アメリカと中国の問題-1


2024.03.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240301-3PIIS6YMPJO7TM657O5MDZCLYA/
中国へ軍事データ輸出 米、ボーイングに罰金

  米国務省は2月29日、航空機大手ボーイングが軍事関連の技術データを無許可で中国に輸出するなど、武器輸出管理法と国際武器取引規則に抵触する199件の違反があったと発表した。双方は、ボーイングが5100万ドル(約76億5千万円)の罰金を支払うことで和解した。

  国務省によると、ボーイングは技術データを無許可で外国人従業員らに譲渡したり、軍事関連物資を海外へ輸出したりしていた。大半は2020年以前に発生し、ボーイングが自主的に違反を申告したという。
  国務省は罰金のうち2400万ドルについて、ボーイングがコンプライアンス強化に充てることを条件に支払いの保留を認めた。(共同)



2023.12.15-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231215-3W5TYR3NEBPFVIOJXVYZ6TL5CA/
米、香港民主派手配を非難

  米国務省のミラー報道官は14日の記者会見で、香港警察が海外在住の民主活動家ら5人を国家安全維持法(国安法)違反容疑で指名手配し、懸賞金を出すとしたことについて「強く非難する」と述べた。

  5人の中には米国を拠点とする活動家が含まれるミラー氏は「民主主義と人権に関する国際規範を無視したものだ」と指摘。国安法に域外管轄権の規定があることに触れた上で「香港当局は米国内で管轄権を持たない」とけん制した。(共同)


2023.12.04-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231204-I7GGVH5VBRN67CMBKFBZFQLOFM/
中国、南シナ海で米艦追跡 主権侵害と非難

  中国軍南部戦区は4日、米軍の軍艦が南シナ海のアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)の近海に同日入ったため、追跡して警戒態勢を取ったとする談話を発表した。

  中国の主権を侵害したと米国を非難し「米国は南シナ海の平和と安定の最大の脅威だ」とした。中国はアユンギン礁に主権を有すると主張し、周辺海域でフィリピンと対立が激化している。(共同)


2023.11.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231116/k10014259331000.html
米中首脳会談 “国防相会談再開”で合意 台湾めぐっては平行線

  アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席は、日本時間の16日、アメリカ西海岸のサンフランシスコ近郊で1年ぶりに首脳会談を行い、国防相会談を再開させることなどで合意しました。ただ台湾をめぐっては議論は平行線をたどり立場の隔たりも浮き彫りとなりました。

1年ぶりの会談 4時間にわたり議論
  アメリカ側の発表によりますと、両首脳は会談で、去年11月以降行われていない国防相会談を再開させることや、米中の軍の司令官どうしが軍事演習や軍の展開について対話を行うことで合意しました。
  また、AI=人工知能の安全性を向上させるため、両政府で協議することや、国際的な違法薬物の製造や密売への対応を両国が協力して進めることを確認したとしています。
  一方、アメリカ政府高官によりますと、台湾をめぐってバイデン大統領は台湾周辺での中国の軍事的な行動が緊張と懸念を高めていると指摘し、「中国は戦略を考え直す必要がある」と指摘したということです。
  また、来年1月に行われる台湾総統選挙に中国が介入しないよう求めたとしています。中国外務省によりますと、これに対して習主席は「アメリカは台湾を武装することをやめ、中国の平和的な統一を支持すべきだ」と強調したということです。
  また、アメリカ政府高官によりますと、習主席は会談で「アメリカでは2027年や2035年に中国が軍事作戦を計画しているとの報道があるが、そのような計画はない。誰からも私は聞いていない」と強く反論したということです。
  台湾をめぐり議論は平行線をたどり双方の立場の隔たりが浮き彫りとなった形で、米中両国が首脳どうしの合意にもとづき、実際に競争を管理していけるかが問われることになります。
会談冒頭 バイデン大統領「競争が衝突へ転じないように」
  バイデン大統領は習近平国家主席との首脳会談の冒頭「去年、G20にあわせてインドネシアのバリ島で私たちが会って以来、われわれのチームの主要なメンバーはさまざまな問題について重要な議論を交わしてきた。対面での話し合いにかわるものはない。私たちの話し合いはいつも率直であり、感謝している」と述べました。
  そして、「わたしは今回の会談を重視している。指導者どうしが互いに誤解をしないことは最も重要だと考えているからだ」としたうえで、「私たちは競争が衝突へと転じないよう、責任ある形で競争を管理していかなければならない」と述べました。
会談冒頭 習国家主席「新しい合意に達すること期待」
  習近平国家主席は会談の冒頭、「世界は新型コロナウイルスの感染拡大からは抜け出したが、大きな影響はまだ残っている。世界経済は回復し始めたが力強さに欠け、産業のサプライチェーンは妨げられ、保護主義が台頭するなど、これらの問題が非常に際立っている。世界で最も重要な二国間関係として、中米関係は人類の進歩のために責任を果たさなければならない」と述べました。
  そして、「この50年余り、中米関係は順風満帆ではなく、紆余曲折(うよきょくせつ)の中で前に向かって発展してきた」としたうえで、「この地球は中米両国を受け入れることができる。それぞれの成功は互いのチャンスだ。私は中米関係の将来は明るいとかたく信じている」と述べました。
  また、習国家主席は「両大国が関わり合わないことはいけないことで、お互いのことを変えようとすることも現実的ではなく、衝突と対抗の結果には誰も耐えることはできない」と述べたうえで、私と大統領は中米関係をかじ取りする者として人々、世界、歴史に対し、重い責任を背負っている。きょう、私は大統領と中米関係の戦略性、方向性、それに世界の平和と発展の重大な問題について、突っ込んだ意見交換を行い、新しい合意に達することを期待している」と述べました。
  さらに、大国による競争はこの時代の潮流ではなく、両国と世界が直面する問題を解決することもできない」としたうえで、両国の歴史、文化、社会制度、発展の道が異なることは客観的な現実だ。しかし、双方が相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力を堅持するかぎり、完全に相違を乗り越えて、正しくつきあう道を見つけることができる」と述べました。
習主席 台湾の平和的統一への支持や一方的制裁の撤廃求める
  習近平国家主席はバイデン大統領との首脳会談で、台湾の平和的な統一への支持、一方的な制裁の撤廃を求めました。
  中国の国営メディアによりますと、習主席はバイデン大統領との首脳会談で台湾について取り上げ、「台湾問題は常に中米関係において、最も重要で敏感な問題だ」と指摘しました。
  そのうえで、「アメリカは『台湾独立』を支持しないという態度をはっきりと具体的な行動で示し、台湾を武装することをやめ、中国の平和的な統一を支持すべきだ中国は最終的に統一される。統一は必然だ」として、みずからが強い意欲を示す台湾統一について強調しました。
  また、習国家主席はアメリカが実施している中国向けの輸出規制について、「中国の正当な利益を著しく損なっている。中国の科学技術を抑圧することは中国の質の高い発展を封じ込め、国民の発展の権利を奪い取ることだ」と強く反発しました。
  そして、「アメリカ側が中国側の懸念と厳粛に向き合い、一方的な制裁を撤廃し、中国企業に公平かつ公正で、差別をしない環境を提供することを望む」として、アメリカ側に制裁の解除を求めました。
「5本の柱 築くべき」習主席が会談で示す 中国外務省
  中国外務省によりますと、習近平国家主席はアメリカのバイデン大統領との会談で、「中国とアメリカは新たなビジョンを持ち、共に努力して中米関係の5本の柱を築くべきだ」として、両国がともに取り組むべき5つのことを示しました。
  それによりますと、1つ目は「共に正しい認識を確立すること」で、両国がパートナーとなり、互いに尊重し平和共存することを望むとしています。
  2つ目は「共に意見の隔たりを効果的に管理すること」で、より多くの意思疎通と対話を行い、意見の隔たりや予想外のできごとに冷静に対処しなければならないとしています。
  3つ目は「共に互いに利益のある協力を推進していくこと」で、経済や貿易、農業などの伝統的な分野だけでなく、気候変動やAI=人工知能などの新たな分野も含め、さまざまな分野で協力すべきだととしています。
  4つ目は「共に大国としての責任を果たすこと」で、人類が直面している困難を解決するには大国の協力が欠かせず、米中両国は率先して国際社会や地域の問題で協調と協力を強化すべきだとしています。
  そして5つ目は「共に交流を促進すること」で、両国の直行便の増加や観光協力の促進、地方の交流拡大、それに教育分野の協力を強化して、両国民の往来と意思疎通を奨励し、支援しなければならないとしています。
「20余りの項目で合意 対話と協力は正しい選択」中国外務省
  中国の習近平国家主席とアメリカのバイデン大統領との首脳会談について、中国外務省の報道官は16日の記者会見で、「20余りの項目で合意に達した」と述べ、多くの成果があったと強調しました。
  このなかで、中国外務省の毛寧報道官は「戦略的意義と大きな影響のある会談であり、現在の国際関係の中で大きなできごとだ。政治、外交、民間交流、軍事や安全保障など、20余りの項目で合意に達した」と述べ、多くの成果があったと強調しました。
  そのうえで「対話と協力は両国にとって唯一の正しい選択だ。両国の関係を安定させる新しい出発点になるだろう」と述べ、関係安定化に向けて期待を示しました。「各領域の対話と協力強化で合意」中国 新華社通信
  中国国営の新華社通信は習近平国家主席とバイデン大統領の首脳会談の結果について、「両国の首脳は各領域の対話と協力を推し進めて、強化することで合意した」と伝えました。 具体的には、「平等と尊重に基づく」として、米中両国の間で軍のハイレベル対話や防衛当局による会談、それに海上軍事安全協議のメカニズム会合を再開させることなどを合意したとしています。このほか、米中両首脳はAI=人工知能についての政府間対話の立ち上げや、中国とアメリカの薬物の取り締まりをめぐる作業部会の設立も合意したとしています。
  さらに、来年の早い時期に航空便を大幅に増加させることや、教育やスポーツ、ビジネスなどの分野で交流を拡大させることにも合意したとしています。また、中国とアメリカで気候変動対策を強化するための作業部会を立ち上げることも明らかにしました
会談後 バイデン大統領が会見「これまでで最も建設的で生産的」
  会談のあと、バイデン大統領は単独で記者会見し、「これまでで最も建設的で生産的な議論ができたと思う」と述べたうえで、「私と習近平主席の間を含むハイレベルでの外交を維持し、追求していくことになった。私たちはすぐに電話で直接、連絡をとれるようにすることで合意した」と明らかにしました。
  そして、「われわれは軍どうしの直接の連絡を再開させる。大きな進展があった」と強調しました。
  これについてバイデン政権の高官は、両首脳が去年11月以降、行われていない国防相会談を再開させることで合意したと明らかにしました。
  また、米中の軍の制服組トップや司令官どうしが軍事演習や軍の展開について対話を行うことでも合意したとしています。
  また、「アメリカは中国とこれからも競争するが、その競争は責任を持って管理する。衝突や偶発的な衝突に陥らない。私たちは協力しあうつもりだ。それが世界が私たちに期待していることだ」と述べました。
  さらに、台湾については,「私は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した」と述べました。
会談では2人で散歩の様子も
  今回の会談ではバイデン大統領と習近平国家主席が2人で並んで、言葉を交わしながら、会場の敷地内の庭を散歩する様子も見られました。会談の状況について記者団から質問されると、バイデン大統領は両手の親指を立て「うまくいっている」という身ぶりを示して応じました。そして、習主席も記者団に向かって手を挙げて、呼びかけに応じていました。
習主席「38年前の私の写真 バイデン大統領が見せてくれた」
  中国の習近平国家主席とアメリカのバイデン大統領の首脳会談に同席した中国外務省の華春瑩報道官は、旧ツイッターの「X」に、両首脳が談笑する様子を撮影した写真と、習主席が、かつてサンフランシスコの名所、ゴールデンゲートブリッジを訪れた際の写真を投稿しました。
  投稿では、バイデン大統領が習主席にスマートフォンで写真を見せ「この若者を知っていますか」と尋ねたのに対し、習主席が「はい、これは38年前のことです」と答えたとしています。これについて、アメリカの団体が主催した夕食会であいさつした習主席は、「私が1985年に初めてアメリカを訪れた際の写真を、バイデン大統領がどこからか探して私に見せてくれた」と紹介し、会場の笑いを誘っていました。中国側としては、両国の友好ムードを演出したい思惑もあるとみられます。
習主席 会談後に「米中の協力必要」民間交流活性化を呼びかけ
  中国の習近平国家主席は、サンフランシスコの友好団体などが主催した夕食会で演説し、「世界の未来には、中国とアメリカの協力が必要だ」などと述べた上で民間交流の活性化を呼びかけました。
  中国の習近平国家主席は、アメリカのバイデン大統領との首脳会談を終えたあと、日本時間の16日午後、中国との交流を担う現地の友好団体などが主催した夕食会で演説しました。
  この中で、習主席は、1985年に初めてアメリカを訪れ、中西部アイオワ州でホームステイした思い出を紹介し「両国は歴史も文化も社会制度も違うが、国民はともに親切で勤勉であることが分かった」などと振り返り、民間交流の重要性を強調しました。
  そのうえで習主席は、「世界の未来には、中国とアメリカの協力が必要だ。民間の力を結集して、ともに両国の友好という偉大な事業を完成させよう」と述べ、両国関係の安定に向けて民間交流の活性化を呼びかけました。
  一方、習主席は演説の中で、「中国はアメリカの内政に干渉しないし、アメリカに取って代わろうという意図もない。アメリカも、中国の内政に干渉すべきでない」とも述べ、台湾や南シナ海の情勢などを念頭に、アメリカに対し関与を強めないようくぎを刺しました。
アメリカ ロシアとも接触するか注目
  一方、ロシア外務省のザハロワ報道官は15日に行った会見の中で、APECの首脳会議をめぐり、「アメリカから水面下ではあるが、われわれと現実的で非公式な対話を行う用意があるというシグナルがでている」などと述べ、アメリカ側から何らかの対話の打診が内々にあったと主張しました。
  APECの首脳会議にはロシアからはプーチン大統領は出席せず、代わりにオベルチュク副首相が出席することになっています。
  ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によってアメリカとロシアの対立が深まるなか、両国の間で何らかの接触が見られるか注目されます。
上川外務大臣「米中関係の安定は極めて重要」
  上川外務大臣は、訪問先のサンフランシスコで記者団に対し、「米中両国の関係の安定は国際社会にとって極めて重要だ。日本としては同盟国であるアメリカとの強固な信頼関係のもと協力を進めつつ、中国に対して大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきたい」と述べました。
松野官房長官「中国とあらゆるレベルで緊密に意思疎通図る」
  松野官房長官は16日午前の記者会見で、「米中両国の関係の安定は国際社会にとっても極めて重要だ。日本としては引き続き、同盟国のアメリカとの強固な信頼関係のもと、さまざまな協力を進めつつ、中国に対し大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきたい」と述べました。
  一方、実施に向けて調整が進められている日中首脳会談については、「現時点で何ら決まっておらず、議論の内容を予断することは差し控える。わが国として主張すべきは主張し、諸懸案も含めて対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力するという建設的かつ安定的な関係の構築を進めていく方針のもと、中国とはあらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていきたい」と述べました。
中国外務省 日中首脳会談は「提供できる情報ない」
  調整が続けられている岸田総理大臣と中国の習近平国家主席の首脳会談について、中国外務省の毛寧報道官は16日の記者会見で、「提供できる情報はない」と述べるにとどまりました。


