原子力発電問題-1(太陽光発電他)


2024.07.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240726-KMS4M3XFSJLUJK4C7XGFGYOWK4/
敦賀2号機の再稼働困難、会社の存続問われる事態に 追加調査に望み、日本原電
(万福博之)

  日本原子力発電が会社の存続を問われる事態に追い込まれた敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査で26日に原子炉直下に活断層がある可能性は否定できないと判断され、再稼働が困難になったからだ廃炉になれば、経営が立ち行かなくなるだけに追加調査に望みをつなぐが、株主で原発の維持費用などを負担している大手電力の理解を得られるかも含め、不透明感が漂う。

  原発専業会社である日本原電昭和32年に大手電力9社や電源開発の出資で設立された。41年には日本初の商業用原発である東海原発の営業運転を始めており「原発のパイオニア」と呼ばれる。現在、敦賀2号機と東海第2原発の合わせて2基の原発があるが、いずれも再稼働できていない
  一方、令和6年3月期に純利益が前期比38%増の24億円となるなど黒字経営が続く電気を送る契約を結ぶ大手電力5社東北、東京、中部、北陸、関西)から再稼働を前提に原発の維持管理費用を「基本料金」として受け取っているからだ
  6年3月期は売上高967億円のうち944億円を基本料金で賄った。それだけに、敦賀2号機が廃炉になれば、経営への影響は計り知れない日本原電は廃炉を回避するため、何とか審査継続にこぎつけたい考えだ
  ただ、審査を続けても今回の結果を覆せるかは見通せない今後の焦点はこうした状況に大手電力がどこまで耐えられるかだ各社の株主総会では「電力供給を受けていないのに費用を負担するはおかしい」などと株主から批判の声も出る。規制委の判断を踏まえ、大手電力がどんな姿勢を示すかは日本原電の今後の経営を大きく左右する(万福博之)


2024.06.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240622-HXCRPGGZLJL7ZATJQJWJKYKGT4/
<独自>太陽光パネル価格急落 中国の生産過剰で半値 日本、依存脱却目指す

  太陽光パネルの価格が大幅に下落していることが分かった。世界市場をほぼ独占する中国の過剰生産が原因で、この1年で半値に落ち込んだ今後も供給過多は続くとみられ、さらに価格が落ち込む可能性がある。安価な中国製品は世界中に流出しているが、エネルギー安全保障の観点から中国一国に頼ることは危険で、日本は同志国と連携し脱中国依存を進める。

  日本総合研究所の調べでは、中国の太陽光パネルの平均輸出単価は今年5月時点で54・1ドルと、昨年5月の102・3ドルから半分の水準に落ち込んだ。中国の過剰生産が原因で、日本総研の野木森稔主任研究員は「多くの国の関連企業が激しい価格競争に陥っている」と指摘する。
  中国政府は近年、太陽光パネルに加え、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池の新産業を「新三様」として支援を強化補助金などを通じて供給能力を大幅に向上させたしかし不況で需要が不足して過剰生産が発生し、安価な製品が世界中に流出している。
  国際エネルギー機関(IEA)の推計では、世界の太陽光パネルの供給能力は今年末までに1100ギガワットと、総需要の3倍に達する見通しだ。
  欧州では安価な中国製品が流入し、太陽光発電事業者の事業縮小や撤退が相次ぐ。日本は約20年前から中国勢に押されてシェアを落とし、現在はほとんどのメーカーが国内生産から撤退した。 ただ、脱炭素社会を目指す日本では太陽光発電は重要な柱で、中国一国への依存は将来の安定供給に危うさをはらむ
  今月3日、日本と欧州連合(EU)のエネルギー当局は、政策協調を進める共同声明を出した。太陽光パネルについては製造時に環境や人権に配慮しているかどうかを評価する仕組みを作り、調達時に価格だけを判断材料としないよう促す。
  念頭にあるのは中国依存からの脱却だ。斎藤健経済産業相は21日の記者会見で、「エネルギー安全保障上、特定の国に依存しないサプライチェーン(供給網)構築を進めていく」と説明した。
  政府は技術や原材料で日本が先行する次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の支援を強化する。中国勢がほぼ独占する現在の太陽光パネルと同じ轍を踏まないよう日本勢が国際競争をリードすべく後押しする。


