原子力発電問題-1



2021.06.23-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210623/k10013099101000.html
40年超の美浜原発3号機が再稼働 原発事故後 全国初

  運転開始から40年を超えた福井県にある関西電力の美浜原子力発電所3号機が23日午前、原子炉を起動して再稼働しました。10年前の福島第一原発の事故のあと40年を超えた原発が再稼働するのは全国で初となります。

  東京電力、福島第一原発の事故のあと、国内の原発は法律で運転期間が原則40年に制限されていますが、国の審査に通ると例外的に最長60年まで運転延長が可能となります。

  運転開始から44年が経過した関西電力の美浜原発3号機ではことし4月に福井県が再稼働に同意したことを受けて原子炉の起動に向けた準備が進められてきました。
  そして、国の検査などが終わったことから23日、中央制御室で関西電力の運転員がパネルを操作して核分裂反応を抑える制御棒の引き抜きを開始し、午前10時に原子炉を起動して美浜原発3号機は再稼働しました。

  福島第一原発の事故のあと国内で40年を超えた原発が再稼働するのは全国で初めてです。
  関西電力によりますと作業が順調に進めば24日未明に原子炉で核分裂反応が連続する臨界状態に到達し、今月29日には送電を開始する見通しです。
  美浜原発3号機はこの10年間停止していたことから関西電力は起動にあたって現場の要員を通常の倍に増やしているほか、福井県や地元自治体も職員を派遣して監視態勢を強化しています。
関西電力社長「約10年ぶりの運転再開 慎重に作業」
  美浜原子力発電所3号機が再稼働したことを受けて、関西電力の森本孝社長は「全国で初めて40年を超えて運転する原子力発電所であるとともに、およそ10年ぶりの運転再開となることから、トラブルの未然防止のための総点検を実施するなど慎重に作業を進めています。引き続き安全最優先で慎重に作業を進めていきます」とコメントしています。
美浜町長「あくまで通過点にすぎず」
  美浜原発3号機が再稼働したことを受けて、原発が立地する美浜町の戸嶋秀樹町長は「再稼働はあくまで通過点にすぎず、これから必要な作業や工程を経て今後の16年間にわたる運転につながっていくので、引き続き事業者には緊張感を持って安全最優先で取り組んでいただきたい」と話しました。
福井県知事「無事起動でき安ど 安全な運転に監視を強化」
  美浜原発3号機が再稼働したことを受けて、福井県の杉本達治知事は「無事に起動できて安どしている。関西電力には安全で安定な運転に努めていただき、県としても監視を強化したい」と述べました。
  そのうえで「久しぶりに美浜町で原発が運転するので、地元経済に継続してプラスの効果が及ぶことを期待したい」と話していました。
  一方で、再稼働によって増える原発内の使用済み核燃料を搬出するための「中間貯蔵施設」について「重要な問題なので、関西電力と国が一緒になって建設候補地の確定に向けて、最大限の努力をしてもらいたい」と話していました。
原子力規制委「士気を高め よりよい姿勢で運転を」
  美浜原発3号機が再稼働したことについて、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「長期間の停止は、技術的なことだけでなく、意識などにも影響が及ぶ可能性がある。関西電力は、大飯原発や高浜原発を持っているので、経験の共有に努めて士気をきちんと高め、よりよい姿勢で運転に臨んでほしい」と述べました。