2023.10.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231018-MQH3D22B4BP6HOEWKC4KX27XYE/
米、中国軍の危険行為急増で機密解除の映像公開 わずか50フィートまで接近も

  【ワシントン=坂本一之】米国防総省は17日、東・南シナ海の国際空域を飛行中の米軍機に対する中国軍の「威圧的で危険な行動」を示す15件の機密解除された映像や画像を公開した。ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は記者会見で、中国軍の米軍機に対する危険な挑発行為は2年間で180件超に達したとし、「このような行動を止めるべきだ」と述べ中国を批判した。

  15件の資料は2022年1月~23年9月に起きたもので、今年9月21日の映像では南シナ海上空を飛行していた米軍機にわずか50フィート(約15メートル)まで接近し、飛行を妨害した中国軍の戦闘機が映っている。
  ラトナー氏は、中国軍の「威圧的で危険な行動」が21年秋からの2年間で180件超となり、その前の10年間にわたる件数を上回ったと説明。中国軍が威圧を強めていることを強調した。米国の同盟国や友好国への行為を含めた件数は21年秋からの2年間で300件規模になるという。
  ラトナー氏は、中国軍の「行動は事故を引き起こし想定外の衝突につながりかねない」と強い懸念を表明し自制を要求した。「米国は国際法が許す限り安全かつ責任ある飛行、航行を続ける」と述べ、中国の威圧に屈しない姿勢を示した。
  世界の安全保障環境を巡っては、欧州地域でロシアによるウクライナ侵略が続き、中東地域ではイスラム原理主義組織ハマスのイスラエル攻撃が起きるなど悪化している。米国防総省はインド太平洋地域で軍事覇権を強める中国軍の危険な挑発行為を公表することで、中国の動きを牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。


2023.09.30-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230930-RQOR3GU5PFKWJFALEAJDO533JM/
米企業幹部を出国禁止か 中国当局、報道

  米紙ウォールストリート・ジャーナルは29日、米コンサルティング会社幹部が、滞在する中国本土からの出国を約2カ月にわたって中国当局に禁止されていると報じた。数年前の事件の捜査に協力しているという。関係者の話として伝えた。

  同紙によると、幹部はマイケル・チャン氏で、企業調査やリスク分析を手がける「クロール」で勤務。7月に中国本土に入った後、会社側へ中国から離れられないと伝えた。捜査対象ではなく、本土内での移動は自由という。香港を拠点に活動し、香港の旅券を所有している。
  中国では外国企業の締め付けが強まっており、今年に入って複数の米コンサル会社が国家安全当局の調査を受けるなどした。今月25日には野村ホールディングス傘下の香港法人幹部が中国本土からの出国を当局から禁止されたとも報じられ、外国企業の間で懸念が高まっている。(共同)


2023.08.02-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230802-3BLQ66Z5XBKJTFFWOWBA3B4Y64/
「ウイグル強制労働はウソ」 中国、米国の輸入規制を非難

  中国外務省の報道官は2日、米政府が中国新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法に基づき新たに中国企業2社からの輸入を規制すると発表したことに関し「強く非難し、断固反対する」との談話を出した。自治区での強制労働は「そもそもうそだ」と主張した。

  同法に関しては、貿易ルールを破壊し、国際的なサプライチェーン(供給網)の安定に害を与えると批判した。(共同)


2023.07.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230730-7XTOG7H2C5OEFG4TENVKA574BU/
米、中国のマルウエア探索 米軍基地への工作阻止

  【ワシントン=坂本一之】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は29日、米軍の重要拠点がある米領グアムのインフラに中国のマルウエア(悪意のあるソフト)が仕掛けられていたことが判明し、バイデン政権が中国製マルウエアの探索を米国内外で実施していると報じた。米軍の混乱を狙った中国側の工作の一環とみて、中国が台湾に侵攻した際にマルウエアが発動し米軍の対処を遅らせることなどを警戒している。

  発見された中国のマルウエアは、マイクロソフト社がグアムなどの通信インフラで不審なプログラムを発見したことをきっかけに5月に判明。中国の国家的な支援を受けるハッカー集団によるものとしている。
  グアムは、インド太平洋地域で軍事覇権を拡大する中国軍と対峙(たいじ)する米軍にとって重要な拠点で、戦略爆撃機も展開するアンダーセン空軍基地などがある。
  米当局は、米国内や海外の米軍基地につながる通信や電力、用水などのインフラを管理するシステムの深部にマルウエアが仕掛けられていないか探索し、除去を進めている。
  有事の際にマルウエアが作動して米軍基地への電力や水の供給、通信が遮断されれば、部隊の展開や補給活動が遅れて混乱に陥る恐れもある。中国の台湾侵攻が起きた場合、グアムは米軍による台湾防衛支援の拠点の1つになる見込みだ。中国側にとっては、マルウエアで米軍の対応を遅らせて中国軍に有利な環境をつくる手段の一つとなる。


2023.07.17.-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230717-WHRLYQ3BJVOQJOWVG46XQI2KDE/
米国への中国人不法移民が急増 政府の抑圧逃れ亡命希望

  【ワシントン=渡辺浩生】メキシコ国境から米国へ不法入国する中国籍の移民が急増している。今年に入りすでに1万件を超えた。ヒスパニック(中南米系)移民と同様に陸路で国境を越え、亡命を希望する者が大半だ。中国の新型コロナウイルス対策で仕事を失ったり、人権侵害や宗教上の迫害を受けたりしたことなどが理由という。

  米税関・国境警備局(CBP)が今年1~5月に確認した南部国境からの中国籍の不法入国は1万728件で昨年同期の件数の約18倍。昨秋から増え始め1月に1千人を超え月間では4月の3205人が最多。中国籍は全体の約1%だが、伸びは際立っている。
  ルートは、中国からビザ(査証)なしで入国できる南米エクアドルに空路でまず入る。そこからは陸路を徒歩や車で、コロンビアなどの中南米諸国を経て北上する。米国境へは直線距離で約3700キロもある。
  テキサス州のメキシコ国境沿いの街ラレードで移民保護施設を運営する「カトリック・チャリティーズ・ラレード教区」のレベッカ・ソロア事務局長によると、中国人の移民を初めて受け入れたのが今年3月でこれまでに約20人を保護。大半が成人男性だが、親子1組、女性も1人いた。
  理由を聴取したところ、一番多いのは中国のゼロコロナ対策、都市封鎖によって失業したり事業が継続できなくなったりしたこと。当局から宗教上の迫害を受けたキリスト教徒も5人いた。
  警察から不当な取り調べを受けたという女性は「法的な保護がない」ことを挙げた。「共通するのは国の統治に不満を抱き、政府からの抑圧を感じていることだ」とソロア氏。全員が亡命希望者で正式な申請のためロサンゼルスやニューヨークに向かったという。

  米国では国境警備当局に拘束された不法入国者が亡命を希望し正当な理由が認められた場合、米国内の裁判所での審査のため滞在が認められる。中国人の亡命が認められる率はヒスパニック系よりも高いという。
  中国人が危険な陸路を選ぶのは、新型コロナ流行以降米国ビザ取得が困難になったことがある。コロンビア・パナマ国境地帯は密林や山岳が続くルート最大の難所だが、パナマ入国管理局によると今年1~2月に出入国した外国人で中国籍はハイチ、ベネズエラなどに続き4番目に多かった。
  ロイター通信によると、交流サイト(SNS)を通じ密航を手引きする犯罪組織が存在し、中国人とみられる人物が動画を投稿して情報提供し、志願者を引き付けている。一方、対中強硬派が占める共和党には、亡命希望者を装った中国政府との内通者も交じっている可能性があるなどと、安全保障上の懸念を指摘する声がある。「バイデン政権は中国の不法移民を解放し、法律を執行すらしない」とホーリー上院議員は批判。大統領候補に名乗りを上げたフロリダ州のデサンティス知事も「1万人以上の中国人が南部国境を越えている」と厳格な国境対策を訴える。


2023.04.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230418-47WYKOLGCJIFBFXD5QUONDR6PI/
米、中国の「海外派出所」を初摘発 逮捕の2人、捜査妨害や嫌がらせも

  【ワシントン=大内清】米司法省は17日、中国警察が米国内に違法に設置した「海外派出所」の開設・運営に関与したなどとして、東部ニューヨーク州に住む中国系米国人の男2人逮捕したと発表した。米メディアによると、中国の海外派出所が刑事事件として摘発されたのは世界初中国当局は反体制派弾圧や諜報活動の拠点として海外派出所を世界で100カ所以上設置しているとみられており、各国でも海外派出所の摘発や実態解明が進む可能性がある。

  司法省は同日、交流サイト(SNS)で米国在住の民主活動家らへの嫌がらせや恫喝(どうかつ)を繰り返したなどとして、中国の公安省や国家インターネット情報弁公室の職員ら計44人を訴追したことも明らかにした。44人は中国国内やアジア各地に潜伏しているとみられる。
  オルセン司法次官補(国家安全保障担当)は声明で、中国による米国内での反体制派弾圧は「国民国家の振る舞いとして許容範囲を大きく逸脱している」と非難。「強権主義の脅威から米国内に住む者の自由を守る」と強調した。
  司法省の発表によると、逮捕されたのはA-1容疑者(61)とB-1容疑者(59)。2人は中国公安省が2022年初めにニューヨーク州マンハッタンの中国人街にあるオフィスビルに米国で最初の海外派出所を設置するのを手助けした。派出所はその後、連邦捜査局(FBI)の捜査対象となり、同年秋に閉鎖されたが、2人はその際に公安省当局者らとの通信記録を消去するなどして捜査を妨害した疑いがある。
  ルー容疑者は公安省と長年にわたる接点があり、中国政府に批判的な在米中国人に帰国するよう圧力をかけたり、西部カリフォルニア州に住む民主活動家の居場所特定を手伝ったりした疑いもあるという。また訴追された公安省職員らはSNS上で偽のアカウントを多数運用し、監視対象の在米中国人らに悪質なメッセージを送りつける嫌がらせをしたり、中国政府のプロパガンダ(政治宣伝)を拡散させたりしていた。


2023.02.20-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230220-OYT1T50141/
米国務長官、中国の対ロシア武器提供を強くけん制…「米中関係に重大な結果生じる」

  【ミュンヘン=蒔田一彦】米国のブリンケン国務長官は20日、訪問先のトルコ・アンカラで記者会見し、ウクライナへの侵略を続けるロシアに中国が武器提供を検討しているとして改めて懸念を示し、実施すれば「米中関係に重大な結果が生じる」と強くけん制した。

  トルコ外相と会談後の共同記者会見で「中国がロシアに対して殺傷力のある支援を検討していることを懸念しており、注視している」と述べた。懸念は、18日に中国外交トップの 王毅ワンイー 共産党政治局員とドイツ・ミュンヘンで会談した際に直接伝えている
  ブリンケン氏は「中国がロシアに支援を提供すれば多くの国が非常に深刻に受け止め、中国と他国との関係においても大きな問題となるだろう」と指摘。「中国はどんなリスクがあるか理解していると思う」とし、武器提供を行わないと「期待している」とも語った。
  中国外務省 汪文斌(ワンウエンビン) 副報道局長は20日の記者会見で、「戦場に絶えず武器を送っているのは米国であって中国ではない。中国に指示する資格は米側にはない」と反発した。