2024.05.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240508-T6OA4BLDGFD4VDKIHQGZNZRNO4/
「トリチウム検出」見出し報道に疑問 飲料基準大幅に下回り「海水から塩分と同レベル」
(奥原慎平)

  東京電力福島第1原発処理水の放出を巡り「海水からトリチウム検出」を見出しに取った一部報道に対し疑問の声が広がっている東電は7日に福島第1原発周辺の海水から1リットル当たり13ベクレルの放射性物質トリチウムを検出したが、世界保健機関(WHO)が定める1リットル当たり1万ベクレルの飲料水基準をはるかに下回る量となっているからだ。「検出下限値未満」ではなく、トリチウムが検出されたのは事実。だが、「基準を下回る」文言を入れず不安をあおりかねないタイトルに対し、SNSでは「海水から塩分を検出したレベル」など報道に対して苦言を呈すコメントが相次いでいる

  「13ベクレルは飲料水として問題がない基準もはるかに下回っている。安全性に問題がないという客観的事実を報じてほしい。検出だけを報じるのは報道ではないと思う」

  自民党の細野豪志元環境相は8日、産経新聞の取材にこう語った。
  福島第1原発で発生する汚染水は多核種除去設備(ALPS)で浄化処理され、大半の放射性物質を取り除かれるが、トリチウムは除去できないこのトリチウム水は海水で100倍以上に希釈され、国が定めた排水基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満に濃度を薄めた後、海に流される。
  そもそもトリチウムは自然界に広く存在し、体内にも微量ながら含まれている。国外の原発施設周辺で人体や環境に与える影響は確認されていない。一部報道の見出しを巡っては、X(旧ツイッター)上で風評被害を懸念する声もある。
  電力、エネルギー、環境問題について情報発信するアカウント「分電でんこFC」は8日、Xで「だから何といいたいようなタイトルです。福島が危険であるといいたいのでしょうか。だとしたらこの記事は風評加害です」と指摘した。
  自民党の小野田紀美参院議員も8日にXで「タイトルが本当に風評加害で悪質なんよ…」と投稿し、自民党の渡辺康平福島県議も8日、Xで「海水に塩が混ざっていたレベルの報道ですよ」と書き込んだ。
  原発事故に伴う風評被害の実態を取材する福島在住のジャーナリスト、林智弘氏も8日にXで「『海水から塩分検出!』というのと同程度なんだが」と苦言を呈し、福島県鮫川村で農業を営む阿久津修司氏も8日にXで「海水にトリチウムないとでもいうのか。イチャモン付けるためだけの非常に悪質な報道です。福島県は厳重に抗議すべき」と非難した。
  あるネットユーザーが生成AI(人工知能)「チャットGPT」に作成させた、記事内容に適切なタイトルは「トリチウム検出 基準下回る」だった。
(奥原慎平)


2024.05.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240502-7B5T2CGCHNC3NPQUJCS7XDVJ6M/
脱炭素「中国抜き」でやれるのか 太陽光パネルで欧州ジレンマ、産業界は悲鳴
(三井美奈)

  再生可能エネルギーの普及を目指す欧州連合(EU)が4月、中国製の太陽光パネル流入に対抗し、不正競争の疑いで調査に入った。EU域内の環境産業を守る狙いあるが、「太陽光発電の普及には安価な中国製は必要」の声も根強く、ジレンマに立たされている

