国であり、両国の情報保護協定締結により、国家安全保障に係る機微な分野やサイバー(セキュリティ)・宇宙・電磁波等保護すべき高度技術を含む将来の協力分野において協力を進める新たな可能性が開かれます。


2021.01.20-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20210120/ddm/005/070/084000c
「メルケル後」のドイツ 対話と協調の政治継続を

  メルケル独首相が今秋、退任し、世界は16年ぶりに「メルケル氏なき時代」を迎える。

  米コンサルティング会社ユーラシア・グループは今年の「世界10大リスク」の9位に、メルケル氏退任を挙げた。それほど国際情勢に与える影響は大きい
  そのメルケル氏の後継者選びが始まった。中道右派の与党、キリスト教民主同盟(CDU)は新党首に、西部ノルトライン・ウェストファーレン州のアルミン・ラシェット州首相を選んだ。新党首は首相後継の有力候補となった。
  CDUは連邦議会で、南部バイエルン州を地盤とする姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)と統一会派を組んでいる。両「同盟」は今春、首相統一候補を決め、9月26日の連邦議会選挙に臨む。
  ラシェット氏カリスマ性を欠き、国民の人気は高くない。だが、党内左派でメルケル路線の後継者と目されており、CDUは今回、政策の継続を優先し、ラシェット氏を選んだ。
  首相候補にはCSUのゼーダー党首やCDUの若手、シュパーン保健相を推す声もある。
  1990年の東西独統一以降、首相に就いたのはコール、シュレーダー、メルケルの3氏だけだ。ドイツ政治は長期的に安定することで、欧州や世界の秩序維持に寄与してきた。
  メルケル氏は2005年に首相に就くと、前政権で悪化した対米関係を改善し、07年には欧州連合(EU)基本条約のとりまとめに指導力を発揮した。15年に難民の積極的受け入れを表明したことで批判を浴びたが、コロナ対応で再び高い支持率を維持している。

  国内では、左派「緑の党」、右派「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持が徐々に強まり、両者をつなぐ中道政党の重要性は高くなっている。
  英国が昨年、EUから離脱し、欧州の安定にドイツの貢献は欠かせない。米国の新政権誕生に伴い、トランプ大統領によって悪化した欧米関係の改善でも、ドイツへの期待はこれまでになく高い。
  誰が後継者になろうとも、新指導者にはメルケル氏が重視した、対話と協調路線を引き継いでもらいたい。それが国際社会のリスク回避につながる。



2020.12.15-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201215/wor2012150033-n1.html
ドイツ国防相、インド太平洋への軍艦派遣を表明

  【パリ=三井美奈】ドイツのクランプカレンバウアー国防相は15日、岸信夫防衛相とのオンライン対談で、独連邦軍の艦船を来年、インド太平洋に派遣する方針を表明した。南シナ海での中国の強引な権益拡大をけん制するため、「自由で開かれたインド太平洋」に協力する姿勢を明確にした。
  ドイツは戦後、欧州域外での軍事作戦には慎重な姿勢をとっており、軍艦派遣は極めて異例の決定となる。クランプカレンバウアー氏は、インド太平洋で自由な海上交通路を守ることは欧州に直結する問題だと指摘。中国を念頭に「安全保障の野心追求のため、他国に負担を押し付けるべきではない」と述べた。ドイツ海軍将校の派遣などを通じて、日本など友好国との防衛協力を進める意欲も示した。岸氏は「強く支持する。緊密に連携したい」と述べ、ドイツの方針を歓迎した。
  ドイツは今年9月、「インド太平洋の政策ガイドライン」と題した戦略文書を発表。海洋秩序の維持に貢献する方針を掲げ、日本やオーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化を打ち出していた。欧州では、フランスが2018年にインド太平洋戦略を策定し、今年になってドイツ、オランダが続いた。
  クランプカレンバウアー氏は、「政治経済の中心は大西洋からインド太平洋にシフトしている」と述べ、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)による関与の重要性を主張した。英国とフランスはインド太平洋で「航行の自由」作戦を行っており、英独仏の欧州3カ国が軍艦派遣で足並みをそろえることになる。


2020.9.4-東京新聞 TOKYO WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/article/53046/
独政府「野党指導者に神経剤使用」 ロシアと欧州、対立の火種に

