原子力発電問題-1



2021.02.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210226/k10012886431000.html
仏 80年代建設の原発 安全対策強化を条件に運転期間10年延長

  フランスの原子力安全局は、主に1980年代に建設された原子力発電所について安全対策を強化することを条件に、運転期間を10年延長し50年間とすることを認めると発表しました。

  これはフランスの原子力安全局が25日、発表しました。
  それによりますと、1970年代の終わりから80年代にかけて建設された出力が90万キロワット級の原子炉について、これまで40年間とされてきた運転期間を10年延長し50年間とすることを認めます。
  延長の条件として、核燃料が溶け落ちるメルトダウンのような重大事故が起きた際の備えを強化するとともに、地震や火災への耐性を高めることなどを求めています。
  対象となる原子炉はフランス国内に32基あり、原子力安全局はそれぞれについて必要な安全対策がとられているか10年ごとの検査で判断することにしています。
  フランス政府は、国内の原発が老朽化する中、2015年、電力に占める原子力発電の割合を70%余りから2025年には50%に引き下げる方針を示しましたが、その後、代わりとなるエネルギーの普及が進まず現実的でないとして達成の時期を2035年まで遅らせていました


2021.02.12-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/economy/news/210212/ecn2102120034-n1.html
関電40年超原発、再稼働に前進 福井県「前提クリア」と評価、中間貯蔵施設回答に

  福井県の杉本達治知事は12日、運転開始から40年を超えた関西電力の原発再稼働に関し、地元同意に向けたプロセスを進める意向を明らかにした。地元同意の条件としていた使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地選定で関電が12日、青森県むつ市の施設利用などを含めて、令和5年末までに候補地を確定させると約束したため。地元同意が得られれば、国内初となる40年超原発の再稼働に向けて前進となる。

  杉本知事は同日、県庁で関電の森本孝社長と面談。森本社長は杉本知事に対して、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が設置したむつ市の施設の共同利用案について初めて説明し、5年末までに候補地が確定できない場合、40年超原発の運転は停止すると表明した。
  杉本知事は面談後、報道陣に「(関電から)一定の回答が得られた」と述べ、地元同意の条件としていた「前提がクリアされた」と述べた。16日から始まる県議会で再稼働の議論を促す方針。
  ただ、むつ市の施設は電気事業連合会が昨年12月、各電力会社での共同利用案を示したが、むつ市の宮下宗一郎市長は反発した経緯がある。関電の使用済み核燃料の受け入れが実現する見通しは立っていない。
  関電では美浜原発3号機(福井県美浜町)、高浜原発1、2号機(同県高浜町)が40年超原発で、それぞれ安全審査に合格。地元同意を得られれば再稼働できる状況にある。
  関電はこれまで中間貯蔵施設の候補地を平成30年中に提示すると福井県と約束し、延期した経緯がある。
  12日の面談は梶山弘志経済産業相がリモートで参加し、中間貯蔵施設の選定に「官民挙げて取り組む」と述べ、福井県側に再稼働への理解を求めた。


2021.02.01-NHK NEWS WEB -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210201/k10012843351000.html
運転開始40年超 高浜原発1・2号機の再稼働 町が同意

  運転開始から40年を超える関西電力の高浜原子力発電所1号機と2号機について、地元の福井県高浜町は1日、再稼働に同意することを表明しました。新しい規制基準になって40年を超える原発の再稼働に自治体が同意するのは初めてで、今後は福井県の判断が焦点となります。

  国内の原発の運転期間は福島の原発事故後にできた新しい規制基準で、原則40年に制限されていますが、原子力規制委員会の審査に合格すると最長60年まで延長が可能で、この審査に通った福井県にある高浜原発1、2号機を巡って、地元自治体が同意するかどうかが焦点となっています。
  これについて地元高浜町の野瀬豊町長は1日、町議会に再稼働に同意すると伝えました。
  この中で野瀬町長は先週の梶山経済産業大臣とのリモート面談などで、国が安全対策などに責任を持って取り組む姿勢を確認できたなどとしたうえで「原子力の安全性や重要性、必要性を総合的に判断して再稼働を理解する」と同意の理由を述べました。
  これまでに運転期間の延長が審査で認められた原発は全国に4基ありますが、自治体が再稼働に同意するのは初めてです。
  町では近く、福井県にも同意を伝えることにしています。
  関西電力は1号機はことし3月ごろ、2号機は5月ごろの再稼働を計画していますが、福井県は同意の判断の前提として、原発から出る使用済み核燃料の搬出先となる「中間貯蔵施設」の候補地を県外に示すよう求めています。
  これに対し、これまで関西電力は具体的な候補地を示しておらず、今後、再稼働を巡っては関西電力の対応と福井県の判断が焦点となります。
市民団体「再稼働への同意 時期尚早だ」
  高浜原発1、2号機の再稼働に地元の高浜町が同意したことを受けて、反原発の運動をしている市民団体「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘代表は「関西電力は老朽化への安全対策を実施したとしているが、原子炉の一部などは新品に取り替えることができないため、老朽化によるリスクが懸念される。県が設置している専門家の委員会でも、安全性に関する判断がまだ出ていないので、再稼働への同意は時期尚早だ」と話しています。
関西電力「信頼回復に全力」
  高浜原発1、2号機の再稼働に地元の高浜町が同意したことを受けて、関西電力は「40年を超える原発の必要性や安全性を立地地域や社会のみなさまにご理解いただけるよう努めていきます。また、全社一丸となって業務改善計画を着実に実施し信頼回復に全力を尽くしていきます」とするコメントを発表しました。
運転期間40年となる原発は今後も
  原子力発電所の運転期間を原則として40年に制限する制度は、長期運転による老朽化などの弊害を避けるため、福島第一原発の事故のあと、2013年に導入されました。
  ただし電力会社が原子炉や建屋のコンクリートの劣化状況などを詳しく調べる「特別点検」を行ったうえで、原子力規制委員会による審査に合格した場合は、運転開始から40年を超えた原発も最大20年の運転延長が認められることになっています。

この制度で審査に合格したのは、これまでに関西電力の
  ▽高浜原発1号機と2号機
  ▽同じく福井県にある関西電力の美浜原発3号機
  ▽茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発の合わせて4基です。

  このほか、今後、2030年までの10年間に運転開始から40年となる原発は高浜原発3、4号機や鹿児島県にある川内原発1、2号機など7原発11基と相次ぎます。
  一方で電力各社は新しい規制基準が導入されて以降、運転開始から年数がたった原発で発電量が小さかったり、安全対策に巨額のコストが見込まれたりするものについては、廃炉の判断も行っていて、被災した東京電力の2つの原発以外に、すでに7原発11基の廃炉が決まっています。
  政府が現状で新規の原発建設を想定しないとの方針を示す中、電力各社が保有する原発の数は減少しています。
  こうした中、電力各社は今後相次ぐ運転開始から40年となる原発をどうするのか、いずれかのタイミングで方針を示す必要がある一方、地元自治体も長期運転についての判断を迫られることになります。


2021.01.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/affairs/news/210121/afr2101210012-n1.html
群馬原発避難者訴訟、2審は国の責任否定 東京高裁判決

  東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県から群馬県に避難した住民らが国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が21日、東京高裁であった。足立哲裁判長は東電とともに国の責任を認めた1審前橋地裁判決を取り消すなどし、国の責任は否定した。
  全国約30件の同種の集団訴訟で、国の責任に関する高裁判断は2例目。昨年9月の仙台高裁判決は「国は東電と同等の責任を負うべきだ」として国の責任を認めており、判断が分かれる形となった。原告側は上告する方針。
  判決理由で足立裁判長は、政府機関が平成14年に公表した地震活動の「長期評価」は学会の見解と整合しない点もあることなどから、国が大津波の発生を予見することはできなかったと認定。長期評価に基づく東電の試算を前提に防潮堤を設置するなどしたとしても、原発事故の発生は回避できなかったとした上で、「国の津波対策に関する対応に問題があったとまで認めることは困難」と結論づけた。
  一方、東電については1審前橋地裁に続いて賠償責任を認め、避難指示区域外の住民を含めた原告90人に対して総額約1億1900万円を支払うよう命じた。1審判決では、原告62人について計約3800万円の賠償が認められていた。



2020.12.24-NHK NEWS WEB -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201224/k10012783111000.html
福島第一原発2号機 燃料デブリ取り出し開始 1年程度遅れる

  福島第一原子力発電所の廃炉で最大の難関とされる「燃料デブリ」の取り出しを、国と東京電力は来年、2号機で始める予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で開始が1年程度遅れるとの見通しを明らかにしました。
  国と東京電力は、溶け落ちた核燃料、いわゆる「燃料デブリ」の最初の取り出しを来年2号機で始めるため、イギリスでロボットアームの開発を行ってきました。
  しかし、新型コロナウイルスの感染拡大でイギリスでの試験が行えないなど開発が遅れ、来月予定している日本への輸送も困難な状況となっています。
  このため、国と東京電力は少なくとも1年程度、取り出しの開始が遅れるとの見通しを明らかにしました。
  ロボットは来年4月をめどに日本に運び、残りの試験を国内で行って、遅れを最小限にとどめたいとしています。

  また、今年度中に開始するとしていた1号機の格納容器内部の調査についても、配管などが入り組んでいてロボットを通すルートを作る作業が難航していることから、調査開始を来年度に延期すると発表しました。
  こうした作業の遅れについて、東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「廃炉全体の工程の遅れにはつながらないと考えている。スケジュールありきではなく、やるべきことをしっかりとやっていきたい」と述べました。


2020.12.18-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/west/news/201218/wst2012180029-n1.html
電事連が中間貯蔵施設の共同利用提案 関電の40年超原発再稼働へ前進なるか
(1)
  電気事業連合会による使用済み核燃料の中間貯蔵施設(青森県むつ市)共同利用案は、長年立地地点を決められず、福井県との約束を反故(ほご)にしてきた関西電力にとって、わずかながら前進といえる。ただ、むつ市は提案に反発。2年前に一部報道で関電の候補地とされてから同市との関係はこじれており、交渉の難航は必至だ。
  関電の森本孝社長は18日、「積極的に参画したいと考えている」と、むつ市を候補地とすることを否定しなかった。
  候補地選定は平成9年、同社の全原発が立地する福井県の栗田幸雄知事(当時)から「県外立地」を要望されて以来の課題だった。
  29年には関電が大飯原発(同県おおい町)3、4号機再稼働の条件に、翌年の候補地表明を県側に約束。ただ、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が共同運営するむつ市の施設への相乗りを検討しているとした一部報道が出ると、宮下宗一郎市長が「地元への相談がない」と反発。結局、候補地を示せず、岩根茂樹社長(当時)は福井県に謝罪、「令和2年を念頭に」と先延ばしした。
  杉本達治知事は10月、関電が再稼働を目指す美浜原発3号機(同県美浜町)、高浜原発1、2号機(同県高浜町)計3基の老朽原発に関し、地元同意の「前提」として、年内に候補地を示すよう求めており、後がない状態だった。
(2)
  今回の電力各社による共同利用案に「これで福井県への報告を何とか形にできる」(関電幹部)。2回連続の「ゼロ回答」は避けられ「最低限のハードルは越えた」と安堵(あんど)も広がる。
  むつ市との交渉は電事連が前面に立つものの、市の立地協定は東電など2社と結ばれたもので「原子力の問題は住民理解が不可欠。後からいわれて対応は簡単ではない」(市関係者)。
  また、福井県では、昨年発覚した関電役員らの金品受領問題で「地元との信頼関係は地に落ちた」(杉本知事)と批判が高まっている。来週にも森本社長が福井県を訪問する見込みだが、県側を納得させられるかも不透明な情勢だ。(岡本祐大)


