イギリス(英国)(グレートプリテイン及び北アイルランド連合王国)-1


2024.12.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241217-CQHNJ6O275MFZAQXRKYVQLPK5Q/
実業家装った中国スパイがアンドルー英王子と「親密な関係」 エリート層への浸透工作判明

  【ロンドン=黒瀬悦成】チャールズ英国王の弟であるアンドルー王子と親密な関係にあった中国人実業家(50)が中国政府のスパイである疑いが明るみに出た英政界では、中国共産党が英エリート層への影響力行使や先端技術の窃取を狙って多様な分野に浸透している実態の一端を示すものだとして、波紋が広がっている

  英国の安全保障に関わる移民の扱いを審理する特別移民上訴委員会(SIAC)によると、この中国人実業家は2002年に留学のため訪英し、05年に英国内で旅行事業を立ち上げ、13年からは滞在期間の制限なしに英国への滞在を認められる権利を得た。
  ところが、実業家は21年11月に英国に入国しようとした際、外国政府による敵対的活動に関与した恐れがあるとして警察に事情聴取され、携帯端末などの電子機器を一時没収された。
  当時の保守党政権は、端末から得られた情報などを根拠に、実業家が「英国の安全保障を脅かす恐れがある」として23年3月に英国外への追放を決定。実業家はこれを不服としてSIACに訴えたが、SIACは今月12日、政府の決定を維持すると判断した
  SIACによると、実業家は20年に王子の誕生日会に招かれたほか、中国で「協力者や出資者になりそうな相手」に対して実業家が王子の代理人として活動することが王子側から認められていたという。
  SIACは実業家と王子との関係が中国政府による英国への政治介入に利用される可能性があると認定した。英BBC放送によると英当局は実業家について、外国での影響力工作に従事する中国共産党中央委員会の中央統一戦線工作部の関係者と位置付けている

  王子は13日の声明で、実業家と「接触を絶った」と表明した上で「機密に関する話は一切していない」と強調。実業家は疑惑を否定している。SIACは人権保護の観点から実業家の名前を伏せてきたが、16日になり実名である「ヤン・テンボ」の公表を認めた。
  王子は児童買春の罪で起訴されて勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン元被告とつながりがあったとして19年に公務を退き、22年には軍や慈善団体の役職も剝奪された


2024.12.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241215-XSGZYSO7SJN53L5B5EWYZM4XWY/
英のTPP加盟議定書が発効 日本への効果限定的も…「自由貿易の枠組み拡大にメリット」
(万福博之)

  環太平洋経済連携協定(TPP)に英国が加盟する議定書が15日に発効した。すでに日英2国間の貿易協定があるため、日本にとって経済効果は限定的だが、自国優先の保護主義が台頭する中、価値観を共有する英国をTPPに迎え入れるメリットは大きい。アジア太平洋を中心とした地域に限られていた加盟国が欧州に広がり、日本の産業界も期待を高めている。

精米やパックご飯の関税撤廃
  内閣官房によると、英国の加盟によってTPP加盟国の国内総生産(GDP)の合計額は11・6兆ドルから14・7兆ドルに、世界全体のGDPに占める割合は11・6%から14・7%に増える。貿易総額は7・5兆ドルから8・7兆ドルに拡大する。
  TPPは99%の品目で関税が段階的に撤廃されるが、日本と英国は2020年に経済連携協定(EPA)を結んでおり、日本の輸出で新たに関税が撤廃されるのは精米やパックご飯に限られ、追加的な効果はそれほど大きくない。
  しかし、第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは「日本にとってはむしろ、自由貿易の枠組みが広がることにメリットがある」と強調する。
中国、台湾も加盟申請済み
  米国が17年にTPPから離脱して以降、多くの国が保護主義に傾斜。米国大統領に再選したトランプ氏は日本を含むすべての国に対して関税を引き上げる考えを示すなど世界の自由貿易体制は危機にさらされている。
  こうした中、自由貿易を重視する英国は、日本とともにTPPの旗振り役として多国間の枠組みをリードする重要なパートナーになり得る。英国参加が呼び水となってTPPが拡大に転じ、自由貿易の後退に歯止めがかかることが期待される。
  TPPには中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナ、インドネシアが加盟を申請済み。コスタリカは11月から加盟交渉に入った。加盟国の拡大はTPPにとっても課題だが、田中氏は「TPPが定める厳しい自由貿易の基準をクリアするのは簡単ではない」と指摘する。(万福博之)