米国、インドの保護策でしわ寄せ?
  調査はEU欧州委員会が4月3日に開始した。中国2社が国家補助金を受けてEU市場に参入し、競争をゆがめた疑いがあるとしている
  担当のブルトン欧州委員は「太陽光パネルはEUにとって戦略的な重要物資だ」と述べ、経済安全保障の重要性を強調した。EUは中国政策で「リスク軽減」を掲げ、供給網の依存脱却を目指している
  EUでは太陽光パネルや素材のうち、中国製のシェアが9割を占める。欧州の業界団体代表は2月、「政治が手を打たなければ、数カ月で大半の企業がつぶれる」と対応を求めていた。
  「エコ先進地」として有名なドイツでは、太陽光発電大手マイヤー・ブルガーが工場閉鎖を表明した。500人の雇用喪失になる。同社は声明で、中国の過剰生産品が世界市場にあふれ、米国やインドが国内産業保護に動く中、欧州が受け皿にされていると警告した。
  EUは温室効果ガス排出量を「実質ゼロ」にする環境技術で、2030年までに製造シェアを40%にする目標を掲げる。太陽光発電は、その柱のひとつ。フランスのルメール財務相は4月初め、国内のパネル大手に対する補助金支給を発表し、「国産推進に向けて汗をかく」と述べた。ドイツも新たな補助金を検討。国内産業の保護に動く。
ロシア産ガス高騰で、新設100万件
  「中国リスク」に警戒が高まる一方、安価な中国製のおかげで太陽光発電が飛躍的に普及したという現実もある。
  EUでは22年、ロシアのウクライナ侵略で対露エネルギー禁輸を発動した結果、ガスと電気価格が急騰した。これが契機となって住宅のベランダや駐車場に太陽光パネル設置が進展ドイツでは昨年、新規設置が22年比で倍増し、100万件に達した。中国製は独製より3割安いという。
  欧州シンクタンク「ブリューゲル」のベン・マクウィリアム研究員は、太陽光パネルでは中国リスクは薄いと指摘する。
  「太陽光パネルは供給過剰で、EUには1年分以上の在庫がある」と述べ、中国が市場独占で価格操作したり、禁輸したりしても政治的圧力にはつながらないと分析する。補助金でEU企業を支えても競争力はつかず、脱炭素化を遅らせるだけだとして、「欧州は一定量の在庫を確保しながら、光吸収効率の向上など技術開発に重点を置くべき」と訴える。
  太陽光パネルをめぐるEUと中国の貿易摩擦は2013年にも起きた。当時、EUは中国製パネルに47・7%の反ダンピング(不当廉売)課税をかけようとしたが、中国が報復を表明し、最低価格を設ける妥協策で決着した。(三井美奈)


2024.05.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240501-ZSOLVFVJZZL6BLQJR6S6SJ23GM/
太陽光発電にサイバー攻撃 機器800台を乗っ取り 身元隠し不正送金に悪用

  各地の太陽光発電施設の遠隔監視機器、計約800台がサイバー攻撃を受け、一部がインターネットバンキングによる預金の不正送金に悪用されていたことが1日、分かった。ハッカーはネット上の身元を隠すために機器を乗っ取ったとみられ、発電施設に障害が起きる恐れもあったセキュリティー企業によると、中国のハッカー集団が関与した可能性がある

  電子機器メーカーのコンテック(大阪市)によると、自社が製造した遠隔監視機器が悪用された。機器はネットにつながっており、発電施設の運営会社が発電量の把握や異常の感知に使う。コンテックは機器を約1万台販売したが、令和4年時点でこのうち約800台について、サイバー攻撃対策の欠陥があった。
  ハッカーは欠陥を突いて遠隔監視機器に侵入し、外部からの操作を可能にするプログラム「バックドア」を仕掛けた機器を操ってネットバンキングに不正接続し、金融機関の口座からハッカー側の口座に送金して金銭を窃取していた。


2024.04.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240430-WSVQSBUOEFOB5AFZMELJ567ZOM/
島根原発2号機の再稼働延期 事故で工事遅れ、12月に

  中国電力30日、8月に予定していた島根原発2号機(松江市)の再稼働を12月に延期すると発表した。2号機を巡っては昨年、廃棄物処理施設で死亡事故が起き、再稼働に必要な安全対策工事が遅れる見通しとなったことが原因という。

  島根2号機は全国で唯一、県庁所在地にある原発で、平成24年1月に運転を停止した。
  中国電によると、今年5月に完了予定だった安全対策工事は10月完了に見直した6月としていた核燃料の装塡開始も10月となり、12月に原子炉を起動し、来年1月に営業運転を再開するとした。


2024.04.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240429-AIAD3NORXBOZHPC6USDPSB5FGI/
福島第1原発処理水、海水から検出のトリチウムは下限値未満

  東京電力は29日、福島第1原発周辺で28日に採取した海水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を分析した結果、機器で検出できる下限値未満だったと発表した。東電は19日に5回目の処理水放出を開始した。


2024.04.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240418-2FOMFKHC5JJV5AGRAQIHNMOYSI/
柏崎刈羽原発7号機、燃料装填を再開 制御棒の駆動用モーターのブレーカーを交換

