アメリカ・防衛-1


2024.02.08-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240208-HCSDFZ2AQNINHC2NJGIT64VWFU/
米司法省、核ミサイル発射の検知技術を盗んだ疑いで中国系技師の男を逮捕

  米司法省は7日、核ミサイルの発射を検知する赤外線センサーの設計図などを勤務先の研究開発企業から盗み出した容疑で、カリフォルニア州サンノゼの中国系技師の男(57)を逮捕したと発表した。司法省は、男が別の企業に勤務していた頃、中国政府に情報提供をしようとしたことがあったとしている。

  司法省によると男は昨年、同州の企業が所有する3600以上のファイルを自身のストレージ(記憶装置)に移した疑い。宇宙で極超音速ミサイルや弾道ミサイルの追跡に使われるセンサーの設計図も含まれる。
  男は別の米企業に勤めていた2014年~22年、中国政府が他国の技術などを得るために運営する「人材プログラム」に複数回、応募していた。14年には、軍事製品の製造を中国の研究所に提案した。
  男は中国出身で、11年に米国の市民権を取得した。(共同)


2023.12.31-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231231-VYST6RPTHRP7XGJLO4UGFBH2MI/
紅海でコンテナ船にミサイル攻撃 親イラン組織か

  米中央軍は30日、紅海南部を通過中のコンテナ船がミサイル攻撃を受けたとの通報があり、ミサイル駆逐艦2隻で対応に当たったと発表した。船はシンガポール船籍でデンマークの海運会社が運航。航行可能で負傷者はいないとみられる。

  ミサイル駆逐艦グレーブリーがイエメンの親イラン武装組織フーシ派の支配地域から飛来した対艦弾道ミサイル2発を迎撃した。対応したもう1隻はミサイル駆逐艦ラブーン。紅海周辺ではフーシ派による国際船舶への攻撃が相次いでいる。(共同)


2023.12.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231220-R76ATDQYZJNP7LXLPOKPWILLKM/
パトリオット、米国へ輸出へ 装備移転運用指針を改定

  政府は22日に改定する防衛装備移転三原則と運用指針を踏まえ、米国企業のライセンスに基づき日本で生産している地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を米国に輸出する方針を固めた。米国からの要請があり、同日にも決定する。複数の関係者が19日、明らかにした。

  与党実務者協議が三原則と運用指針の見直しについてまとめた政府への提言では、外国企業が開発し、日本企業が許可を得て製造するライセンス生産品に関し、ライセンス元国への輸出解禁を求めた。政府は提言を受けて、運用指針を改定する
  現行ルールでは、ライセンス生産品は米国の部品に限って輸出を認めている。完成品を含め、米国以外にも輸出できるようになり、大幅に規制を緩和する。ライセンス元の国から第三国への輸出は日本の事前同意を条件とし、殺傷能力のある武器や弾薬に関しては「戦闘が行われている国」への移転を除く。


2023.10.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231028-HN57N63SOVMDVMKZGGJUBKP7R4/
米、新型の核爆弾開発し抑止力強化へ 「B61」の改良型「B61―13」で中露に対抗

  【ワシントン=坂本一之】米国防総省は27日、航空機に搭載可能な核爆弾「B61」の新たな改良型「B61―13」を開発すると発表した。バイデン政権が昨年10月に打ち出した核戦略指針「核態勢の見直し(NPR)」中国やロシアの脅威などに対抗するため核兵器の現代化を進める方針を示しており、旧型のB61と置き換えて抑止力を強化する。

  「B61―13」は、現行の最新型で安定性や精密誘導性に優れる「B61―12」の性能を引き継いで開発する。老朽化した旧型の「B61―7」と置き換えるため、米軍が保有する核兵器数は増えない。
  米軍はまた、「B61―12」をステルス戦闘機F35に塔載する試験を実施しており、「B61―13」も最新鋭の戦闘機などへの塔載も可能になるとみられる。開発は議会の承認と予算計上を受けて実施する。
  国防総省は「安全保障環境の変化や潜在的な敵対国から脅威が高まっている」と指摘。「敵対国への抑止力と同盟国への保障を強化する」とした。
  下院軍事委員会のロジャース委員長(共和党)らは声明で「中国とロシアは全面的な軍拡競争を展開している」と述べ、インド太平洋地域や欧州地域で抑止力となる考えを示した。開発を歓迎する一方で、長期的な対策にはならないとして抑止力強化に向けた核態勢の「劇的な変革」を求めた。
  国防総省が19日に公表した中国の軍事動向に関する年次報告書では、同国の運用可能な核弾頭数(推定)を前年報告書の400発超から500発超に引き上げた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射施設を含め核戦力を急拡大させていることを強調している。


2023.09.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230914-H6VTZSVOMZJERJ6SXJQDXWT7BE/
<独自>米、在日宇宙軍を創設へ 中朝の脅威に対応

  【ワシントン=坂本一之】米軍が北朝鮮の弾道ミサイルや中国の覇権拡大などの脅威に対応するため、日本に宇宙領域を担う新たな部隊「在日米宇宙軍」(仮称)を創設することが分かった。年内の発表を目指して準備を進めている。重要性を増す宇宙領域で在日米軍を強化し、自衛隊との連携を拡大する。日米韓が進める北朝鮮ミサイル発射情報の即時共有も支援する。

  新部隊はハワイにあるインド太平洋宇宙軍の傘下組織となり、設置場所として在日米軍司令部のある横田基地(東京都)が候補となっている。インド太平洋宇宙軍のアンソニー・マスタリア司令官が産経新聞の取材で明らかにした。
  インド太平洋宇宙軍は衛星通信や兵器システムの位置情報、ミサイル警戒などに関する任務を担い、この地域に展開する陸海空などの各軍や統合作戦を宇宙から支える新部隊もこうした役割を通して在日米軍を強化し、防衛省が昨年3月に航空自衛隊府中基地(東京都)に編成した「宇宙作戦群」連携する。宇宙航空研究開発機構(JAXA)とも協力していく。
  陸海空自衛隊の一体的運用を図る「統合司令部」が設けられるのに合わせ、日米間で宇宙を含む多領域での連動がより円滑になると期待される。マスタリア氏は、新部隊が「日本との同盟をさらに強化する上で目玉となる」と強調した。
  マスタリア氏はまた、インド太平洋地域では、大量の衛星を打ち上げるなど「中国が見たことのないペースで宇宙能力を拡大している」と指摘。中国が衛星を活用し、ミサイルを主体とした「長距離精密火力」で米空母の撃沈を図ろうとしていることからも、宇宙領域で優位性を維持する必要があると述べた。
  米国は2019年、陸海空軍などに続く「第6の軍」として宇宙軍を発足させた。インド太平洋地域での対応を強化するとして22年11月にインド太平洋宇宙軍を創設し、同年12月には韓国に同軍傘下の「在韓米宇宙軍」を設けた。
  マスタリア氏は、日米韓がミサイル発射情報の即時共有を進める上で、日本に創設する新部隊が「非常に役立つ」と強調した。


2023.08.15-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230815-2SJAPPFLFJIF3OHAY6KTN5VH4Y/
米3軍トップ空席「前代未聞」 共和党議員が承認妨害

  米海軍制服組トップのギルデイ作戦部長が14日、退任した。後任人事は議会で未承認。野党共和党の上院議員が妨害しているためで、既に空席となっている陸軍参謀総長、海兵隊司令官のポストに続き、3軍のトップが形式的に空席となった。オースティン国防長官は「前代未聞だ」と訴え、後任を速やかに承認するよう求めた。

  オースティン氏は、東部メリーランド州アナポリスの海軍士官学校で開かれたギルデイ氏の退任式典で演説し、3軍のトップが不在の状況について「国防総省の歴史上初めて」と強調した。上院で米軍の人事案300件以上の承認手続きが停滞していると指摘した。
  共和党の対応が米軍の即応性を損なっていると批判し「上院は今こそ全人事を承認すべきだ」と述べた。
  手続きを妨害しているのは保守派のタバービル上院議員で、人工妊娠中絶を選ぶ米兵の権利を擁護するバイデン民主党政権への反発が理由。9月末に任期切れとなる米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長の後任についても承認手続きが進んでいない。(共同)


2023.06.27-gooニュース-https://blog.goo.ne.jp/aw2zx/e/45f8680503426f23666691d43ff5fa52
米、グアムに移動可能レーダー 新ミサイル防衛、脆弱性に対処

  米軍がインド太平洋地域の重要拠点であるグアムに導入する新たなミサイル防衛システムの概要が明らかになった。移動可能なレーダーを導入し全方位からの攻撃に対応。ミサイルと航空機による同時攻撃にも対処する。日米はグアムの新たな防衛システムを通して連携を深め、中国や北朝鮮の攻撃に備えて対処能力を高めていく。

  グアムの新たな防衛システムは移動可能な新型レーダー「AN/TPY6」を島の複数カ所に設置する。レーダー1基では360度全方位に対処できないため、複数設置してあらゆる方向から飛来するミサイルや航空機を迎撃する。米国防総省が産経新聞の取材に明らかにした。
  移動可能なレーダーにすることで施設建設の場合に必要な費用や時間を削減する。有事の際には移動して破壊されるリスクを軽減する狙いがあるとみられる。
  敵の極超音速兵器や弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機など多様な攻撃に対応する。迎撃ミサイルの発射機はイージス艦で使用される垂直発射機を分散させて固定配備し、移動可能な発射機も導入する方針だ。
  グアムを巡る安全保障環境は、中国が弾道ミサイル技術を高め、空母導入も進めるなど厳しさが増す。
  グアムでは高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備してきたが、全方位からの攻撃を防ぐ新システムで防衛能力を大幅に引き上げ、中朝などの脅威に対する脆弱(ぜいじゃく)性に対処する。2024年に性能データ収集に向けた試験用を導入し、29年に本格配備を見込む。
  グアムは米軍が北朝鮮や中国と対峙(たいじ)する拠点の一つで、日本の防衛や台湾有事で重要な役割を果たす


2023.06.05-Yhoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/926d90810b56943eb8b29eb0224e9d7809d2577b
ワシントン上空に交信不能の軽飛行機、国有林に墜落 米軍機が緊急発進
【ワシントン秋山信一】

  米北方軍は4日、首都ワシントン上空に交信不能な軽飛行機が飛来したため、F16戦闘機が緊急発進したと発表した。F16は軽飛行機に接近して交信を試み、熱源探知型の敵ミサイルが命中するのを防ぐために用いる火炎弾「フレア」を発射して注意を引こうとしたが、反応はなかった。米ABCニュースによると、軽飛行機の操縦士は意識を失った様子だったという。軽飛行機はその後、南部バージニア州の国有林に墜落。米CNNによると、4人が搭乗していたが、現場の捜索は難航しており、安否は不明だ。