2020.12.04-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/west/news/201204/wst2012040028-n1.html
大飯原発判決に地元困惑…「町の要」「経済停滞する」

  関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の原子炉の設置変更許可を取り消した4日の大阪地裁判決。提訴から8年半に及んだ判決に原告は喜びの声を上げたが、長年原発との共生を目指してきた地元では、「原発が止まれば経済が停滞しかねない」との困惑が広がった。
  「原発は町の要。止まればお先真っ暗だ
  大飯原発の地元、同県おおい町。かつて原発の誘致に尽力した元助役の男性(87)は判決に困惑を隠さない。「他の原発訴訟に影響する恐れもある。地元としては到底受け入れられない」と憤る。
  町商工会に加盟する約280社の大半が、原発関連の仕事で日々の生計を立てる。原発はいわば、地元経済の柱だ。町商工会の反(たん)田(だ)志郎事務局長は「原発停止は地元経済の停滞を意味する。安全に配慮して稼働してもらいたいのに…」と判決への不満を述べた。
  原発立地自治体などでつくる全国原子力発電所所在市町村協議会の渕上隆信会長(福井県敦賀市長)も「原子力規制委員会の判断が覆されることで立地地域に混乱が生じ、原発に対する国民の不信や不安が生じることを危惧する」とコメントした。
  大飯原発が立地する大島半島にある民宿「こすえ」ではこれまで、定期検査で遠方から訪れる作業員の宿泊を支えてきた。経営する子末とし子さん(72)は「町の人は国を潤すエネルギーを支えてきたことに誇りを持っている」と話し、「原発の運転ができなくなれば営業を続けられない店が出る」と不安を漏らした。
  一方、原告らは、法廷で許可取り消しの主文が告げられると、支援者とともに歓喜の声を上げた。
  判決後の会見で原告団の小山英之共同代表は「勝つと思って8年半やってきたのでうれしい。判決を最大限生かして全原発の停止を求めていく」と話し、冠木(かぶき)克彦弁護団長も「(地震規模の計算式の)ばらつきを考慮した初めての判決。他の原発訴訟にも大きな影響力がある。今日が全ての始まりだ」と高く評価した。


2020.12.4-西日本新聞-https://www.nishinippon.co.jp/item/o/670430/?utm_source=browsepush&utm_medium=push&utm_campaign=push
大飯原発設置許可を取り消し

  関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の耐震性を巡り、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、福井など11府県の住民ら約130人が国に対し、原発設置許可の取り消しを求めた訴訟の判決で大阪地裁(森鍵一裁判長)は4日、許可を違法として取り消した。「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」と判断した。
  東京電力福島第1原発事故を踏まえ策定された新規制基準下での原発設置許可を取り消す初の司法判断。大飯3、4号機は現在、定期検査で停止。補助参加人として訴訟に関わる関電は控訴を検討するとしている。


2020.11.11-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/201111/lif2011110010-n1.html
中間貯蔵施設が審査合格 青森で使用済み核燃料保管、原発敷地外で唯一

  原子力規制委員会は11日の定例会合で、東京電力と日本原子力発電が出資する「リサイクル燃料貯蔵」(RFS)の使用済み核燃料中間貯蔵施設青森県むつ市)が、新規制基準に適合しているとする「審査書」を決定した。施設は正式に審査に合格した。
  使用済み燃料を化学処理(再処理)して取り出したプルトニウムを燃料として繰り返し使う国策「核燃料サイクル」の関連施設で、全国の原発で使用済み燃料プールの容量が逼迫(ひっぱく)する中、原発敷地外の保管場所としては国内唯一。規制委が9月に審査書案をまとめ、一般からの意見公募などを行っていた。
  施設では東電と原電の原発で出た使用済み燃料を、空冷式の金属容器に入れて保管する「乾式貯蔵」を行い、再処理するまで最長50年間保管する計画。保管後は、日本原燃の使用済み燃料再処理工場(青森県六ケ所村)とは別に新設する再処理工場への搬出を想定していたが、新設計画は具体化していない。


2020.11.11-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201111/k10012706041000.html
女川原発2号機 再稼働への地元同意を表明 宮城 村井知事

  東北電力女川原子力発電所2号機について宮城県の村井知事は、再稼働の前提となる地元同意を表明しました。東日本大震災の被災地にある原発で再稼働に向けた地元の同意が示されるのは初めてです。

  女川原発2号機の再稼働をめぐっては、立地自治体の女川町と石巻市の議会、それに宮城県議会が再稼働を容認する判断を示していました。
  9日に県内35のすべての市町村長から意見を聞く会合が開かれたのに続いて、11日は石巻市内で村井知事、女川町の須田善明町長、石巻市の亀山紘市長の三者会談が行われ、三者は再稼働を了解することで一致しました。
  そして会談の終了後、村井知事は記者会見し、女川原発2号機の再稼働の前提となる地元同意を表明しました。
  村井知事は理由について、原子力発電は重要なベースロード電源であることや、雇用が生まれ地元経済に寄与すること、それに原子力規制委員会の新しい規制基準に合格し安全性を確認できたと判断したことなどをあげました。
  一方、事故が起きた際の住民の避難の在り方については、避難道路の整備を進め避難計画の見直しも続ける考えを示しました。
  村井知事は「福島第一原発の事故のこともあり最後まで悩んだが、東北電力や国に安全対策を要請し、立地自治体としても対策をとっていくことで、意見の一致をみた。苦渋の決断だった」と述べました。
  東日本大震災の被災地にある原発で再稼働に向けた地元同意が示されるのは初めてです。
女川町 須田町長「防災対策の取り組みが前提条件」
  女川町の須田善明町長は三者会談の終了後に行われた記者会見で、「賛成や反対の双方の住民から意見が強く出されたのが事故が起きたときの避難道路の整備だ。防災対策については村井知事からハード・ソフトの両面で継続的かつ着実に取り組むと明確に答えをいただけたのでその前提条件をもって再稼働を了解する」と述べました。 
石巻市 亀山市長「安全性や健全性確認できた」
  石巻市の亀山紘市長は三者会談の終了後に行われた記者会見で、「原発の安全性や健全性についてしっかり確認できたものとして再稼働を了解することにした。また私からは住民の不安を解消するため、事故が起きた時に住民が避難する半島部の道路などの整備や避難先となる市町村との受け入れ態勢の構築などを要望し、実施に向けた明確な回答をいただいたので再稼働を了解する」と述べました。
東北電力「安全性向上に全力で取り組む」
  東北電力は「大変重く受け止めている。女川原子力発電所2号機の再稼働に向け、引き続き発電所の安全性向上に全力で取り組むとともに、1人でも多くの方からご理解いただけるようにわかりやすく丁寧な情報発信に努めて参りたい」とコメントしています。
立地自治体の住民は
  原発が立地する女川町に住む70代の男性は「住民一人ひとりの意見も聞かず決めてしまうのはやり方が横柄ではないか。いくら安全対策をしたと言っても、絶対の安全ではないし、住民の不安は消えない。このような大きな問題は、もっと丁寧に議論すべきだ」と話していました。
  また、女川原発の立地自治体で隣接する石巻市から訪れていた70代の男性は「地元経済の活性化にとって原発がもたらす影響は大きい。基本的には再稼働に賛成で、原発が無いとこの地域は成り立たないのではないかと思う」と話していました。
原子力規制委 更田委員長「被災経験を安全対策に」
  原子力規制委員会の更田豊志委員長は「東北電力は自分たちの原発が津波や地震で被災した経験をしっかりと安全対策に生かしてもらいたい。震災の際に感じた、あの時の記憶を失わないでほしい」と述べました。
  そのうえで、女川原発が9年前に事故を起こした東京電力の福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれる型式であることに触れ、「福島第一の原発事故の経験を経て、同じ原子炉の型式である女川原発では核燃料が損傷するような重大事故の対策が取られているが、これからも東北電力には絶えず対策を考えて続けてもらいたい」と注文をつけました。
加藤官房長官「地元の理解を得られたことは重要」
  加藤官房長官は午後の記者会見で「どの発電所であっても、いかなる事情より安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の方針のもとで、地元の理解を得られたことは重要だ」と述べました。
  そのうえで「女川原発2号機については、原子力規制委員会による設置変更許可は出されているが、そのほかの再稼働に必要な法令上の手続きも続いており、引き続き東北電力が安全確保を最優先に対応していくことを期待している」と述べました。
新規制基準に合格 9原発16基
  これまでに福島の原発事故のあとにできた新しい規制基準に合格した原発は、全国で9原発16基あります。
  このうち東日本大震災で影響を受けた原発で合格したのは、宮城県にある東北電力の女川原発2号機と、茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発の2基です。
  東海第二原発は地元同意は得られていません。
  このほかの被災地の原発については、青森県にある東北電力の東通原発が規制委員会による審査を受けている状況です。
  また福島県にある東京電力福島第一原発と福島第二原発はすでに廃炉が決まっています。
地元の同意得て再稼働 5原発9基
  全国で、地元の同意を得てこれまでに再稼働した原発は、九州電力の鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、そして、佐賀県にある玄海原発3号機と4号機、関西電力の福井県にある高浜原発3号機と4号機、大飯原発3号機と4号機、四国電力の愛媛県にある伊方原発3号機の合わせて5原発9基です。
原子力防災の専門家「広域避難の在り方 地域でも考えて」
  原子力防災に詳しい福井大学の安田仲宏教授は「原子力災害が起きた場合、その影響は広範囲に及ぶことは福島の事故の教訓。その意味で広域的な避難の在り方を国任せにしないで地域でもしっかり考えることが重要だ。地震や津波などの自然災害が起きて原発の周辺から避難してきた住民に対して、受け入れる地域の自治体や住民はどのように対応するか事前にしっかりと決めておくことが求められる」と指摘しています。
  また「原則、屋内にとどまる地域の住民は、福島の原発事故の教訓から家庭などでは自然災害だけの場合よりも多いおよそ1週間分の備蓄を用意しておくことや、自分の身を守るために放射線量などの必要な情報をどう入手するかなど、ふだんから考えておくことが重要だ」と述べ、住民自身の意識や備えも大切になってくるとしています。
原発システムの専門家「常に対策の見直しを」
  原発のシステムに詳しい日本原子力学会の宮野廣さんは「女川原発は半島の先端にあってたどりつくまでの道の状況が厳しい。そして地震が多く、津波の可能性がある環境の中で、事故があったときに外部からの支援態勢を組んで、適切に行えるかが重要なポイントとなっている。きちんと対策を打っておく必要がある。『今、安全だから、ずっと安全だ』ということはない。常にさまざまな対策の見直しを行ってほしい」と指摘していました。