2024.11.30-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20241130-G5K4D6NE5RNFZBNXKG4PS5DJ5A/
英下院で「安楽死」法案可決 国民7割以上が支持 2回目の採決通過なら上院で審理へ

  英下院29日、イングランドとウェールズで終末期の成人患者が薬物の投与などによる「安楽死」を選ぶ権利を認める法案を採決し、賛成多数で可決した。今後、下院の委員会が法案を精査し、2回目の採決も通過すれば上院でも審理する。世論調査では国民の7割以上が法案を支持している。

  賛成は330、反対は275だった。生命倫理に関わる重要な事案の法制化に向け、さらなる議論の道を開いた。法案の内容は、審議の過程で修正される可能性がある。
  「終末期成人(人生の終わり)」法案は、末期疾患と診断され余命6カ月未満の成人が、医師2人と裁判官の承認を得た上で自ら命を終わらせることを認める。法案を提出した与党労働党のキム・レッドビーター議員は、苦痛に耐え続けるのではなく尊厳を保ち最期を迎える権利があり、選択肢が必要だと主張する。
  調査会社ユーガブの最新の世論調査では73%が法案を支持し、不支持は13%だった。(共同)


2024.09.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240924-XG63NREJIRPEZA4X65BKMTD57M/
英労働党大会で財務相が演説 不人気の財政緊縮策を正当化 首相の支持率低下鮮明に

  【リバプール(英中部)=黒瀬悦成】7月の英総選挙で14年ぶりに政権の座に返り咲いた労働党の年次党大会22日、中部リバプールで4日間の日程で始まり、リーブス財務相が23日に基調演説を行ったリーブス氏は有権者から反発を浴びている政権の財政緊縮策について「正しい決断をした」と強調スターマー首相は緊縮財政に加え、支援者からの多額の利益供与で人気が下落しており、党大会を求心力回復の機会としたい考えだ。

  リーブス氏は演説で、保守党のスナク前政権が組んだ予算に220億ポンド(約4兆1千億円)の財源不足が見つかったと指摘し、事態打開に向け今後の財政政策で「厳しい決断を下す必要がある」と警告した。
  リーブス氏は7月29日、年金生活者への冬場の暖房費補助の削減や、保守党政権下で決定された病院や道路、鉄道の建設計画の見直しといった事実上の財政緊縮策を打ち出した。
  このうち暖房費に関しては約1千万人が補助の対象外になるとみられ、世論は強く反発。党を支える複数の有力労組も今月22日、補助削減の方針を撤回するよう政権に要求した。
  リーブス氏は演説で、一連の政策は緊縮財政ではないと反論し、新たな産業政策などを通じた雇用の創出で経済を成長軌道に乗せていくと強調した。
  政権が10月30日に公表する予算案では「労働者への増税はしない」と明言した。ただ、専門家の予想では投資収益への課税増や将来的な企業増税、歳出削減が見込まれている。
  一方、スターマー首相をめぐっては妻のビクトリアさんが労働党上院議員の富豪から高級な衣服を贈られていたことが党の内外で問題視されている。