  【モスクワ=小柳悠志、ベルリン=近藤晶】旅客機内で重体となり、ドイツで治療中のロシア民主派野党指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏(44)について、ドイツ政府は2日、旧ソ連が極秘開発した神経剤ノビチョクと同系統の毒物が使われた証拠が示されたと発表した。プーチン政権の関与を疑う声も強まっており、ロシアと欧米間の火種となるのは必至だ。
◆メルケル首相「ナバリヌイ氏を黙らせるための犯罪」 
  ドイツのメルケル首相は2日、会見で「ナバリヌイ氏を黙らせるための犯罪」と非難。ノビチョクは2018年、英国で起きたロシアの元情報機関員スクリパリ氏と娘の暗殺未遂で用いられ、英国のジョンソン首相も真相解明をロシアに要求した。
   米国やウクライナからはロシアに対する制裁を求める声が早くも続出。ロシア産天然ガスをドイツに送るパイプライン「ノルドストリーム2」の建設計画への悪影響も予想される。
ロシア政府は強く関与否定
  ロシア政府は「そもそも明確な証拠がドイツから示されていない」(外務省情報局長)と関与を強く否定。一方、ナバリヌイ氏が率いる民主派組織の幹部は「製造が世界で禁じられ、薬局で買えないノビチョクが使われた。プーチンの仕業だ」と独立系メディア「メドゥーザ」に語った。
  ロシアの非政府組織「国際問題会議」のアンドレイ・コルトノフ氏はベドモスチ紙に「政府が今回のドイツの発表を『ウソだ』と否定し続ければ、欧州との関係悪化は避けられない」と分析している。
プーチン政権、過去にも毒物疑惑
  プーチン政権に疑いの目が向けられるのは、過去にも敵対勢力に毒物が使用されたためだ。プーチン氏に批判的なポリトコフスカヤ記者が飛行機内で茶を飲んだ直後に体調が急変したほか、ウクライナ大統領選で親欧米系候補ユーシェンコ氏も猛毒ダイオキシンによって顔が腫れ上がった。
  ナバリヌイ氏もロシア政権中枢の「天敵」として知られる。法律の知識を駆使してメドベージェフ前首相(元大統領)らの汚職疑惑を追及。ネットを通じて公表し、国内の野党勢力をまとめ上げてきた。一方で治安当局による拘束を何度も受けている。今回の体調急変も統一地方選に向けた政治活動の直後に起きており、政権の「野党つぶし」との見方が強まっている。

  ノビチョクとは 旧ソ連軍が1970年代から開発に取り組んだ軍用神経剤。神経伝達物質アセチルコリンの分解を妨げ、呼吸困難や心停止を引き起こして殺害する化学兵器と考えられている。90年代にオウム真理教が用いたサリンや、マレーシアで2017年、北朝鮮の金正男氏暗殺に使われたVXと同じコリンエステラーゼ阻害剤の一種だが、旧ソ連は何より「北大西洋条約機構(NATO)には探知できない毒物」の誕生を目指した。18年に英南部で起きた暗殺未遂で世界の注目を浴び、化学兵器禁止機関(OPCW)は昨年、規制対象にした。


2020.6.5-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200605/mcb2006050901017-n1.htm
独首相、米政権の暴行死対応に「物議醸す」と批判

  ドイツのメルケル首相は4日、公共テレビZDFのインタビューで、米国の黒人男性暴行死事件をめぐる抗議デモに強硬姿勢で臨むトランプ政権を「政治手法が非常に物議を醸している」と批判した。
  「米国第一」を掲げるトランプ大統領に対し、メルケル氏は多国間主義の重要性を訴え、折に触れてトランプ氏に批判的な立場を取ってきた。
  メルケル氏はインタビューで「人種差別は恐ろしいものだ」と強調。トランプ氏が軍部隊によるデモ制圧も辞さない姿勢を見せる中、政治の役割は人々を束ね、和解に導くことだと語った。今回の事件は「(被害者の)フロイドさんに対する殺人だ」とも述べた。
  一方、ドイツでも人種差別に基づく事件が続き、2月には極右思想に傾倒する男が移民ら9人を殺害した銃撃テロが発生、社会に動揺が広がった。
(ベルリン 共同)