2023.02.19-Yahoo!Japanユース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/3aed433146d7b92ad25e42cde1aacd3824a338e2
衝突回避が本音も非難の応酬に 米中外交トップ会談

  中国偵察気球の米本土上空飛来、そして米軍による撃墜後初となった米中外交担当トップの会談は、非難の応酬となった。決定的な衝突は回避したい両国の思惑が見えるものの、溝の深さを印象づけた。

  【ワシントン=渡辺浩生】ブリンケン米国務長官が18日、中国の外交担当トップ、王毅(おうき)共産党政治局員と会談したのは、中国の偵察気球の飛行に毅然(きぜん)とした態度を示す一方で冷却化した米中関係の底割れは回避させる狙いがあった。
  ウクライナに侵略を続けるロシアに武器供与をしないようくぎを刺す必要もあった。
  ただし、不測の事態を回避するため昨年11月の首脳会談で合意した対話路線に米中が再び向かう保証はない。 ブリンケン氏は会談後、米NBCテレビとのインタビューで、気球をめぐり王毅氏から「謝罪の言葉はなかった」としながら、「明確かつ直接的に米国の領土、主権、国際法の侵害だと伝える機会となった」と会談の意義を語った。
  米上空を横断した中国の気球は4日に東海岸沖で撃墜されたが、ブリンケン氏は3日に出発を予定していた訪中を延期。気球は他のものも含めて40カ国超を飛行するなど世界規模の偵察計画であることも明らかになった。
   議会では対中強硬姿勢が一段と高まり、バイデン政権の「弱腰」を批判する声がくすぶる。政権は「二度と起きることは許されない」(国務省のプライス報道官)と気球問題に厳しく対処する必要があった。
  ただし、バイデン大統領は16日の演説で「中国との紛争も新冷戦も望んでいない」と語った。米中間の衝突を防ぐ「防護柵」構築という従来の目標は堅持し、習近平国家主席との対話を再開させる意向を示す。
  米国は、中国側も対米関係が気球問題で決裂することは望んでいないとみており、安全保障会議が開かれたミュンヘンは〝仕切り直し〟の格好の機会だった。
  一方、習氏は2027年までに台湾侵攻の準備完了を軍に指示したとされ、バイデン政権は抑止力強化を急ぐため同盟国との連携に加え、台湾当局との意思疎通を模索し、チェイス国防次官補代理の訪台も報じられた。
  中国は反発し台湾への軍事威圧を強めている。 政権はまた、中国が兵器不足に悩むロシアに軍事支援を検討していると警戒しブリンケン氏は王毅氏に制裁をちらつかせた。米中の火種は尽きそうにない。

  【北京=三塚聖平】中国の王毅共産党政治局員は、ブリンケン米国務長官との会談で、米中間の懸案となっている気球問題について「武力を乱用して中米関係を損なった」と米側に責任があると主張した。
  中国側も水面下では緊張緩和を模索しつつ、国内の厳しい対米世論も意識して強硬姿勢を崩すことができず、米側に責任を転嫁している。
  中国外務省は、今回の会談は米国の求めに応じた「非公式な接触」だったと強調している。王氏は会談で、気球問題に関して謝罪をしなかったといい、米側の対応を非難する厳しい姿勢に終始したとみられる。
  米中間の溝の深さが改めて浮き彫りになった形だ。 王氏は18日にミュンヘン安全保障会議で行った演説で、気球問題について「米国が作り出した政治的な茶番劇だ」と主張。米軍が気球を撃墜したことに対し「常軌を逸しており、ヒステリーに近い。100%の武力乱用だ」と反発した。
  問題を気球そのものから、それを撃墜した米側の責任にそらす思惑がうかがわれる。さらに「偶発的な事件が中米関係に大波を起こした原因は、米国の誤った対中認識と戦略上の判断ミスにある」と述べ、米中関係改善の責任は米側にあると主張した。
  一方で中国側としても、現時点で米国との対立が制御不能になるまで激化するのは避けたいのが本音とみられる。王氏とブリンケン氏の会談に関する中国外務省の発表文は、気球問題に関する中国側の発言だけを非常に簡潔に紹介するものだった。
  国営メディアの報道も抑制的で、国内世論を過度に刺激しないよう配慮しているとみられる。
  米中間では、気球問題以外にも課題が山積している。王氏は演説で「ウクライナ問題で各国が主権と領土保全の擁護を強調するように、台湾問題でもこの原則は堅持されなければならない」と発言。
  台湾の蔡英文政権への支援姿勢を強める米側を牽制した。 王氏は今回の欧州訪問を通じ、対立解消が難しい対米を念頭に欧州各国との関係強化を図った。王氏はフランスのマクロン大統領と15日に会談し、ウクライナ問題の解決に向けて連携を呼び掛けた。欧州各国の関心が高いウクライナ問題で存在感を示す考えとみられる。

2023.02.13-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2023021300136&g=int
米軍、未確認飛行物体を撃墜 過去2週間で4件目―バイデン大統領が指示

  【ワシントン時事】米軍は12日午後(日本時間13日未明)、五大湖の一つで米国とカナダにまたがるヒューロン湖の上空で、未確認の「飛行物体」を撃墜した。米国防総省が12日、発表した。これに先立ち、連邦航空局(FAA)は隣接するミシガン湖上空で民間機の飛行を規制していた。

  米軍による飛行物体の撃墜は11日のカナダ上空に続いて、過去2週間で4件目となる。
  国防総省によると、飛行物体は約6000メートル上空を飛行。バイデン大統領の指示に基づき、F16戦闘機がミサイルで撃墜した。ロイター通信によると、物体は八角形のような構造だったという。
  中国が世界各地に飛ばしているとされる偵察気球との関連など、物体の詳細は不明。今後、物体の残骸を回収し、飛行目的などを分析する。


2023.02.10-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20230210/k00/00m/030/029000c
中国偵察気球に通信傍受機器 米分析「気象観測用主張と矛盾」
【ワシントン鈴木一生】

  米国務省高官は9日、中国の偵察気球が米領空に侵入した問題で、気球が電波信号の傍受による情報収集活動の能力を持った機器を搭載していたと明らかにした。写真分析の結果、判明したという。中国政府の「気象観測用の民間飛行船」との主張と「矛盾する」と強調した。

  分析した写真は米軍偵察機U2によって撮影された。高官によると、気球は多数のアンテナを搭載。通信の収集とともに位置情報を特定するものも含まれていたという。情報収集のセンサーの電源用ソーラーパネルも装備されていた。高官は「このような活動は中国人民解放軍の指示で実施されることが多い」と指摘した。
  また、気球は人民解放軍と関連する中国企業が製造したと分析。これらの企業に対して「何らかの措置を検討している」と明らかにした。中国はこれまでに気球を用いた同様の偵察を五大陸の40カ国超の上空で実施していたとも指摘した。
  国務省のシャーマン副長官は9日の上院外交委員会の公聴会で「今回の中国の無責任な行為は国内でより抑圧的になり、海外でより攻撃的になっていることを如実に表している」と述べた。【ワシントン鈴木一生】


2023.02.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230205-URQJGHIBCZLYNL4UQFOMTGUFYA/
中国、気球撃墜に「強烈な不満と抗議」表明 対抗措置も示唆

  【北京=三塚聖平】中国外務省は5日、米国が中国の偵察気球を撃墜したと発表したことに対し、「強烈な不満と抗議」を示す声明を発表した。米側に対し「明らかに過度の反応で、国際的な慣例に深刻に違反している」と反発し、対抗措置を取る可能性を示唆した。

  中国外務省は声明で、撃墜された気球は民間のものであり、「不可抗力によって米国に入った。完全に不測の事態だ」などと米側に何度も連絡していたと説明。その上で、米国が「頑として武力を行使した」などと批判し、「中国は関係企業の正当な権益を断固として守るとともに、さらに必要な反応を取る権利を残しておく」と強調した。今後、中国側が実際に対抗措置に踏み切って、事態がエスカレートするか注視される。
  中国側は、撃墜された気球は気象などの科学研究用のもので、偏西風の影響を受けて予定の飛行コースから大きく外れて「不可抗力で米国に誤って入った」などと主張している。


2023.02.05-FNNプライムオンライン-https://www.fnn.jp/articles/-/481438
【速報】中国の偵察気球 アメリカ軍が撃墜 米領海内に落下か

  アメリカ上空を飛行していた中国の偵察気球について、バイデン大統領は4日、打ち落としたと発表した。

  バイデン大統領は4日午後、アメリカ上空を飛行していた中国の偵察気球について、国防総省に撃墜するよう指示し、アメリカ軍所属の戦闘機が打ち落としたと発表した。偵察気球は、東部サウスカロライナ州沖のアメリカの領海内に落下したという。
  現在、破片の回収作業が行われているとみられ、中国が収集したとみられる情報の分析を進める可能性がある。これに先立ち、アメリカのブリンケン国務長官は3日、中国の王毅政治局委員と電話会談し、「わが国の主権の侵害で無責任な行為だ」と抗議した。
  これに対し、王氏は「理由のない臆測や騒ぎ立てる行為は受け入れられない」と主張した。しかし、気球をめぐる中国側の反発は抑制的で、アメリカとの意思疎通を維持したい考えとみられる。


2023.02.05-TBS NEWS DIG.-https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/310342?display=1
“撃墜”中国の「偵察気球」に似た物体  2019年に日本で目撃…鹿児島での事例詳しく
(1)
  アメリカ国防総省は、中国が飛ばした偵察用の気球がモンタナ州などアメリカ上空を飛行していることを明らかにしました。この問題で、中国政府は「この気球は中国から来ている」と認め、謝罪しました。「民間のもので、気象などの科学研究に使用されている」、「偏西風の影響を受け制御不能になった」などと説明し、「アメリカに侵入したことに遺憾の意を表明する」としています。
  いっぽう、アメリカ軍は日本時間の5日、南東部サウスカロライナ州沖で、戦闘機で気球を撃墜しました。中国はアメリカが気球を撃墜したことについて強烈な不満と抗議」を表明しています。アメリカで撮影された中国の偵察気球を見ると、気球から四角で黒い何らかの機器がぶら下がっているように見えます。

■スパイ風船?謎の気球2019年に鹿児島でも目撃
  鹿児島県内では2019年11月20日、上空に光る物体が飛んでいるとの目撃情報が相次ぎました。桜島を臨む鹿児島市上空です。2019年鹿児島市で目撃された飛行物体 アメリカで確認された「偵察気球」と同じようなものがぶら下がっている
  桜島の方向に浮かぶ白く光る物体。2019年11月20日午後5時半ごろ鹿児島市です。物体は鹿児島市、県北部の薩摩川内市、県中央部の霧島市、姶良市などでも目撃されました。
■鹿児島市で撮影した人「ワイヤーが見えた」
  鹿児島市の倉谷春輝さんも吉野町から光る物体を目撃しました。北の空に見えた物体は東の方向に流れていきました。
  (倉谷春輝さん)「30分くらい撮影しました。UFOかと思いました。でもワイヤーが見えて」
(2)
■中国の“偵察用気球”と似た特徴…天体望遠鏡でくっきりと
  天体望遠鏡で撮影した画像では、風船の下にぶら下がっている機器のようなものもはっきり見え、アメリカ本土で確認された中国の「偵察気球」に似ているように見えます。
■鹿児島県を横断か
  目撃情報などをあわせると風船は、川内原発がある薩摩川内市上空から東に流れていったとみられています。
■気象台にも自衛隊にも航空局にも韓国気象庁にも確認してみたら
  この時確認された飛行物体について、鹿児島地方気象台では「気象台の観測気球ではない」。甑島にある航空自衛隊下甑島分屯基地にも確認しましたが、「観測気球は過去にも飛ばしたことはない」、陸上自衛隊川内駐屯地も「自衛隊のものではない」との回答でした。韓国の気象当局も「韓国の観測気球ではない」と回答しました。
  観測気球やドローンなどを上げる場合、空港近くや人混みなどのエリアや条件によっては許可申請を行うことが航空法で定められていますが、大阪航空局によりますとこの時間帯に該当するような申請は行われていませんでした。
  視聴者からは「アドバルーンではないか?」との情報も寄せられました。そこで鹿児島市のアドバルーン業者に写真を見てもらいましたが…。
  (アドバルーン業者)「うちのじゃないかとおもって調べたら違った(笑)。飛ばされたアドバルーンだったらワイヤーはこんなに均一に垂れ下がらない。斜めのワイヤーはブレ防止ではないか。だから観測気球だと思う。むかし韓国のものが川内に落ちてきたことがある」

  今回アメリカが撃墜した中国の気球について、アメリカは「偵察用」と断定していて、落下した気球を回収して分析を進めるものとみられます。
  鹿児島上空を横切った謎の物体の正体は、中国の偵察気球なのか、観測気球かアドバルーンか、あるいはそれ以外のものなのか…。謎は膨らむばかりです。


2023.02.04-Yahoo!Japanニュース(TBS NEWS DIG.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d88c395c52ffab8564b7a189650d597c51526eaf
アメリカ国務長官は「中国訪問を延期」 米上空の気球 中国政府 米国と対応議論「どう冷静に処理するか」