  報道によると、軽飛行機は「セスナ560」で、事前の計画では南部テネシー州から東部ニューヨーク州に向かう予定だった。F16は超音速で飛行したため、周辺地域の地上では衝撃波が報告された。
  一連の事案はバイデン大統領にも報告されていたが、避難措置はとられなかった。
【ワシントン秋山信一】


2023.02.08-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20230208-OYT1T50190/
中国のICBM発射台、米の保有数を超える…核弾頭でも猛追

  【ワシントン=田島大志】米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは7日、米軍が米議会に対し、中国が保有する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射台の数が、米国の保有数を超えたことを通知したと報じた。

  報道によると、米戦略軍は1月26日、上下両院の軍事委員会に対し、陸上の固定式と移動式の発射台数を比較した数字として伝えた。米国が保有する潜水艦や爆撃機の発射台は含まれていない。
  核弾頭の保有数は、米国が3000発を超すのに対し、中国の核弾頭保有数は400発超とされる。米国防総省の推計では、中国は2035年に約1500発に達する可能性がある。



2022.12.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221205-QINKE4MRQNOSZFS2VBAFNNDMME/
米が新型爆撃機B21を公開 対中抑止力強化を狙いステルス性能強化

  【ワシントン=坂本一之】米軍が対中抑止力の強化として開発を進める核兵器の搭載が可能な新型戦略爆撃機「B21」を初公開した。高いステルス性能を生かして中国軍のレーダーをかいくぐり同国に近づける性能を目指す。中国が核戦力を増強する中、2020年代半ばに見込まれるB21の実戦配備を通し、米国が保有する核の抑止力を引き上げて中国に対抗する

  米空軍は2日、西部カリフォルニア州でB21を公開した。公開式典に出席したオースティン国防長官は同機のステルス性能に関し「50年にわたる技術の進歩が注ぎ込まれている。最新鋭の防空システムでもB21の発見は苦労するだろう」と強調した。
  中国軍は米軍を近海に近づけない「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略を取っていて、空母キラーと称される対艦弾道ミサイルの配備や開発を進めている。対艦弾道ミサイルの脅威が高まれば、米軍は有事に戦闘機などを搭載した空母の派遣が難しくなる。
  長距離を飛行し精密攻撃能力に優れるB21によって中国軍のA2/AD防空網を突破して打撃を与えることができる戦力を誇示することで、米国や同盟国などに対する中国の攻撃を抑止する狙いだ。国防総省が10月に公表した「国家防衛戦略(NDS)」でも、A2/ADに対抗する攻撃力の確保を掲げている。
  B21はデータ共有技術を活用し、他の軍用機などと連携できるという。米軍が今後、開発する次世代の兵器への対応も想定しており、無人運用を可能とするよう設計されている。
  米メディアによると、米空軍はB1、B2戦略爆撃機を30年代前半までに退役させる予定。B21とエンジンを改良した冷戦時代のB52戦略爆撃機が主力を担うことになる。
  B21は第6世代と呼ばれ、開発した米ノースロップ・グラマン社によると第6世代機の公開は世界で初めて。初飛行は23年の予定で、米空軍は少なくとも100機を配備する計画だ。調達価格は1機当たり7億ドル(約940億円)規模で、中西部サウスダコタ州のエルスワース空軍基地を主要基地とする見通し。
  オースティン氏は3日の演説で「米国と北大西洋条約機構(NATO)、日本、韓国などの同盟国に対する攻撃を抑止する最終手段」は核兵器による抑止力だとして核戦力の近代化を進める考えを強調した。


2022.11.30-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/usa-china-military-idJPKBN2SJ22G
中国、35年までに核弾頭1500発備蓄の可能性=米国防総省

  [ワシントン 29日 ロイター] - 米国防総省は29日に公表した報告書で、中国が現在の核増強ペースを維持すれば、2035年までに1500発の核弾頭が備蓄される可能性が高いとの見方を示した。
  国防総省が公表した中国軍に関する年次報告書は主に21年の活動を対象とするもので、中国は現在400発を超える核弾頭を保有するしていると推定。国防総省当局者は、30年までに1000発に増えるとの予測は変わらないとし、増加ペースに変化がないとの仮定の下で35年時点の核弾頭の数を予測したとした。

  国防総省当局者は記者会見で「中国は隠すにはあまりにも急速な増強を行っている」とし、「中国が無駄がなく効果的な抑止力を前提とする戦略からシフトしているのか、疑問を投げかけるものだ」と述べた。
  中国は自国が保有する核兵器の数は米国とロシアよりはるかに少ないと主張。対話の準備はあるとしながらも、米国が保有核兵器の数を中国の水準まで減らした場合のみ対話を行うとの姿勢を示している。

  スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、米国は約3700発の核弾頭を保有し、このうち約1740発が配備されている。
  国防総省は今回の報告書で、中国が台湾に対する圧力を強めていることに改めて懸念を表明。ただ当局者は、米政府は台湾侵攻が差し迫っているとは見なしていないと述べた。


2022.05.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220507-LQYXSCO3OJPFFK6BJHEVU4F76I/
中国軍拡に懸念、露も注視 米第7艦隊司令官に聞く
(岡田美月)

  米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を拠点とする第7艦隊のカール・トーマス司令官が7日までに産経新聞などのインタビューに応じた。中国の軍備拡張に懸念を示し、ウクライナに侵攻したロシアの太平洋地域での動向を注視していることを明らかにした。また、こうした脅威に対し、日本などの同盟・同志国との連携による抑止力の重要性を強調した。

  トーマス氏は中国の軍事力増強に関し「世界の国々ほど透明性を保とうとしていないことを懸念している」と指摘した。同時に、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席ら首脳や閣僚などの協議が行われているとして、「米中間には緊張感があるが、コミュニケーションを取って合意できる共通点を見つけることが重要だという考えもある」と述べた。
  第7艦隊は西太平洋・インド洋を担当している。トーマス氏はロシアのウクライナ侵攻にも「注意を払っている」と強調。「ロシアは大国で、太平洋側にも艦隊がある。警戒態勢を取っており、太平洋でロシアの艦隊を監視する能力には自信がある」と語った。
  米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」を中心とする第3空母打撃群は4月、日本海などで訓練を重ねた。トーマス氏はその狙いについて、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記に対して「ミサイル発射が評価されていないということを認識させるメッセージだ」と説明した。
  そのうえで、中露や北への対応に関し、「肝心なのは抑止力だ」と指摘。第7艦隊や海兵隊、沖縄を拠点とする第3海兵遠征軍(ⅢMEF)が同盟国やパートナー国と協力関係を強化することが「われわれの戦略の一つだ」と語った。

  日本については「中国に近接し、非常に有能な軍隊(自衛隊)を持ち、この地域全体に必要な指導的役割を果たすことができる」と期待を示した。日米同盟が「今日ほど緊密であるのを見たことがない」と強調。4月に海上自衛隊と日本海で行った日米共同訓練に触れ、「日常的に緊密に連携を取っていることを非常にうれしく思う」と語った。
  また、自衛艦隊司令官の湯浅秀樹海将の名を挙げ、「定期的に話している。一緒に仕事をするときはすがすがしい気分だ」と語った。
  トーマス氏は、日本近海で訓練を行ったエーブラハム・リンカーンに乗艦中の4月23日にインタビューに応じた。(岡田美月)

  カール・トーマス米海軍中将 米東部バージニア州出身。1986年、米レンセラー工科大の予備役将校訓練課程(ROTC)修了。E2C早期警戒機のパイロットに従事。イラク戦争などを指揮した。原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする第5空母打撃群を指揮下に置く第70任務部隊司令官などを歴任。2021年7月から現職。


2022.04.13-毎日新聞(KYODO)-https://mainichi.jp/articles/20220413/k00/00m/030/003000c
米、臨界前核実験を昨年2回 ロシア、中国との対立で軍縮停滞

  バイデン米政権が昨年6月と9月に核爆発を伴わない臨界前核実験を2回実施していたことが12日、分かった。米エネルギー省核安全保障局(NNSA)が共同通信に明らかにした。バイデン政権で初の実施で、1年に2回行うのはオバマ政権下の2010年以来。ロシアや中国との対立で核軍縮が停滞する中、核戦力の近代化を推進している実態が浮き彫りになった。

  NNSAによると、西部ネバダ州の地下核実験場で21年6月22日にナイトシェードBと称する実験を実施。9月16日に同「C」を行った。3回続きの第2、3回目で、初回の同「A」はトランプ前政権下の20年11月に行われた。

  今回の実験の詳細な目的は不明だが、臨界前核実験は、開発中の新型空中発射長距離巡航ミサイル(LRSO)や、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載する核弾頭の近代化計画に不可欠とされる。米国は
新型核弾頭「W93」の開発にも着手しており、長崎大の冨塚明准教授は「長期計画はトランプ前政権から大きく変わっていない」と指摘した。
  核軍縮推進派諸国は核保有国の戦力増強に危機感を強めており、6月にウィーンで予定される核兵器禁止条約の第1回締約国会議で軍縮への転換を強く迫る構えだ。

  LRSOは戦略爆撃機に積んで敵の防空網の外から攻撃するミサイルで、威力を抑えられる核弾頭「W80―4」の搭載を計画。ロシアが保有する「小型核」に対抗する狙いが指摘されている。
  米専門家らはLRSOは実戦使用を前提とする兵器だと指摘、核抑止に貢献しないと批判している。NNSAによると「W80―4」とICBM用の「W87―1」は24年以降に完成する計画。

  米国は1992年に地下核実験を停止し、97年から臨界前核実験を開始。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権時は4回、トランプ政権下では3回行われた。(共同)


2022.03.03-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0302T0T00C22A3000000/
米、ICBM発射実験を延期 ロシアと緊張拡大を回避

  【ワシントン=中村亮】米国防総省のカービー報道官は2日の記者会見で、今週に予定していた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を延期すると発表した。ロシアが核態勢の強化を発表しており、米ロの緊張が過度に高まる事態を避ける狙いだ

  オースティン国防長官が延期を決めた。カービー氏は狙いについて「誤解されかねない行動をとる意図はないことを示す」と説明した。米国の発射実験を口実にロシアがさらなる挑発行動をとれば緊張拡大が連鎖しかねないと懸念しているとみられる。