  また、運転延長を認めるかの規制委員会の審査に関連し「審査では、高経年化の影響などについて極めて厳しく見たつもりだ。ただ、年数にかかわらず、新しい炉であったとしても、原発を運用するものが高い緊張感や高い士気を持つことが必要なのは言うまでもない」と述べました。
専門家「絶対安全という保証はどこにもない」
  アメリカのGE=ゼネラル・エレクトリック社で原子炉の設計などに携わっていた佐藤暁さんは、40年を超えた原発が50基近く稼働しているアメリカでは経年劣化を検知する仕組みを重点的に整備しているといいます。
  そのうえで、日本もそうした仕組みを導入すべきだとしています。
  「例えばケーブルであれば、放射線のレベルが高いとか温度が高いとか、あるいは温度変化が激しいとかあれば、だんだんこの被覆材にヒビが入ってそういうことがあるわけですね。劣化の傾向が、例えば電気測定をやっても全然何も異常が出てこないと言う事はあります。なかなか経年劣化というのは見つけにくい現象なので、今アメリカでやっているようにデータ的な分析にも力を入れないといけない。基本は重大事故に至らしめないということが大事なところなので、事故が起こったあとの部分を強化したということで慢心してはいけない」と指摘しています。
  そのうえで、現場での検査が確実に実施されているかをきちんと監視すべきだとして「これからの20年間は絶対安全ですというような保証はどこにもない。これからやっていかないといけないのは約束された経年劣化管理を事業者が気を抜かないで実行していく。一方、規制機関がそういう事業者の活動を問題ないかというのを検査制度をもってしっかり監視していく、これ以外にない」と話しています。
運転延長の背景に”脱炭素社会とコスト”
  国や電力会社は脱炭素社会の実現やコストの点から、既存の原発についてはできるだけ長く利用していきたい考えです。
  資源エネルギー庁は、建設中を含む国内の36基の原発について、運転期間が40年の場合と60年の場合で将来、発電電力量に占める割合がどのように変化するか推計してまとめています。
  それによりますと、すでに運転延長の認可を受けている4基を除く32基がすべて運転開始から40年で運転をやめたと仮定した場合、2050年の時点で動いているのは3基のみ、発電量としては290億キロワットアワーと推定される総発電量の2%程度にとどまるとしています。
  一方、仮にすべての原発が60年まで延長して運転するとした場合、2050年の時点で動いているのは23基で、発電量は1663億キロワットアワーと総発電量の10%程度になると見込んでいます。
  政府は、3年前に策定したエネルギー基本計画で原発への依存度を「可能なかぎり低減させる」としていて、現時点で、原発の新設や増設を想定していません。
  一方で、2050年までの脱炭素社会の実現という新たな目標も掲げられ、国や電力会社にとっては、既存の原発を長く利用しようとする動きにつながっています。
再稼働反対の市民団体がデモ行進
  美浜原発3号機の再稼働にあわせて福井県美浜町では、県内外から集まった再稼働に反対する市民団体がデモ行進を行い、運転を中止するよう訴えました。
  主催者側の発表で300人余りが参加し「老朽原発動かすな」などと書かれた、のぼり旗を手に関西電力の原子力事業本部に向かいました。
  事業本部では、団体の代表者らが再稼働の中止や廃炉を求める申し入れ書を関西電力の広報担当者に手渡しました。
  主催した「老朽原発うごかすな!実行委員会」の木原壯林代表は「原発というのは万が一にでも事故を起こしてはいけない装置だ。事故が起これば取り返しがつかないので運転は中止すべきだ」と話していました。