  アメリカ上空で中国の気球が確認された問題で、アメリカの国務長官が訪中を延期した中、中国政府は今後の対応についてアメリカ側と話し合ったと明らかにしました。

   米国防総省 ライダー報道官 「中国の声明は把握していますが、事実としてはあれは偵察気球です」 アメリカ国防総省はこのように述べ、気球は操縦可能で、現地時間3日昼の段階でアメリカの中央あたりを飛行中だと明らかにしました。
  この気球について、中国政府は「気象などの科学研究に使用するもの」としていますが、アメリカのブリンケン国務長官は… アメリカ ブリンケン国務長官 「中国による容認できない行動を受け、今週末に予定していた中国訪問を延期します」 北京への訪問を急きょ延期すると発表。
  これに対し、中国政府はきょう、「アメリカ自身の問題であり我々は尊重する」とコメントを出したうえで、「アメリカの一部の政治家やメディアはこの問題を利用して中国を攻撃し、信用を落としている」と非難しました。
  一方、中国の外交トップ王毅政治局員は昨夜、ブリンケン国務長官と電話で会談。今後の対応について「偶発的な事件をどのように冷静に処理するか」話し合ったとしていて、王毅氏は「お互いがやるべきことは、コミュニケーションを維持し誤解を避け、意見の違いをコントロールすることだ」と述べたということです。
TBSテレビ


2023.01.04-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230204-OYT1T50038/
CIA長官「台湾侵攻、習氏が27年までに準備を指示と把握」…台湾軍事支援強化の重要性訴え

  【ワシントン=田島大志】米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は2日の講演で、中国 習近平 国家主席が「2027年までに台湾侵攻の準備を整えるよう軍に命じたことを指すインテリジェンス(情報)を把握している」と明らかにした。高度な情報を扱うCIAのトップが、具体的な情報に基づき台湾有事の可能性に触れるのは異例で、抑止力や対処力の強化を促す狙いとみられる。

  ジョージタウン大主催の行事に参加したバーンズ氏が学生の台湾問題に関する質問に答えたもので、「台湾に対する習氏の野心を過小評価しないことだ。これは何年にもわたり、かなり明確だ」と強調した。一方で「(習氏が)27年や他の年に侵略すると決めたわけではない」とも指摘し、抑止に向け、台湾への軍事支援強化の重要性を訴えた。
  米国では、インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官が21年に米議会で、台湾有事は27年までにあり得るとの見解を示していた。最近では、米空軍大将が、25年に起きる可能性を示すメモを作成したことが明らかになった。
  27年は中国共産党の第21回大会が開かれる年で、軍創設100年の節目にあたる。昨年の党大会で異例の3期目政権を発足させた習氏は、政権のさらなる長期化を視野に入れているとされ、自らのレガシー(政治的遺産)とするため、中台統一の実現に強い意向を抱いているとみられている。


2023.01.03-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/64507426
米上空に偵察気球か、「中国のものと確信」と米国防総省 撃墜はせず追跡中と

  アメリカ政府は2日、中国の偵察用気球とみられるものがここ数日、米本土の機密施設の上空を飛行しているのが確認され、追跡していると明らかにした。
  米国防当局は、この「高高度監視バルーン」は中国のものだと確信しているとしている。直近では、北西部モンタナ州の上空で目撃されたという。

  ホワイトハウスが当局に物体の撃墜を命じた場合に備えて、F-22などの戦闘機を用意したと、国防当局の高官は匿名を条件に語った。ただ、破片が落下して地上の人間に危険を及ぼす可能性があるため、米軍は撃墜を見送った。
  中国側はこれまでのところコメントしていない。ジョー・バイデン大統領は、状況について報告を受けているという。
  ロイド・オースティン国防長官や米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長ら軍トップは、その脅威について今月1日に協議した。オースティン国防長官は当時、フィリピンを訪問中だった。
アラスカ州やモンタナ州で目撃
  当局によると、偵察用気球とみられる物体は米アラスカ州のアリューシャン列島からカナダを通過し、1日には米モンタナ州ビリングス上空に現れた。
  モンタナ州は人口が少ない地域で、国内に3つしかない核ミサイル格納庫の1つを備えたマルムストローム空軍基地がある。当局は、偵察用気球とみられるものが情報収集のために機密施設の上空を飛行していたとしている。
  しかし、国防省の高官は、米当局者は「この気球がどこにあって、どこを通過しているのかを正確に把握している」ため、アメリカの情報が漏洩(ろうえい)するというような「著しい脅威の増大」はないと述べた。また、気球は民間航空会社の航空機が飛行する高度より「かなり」高い位置にあったため、民間航空機への脅威もないと付け加えた。
  アメリカは中国当局と、米ワシントンにある中国大使館に対してこの問題を提起したと、同高官は明らかにした。
  国防総省は2日の記者説明で、この飛行物体の現在の位置を明らかにしなかった。また、大きさなど、物体の詳細を公表することも拒否した。
  「かなり上空にあるにも関わらず、物体を目撃したという報告が複数のパイロットから寄せられている」、「つまり、かなりの大きさだということだ」と匿名の高官は述べた。同省はこうした前例はないわけではないが、「今回は以前よりも長い期間、漂っているようだ」と付け加えた。
  この物体をめぐり、モンタナ州のソーシャルメディアユーザーの間では混乱する声が上がった。空高くを飛んでいる青白い丸い物体の画像を投稿する人もいた。この地域で物体を監視しているように見える米軍機を目撃したとの報告も寄せられた。
  モンタナ州のグレッグ・ジアンフォルテ知事は声明で、「非常に懸念される」状況について説明を受けたと述べた。

  2日にワシントンで開かれた、偵察用気球とは無関係のイベントで、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は中国について、アメリカが現在直面している「最大の地政学的挑戦」だと述べた。気球については言及しなかった。
  今回の出来事は、来週にアントニー・ブリンケン国務長官がバイデン政権の閣僚として初めての中国訪問を控える中、両国の緊張を高める可能性がある。
  ブリンケン氏は安全保障や台湾、新型コロナウイルスなど幅広い問題について中国側と協議する予定。
  習近平国家主席との会談も予定されていると、英紙フィナンシャル・タイムズは2日に報じた。
(英語記事 US tracking suspected Chinese surveillance balloon


2022.12.30-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN294YS0Z21C22A2000000/
中国軍機、米軍機と6メートルに異常接近 南シナ海上空
(中村亮、北京=羽田野主)


  米国のインド太平洋軍は29日の声明で、中国軍機が21日に南シナ海上空で米軍機に異常接近したと明らかにした。米軍機の機首から20フィート(約6メートル)以内に近づいたという。「危険な行動だ」として中国軍を非難した。

  声明によると、米空軍の偵察機RC135が南シナ海の公海上空で通常の任務を合法的に実施していたところに中国海軍の戦闘機「殲11(J11)」が接近した。偵察機は衝突を避けるための措置を強いられたという。
  中国外務省の汪文斌副報道局長は30日の記者会見で「米国が頻繁に中国に艦船を派遣して接近偵察を行い、中国の国家安全に深刻な危害を加えている」と批判。そのうえで「引き続き必要な措置を講じ、自国の主権と安全を断固として守る」と述べた。
  インド太平洋軍はRC135から撮影したとみられる当時の映像も公開した。J11とみられる航空機が至近距離で並走する様子が映っている。
  インド太平洋軍は声明で「インド太平洋地域の全ての国が国際空域を安全に使って国際法を順守するよう期待する」と言及した。「米国のインド太平洋統合部隊は自由で開かれたインド太平洋地域に向けて注力し、全ての船舶や航空機の安全に配慮しつつ国際法が認める海域や国際空域を飛行して航行し、活動していく」と強調した。
  バイデン米政権はこれまでも中国軍機の飛行を懸念してきた。オースティン国防長官は11月下旬にカンボジアで開いた米中国防相会談で「中国軍の航空機がインド太平洋地域でますます危険な行動をとっていると懸念している」と伝えた。
  イーライ・ラトナー米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は7月下旬、米シンクタンクのイベントで中国軍の航空機などによる進路妨害が最近5年間で急増したと批判した。「この行動パターンを続ければ地域で大きな事故が起きるのは時間の問題だ」とも話していた。
  ブリンケン米国務長官は2023年の早い時期に中国を訪れる計画だ。米中の対話ルートを維持して軍事衝突を避ける狙いがあるが激しい米中対立は続く公算が大きく、偶発的衝突のリスクは消えない
(中村亮、北京=羽田野主)


2022.11.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221126-L5WAIDHSUBMVHOMT5RNZVR6QJU/
米軍が比スービック基地再利用へ 中国に対抗 返還30年

  米海軍がフィリピン北部スービック湾の基地を返還してから24日で30年となった。基地は国際商業港に生まれ変わったが、中国ににらみを利かせる戦略的要衝として見直され、フィリピン海軍が基地を新設。米軍の利用が本格再開する見通しだ。

  「中国は、ウクライナに侵攻したロシアに対する世界の反応を注視している。許容されるとみれば、台湾を占領するだろう」。スービック港湾公社のパウリノ総裁は23日、共同通信の取材に、返還後30年で海軍力を大幅に増強した中国こそ懸念材料だと強調した。
  フィリピンは米国との防衛協力強化協定に基づき、米軍に使用を認める国内基地を現在の5カ所から倍増する方向で交渉中。このうちスービックは最有力候補。「台湾に最も近い拠点で、南シナ海に面している。対象にならないはずがない」とパウリノ氏は指摘する。
  艦船の補修能力が高く、カールソン米大使も今月、視察したという。米軍は対象基地内に資金を出して施設を整備、フィリピンと共同利用し、中国に対抗する方針だ。
  フィリピン海軍が5月に開いた基地の用地は経営破綻した旧造船所の一部で、米企業が買収した。フィリピン政府高官は、中国側が買収しようとしたが、安全保障面で問題視した米側が介入し、阻止したと明かす。
  水深がある良港のスービックは30年前まで米空母の拠点だった。だがフィリピンは日本と違い、原子力空母の寄港を禁止。パウリノ氏は「現役の米空母は原子力を用いており、もはや空母寄港は不可能だ」と断言した
  かつての軍港は経済特区と化した。貿易や投資が盛んになり、基地依存経済から脱却。パウリノ氏は「15万人の雇用を生み出した」と胸を張る。

  スービックでは24日、一連の祝賀行事が開かれた。米軍基地の一部だった港湾内の飛行場では民間機のほかフィリピン海軍の訓練用ヘリコプターが展示され、近隣の小学生らが操縦席に招かれて記念撮影。飛行場は民間転用に失敗し、空域監視や訓練などの軍事再利用が進んでいる。(スービック 共同)


2022.11.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221119-HG52RCW34NKVHM442FIBIGTHN4/
米中、APECで経済秩序巡り角逐 「意思疎通」維持

  【バンコク=森浩、北京=三塚聖平】タイの首都バンコクで19日、2日間の日程を終えたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、米国が新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」推進を強調する一方、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」や米国が加わらない環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入意欲をアピール。地域の経済秩序を巡る主導権争いが鮮明となった。

  「この地域にとって米国ほど優れた経済的パートナーはいない」。ハリス米副大統領は18日の演説でこう断言した。アジア太平洋地域で影響力拡大を進める中国を意識した発言であることは明白だ。
  米中首脳は14日の会談で両国の競争が紛争に至るのを回避するため、意思疎通の維持・強化で一致したばかり。バンコクでも米通商代表部(USTR)のタイ代表が中国の王文濤(おう・ぶんとう)商務相と18日に、ハリス氏と中国の習近平国家主席が19日には短時間だが会談した。
  一方、首脳会議は双方が火花を散らす場となり、ハリス氏は演説で、国有企業を優遇する中国を念頭に「ルールに基づく自由貿易の重要性」を強調。IPEF推進の姿勢を示し、中国主導の貿易ルールが拡大することに警戒感をあらわにした。
  習氏はこれに対し、演説で「アジア太平洋地域の繁栄に新たな力を注入する」と述べ、一帯一路をテーマにした国際会議を来年開催する方針を明らかにした。一帯一路のメリットを訴えて、新興国の取り込みを急ぐ構えだ。
  演説ではTPP加入についても「引き続き推進する」と強調。米国が離脱したTPPに加わり、影響力拡大の枠組みとして利用したい考えだ。
  ただ、首脳会議は米中の主導権争いやロシアのウクライナ侵略を巡る各国の意見調整に翻弄された。議長国タイのプラユット首相は会議を「成功」としたが、物価高などに有効な対策は打ち出せたとは言い難い。


2022.11.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221115-7WC4BGCHPZMAJOJTYJLXJPZ7MA/
核実験なら米軍展開と警告 米大統領、北朝鮮巡り中国に 首脳会談-(共同)

  バイデン米大統領は14日、中国の習近平国家主席との会談で、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に自制を促すべきだと訴えた。北朝鮮が7回目の核実験を強行した場合には日米韓3カ国を「防衛するための措置を取る」として、米軍の前方展開を警告した。インドネシア・バリ島での会談後の記者会見で明らかにした。

  中国が接近を嫌う米軍の展開をちらつかせることで、北朝鮮への働きかけを強めるよう中国に圧力をかける狙いとみられる。バイデン氏は北朝鮮の「挑発的な行動」に対する懸念も表明したが、中国側は北朝鮮に関する協議内容について明らかにしなかった
  会談ではウクライナへの侵攻を長期化させるロシアへの対応も議題となった。バイデン氏は「ロシアによる残忍な戦争と無責任な核使用の威嚇」を批判した。(共同)


2022.09.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220924-2ERSGHGZD5OBJIQNE7HCQJ7D54/
米、台湾海峡の安定訴え 中国と外相会談 ペロシ氏訪台後初