  新たな発射実験の日程を示さなかったが「我々の戦略的核態勢や抑止力に影響はない」と唱えた。「責任ある核保有国であることを示す」とも強調した。
  延期を決めたのは、ロシアが発表した核態勢強化の具体策が乏しいことも考慮したとみられる。延期の発表に先立ち、国防総省高官は2日に記者団に対して「米国の戦略的抑止態勢について我々に不安を感じさせるようなことは何も起きていない」と語り、ロシアの態勢に大きな変化がないと説明した。
  バイデン政権の決定がロシアに対する弱腰姿勢を示すものだとロシアが判断すれば、さらに緊張を招く行動をとって米国の反応を試すリスクもある。
  ロシアのプーチン大統領は2月27日、ロシア軍の核戦力を運用する部隊に対して「任務遂行のための高度な警戒態勢に入る」よう指示した。ショイグ国防相は28日、命令を実行に移す準備が整ったと明らかにしていた。


2022.02.07-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/158871
沖縄近海で米軍1万人訓練 対中新作戦、自衛隊も参加

  米海兵隊と海軍が2月3~7日、中国への対処を念頭に小規模部隊を分散展開させる新たな遠征前方基地作戦を含む合同訓練を、沖縄の宮古海峡付近などで実施したことが7日、分かった。自衛隊も参加米本土拠点の強襲揚陸艦エセックスや海兵隊の即応部隊、第11海兵遠征部隊も展開し、米側だけで1万人以上が活動した。

  訓練名は「ノーブル・フュージョン(気高い融合)」。海軍佐世保基地を拠点とする強襲揚陸艦アメリカでは、ステルス戦闘機F35Bや輸送機オスプレイが離着艦し、海自イージス艦が対空監視に当たった。海兵隊はヘリコプターからロープで海軍の艦船に降りる訓練を実施した


2022.02.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220204-UB7FEAZYBRNQXKHIMT2CJUG2QE/
米、3正面からの露軍ウクライナ侵攻を警戒

  バイデン米政権は東欧の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の駐留米軍を一時増強することを決めた増派規模は約3千人で、ウクライナ周辺に展開するロシア軍の増強が続き、侵攻能力が整ったと判断したための措置だ。米側は①ロシア西側のウクライナ国境②北方のベラルーシ③南部のクリミア半島および黒海の3方面に展開する露軍の動きを注視。ロシアが侵攻に踏み切れば影響は周辺国に波及しかねず、最前線の同盟国への米国の関与を示すことで、ロシアの軍事行動を制止し、交渉による緊張緩和に導く狙いがある。
ワシントン 渡辺浩生
野戦病院の準備も
  「プーチン大統領は過去の24時間でさえ、ロシア西部、ベラルーシ、地中海や北大西洋で攻撃能力の増強を続けている。緊張緩和の意思は何ら示していない」
  米国防総省のカービー報道官は米軍増派を発表した2日の記者会見で、ウクライナが3方向から露軍に囲まれている状況を訴えた。国防総省は、ロシア西部のウクライナ国境付近に展開する10万人超の露軍の最新の状況について、歩兵や砲兵、戦車など戦闘部隊に加えて兵站(へいたん)、航空、野戦病院など広範囲な増強が続いていると分析。ロシア側は「侵攻の意図はない」とするが、指導者の判断ひとつで「いつでもすぐ動かすことができる」とみる。
  ロイター通信が1月末、米当局者の話として負傷兵用の血液が運ばれたと報じたことも、軍事行動が近い兆候と受けとめられた。
  隣の親露国ベラルーシには今月に予定される演習を理由に露軍部隊が続々と到着。「約3万人超に拡大しようとしている」とトーマスグリーンフィールド米国連大使は批判する。
  ウクライナの首都キエフはベラルーシ国境から約220キロしか離れていない。ウクライナ軍は露軍の南下を警戒するが、2014年以来親露派武装勢力との紛争が続く東部地方に兵力が傾斜し、「北の国境を守るのに必要な兵力を招集するのは難しい」(米紙ニューヨーク・タイムズ)。
水陸両用作戦も
  どのような軍事侵攻がありうるのか。米戦略国際問題研究所(CSIS)のセス・ジョーンズ上級副所長は1日の電話記者会見で、14年にロシアが併合したクリミア半島とロシア本土を陸続きにするために、黒海沿岸の「ベルト」を占拠するシナリオを挙げた。黒海からウクライナ最大の港湾都市オデッサを占拠する水陸両用作戦も「実行能力のある選択肢」と指摘する。
  露海軍の黒海艦隊はクリミア半島の軍港セバストポリを拠点にする。北大西洋や地中海の露艦艇の行動や演習も活発化していると、米国は警戒を強めている。
  米国家安全保障会議(NSC)元欧州部長のアレキサンダー・ビンドマン氏は米誌フォーリン・アフェアーズ(電子版)の論文で、親露派勢力が占拠する東部ドンバス地方の完全併合を狙う限定的な攻撃、黒海からの上陸作戦、陸海空の戦力を各方面から投入する全面的な攻撃の3つのシナリオを挙げた。全面攻撃では初期段階に軍・政府の拠点や基幹インフラに対する空爆が伴う可能性もあるとしている。
歴戦部隊を派遣
  「第二次大戦以来最大の侵略になる」とバイデン大統領はロシアを牽制(けんせい)した。
  米軍増派は、ウクライナへの軍事侵攻による混乱が北大西洋条約機構(NATO)同盟国に飛び火する事態に備えるものだ。
  米南部ノースカロライナ州のフォートブラッグ基地からポーランドに派遣される1700人は米陸軍第82空挺師団所属。ルーマニアにはドイツ駐留の第2騎兵連隊から1000人が派遣される。いずれも第二次大戦、湾岸戦争、対テロ戦争に参加した歴戦部隊だ。別途8500人がNATOの即応部隊に合流するため待機する。

  NATOの東方拡大に反発してきたプーチン氏はウクライナへの軍事行動を脅しにして、旧ソ連陣営だった東欧諸国からのNATOの軍事的撤退を迫ってきた。そうした加盟国に米軍をあえて増派して同盟結束を誇示することが、米国の狙い通り対露抑止につながるか。逆に事態がエスカレートしないか。瀬戸際の欧州を中国や北朝鮮、イランという現状変更を狙う反米国家も注視している。


2022.01.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220130-MIN72JDEEFNHDNIJ7NISJG7GVY/
米の対北政策行き詰まり ウクライナ危機と同時進行のジレンマ

  【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米政権がウクライナ危機の対応に集中する中、北朝鮮が今年7回目のミサイル発射を行った。対話の門戸を開き続けるだけの対北政策の行き詰まりは明白だ。核・ミサイルの脅威に対する優先度の低さを金正恩(キム・ジョンウン)政権に印象付け、開発を進める時間を与えている。

  われわれの皿の上にはたくさん(の課題や脅威が)のっていて、その一つ一つに集中している」
  国防総省のカービー報道官は今月27日の記者会見でこう語った。ロシアによるウクライナ侵攻危機、中国による台湾への統一圧力と同時に、北朝鮮の挑発にどのように対処するのか-という質問に対する釈明は、米国が陥ったジレンマを浮き彫りにしている。

  バイデン政権は昨年、「現実的アプローチ」という対北政策を打ち出した。「最大限の圧力」を使い首脳間対話を実施したトランプ政権と、「戦略的忍耐」というオバマ政権の中間といわれてきたが、実情は個別の発射実験に声明で非難と対話呼びかけを繰り返すのみだった。

  米国が中国とロシアとの二正面の対処に追われていく過程で、北朝鮮の弾道ミサイル発射は頻度を増し、受け身の対北政策は「もはや機能しないという結論」(米誌フォーリン・ポリシー)が出たといえる。
  ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は本紙取材に「北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したり、金正恩氏が首脳会談を提案したりすれば、バイデン大統領は北朝鮮に集中するだろう」と語る。そうした優先度の低い姿勢が、同国がICBMや核実験に踏み切るまで「傍観する」というシグナルを与えてしまった。

  その間に、北朝鮮は極超音速や多弾頭のミサイル開発など「米国と同盟国のミサイル防衛網を突破する」(米議会調査局の報告書)目標に着実に進んでいる。
  バイデン氏が今、プーチン露大統領に毅然(きぜん)と対処できなければ、金氏や中国の習近平国家主席を喜ばせるだけだ米主導の世界秩序に挑戦する複数の脅威に対峙(たいじ)しつつ、対北圧力強化へ早急な転換が迫られる。


2022.01.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220125-CNVX6U67VNJGJFM7EG64TRETRE/
米軍、8500人欧州へ派遣準備 対露抑止強化図る

  【ワシントン=渡辺浩生】米国防総省のカービー報道官は24日の記者会見で、ロシアによる軍事行動の危険が高まるウクライナ情勢を受け、オースティン国防長官が約8500人の米軍部隊に対し、欧州への派遣に備えるよう命じたと明らかにした。プーチン露政権はウクライナ国境付近で部隊増強を続け、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の東欧やバルト海諸国にも圧力を加える。バイデン米政権は同盟への関与を示すことで、対露抑止力の向上を図ったとみられる。

  バイデン大統領は24日午後、仏独英や欧州連合(EU)の首脳らとビデオ会談。ロシア軍の最新の動向や、侵攻した際の同盟諸国による対応についてすり合わせを行った。
  派遣準備はオースティン氏の提案を受けてバイデン氏が決断した。カービー氏は派遣の決定はまだなされていないとしている。8500人は米本土の基地所属で、戦闘部隊や兵站、医療、航空、輸送などの部隊が含まれる。
  NATOも24日に東欧の加盟国への増派を表明しており、米軍部隊はNATOが即応部隊を展開する際に合流する見通し。派遣先は明らかでないが、東欧などの加盟国とみられる。
  ウクライナ国境沿いには10万人超のロシア軍が展開し、現在も増強中。露軍部隊はウクライナの北方と国境を接するベラルーシにも共同訓練を理由に続々到着し、米政府は「現時点でロシアには緊張緩和の意思がない」(カービー氏)とみている。

  カービー氏は派遣準備の狙いについて、ウクライナ侵攻でロシアが受ける重い代償を知らしめる手段」と指摘。加盟国への武力攻撃を全加盟国の武力攻撃とみなすと定めた北大西洋条約第5条に基づく「結束を確かにする」と強調した。


2021.12.17-RakutenInfosheekNews(ZaqZaq夕刊フジ)-https://news.infoseek.co.jp/article/fuji_SYRBJWZPBBLYPOT7SD4WXRMKDU/?tpgnr=world
米議会が中国抑止に強い決意 リムパックへの台湾招待、予算明記 識者「『中国への挑戦状』たたきつけた格好だ」

  米議会が「台湾防衛」に強い決意を示した―。米上院は15日、2022会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法案を賛成多数で可決した。法案では、軍事的覇権拡大を進める中国への対抗姿勢が鮮明化したが、中でも、ジョー・バイデン政権に米海軍が主催する「環太平洋合同演習(リムパック)」に台湾を招待するよう勧奨したことは注目される。