  東京電力17日夜、電源の不具合で一時中断していた柏崎刈羽原発(新潟県)7号機への燃料装填(そうてん)作業を、同午後11時半に再開したと発表した。制御棒を動かす駆動用モーターにつながるブレーカーを交換し、正常に動作することを確認し再開した。

  東電によると、同日午前7時10分過ぎ、7号機の原子炉に制御棒10本を挿入するため、それぞれの駆動用モーターにつながるブレーカーを入れたところ、1本の制御棒のブレーカーが落ち、モーターを動かせない状態になった。
  調査の結果、ブレーカーに異常は見つからなかったが、念のためブレーカーと周辺機器を交換し、同午後10時過ぎに正常に動作することを確認。愛媛、高知両県で震度6弱を観測した地震を受けて、同原発に異常がないことを確認したうえで、同午後11時半に燃料装填作業を再開した。


2024.04.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240417-HRB3R4OWH5IAVP46F3AWRVRYR4/
<主張>柏崎刈羽に燃料 再稼働へ国は情報発信を

  東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)7号機原子炉にウラン燃料872体をセットする装荷作業が15日から始まった。同日、原子力規制委員会の承認が得られたことを受けての作業開始だ。再稼働に向けての第一歩である。手抜かりのない実施を期待する

  3年前にも再稼働への道が開きかけたことがあった。だが、社員が他人のIDカードで原発の中央制御室に入っていたことが判明したり、テロ対策に必要な不正侵入検知用センサーの不備が明らかになったりするなど信頼性を揺るがす出来事が相次いだ。
  事態を重く見た規制委から令和3年4月、東電は事実上の運転禁止となる是正措置命令を受けていた。
  東電では同発電所の稲垣武之所長以下、全所員や協力企業のコミュニケーションの円滑化などの改善策に取り組んだ結果、規制委によって是正措置命令が解除され、原発事業者としての東電の「適格性」も認められた。昨年末のことだ。ようやく実現した燃料装荷には約2週間を要する見通しだ。その後、制御棒の機能確認など原子炉の健全性確認を行う。こうした東電側の技術的手順は確定しているが、見通せないのが新潟県の同意である。
  同原発が立地する柏崎市と刈羽村は首長も議会も再稼働に同意済みだが、花角英世知事は判断を保留したままなのだ。7号機の再稼働は地元の活性化だけでなく福島第1原子力発電所の廃炉促進にもつながる。火力発電の燃料費低減で東電に年額1100億円の収益改善をもたらすからだ。
  花角氏には国家レベルでのエネルギー安全保障までを視野に入れての総合的な判断を求めたい。能登半島地震の道路寸断などで大事故時の避難について懸念しているようだが、原発の安全対策は新規制基準への対応で、福島事故前に比べて格段の厚みを増している。
  放射性セシウムなどによる周辺地域の放射能汚染を大幅に低減させるフィルター付きベントも完備しているではないか。政府は人々の不安解消につながる、こうした安心情報の発信に力を入れるべきである。
   東電には7号機に続く6号機再稼働への準備を入念かつ遅滞なく進めるよう注文したい。


2024.04.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240415-XOOESZDIKNI77DJVEZAHJMJQHM/
仙台市のメガソーラーで火災、消防車20台以上が出動 けが人はなし

  15日午後1時40分ごろ、仙台市青葉区の大規模太陽光発電所(メガソーラー)で「煙が上がっている」と、管理会社から119番通報があった。市消防局によると、太陽光パネルや下草が焼けたが、けが人はいない。消防車20台以上が出て消火に当たった。

  宮城県警によると、現場は「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」。近くにゴルフ場がある。


2024.04.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240408-WIQC4V6KINLUFDMGTCJS2LTLOM/
離島を覆う太陽光パネル152万枚 「日本一」のメガソーラー本格着工へ 長崎・宇久島

  長崎県の五島列島・宇久島(うくじま)と隣の寺島(いずれも佐世保市)で計画中の国内最大級の大規模太陽光発電所(メガソーラー)が、令和7(2025)年末の運転開始を目指し5月末にも本格着工する。完成すれば両島の面積の1割超は太陽光パネルに覆われる。地元では景観の悪化や土砂崩れの発生を懸念する声も上がっている。