  【ワシントン=坂本一之】ブリンケン米国務長官は23日、国連総会が開かれている米ニューヨークで中国の王毅国務委員兼外相と会談し、「台湾海峡の平和と安定の維持は地域と世界の安全と繁栄に不可欠だ」で述べ、中国に軍事的緊張を高めないよう自制を求めた。米中間の緊張が高まった8月のペロシ米下院議長の台湾訪問後、両外相が直接対話するのは初めて。

  米国務省の発表によると、両外相は「緊張状態にあるときこそ、開かれた意思疎通を維持し、米中関係を管理する必要性」について議論。ブリンケン氏は、米国が「一つの中国」政策を長きにわたって維持していることを伝え、台湾海峡の安定を求めた。
  またブリンケン氏は、ロシアのウクライナ侵略を改めて非難、中国がロシアを支援した場合への懸念を示した。米中の利益が一致する分野では協力を進めていく考えを示した。
  中国は8月のペロシ氏の訪台に強く反発し、台湾周辺海域に弾道ミサイルを着弾させるなど大規模な軍事演習を実施し、米国や台湾を威嚇。米中双方が互いに非難し、緊張が高まった。
  両外相は今後、バイデン大統領と習近平国家主席による初の対面会談に向けた調整も進めるとみられる。


2022.08.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220810/k10013763491000.html
米 ペロシ下院議長「台湾孤立は許さない」中国側の対応を批判

  アメリカのペロシ下院議長は、自身の台湾訪問に反発する中国が台湾周辺で軍事演習を行うなど、圧力を強めていることについて「台湾を孤立させることは許さない」と述べ、中国側の対応を批判しました。

  先週、台湾を訪問したアメリカのペロシ下院議長は9日、NBCテレビのインタビューに応じました。
  この中でペロシ議長は、自身の台湾訪問に反発する中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行うなど、圧力を強めていることについて台湾の総統が訪問を受け入れてくれ、人々も歓迎してくれた。中国政府は好ましく思わなかったかもしれないが、台湾を孤立させることは許さない」と述べ、中国側の対応を批判しました。
  そのうえで、訪問は、台湾の民主主義への支持を示すもので、アメリカの政策を変えるものではないと改めて強調しました。
  一方、今回の台湾訪問の判断が適切だったかと問われると、ペロシ議長は、「訪問は価値のあるものだった。中国が今していることは、彼らが従来からしていることだ」と述べ、訪問が緊張を招いたとの指摘はあたらないと主張しました。
中国「米が重大な挑発行為行えば必ず対抗」
  これについて、中国外務省の汪文斌報道官は、10日の記者会見で「ペロシ下院議長の台湾訪問はアメリカと台湾の公的な交流を格上げさせる重大な挑発だ。アメリカが中国の主権を侵害し、内政に干渉する重大な挑発行為を行えば、中国は必ず対抗する」と述べ、けん制しました。


2022.08.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20220809-6SJ4TUK45ZKRPB64I2CZ7RIPHY/
米大統領、中国軍の圧力強化「懸念」 海軍艦艇が台湾海峡通過へ

  バイデン米大統領は8日、台湾周辺での軍事演習継続による中国軍の圧力強化を「懸念している」と述べた。ペロシ下院議長の訪台後、バイデン氏が台湾情勢について公の場で見解を示すのは初めて。東部デラウェア州の空軍基地で記者団に語った。

  一方、カール国防次官(政策担当)は8日の記者会見で、数週間のうちに米海軍艦艇が台湾海峡を通過すると明らかにした。中国は台湾海峡について国際水域ではないとの主張を展開するようになっており、反発は必至だ。
  中国軍は8日、台湾周辺で同日も演習を継続したと発表しており、米側は中国が台湾への軍事圧力を常態化させる構えだとみて警戒している。

  ホワイトハウスのジャンピエール報道官は大統領専用機内で中国を改めて批判。記者団に「挑発的で無責任。誤算のリスクを高めるものだ」と述べた。世界各国も事態がエスカレートするのは望んでいないとして、中国に沈静化を要求した。中国との対話は維持すると強調した。(共同)


2022.08.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220802-NFMXGRRUWVK6JHUTETJZZLDXUE/
ペロシ下院議長、今夜訪台見通し 米、中国の威嚇警戒

  【ワシントン=渡辺浩生】アジア歴訪を開始したペロシ米下院議長が2日夜にも台湾を訪問するとの観測が強まる中、米ホワイトハウスは1日、ペロシ氏に訪台する権利はあるとする一方、反発する中国側が台湾海峡周辺への軍事的威嚇を強める可能性に言及した。米国の「一つの中国」政策は不変であり、挑発は地域の緊張を高めるだけで誰の利益にもならないと強調した。

  国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官が同日の記者会見で語ったもので、台湾海峡周辺へのミサイル発射、台湾の防空識別圏への軍用機の大規模進入、同海峡の中間線を超えた海上・航空行動などが予想されると指摘。

  ミサイルが発射されれば、台湾の李登輝総統(当時)の訪米などに中国が反発して起きた1995~96年の台湾海峡危機以来となるとし、警戒感を示した。
  大統領職継承順位で副大統領に次ぐ2位である下院議長としてペロシ氏が訪台すれば、97年のギングリッチ氏以来25年ぶりとなる。
  カービー氏は、バイデン政権として「下院議長が自ら最良の決断をするよう分析や情報を提供してきた」と指摘。訪台しても「一つの中国」政策は堅持され、中台両岸の一方的な現状変更行為に反対し、台湾の独立も支持しない姿勢に変わりはないと強調した。
  さらに中国側が「台湾海峡は国際水域ではない」といった従来の外交的主張を強化する可能性もあると指摘。訪台を中国側が台湾への軍事的威圧を強める「口実に利用する理由は何もない」と牽制(けんせい)した。

  カービー氏は、米国は中国の脅しに屈することなく台湾海峡の平和と安定を支援し、自由で開かれたインド太平洋を守る」ために必要な行動を継続すると強調。中国当局との対話ラインも維持すると述べた。


2022.05.19-bloomberg-https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-19/RC3XUCT0AFB501
中国が台湾巡り「危険な状況」に至ると米国に警告-日本もけん制

  中国の外交トップ、楊潔篪共産党政治局員は18日、米国に対し台湾を支援することで「間違った道」を歩んでいると警告した。中国人民解放軍はこの日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に戦闘機などを侵入させた。


  楊氏はサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)との電話会談で、「米国側が台湾というカードに固執し、間違った道を進み続ければ確実に危険な状況に至る」と述べた。

  中国外務省がオンライン上で発表した声明によると、米政府は「状況を明確に理解」すべきだと楊氏は発言。「中国は主権と安全保障上の利益を守るため断固たる行動を確実に取る」とも伝えたという。
  ホワイトハウスはサリバン、楊両氏の会談について、「地域の安全保障問題と核不拡散」について焦点を絞ったとする短い声明を出した。ロシアがウクライナで始めた戦争と米中間の特定の問題も話し合ったと説明した。
  一方、中国の王毅外相は18日、日本の林芳正外相とオンライン会談を行った。中国外務省の声明によると、王氏は対米関係において中国の利益を損なわないよう日本に求め、日米協力が中国の主権と安全、発展の利益を損ねてはならないと主張。日本は慎重に行動し、歴史から教訓を学ぶべきだとも述べたという。
  日本の外務省は、林氏が「尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を表明」したとする報道資料を発表した。
  台湾国防部(国防省)はウェブサイトで、中国人民解放軍の戦闘機「殲16(J16)」2機を含む4機が18日に台湾のADIZに入ったと発表した。


2022.03.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220319-NFHDM7FU5JL7POVKHJYYWJBATA/
米中が首脳会談 ウクライナ侵攻後初 支援に警告

  【ワシントン=大内清、北京=三塚聖平】バイデン米大統領は18日、中国の習近平国家主席とオンライン会談を行った。バイデン氏は中国がロシアによるウクライナ侵攻に協力すれば深刻な代償を払うことになると警告するとともに、侵攻停止に向けてロシアのプーチン政権に圧力をかけるよう要求したとみられる。  米中首脳による会談は、2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始して以降は初めて。米国としては中露の協力関係を断ち切り、ロシアの孤立化を進められるかが焦点。会談は約1時間50分行われた。

  中国国営中央テレビ(電子版)によると、習氏はウクライナ危機は、われわれが見たくないものだ」と述べ、「衝突と対立は、いかなる人の利益にも合致しない」と強調した。
  米中関係について「正しい軌道に沿って発展させるようリードすべきだ」とも主張し、ウクライナをめぐり、米側との対立がさらにエスカレートすることを避けたい意向をにじませた。
  ブリンケン米国務長官は首脳会談に先立つ17日の記者会見で、中国がロシアを支援した場合、中国に「損失を負わせることをためらわない」と述べ、制裁実施の可能性を示唆した。
  ブリンケン氏は「中国にはロシアへの影響力を行使する責任がある」とした上で「実際には逆のことが起きている」と指摘した。

  これに対し、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は18日の記者会見で、「米側の一部は絶えず噓情報をまき散らし、中国を中傷、抑圧している」と反発した。


2022.03.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220318/k10013540361000.html
ウクライナ情勢めぐり 米中首脳によるオンライン会談始まる

  ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、初めてとなるアメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席のオンラインによる会談が、日本時間の18日夜10時すぎから始まりました。アメリカは、中国がロシアへの軍事支援を検討している可能性があるとして会談で直接警告するとしていて、国際社会がロシアへの批判を強める中、習主席が18日の会談でどのような姿勢を示すのかが焦点です。

  アメリカのホワイトハウスによりますと、アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席のオンラインによる会談が、日本時間の18日夜10時すぎから始まりました。両首脳の会談は、ロシアがウクライナに軍事侵攻して以降、初めてです。
  会談を前にアメリカのブリンケン国務長官は記者会見で、中国がロシアへの軍事支援を検討している可能性があるという見方を示したうえで「バイデン大統領はどのようなことであれ中国がロシアの侵攻の支援につながる行動をとれば、責任を取らせるということをはっきりさせる」と述べ、首脳会談で直接、中国に警告するとしています。
  これに対して、中国外務省の趙立堅報道官は18日の記者会見で「アメリカ側は、うその情報をばらまき、中国側をおとしめ圧力を加えている。極めて無責任であり、断固反対し絶対に受け入れられない」と強く反発しました。
  そのうえで「アメリカがやるべきことは、みずからの役割を顧み、情勢緩和や問題解決に向けて、実際の行動をとることだ」と述べ、アメリカ側をけん制しました。
  これまで中国は、軍事侵攻を続けるロシアを表だって批判せず、欧米などの経済制裁にも反対するなど、ロシア寄りの立場を示していて、国際社会がロシアへの批判を強める中、習主席が18日の会談でどのような姿勢を示すのかが焦点です。


2022.03.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220310-Y5SXN3B6ZVKXZKIWJLU6GONPYQ/
米「プーチン政権が陰謀論でっち上げ」「中国も便乗」と非難

  【ワシントン=大内清】米国務省は9日、ロシアのプーチン政権が「米国とウクライナが同国内で化学・生物兵器の開発を行っているというまったくの偽情報を意図的に拡散させている」と非難する声明を発表した。声明は、中国政府もこれに便乗して陰謀論を広げようとしていると指摘。「ロシアは自分自身の残虐行為を正当化しようと噓をでっち上げている」と糾弾した。

  ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、ネット上ではこのところ、「新型コロナウイルスの新種を開発している米国の研究所を破壊するためだった」などとする陰謀論が広がっていた。
  国務省は「米国はウクライナ国内に化学あるいは生物研究施設を所有も運営もしていない」と言明した上で、生物・化学兵器の開発や貯蔵を禁じる国際条約に違反する物質を「実際に保有しているのはロシアだ」と強調した。
  ロシアは2018年に起きた露情報機関元将校らへの襲撃事件や、20年の露反体制派指導者ナワリヌイ氏の暗殺未遂で化学兵器の一種であるノビチョク系の神経剤を使用し、米欧から制裁を受けた。


2022.01.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220109-AEZD32UXPZJ75I3Y5477UNSUBU/
中国「アフリカの角」で影響力拡大図る 特使任命へ

  【北京=三塚聖平】中国が「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ東部地域との関係強化を図ろうとしている。王毅国務委員兼外相は今年最初の外遊先に同地域を選び、担当特使を任命して紛争など地域が抱える問題の解決を支援する方針を表明した。アフリカ重視を打ち出すバイデン米政権をにらんで影響力を拡大させる考えとみられ、アフリカでも米中の角逐が激化するのは必至な情勢だ。

  王氏は、4~7日にアフリカのエリトリア、ケニア、コモロを訪問した。中国外相は年初にアフリカを外遊するのが恒例で、今年で32年連続になる。
  ただ、例年と違ったのは、6日のケニアのオマモ外相との共同記者会見で、アフリカの角の担当特使を任命する方針を表明したことだ。特使の具体的な役割は明らかでないが、中国外務省の発表によると、王氏は同地域に「必要な支援を提供する」と強調した。
  アフリカの角は、地中海とインド洋を結ぶ海上交通の要衝に位置し、王氏が訪問したケニアとエリトリアのほかソマリア、エチオピア、ジブチが含まれる。
  エチオピアは紛争、ソマリアはイスラム過激派のテロという懸案を抱える。王氏は「地域の国が安全、発展、統治という三重の難題に対処するのを支援する」と関与姿勢を強調した。
 中国の念頭にあるのは米国の存在だ。バイデン大統領は昨年10月、訪米したケニアのケニヤッタ大統領と直接会談し、新型コロナウイルスのワクチン1700万回分の追加支援を発表。両国が治安対策で協力を強化する考えも強調した。
  王氏は、ケニア訪問中、「アフリカの角の国や人民は、大国による争奪から脱却し、団結、自強の道を歩むべきだ」と述べ、米欧を牽制(けんせい)する姿勢も示した。