2020.10.16-Yahoo!Japanニュース(ABCニュース)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a2491e776b3c5aeecf672b2007a80ea104e39667
福島第一原発の処理水 吉村知事「安全基準満たせば大阪湾放出も」

  福島第一原発の放射性物質を含む水の処分について、大阪府の吉村知事は改めて、大阪湾への放出を受け入れる考えを示しました。
  福島第一原発にたまり続ける放射性物質トリチウムなどを含む水をめぐっては、2年後の夏にタンクが満杯になる見込みで、国が処分方法を検討してきました。

  国は27日にも海洋放出する方針を決定する見通しで、これについて大阪府の吉村知事は、科学的な安全基準を満たせば、大阪湾での放出に協力する考えを示しました。
  吉村知事は「科学的安全基準を満たした処理水を、大阪湾に放出する。国からの要請があれば協力すべきと思ってます」と述べました。
  海洋放出をめぐっては、以前から松井市長も大阪湾への放出の必要性について言及していて、漁業関係者などから反対の声があがっていました。


2020.10.16-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASNBJ3PW9NBJULBJ003.html
福島第一原発の処理水、海洋放出へ 政府が最終調整

  東京電力福島第一原発の敷地内にたまる処理済み汚染水の処分方法について、政府が海に放出する方向で最終調整していることがわかった。早ければ月内にも関係閣僚会議を開き、正式に決める方針だ。タンクの水を二次処理して海水で薄め、放射性物質の濃度を法令の放出基準より十分低くしてから流す準備に2年程度かかる。風評被害が懸念されており、対策を福島県などと協議していく。

  福島第一原発では、溶け落ちた核燃料を冷やした水に原子炉建屋に流入した地下水などが混ざり、汚染水が発生。いまも1日に約140トン増えている。東電はこれを多核種除去設備(ALPS)などで処理してタンクに保管しており、すでに約120万トンたまっている。東電は、現在のタンク増設計画では2022年夏ごろに満杯になるとしている。処分に必要な設備の工事や原子力規制委員会の審査に2年程度かかるとされ、今夏ごろが判断の期限とみられていた。

   処分方法をめぐっては、専門家でつくる経済産業省の小委員会が今年2月、海か大気中への放出を「現実的な選択肢」とした上で、海洋放出を「確実に実施できる」と有力視する提言をまとめている。政府は4月以降、地元自治体や農林水産業者、経済団体など関係者から7回にわたり意見を聴取。「政府が責任をもって早期に結論を出す」と繰り返していた。
   一方、風評被害を懸念する漁業者らは海洋放出に強く反発している。全国漁業協同組合連合会(全漁連)は6月に「国民の理解を得られない放出には絶対反対」と決議しており、今月15日には岸宏会長が梶山弘志経済産業相らに直接反対を伝えた。
   海に放出する場合、タンクにたまる処理済み汚染水をもう一度ALPSで処理し、トリチウム以外の放射性物質の濃度を環境中に放出してもよいとされる法令の基準値(告示濃度)を下回るまで下げる。その上でトリチウムも告示濃度よりも十分低くなるように海水で薄める。放出後も、モニタリング調査で海への影響を監視、情報を公開する。
   関係者からの意見聴取では、風評被害への賠償方針が不十分で、国内外の理解を得るための正確な情報発信も不足しているとの指摘が相次いだ。政府は、福島県や地元漁業者らと協議体を作るなどし、対策の議論を続ける方向で検討している。


2020.10.14-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASNBF7FPPNBBUNHB00G.html
女川原発再稼働、地元同意へ最終調整 宮城知事、公算大

  東日本大震災で被災した東北電力の女川(おながわ)原発をめぐり、地元の宮城県が、再稼働への同意に向けて最終調整に入った。13日、早期の再稼働を求める請願を県議会の委員会が採択し、村井嘉浩知事が再稼働に同意する公算が大きくなった。安全対策工事のめどとされる2023年にも再稼働する可能性がある。11年の大震災で被災した原発で再稼働した例はまだない。
   女川原発は同県女川町と石巻市にまたがる。その2号機(出力82・5万キロワット)について、早期の再稼働を求める女川町商工会の請願を、県議会の委員会が13日、賛成多数で採択した。地域経済のてこ入れにつながる、との判断だ。22日の本会議でも採択されることが確実だ。
   村井知事はかねて「県民の代表である県議会と市町村長の考えを県民の総意として政府に伝える」と話してきた。女川町と石巻市は再稼働に前向きな姿勢を示している。
   関係者によると、県は、県内の市町村長の意見を聞く会議を11月9日にも開く方向で調整している。再稼働に反対姿勢の首長もいるが、知事は「全体の意向」を踏まえて同意する方向だ。女川町長、石巻市長との会談も経て最終判断し、早ければ11月中にも、梶山弘志経済産業相に伝えるとみられる。


2020.9.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200916/k10012621611000.html
日立製作所 イギリスの原発建設計画から撤退決める

  日立製作所はイギリスの原子力発電所の建設計画から撤退することを決めました。海外での原発の建設によって原子力事業を手がける日本企業の収益源の確保や技術の継承を進めるという政府の成長戦略も、難しい局面を迎えています。
  発表によりますと日立は16日の取締役会でイギリス中部・アングルシー島で進められている原子力発電所の建設計画から撤退することを決めました。
  この計画をめぐって日立は、安全対策などでコストが膨らみ事業の採算性の確保が見通せないとして、去年1月、計画への参加を凍結すると明らかにしていました。
  その後もイギリス政府に対し支援の拡大を求めてきましたが、交渉が進展しないまま1年半以上がすぎ、新型コロナウイルスの感染拡大もあって資金調達が難しくなったとして、撤退することを決めたということです。
  日立では凍結の時点で関連する損失を計上しているとして、撤退に伴う今後の業績への影響は軽微だとしています。
  この計画は、海外での原発の建設によって原子力事業を手がける日本企業の収益源の確保や技術の継承を進めるという政府の成長戦略の一端を担うものとされてきました。
  しかし今回の日立の撤退によって、日本企業が手がけている海外の事業は事実上なくなるため、政府の戦略も難しい局面を迎えています。
専門家「どう技術力維持するか検討進めるべき」
  日立製作所がイギリスでの原発建設計画から撤退を決めるなど、国内メーカーの原発輸出の計画が相次いで止まっていることに関して、かつて原発メーカーで技師長を務め、原子力の技術に詳しい法政大学客員教授の宮野廣さんは「国内でも福島の事故後、新規の建設計画はない。建設に携わると、原子炉容器や制御棒など安全上重要な設備のほか、地震影響の予測計算などの技術力を磨くことができるが、その機会が減るとメーカーの技術者の力が低下していく。技術力は一朝一夕では身につかない。技術者の高齢化も進んでいて技術継承が危惧される」と述べ、国内外で原発建設の機会が減少する中、国やメーカーはどう技術を維持するか、検討を進めるべきだと指摘しています。
イギリス政府「企業や投資家と新プロジェクトを協議」
  日立がイギリスの原子力発電所の建設計画から撤退を決めたことについて、イギリス政府は16日、コメントを出し、「非常に残念なニュースだ。原子力発電はイギリスの将来のエネルギー構成で重要な役割を果たすことから、イギリスはこのプロジェクトに力を入れてきた」としています。
  そのうえで、「日立が撤退を決めた北ウェールズを含むイギリス国内で建設を望んでいる企業や投資家と新たなプロジェクトについて引き続き協議していきたい」として、原発の老朽化で課題になっている新たな原発の建設計画を進める方針を改めて強調しました。


2020.7.2-NHK 政治マガジン-https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/40833.html
古い石炭火力発電所発電量 9割程度削減へ調整 政府

  政府は、石炭火力発電の在り方を大きく見直す方針を固めました。二酸化炭素の排出が多い、古い石炭火力発電所による発電量を2030年度までに9割程度、削減する方向で調整に入りました。
  石炭火力による発電をめぐっては、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定に基づいて脱炭素に向けた取り組みが求められるなか、二酸化炭素の排出量が多いとして国際的に見直しの動きが強まっています。
  一方、国内の発電量に占める石炭火力の割合は、2018年度で31%にのぼり、主力の電源となっています。こうした中、政府は石炭火力発電の位置づけを大きく見直す方針を固めました。効率が低く二酸化炭素の排出量が多い古い方式の石炭火力発電所による発電量を、2030年度までに9割程度、削減する方向で調整に入りました。
  具体的には、電力会社が発電できる量に上限を設けて、古い発電所を休止や廃止するなどして、段階的に引き下げていく方法などが検討されています。
  一方、二酸化炭素の排出を抑えた効率がよい石炭火力発電所は新設も認めることにしています。9割程度の削減は、発電所およそ100基分にあたりますが、災害などの際に大規模な停電を防ぐためにすべてがすぐに廃止されないような仕組みも検討することにしていて、今後、有識者による会議を設置することにしています。
  こうした方針について、梶山経済産業大臣が3日にも明らかにすることにしています。
ヨーロッパなど「脱石炭」加速
  石炭火力発電をめぐっては、ヨーロッパの国などを中心に、すべての発電所の廃止を掲げる「脱石炭」の動きが加速しています。
  このうちイギリスは、2010年に28%だった石炭火力発電の割合を、2025年までにゼロにする方針を掲げています。
  フランスは、2022年までに石炭火力発電を廃止する方針のほか、2017年の時点で石炭火力の依存度が日本よりも高かったドイツも、遅くとも2038年までに廃止するとしています。
  このほかカナダは、排出される二酸化炭素を回収して地下に埋める技術が導入されていない従来型の石炭火力発電は、2030年までに段階的に廃止する方針です。
  一方、日本は石炭火力を選択肢として残しつつ、技術開発によって二酸化炭素の排出削減を目指す立場をとってきました。
  2030年に発電量に占める石炭火力の割合を26%程度と見込み、2050年に向けて効率の低い石炭火力を段階的に削減していく方針を示してきました。
日本では主力電源 見直しで削減加速か
  国内の発電量のうち石炭火力が占める割合は、2018年度は31%で、天然ガス火力の38%に次ぐ、主力の電源になっています。
  福島第一原子力発電所の事故を受けて原発の稼働が止まってからは、その割合が上昇しました。
  これは、燃料となる石炭の価格が原油や天然ガスと比べても安く、世界各地で産出されるため安定して調達できるメリットがあるためです。
  しかし、いわゆる化石燃料の中でも二酸化炭素の排出量が多いという大きなデメリットがあるため、電力会社などは燃焼温度を高めて発電効率を向上させた石炭火力発電の導入を進めてきました。
  経済産業省によりますと、高効率とされる石炭火力発電所は、全国におよそ30基あり、古い方式で効率が低いとされる発電所は、およそ110基に上ります。
  国際的に「脱石炭」の動きが強まる中、政府はこれまで新しい技術で排出量を減らす実効的な取り組みが重要だとし、具体的な計画は示してきませんでした。
  おととし改定した政府の「エネルギー基本計画」では、2050年に向けた対応として、非効率な石炭を段階的に削減するとしてきましたが、今回の見直しは、その取り組みを加速するねらいがあります。
  また、石炭火力への依存を大きく減らすことによって、今後は再生可能エネルギーや原子力も含めた長期的なエネルギー政策の見直しも課題となります。