2021.06.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210616-CNPGHVWQXZPSZHX4RT4DCW7ODU/
中国、原発燃料棒破損を発表 問題発生認める

  【北京=三塚聖平】中国政府は16日、南部の広東省にある台山原子力発電所で燃料棒の一部が破損し、冷却材の放射性物質の濃度が上昇したと発表した。海外メディアが同原発から放射性物質が漏れて周辺地域で放射線量が高まっている恐れがあると報じ、情報公開を求める海外の批判を受けて問題が起きていることをようやく認めた。

  中国は原発の拡大方針を示しているが、透明性が疑問視される事態となった。
  発表は、原発の安全管理を担当する国家核安全局が談話形式で行った。それによると、台山原発1号機の原子炉に備わっている6万本余りの燃料棒のうち、推計で5本前後が破損。軽微な破損は「よくある現象」で、設計上の許容範囲内に収まっていると説明した。
  放射性物質が漏れる事故が起きたと報じられたことには「漏洩(ろうえい)は存在しない」とし、周辺環境に「異常はない」と主張した。
  原発周辺の放射線量に関する基準値の上限を引き上げたという報道を「事実ではない」と否定。ただ、冷却材の放射性濃度に関する基準値を国家核安全局が審査して認可したと説明しており、稼働を続けるため変更を加えた可能性が残る。