  「米国と密接に協力して台湾海峡と地域の平和と安定を守っていく」。米上院による招待要求を受け、台湾外交部は16日、こう感謝を表明した。国防部も同日、「感謝」を示した。
  リムパックは1971年以来、隔年で実施される世界最大規模の海上軍事演習。ハワイ沖で行われ、日本を含め、米国の同盟国を中心に相互連携を確認している。前回の「リムパック2020」には、コロナ禍のため、米国や日本、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国など10カ国から、艦艇22隻、潜水艦1隻、人員約5300人が参加。前々回の「リムパック2018」は、26カ国から、艦艇47隻、潜水艦5隻、航空機約200機、人員約2万5000人以上が参加した。
  来年は開催年であり、台湾参加が実現すれば、米台断交後、初となる。バイデン大統領の対応が焦点となるが、中国が反発するのは必至なだけに、政権内で慎重に検討するとみられる。一方、中国は台湾の武力統一の可能性を排除していない。
  中国共産党機関紙、人民日報系の「環球時報」(英語電子版)は15日、人民解放軍が海南島周辺で、水陸両用の着陸任務と想定される訓練を実施したと報じた。詳細は不明だが、専門家の「台湾を念頭に置いている」との見解も伝えている。

  リムパックへの台湾招待が実現すれば、どうなるか。軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「米国や同盟国の『台湾支援』の士気や、連携の効率が上がり、有事でも迅速に動けるようになる。米国による台湾への武器売却などの段階から、さらに一歩進んで『中国への挑戦状』をたたきつけた格好となる。台湾が国際的舞台に復帰するデビュー戦になる」と語った。


2021.10.18-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/211018/mcb2110180611001-n1.htm
極超音速兵器で地球周回、中国が核搭載型8月に実験 「驚異的進歩」米衝撃

  英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は16日、中国が核弾頭を搭載可能な極超音速兵器の発射実験を8月に行ったと報じた。複数の関係筋の話としている。ロケットで打ち上げたミサイルが地球を周回後に下降。目標は外したが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を使わず宇宙空間から世界各地を攻撃できる能力につながる懸念がある。米情報当局は、中国の技術力の「驚異的進歩」に衝撃を受けたという。

  極超音速兵器は音速の5倍以上の速度で飛行し、機動性が高く探知や迎撃が困難。米国やロシアも開発を進めている米国は9月下旬に極超音速ミサイルの実験に成功したと発表しており、開発競争が過熱しそうだ。
  中国が実験した極超音速兵器は、地球の低周回軌道を回った後に速度を上げながら滑空飛行し、標的から約30キロ離れた場所に到達した。(共同)


2021.10.13-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/e2876148f3ab50117906e50ade4c27c94dd1b21a
米政界で対パキスタン議論 圧力か孤立回避か

  【ワシントン=大内清】イスラム原理主義勢力タリバンによるアフガニスタン掌握を受け、バイデン米政権が、対テロ戦争の「重要同盟国」と位置付けられてきたパキスタンへの政策見直しを進めている。
  同国が米国の援助を得る一方で、タリバン支援を続けていたためだ。議会ではパキスタンへの〝懲罰〟を主張する声が出ているが、専門家らには同国を孤立させれば大規模な地域紛争を招く危険があるとの慎重論が強い。

  米下院外交委員会で5日に行われた公聴会では、議員と外交・安全保障の専門家らの間でパキスタン関与のあり方が議論となった。
  トランプ前政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めた証人のマクマスター氏は「パキスタンへの支援を停止して孤立させ、タリバンなどジハード(聖戦)勢力を保護した責任を負わせるべきだ」と述べ、民主、共和両党の一部議員が同調した。
  反論したのは、同じく証人として出席したアーミテージ元国務副長官らだ。 アーミテージ氏は、パキスタンの孤立は中国、インドの領有権争いも絡む係争地カシミール地方の不安定化を招くと警告。駐パ、駐アフガン両大使などを歴任したクロッカー氏も「パキスタンを罰する(外交政策上の)余裕はない。カシミールの暴発は中印パの地域戦争に発展する」と証言した。

   こうした議論が熱を帯びるのは、アフガン政策の失敗はパキスタンが原因だとの見方があるためだ。 米国は「テロとの戦い」にパキスタンの協力は欠かせないと判断。米メディアによると2002年以降、計330億ドル(約3兆6700億円)以上の軍事・経済支援を供与してきた。
  一方、1990年代のタリバン創設にも関与したパキスタンは、したたかに立ち回った。2001年のタリバン政権崩壊後も自国内に拠点を提供。タリバンを手駒に地域情勢への影響力を強め、対立するインドを牽制(けんせい)するといった狙いがあった
  タリバンが米軍やアフガン政府との戦闘を継続できたのは、パキスタンでの戦闘員徴募や訓練、武器調達が可能だったからだ。 こうした経緯から、タリバンのアフガン掌握で利益を得たのはパキスタンであるようにも見える
  だが、事態はさらに複雑だ。 アフガン駐在経験のある外交筋は「勝利したタリバンが制御不能になるのを最も懸念しているのは、実はパキスタンだ」と語る。
  同国内には、タリバンの影響で誕生した「パキスタンのタリバン運動」(TTP)などの過激派が存在する。それらが今後、パキスタン政府への攻撃やインドへのテロなどを行うため、アフガン領を安全地帯として利用する恐れは強い。タリバンがパキスタンを利用したのと同じ構図だ

  米政界で対パ非難が強まる中、ブリンケン国務長官は9月、米パ関係を「再評価」すると表明した。だが、パキスタンが孤立感を強めれば、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて域内の影響力を高める中国との関係緊密化を一層促すことにもつながる。 パキスタンのカーン首相の安全保障補佐官を務めるユースフ氏は今月、米外交専門誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿で、対パ非難の高まりは米国など西側諸国がアフガン政策失敗を糊塗(こと)するための「スケープゴート」探しだと批判した。


2021.09.29-Yahoo!Japanニュース(朝鮮日報)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8482371b11ca8bd96f116473669dc2a71a439e32
ソウルから平壌までわずか1分15秒…米軍、極超音速兵器のテストに成功
(1)
  米軍が27日(現地時間)、音速の5倍のスピードで飛ぶ極超音速ミサイルの試射に成功したと発表した。極超音速兵器は、従来のミサイル防衛(MD)システムでは迎撃が不可能で、戦争の構図を変えかねない「ゲームチェンジャー」と呼ばれる。中国やロシアも天文学的な予算を投じて極超音速兵器の開発に拍車を掛けており、3カ国間の戦略兵器開発競争が一段と激しくなる見込みだ。

  米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は27日に発表した声明で、先週に空軍と共に「外気吸入型極超音速兵器コンセプト(HAWC)」の発射テストを完了したことを明らかにした。今回発射テストが行われた極超音速ミサイルは、空軍の戦闘機に搭載して使用する兵器といわれている。
  このミサイルは先端技術が適用されたスクラム・ジェット・エンジンを積み、大気圏をマッハ5(音速の5倍)以上のスピードで飛び、目標物を打撃するという。時速およそ6200キロで飛行するという意味だ。
  ソウルから撃った場合、平壌上空までわずか1分15秒で到達できる。米空軍メディアの「エア・フォース・マガジン」は「ミサイルの速度以外に、射程など正確な諸元は公開されていない」と報じた。
   大陸間弾道ミサイル(ICBM)は大気圏外まで飛んでいってから地上の固定目標を打撃するが、ほとんどの極超音速ミサイルは飛行機のように低い高度を飛び、瞬く間に地上または海上の目標物を攻撃する。スピードがあまりに速いため現在の技術では迎撃が難しく、遠隔操縦で軌道を変更できるので目標が何なのか把握することも困難という。核弾頭まで搭載すれば、現代戦において一挙に戦局を変えることのできる兵器、と評されている。
  米空軍は、HAWCの他にAGM183A極超音速ミサイル(ARRW、空中発射即応兵器)の開発も行っている。ARRWは爆撃機などから発射され、マッハ20以上のスピードで標的を強打する。射程は1600キロ以上といわれる。トランプ前大統領は昨年5月、「われわれは今、驚くべき軍事装備を開発中だ。私はそれをすさまじいミサイルと呼んでいる」と発言したが、これはARRWに言及したものという見方が出ている。米空軍以外にもDARPAや海軍、陸軍などが独自にさまざまな極超音速兵器を開発しているといわれる。
(2)
  中国とロシアは、この分野で米国より先行していると評価されている。ロシアは2019年末に中距離極超音速弾道ミサイル(IRBM)「アバンガルド」を実戦配備した。速度はマッハ20以上で、最大16発の弾頭を搭載できる。
  昨年には新型極超音速巡航ミサイル「ジルコン」の試射に相次いで成功した。マッハ8以上のスピードで飛んで米空母などを打撃できる、射程1000キロのミサイルだ。
  ロシア軍は2022年中に水上艦もしくは潜水艦などへ実戦配備するだろうといわれている。

  中国も2019年10月の建国70周年軍事パレードで、極超音速ミサイルDF(東風)17」を初公開した。DF17は核弾頭型の極超音速滑空体を搭載し、マッハ10以上で飛行する。
  こうした中ロの極超音速ミサイルは、米空母はもちろん在韓・在日米軍基地も狙っているとの分析がある。
  中ロが米国のMDを突破しようと攻撃的に極超音速ミサイル開発に乗り出す一方、米国防総省はこれまでこの兵器の開発に消極的だったという。
  韓国軍事問題研究院が昨年3月に発行した米陸海軍用共同極超音速滑空体試験 世界軍事動向リポート」によると、米国防総省はさまざまな類型の核弾頭弾道ミサイル、通常弾頭巡航ミサイルなどの開発・生産の方に重点を置いてきた。しかしトランプ政権時代の2018年、中国とロシアの開発スピードに危機感を覚え、遅まきながら極超音速打撃体の開発に優先順位を付与し、開発速度が上がり始めた
   3カ国の他、オーストラリア・日本・インドなども極超音速ミサイルの開発に乗り出しているが、実戦配備の水準には至っていないと評されている。韓国でも昨年8月、国防部(省に相当)の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官が、国防科学研究所(ADD)創立50周年記念式典で開発計画を初めて公開した。


2021.05.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/article/20210527-R6BJEIQUQVNYHDMZ4NVNQ6EFBA/
横須賀の空母レーガンが中東へ アジア太平洋が一時がら空きに 米紙

  【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は26日、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする原子力空母ロナルド・レーガンが、数カ月間にわたり中東方面に派遣される見通しだと伝えた。