2020.5.20-東京新聞 TOKYOU WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202005/CK2020052002000265.html
川内原発2号機、停止 テロ対策遅れ 2例目

  九州電力は二十日、川内(せんだい)原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉が停止したと明らかにした。同日午前二時半ごろに停止作業を始め、午後零時四十九分に止まった。テロ対策で設置が義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が期限の二十一日に間に合わないため。特重施設の完成遅れによる原発停止は三月に運転を止めた川内1号機に続いて全国二例目
  冷温停止状態には二十一日夜に到達予定。その後は特重施設建設と定期検査を同時に進め、来年一月二十六日の発電再開を目指す
 二基ある川内原発は両方が停止し、九電は不足する電力は火力発電で補うため、電力供給に支障がないと説明する。追加の燃料費は約二百五十億円を見込み、九電の二〇二一年三月期連結決算を圧迫するのは必至だ。
  特重施設は、東京電力福島第一原発事故を踏まえて設置が義務化された。航空機を原子炉建屋に衝突させるようなテロ攻撃が起きた場合でも、放射性物質の放出を抑えられるように離れた場所に冷却ポンプや非常用電源などを備える。
   九電によると、川内2号機での工事進捗(しんちょく)率は四月末時点で、非常用電源など機械電気関連が七割程度、土木関連は九割程度。川内1、2号機の特重施設の建設費用は計約二千四百二十億円を見込む。
   今後は関西電力高浜原発(福井県高浜町)でも、特重施設の完成が期限に間に合わないため原子炉の運転を停止予定だ。
  <原発のテロ対策施設> 原発の原子炉建屋に航空機を衝突させるテロ攻撃が起きた場合、遠隔操作で原子炉に冷却水を注ぎ込むなどして放射性物質が漏れる重大事故の発生を防ぐための施設。正式名称は「特定重大事故等対処施設」。緊急時制御室や注水設備、電源設備などを備え、原子炉建屋との同時被災を避けるために100メートル程度離れた場所などに設ける。原発本体の工事計画の認可後、5年以内に設置することが義務付けられており、現時点で整備が完了した国内原発はない。


2020.5.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012429191000.html
青森 再処理工場 「合格」後の検査に時間 原子力規制委

  13日、本格操業に必要な審査に事実上、合格した使用済み核燃料の再処理工場について、原子力規制委員会は今後、完成前に行う設備の検査などに時間がかかる可能性を示しました。
  青森県六ヶ所村の再処理工場は、原子力発電所で使い終わった核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する、国の「核燃料サイクル政策」の要の施設です。
  原子力規制委員会は6年前から事故や災害への対策が新しい規制基準に適合しているか審査を行い、13日、事実上の合格を示す審査書案を取りまとめました。事業者の日本原燃は来年度上期に工場を完成させ、2年後には本格操業に入りたいとしています。
  これについて規制委員会の更田豊志委員長は記者会見で、原発に比べ設備の数が多いなどとして、完成前に行う設計書類の確認や設備の最終的な検査にはかなりの時間がかかる可能性を示しました。
  そのうえで、「日本原燃の示した完成時期までに検査などは終わるのか」との質問に対しては、明言は避けながらも、「あと1年とちょっと。事業者の計画にコメントすべきではないが、野心的ではある。不可能とはいわないが、日本原燃にはしっかりとした準備を求めたい」と述べました。


2020.3.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200316/k10012333651000.html
川内原発1号機 運転停止 テロ対策施設 期限内に完成せず

鹿児島県にある九州電力の川内原子力発電所1号機は、国の新しい規制基準で設置が義務づけられているテロなどの対策施設が、期限内に完成しないため16日午後1時すぎに運転を停止しました。新しい規制基準に基づいて稼働中の原発が停止するのは初めてです。
  原子力規制委員会は福島第一原発の事故を教訓につくられた新しい規制基準に基づいて、テロや航空機の衝突といった緊急時に原子炉を守る施設を、工事計画の認可から5年以内に完成させることを義務づけています。
  これについて九州電力は、川内原発1号機で施設の完成が期限内に間に合わないとして、定期検査を前倒しする形で運転を停止することを決め、16日午前2時半から原子炉の出力を下げる作業を開始し、午後1時1分に運転が停止したことを明らかにしました。
  九州電力は工事を急ぎ、ことし12月までに施設を完成させて、規制委員会の検査を受けたうえで原子炉を起動したいとしています。
  原発事故のあと、7年前(2013年)につくられた新しい規制基準に基づいて稼働中の原発が、運転停止するのは初めてです。
  規制委員会は原発事故の前、当時の規制機関だった原子力安全・保安院が、津波の評価や対策に明確な期限を設けず、結果的に福島第一原発のメルトダウンを防げなかった教訓などを踏まえ、今回、期限の延長は認めず、運転停止という厳格な対応を電力会社に求めたとしています。
  全国の原発ではことし、施設の完成が期限内に間に合わないとして、川内原発2号機が5月に、そして福井県にある関西電力の高浜原発3号機と4号機も8月と10月に、それぞれ運転を停止する見通しです。


2020.2.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/economy/news/200227/ecn2002270054-n1.html
福島原発処理水の海洋放出案、IAEAが評価へ

梶山弘志経済産業相は27日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と会談した。グロッシ氏は、東京電力福島第1原発の処理水対策で協力方針を表明し、海洋などへの放出案に理解を示した。経産省は会談内容の説明の中で、「海洋や大気への放出が現実的な選択肢だ」と結論づけた政府の小委員会の報告書について、IAEAに分析、評価を依頼したと明らかにした。IAEAが妥当性を認めれば放出による処理に向け前進しそうだが、地元の反対は根強く、風評被害対策などが課題だ。
   会談でグロッシ氏は、「報告書についてスタッフがしっかりと分析している」と述べた。経産省関係者によると、今月10日、英訳した報告書をIAEAに送り、評価を依頼したという。グロッシ氏は報告書について、「科学的に記載されている。示された処分方法は技術的に可能で、国際慣例にも沿ったものだ」と感想を述べており、肯定的な評価を受ける可能性が高い。IAEAは日本政府が海洋放出をする場合、水に含まれる放射性物質などの状況をモニタリングし、情報を発信することなどで協力する方針だ。
   もっとも、政府はまだ、処理水を放出する方針を決めてはいない。漁業関係者を中心に反対が根強いからだ。梶山氏の地元である茨城県の大井川和彦知事も報告書について、「白紙の段階で検討し直してほしい」と反発。梶山氏は今月の閣議後記者会見で、「福島県、茨城県を含む関係者や団体のご意見をよくうかがった上で、風評への影響を抑える対策について結論を出していく」と、慎重に進める考えを述べていた。


2020.2.9-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/a/life/article/20200209/0001.html
「地上の太陽」核融合発電ITER、日本主導で前進

太陽が燃えるのと同じ仕組みの核融合反応を地上で再現し、発電への利用を目指す国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」計画が今年、日本主導で大きく前進する。心臓部の部品完成で5年後の運転開始が見えてきたが、技術的な壁は高く、人類の英知が試されている。
   核融合は、水素のような軽い原子核同士が合体し、ヘリウムのようなより重い原子核となる現象だ。このときアインシュタインの質量とエネルギーに関する公式から、合計の質量がわずかに減少する代わりに膨大なエネルギーが生じる。

地上に太陽を作り出す!? 夢のエネルギー・核融合の最前線
2019.9.18-TOSHIBA CLIP-https://www.toshiba-clip.com/detail/7981

人工の太陽を地上に作る――壮大なプロジェクトが進んでいる。それは、私たちが抱えるエネルギー問題、環境問題のソリューションとして期待される核融合発電だ。
  国際協力によるITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)JT-60SA(Super Advanced)などの実験炉の建設が進んでおり、日本をはじめ世界各極が連携をとって進める巨大プロジェクトとして着実に歩を進めつつある。
  火力発電のようにCO₂を排出することがなく、原子力発電よりも安全な大規模発電ができる、「夢のエネルギー」核融合発電の最先端に迫った。
燃料は無尽蔵にあり、原発よりも安全――核融合発電のしくみとは
  核融合発電とは、太陽の内部で起きている「核融合反応」を地上で再現するものだ。まずは、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下QST)で核融合発電を研究する若月琢馬氏にかみ砕いて解説していただこう。

「万物を構成する原子の中には原子核と電子があります。その原子核を高速でぶつけ合うことで、また新たな原子核が生まれます。これが核融合反応というものです。耳慣れない方も多いかもしれませんが、みなさんもこの核融合反応のエネルギーを享受しています。それは、さんさんと降り注ぐ陽の光のもと――太陽です。太陽の中では水素の原子核による核融合反応が起きていて、その熱、光が地球上の私たちに届けられています。
  太陽からも分かるように、核融合反応では膨大な熱エネルギーが発生します。その熱エネルギーを活用して行うのが核融合発電なのです。燃料に用いられるのは水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)。燃料1gで石油8トンを燃やした時と同等のエネルギーを生みだすことができます。発電の方式にも様々ありますが、少量の燃料でこれほどのエネルギーを生み出せるのは原子力発電、核融合発電をおいて他にありません」(若月氏)