  米CNNテレビは、米政府が1週間にわたって事態の評価を行っていると14日に伝えたが、その間に中国政府による公式発表はなかった。中国国営メディアは、台山原発に関する目立った報道をしていない。

  中国政府は、日本が東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を決めたことについて「不透明で無責任だ」と批判してきたが、自国の原発に関する情報公開姿勢が問われることになった。


2021.06.15-NHK.NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210615/k10013085231000.html
“中国の原発 放射性物質放出も事故ではない” 仏大手電力会社

  アメリカのメディアが中国南部の原子力発電所で「漏えいがあり放射性物質の脅威がある」と報じたことを受け、事業に参加するフランスの大手電力会社が会見し、原発からガス状の放射性物質が放出されたものの中国の規制にしたがっており、事故ではないという認識を示しました。

  中国南部広東省にある台山原子力発電所について、アメリカのCNNは14日、原発を建設しメンテナンスも請け負うフランスの企業「フラマトム」が「漏えいがあり放射性物質の脅威がある」としてアメリカ政府に協力を求める書簡を送ったと報じました。
  この発電所ではフランスの技術を採用した「ヨーロッパ加圧水型原子炉」と呼ばれる新型の原発が2基、2018年から翌年にかけて営業運転を開始しています。
  これを受けて「フラマトム」の親会社でフランスの大手電力会社EDF」が14日記者会見し、先週、運用を担う中国の会社から1基の原子炉の内部でガス状の放射性物質が漏れたことを示すデータが届いたと明らかにしました。
  これを受け中国の会社は当局の規制に従って放射性物質を外部に放出しましたが、基準の範囲内で汚染はないとしていて、EDFは事故ではないという認識を示しました。
  ただEDFによりますと同様の現象は去年も起きていて、中国側にすべてのデータを明らかにするよう求め、中国側と連携して原因を調べたいとしています。
加藤官房長官「中国側が透明性持ち説明を」
  加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「国内では、47都道府県に1か所ずつ放射線を計量するモニタリングポストを設置しているが、その計測値には変化がないとの報告を受けており、引き続き、情報収集を進め、強い関心を持って事態を注視していきたい。今回の中国における放射能漏れの報道の事実関係については、中国側が、透明性を持って早期に、国際社会に対して説明することを期待している」と述べました。



もんじゅ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  もんじゅは、日本福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構高速増殖炉である。研究用原子炉との位置付けから、商業用原子炉と異なり、文部科学省の所管となる。
  もんじゅは、MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を使用し、消費した量以上の燃料を生み出すことのできる高速増殖炉の実用化のための原型炉であり、高速実験炉常陽でのデータを基に建設された、日本で2番目の高速増殖炉である。
  もんじゅの目的は、高速増殖炉の原型炉として実用化・商用化に向けた技術開発に寄与すること、すなわち、その設計や建設・稼働の経験を通じて、高速増殖炉の発電性能および信頼性・安全性を実証することにあった。また、発生する中性子を利用した核変換技術などの研究の場としても期待されていた。
  核燃料サイクルの計画の一環であり、新型転換炉ふげんと共に開発が進んでいた。日本国政府は、高速炉開発を「国家プロジェクト」と位置付けており、国際的にも高速炉を始めとした「第4世代原子炉」の研究開発において、主導的な役割を果たしているとされた。もんじゅは、その中心となる施設であった。2011年現在、常陽及びもんじゅによって得られたデータを基にして、高速増殖炉開発の次の段階となる実証炉の設計が行われている。
  もんじゅ1995年に、冷却材金属ナトリウム漏洩と、それによる火災事故を起こしたが、事故が一時隠蔽されたことから、各所で物議を醸した。その後、運転再開のための本体工事が2007年に完了し、2010年5月6日に2年後の本格運転を目指して運転を再開した。しかし、2010年8月の炉内中継装置落下事故により、再び稼働ができなくなった。2012年に再稼働する予定であったが実現せず、2016年12月21日廃炉が正式決定された