2020.5.7-東京新聞 TOKYO WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020050790140217.html
<新型コロナ>独、全店舗営業再開へ 感染鈍化、正常化に軸足

【ベルリン=近藤晶】ドイツ政府は六日、新型コロナウイルスの感染の勢いが鈍化したことを受け、店舗などの営業制限を大幅に緩和すると発表した。営業が認められていた中小規模店に加え、衛生対策の徹底を条件に全店舗の再開が可能になる。
   再開の範囲や時期は各州が決めるが、欧米主要国としては早期の正常化へ向かうことになる。DPA通信によると、ベルリンでは持ち帰りや配達に限定されていたレストランが十五日から、ホテルが二十五日から再開される見通し。一部の州で再開されていた学校は段階的に範囲を拡大。サッカー一、二部リーグも五月後半からの再開が認められた。
   ただ、他者との距離を一・五メートル以上保つことや大規模集会の禁止、公共交通機関などでのマスク着用義務は六月五日まで継続。一週間で十万人当たり五十人以上の新規感染者が出た自治体には、再び制限措置を取るよう義務付けた。
   政府の感染症研究機関ロベルト・コッホ研究所によると、新規感染者はここ数日千人以下で、ピーク時の一割近くまで減少。一人の感染者が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」も流行が終息に向かう一を下回り、〇・七前後で推移している。
   ドイツでは四月二十日から売り場面積八百平方メートルまでの店舗などが営業を再開。欧州ではオーストリアがいち早く四月末で外出制限を解除し、飲食店やホテルの再開を段階的に認めた。
  (東京新聞)


2020.2.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200221/wor2002210025-n1.html
相次ぐ極右犯罪に衝撃 ドイツ銃撃、中東などの民族一掃を主張
(1)
【パリ=三井美奈】ドイツ西部ヘッセン州ハーナウで19日、2軒のバーが相次いで銃撃され9人が死亡した事件で、ゼーホーファー独内相は21日に記者会見を開き、「人種差別に基づくテロ攻撃」だったと述べた。反移民勢力が台頭する中、近年最悪の極右テロが発生したことで、国中に衝撃が広がった。
   ゼーホーファー氏は模倣犯を警戒し、モスク(イスラム教礼拝所)や駅舎、空港などで、テロ警戒を強化すると発表した。メルケル首相は20日の演説で、「人種差別という毒」の広がりに危機感を示した。
   検察は、43歳のドイツ人の男を容疑者として発表した。報道によると、容疑者は犯行前、イスラエルやアラブ諸国、インドなどの国名を挙げて民族の一掃を訴える声明を残していた。米国人向けに英語で「あなた方は秘密結社に支配されている」と訴えるビデオもインターネット上に流していたという。逃走後、自宅で遺体で発見され、自殺したとみられている。母親の遺体も自宅で見つかった。
   銃撃されたバーは中東で人気がある水たばこを提供しており、犠牲者にはクルド系移民のほか、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身者が含まれていた。ハーナウは金融都市フランクフルトの東方25キロにある。
   ドイツでは極右犯罪が近年、多発している。昨年6月には、メルケル首相の与党「キリスト教民主同盟」(CDU)の地方政治家が射殺される事件が発生した。容疑者はネオナチとの関わりが指摘された。10月には東部ハレのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)前で銃乱射事件が起き、2人が死亡した。
(2)
背景には、移民流入を受けた排外主義の広がりがある。ドイツにはシリア内戦を受けて2015年以後、100万人以上の難民・移民が流入した。ナチスやヒトラー礼賛は訴追対象だが、インターネット上ではメルケル首相の寛容な移民政策を攻撃し、極右犯罪をたたえる投稿が法をすり抜けてのさばった。
   メルケル政権は昨年秋、ネット上のヘイト(憎悪)発言取り締まりや銃規制の強化など、極右犯罪の取り締まり策を発表。先週には、イスラム教徒や政治家への襲撃を画策したとして、極右集団の12人を一斉に拘束したばかりだった。
   今回の事件を受け、ベルリンでは20日、テロ犠牲者を追悼し、極右犯罪に抗議するデモ行進が行われた。







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