原子力発電は福島第一原子力発電所の事故以来、安全性が懸念されている。しかし、核融合発電は原子力発電に比べて極めて安全性が高いという。
  「原子力発電は核分裂反応で発生する熱を利用して発電を行うものです。原子炉の中では核分裂反応が連鎖的に起こるため、制御棒などを用いて、暴走しないよう制御しながら運転をしていく必要があります。原子炉内には数年分の燃料が入っており、それを制御しながら少しずつ発電を行っていきます。
  一方核融合発電の場合は、炉の中にある燃料は核融合反応を持続させるのに必要な量だけで、供給を止めればすぐに反応は止まってしまいます。また、たとえ大量の燃料が炉内に導入されたとしても、燃料自体がプラズマ(※)を急激に冷却することで自発的に反応が止まるため、核分裂のような連鎖的な反応は起こりません。核融合発電は、原理的に暴走が起こらないしくみになっているのです」(若月氏)

(※)プラズマ:固体・液体・気体に続く物質の第4の状態。一般的に数千度以上では、どんな物質も原子核に捕捉されていた電子が自由に運動できるようになりプラズマ状態となる。核融合炉では一億度以上の高温プラズマを生成し、それを固体等の容器に触れることなく閉じ込める(保持する)必要がある。
参照:量子科学技術研究開発機構HP(https://www.qst.go.jp/site/jt60/5108.html

しかも、原子力発電で発生する高レベル放射性廃棄物にあたるものが核融合発電では発生しない。また、発電時にはCO₂を排出することがなく、クリーンなのも特徴だ。
燃料の重水素は水を電気分解することで得ることができ、実質的に無尽蔵。もう一つの燃料である三重水素(トリチウム)は自然環境から採取されているが、核融合炉の中で人工的に作ることが可能とされており、サプライチェーンの面からも懸念はない。

世界7極の技術、英知が集結するプロジェクト「ITER」とは高効率で安全性が高く、環境にやさしい上に燃料枯渇の心配もない。
  核融合発電はまさに夢のエネルギーだ。しかし、まだ開発の途上にあり、実現されていないのはなぜか――?それは、核融合炉が人類史上かつてない複雑な構造体であり、最先端技術の粋を集めて開発が進められているものだからである。たとえば、核融合では燃料になる元素の電子、原子核を分離して「プラズマ」という状態にする必要がある。そのプラズマを生成するためには真空容器が、さらに核融合反応で発電を行うにはプラズマを1億度以上に加熱する装置が必要だ。また、核融合炉では磁場を利用してプラズマを炉の中に浮かべ、安定した状態で維持する。この強力な磁場を安定して作り出すために用いられるのが超伝導体のコイルだ。
  これらの核融合関連機器は巨大でありながらミリ単位の精度を求められる。まさに、核融合炉は最先端技術の集合体とも言える存在なのだ。核融合の仕組み現在、核融合発電の実現に向けて本格化している世界的プロジェクトがITER(国際熱核融合実験炉)だ。
  日本をはじめEU、ロシア、アメリカ、韓国、中国、インドの7極が連携し、フランス南部のサン・ポール・レ・デュランスで実験炉の建設を進めている。ITER模式図  出典:文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021/005.htm)

日本が担当するのは、核融合発電で必須のプラズマを閉じ込めるために必要な強力な磁場を生成する超伝導コイルの開発・組み立てだ。QSTの梶谷秀樹氏、東芝エネルギーシステムズの石井氏に、国際プロジェクトの一端を聞いてみよう。
  「ITERでは、各極が分担してITER建設に必要となる機器を調達し、現在は2025年のファーストプラズマ(運転開始)に向けて、各機器の開発・製作を行っています。その中でも、私たちは、核融合炉において、非常に重要な機器である超伝導コイル『Toroidal Field(TF)コイル』の製作を東芝とともに進めています。

このコイルは高さ16.5m、幅9m、総重量300トンという、これまでに類を見ない巨大な構造物。しかし、私たちに求められるのは誤差数ミリ以下という製作精度です。その製作工程は多岐にわたり、工程一つとっても、非常に複雑。例えば、コイル材のニオブ3スズ超伝導線は650度の熱処理を100時間以上かけ、ようやく完成するものです」(梶谷氏)

「東芝は1970年代から核融合技術の開発に参画しています。設計段階から関わり、設計・製造の実績を重ねてきました。QSTの核融合装置JT-60(臨界プラズマ試験装置)、後継のJT-60SA建設にも携わっています。そこで投入してきた超伝導技術を磨きつつ、ITERのTFコイルでも導体を高精度で熱処理する技術、大型構造物の計測、機械加工技術などを磨き、製作に取り組んでいます」(石井氏)

物理学、理工分野とモノづくりが融合して立ち上がる新たな開発フィールド。TFコイルの組み立ては高度な次元で進む。加速器など、様々なところで超伝導コイルが導入されてきたが、これほどのスケールと精度は例を見ない。

「TFコイルの製作では、超伝導の知識はもちろん、ITERで要求されるコイル性能を達成するための電気工学や電磁気学の知識、コイル内部の冷媒の流体特性を把握するための流体力学や熱力学などの知識も求められますし、モノづくりの観点からは、各種材料の材料工学的な知見も必須。コイル組み立てに際しては高度な溶接技術や機械加工技術も求められます。各分野の高度な技術が総合的に求められるという意味で、このTFコイルは人類が初めて挑んでいる製作物ではないでしょうか」(梶谷氏)

核融合の電気が灯る日を目指し、技術の研鑽、継承は続く
ITERの研究開発を補完する役割を持ち、日本とEUが協力して開発を進めているのがJT-60SAだ。1970年代から設計・開発が進められたJT-60、80年代のJT-60Uに続く核融合実験装置である。
  核融合では燃料の元素を電離した状態のプラズマが必要だが、反応を起こすためには1億度以上のプラズマが求められる。JT-60SAは超伝導体の磁場によってプラズマを操り、高温・高圧力という理想的な環境で研究が進められるという。
  「核融合反応でエネルギーを取り出すためには、プラズマの温度・密度・閉じ込め時間という3つのパラメーターが重要になります。プラズマの密度を高めながら、より高い温度で長時間閉じ込めておけるかが現在の課題です。ITERは重水素と三重水素を用いた燃焼プラズマの実現を必ず成功させることが使命であるため、すでに高い信頼性が実証されている運転手法で実現できるプラズマの性能に基づいて設計されています。しかし、JT-60SAではより高性能なプラズマを実現するためのチャレンジングな実験が行える設計となっています。磁場に対するプラズマの圧力をより高くすることができ、実用的な核融合炉の設計に役立てる、より魅力的な実験を行うことができるのです」(若月氏)
  2020年に実験をスタートするJT-60SA。プラズマを安定させ、維持していく実験が進められれば、「発電ができる核融合炉」の足がかりになる。国際プロジェクトとして進むITERだけではなく、日本で進む先端研究に大きな期待がかかるゆえんだ。
  JT-60SAによって高度な研究が進み、2025年の運転を目指すITERの組み立ても進んでいくだろう。その先には、実際に核融合発電を行う原型炉、そして実際に送電網に電気を供給する商用炉へ続くロードマップが見える。前線で開発に携わる3人も長期的な視点に立ち、核融合技術の継承を強調した。
  物理学、理工分野とモノづくりが融合して立ち上がる新たな開発フィールド。TFコイルの組み立ては高度な次元で進む。加速器など、様々なところで超伝導コイルが導入されてきたが、これほどのスケールと精度は例を見ない。

  「TFコイルの製作では、超伝導の知識はもちろん、ITERで要求されるコイル性能を達成するための電気工学や電磁気学の知識、コイル内部の冷媒の流体特性を把握するための流体力学や熱力学などの知識も求められますし、モノづくりの観点からは、各種材料の材料工学的な知見も必須。コイル組み立てに際しては高度な溶接技術や機械加工技術も求められます。各分野の高度な技術が総合的に求められるという意味で、このTFコイルは人類が初めて挑んでいる製作物ではないでしょうか」(梶谷氏)
核融合の電気が灯る日を目指し、技術の研鑽、継承は続く
ITERの研究開発を補完する役割を持ち、日本とEUが協力して開発を進めているのがJT-60SAだ。1970年代から設計・開発が進められたJT-60、80年代のJT-60Uに続く核融合実験装置である。
  核融合では燃料の元素を電離した状態のプラズマが必要だが、反応を起こすためには1億度以上のプラズマが求められる。JT-60SAは超伝導体の磁場によってプラズマを操り、高温・高圧力という理想的な環境で研究が進められるという。
  「核融合反応でエネルギーを取り出すためには、プラズマの温度・密度・閉じ込め時間という3つのパラメーターが重要になります。プラズマの密度を高めながら、より高い温度で長時間閉じ込めておけるかが現在の課題です。ITERは重水素と三重水素を用いた燃焼プラズマの実現を必ず成功させることが使命であるため、すでに高い信頼性が実証されている運転手法で実現できるプラズマの性能に基づいて設計されています。しかし、JT-60SAではより高性能なプラズマを実現するためのチャレンジングな実験が行える設計となっています。磁場に対するプラズマの圧力をより高くすることができ、実用的な核融合炉の設計に役立てる、より魅力的な実験を行うことができるのです」(若月氏)

  2020年に実験をスタートするJT-60SA。プラズマを安定させ、維持していく実験が進められれば、「発電ができる核融合炉」の足がかりになる。国際プロジェクトとして進むITERだけではなく、日本で進む先端研究に大きな期待がかかるゆえんだ。
  JT-60SAによって高度な研究が進み、2025年の運転を目指すITERの組み立ても進んでいくだろう。その先には、実際に核融合発電を行う原型炉、そして実際に送電網に電気を供給する商用炉へ続くロードマップが見える。前線で開発に携わる3人も長期的な視点に立ち、核融合技術の継承を強調した。
  「『夢の技術』ではなく、現実に見えている技術になってきた核融合ですが、現在のところ、発電として実用化されるのは21世紀半ば、つまり2050年ごろの見込みです。そこで、この研究を加速させるためには優秀な人材が欠かせません。世界を変える研究に新しい力が入ってきてくれることを願ってやみません」(若月氏)
  「核融合技術に携わっているメンバーには『未来のエネルギーの実現に貢献したいと思う人』、そして『高度な技術を学び、新たな領域にチャレンジしていきたい人』の2タイプがいます。東芝には、ライフワークとして核融合技術に向き合ってきたベテランもたくさんいます。この資産を若い力と融合させ、息の長いプロジェクトに取り組んでいければと思います」(石井氏)
  「メーカーと協力しながら、TFコイルの製作を進めています。2021年の全TFコイル納入を目指して全力で進めていますが、やはり見据えるべきはその先にあります。東芝は若いスタッフが多く現場に投入されており、モノづくりの経験、先端技術の承継にも意欲的です。ITERは人類史上最大の国際プロジェクトであり、ここでの経験は、他では決して味わうことのできない、稀有なものです。若いスタッフは、ITERで培った経験を、是非今後に生かしてほしいと思います。私たちQSTと東芝が二人三脚で進めている技術開発、そこで得られた知見は原型炉以降の研究・開発にも発揮されていくでしょう」(梶谷氏)
  ITER、そしてJT-60SAを通して幾多の実験、研究は今後もたゆみなく積み上げられていくはずだ。研究者、技術者の熱き志の先には、人類の未来を握るエネルギーの地平が見える。