もんじゅをめぐる訴訟
許可無効を求める裁判(詳細は「もんじゅ訴訟」を参照)
  もんじゅの原子炉設置許可について、周辺住民32人が国(経済産業大臣)による設置許可の認可を無効とすることを求めた行政訴訟(1985年提訴)が争われ、2003年1月27日には名古屋高等裁判所金沢支部がもんじゅの設置許可処分が無効であることを確認する判決を一度下した。その後の2005年5月30日、最高裁判所は「国の安全審査に見過ごせない過誤や欠落があったとは言えず、設置許可は違法ではない」との判決を下し、国の勝訴が確定した。
  また、もんじゅの建設・運転の差止めを求めた民事訴訟も起こっていたが、2003年に原告が訴訟を取り下げた。
もんじゅ西村裁判
  1995年12月8日に発生した、もんじゅのナトリウム漏洩火災事故において、事故現場の様子を撮影したビデオテープの一部を隠したことが発覚し、マスコミに追及された。ビデオ隠しが判明した時期は1995年12月25日だったにも関わらず、動燃が1996年1月12日に開いた隠蔽公表の記者会見では、会見直前の「1996年1月10日」と虚偽の発言を行った
  この会見の翌日の1996年1月13日、ビデオ隠しの特命内部調査員として、マスコミ報道の矢面に立たされていた動燃総務部次長の遺体が発見された。警察発表で自殺とされ、その後、マスコミの追及は尻すぼみとなっていった。
  遺族は自殺の原因を動燃に、嘘の記者会見を強要されたためであるとして、損害賠償請求訴訟を起こしたが、2012年1月31日付けで敗訴が決定した。
ナトリウム漏洩火災事故
  もんじゅの冷却材である金属ナトリウムは、200℃以上の高温で運用されており、空気中の酸素に触れるだけで自然に発火するため、取り扱いにあたっては非常に注意を要する
  1995年、二次冷却系で温度計の破損によって金属ナトリウムが640kg±42kg(推定)が漏洩し、火災となった。この事故は国際原子力事象評価尺度ではレベル1と判定されたものの、事故への対応の遅れや動力炉・核燃料開発事業団(当時)による事故隠しが問題となった。
  この事故以来、もんじゅは運転休止状態が続き2010年まで運転を停止していた。
事故の経緯
  12月8日、もんじゅでは運転開始前の点検のための出力上昇の試験が行われた。 その後目標の熱出力43%を目指し、出力を徐々に上げていたところで事故が起きた。
  ・19時47分:二次冷却系配管室で配管のナトリウム温度計がわずかに低下、その後200℃前後まで急低下した後に480℃まで復帰してすぐに「温度高」を示した。通常480℃のところ600℃の目盛りを振切っていて、実際何度になっているか判らなくなってしまった(なお、この温度検出器は熱電対であり、断線するとオーバーレンジとなってしまうため、ナトリウムが600℃以上になったわけではない)。
  ・19時47分:火災報知器が2か所発報し、ナトリウム漏洩を知らせる警報が発報し、運転員は2次主冷却系配管室で「もやっている程度の煙」(ナトリウムエアロゾル)を確認した。その後も火災警報の範囲は広がり、ついには階を超えて発報を始めた。
  ・20時00分:火災警報機が14ヶ所発報した時点で、運転員らは異常時運転手順書「2次主冷却系のナトリウム漏洩」に従い原子炉の停止を決定、原子炉の出力を徐々に落とし始めた。
  原子炉を急激に停止させる「緊急停止」は炉に負担をかけるため、炉を保護する為に緩やかな出力降下を目指した。その後、非常に大きなベル音が連続して鳴動するため、 運転操作の妨げになるとしてベルの停止操作を行った。そのため、別の火災報知器がさらに発報していることに気づくのが遅れた。
  ・20時50分:運転員が現場で白煙の増加を確認。
  ・21時20分:事故発生から1.5時間後、火災警報器が34か所発報にも及んだ時点で、事態を重く見た運転員らが手動で原子炉を緊急停止させた。充満した白煙と高温により、防護服を着用しても現場に立ち入ることは困難で、被害状況は全くつかめなかった。しかし、原子炉停止後も火災報知器の発報は続き、最終的には66か所に及んだ。
  ・22時40分:二次冷却系Cループ配管内のナトリウムの抜き取り操作を開始した(9日0時15分終了)。
  ・23時13分:二次冷却系Cループ配管室及び蒸気発生器室の換気空調系が停止。
  翌日午前2時、事故現場に立ち入り状況を確認したところ、高融点鋼鉄製の床が浸食され、さらにナトリウムが周囲にスプレー状に飛散していた。なお、漏洩した金属ナトリウムは二次冷却系のもので、放射能漏れは無かった。
事故後の対応
  事故後の記者会見は、もんじゅのプレスセンターで行い、動燃は事故当時撮影した1分少々のビデオを公開した。しかし数日後、これがカット編集されたビデオであることが発覚し、マスメディアに指摘を受けた動燃は未公開部分を順次公開した。ビデオを公開しなかったことに関する報道により、一旦収束しつつあった事故に関する報道が再び増加し、問題を長期化させた。
  その中で報道の矢面に立たされた動燃総務部次長が死亡し、死因は自殺とされた。