島の1割がパネルで
  計画は「宇久島メガソーラーパーク」事業で、京セラや九電工などが計約500億円を出資する事業目的会社「宇久島みらいエネルギー」(同市)が、約1500億円を資金調達して宇久島と寺島にメガソーラーを建設する。
  同社によると、両島の面積計約26平方キロの約3割を占める事業用地のうち、約2・8平方キロに太陽光パネル152万1520枚を設置するといい、両島の面積の1割以上がパネルで覆われることになる。
  年間発電量は51・5万メガワット時で、一般家庭17万3千世帯分に相当するとし、電力は本土との間に延長約64キロの海底ケーブルを敷設して九州電力へ売電する。住民説明会資料は「日本一の規模を誇る」とうたっている。
公的アセスなし
  計画を巡っては、住民団体の全国組織「全国再エネ問題連絡会」と地元住民団体「宇久島の生活を守る会」が2月、県と佐世保市へ公開質問状を提出。「環境面だけでなく防災の観点からも問題がある」として事業の中止を求めている
  出力4万キロワット以上のメガソーラーには令和2年から国の環境影響評価(アセスメント)が義務づけられたが、両島の事業は既に工事計画の届け出が済んでいたため対象外。また県のアセスは太陽光発電所を対象事業としていない。このため、地元市長や知事、環境相の意見を踏まえた経済産業相による勧告の機会がないまま、事業が進められている。
  また、事業地のうち0・68平方キロについて同社は4年8月と5年3月、林地開発許可の変更許可申請をしているが、県の審査結果はまだ出ていない
  同社は、自主的に環境影響評価(自主アセス)を行ったとした上で、「反対活動を行っている団体には事業者として引き続き丁寧に対応していく」としている。
  工事を担当する九電工によると、昨年11月から本格着工へ向けた住民説明会を始め、既に作業員宿舎や変電施設、寺島の仮設浮桟橋、資材置き場などの整備工事が進んでいる
  同社は「5月末か6月初めには、パネルを置く架台の設置など本格着工の見通し」としている。
初期消火は消火器で
  同事業はもともと、ドイツの開発会社と京セラ、九電工などが平成26(2014)年に計画を発表したが、2年後にドイツの会社が撤退した。
  また両島では風力発電開発の「日本風力開発」(東京)などによる大規模陸上風力発電計画も進行。風車を最大50基(出力最大10万キロワット)建てる計画で、平成26年に環境アセスの第3段階「準備書」が国に提出されている。
  同社は昨年、洋上風力発電事業を巡って衆院議員のA被告=受託収賄罪などで起訴=に多額の資金を提供したとして、前社長が贈賄罪で在宅起訴。同社は準大手ゼネコンの前田建設工業の持ち株会社「インフロニア・ホールディングス」に買収された。
  一方、メガソーラーを巡っては今年1月、和歌山県すさみ町の山林火災で太陽光発電所の発電設備が延焼したほか、3月には鹿児島県伊佐市の太陽光発電所で火災が発生、消防隊員4人が負傷するなどした。
  太陽光パネルの火災が発生した場合について、宇久島メガソーラーの事業目的会社は「島内に400カ所以上配置される変電設備付属の消火器を使って、50人ほどの保守要員が初期消火するほか、水での消火は感電リスクがゼロではないため、対策を地元消防と協議している」としている。


2024.03.27-YahooJapan!ニュ-ス(MBC南日本放送)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0dbb84223ae686e48e7beeaa28d3af42f9067f9c
【速報】メガソーラー発電所で火災 建屋で爆発…消防隊員4人けが、うち1人が顔に重いやけど 鹿児島・伊佐市
MBC南日本放送 | 鹿児島

  鹿児島県伊佐市のメガソーラー発電所27日夜、火災があり、消火活動にあたっていた消防隊員4人がけがをしました。うち1人が顔に重いやけどをしています。

  警察や消防によりますと、27日午後6時すぎ、伊佐市大口大田で「メガソーラー発電所から白煙が出ている」と、近くの住民から消防に通報がありました。 火災があったのはメガソーラー発電所内の蓄電設備が入っている建屋で、場近くにいた人によりますと、駆けつけた消防隊員が建屋の扉を開けたところ、爆発音とともに炎が上がったということです。
  この火災で、消防隊員の男性4人が救急搬送され、うち1人が顔に重いやけどをしましたが、命に別状はないということです
  (近くの住民)「最初は水蒸気が上がっているような感じだったが、家に帰ろうと背中を向けたら爆発した」 火はおよそ3時間半後にほぼ消し止められましたが、消火活動のため、現場周辺の国道268号は現在も通行止めとなっています
MBC南日本放送 | 鹿児島