  レーガンは現時点でアジア太平洋地域に展開している唯一の米空母。中東に派遣されれば、その間、横須賀を拠点とする米第7艦隊は、アジア太平洋で空母抜きの作戦行動を強いられることになる。
  複数の国防当局者が同紙に語ったところでは、レーガンは今年夏に出港し、最大4カ月間にわたってアフガニスタン駐留米軍の撤収を後方支援する。中東で現在展開中の空母ドワイト・D・アイゼンハワーは母港の米南部バージニア州ノーフォークに帰還する予定で、7月までに現地を離れるという。
  バイデン政権は、インド太平洋地域を外交・安全保障政策における最重点地域に位置づけ、アフガン駐留米軍の撤収も、米軍の資源をインド太平洋に重点的に振り向けるのが狙いの一つだと説明してきた。
  ただ、同紙によると米軍は撤収後のアフガンの治安維持に向け、中東・ペルシャ湾岸地域に艦船と航空機を常駐させる作戦計画を策定しているとされる。

  報道が事実とすれば、駐留米軍の撤収期間中の後方支援にとどまらず、インド太平洋地域などから中東方面へ米軍艦船が恒常的に駆り出される可能性が想定され、中国の脅威をにらんだ米軍の態勢に影響が出る恐れもある


2021.04.08-朝日新聞 DIGITAL-https://www.asahi.com/articles/ASP482F8GP48UHBI004.html
米海軍のミサイル駆逐艦、台湾海峡を通過 「定例的」

  米海軍第7艦隊(横須賀)は7日、ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が同日、台湾海峡を通過したと発表した。第7艦隊は「定例的な通過」であり、国際法に基づく航行としている。

  台湾周辺では中国が軍事活動を活発化させ、7日は台湾の防空識別圏(ADIZ)に中国軍機15機が一時進入した。第7艦隊は声明で「(ミサイル駆逐艦の)通過は、『自由で開かれたインド太平洋』への米国の取り組みを示すものだ。米軍は国際法が許せばいかなる場所でも飛行し、航行し続ける」と強調した。
  米国務省のプライス報道官は7日の記者会見で、中国軍機15機がADIZに進入した問題をめぐり、「我々は中国の威嚇について重大な懸念を持っている」と表明。「米国は、台湾市民の安全や社会・経済システムを危険にさらすいかなる武力行使にも対抗する能力を維持する」と語った。
  中国軍東部戦区の報道官は7日、「断固とした反対」を表明。「『台湾独立』に向けて誤った信号を発し、台湾海峡の平和と安定に危害を加えるものだ」と米側を非難した。(ワシントン=園田耕司、北京=高田正幸)


2021.03.24-Yahoo!Japan(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/3343bdbdce3462b8cf992e3d20f0b1ac76ad95a6
中国の台湾侵攻「大多数が考えるより間近だ」 次期米太平洋軍司令官

  【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米大統領から次期インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官(海軍大将)は23日、上院軍事委員会の指名承認公聴会で証言した。アキリーノ氏は、中国による台湾侵攻が大多数の人たちが考えるよりも非常に間近に迫っている」と警告し、対応策をとるべきだと訴えた。
   アキリーノ氏は「台湾に対する(中国からの)軍事的脅威は増している」と指摘。「中国共産党が米軍を地域から排除することを目的とした能力を向上させている」とも強調した。
   その上で、中国軍の軍事的進出を押さえ込む「太平洋抑止構想」の実現に向けてインド太平洋軍が議会に要求した、2022会計年度(21年10月~22年9月)から6年間で270億ドル(約2兆9000億円)に及ぶ予算を承認するよう要請した。
   アキリーノ氏は日米同盟について「インド太平洋の安全と安定に向けた礎石であり、両国の軍事的関係はかつてなく強力だ」と強調した。  同時に、日本は中国からの攻撃に対抗できるよう、米軍との相互運用が可能な形で防空やミサイル防衛、制空、海上警備と情報収集・警戒監視・偵察(ISR)の能力を強化させていくべきだと指摘した。
   また、日本が中国の弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃に自国で対応できる能力を確保することは、「日米および同盟諸国にとって死活的に重要だ」とも強調した。
   中国が開発を進める極超音速兵器に対する防衛能力の強化で協力していく考えも明らかにした。  歴史問題などをめぐって冷却化した日韓関係については、「他国が米国と日韓を離反させるのに利用される恐れがある」と述べて懸念を表明した。
   アキリーノ氏は1984年に海軍士官学校を卒業した後、空母艦載機の搭乗員、第5艦隊司令官などを経て2018年から現職。


2021.03.17-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20210317-OYT1T50138/
米軍司令官「北が近くICBM発射の恐れ」…公聴会で警告、「数日中」の可能性も

  【ワシントン=横堀裕也】米北方軍のグレン・バンハーク司令官は16日、上院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮が近く、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を開始する恐れがあると警告した。米CNNも16日、複数の政府筋の話として、北朝鮮がミサイルの発射実験などを準備している可能性があると報じた。

  北朝鮮の朝鮮労働党は2018年に決定書を採択し、核実験とICBMの発射実験を中止すると表明していた。バンハーク氏は軍事委に提出した準備書面で「北朝鮮側はもはや(決定書に)縛られないと示唆している」などと説明した。具体的な兆候には言及しなかった。
  CNNによると、米当局は平壌ピョンヤン近郊のミサイル関連施設の衛星画像の分析などを踏まえ、北朝鮮が「数日中」にミサイルの発射実験やロケットエンジンの燃焼実験などを行う可能性もあるとみて、警戒を強めていると伝えている。
  北朝鮮が発射実験などを再開すれば、米朝間の緊張が再び高まる恐れがある。米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官による日本と韓国への訪問に合わせ、日米韓に揺さぶりをかける可能性もある。


2021.03.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210310/wor2103100008-n1.html
「通常戦力の対中抑止力が崩壊しつつある」米太平洋軍司令官が警告

  【ワシントン=黒瀬悦成】米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は9日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、中国がインド太平洋地域で軍事力を急速に増強させているせいで「通常戦力による対中抑止力が崩壊しつつあり、米国および同盟諸国にとって最大の危機となっている」との認識を示した。

  デービッドソン氏は「インド太平洋地域での軍事バランスは米国と同盟諸国に一層不利となっている」と指摘し、「軍事的不均衡によって中国がつけ上がり、一方的な現状変更を目指すリスクが高まっている」と危機感を表明した。
  同氏によれば、中国が軍備の近代化の目標とする時期について当初の2035年から人民解放軍創立100年にあたる27年に前倒しし、49年末までに「世界水準」の軍に変貌させようとしていると指摘。特に海軍と空軍の拡充に力を入れ、20年だけでも戦略原潜2隻を含む主力艦25隻を就役させた。
  中国の核戦力が向こう10年間で倍増するとの見通しも明らかにした。

  また、「中国は、ルールに基づく国際秩序を主導する米国に取って代わろうとの野心を一層強めている」と指摘し、今後6年間のうちに中国が台湾に軍事攻撃を仕掛ける恐れがあるとの認識を示した。
  同氏はその上で、「インド太平洋地域における米国の抑止態勢をめぐる能力と意思を明示し、中国に対して軍事力行使による目標達成は代償が極めて大きいことを思い知らせる必要がある」と強調した。
  また、中国の周辺で武力紛争が発生した場合、米海軍が米西海岸を発って沖縄とフィリピンを結ぶ「第1列島線」に到達するのに約3週間かかると指摘。それまでは敵前上陸能力を含む高度な戦闘能力を有する自衛隊への期待を表明。「日本は地域におけるナンバーワンの同盟国であり、地域の安全保障に死活的に重要だ」と強調した。
  日米とオーストラリア、インドによる「クアッド」については「民主主義諸国のダイヤモンドだ」と評価し、国防・安全保障分野での調整機能にとどまらず、「世界経済や国際秩序をめぐる連携など、多様な懸案に対処する枠組みとなり得る」と強調した。


2021.03.05-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210305/wor2103050015-n1.html
米、アジアでミサイル網 中国軍抑止へ2・9兆円要求

  【ワシントン=黒瀬悦成】インド太平洋軍は今月1日、南シナ海や台湾、西太平洋への進出姿勢を強める中国軍に対抗するための「太平洋抑止構想」の実現に向け、2022会計年度(21年10月~22年9月)から6年間で270億ドル(約2兆9千億円)の予算を議会に要求した。

  産経新聞が入手した、インド太平洋軍が議会に提出した文書の概要によると、総額270億ドルのうち、グアムの米軍基地などへの攻撃を抑止するため、沖縄からフィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿って地上配備型の精密照準攻撃ミサイル(射程500キロ以上)のネットワークを構築するため、6年間で33億ドルを要求するとした。
  また、中国軍の動きを正確かつ迅速に把握し、攻撃目標を捕捉するため、人工衛星に搭載される宇宙配備型レーダー網の拡充に向けて23億ドルを要求した。 同盟・パートナー諸国との共同訓練の活発化や、グアムの米軍基地の防衛に向けたミサイル迎撃システムなどの防空能力を強化することも明記された。
  中国は、米国とロシアが中距離核戦力(INF)全廃条約(19年失効)を順守して中距離弾道ミサイルなどの開発と配備を全面停止していた間、インド太平洋方面に通称「グアム・キラー」や「空母キラー」などと呼ばれる中距離ミサイルの配備を進め、米海軍に対する接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略の構築を進めてきた。
  太平洋抑止構想は、こうした状況に対する超党派の危機感を背景に21会計年度の国防権限法案に初めて盛り込まれ、初年度は22億ドルが計上された。
  インド太平洋軍のデービッドソン司令官は4日、政策研究機関AEIでのオンライン講演で「中国は地域の現状を力ずくで変更しようとしている」とした上で「インド太平洋の軍事バランスは米国および同盟諸国に不利になりつつある」と警告した。


2021.1.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/column/news/210122/clm2101220001-n1.html
【主張】バイデン新大統領 自由世界の団結主導を 中国への厳しい姿勢変えるな

  第46代米大統領に米民主党のジョー・バイデン氏が就任した。就任演説で「米国の歴史でこれほど困難で試練に直面しているときはほとんどない」と述べ、何度も結束を呼びかけた。就任式のあった連邦議会議事堂は2週間前に襲撃事件があり、ワシントン市内は州兵2万5000人が厳戒態勢を敷いた。
  新旧大統領の同席は平和な政権交代の象徴だが、式典にトランプ前大統領の姿はなかった。分断を象徴する多難な船出である。それでも米国は自由や民主主義を重んじる国々のリーダーであらねばならない。バイデン氏は国内を固め、強権主義に対抗する先頭に立ってもらいたい。
≪日豪印との連携を貫け≫
  バイデン氏は「同盟国との関係を修復し、もう一度世界と関わる。模範を示す」と語った。自由世界の団結主導は世界との約束である。重視すべきは、アジア政策である。強権主義の中国は、力ずくの海洋進出を進め、インフラ投資を利用して途上国への影響力拡大を図っている。
  中国は武漢発の新型コロナウイルス禍を逆手にとって共産党支配の強権体制の優位を誇示している。