  英メディアは富豪からスターマー氏らへの利益供与に関する報道を展開。過去5年間の贈答品は、米歌手テイラー・スウィフトさんのコンサートのチケットなどを含め計10万ポンド以上相当に上るとされている。
  こうした寄付や贈与は申告すれば違法でないが、清廉潔白を売り物にしてきたスターマー氏のイメージを傷つけたのは明白だ。中道路線を掲げるスターマー氏に不満を抱く党の左派勢力が一連の問題で対決姿勢を強める事態も予想される。
  英調査会社オピニウムが今月20日に発表した世論調査ではスターマー氏の支持率は24%で、不支持50%を大きく下回った。7月の政権発足直後の調査では支持38%、不支持は20%で、有権者のスターマー氏離れが鮮明になっている。


2024.09.16-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240916-DWNL55LVNZPMJFO2QKIWUTRJWA/
英BBCの元著名キャスター有罪 児童のわいせつ画像を通信アプリで入手

  ロンドンの裁判所は16日、児童のわいせつ画像を入手したとして起訴された英公共放送BBCの元著名キャスター、A被告(63)に禁錮6月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。英メディアによると、通信アプリ「ワッツアップ」で送られた画像約40枚の入手を認めた。

  BBCには1984年から勤務し、選挙や王室の報道を担当。2022年9月にはエリザベス女王死去の一報を伝えるなど硬派なキャスターとして知られていた。昨年11月に逮捕され、今年4月にBBCを辞職。6月に訴追された。(共同)


2024.08.13-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240813-GO6IIFG74JOUXHM2FUDJPH6CPU/
バンクシー新作、動物シリーズ8日連続8作目はサイ 車の上に前脚乗せる?

  正体不明の芸術家バンクシーは12日、壁面にサイを描いた新作を公表した。自身のインスタグラムにも写真を投稿した。壁際に止まっている銀色の乗用車の屋根に前脚を乗せているような構図バンクシーは5日からロンドン各地で動物をモチーフにした新作を公開しており、8日連続で8作目

  乗用車はサイの重みで後ろ側が沈み込んでいるように見えるボンネットには工事現場などで使われる三角コーンが載せられ、ファンはサイの角をイメージしたと指摘した。インスタグラムには「車をサイのパートナーに見立てている」とのコメントが投稿された。
  動物シリーズは1作目のヤギから始まり、ゾウ、サル、オオカミ、ペリカン、ネコ、魚の群れと続いた。バンクシーは作品の説明をしていないが、英メディアによると、バンクシーの支援団体は「暗いニュースが多い中、人々を驚かせて明るい気持ちにさせようとしているのではないか」としている。(共同)


2024.08.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240809-FIPRMT3AVBKEXB4GCZUUGP3EHE/
バンクシーの新作盗まれる 4作目、屋外の衛星アンテナに描いたオオカミ 公開すぐ

  正体不明の芸術家バンクシーが8日、屋外の衛星アンテナにオオカミを描いた新作を発表したが、公開後ほどなくして何者かに持ち去られた。バンクシーは5日から3日連続で新作を公表しており、4日連続4作目。バンクシーの報道担当はBBC放送の取材に「盗まれたと思っている」と語った。

  4作目はロンドンで確認され、空に向かって遠ぼえする1匹のオオカミのシルエットが丸いアンテナに描かれている。英メディアによると、公開数時間後、黒い目出し帽をかぶった男らがはしごで建物に上り、アンテナを取り外し持ち去る姿が目撃された
  バンクシーの作品は過去にも盗まれたことがあり、昨年12月にも道路標識の表面に軍用無人機の機影3機が連なった作品が被害に遭った(共同)


2024.08.06-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240806-33C7I3PCQNJL5E25TGNP4PKWPM/
英、刺殺被害女児らを追悼 暴動の逮捕者400人

  英中部サウスポートで起きた刺殺事件から1週間となった5日、命を奪われた6~9歳の女児3人の追悼集会が町の中心部で開かれ、住民らが花束をささげた。英メディアによると、事件を発端に各地に飛び火した反移民、反イスラム教を訴える極右主義者らのデモや暴動に関連し、5日までに約400人が逮捕された