2020.2.4-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200204/k10012271631000.html
「ヨウ素剤 原発5~30キロ圏内住民にも事前配布を」環境相

原子力防災を担当する小泉環境大臣は、被ばくによる甲状腺のがんを防ぐ効果があるとされているヨウ素剤について、原発から5キロから30キロ圏内の住民にも事前配布を推進したいという考えを示しました。
  ヨウ素剤は、原子力発電所などで事故が起きた場合に服用すると被ばくによる甲状腺のがんを防ぐ効果があるとされていて、福島第一原発の事故を教訓に原発から5キロ圏内については、すべての住民を対象に事前配布することが指針で定められています。
  小泉大臣は4日の閣議のあとの記者会見で「5キロから30キロ圏内いわゆるUPZにおいて、緊急配布の負担を考慮した場合、事前配布によって避難などが円滑になると想定される住民に対しても、ヨウ素剤の事前配布を推進することにした。役場や保健所などの公共施設で保健師などによる配布も推進していきたい」と述べ、今後、具体的な検討を進めていく考えを示しました。
  そのうえで「福島の複合災害のときのことを思い出せば、万が一の時に必要なタイミングで飲んでいただけるような提供体制が整っているのだろうかと問題意識を持っていた」と話しました。
独自判断で事前配布の自治体も
ヨウ素剤は原子力発電所などで事故が起きた場合に服用すると、被ばくによる甲状腺のがんを防ぐ効果があるとされています。
  しかし、この薬は9年前の福島第一原発の事故の際、服用に関する情報が錯そうするなどしたため、住民に十分に行き渡りませんでした。
  このため、国は原発で重大な事故が起きたときに直ちに避難する必要のある原発から主に5キロ圏内の住民を対象に事前に配るようにルールを見直しました。
  一方、5キロから30キロ圏の住民については、重大な事故が起きた際にすぐには避難をせずに住宅などの建物の中に退避し、必要に応じて避難することになっています。
  このため事前に配布する対応は取られていませんが、自治体の中には独自の判断で住民の要望に応じて事前に配っているところもあります。
  ヨウ素剤の事前配布の方法は、処方の注意点などを理解して正しく服用してもらうため、原則として医師や薬剤師による説明会に参加した住民に配られることになっています。
  これについて自治体などからは「説明会の開催も医師を集めるなど簡単ではなく、住民側も仕事などで参加できない人も多い」などと、より効率的な配布方法を求める意見もあがっています。


2020.1.18(土)-愛知新聞Online-https://www.ehime-np.co.jp/article/news202001180011
伊方3号機運転認めず 甘い災害想定への司法の警鐘だ

佐田岬半島沿岸の活断層について存在しないと主張した四国電力の調査は不十分で、主張を問題ないとした国の原子力規制委員会の判断には誤りがあると指摘した。国や電力会社の姿勢を厳しく批判した裁判所の判断を重く受け止めねばならない。
  四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを山口県の住民3人が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は運転を認めない決定をした。運転禁止の期間は、山口地裁岩国支部で係争中の差し止め訴訟の判決言い渡しまでとした。伊方3号機の運転を禁じる司法判断は2017年の広島高裁仮処分決定以来2回目。行政の判断に追従せず、独立する司法の責務を果たした決定は評価できる。

  争点だった伊方原発がある佐田岬半島沿岸部の活断層に関して広島高裁は調査が不十分と判断した。国が中央構造線断層帯の長期評価を改訂した際の「半島沿岸は、今後の詳細な調査が求められる」との記述を取り上げ、四電の海上音波探査が不十分であることを前提にしていると認定した。さらなる調査が必要という評価は調査が尽くされていないのに等しく、判断は当然と言えよう。
  十分な調査をしないまま沿岸部の活断層は存在しないとした四電の主張について、規制委が問題ないとした判断は過程に誤りがあると断じている。活断層の存在が認められ、「震源が敷地に極めて近い」場合、地震動を評価する必要がある。調査が不十分で活断層の存否を確定できない以上、原発の運転を容認するべきではない。

  阿蘇巨大噴火のリスクでは噴火規模が過小評価されており、その想定を前提とした四電の申請や規制委の判断を不合理とした。災害想定の甘さに対する司法の警鐘と言える。住民は、巨大噴火が起きた場合の過酷な原発事故に対し不安を抱えながら暮らしている。国や事業者は災害大国の日本で原発を動かす責任の重さを改めて肝に銘じなければならない。

  現在、伊方3号機は定期検査のため停止中で、今月16日には使用済みとなったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料16体を含む全燃料の取り出しを完了している。ただ差し止め決定によりスケジュールは白紙に戻った格好だ。
   3号機には県民が厳しい視線を送っている。今月12日には核分裂反応を抑える制御棒1体を誤って引き抜くトラブルがあった。規制委が「知る限りで前例はない」と強調、委員から「事業者の深刻度や捉え方が少し軽すぎる」との意見も上がった。四電は事業者として取り組み姿勢を省み、安全運転に万全を期す責務がある。
  差し止め決定を受け政府は改めて原発の再稼働を推進していく姿勢を示した。だが国の判断の誤りに言及した決定の意味は極めて重い。重要なベースロード電源として原発に頼る国策は再考しなければならない。


2020.1.18-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/column/news/200118/clm2001180003-n1.html
【主張】伊方原発停止 高裁の迷走が止まらない

司法の見識が疑われる決定である。
 広島高裁が仮処分で四国電力・伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転停止を命じた。
 伊方3号機に関する広島高裁の仮処分の判断は、この約2年のうちに運転が1回、停止が2回となった。裁判長が異なるとはいえ、高裁としての定見の欠如ぶりは、看過できない迷走状態だ。
 伊方3号機は、福島事故で国内の全原発が停止した後、平成28年夏に国内で4番目に再稼働を果たした原発である。
 昨年12月から定期検査中の3号機は、4月からの運転再開を予定していたが、仮処分は即時に効力を発揮するため、効力が期限付きとはいえ、停止継続を余儀なくされる見通しだ。
 停止による電力不足分の穴埋めは、火力発電で行われるため、二酸化炭素の排出増と併せて、電気代の値上がりが消費者に及ぶ事態は避けがたい。
 広島高裁による前回の運転差し止めは、29年12月に下されたが、その際は阿蘇山の巨大噴火が理由だった。火砕流が海を渡って伊方原発に到達する可能性が否定できない、というものだった。
 今回の運転差し止め理由は、伊方原発が立地する佐田岬半島沿いの断層と原発までの距離だ。

 伊方3号機は原子力規制委員会の厳格な安全審査に合格して再稼働を果たした原発である。
 にもかかわらず、裁判長は四国電力の主張よりも近くに断層が位置すると解釈し、3号機を合格させた「規制委の判断には、その過程に過誤ないし欠落があったといわざるを得ない」とした。
 阿蘇山からの火砕流については、ゼロリスクを理由に伊方原発を立地不適とするのは社会通念に反する、と良識を示したものの、火山灰などの降下量に関して規制委にかみついた。
 四国電力の想定は過小で、それを認めた「規制委の判断も不合理である」としたのだ。
 高度に専門的な理学、工学知識が求められる原発訴訟での大胆極まる「決定」だ。審尋は、たったの1回だったからである。
 しかも裁判長は今月25日に退官する。近年の原発訴訟で運転停止を命じる決定が定年退職が近い裁判長から出される傾向は偶然か。仮処分が脱原発の闘争手段になりつつあることも気にかかる。


2020.1.15-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/78779cf962d1c8e68e11f527efc52ced
露の海上原発は大丈夫か――遠藤良介・外信部編集委員兼論説委員
【「遠藤良介のロシア深層」産経新聞 R02(2020).01.15 】


  ロシアが「世界初」と触れ込む海上原子力発電所(船舶型原発)が昨年末、露極東チュコト自治管区のペベク港で電力供給を始めた。ロシアは世界の原発市場で猛進撃を続けており、海上原発を輸出の新たな切り札としたい考えだ。
  海上原発の外観は豪華客船を思わせる。内部には原子炉2基が搭載されており、計7万キロワット出力を得られる。これは10万人程度の都市生活を支えていくのに十分な電力だという。
  露国営原子力企業のロスアトムは海上原発について、送電が困難な遠隔沿岸部でのエネルギー確保を可能にするものだと説明。すでに原子力砕氷船で利用されている原子炉を基礎にしており、安全性が実証された技術だと主張している。
  同社は、北極海航路の沿岸整備や北極圏の資源開発でも海上原発が重要な役割を果たすと意気込む。
  国内外の環境団体からは安全性への懸念が出ている。津波や流水の対策は十分なのか。テロ攻撃の標的になることはないのか。1986年に大事故を起こした旧ソ連のチェルノブイリ原発になぞらえ、「海のチェルノブイリだ」と辛辣(しんらつ)に評する専門家もいる。
  ロシアは今、世界の原発建設市場で最も勢いを持つ。ロスアトムはトルコや中国、バングラデシュ、エジプトなど12カ国で、計画段階を含め原子炉36基の建造を手がけている。
  背景の一つは、米ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が経営破綻するなど日米欧のメーカーが撃沈したことだ。ロシアは間隙を突き、新興国を中心に比較的低価格で受注攻勢をかけた。巨額の政府融資もつけるのが通例だ。
  プーチン露政権は原子力を石油・天然ガスに次ぐ「資源・エネルギー大国」の柱と位置づけ、国策として覇権を狙ってきた。2007年末に原子力関連企業を統合した巨大企業ロスアトムを設立。ウラン採掘から核燃料供給、原発建設、使用済み燃料の回収まで、原発産業の上流から下流を一手に担う態勢を整えた。
  ロシアが建造しているのはチェルノブイリと異なる加圧水型軽水炉で、安全性は格段に向上しているとされる。だが、ロシアが国のメンツのために情報を隠蔽し、人命を軽視する国であるのは大きな懸念材料だ。
  チェルノブイリ事故では、周辺国や西側諸国から放射能レベルの異常を追及されるまで事故を隠し、被害の拡大を招いた。昨年8月には露北西部の海軍実験場で爆発があり、ロスアトムの従業員ら7人が死亡した。原子力推進の巡航ミサイルを実験していたとみられるが、真相は藪(やぶ)の中だ。
  ロシアが外国に建設する原発の燃料供給やメンテナンスなどを担うことで、相手国のエネルギー供給を押さえる地政学的な思惑も指摘されている。
  海上原発の建造には当初予定を大幅に超える年数と費用がかかっており、総じてロシアの原発事業では採算性が疑問視されている。それでもロスアトムは、アジアやアフリカ、南米の国々から海上原発の引き合いがあると強気だ。
  石油・天然ガス大国のロシアがかくも積極的な原発政策をとり、海上原発の拡散ももくろんでいる。隣国の日本はその動向を注視しておく必要があるだろう。