事故の原因
  事故から1か月経った1996年1月8日未明、前夜から行われていた漏洩箇所のX線撮影により、ナトリウム漏洩の明確な原因が明らかになった。それまで最も有力だったのは、ナトリウムの温度を測定する熱電対温度計の収めてある「さや(ウェル)」と配管の接合部の破損であった。「さや」は、ナトリウムの流れる配管の中に棒状に突出しており、直径3.2mmの温度計を保護する役割を果たしていた。この「さや」は頑丈に作られており、ナトリウムの流速程度の機械的負荷で折損するとは考えにくかったため、破損箇所があるとするなら接合箇所だろうと考えられていた。
  事故当時の朝日新聞の報道によれば、ある納入業者の零細企業の商店主が、ナトリウム冷却装置の肉厚が均等過ぎる為、早期に装置の罅割れ・破断が起きるのと警告をしていた。温度計を装着する為に穴を空けて貫通した部分の肉厚をそれ以外よりもぶ厚くしないと、破損事故が起きるのは間違いないと指摘をしていた。業者の意見も聞いてみたらどうかというのが、朝日新聞の記者の当時の意見があった。その零細企業の店主の意見はその後も、全く採用されることもなかった。肉厚は均等にしておかないと、固有振動が起こって、却って装置全体の共鳴などの厄介な事態が起こって、それこそ炉全体が遣られてしまうだろう。酷い振動が起こり、寿命も短くなると言って、完全に無視しているのだ。将来はこの点で炉が破滅するだろうというのが朝日新聞の論評であった。
  しかし、X線写真によれば「さや」の先端は途中のくびれ部分から完全に折損しており、中の温度計は45度ほど折れ曲がった状態で管内にむき出しになっていた。日本原子力研究所が調べたところ、ナトリウムの継続的な流れにより「さや」に振動が発生、徐々に機械的強度が衰え、折損に至ったことがわかった。
  さらに、火災報知器が広範囲で発報した理由として、ファン付きの換気ダクトによって白煙の拡大を招いていたからであったことが明らかになった。直径60cmのナトリウム管路の下方に、直径90cmの換気ダクトがある。事故当時、換気ダクトのファンは作動したままになっていた。原子炉停止後ナトリウムの抜き取り作業が進み、ナトリウムの液位が下がったことでようやく自動停止した。
  また、管路周辺にスプレー状にナトリウムが飛散していた事も予測できない事態であった。高速増殖炉では金属ナトリウムは加圧されていないため、スプレー状に飛散するほどには勢いよく噴出しない。しかも、問題の配管は全て保温材で覆われており、仮に管内が多少加圧されていても、スプレー状の飛散には至らないはずである。調査の結果、換気ダクトのファンに付着したナトリウムが遠心力で周囲に飛散していたことがわかった。
  事故発生直後、運転員はゆるやかな出力降下による原子炉停止を行っていたが、これは運転マニュアルに違反した対応だった。運転マニュアルには、火災警報が発報した場合は直ちに原子炉を「緊急停止」するように記載されていた。
停止後の経緯
  ・2005年2月6日:福井県知事の西川一誠は、それまで留保していたもんじゅの改造工事を了承した。西川は「これをもって運転再開を了承するものではない」としたが、もんじゅ反対派からは批判する声が上がった。
  ・2005年9月27日:フランス共和国が、日本に対しもんじゅの共同利用を提案した。
  ・2009年4月22日:運転再開を目指しているもんじゅでナトリウム漏れ検出器の取り付けミスなどのトラブルを多発していることに関して日本原子力研究開発機構は、経済産業省原子力安全・保安院小委員会に報告書を提出した。
  ・2010年2月10日、原子力発電所に反対する市民団体や住民運動団体が、日本原子力研究開発機構に対して「危険なもんじゅの運転再開はするな」、「万全な地震対策を」などを申し入れた。また、関西電力や日本原子力発電に対しても耐震対策の確立などを申し入れた。
  ・2010年3月:2003年から2008年の5年間にわたり、日本原子力研究開発機構から業務を請け負う地元企業数社が、敦賀市長河瀬一治や、西川のパーティー券を累計で、河瀬から222万円、西川から130万円分、それぞれ購入していたことが発覚し、運転再開の判断を巡る公平性に疑問が投げかけられる状況となった。
運転再開
  再開は4回ほど延期されたが、経済産業省原子力安全・保安院内閣府原子力安全委員会2010年3月に安全性を「妥当」と判断し、2010年4月28日に福井県知事も運転再開を了承。2010年5月6日、停止後から延べ14年5か月ぶりに運転を再開した。
  5月8日には出力0.03%で核分裂反応が一定になる臨界に達する。予定では、2011年度に出力40%に上げたのち、3段階で出力を引き上げる性能試験を3年間行うとされており、発電は2011年5月頃から開始し、本格運転に入るのは2013年4月になる見込みであった。