  自由と民主主義が脅かされている
  バイデン氏は、価値観を共有する日本や欧州、オーストラリア、インドなどと連携し、強権主義と対峙(たいじ)しなければならない。
  バイデン氏が副大統領だったオバマ政権は、アジア重視の「リバランス(再均衡)」を掲げたが、中国を抑止する具体的行動が足りなかった。

  トランプ政権は、1979年の米中国交正常化以降の関与政策を見直し、中国共産党独裁体制との対決姿勢を打ち出した。同政権の功績の一つであり、バイデン氏にも堅持してもらいたい。

  就任式前日には、トランプ政権のポンペオ国務長官が、中国の新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定すると表明した。上院の公聴会に出席したブリンケン国務長官候補も「同意する」と応じた。自由台湾の防衛も含め厳しい対中姿勢を継承してほしい。

  「自由で開かれたインド太平洋」構想とこれを実現するための日米豪印の枠組みは中国の覇権阻止に有効であり、引き続き発展させなければならない。
  北朝鮮政策が不透明なのは気がかりだ。北朝鮮は核・弾道ミサイル開発を続け、米国を「主敵」としている。
  日本人拉致被害者問題の解決も重要である。トランプ前大統領は拉致被害者の家族と面会を重ね、金正恩総書記との首脳会談でも拉致問題に言及した。同じ熱意で取り組んでもらいたい。
≪TPP復帰が試金石だ≫
  経済政策でも中国に厳しく対処する姿勢を保つべきである。
  バイデン氏はコロナ禍で悪化した経済を立て直すため、1兆9千億ドル(約200兆円)規模の経済対策を打ち出した。まず国内経済を重視するのは当然としても、それと同時に、国際的な経済・通商秩序の再構築を、日欧などと連携して図るべきである。
  トランプ政権が中国の不公正貿易や知的財産権侵害などを問うたのは正しかった。世界貿易機関(WTO)などの今までのルールでは中国の不当な行動を抑えられないとの認識も妥当だった。
  問題は、日本を含む同盟国にまで通商紛争を仕掛ける独善的な振る舞いで、国際社会の米国不信を高めたことにあった。
  コロナ禍はグローバリズムの脆(もろ)さを露呈させた。世界経済はまさに、新たな国際秩序の確立に向けた変革期にある。この中で自由主義経済をいかに守り抜くか。バイデン政権に求めたいのはそのための行動である。

  離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰は重要な試金石だ。民主党にもTPPに批判的な声は多く、すんなり復帰が決まるとは考えにくい。それでもバイデン氏には、オバマ政権時に中国を牽制(けんせい)するためTPPを目指したことを想起してほしい。
  中国は、地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名し、TPP合流への意欲まで見せている。コロナ禍のさなかに着々とインド太平洋地域での影響力を拡大させている現状は見過ごせない。日本政府は引き続き米国のTPP復帰を促していくべきである。



2020.11.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201122/wor2011220023-n1.html
米、オープンスカイ条約から正式に脱退 核管理体制に影響懸念

  【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は22日、米露など30カ国以上が軍事活動の透明性向上を目的に、非武装の偵察機による領空での監視・査察飛行を相互に認め合うオープンスカイ(領空開放)条約から正式に脱退した。国務省が22日発表した。米政権は5月に脱退方針を加盟国に通告。条約に基づき6カ月が経過したことで脱退が有効となった。
  トランプ政権は米露の中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を通告し昨年8月に失効させている。相次ぐ軍備管理条約からの離脱に、世界の核管理体制などへの悪影響を懸念する声が広がるのは不可避とみられる。
  領空開放条約東西冷戦終結後の信頼を醸成させるために、北大西洋条約機構(NATO)と旧ワルシャワ条約機構の加盟国が1992年に締結し、2002年に発効した。だがトランプ政権はロシアが条約を順守していないとして破棄を通告した。
  オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は22日、ツイッターで「トランプ大統領は、米国の安全保障を損ね、敵対勢力を利する時代遅れの条約や国際合意から脱退してきた」と強調した。
  米政権は、ロシアが弾道ミサイルを配備するロシア西端の欧州の飛び地、カリーニングラード州上空の査察飛行を制限されたと批判していた。


2020.10.18-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://special.sankei.com/a/international/article/20201018/0001.html
北朝鮮の新型ICBM、懸念強める米 多弾頭なら迎撃システム限界も

  【ワシントン=黒瀬悦成】エスパー米国防長官は14日、北朝鮮が10日に平壌(ピョンヤン)で行った軍事パレード新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を登場させたことに関し、記者団に「北朝鮮の核・弾道ミサイル計画は、地域・世界の安全保障と安定に対する重大な脅威だ」と述べ、トランプ政権が新型ミサイルを深刻に受け止めていることを強調した。
  米国防当局者や軍事専門家が懸念を強めるのは、北朝鮮がICBMの大型化を通じて1基のミサイルに複数の弾頭を搭載する多弾頭化を実現すれば、米軍が配備する「地上配備型ミッドコース(中間段階)防衛」(GMD)システムの迎撃能力では米本土を守り切れなくなる恐れが極めて高いためだ


2020.9.18-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200918/wor2009180007-n1.html
米、台湾に兵器を大規模売却へ ロイター報道

  【ワシントン=黒瀬悦成】ロイター通信は17日、トランプ米政権が台湾に巡航ミサイルや無人機、多連装ロケット砲など7種類の兵器システムの売却を計画していると伝えた。中国の軍事的圧力にさらされている台湾の防衛力強化を支援するのが目的。米国による台湾への武器輸出で7種の兵器を一度に売却するのは異例という。
  複数の関係者が同通信に語ったところでは、ポンペオ国務長官が今週、トランプ大統領に売却計画の内容を説明し、数週間以内に議会に通知される。
  売却が計画されている兵器は、中国による台湾への上陸侵攻作戦の阻止に向けた沿岸防衛や対潜水艦戦闘の能力強化を目指すもので、関係者は台湾を「ハリネズミ」のように武装させることで中国から攻撃されにくくするとしている。
  台湾の蔡英文総統は1月の総統選で再選されて以降、台湾の防衛力強化に向けて米国からの兵器購入を積極的に進めていく意向を表明している。
  売却が計画されているのは、「高機動ロケット砲システム」(HIMARS)と呼ばれる自走多連装ロケット砲や、武装無人偵察機、ハープーン対艦ミサイル、水中機雷など。
  ロイター通信は8月、米政権が台湾に大型の高性能無人機少なくとも4機を約6億ドル(628億円)で売却する方向で交渉していると伝えていた。
  一方、スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は17日、上院外交委員会の公聴会で証言し、中国による台湾や南シナ海、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での「挑戦的行動」や香港国家安全維持法の施行などに関し「世界的な国家主体のやることではない。無法なごろつきの振る舞いだ」と非難した。
  スティルウェル氏はまた、米台関係について「国際的懸案をめぐる連携や経済的関与を通じて強固な関係を一層深化させていく」と表明した。


2020.9.12-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/a/international/article/20200912/0002.html
米、中国の核戦力増強を警戒 アジアに「中距離弾道ミサイル」配備へ協議

  安倍晋三首相が「ミサイル阻止」の道筋を示した11日の安保談話では中国への言及がなかったのに対し、トランプ米政権が強く警戒しているのは中国の核戦力増強だ。米国防総省が1日公表した中国の軍事力に関する議会向け年次報告書は、中国が日本やグアムの米軍基地などを標的とする短・中距離弾道ミサイル戦力を拡充させていると指摘した。米政権は対抗策として核戦力の近代化やミサイル防衛の強化を図る一方、米露に中国を加えた新たな軍備管理の枠組み構築を急ぐ考えだ。
  国防総省の年次報告書によると、中国は米本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を向こう5年間で約200基まで増強する可能性がある。報告書はまた、中国が現在、二百数十発の核弾頭を保有しており、向こう10年間で保有数を「少なくとも倍増させる」と分析した。国防総省が中国の核弾頭の推定数を公表するのは初めてだ。

  その上で米国は中国による中距離核戦力の増強に強い警戒感を示す。米国は、旧ソ連との間で1987年に締結した中』距離核戦力(INF)全廃条約(2019年8月失効)を順守したため中距離核戦力を保持してこなかった。


2020.6.19-NewsWeek- https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/post-93715.php
ドイツ駐留米軍を減らすトランプの3つの勘違い
(1)
<国防は自前でやれとばかり──ドイツ駐留米軍の削減を決めたトランプ政権が分かっていない戦略の本質>
  トランプ政権はドイツ駐留米軍の兵力の上限を2万5000人までとし、9500人を撤収させる意向だと、6月初めにメディアが伝えた。
  この決定は「自国の防衛を米軍に押し付け、国防費をけちっている」ドイツに対する不満の表明だろう。ドナルド・トランプ米大統領はこの問題で欧州の同盟国にずっと文句を言い続けてきた。
  だが今回の報道で分かるのは、トランプ政権がヨーロッパにおける駐留米軍の役割を全く理解していないことだ。この決定の背後には3つの誤った認識がある。その1、米軍はドイツを守るためにドイツにいる。その2、ドイツとアメリカはロシアの脅威について共通の認識を持っている。その3、この問題は詰まるところドイツをはじめ欧州のNATO加盟国が国防費を目標の対GDP比2%に増やすかどうかに還元される──。
  次期米政権がヨーロッパにおけるアメリカの影響力を維持したいなら、この3つの勘違いを正さなければならない
  在外米軍基地の大枠が定められたのは1943年。アメリカが太平洋と大西洋で新たに獲得した覇権を維持するため旧陸軍省の幹部が立案した
  長距離の戦略爆撃が可能になり、核兵器開発が進むなか、将来的に米軍の戦闘力を支える米本土の軍需工場が敵の標的になると予想された。外国に基地を置けば、米本土から遠く離れた敵国を攻撃でき、平和時の戦力投射(危機に迅速に対応できるよう自国の領土外に軍隊を派遣できる体制を築くこと)にもなる
  ハリー・トルーマン大統領はソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンにクリル列島に米軍基地を置きたいと頼みさえした。もちろんスターリンは断ったが、トルーマンがクリル列島に置こうとした米軍基地は必ずしもソ連を標的にしたものではない。「アメリカの安全保障政策の目指す範囲が広がり、それが在外米軍基地の建設計画につながった」と、歴史家のメルビン・レフラーは論じている。
  今でも基本的にその事情は変わらず、米軍は世界80カ国に基地を置いている。なかでもドイツの軍事施設は米軍にとって非常に重要だ。例えばラムシュタイン空軍基地は中東、北アフリカ、南アジアにおける米軍の作戦行動を支える兵站のハブになっている。
  トランプ政権はこうした状況を無視しているばかりか、もう1つ重要な事実を見落としている。大多数のドイツ人はロシアを軍事的な脅威と見なしていないことだ。
ロシアを恐れぬドイツ
  冷戦中の米政府と西ドイツ政府は、対ソ外交では路線の違いこそあれ、ソ連が重大な軍事的脅威であるという認識は共有していた。西ドイツは、NATOの存在によってソ連の侵攻を抑止できると考えていた。ここでは「抑止力」がキーワードだ。ヨーロッパで戦争が起きれば、西ドイツは壊滅的な被害を受ける。だから全面戦争を何としても避けたいと考え、段階的な緊張緩和を目指していた。
(2)
ソ連崩壊後、再統一したドイツはロシアとの関わり方を模索し続けてきた。この20年、ドイツの政策立案者は党派を問わず、ロシアを敵に回して欧州の安全保障政策を定義できるとは考えなかった。
  ロシアがウクライナに軍事介入してクリミア半島を編入した際は、ドイツも強硬な対応を求められた。しかし、プーチンがバルト海をのみ込もうとしている、ポーランドに侵攻しようとしているといったとっぴな考えを、ドイツのエリート層は信じなかった。