2024.02.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240201-FP5KE6FJPVJHNKEGFJA4D44QJA/
「燃やせるものは何でも燃やす」 地元メディア批判でSNS大反響、安芸高田市長の狙い

  広島県安芸高田市は動画投稿サイト「YouTube」で、市公式チャンネルの登録者数が全国の自治体で最多となったと明らかにした。市によると、これまでは神戸市の19万人が最多。安芸高田市の登録者はこれを上回り、20万人を超えたという。石丸伸二安芸高田市長(41)はメディア不信を背景に注目を集める新たなタイプの劇場型首長として注目を集めているが、石丸市長は何を狙い、どうしてメディア批判を続けているのか

「恥を知れ」と議員を批判
  石丸市長は、安芸高田市出身で、京都大を卒業、三菱UFJ銀行のアナリストとして勤務していた経歴を持つ。令和元年の参院選広島選挙区をめぐる大規模買収事件で、元法相の河井克行受刑者から現金を受け取った前市長の辞任に伴う選挙戦を制し、2年8月に初当選を果たした
  政策の柱は、政治再建、都市開発、産業創出。4年6月の市議会本会議で「居眠りをする。一般質問をしない。説明責任を果たさない。『恥を知れ』と声が上がってもおかしくない」と議員を批判。議員定数を現在の16から8に削減する条例改正案(否決)を議会に提出したことなどで話題になった。
  石丸市長によると、地元紙に対する批判を始めたきっかけは3年11月の定例会見での記者とのやりとりだという。会見はこんな様子だった。記者が、市民には市長と議会の関係を「うんざりしている」人もいるとし、受け止めを尋ねた。石丸市長は、一部の声を総意のように扱っており「中立性に欠ける」と反論した。何度かやり取りが続いたがかみ合わず、記者は「この話を市長としても不毛」と発言。これ以上、市長とやりとりをする必要がない、として次の質問に移った


2024.01.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240131-3D4CJYJDZBIUBHNZUNYYC7CYNM/
火災のJERA武豊火力発電所、出力が国内最大級 発電量、一般家庭240万世帯分に相当

  31日午後3時10分ごろ、愛知県武豊(たけとよ)町の武豊火力発電所で「爆発があり黒煙が上がっている」と119番通報があった。武豊火力発電所は、東京電力グループと中部電力が折半出資する発電会社「JERA(ジェラ)」の発電所。1基当たりの出力が国内最大級の石炭火力発電で、出力は107万キロワット

  稼働している5号機の燃料は石炭と木質バイオマス。木質ペレットを混焼することで、二酸化炭素排出量の削減につながる。年間の発電量は一般家庭約240万世帯分に相当。1~4号機は既に廃止され、5号機は令和4年8月、営業運転を開始した。屋内式の貯炭場や防音壁を設置し、周辺住民に配慮している。夏の需給逼迫(ひっぱく)を避けるため、電力の安定供給への貢献が期待されていた。


2024.01.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240127-UESULLZTORLOZONJFZ5KSHBBEM/
社会科教材に「汚染水」表記 日教組集会で授業実践例を発表「放出を強行」記載も

  日本教職員組合(日教組)が札幌市で開催している教育研究全国集会(教研集会)の社会科教育分科会で、東京電力福島第1原発から放出される処理水を「汚染水」と表現する教材を使った授業実践例のリポートが発表されたことが27日、分かった。学習指導要領は教員に科学的な観点での指導を求めており、子供たちに誤解を与えかねない授業の広がりを危惧する声も上がっている。