  中国人民解放軍は2017年に初の海外拠点となる基地をジブチに創設するなど、安全保障面でも同地域の注目度は増している。従来は経済・貿易が中心だった中国とアフリカとの協力関係が、担当特使の設置でで外交・安全保障分野にも力点が置かれるようになるかが注視されそうだ。



2021.12.18-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f9ee5db05145d3cff9bcfd2978f848390f0b9bc3
中国にらみ相互運用性向上へ オーカス本格始動

  【ワシントン=大内清米ホワイトハウスは17日、インド太平洋における米英豪の新たな軍事協力の枠組み「AUKUS(オーカス)の司令塔となる統合運営グループが同日までに国防総省で発足会合を行ったと発表した。

  中国の覇権主義的な行動の抑止に向け、サイバー戦能力や人工知能(AI)、量子コンピューターなどの先端技術をめぐる協力に加え、オーストラリアへの早期の原子力潜水艦配備に向けた協力強化などを確認した。
   発表によると、3カ国は9日に先進的な能力に関する会合、14日に原潜に関する会合をそれぞれ開催。中国をにらんだ相互運用性の向上や、インド太平洋地域などでの安全と安定の強化に取り組むほか、来年初めまでに作業計画をまとめることで一致した。
  3カ国はまた、核拡散や原子力の平和利用をめぐる懸念が出ていることを踏まえ、国際原子力機関(IAEA)との継続的な協議を含め、核不拡散での長年の主導的役割を維持するための取り組みについても話し合った。
  3カ国はその上で核拡散防止条約(NPT)体制への揺るぎない支持を表明し、核不拡散義務の順守と可能な限り強力な不拡散の基準を履行することを確認した。


2021.12.13-JETRO日本貿易振興機構-https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/12/1b248487dff1307b.html
米財務省、新疆ウイグル自治区での人権侵害関与を理由に中国AI企業など制裁、世界人権デーに発表
(藪恭兵)

  米国財務省外国資産管理局(OFAC)は12月10日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして、中国の人工知能(AI)大手の商湯科技(センスタイム)に対する投資規制を発表した。国連が制定する世界人権デーに合わせて、ほかにも中国やバングラデシュ、北朝鮮、ミャンマーに関係する個人や主体を制裁対象に指定している。

  センスタイムは、中国の複数都市のほか、国外ではシンガポールや日本、アラブ首長国連邦(UAE)などにも拠点を構える。OFACによると、同社は中国・深センにある子会社を100%所有し、サングラスやマスクを着用しても個人が属する民族を特定可能な顔認証技術を開発しているという。
  センスタイムは、OFACの「非・特別指定国民 中国軍事・産業複合企業リスト(NS-CMIC List)」に追加され、米国人(注)による証券投資が禁止される。同リストは2020年11月に当時のトランプ大統領が導入し、バイデン政権も対象範囲を広げている(2021年6月7日記事参照)。センスタイムは12月17日に香港取引所への上場を計画していたが、同計画を遅らせる意向で、目論見書の修正が必要と指摘されている(ブルームバーグ12月9日)。同社については2019年、米商務省が輸出管理規則(EAR)のエンティティー・リストに指定していた(2019年10月9日記事参照)。
  OFACはまた、新疆ウイグル自治区の共産党書記(代行)を務めた経験のある個人2人について、在任中に100万人以上のウイグル族やその他の少数民族の拘束があったとして、在米資産の凍結や米国への入国禁止を発表した。
  中国以外でも、バングラデシュ政府が薬物撲滅運動の中で数百人が失踪または法的手続きを経ずに殺害されたとの報告を踏まえ、同運動を組織する団体や関与する個人6人に制裁を科している。このほか、北朝鮮で「政治的な悪事」を働く個人を罰する現地司法当局や、ミャンマー国軍の権力掌握に関与したとされる地域首相4人、同国で武器の製造・調達などを所管する3主体への制裁を発表した。
  (注)米国市民、永住者、米国の法律または米国内の管轄権に基づいて組織された事業体(外国支社も含む)または米国内にいる個人が含まれる。
(藪恭兵)


2021.12.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211209-OUKWV774I5NCDJDCDPLCXFIOBE/
米下院がウイグル禁輸法案可決 全物品対象、強制労働を防止

  【ワシントン=塩原永久】米議会下院は8日、強制労働が疑われるとして、中国新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止とする「ウイグル強制労働防止法案」を、超党派の賛成多数で可決した。輸入企業が「強制労働によるものではない」との証明を義務づけられる厳しい内容となっている。日本企業を含め、同自治区に調達網を持つ多国籍企業が対応を求められる可能性がある。

  バイデン米政権が中国による人権抑圧などを理由に、来年2~3月の北京冬季五輪・パラリンピックに政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」を発表したばかり。米政府と議会の双方が、改めて中国への厳しい姿勢に傾いている。
  法案は、同自治区で100万人以上の少数民族ウイグル族らが強制収容されていると批判強制労働を助長している海外の団体や個人に対し、制裁を科すよう米大統領に要求している。
  同自治区をめぐっては、すでにトランプ前政権が、綿花など一部の産品を輸入禁止にした。バイデン政権も、太陽光パネル部材の中国メーカーに制裁措置を発動し、圧力を強めている。禁輸措置を受け、今年1月、日本の衣料品店「ユニクロ」による米国へのシャツ輸入が差し止められた
  法案は、同自治区の輸出品すべてが「強制労働のもとで生産された」と仮定して、全面的な輸入禁止の対象とした。法案成立には、上院も可決した上で、バイデン米大統領の署名が必要だ。同自治区からの物品輸入を規制する法案は昨年にも下院で可決されたが、上院との調整が難航した経緯がある。

  下院は7日、中国政府によるウイグル族への行為が「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だとする決議も賛成多数で採択した。


2021.12.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211206-FCRBDOPXAFNU5PHLMZ4O4YPCBY/
90年前の「中国国恥地図」、米軍が利用 「失地回復」掲げる膨張主義を警戒
-河崎真澄-

  台湾海峡や東・南シナ海をめぐって米中間で軍事的緊張が高まる中、中国で1930年前後に発行された「国恥(こくち)地図」を、米軍が教育用の資料として用いていることが分かった。当時の中国が、台湾のみならず沖縄や東南アジアまで「諸外国に奪われた自国領」と主張し、その歴史を「国の恥」と断じた地図だ。版図は「伝統的な勢力範囲」として、現在も中国で幅広く意識されている。

  「国恥地図」の利用が分かったのは、グッドフェロー空軍基地(テキサス州)に所属する偵察・情報担当士官の教育訓練機関。詳細は不明だが今年7月、教官が同地図を基に「議論」している写真がサイト上で公開された。教官は、台湾や中国大陸の沿岸部に線を引いて何かを説明している

  東京国際大の村井友秀特命教授(国際紛争論)はこの写真について、米空軍が「中国人民解放軍が〝失地回復〟を旗印に動きを加速させる懸念について検証した」とみる。背景には、中国で軍や人民に、過去の〝領土〟を取り戻すことこそが中国を正常な状態に戻す、との一方的な高揚感が広がれば「犠牲やコストをいとわず、軍事行動への本気度を高める」との警戒感があるという。

  米在住で「中国『国恥地図』の謎を解く」(新潮新書)の著書があるノンフィクション作家の譚璐美(たん・ろみ)氏によると、国恥地図は少なくとも10種類あるという。譚氏が所蔵している33年版「中華国恥図」は「実際の中国の2倍はあろうかという荒唐無稽な代物」(譚氏)で、当時、小学校の教科書に収録されていた
  北はロシアのサハリンやシベリアから、モンゴル各地、西はカザフスタンやアフガニスタン、南はマレーシアやシンガポール、そして南シナ海、台湾から沖縄全域までを赤い線で囲って「旧国境」とした。
  村井氏によると、習近平指導部には「国恥地図」を政治的に利用し、台湾や南・東シナ海での拡張主義的行動も「失地回復に過ぎない」と正当化を図る狙いも見え隠れするという。

  安倍晋三元首相は今月1日、台湾の研究機関が主催したオンライン会議で「台湾への武力侵攻は地理的、空間的に必ず、日本の国土に重大な危険を引き起こす」と述べ、「日米同盟の有事でもある」と指摘した。村井氏は「日本も改めて『国恥地図』の戦略研究を急ぐべきだ」と話している。
河崎真澄


2021.12.02-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a0928519fe77fd5a95cee0f706ba033d7a1cf640
米中が対北軸に韓国の取り込み図る 米韓は対北作戦更新へ

  【ソウル=桜井紀雄】米韓の国防相らが2日、ソウルで米韓定例安保協議(SCM)を開いた。この日は中国の天津で中韓の高官会談も行われた。米中対立が深まる中、韓国の文在寅ムン・ジェイン)政権が最優先課題とする北朝鮮問題での協力を軸に、米中それぞれが韓国を自国サイドに取り込もうとする思惑がうかがわれる。
   オースティン米国防長官や韓国の徐旭(ソ・ウク)国防相らが参加したSCMでは、北朝鮮の核・ミサイルの脅威の高まりに対応するため、作戦計画の更新に向けた新たな指針が承認された。
  バイデン政権にとっては、中国との対立を前提にした日米韓の安保協力の強化策の一環であり、中朝双方が反発する可能性がある。 指針の承認は11年ぶり。対北有事を想定した米韓の軍事計画には「作戦計画5027」や「同5015」があるが、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発などに対応し切れていないとの懸念が持たれていた。 SCM後に発表された共同声明には「台湾海峡での平和と安定維持の重要性」も明記され、対中牽制(けんせい)をにじませた。

  一方、中国外交担当トップの楊潔篪(よう・けつち)共産党政治局員と韓国大統領府の徐薫(ソ・フン)国家安保室長は天津で会談した。徐氏は会談に先立ち、「来年が韓中国交正常化30年であり、両国関係について全般的に議論する」と記者団に語った。 中国側にとっては、来年2月の北京冬季五輪に対する文政権の支持取り付けが急務だ。
  バイデン米政権や英国などは中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権問題などを理由に北京五輪に政府高官らを派遣しない「外交的ボイコット」を検討している。 会談では楊氏が文大統領の五輪開会式出席を招請した可能性がある。文政権は経済的関係から中国の人権問題への言及を避けてきており、中国が文政権から支持の言質を取れば、米国主導の対中包囲網の切り崩しにもつながる。
  さらに文大統領は来年5月までの任期内に南北関係で外交的成果を残そうと、休戦状態にある朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言実現に全力を傾けている。米政府とも協議を重ねてきたが、戦争の当事国の一つである中国の支持も取り付けたい考えで、中国高官も「建設的な役割を果たしたい」と言及していた。
   だが、宣言が在韓米軍の撤収論を呼び、北東アジアの安全保障態勢を緩めかねないと日米や韓国内で反対意見が根強い。肝心の北朝鮮が米国の対北敵視政策の撤回が先決だとして宣言に難色を示している。
  北朝鮮は東京五輪への不参加を理由に北京五輪への参加資格を停止されており、北京五輪を対北対話の舞台にするという文政権の構想は実現する可能性が薄い。


2021.11.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211118-WRTDR7FKDFMS5FAWDSQK3HLALU/
中国、台湾侵攻能力を確保 「最小限核抑止」から離脱 米報告書

  【ワシントン=渡辺浩生】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は17日、中国の軍事経済情勢をめぐる年次報告書を発表した。中国軍が台湾侵攻の初期能力を確保した可能性を示し、米通常戦力による抑止が困難と警告。また、中国が「限定的な核兵器先制使用」という新戦略を進めていく可能性にも言及した。

  報告書は台湾情勢をめぐり、「中台間の紛争抑止が危うい不確実性の時期にある」と初めて指摘。2020年を人民解放軍が台湾侵攻の能力を確保する重要な節目と指導層が位置づけてきたとし、同軍は台湾に対する空中・海上の封鎖、サイバー攻撃、ミサイル攻撃に必要な能力をすでに獲得したと分析した。特に侵攻の初期段階で2万5千人以上の部隊を上陸させる能力、民間船を軍事作戦に動員する能力があるとの見方を示し、軍事侵攻は中国指導層に依然として高リスクの選択肢としつつ「米国の通常戦力だけで台湾への攻撃を思いとどまらせることが不確かになってきた」とした。