  再開後も性能試験中に誤警報や故障などのトラブルが頻繁に起こっており、またトラブルは大小問わず迅速に公表するように念を押されていた。だが、再開初期には公表の遅れがあったり、2010年5月10日には操作方法を熟知していない運転員による操作ミスで制御棒の挿入が中断するといったトラブルも起こっている。相次ぐ機器のトラブルや一部工程での当初計画より時間がかかり過ぎることなどに対応するため、運転資格を持つ運転員の再教育や試験担当者の増員、「運転管理向上検討チーム」の設置が発表された。
原子炉内中継装置落下事故
  2010年8月26日、炉内中継装置をつり上げ作業中に、落下させる事故が起きた。
  日本原子力研究開発機構は、2010年10月1日「落下による影響はない」として装置の引き上げ作業を続行し、同年10月4日(直後に中断)と13日に、24回の引き抜き作業を試みるものの、いずれも失敗した。
 炉内中継装置は、燃料を燃料交換時に仮置きする金属製の筒で、原子炉容器にふたをしている鋼製の遮蔽プラグの穴を通して出し入れする。直径46cm・長さ6mの2本の筒を8本のピンで縦につないだ構造で、全長12m、重さ3.3トン。下から約5メートルの部分に接合部があり、この接合部あたりで抜けなくなっていた。
  また炉内はアルゴンガスや不透明なナトリウムに覆われており、変形部分を直接目視することができず、作業は難航した。その後、以下の推移を経て2011年に装置の引き抜きに成功した。
  ・2010年11月16日、ファイバースコープ及びCCDカメラで2本の筒の接続部にギャップが発生し変形していることを確認した。
  ・2010年12月16日、復旧作業と性能試験工程を決定
  ・2011年1月28日、落下した装置を引き抜くための追加工事や試験などの復旧作業に約9億4千万円の費用がかかることがわかった。また、停止中も維持費に1日5500万円の費用がかかると報道された
  ・2011年2月14日、装置を現場で担当する燃料環境課長が福井県敦賀市の山中で自殺し、遺体で発見された。
  ・2011年6月23日、20時50分より工事を契約した東芝が引き抜き作業を開始する。
  ・2011年6月24日、引き抜きを完了した。この引き抜き作業の準備のために原子炉容器の上に機器を新設したことを受けて、撤去にかかった費用は計約17億5000万円となっている。
  ・2011年7月7日、炉内中継装置の分解点検作業を開始する。
  ・2011年7月12日、分解点検作業を終了した。分解点検の結果、炉内中継装置の全構成部品293点の回収を確認した。ここで回転ラックの「駆動軸ジョイント」部(ユニバーサルジョイント側)の平行ピン1本が切断されており、他1本の平行ピンに約8mmのずれがあること、また回転ラック軸下端部のすり傷及び回転ラック軸受台下面の縁に摩耗痕があることを原子力研究開発機構は確認した。原子力研究開発機構は破断面のレプリカを取得し、機器破片が原子炉容器内に残存していないか確認していくとしている
  ・2012年3月9日、落下事故の報告書を日本原子力研究開発機構が経済産業省原子力安全・保安院に提出
  ・2012年8月8日、中継装置の落下に係る復旧が完了
点検漏れ事件
  2012年(平成24年)11月、日本原子力研究開発機構は、保安規定に基づく機器の点検漏れが9679個あったことを原子力規制委員会に報告した。
  2013年(平成25年)2〜3月に原子力規制委員会が立ち入り・保安検査したところ、非常用発電機などの重要機器に関する更なる13の点検漏れが発覚した。これらを重くみた原子力規制委員会は、2013年5月13日、原子炉等規制法に基づき、日本原子力研究開発機構に対し、もんじゅの無期限の使用停止を命じる方針を固めた。同月17日には原子力研究開発機構理事長の鈴木篤之が引責辞任。同月30日には試験運転再開準備の停止が正式に命令された。2014年1月には、この点検漏れと指摘を受けて点検計画の内容を確認中だったにも拘らず、“見直し完了”を原子力機構が規制委員会に報告していたことが発覚した。
  2015年(平成27年)3月23日、日本原子力研究開発機構は同年9月までの運転停止解除を目指して、文部科学大臣に対して「点検漏れを発生させない体制を再構築した」とする報告書を提出した。しかし3月2日から実施していた保安検査で、ナトリウムの流れる原子炉一次冷却系の配管に関する劣化状況の検査や、補助冷却系の配管肉厚検査に不備があったことが判明し、3月25日に公表された。これらの配管は、原子炉の安全上特に重要な「クラス1」に分類されている
監視カメラ故障放置
  2014年(平成26年)9月に原子力規制庁が立ち入り・保安検査をしたところ、ナトリウム漏洩火災事故に際して設置され、2007年に運用が開始されていた監視カメラ180基のうち50基余りが故障し、映像が映らない・左右に動かない等の状態にあることが判明した。ものによっては故障から1年半以上放置されていたものもあったが、原子力機構は「故障のことは知っていたが、カメラはすでに製造が終了していて交換できなかった」としている。
MOX燃料の輸送