  追悼集会には多くの家族連れが集まり、ぬいぐるみやハート形の風船を並べたり、シャボン玉を飛ばしたりして幼い3人の死を悼んだ。地面にチョークでメッセージを残す人もいた。
  7月29日に発生した事件の容疑者は、両親がルワンダ出身の17歳の少年だった。事件後、極右主義者らが「犯人はイスラム教徒の不法移民」などとの偽情報をインターネット上で拡散して憎悪をあおり、移民やイスラム教徒らへの敵視感情が高まった。暴動は英全土に広がり、南西部プリマスでは5日、極右のデモ隊と人種差別に反対する団体が衝突、警察車両が破損した。(共同)


2024.08.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240804-SI2XM5ROHRJWLA2LEU3J2DUIME/
英各地で極右の暴動続く 警察「粗暴なチンピラ」と批判、ネオナチらの関与確認

  【ロンドン=黒瀬悦成】英中部リバプール近郊での児童刺殺事件をめぐるデマ情報を発端とする極右勢力による暴力的なデモが3日、リバプールや中部マンチェスターなど英国各地で実施された。リバプールでは暴徒らによる投石で警官2人が顔を負傷して病院に運ばれた。警察はデモ参加者11人を逮捕北部ランカシャー州では保養地ブラックプールを中心に20人が逮捕された。

  英警察当局は3日の声明で、極右勢力の行動「事件で死傷した少女への思いやりや敬意を欠く。彼らは粗暴なチンピラだ」と厳しく批判した。
  その上で「連中は向こう数日間、同様の行動を繰り返すのは確実だ」と指摘し、英全土に警官隊を増派して暴力行為を徹底的に取り締まると表明した。
  スターマー首相は3日、緊急閣議を開いて対応を協議した。クーパー内相は記者団に「英国の街頭に犯罪的な暴力と無秩序が存在する余地はない」と述べ、暴徒ら「代償を支払うことになる」と警告した。
  警察などによると、一部都市でのデモで極右団体「英国防衛連盟」やネオナチ組織の関与が確認された。デモ参加者は右翼思想の同調者や、フーリガンなどの反社会的集団が大半を占めるとみられている。
  デモ参加者には右派政党「リフォームUK」を率いる大衆迎合政治家のファラージ下院議員の支持者も含まれているとされ、ファラージ氏が殺人事件に関し「不法移民の犯行だった」などとする偽情報を追認したことでデモ激化に拍車をかけたとの批判も出ている。


2024.08.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240803-NJ5YICD2IFA2XNONKXZ3WMZMMA/
英の極右暴動、発端は3女児殺害事件 移民2世の容疑者に偽情報「ボートの不法移民」拡散

  英中部の港湾都市で2日発生した極右主義者らによる反移民の暴動は、デモが警察署の襲撃や関連施設の放火などに拡大した。発端は、その4日前に別の都市で起きた6~9歳の女児3人の殺害事件容疑者はアフリカ出身の両親を持つ「移民2世」の17歳少年だったが、SNSでは少年が「ボートで来た不法移民」などの偽情報が拡散された。

  BBC放送などによると、暴動は英中部の港湾都市サンダーランドの市街地で発生。数百人が警察官と衝突し、8人が逮捕、警察官3人が負傷した。
  一方、暴動のきっかけとなった事件は7月29日、中部リバプール近郊サウスポートのダンス教室で発生少年が刃物で子供を次々と刺し、6歳、7歳、9歳の女児3人が死亡、ほかに複数の子供と大人が負傷、重体となるなどした。
  ダンス教室ではイベントが開かれており、夏休み中の子供が集まっていた。
  地元警察は殺人などの疑いで17歳の少年を逮捕し、動機などを調べる一方、少年が英国生まれであることなどを公表。BBCは、少年の両親がアフリカ中部ルワンダの出身などと報じた。
  極右団体や活動家はSNSでデモを呼びかけ「イスラム教徒が西欧文明を破壊している」「政府は国民の恐怖に耳を傾けるべきだ」などと投稿。容疑者の少年についても「ボートで来た不法移民だ」といった偽情報が拡散されていた。







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