もんじゅ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  もんじゅは、日本福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構高速増殖炉である。研究用原子炉との位置付けから、商業用原子炉と異なり、文部科学省の所管となる。
  もんじゅは、MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を使用し、消費した量以上の燃料を生み出すことのできる高速増殖炉の実用化のための原型炉であり、高速実験炉常陽でのデータを基に建設された、日本で2番目の高速増殖炉である。
  もんじゅの目的は、高速増殖炉の原型炉として実用化・商用化に向けた技術開発に寄与すること、すなわち、その設計や建設・稼働の経験を通じて、高速増殖炉の発電性能および信頼性・安全性を実証することにあった。また、発生する中性子を利用した核変換技術などの研究の場としても期待されていた。
  核燃料サイクルの計画の一環であり、新型転換炉ふげんと共に開発が進んでいた。日本国政府は、高速炉開発を「国家プロジェクト」と位置付けており、国際的にも高速炉を始めとした「第4世代原子炉」の研究開発において、主導的な役割を果たしているとされた。もんじゅは、その中心となる施設であった。2011年現在、常陽及びもんじゅによって得られたデータを基にして、高速増殖炉開発の次の段階となる実証炉の設計が行われている。
  もんじゅ1995年に、冷却材金属ナトリウム漏洩と、それによる火災事故を起こしたが、事故が一時隠蔽されたことから、各所で物議を醸した。その後、運転再開のための本体工事が2007年に完了し、2010年5月6日に2年後の本格運転を目指して運転を再開した。しかし、2010年8月の炉内中継装置落下事故により、再び稼働ができなくなった。2012年に再稼働する予定であったが実現せず、2016年12月21日廃炉が正式決定された

もんじゅをめぐる訴訟
許可無効を求める裁判(詳細は「もんじゅ訴訟」を参照)
  もんじゅの原子炉設置許可について、周辺住民32人が国(経済産業大臣)による設置許可の認可を無効とすることを求めた行政訴訟(1985年提訴)が争われ、2003年1月27日には名古屋高等裁判所金沢支部がもんじゅの設置許可処分が無効であることを確認する判決を一度下した。その後の2005年5月30日、最高裁判所は「国の安全審査に見過ごせない過誤や欠落があったとは言えず、設置許可は違法ではない」との判決を下し、国の勝訴が確定した。
  また、もんじゅの建設・運転の差止めを求めた民事訴訟も起こっていたが、2003年に原告が訴訟を取り下げた。
もんじゅ西村裁判
  1995年12月8日に発生した、もんじゅのナトリウム漏洩火災事故において、事故現場の様子を撮影したビデオテープの一部を隠したことが発覚し、マスコミに追及された。ビデオ隠しが判明した時期は1995年12月25日だったにも関わらず、動燃が1996年1月12日に開いた隠蔽公表の記者会見では、会見直前の「1996年1月10日」と虚偽の発言を行った
  この会見の翌日の1996年1月13日、ビデオ隠しの特命内部調査員として、マスコミ報道の矢面に立たされていた動燃総務部次長の遺体が発見された。警察発表で自殺とされ、その後、マスコミの追及は尻すぼみとなっていった。
  遺族は自殺の原因を動燃に、嘘の記者会見を強要されたためであるとして、損害賠償請求訴訟を起こしたが、2012年1月31日付けで敗訴が決定した。
ナトリウム漏洩火災事故
  もんじゅの冷却材である金属ナトリウムは、200℃以上の高温で運用されており、空気中の酸素に触れるだけで自然に発火するため、取り扱いにあたっては非常に注意を要する
  1995年、二次冷却系で温度計の破損によって金属ナトリウムが640kg±42kg(推定)が漏洩し、火災となった。この事故は国際原子力事象評価尺度ではレベル1と判定されたものの、事故への対応の遅れや動力炉・核燃料開発事業団(当時)による事故隠しが問題となった。
  この事故以来、もんじゅは運転休止状態が続き2010年まで運転を停止していた。
事故の経緯
  12月8日、もんじゅでは運転開始前の点検のための出力上昇の試験が行われた。 その後目標の熱出力43%を目指し、出力を徐々に上げていたところで事故が起きた。
  ・19時47分:二次冷却系配管室で配管のナトリウム温度計がわずかに低下、その後200℃前後まで急低下した後に480℃まで復帰してすぐに「温度高」を示した。通常480℃のところ600℃の目盛りを振切っていて、実際何度になっているか判らなくなってしまった(なお、この温度検出器は熱電対であり、断線するとオーバーレンジとなってしまうため、ナトリウムが600℃以上になったわけではない)。
  ・19時47分:火災報知器が2か所発報し、ナトリウム漏洩を知らせる警報が発報し、運転員は2次主冷却系配管室で「もやっている程度の煙」(ナトリウムエアロゾル)を確認した。その後も火災警報の範囲は広がり、ついには階を超えて発報を始めた。
  ・20時00分:火災警報機が14ヶ所発報した時点で、運転員らは異常時運転手順書「2次主冷却系のナトリウム漏洩」に従い原子炉の停止を決定、原子炉の出力を徐々に落とし始めた。
  原子炉を急激に停止させる「緊急停止」は炉に負担をかけるため、炉を保護する為に緩やかな出力降下を目指した。その後、非常に大きなベル音が連続して鳴動するため、 運転操作の妨げになるとしてベルの停止操作を行った。そのため、別の火災報知器がさらに発報していることに気づくのが遅れた。
  ・20時50分:運転員が現場で白煙の増加を確認。
  ・21時20分:事故発生から1.5時間後、火災警報器が34か所発報にも及んだ時点で、事態を重く見た運転員らが手動で原子炉を緊急停止させた。充満した白煙と高温により、防護服を着用しても現場に立ち入ることは困難で、被害状況は全くつかめなかった。しかし、原子炉停止後も火災報知器の発報は続き、最終的には66か所に及んだ。
  ・22時40分:二次冷却系Cループ配管内のナトリウムの抜き取り操作を開始した(9日0時15分終了)。
  ・23時13分:二次冷却系Cループ配管室及び蒸気発生器室の換気空調系が停止。
  翌日午前2時、事故現場に立ち入り状況を確認したところ、高融点鋼鉄製の床が浸食され、さらにナトリウムが周囲にスプレー状に飛散していた。なお、漏洩した金属ナトリウムは二次冷却系のもので、放射能漏れは無かった。
事故後の対応
  事故後の記者会見は、もんじゅのプレスセンターで行い、動燃は事故当時撮影した1分少々のビデオを公開した。しかし数日後、これがカット編集されたビデオであることが発覚し、マスメディアに指摘を受けた動燃は未公開部分を順次公開した。ビデオを公開しなかったことに関する報道により、一旦収束しつつあった事故に関する報道が再び増加し、問題を長期化させた。
  その中で報道の矢面に立たされた動燃総務部次長が死亡し、死因は自殺とされた。