  リポートの発表者は神奈川県の中学教員。「日本の資源・エネルギーと電力」に関する授業実践例として、福島の原発事故や廃炉工程を取り上げている。授業で使ったプリントとして、「日本政府は何をしようとしているか」との見出しで「汚染水の放出を強行」などと記載していた。
  授業では、原発の新増設などについて2つのクラスで生徒に賛否とその理由を質問。一方のクラスは賛成が5人、反対が15人。もう一方では、賛成が7人、反対が20人と報告されており、結果に偏りがうかがわれた。反対する生徒の意見には、「総理の怠慢」「首相退任してほしい。責任をとれ!」などといった政治的な内容もみられた。
  処理水は原発事故に伴う汚染水を浄化し、自然界にもあるトリチウム以外の大半の放射性物質を除去したものだ。原子力施設で生じたトリチウムを含む排水の海洋放出は欧米や中国、韓国なども恒常的に行っている
  海洋放出計画をめぐっては、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致」し、人や環境への影響は「無視できるほど」とする調査報告書を公表した。処理水を「核汚染水」と呼んで日本を非難する中国に対しても、政府は「科学的根拠に基づかない主張だ」と抗議している。
  中学校学習指導要領の解説では、放射線をめぐり「科学的に思考し、情報を正しく理解する力」の育成を求めている。被災地の風評被害などについて取材を重ねてきた福島県在住のジャーナリスト、林智裕氏は「今回の授業実践例が模範的な授業として全国に広がり、誤った認識が定着すれば、それを解消するのは難しくなる。福島の住民に対して風評や差別として向かう恐れもある」と懸念を示した。

  東京電力福島第1原発の処理水 1~3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)を冷やすための注水などによって発生した汚染水を浄化処理した水トリチウム濃度が国の排水基準の40分の1未満になるよう海水で薄めてから放出している。


2024.01.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240112-O5MJTLQU7ZL63EW7O2T63AN7WE/
<独自>ロシア漁船が福島第1原発50キロ圏内で操業 禁輸から3カ月、矛盾露呈
(大竹直樹、データアナリスト・西山諒)

  東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、日本産水産物の輸入停止措置に踏み切ったロシアの漁船が、福島第1原発から50キロ圏の日本近海で操業していることが12日、漁船に搭載された船舶自動識別装置(AIS)のデータ解析から判明した。中国と足並みをそろえる形で輸入の全面停止を発表してから16日で3カ月。禁輸措置を講じながら日本漁船と同じ海域で操業する矛盾した状況が明らかになり、専門家は「ダブルスタンダード(二重基準)の対応だ」と指摘している。

サバやイワシを漁獲
  AISを搭載した船舶の位置や操業状況を確認できる「グローバル・フィッシング・ウオッチ(GFW)」で調べたところ、昨年12月中旬以降、水産資源が豊富な北方領土周辺の海域で操業していたロシアの大型トロール漁船3隻(いずれも7千トン超)が太平洋側を南下、岩手県から宮城県にかけての沖合で操業しているのが確認された。AISは条約により、海外の港を行き来する全ての旅客船や300総トン以上の全船舶に搭載が義務付けられている。
  2隻は12月13~14日に福島第1原発から32~41キロの海域まで接近していたことも判明。サバやイワシを漁獲しているとみられる。海上保安庁関係者によると、海保も大型無人航空機などでこうした動きを捕捉。水産庁と情報を共有している。
津軽海峡を通過
  産経新聞がGFWで解析したところ、2隻はロシア・カムチャツカ地方の中心都市、ペトロパブロフスクカムチャツキーを昨年9月29日と11月3日に出港。1隻は12月3日に韓国の釜山港を出港し、日本海側から津軽海峡を抜け、北方領土周辺の海域に到達していた。
  日本とロシアは2022年12月、双方の漁船が相手国の排他的経済水域(EEZ)で行う「地先沖合漁業」を巡り、23年の操業条件を決める交渉が妥結。操業の解禁は昨年11月15日だった。
「中国に迎合」
  処理水放出開始後、中国の漁船も福島や北海道沖の北太平洋でサバなどの漁を続けている。同じ海域で漁をする日本漁船の「日本産」は禁輸しつつ、自国産は国内で流通させており、矛盾した状況が浮き彫りとなった。
  東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「ロシアの禁輸措置は中国に迎合した政治的圧力以外の何物でもない」と指摘。元第3管区海上保安本部長の遠山純司氏は「自国の漁業の実態に目をつぶり処理水放出のみ非難しているのは、国際的なバランスを欠いた恣意的な主張だ」と話している。(大竹直樹、データアナリスト・西山諒)

自動識別装置(AIS)
  船舶の種類や位置、速力など船舶の安全に関する情報を自動的に送受信し、船同士や周囲と情報交換できるシステム。沿岸の海域では乗揚げの恐れのある船舶に注意喚起でき、海難事故の未然防止が図れる。







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