  米国に軍事介入の能力や政治的な意思がないと中国指導層が確信すれば、米国の「抑止策は破綻する」と警告。台湾も過去数十年の軍事への過小投資のつけで重大な課題に直面しているとし、封鎖に耐えられる重要物資の備蓄が不足していると分析した。台湾関係法上の義務を果たすため軍事的抑止力の信頼性を強化する緊急措置も提言した。 
  報告書は一方、中国の核戦力に関する項を新設。「1960年代に最初に核兵器を保有して以来、核戦力の拡大・近代化・多様化のため最大級の取り組みを実行している」と強調した。
  大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の「3本柱」の進展、機動的かつ精密な核兵器システムの配備、著しい核弾頭備蓄の拡大に言及し、2030年までに中国が配備する地上発射型の戦略ミサイルの数が量的に米国と「対等」になる可能性があると警鐘を鳴らした。
  中国は従来、敵国の核攻撃に対する報復に最小限必要な核戦力を維持する戦略をとってきたが、報告書はこの「最小限核抑止」からの脱却を指摘。「限定的な核兵器の先制使用という新戦略を支持しようとしている」可能性も示した。
  また、中国指導層は台湾侵攻の際、米国の介入を阻止するなど政治的な目的達成のために核戦力を活用でき、介入を阻止できると確信した場合には米国の同盟国との通常紛争を誘発しかねないと警告した。

  国防総省が今月発表した年次報告書でも、中国が約10年後の30年までに少なくとも千発の核弾頭を保有する可能性を指摘しており、中国の核戦略の行方に対する米国政府・議会の危機感は高まりそうだ。


2021.11.20-JIJI COM^-https://www.jiji.com/jc/v4?id=20211119uschina0001
米中首脳オンライン会談からのぞく思惑 ~狙いは「G2」回帰と危機管理~【識者に聞く】
(2021年11月19日掲載)
(1)
  覇権争いが深まり、衝突の不安が高まる米国と中国。中国が軍事的圧力を強め、台湾有事のリスクがささやかれる中、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は11月16日(米時間15日)、初めてのオンライン形式での会談を行った。会談をめぐる背景や双方の狙い、思惑について、中国外交に精通する興梠一郎(こうろぎ・いちろう)神田外語大教授(現代中国論)と米国政治に詳しい小谷哲男(こたに・てつお)明海大教授(国際関係論)に話を聞いた。
時事通信中国総局・平原紀子、外信部・原田憲一

◇「G2」回帰が最大の成果 (興梠一郎教授
会談で注目したポイントは
  全体の印象は冒頭のあいさつに集約されている。バイデン氏は習氏との仲の良さをアピールし、習氏も「古い友人に会えてうれしい」と応じた。中国メディアは二人が並んで手を上げている写真を流したが、それが中国側の一番言いたいことを象徴している。演出したいのは、二大大国が世界の問題を語り合っているというイメージだ。
  トランプ前政権では中国は相手にされず、存在感が低下していた。バイデン氏が二大大国に引き上げたことで、あたかも「G2」の時代に逆戻りしたかのようにみえる。これが中国側にとっての最大の成果だ。
  個別の議題を見ると、中国側は、バイデン氏が「米側は中国の体制転換を求めない」ことを確認したと発表しているが、米側の発表にはない。ただ、サリバン米大統領補佐官が事前にCNNテレビで同様の趣旨の発言をしており、会談でも言及した可能性はある。台湾問題では、米側は「一つの中国」政策の維持を明確にし、一方的な現状変更には反対すると表明した。米側の発表を見る限り、新型コロナウイルスについてバイデン氏は「国家を超えた課題である」として起源の問題を追及していない。人権にも懸念を表明しただけだ。実際には議論したかもしれないが、発表では触れておらず、中国側は、会談前と違って「強硬的な言葉がなかった」(「環球時報」11月16日社説)と評価している。
 
中国にとって対内的、対外的の両面で成功か
  そうだ。中国は民主化を仕掛けられるのが一番嫌で、体制を転換しないというのは大きい。国際的にはバイデン氏が二大大国のイメージをつくってくれた。
米側にとって会談の利益は何か
  経済だ。米財界は経済関係を正常化したい思いが強く、政権にプレッシャーをかけている。新型コロナで受けた経済の打撃回復はバイデン氏の一つのテーマでもあり、それを考えたとき、中国との関係は切り離せない。今回の会談は成果のためではなく、「仲直り」のためのものだ。
バイデン政権は対中強硬路線を示してきた
 当初から「対立ではなく競争」「協力が必要」と言ってきた。バイデン政権の対中関係は、絶対に紛争にしないというところから始まっている。今回の会談でも「常識のガードレール(防護柵)」という言葉で対立と協力を分けようと提案した。米側が協力を求めれば、その分中国は手持ちのカードが増える。対話のルートができた時点で中国ペースだ。
  政権発足時から強硬姿勢との見方は違うと言ってきたが、今回表に出てきた。米国ではインフラ投資法が成立し、中国では共産党の第19期中央委員会第6回総会で歴史決議が採択された。お互いに権力を固めたタイミングでの会談だ。
同盟・友好国と組んで中国に対抗する姿勢も強めていた
  二大大国として米中がお互いに協力する一方、日米、オーストラリア、インドの4カ国の連携枠組み「クアッド」や米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」などインド太平洋で中国に対抗する構図は大きく矛盾する。同盟国は中国に本気で対抗するだろうか。中国は、米国と関係を強化すれば他国は全部なびいてくると考えており、それを望んでいる。
  米国は同盟国には中国カードを切り、中国には同盟国カードを切っている。自分が一番有利な位置に立てる「オフショア・バランシング」政策で、それに同盟国が気づけば、距離をとるようになるだろう。
今回の会談を機に、関係改善に向かうか
  首脳会談の発表だけを見るとそう感じるが、アメリカの世論は別だ。9月の電話首脳会談から始まり、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長の解放、スイス・チューリヒでの米中高官会談、気候変動の共同宣言などを全部つなげれば明らかに関係改善モードに入っている。しかし、米国の議会や世論は、依然中国に対して厳しい。首脳同士で関係を改善しても、世論に押され、再び強硬姿勢に転じるかもしれない。中国は、今回の会談で「国際世論を誘導できる」と期待する一方で、予断は許さないと警戒している。
(2)
◇危機管理で一定評価 (小谷哲男教授
バイデン政権の会談の狙いをどうみているか
  米側の狙いは一言で表現すれば「危機管理」だ。バイデン政権は発足当初から、米中の戦略的競争を管理することを強調していて、競争はするけれども、それが紛争にならないようにすると言い続けていた。
  米国は必ず強い立場を取り戻してから中国と向き合うとも強調していた。新型コロナ感染の拡大での拡大で打撃を受けた米経済をバイデン氏が掲げる「ビルド・バック・ベター(より良き再建)」を通じて立て直し、「クアッド」や「AUKUS」を含め、同盟国や友好国との関係修復や連携深化を通じ、中国と向き合うと。その計画通りに(会談開催は)進んだようには見える。
  ただ、オンラインでも良いからとバイデン政権が米中首脳会談にこだわるようになったのは、8月のアフガニスタン駐留米軍撤収が一つ大きな要素になった。バイデン政権はアフガン撤収で国際的な評価を下げたとされているが、あの直後に気候変動問題を担当するケリー大統領特使やシャーマン国務副長官が訪中した際、中国側が「上から目線」で接し、適切なカウンターパートにも会わせず、非常に冷遇をした。
  さまざまな実務者レベルの協議が立ち行かず、中国側が自分たちの立場だけを強調して、まったく交渉にならない事態が9月以降続いた。トップダウンで物事を動かさないと、米中は動かないという評価になった。首脳同士が会わずにいくら実務協議を続けてもらちが明かないし、台湾問題をめぐってもかなり緊張が高まっている。紛争が起こる恐れもあり、2国間関係の危機管理のためにトップ会談を行うことが米側の最大の狙いだった。
米側は狙いを達成できたのか
  現段階で評価を下すのは難しい。バイデン氏と習近平国家主席がそれぞれの国の代表として初めて今回顔を合わせたが、それが今後、紛争を管理する上で役立つのかどうかはもう少し時間がたってみないと分からない。中国が米国に対する傲慢(ごうまん)な態度を改め、実務レベルの協議に応じるようになるのか、それとも今回の会談で自分たちは強い立場であると確認して、さらに強圧的な行動を取るのか。
  バイデン氏は、外交は指導者の個人的関係なんだと言っている。オバマ政権での副大統領時代、国家副主席だった習氏と長時間一緒に過ごしている。自分が一番習氏と長く時間を過ごした米国人だという自負もあり、中国はそこをうまく突いてきた。だが、ここで中国側が一切行動を改めないなら、バイデン氏はメンツを失い、米国内における立場が悪くなる。
  来年には米中間選挙もあり、紛争を責任を持って管理しようというバイデン政権より、中国との対立を重視するであろう共和党、トランプ前大統領が(政権に)戻ってくることもあり得る。バイデン政権の足元をあまり崩さない方が中国の利益になると考える可能性もある。
今回の会談では共同声明が出なかった
  そもそも今回の会談について、ホワイトハウスは「サミット(首脳会談)」という単語を使わずに、単なる「ミーティング(協議、会合)」と事前に言葉を変えた。これは格下げと言っても良い。首脳会談が決まり、実務レベルでいろいろと折衝はしていたが、どうも中国側に妥協する気がない。会談の前週の段階でホワイトハウスは今回は成果があるようなものではないとかなり期待値を下げる発言を繰り返していた。米側は紛争を回避する危機管理として今回の会談を位置付けたのだろう。

  評価はもう少し時間がたたないと難しいが、普通、首脳会談であれば何かしらの成果がないと成功とは言えない。首脳会談と位置付ければ成果は乏しく、失敗という評価になるが、これが危機管理のための会合だったと位置付ければ、首脳同士が会うこともなく、両国の緊張が高ぶっているような状態は望ましくなく、一定の評価はできる。
今後、米中関係はどう展開していくか
  米国からすれば首脳同士で会い、紛争を防ぐための「ガードレール」をつくる目的があったので、中国側が台湾や周辺国に対する圧力を緩めることや、気候変動や感染症の問題でもさらなる協力ができることを期待していると思う。核兵器やミサイルの問題も含めて軍備管理に関する何かしらの協議が立ち上がることへの期待も含め、今後、中国がそうしたことにどこまで応じてくるのか見極める必要がある。
  他方で習氏にとっても、これから1年かけて前例のない(国家主席の)3期目を目指していくわけだから、米中関係があまりに悪化してしまうと、3期目を目指す上では恐らくマイナスに作用する。協力できるところは協力する、行動を控えるところは控えるということになれば、今回の会談は意味があったということになる。
今後、対面での会談の可能性はあるか
  一つは今回、事前に伝えられていた来年2月の北京冬季五輪への招待がなかった。北京五輪での対面は恐らくないだろう。習氏としても3期目を固めるまでは、新型コロナ感染などでなかなか国を空けられないという事情もあり、来年以降、対面会談はバイデン氏が中国に行く形でないと実現しない。当面は難しいのではないか。
(2021年11月19日掲載)


2021.11.11-Zaqzaq by 夕刊フジ-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/211111/for2111110005-n1.html
米議員団が軍用機で訪台 蔡総統と会談、対中見据え緊密さ強調か 中国「断固反対する。中国人民の決意を見くびるな」

  台湾を訪問中の米上下両院議員団は10日、蔡英文総統と総統府で会談した。台湾のTVBSテレビが報じた。議員団は、国防部(国防省)関係者とも面会した。会談内容は不明だが、軍事的な統一圧力を強める中国に対峙(たいじ)するため、対中政策を協議した可能性がある。
  「一連の日程は米国側が手配したものだ」台湾の外交部(外務省)はこう説明した。会談の詳細は明らかにしていない。
  米誌ニューズウィーク(電子版)によると、議員団は米軍輸送機「C-40A」でマニラから到着した。一行は13人で、共和党上院議員のマイク・リー氏、ジョン・コーニン氏らの名前が挙がっている。
  米国防総省のジョン・カービー報道官は、一行は国防総省の派遣団ではなく、「議員団訪問はまったく定期的なもので、今年に入って2回目だ」と説明。米軍機使用についても、「珍しいことではない」「(一行の訪問は)台湾関係法に基づく米国の義務に沿ったものだ」と強調した。
  米議員団の訪台に、中国は激しく反応した。中国国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は10日の記者会見で、「米台のすべての公的往来や軍事関係に断固反対する。国家主権を守る中国人民の断固たる決意を見くびるな」と述べた。
  中国軍は9、10両日、台湾海峡に向けた「戦闘準備のための警戒パトロール」として、戦闘機「殲16」や対潜哨戒機「運8」など計12機を台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入させた
  米中首脳は15日にもオンライン会談を控えており、硬軟織り交ぜた駆け引きが展開されている。


2021.10.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211027-ZI2MDGVVEBIIXCFOQLZAK77Y6E/
米の台湾国連参加支持に中国猛反発「絶対に認めず」

  【北京=三塚聖平】在米中国大使館は26日に発表した報道官談話で、ブリンケン米国務長官が台湾の国連組織への参加を支持するとした声明を同日発表したことに対し、「中国は強烈な不満を示し、絶対に認めない」と猛反発した。既に米側に厳正な申し入れを行ったことを明らかにした。

  談話は、台湾は中国の不可分の一部であるとする一つの中国原則について国際社会の普遍的な共通認識だ。米国が一方的に挑戦、曲解することは許さない」と非難。台湾が国連などの国際組織の活動に参加するには「必ず一つの中国原則によって処理されなければならない」と強調した。

  台湾への支援姿勢を強めている米国に対し台湾に関する問題は厳粛な政治問題であり、いわゆる価値観の問題ではないと訴え、「全くの徒労であり、決して目的を達することはない」と牽制(けんせい)した
  一方で、台湾の蔡英文政権に対しては「頑迷に台湾独立の分裂の態度を堅持している」として「台湾海峡の平和と安定の最大の現実的な脅威だ」とし、事態の緊張を招いている責任は台湾側にあると主張した。