事故の原因
  事故から1か月経った1996年1月8日未明、前夜から行われていた漏洩箇所のX線撮影により、ナトリウム漏洩の明確な原因が明らかになった。それまで最も有力だったのは、ナトリウムの温度を測定する熱電対温度計の収めてある「さや(ウェル)」と配管の接合部の破損であった。「さや」は、ナトリウムの流れる配管の中に棒状に突出しており、直径3.2mmの温度計を保護する役割を果たしていた。この「さや」は頑丈に作られており、ナトリウムの流速程度の機械的負荷で折損するとは考えにくかったため、破損箇所があるとするなら接合箇所だろうと考えられていた。
  事故当時の朝日新聞の報道によれば、ある納入業者の零細企業の商店主が、ナトリウム冷却装置の肉厚が均等過ぎる為、早期に装置の罅割れ・破断が起きるのと警告をしていた。温度計を装着する為に穴を空けて貫通した部分の肉厚をそれ以外よりもぶ厚くしないと、破損事故が起きるのは間違いないと指摘をしていた。業者の意見も聞いてみたらどうかというのが、朝日新聞の記者の当時の意見があった。その零細企業の店主の意見はその後も、全く採用されることもなかった。肉厚は均等にしておかないと、固有振動が起こって、却って装置全体の共鳴などの厄介な事態が起こって、それこそ炉全体が遣られてしまうだろう。酷い振動が起こり、寿命も短くなると言って、完全に無視しているのだ。将来はこの点で炉が破滅するだろうというのが朝日新聞の論評であった。
  しかし、X線写真によれば「さや」の先端は途中のくびれ部分から完全に折損しており、中の温度計は45度ほど折れ曲がった状態で管内にむき出しになっていた。日本原子力研究所が調べたところ、ナトリウムの継続的な流れにより「さや」に振動が発生、徐々に機械的強度が衰え、折損に至ったことがわかった。
  さらに、火災報知器が広範囲で発報した理由として、ファン付きの換気ダクトによって白煙の拡大を招いていたからであったことが明らかになった。直径60cmのナトリウム管路の下方に、直径90cmの換気ダクトがある。事故当時、換気ダクトのファンは作動したままになっていた。原子炉停止後ナトリウムの抜き取り作業が進み、ナトリウムの液位が下がったことでようやく自動停止した。
  また、管路周辺にスプレー状にナトリウムが飛散していた事も予測できない事態であった。高速増殖炉では金属ナトリウムは加圧されていないため、スプレー状に飛散するほどには勢いよく噴出しない。しかも、問題の配管は全て保温材で覆われており、仮に管内が多少加圧されていても、スプレー状の飛散には至らないはずである。調査の結果、換気ダクトのファンに付着したナトリウムが遠心力で周囲に飛散していたことがわかった。
  事故発生直後、運転員はゆるやかな出力降下による原子炉停止を行っていたが、これは運転マニュアルに違反した対応だった。運転マニュアルには、火災警報が発報した場合は直ちに原子炉を「緊急停止」するように記載されていた。
停止後の経緯
  ・2005年2月6日:福井県知事の西川一誠は、それまで留保していたもんじゅの改造工事を了承した。西川は「これをもって運転再開を了承するものではない」としたが、もんじゅ反対派からは批判する声が上がった。
  ・2005年9月27日:フランス共和国が、日本に対しもんじゅの共同利用を提案した。
  ・2009年4月22日:運転再開を目指しているもんじゅでナトリウム漏れ検出器の取り付けミスなどのトラブルを多発していることに関して日本原子力研究開発機構は、経済産業省原子力安全・保安院小委員会に報告書を提出した。
  ・2010年2月10日、原子力発電所に反対する市民団体や住民運動団体が、日本原子力研究開発機構に対して「危険なもんじゅの運転再開はするな」、「万全な地震対策を」などを申し入れた。また、関西電力や日本原子力発電に対しても耐震対策の確立などを申し入れた。
  ・2010年3月:2003年から2008年の5年間にわたり、日本原子力研究開発機構から業務を請け負う地元企業数社が、敦賀市長河瀬一治や、西川のパーティー券を累計で、河瀬から222万円、西川から130万円分、それぞれ購入していたことが発覚し、運転再開の判断を巡る公平性に疑問が投げかけられる状況となった。
運転再開
  再開は4回ほど延期されたが、経済産業省原子力安全・保安院内閣府原子力安全委員会2010年3月に安全性を「妥当」と判断し、2010年4月28日に福井県知事も運転再開を了承。2010年5月6日、停止後から延べ14年5か月ぶりに運転を再開した。
  5月8日には出力0.03%で核分裂反応が一定になる臨界に達する。予定では、2011年度に出力40%に上げたのち、3段階で出力を引き上げる性能試験を3年間行うとされており、発電は2011年5月頃から開始し、本格運転に入るのは2013年4月になる見込みであった。
  再開後も性能試験中に誤警報や故障などのトラブルが頻繁に起こっており、またトラブルは大小問わず迅速に公表するように念を押されていた。だが、再開初期には公表の遅れがあったり、2010年5月10日には操作方法を熟知していない運転員による操作ミスで制御棒の挿入が中断するといったトラブルも起こっている。相次ぐ機器のトラブルや一部工程での当初計画より時間がかかり過ぎることなどに対応するため、運転資格を持つ運転員の再教育や試験担当者の増員、「運転管理向上検討チーム」の設置が発表された。
原子炉内中継装置落下事故
  2010年8月26日、炉内中継装置をつり上げ作業中に、落下させる事故が起きた。
  日本原子力研究開発機構は、2010年10月1日「落下による影響はない」として装置の引き上げ作業を続行し、同年10月4日(直後に中断)と13日に、24回の引き抜き作業を試みるものの、いずれも失敗した。
 炉内中継装置は、燃料を燃料交換時に仮置きする金属製の筒で、原子炉容器にふたをしている鋼製の遮蔽プラグの穴を通して出し入れする。直径46cm・長さ6mの2本の筒を8本のピンで縦につないだ構造で、全長12m、重さ3.3トン。下から約5メートルの部分に接合部があり、この接合部あたりで抜けなくなっていた。
  また炉内はアルゴンガスや不透明なナトリウムに覆われており、変形部分を直接目視することができず、作業は難航した。その後、以下の推移を経て2011年に装置の引き抜きに成功した。
  ・2010年11月16日、ファイバースコープ及びCCDカメラで2本の筒の接続部にギャップが発生し変形していることを確認した。
  ・2010年12月16日、復旧作業と性能試験工程を決定
  ・2011年1月28日、落下した装置を引き抜くための追加工事や試験などの復旧作業に約9億4千万円の費用がかかることがわかった。また、停止中も維持費に1日5500万円の費用がかかると報道された
  ・2011年2月14日、装置を現場で担当する燃料環境課長が福井県敦賀市の山中で自殺し、遺体で発見された。
  ・2011年6月23日、20時50分より工事を契約した東芝が引き抜き作業を開始する。
  ・2011年6月24日、引き抜きを完了した。この引き抜き作業の準備のために原子炉容器の上に機器を新設したことを受けて、撤去にかかった費用は計約17億5000万円となっている。
  ・2011年7月7日、炉内中継装置の分解点検作業を開始する。
  ・2011年7月12日、分解点検作業を終了した。分解点検の結果、炉内中継装置の全構成部品293点の回収を確認した。ここで回転ラックの「駆動軸ジョイント」部(ユニバーサルジョイント側)の平行ピン1本が切断されており、他1本の平行ピンに約8mmのずれがあること、また回転ラック軸下端部のすり傷及び回転ラック軸受台下面の縁に摩耗痕があることを原子力研究開発機構は確認した。原子力研究開発機構は破断面のレプリカを取得し、機器破片が原子炉容器内に残存していないか確認していくとしている
  ・2012年3月9日、落下事故の報告書を日本原子力研究開発機構が経済産業省原子力安全・保安院に提出
  ・2012年8月8日、中継装置の落下に係る復旧が完了
点検漏れ事件
  2012年(平成24年)11月、日本原子力研究開発機構は、保安規定に基づく機器の点検漏れが9679個あったことを原子力規制委員会に報告した。
  2013年(平成25年)2〜3月に原子力規制委員会が立ち入り・保安検査したところ、非常用発電機などの重要機器に関する更なる13の点検漏れが発覚した。これらを重くみた原子力規制委員会は、2013年5月13日、原子炉等規制法に基づき、日本原子力研究開発機構に対し、もんじゅの無期限の使用停止を命じる方針を固めた。同月17日には原子力研究開発機構理事長の鈴木篤之が引責辞任。同月30日には試験運転再開準備の停止が正式に命令された。2014年1月には、この点検漏れと指摘を受けて点検計画の内容を確認中だったにも拘らず、“見直し完了”を原子力機構が規制委員会に報告していたことが発覚した。
  2015年(平成27年)3月23日、日本原子力研究開発機構は同年9月までの運転停止解除を目指して、文部科学大臣に対して「点検漏れを発生させない体制を再構築した」とする報告書を提出した。しかし3月2日から実施していた保安検査で、ナトリウムの流れる原子炉一次冷却系の配管に関する劣化状況の検査や、補助冷却系の配管肉厚検査に不備があったことが判明し、3月25日に公表された。これらの配管は、原子炉の安全上特に重要な「クラス1」に分類されている
監視カメラ故障放置
  2014年(平成26年)9月に原子力規制庁が立ち入り・保安検査をしたところ、ナトリウム漏洩火災事故に際して設置され、2007年に運用が開始されていた監視カメラ180基のうち50基余りが故障し、映像が映らない・左右に動かない等の状態にあることが判明した。ものによっては故障から1年半以上放置されていたものもあったが、原子力機構は「故障のことは知っていたが、カメラはすでに製造が終了していて交換できなかった」としている。
MOX燃料の輸送
  もんじゅを始めとした高速増殖炉に使用されるMOX燃料は、プルトニウムを含んでいる。もんじゅのMOX燃料は、茨城県那珂郡東海村にある日本原子力研究開発機構の東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所から出荷され、常磐自動車道首都高速道路東名高速道路名神高速道路北陸自動車道を経て、福井県敦賀市のもんじゅまで貨物自動車で輸送される。
  この際テロリズムを警戒して、警備車両や警察車両が伴走するが、特別な交通規制はなく、一般の乗用車やトラックと共に高速で走行する。輸送容器(MONJU-F型)は、9mからの落下衝撃に耐え、800℃・30分の条件下に耐えうるものであるが、実際の高速道路での事故の衝撃やトンネル火災の温度は、それ以上になることが心配されている。
 ・1992年度:5回 - MOX燃料集合体120体
 ・1993年度:4回 - MOX燃料集合体85体
 ・1995年度:2回 - MOX燃料集合体48体
 ・2008年度:3回 - MOX燃料集合体38本(5月15日、16日:MOX燃料集合体 18体 / 7月17日、18日:MOX燃料集合体14体/ 12月16日:MOX燃料集合体 6体
批判
  もんじゅに対する批判は、内閣府原子力委員会が1997年に設けた高速増殖炉懇談会の席上で、事務局の手による簡易な箇条書きではあるが、公開されている。この批判意見に関して懇談会で議論がなされたが、最終的な報告書では開発継続への反対意見が付記されたものの、従来の開発推進の方向性を肯定する結論となっている。
安全性
  ・冷却材に通常の原子力発電所で使われる水の代わりに金属ナトリウムを使い、発電タービンは水蒸気作動であるため、2つの熱伝達部分をもっている。炉心の金属ナトリウムからタービン系統の水部分へは薄い蒸気発生器の壁を通じて熱伝達を行う。蒸気発生器の壁は薄いため、ピンホールが発生する可能性を完全には否定できず、ピンホールが発生してしまった場合、金属ナトリウムが蒸気発生器の水と化学反応を起こして爆発事故を起こす可能性がある。実際、イギリスで事故が起きている。
その他
  ・一部メディアでは軍事転用可能を枕詞にしたもんじゅの紹介がなされている(普通の原子力発電所に用いられる軽水炉プルトニウム燃料は240Puなどの239Pu以外の同位体の割合が高いために、原子爆弾の材料とするのは難しいが、高速増殖炉では239Puの比率が非常に高い、核兵器転用が可能なプルトニウムが生産される)。これまでに、239Pu同位体純度97.5%のプルトニウムを62kg生産している。
  ・物理学者の槌田敦は、もんじゅは軍事用プルトニウムを生産する目的で作られた軍事目的の原子炉であるとしている。槌田の主張によれば、もんじゅは建前ではウランの有効利用を謳っているが、高速増殖炉はプルトニウムを2倍にするのに理論上で90年かかる。また、使用済みの燃料に残るプルトニウムの90%は炉心にあるが、炉心のプルトニウムを完全に再処理する技術は世界になく、さらには高速増殖炉の燃焼の激しさから、さまざまな貴金属ができてしまい、それらがプルトニウムと混ざり合って硝酸に溶けないことから再処理は不可能で、90%のプルトニウムは廃棄しなければならないことから意味がないとしている。もんじゅの真の目的は、高速増殖炉を使うことで純度が高く(98%)再処理が簡単な軍事用のプルトニウムがブランケットにわずかにでもでき、これを軍事利用することで、背景として日本の核武装化を最も望んでいるのはアメリカ合衆国であり、対中華人民共和国戦略がその理由であるという。中華人民共和国は冷戦後、核戦略の対象をモスクワから南シナ海に移しており、万が一、南シナ海で事が起きた場合にアメリカが直接中国と衝突するのを避ける目的で、日本に核武装させる戦略を持っていると主張している。
反論
  ・ナトリウムの安全確保は二重三重に図られている。まず、一次系の配管は、原子炉容器の出口よりもできるだけ高い位置にしてある上、位置が低くなる原子炉容器などは、保護容器内に設置されている。よって万一ナトリウムが配管から漏れても、炉心の冷却に必要なナトリウムは確保される。次に、一次系の部屋は窒素が封入されていて、ナトリウムが漏れても燃焼しないようになっている。また、ナトリウム漏出を検出する機器があるので、ナトリウムの流出はすぐに感知できる。さらに、主循環ポンプが止まってもナトリウムが自然循環して炉心を冷却できる仕組みになっている。
  ・研究段階での経済性を実用炉と比較することは一概にはできない。そもそも、もんじゅは経済性の研究のために作られた炉ではない









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