  ドイツ軍は多国籍軍の主力としてリトアニアに駐留し、リトアニアの防衛力増強を手助けしてきた。こうした動きは、共同防衛に対するドイツの強いコミットメントを物語っている。
  さらに2014年のNATO首脳会合で、ドイツは既に国防費の増加を約束している。トランプが欧州の同盟国の「タダ乗り」をツイッターで攻撃する何年も前のことだ。
  2019年のドイツの国防費は前年比10%増で、冷戦終結後最大の伸びだった。軍事力のさらなる開発も進んでいる。
  ドイツの対ロシア政策は、敵視や軍事化より外交と関与を重視してきた。それは今後も変わらないだろう。
  問題は、NATOがもはやロシアへの抑止力にならないことだ。それでもドイツがロシアと衝突することがあれば、それはドイツがNATOの同盟に忠実だからだろう。
  しかし、トランプが軍縮協定や国際条約をあまりにやすやすと放棄するため、ドイツが紛争に引きずり込まれるのではないかという不安は募るばかりだ。アメリカとの同盟は、資産というより負債の色が濃くなっている。
  米軍の適正な規模や戦略の創造的な見直しは、議論する価値がある。だが、リバランスとは全面的な撤退ではない。欧州の米軍基地は、何よりもアメリカの国家安全保障を支えているのだ。
  ドイツおよび欧州全域の駐留米軍の現在の規模は、同盟の結束力、相互運用性、パートナーとしての保証を考えると最低限のレベルに近い。ドイツでのさらなる削減は自滅的であり、非自由主義に傾いている同盟国のポーランドに移転させることは、ばかげている上にコストがかかる。
数字を振りかざす前に
  アメリカが欧州の国防費の少なさを懸念すること自体は当然だ。欧州の基地の維持がアメリカの国益にかなっているとしても、有能なパートナーを求めたいだろう。
(3)
  しかし、アメリカは脅威に関する認識の違いに向き合い、国防費をGDPの2%に引き上げるという空虚なレトリックではなく、同盟の連帯と軍事能力を中心に議論を組み立てる必要がある。
  「軍事力増強の目安として、2%という指標にはほとんど意味がない。実質的な支出や生産量を測るものではない」と、ヤン・テハウ独国防相顧問は指摘する。
  このような目標で同盟国を殴り付けても、相手は無意味な前進をアピールするだけだ。特に、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)とその後の景気後退を受けて、欧州の国防費が2%の目標を下回ることは当面、避けられそうにない。
  次期米政権は、現実的な戦略を推進する軍事能力に焦点を当てるべきだ。そこから生産的な議論の場が生まれ、同盟国は2020年代に向けてNATOを定義できるようになる。冷戦時代の物差しは、現代には通用しない。


2020.6.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200618/k10012474641000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
米宇宙空間の新戦略 中ロに対抗 日本など同盟国との連携強化へ

  アメリカ国防総省は、宇宙空間での対応方針を示す新たな戦略を発表中国とロシアが宇宙の軍事利用を進めていると強い警戒感を示したうえで、両国に対抗するための能力の開発を進めるとともに、日本をはじめとした同盟国との連携を強化する方針を鮮明にしました。
  アメリカ国防総省は17日、宇宙空間でのアメリカ軍の対応方針を示す新たな戦略を発表しました。
  このなかで、中国ロシア人工衛星攻撃するための能力を高めていると指摘したうえで、「中国とロシアはアメリカと同盟国の軍事活動を低下させるために宇宙の軍事利用を進めており、最も差し迫った深刻な脅威だ」として、強い警戒感を示しました。
  そのうえで宇宙での軍事的優位を維持するため「敵に対抗するための能力を開発し配備する」として、去年、創設した宇宙軍を活用し、宇宙での戦闘に備える方針を示しています。
  さらに「政策や戦略、能力や運用面における同盟国や友好国との協力の機会を増やす」として、情報共有などで日本をはじめとした同盟国との連携を強化する方針を鮮明にしました。
  国防総省が宇宙での軍の戦略を発表するのは2011年以来9年ぶりで、トランプ政権では初めてです。
米高官「日本とさらなる協力の発展を」
  アメリカ国防総省で宇宙政策を担当するキテイ次官補代理は、17日の記者会見で、日本が今後打ち上げる予定の日本版GPS衛星にアメリカの宇宙監視用センサーが搭載されることや、アメリカ軍が主催する宇宙空間の監視に関する多国間演習に自衛隊も参加していることを挙げ、「日本は、宇宙空間で非常に緊密な同盟国だ」と述べました。
  そのうえで、先月、自衛隊で初めての宇宙領域の専門部隊が発足したことを指摘し、「国家として、われわれが置かれている戦略的環境に備えなければならない。日本の活動とさらなる協力の発展を強く支持している」と述べ、日本とアメリカが宇宙での連携を一層深めていくことに強い意欲を示しました。


2020.4.30-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200430/wor2004300017-n1.html
米艦の「航行の自由作戦」、南シナ海で異例の連日実施

【ワシントン=黒瀬悦成】米第7艦隊は29日、米海軍のミサイル巡洋艦バンカーヒルが同日、中国が人工島を造成して軍事拠点化を進める南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の付近を通航する「航行の自由」作戦を実施したことを明らかにした。また、28日には同作戦の一環として米海軍のミサイル駆逐艦バリーが中国の実効支配下にある南シナ海のパラセル(西沙)諸島の付近を通航したとしている。
   米艦船が南シナ海で連日にわたり「航行の自由」作戦を実施するのは異例。
   第7艦隊報道官は声明で「(中国による)南シナ海における無法かつ見境のない主張は、航行や飛行の自由、全ての船舶の無害通航権といった海洋の自由に対し、今だかつてない脅威を与えている」と批判した。
   声明はまた、「一部の国が海洋法条約に照らして国際法で認められた権利の制限を主張する限り、米国はこれらの権利と自由を擁護する決意を行動で示していく」と表明し、南シナ海での中国の覇権的行動を決して容認しない立場を強く打ち出した。
   中国政府は18日、海南省三沙市の下に、パラセル諸島とスプラトリー(南沙)諸島をそれぞれ管轄する行政区を設置したと発表するなど、ここへきて南シナ海の実効支配のさらなる強化を図っている。
   米海軍による今回の作戦は、中国がとるこうした動きを看過しないとの警告を発する狙いで実施されたとみられる。


2020.4.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200425/k10012405191000.html
新型コロナ 米海軍の駆逐艦「キッド」で乗組員18人が感染

アメリカ海軍は24日声明を発表し、洋上に展開している駆逐艦「キッド」の乗組員18人が、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと明らかにしました。
  「キッド」は、トランプ政権が今月決定した麻薬密輸の取締り強化のためにカリブ海と東太平洋に展開していましたが、国防総省のホフマン報道官によりますと、今後、港に移動させたうえで、乗組員の隔離や船内の消毒作業を行うということです。
  アメリカ海軍では、これまでにも基地に停泊中の複数の艦艇で乗組員への感染が伝えられていますが、洋上に展開している艦艇で感染が確認されたのは840人の乗組員が感染した原子力空母「セオドア・ルーズベルト」に続いて2隻目で、アメリカ軍の即応態勢への影響を懸念する声がさらに高まるものとみられます。


2020.4.14-宮崎日日新聞-https://www.the-miyanichi.co.jp/news/World/2020041401001362.php
米空母、感染避け大西洋上で待機 トルーマン

  【ワシントン共同】米海軍は13日、任務を終えて帰国予定だった原子力空母ハリー・トルーマンを中心とする空母打撃群について、乗組員の新型コロナウイルス感染を避けるため大西洋上で待機させると明らかにした。米軍では空母乗組員の感染が増え、即応態勢に懸念も出始めている。

  トルーマンは昨年11月、母港とする米南部バージニア州ノーフォークの海軍基地から出航し、中東の海域でイラン監視などの任務に当たっていた。第2艦隊のルイス司令官は声明で「通常は岸壁で次の派遣に備えるが、新型コロナに直面した状況では乗組員を守る必要がある」と説明した。


2020.4.8-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200408/k10012374531000.html
米空母乗組員の感染拡大めぐり艦長解任の海軍トップ辞任

アメリカ軍の原子力空母の乗組員に新型コロナウイルスの感染が広がる中、空母の艦長を解任したことなどで批判を受けていた海軍トップのモドリー長官代行が辞任したことが明らかになりました。
  アメリカのエスパー国防長官は7日、声明を発表し、海軍トップのモドリー長官代行が辞任を申し出て、これを認めたことを明らかにしました。
  アメリカ海軍では原子力空母「セオドア・ルーズベルト」で、6日までに乗組員173人の感染が確認されていますが、モドリー長官代行は空母の艦長が感染への緊急措置を求めた軍の上層部への書簡を外部に漏えいさせたなどとして、2日この艦長を解任しました。
  その後モドリー長官代行は空母の乗組員を前に「彼は艦長になるにはあまりにも世間知らずか、バカだった」と演説し、この発言がメディアを通じて流出すると、野党・民主党の議員から長官代行の辞任を求める声が上がっていました。
  一方、アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」は7日、アメリカ西部ワシントン州の基地で原子力空母「ニミッツ」の乗組員が、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと伝えました。
  これで乗組員の感染が確認された空母は、横須賀基地に配備されている「ロナルド・レーガン」を含め4隻目になるということで、さらに感染が拡大すればアメリカ軍の即応態勢に影響が出ることが懸念されています。


