独占禁止法問題(公正取引委員会)-1


2023.09.22-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20230922-OYT1T50134/
石川県産高級ブドウ「ルビーロマン」、開発当初から商標登録できず…「県職員の理解不足」原因

  石川県産の高級ブドウ「ルビーロマン」が、開発当初の2007年から日本国内で商標登録できず、名称を誰でも使える状態になっている。登録制度に関する県職員の理解不足などが原因同様の問題は他品種でも起きており、国は農産物に関する制度の啓発に力を入れる考えだ

  農産物には、種苗法の「品種登録」と、商標法の「商標登録」がある品種登録は、第三者の無断による生産・販売を規制する制度で、農林水産省によると、石川県は05年3月に「ルビーロマン」の名称で出願し、07年3月に登録された。
  これに対し、商標法は、品種登録された名称では商標登録はできないと定めている品種登録をした開発・生産者とは別の人物が同名で商標登録することを認めれば、商標権を持ったその人物に利益が集中し、開発者や生産者の権利が守られない状況になる恐れもあるためだ。このルールにより、ルビーロマンは品種登録された時点で同名での商標登録ができなくなった一方、第三者が別のブドウをルビーロマンの名称で売っても商標権に基づく差し止めはできない状況となっている。
  石川県では品種登録と商標登録を違う部署が担当しており、馳浩知事は「縦割りの弊害で、県庁内で制度への理解が乏しかった」とミスを認めている。
  ルビーロマンと同様に、高級ブドウの「シャインマスカット」やイチゴの「とちおとめ」もこの名称で品種登録したため、同名で商標登録できずにいる。一方、福岡県開発のイチゴ「あまおう」は「福岡S6号」の名称で品種登録し、「あまおう」で商標登録した。
  農林水産省は農産物の知的財産保護のノウハウ不足が課題とみており、特許庁と石川県の3者で4月、生産者らを含めた研修会開催に向けた連携協定を全国で初めて結んだ知的財産保護に詳しい富山大の神山智美教授(環境・行政法)は「日本は知財保護の後進国。こうした取り組みを全国に広げ、底上げを図るべきだ」と指摘している。

  ◆ルビーロマン= 石川県が14年かけて開発した品種で2008年に初出荷された。鮮やかな赤色と甘みが特徴。1粒20グラム以上、糖度18度以上などの出荷基準があり、許諾契約を結ぶ県内の生産者限定で栽培されている。今夏の初競りでは過去最高の1房160万円で落札された。

2023.06.14-Yahoo!Japanニュース(朝日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/399c69e6de55d8d35fcf0257a1a4b226e0d33ce3
LPガス容器のバルブでカルテルか 公取委が4社立ち入り検査
【渡辺暢】

  LPガス容器のバルブの価格でカルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は14日、いずれもバルブメーカーのハマイ(東京都品川区)宮入バルブ製作所(同中央区)宮入商事(大阪府池田市)富士工器(名古屋市)――の4社について、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査した。

   カルテルの対象となったのは、LPガス容器に取り付けられ、充塡(じゅうてん)や使用の際に開け閉めするバルブ。市場は年間50億~60億円で、立ち入りの対象となった4社がシェアのほぼ全てを占める。
   関係者によると、4社は2015年ごろからバルブの価格についてカルテルを結び、複数回にわたって同時期に値上げした疑いが持たれている。
   ハマイと宮入バルブ、宮入商事の3社が値上げ幅や値上げ時期などを申し合わせ、富士工器は決定事項について後から連絡を受けていたとみられる。バルブの材料である真ちゅうは値上がり傾向が続き、過去5年で6割上昇。関係者によると、真ちゅう価格の上昇と業界の寡占がカルテルの背景にある可能性もあるという。
  公取委は事実関係について慎重に裏付けしていく方針だ。
  ハマイと宮入バルブは「広報担当者が不在で答えられない」、宮入商事は「特にコメントはない」、富士工器は「立ち入り検査があったのは事実で、協力したい」とそれぞれコメントした。【渡辺暢】


2023.03.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230330-I6SLYULRWFMXFIPPIL4FOHCIFI/
課徴金、過去最高1千億円 電力3社カルテル 関電は自主申告で処分免除 公取委、独禁法違反

  事業者向け電力販売などで顧客獲得を制限するカルテルを結んだとして、公正取引委員会は30日、独禁法違反(不当な取引制限)で、中部、中国、九州の電力3社などに対し、過去最高となる総額約1010億円の課徴金納付命令を出した。電力3社とそれぞれカルテルを結んでいたと認定された関西電力は課徴金減免制度に基づき、調査開始前の自主的な違反申告が認められ、処分を免れた

  公取委によると、課徴金額は中国電が約707億円、中部電と子会社「中部電力ミライズ」が計約275億5千万円、九電が計27億6千万円。九電は調査開始後の減免申請が認められ、30%減額された。ミライズと中国電、九電の子会社「九電みらいエナジー」には再発防止を求める排除措置命令も出された。