2021.10.25-Yahoo!Japanニュース(Wow!Korea)-https://news.yahoo.co.jp/articles/cf7faba0311eb4b4d2d42c9967f2bbaf369f6986
米国「台湾の国連参加拡大」を “公論化”…中国「国連加入50周年」を控え “けん制”

  米中覇権競争による緊張が高まる中、米国は国連をはじめとした国際機関における台湾参加の機会拡大に対して支持する意思を公開した。

  米国務省は「今月22日、台湾駐在の米大使館格である米国在台湾協会(AIT)と米国駐在の台湾大使館格である台湾経済文化代表部(TECRO)は、両国外務省の高位級代表団が参加する中、オンラインフォーラムを開いた」と23日(現地時間)明らかにした。
  米国務省は「双方は今回、保健・環境・気候変動・開発援助・技術標準・経済協力など国際的挑戦への対応において台湾が国連において意義のある参加をし、台湾の大切な専門知識により貢献する能力を支援することに焦点を合わせた」と説明した。
  また「米国側の参加者たちは、WHO(世界保健機関)・国連気候変動協約における台湾の意義のある参加に関する約束を改めて強調した」と語った。

  台湾は2009~2016年、WHOの最高意思決定機関である「世界保健総会(WHA)年例会議」にオブザーバーとして参加していたが、「脱中国」性向の蔡英文政権となってからは中国の反発により参加できていない。 今回のフォーラムが関心を集めているのは、米中間の全方位的な衝突の核心要素である「台湾問題」が激しい対立事案として浮上している状況で、開かれたためである。
  特に、今月25日「中国の国連加盟50周年」を迎えることで予定されている記念行事で習近平中国国家主席による演説を目前に控えている時期であることから、なおさらである。
  中国は「台湾は中国の様々な省のうちの一つであるため、国連加盟の資格はない」と主張しているが、台湾は「自分たちは民主政府を選んだので、加盟の資格がある」と反論している。
  ロイター通信は「台湾外交部(外務省)は今回のフォーラムについて、米国の強い支持に感謝を表した」と報道した。 一方、中国外務省の報道官は定例会見で「台湾問題は純粋な内政だ」として米国側に「言動を慎重にすることを求める」と不快感を表した。


2021.10.22-Yahoo!Japanニュース(jiji news-AFP BB news)-https://news.yahoo.co.jp/articles/226fc0bda1bd63bae52b286ccbc366f6ff294a28
米国は台湾を中国侵攻から守る バイデン氏が見解、中国は反発

  【AFP=時事】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は21日、テレビ局が企画した住民対話集会で、もし中国が台湾を攻撃すれば、米国は台湾を防衛するとの見解を示した。これを受けて中国は、台湾統一の決意を過小評価すべきではないと警告した。

  CNN主催の集会でバイデン氏は、もし台湾に中国が侵攻したら、米国は防衛に向かうかとの質問に「イエス」と答え、「われわれにはそうする義務がある」と明言した。
   バイデン氏が示した見解は、米国が長年維持してきた「戦略的曖昧さ」と矛盾する。これは台湾の防衛力強化を支援しながらも、有事の際に援護するとは明確に約束しないという方針だ。
   これには、中国の侵攻を抑止しつつ、台湾に対しても、中国が最後の一線と見なす正式な独立宣言を思いとどまらせる狙いがある。
   台湾は22日、バイデン氏の見解を歓迎した。一方、中国政府は同日、この見解は「中米関係を損ねる」恐れがあり、米政権に対し「台湾問題では慎重に行動し、発言する」よう警告した
   中国外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は定例会見で「国益が関わる中核的な問題において、譲歩する余地はない」と強調。
   さらに、国家主権への脅威と見なすものから防御する際の、中国の「堅強な決心、確固たる意志、強大な能力」を米国は過小評価すべきではないとくぎを刺した。
   バイデン氏は、ABCが8月に行った取材の際にも、米国は台湾をはじめ主要な同盟相手を常に守るとする同様の約束を口にしていた。同氏は、米国はカナダや欧州諸国など北大西洋条約機構(NATO)加盟国を防衛するという「神聖な誓い」を立てており、「日本や韓国、台湾についても同じだ」と述べていた。
   米政権は、バイデン大統領によるこの2度の見解表明の後に行われた記者会見で、米国の台湾に対する方針は「変わっていない」と繰り返した。
   ローウィ国際政策研究所(Lowy Institute)で東アジア問題を専門とするリチャード・マグレガー(Richard McGregor)上級研究員はAFPに対し、バイデン政権は「戦略的曖昧さ」を守ると「改めて断言した」と指摘。 「バイデン氏には、方針転換を発表する意図はなかったと思う。失言だったか、あるいは台湾への軍事的嫌がらせの頻度を高めている中国のやり方を受けて、意図的に若干強い語調にしたのかもしれない」と分析した。【翻訳編集】 AFPBB News


2021.10.08-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/211008/mcb2110081754013-n1.htm
CIAが中国専門部局「最大の地政学的脅威に対応」

  【ワシントン=大内清】米中央情報局(CIA)は7日、中国に関する情報収集と分析を専門に担う「中国ミッションセンター」を設置するなどの組織改編を発表した。バーンズCIA長官は声明で、台湾への威圧や東・南シナ海での覇権的な海洋進出など「敵対的な態度を強める21世紀最大の地政学的脅威である中国」への対応を強化するための措置だと強調した。

  CIAは2001年の米中枢同時テロ以降、アフガニスタンやイラクをはじめとする中東諸国、アフリカ、東南アジアなどでのイスラム過激派の動向分析、無人機によるテロ掃討作戦に主な関心と資源を振り向けてきた。8月末にアフガンからの米軍撤収が完了した直後のこのタイミングで中国専門部局を設けるとの決定には、「脱中東」を進めつつインド太平洋での安全保障体制構築に本腰を入れるとするバイデン政権の方針が色濃く表れている。
  CIAはこのために中国語ができる人材の採用を積極的に進めると表明。バーンズ氏は「CIAとして、新しい大国間競争の時代の最前線に立つ」と述べた。
  このほかにもCIAは、科学技術の急速な発展や気候変動、公衆衛生といった地球規模の問題を扱う別のミッションセンターも設置する。
  バイデン政権は、中国が人工知能(AI)やサイバー分野での技術革新をリードすることを強く警戒しているほか、同国が新型コロナウイルスの起源に関する国際的な調査を拒絶していることを批判。その一方で温暖化対策などでは中国との協力を模索するともしており、同センターにはこうした政権の姿勢が反映されている形だ。
  また、トランプ前政権時代に設けられたイランと北朝鮮に関するミッションセンターの機能が、それぞれの地域担当部局に組み込まれる予定だ。


2021.09.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210917-IKASV5ZBDZKUHPB7DOXWQPVWKY/
米英豪安保枠組み 対中抑止強化を歓迎する

  覇権的な海洋進出を続ける中国に対する抑止力の強化を歓迎したいインド太平洋地域の安定に向けて、米国、英国、オーストラリアが新たな安全保障の枠組みを創設した。米英は、豪州の原子力潜水艦保有を技術面などで支援する。アフガニスタンから手を引いた米国が安全保障政策の重点を「対中国」に置くリバランス(再均衡)政策である。加藤勝信官房長官が「インド太平洋地域の平和と安全にとって重要だ」と歓迎したのは妥当だ。

  3カ国の頭文字を組み合わせた「AUKUS(オーカス)」と名付けられた枠組みについて、バイデン米大統領は演説で「急速に増大する脅威に対し最新の防衛能力を確保するためだ」と語った。
  米政府高官は「インド太平洋でルールに基づく国際秩序を維持し、平和と安定を推進する」と説明した。米政府が「唯一の競争相手」と位置付ける中国を念頭に置いたのは明らかだ。
  モリソン豪首相は「核兵器の保有を目指すものではない」と述べた。核搭載の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を積む戦略原潜ではなく、通常兵器を積む攻撃型原潜保有を目指すとみられる長期間の潜航が可能な原潜を豪州が持てば、南シナ海や太平洋で活動を活発化させる中国海軍に対する強力な抑止力となる。
  AUKUSは、人工知能(AI)やサイバー、量子テクノロジーでの協力を推進し、安保・国防関連の科学技術や産業基盤、サプライチェーン(供給網)の統合も進める。
  日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」を推進する米国は、AUKUSによって、有数の海軍国で国際的な発言力の大きい英国をインド太平洋の安全保障に密接に関与させたい考えだ。英国は、新鋭空母「クイーン・エリザベス」打撃群の派遣などインド太平洋への関与を強めている豪州は、新型コロナウイルスの起源の調査を中国に要求し、南シナ海などへの中国の覇権主義的振る舞いを批判している。米英との協力で、中国からの圧力に対抗する狙いもある。
  加藤長官は「同じ志を持つ国々と引き続き緊密に連携したい」とも述べた。英米豪と価値観や対中抑止の課題を共有しているのが日本だ。AUKUSに加わってもおかしくない。近い将来の参加を視野に協力を推進すべきだ。


2021.08.07-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210807/k10013186821000.html
米 ブリンケン国務長官 中国の急速な核戦力増強に深い懸念

  アメリカのブリンケン国務長官は、中国が急速に核戦力を増強しているとして深い懸念を示すとともに、中国に対し、南シナ海での挑発的な行動をやめるよう求めました。アメリカのブリンケン国務長官は、日本時間の6日夜、日本やアメリカ、中国、それにASEAN=東南アジア諸国連合の国々などが安全保障問題を話し合うARF=ASEAN地域フォーラムにオンラインで出席しました。

  アメリカ国務省の発表によりますと、この中でブリンケン長官は「中国は、抑止のために核兵器を保有するという長年の自国の核戦略から逸脱し、急速に核戦力を増強している」と、深い懸念を示しました。
  中国の核戦力をめぐって、アメリカ国防総省は、去年の年次報告書で、中国は運用可能な核弾頭を200発以上保有し、今後10年間で倍増させる可能性があると指摘しています。

  さらに、ブリンケン長官は「新疆ウイグル自治区香港、それにチベットで、人権侵害が続いている」と懸念を示すとともに、中国に対し、南シナ海での挑発的な行動をやめ、国際法を順守するよう求めました。
  またブリンケン長官は、ほかの参加国とともに朝鮮半島の完全な非核化を求めたほか、軍による市民への弾圧が続くミャンマー情勢をめぐっては、ARFのすべての参加国に対し、暴力の停止に向けてミャンマー軍に圧力をかけるよう呼びかけました。
中国外相 アメリカを念頭に強く反発
  これに対し、中国外務省によりますと、王毅外相は「他国にみずからの好き嫌いを押し付けたり、民主主義と人権を装って、内政に干渉し、みずからの地理的な利益を求めたりしてはいけない。東アジア諸国の歴史では、ほとんどの国が大国にいじめられるという共通の経験を持っているが、今の時代に教師面をするものや、救世主は必要ない」と述べ、名指しは避けつつも、アメリカを念頭に強く反発しました。

  また中国外務省によりますと、王外相は、南シナ海問題についての国際的な仲裁裁判の判断について国家の同意という基本原則に違反し、事実認定と法律の適用において明らかな問題がある」として改めて、判断を認めないことを主張しました。
  そのうえで、王外相は「近年の南シナ海の平和と安定に対する最大の脅威は、地域外の国々の介入であり、『航行の自由の乱用は、沿岸国の主権と管轄権に対する挑発だ」と述べ、南シナ海の問題は、当事国どうしで解決するべきだという考えを強調しました。


2021.07.24-JIJI com.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021072400007&g=int
中国、前米商務長官らに報復制裁 反外国制裁法を初適用

  【北京、ワシントン時事】中国外務省は23日、外国による対中制裁に反撃するための「反外国制裁法」に基づき、米国のロス前商務長官らに制裁を科すと発表した。先月施行された同法が適用されるのは初めて。米中双方による制裁と報復の応酬が加速し、対立が一段と激しくなるのは必至だ。

  バイデン米政権は16日、香港の高度な自治を侵害したとして、中国政府の出先機関である香港連絡弁公室の幹部7人を制裁対象に指定した。
  中国外務省はこれに対し、「対等な対抗措置を取る」と表明。ロス氏や米議会諮問機関の代表、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の中国部門トップら計7個人・組織への制裁を決めた。その上で「香港は中国の内政問題だ」と改めて強調し、米国に干渉をやめるよう警告した。


2021.07.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210713-TUQZ2WBSGJJ5PDYYUNFSHL7KF4/
中国の「大量虐殺」を初明記 米国務省が議会報告書発表

  米国務省は12日、大量虐殺や残虐行為の防止に関する年次議会報告書を発表し、中国による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だと米政府として認定したことを明記した。

  ブリンケン国務長官は記者会見で「今年初めて報告書で特定の国の残虐行為を直接、詳細に記した」と説明した。
  報告書は、この1年間の米政府の取り組みを振り返る内容。ポンペオ前国務長官が1月に初めて認定した中国によるウイグルでのジェノサイドと人道に対する罪を、ブリンケン氏も追認した。
  具体例として「投獄、拷問、強制不妊手術、迫害」などを挙げた。米政府は英国やカナダ、欧州連合(EU)とともに制裁を科したと指摘した。(共同)







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アメリカと中国との問題-2019年~2021年6月のニュース