  もんじゅを始めとした高速増殖炉に使用されるMOX燃料は、プルトニウムを含んでいる。もんじゅのMOX燃料は、茨城県那珂郡東海村にある日本原子力研究開発機構の東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所から出荷され、常磐自動車道首都高速道路東名高速道路名神高速道路北陸自動車道を経て、福井県敦賀市のもんじゅまで貨物自動車で輸送される。
  この際テロリズムを警戒して、警備車両や警察車両が伴走するが、特別な交通規制はなく、一般の乗用車やトラックと共に高速で走行する。輸送容器(MONJU-F型)は、9mからの落下衝撃に耐え、800℃・30分の条件下に耐えうるものであるが、実際の高速道路での事故の衝撃やトンネル火災の温度は、それ以上になることが心配されている。
 ・1992年度:5回 - MOX燃料集合体120体
 ・1993年度:4回 - MOX燃料集合体85体
 ・1995年度:2回 - MOX燃料集合体48体
 ・2008年度:3回 - MOX燃料集合体38本(5月15日、16日:MOX燃料集合体 18体 / 7月17日、18日:MOX燃料集合体14体/ 12月16日:MOX燃料集合体 6体
批判
  もんじゅに対する批判は、内閣府原子力委員会が1997年に設けた高速増殖炉懇談会の席上で、事務局の手による簡易な箇条書きではあるが、公開されている。この批判意見に関して懇談会で議論がなされたが、最終的な報告書では開発継続への反対意見が付記されたものの、従来の開発推進の方向性を肯定する結論となっている。
安全性
  ・冷却材に通常の原子力発電所で使われる水の代わりに金属ナトリウムを使い、発電タービンは水蒸気作動であるため、2つの熱伝達部分をもっている。炉心の金属ナトリウムからタービン系統の水部分へは薄い蒸気発生器の壁を通じて熱伝達を行う。蒸気発生器の壁は薄いため、ピンホールが発生する可能性を完全には否定できず、ピンホールが発生してしまった場合、金属ナトリウムが蒸気発生器の水と化学反応を起こして爆発事故を起こす可能性がある。実際、イギリスで事故が起きている。
その他
  ・一部メディアでは軍事転用可能を枕詞にしたもんじゅの紹介がなされている(普通の原子力発電所に用いられる軽水炉プルトニウム燃料は240Puなどの239Pu以外の同位体の割合が高いために、原子爆弾の材料とするのは難しいが、高速増殖炉では239Puの比率が非常に高い、核兵器転用が可能なプルトニウムが生産される)。これまでに、239Pu同位体純度97.5%のプルトニウムを62kg生産している。
  ・物理学者の槌田敦は、もんじゅは軍事用プルトニウムを生産する目的で作られた軍事目的の原子炉であるとしている。槌田の主張によれば、もんじゅは建前ではウランの有効利用を謳っているが、高速増殖炉はプルトニウムを2倍にするのに理論上で90年かかる。また、使用済みの燃料に残るプルトニウムの90%は炉心にあるが、炉心のプルトニウムを完全に再処理する技術は世界になく、さらには高速増殖炉の燃焼の激しさから、さまざまな貴金属ができてしまい、それらがプルトニウムと混ざり合って硝酸に溶けないことから再処理は不可能で、90%のプルトニウムは廃棄しなければならないことから意味がないとしている。もんじゅの真の目的は、高速増殖炉を使うことで純度が高く(98%)再処理が簡単な軍事用のプルトニウムがブランケットにわずかにでもでき、これを軍事利用することで、背景として日本の核武装化を最も望んでいるのはアメリカ合衆国であり、対中華人民共和国戦略がその理由であるという。中華人民共和国は冷戦後、核戦略の対象をモスクワから南シナ海に移しており、万が一、南シナ海で事が起きた場合にアメリカが直接中国と衝突するのを避ける目的で、日本に核武装させる戦略を持っていると主張している。
反論
  ・ナトリウムの安全確保は二重三重に図られている。まず、一次系の配管は、原子炉容器の出口よりもできるだけ高い位置にしてある上、位置が低くなる原子炉容器などは、保護容器内に設置されている。よって万一ナトリウムが配管から漏れても、炉心の冷却に必要なナトリウムは確保される。次に、一次系の部屋は窒素が封入されていて、ナトリウムが漏れても燃焼しないようになっている。また、ナトリウム漏出を検出する機器があるので、ナトリウムの流出はすぐに感知できる。さらに、主循環ポンプが止まってもナトリウムが自然循環して炉心を冷却できる仕組みになっている。
  ・研究段階での経済性を実用炉と比較することは一概にはできない。そもそも、もんじゅは経済性の研究のために作られた炉ではない









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原子力発電問題-2020.1月15日~2021年5月のニュース
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