2022.11.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221116-ZYERTIW6ERO63K7UR4IDTQJILI/
ニュース利用料不当に安い恐れ 公取委、巨大IT調査へ
(浅上あゆみ)

  公正取引委員会は16日、新聞社やテレビ局などの報道機関から提供を受け、まとめサイトなどを運営するニュース配信プラットフォーマーの取引実態調査を開始すると発表した。報道機関に適正な対価が支払われているか、サイト内の記事の表示順位が適切であるかなど、取引構造や実態を明らかにする。独占禁止法上の問題があれば、来年をめどにまとめる報告書で、是正を求める提言を行う。

  公取委によると、日本新聞協会に加盟する新聞社や通信社、日本民間放送連盟に加盟するテレビ放送事業者など計約300社にアンケートを実施。プラットフォーマーに対してもヒアリング調査を検討している。
  報道機関はヤフーニュースなど、ニュースまとめサイトを運営するプラットフォーマーに有償で記事を提供している。ただ、以前から使用料が低いとの指摘は多い。公取委が令和3年2月に公表したインターネット広告などに関する報告書でも、「使用料の算定基準を明確化することが望ましい」との考えを示していたが、改善がみられなかったとして、より詳細な調査に踏み切った。

  近年、ニュースまとめサイトから情報を得る人は増えているが、強い影響力を背景に適切な取引が行われていなければ、優越的地位の乱用に当たる可能性がある。報道各社の経営を圧迫し、ニュースの質の低下も懸念され、公取委の小林渉事務総長は「ニュースが国民に適切に提供されることは民主主義の発展において必要不可欠だ」と話した。(浅上あゆみ)


2022.06.17-スポニチ SuportAnnex-https://www.sponichi.co.jp/society/news/2022/06/17/kiji/20220617s00042000030000c.html
食べログ「独禁法違反」認定 優越性乱用、店の評点下落 3840万円の賠償命令

  飲食店情報サイト「食べログ」評点を不当に下げられ客が激減したとして、焼き肉チェーン店を経営する「韓流村」(東京都港区)がサイトを運営する「カカクコム」(渋谷区)に約6億3905万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、3840万円の賠償を命じた

  評点を決定する「アルゴリズム(計算手法)」を2019年5月に変更した際、チェーン店が下方修正される内容にした部分が独禁法の禁じる優越的地位の乱用に当たると判断した。
  アルゴリズムの妥当性が争われた初の司法判断とみられる。食べログは外食時の店選びに幅広く利用され、1カ月の利用者が8700万人以上に上る影響力を持つ。詳細な内容が非公開となっている評点算出過程は以前から飲食業界で疑問や不満の声が出ており、公正化が求められそうだ。

  林史高裁判長は韓流村にとって「食べログの有料店舗会員でなくなった場合、経営上大きな支障を来し、著しく不利益な要請を受けても受け入れざるを得ない状況だった」として食べログの取引上の優越性を認定した。
  その上で、19年5月のアルゴリズム変更は「優越的な地位を利用し、相手方が不利益になるように取引をしたと言える」として独禁法上の不公正な取引に当たると判断。変更に伴って受けた損害額は21店舗での売り上げ減少額のうち、1カ月当たり160万円の2年分として算定した。

  韓流村側が併せて求めた変更後のアルゴリズムの使用差し止めについては、変更の内容が明らかにされれば消費者もその前提で店を選ぶようになるとして「売り上げ減が今後も続くとは直ちに判断できない」と退けた。
  韓流村は請求が退けられた部分を不服として控訴する方針。カカクコムもホームページ上で「不当な判決と考えている。控訴審で問題点を指摘し、当社の正当性を改めて主張する」と控訴の方針を示した。

  食べログ側はアルゴリズムの変更を「消費者の利益に資する目的があり、評点の変動も当然に想定されている」と主張していた。評点を決定するアルゴリズムは不正な評点操作の可能性を理由に詳細が公表されておらず、今回の訴訟では当事者に限って開示された。
  判決などによると、食べログのアルゴリズム変更後、韓流村が展開する「KollaBo」21店のうち大半で評点が平均約0・2ポイント下落。減少幅が最大0・45ポイントに上った店舗もあり、食べログ経由の客が減少した。


2022.01.26-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/article/20220126-JENSAJX7I5JOZG64FB3H3NVFAI/
新規上場の価格設定、過小値付けは独禁法違反恐れ 公取委が見解提示へ

  公正取引委員会企業の新規上場時の公開価格に関し、証券会社が一方的に過小な値付けをするのは、独禁法違反の恐れがあるとの見解を示すことが26日、分かった。昨年から実態把握を進めており、近く報告書を公表する。新興企業が十分に資金調達できる環境の整備につなげる。

  公開価格をめぐっては、市場で売買が初めて成立した「初値」との差が欧米と比べ大きく、企業の資金調達額が少なくなっているとの指摘がある。このため公取委は昨年から、公開価格の設定プロセスについて実態把握を進めていた。







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