2020.4.8-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200408/mcb2004081016012-n1.htm
米原子力空母4隻で新型コロナ感染者 即応態勢に懸念

【ワシントン=黒瀬悦成】米政治紙ポリティコ(電子版)は7日、西部ワシントン州ブレマートンで出航準備を行っていた米海軍の原子力空母ニミッツの乗組員1人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと伝えた。
  国防当局者が同紙に語ったところでは、乗組員は既に下艦し隔離措置が取られている。また、この乗組員と接触した他の乗組員の特定も急いでいるという。
  米原子力空母での新型コロナ感染をめぐっては、3月にフィリピン海で作戦行動をとっていたセオドア・ルーズベルトでこれまでに乗組員150人以上の感染が確認され、3千人近い乗組員が米領グアムで隔離措置を受けている。 
  また、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を事実上の母港とするロナルド・レーガン、ワシントン州ピュージェット湾でメンテナンス作業中のカール・ビンソンでもそれぞれ感染者がいたことが判明した。
  感染者が出た空母は計4隻となり、中国や北朝鮮の脅威をにらんだインド太平洋地域での米軍の即応態勢をめぐる懸念が一層高まるのは避けられない。


2020.4.1-YahooJapanニュース(産経新聞)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200401-00000519-san-n_ame
米原子力空母の新型コロナ感染者150~200人に拡大か 艦長が緊急支援求める書簡

【ワシントン=黒瀬悦成】米原子力空母セオドア・ルーズベルトの艦内で乗組員の新型コロナウイルスへの感染が見つかった問題で、同艦のクロージア艦長が「感染が急速に拡大している」として米海軍幹部に対して緊急支援を要請する書簡を送った。米紙サンフランシスコ・クロニクルが3月31日伝えた。
   同紙は同艦幹部の話として、乗組員約4千人のうち150~200人が感染したとしている。
   クロージア艦長は4ページにわたる書簡で、同艦は感染発覚を受けて米領グアムに停泊したものの、感染者の一部だけが上陸を許されたと指摘。艦内では感染者を隔離する空間的な余地がないと訴え、感染者らを陸上の施設に隔離収容するべきだと主張した。
   艦長はまた、乗組員全員に対して陸上で2週間の隔離措置をとり、艦内からウイルスの一掃を図る必要があるとし、「果断な行動が必要だ。乗組員を艦内に留めて無用の危険にさらしてはならない」と訴えた。
   これに対し、モドリー海軍長官代行は31日、CNNテレビの番組に出演し、同艦の乗組員の大半を降ろして艦内の除菌作業を行う考えを明らかにした。グアムの基地内には全ての乗組員を収容する施設がないことから、グアム政府と協議の上でホテルや簡易テントなどを活用する方向で調整を進めているとした。
   セオドア・ルーズベルトは3月上旬にベトナム中部ダナンに寄港後、南シナ海方面に移動。乗組員の感染が最初に見つかった同月24日は、南シナ海での中国の覇権的行動を牽制(けんせい)する狙いからフィリピン海で演習を実施していた。同紙によると、現在までに重症者は出ていないという。


2020.3.28-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200328/wor2003280019-n1.html
米空母2隻での感染は対中抑止に重大な影響 「ロナルド・レーガン」でも2人 横須賀基地を閉鎖

【ワシントン=黒瀬悦成】米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に停泊中の米原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗組員2人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたとFOXニュースが27日伝えたことで、中国の脅威をにらんでインド太平洋地域に展開中の空母2隻がともに事実上の行動不能となるという異例の事態に陥った。米海軍の即応能力と中国に対する抑止力の低下は避けられない。
   横須賀基地のジャレット司令官は27日、「同基地所属の水兵2人が新型コロナに感染した」と発表した。同基地を母港とする空母レーガンの乗組員を指すとみられる。同基地では26日、米国から戻った水兵1人の感染が確認されている。基地司令部は向こう48時間にわたり基地を閉鎖することを決めた。
   インド太平洋地域で作戦行動を実施していたもう一隻の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」でも先週、複数の感染者が確認された。FOXニュースによると、ルーズベルトは日本時間27日朝、米領グアムの海軍基地に到着した。艦内の感染者は約30人に上り、いずれも軽症とされる。米海軍は乗組員約5000人のうち発熱症状などのある乗組員を中心に感染の有無を検査する。
   アキリノ太平洋艦隊司令官が26日にAP通信に語ったところでは、ルーズベルトがいつグアムを出航できるかは未定。ハイテン統合参謀本部副議長は27日、一部記者団に「乗組員の検査は1週間以内に終わる」との見通しを示した。
   ルーズベルトは乗組員の感染が見つかった当時、南シナ海での中国の覇権的行動を牽制(けんせい)する狙いからフィリピン海で演習を実施していた。

   同艦およびレーガンが一時的に行動不能となったことに関し、専門家などの間では、中国の習近平体制がこれに乗じて南シナ海や台湾周辺で挑発行動を仕掛けてくることを懸念する声が強まっている。また、両空母に限らず、新型コロナ感染拡大の影響で艦船の修理や機材の調達に支障が出る恐れも指摘されている。
   エスパー国防長官は27日、国防総省職員らに通達を出し、米国の敵対勢力が新型コロナへの対応に忙殺されている間に「危機に付け込んでくる可能性がある」と警告した上で「必要とあれば世界各地での安全保障態勢を修正することもためらわない」と強調。中国などの出方次第では逆に軍事的圧力をかけていく立場を示唆した。
   国防総省によると、27日現在の米軍の感染者数は309人。うち29人が同日新たに感染が確認された。



2020.3.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200313/k10012329441000.html
米 イラク国内の武器庫を空爆 兵士死亡の攻撃に報復

アメリカ国防総省は、イランの支援を受ける武装組織がイラクで11日に、アメリカ兵など3人が死亡したロケット弾攻撃に関与していたとして、この組織の拠点を空爆したと発表しました。
  アメリカ国防総省は12日、声明でイランの支援を受けるイスラム教シーア派の武装組織「カタイブ・ヒズボラ」の、イラク国内の5つの武器庫を空爆したと発表しました。
  イラクでは11日にアメリカ軍の拠点に18発のロケット弾が打ち込まれ、アメリカ兵2人とイギリス兵1人の3人が死亡していて、この攻撃に「カタイブ・ヒズボラ」が関与していたとしています。
  国防総省は「テロ組織はアメリカと同盟国への攻撃をやめなければ、さらなる結果に直面する」として、さらなる攻撃があれば報復を辞さないと強調しました。
  アメリカはことし1月、イランのソレイマニ司令官を殺害した時に、「カタイブ・ヒズボラ」の創設者も殺害していて、「カタイブ・ヒズボラ」は報復を宣言しています。
  今回の攻撃の応酬で今後、さらなる報復の連鎖を生み、アメリカとイランの緊張が再び高まることが懸念されます。



2020.3.12-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200312/k10012327201000.html
イラクの米軍基地にロケット弾攻撃 3人死亡

イラクでアメリカ軍が駐留する基地がロケット弾による攻撃を受け3人が死亡し、アメリカの複数のメディアは、このうち2人はアメリカ人だと伝えました。イラクでは、去年12月にアメリカ人がロケット弾攻撃で死亡したことをきっかけに、アメリカによるイランの司令官殺害などにつながっただけに、再び両国の緊張が高まることが懸念されます。
  アメリカが主導する有志連合の報道官は声明を発表し、首都バグダッドの北のタージにあるアメリカ軍が駐留する基地に11日夜、18発のロケット弾が打ち込まれたことを明らかにしました。
  声明によりますと、この攻撃で有志連合の関係者3人が死亡したほか、12人がけがをしたということで、アメリカの複数のメディアは、軍の当局者の話として、死亡したのは、アメリカ人2人とイギリス人1人だと伝えています。
  イラクでは去年12月、アメリカ軍が駐留する北部の基地にロケット弾が打ち込まれ、アメリカ国籍の民間人1人が死亡しています。
  これをきっかけに、アメリカ軍はイランが支援する武装組織への攻撃を開始し、アメリカによるソレイマニ司令官の殺害やこれに対するイランによる報復攻撃につながった経緯があるだけに、今回の攻撃で再びアメリカとイランの間で緊張が高まることが懸念されます。


2020.1.10-産経新聞 THE SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200110/wor2001100027-n1.html
イラクで軽くなった米国の存在 イランとの覇権争いに影

【イスタンブール=大内清】米・イラン対立の最前線となっているイラク。米国とイランは、2003年のイラク戦争以降、不安定化した同国を勢力圏におさめようと争ってきた。
 米国は1980年代、中東有数の産油国イラクを、イランに対する防壁とみなしてきた。反米を掲げるイスラム教シーア派の政教一致体制が79年のイラン革命で誕生。米国は、80~88年のイラン・イラク戦争でイラクを支援した。
 この構図を崩したのが2003年のイラク戦争だ。フセイン政権が打倒され、同政権下では低い地位に甘んじていたシーア派が、戦後政治の主導権を握った。宗教的につながりの深いイランは、労せずしてイラクに浸透する好機を得た。以降、イラクをめぐる覇権争いはイランのペースで進んでいるといっていい。
 トランプ米政権は、影響力を保持したまま兵士を帰還させる「名誉ある撤収」を目指しているが、イラン革命防衛隊の司令官殺害はその足かせとなる可能性がある。司令官殺害を受け、イラク国会は米国を含む外国軍の駐留終了を求める決議を採択した。法的拘束力がないとはいえ、イラクで米国の存在が軽くなっていることは否定できない。米軍撤収後の課題である「イランによるイラク浸透の抑止」はいっそう困難になった。


2020.1.9-NHK NEWS WEB-https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-522828/
米大統領"軍事力行使望まず"対イラン政策
(JIJI PRESS 時事通信社)

【ワシントン時事】トランプ米大統領は8日、イランによる駐留米軍基地に対する弾道ミサイル攻撃を受けてホワイトハウスで国民向けに演説し、「軍事力を行使したくはない」とイランへの報復攻撃に否定的な考えを示した。一方で「即座に新たな経済制裁を科す」と表明した。
  革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害で一気に緊張が高まった米イラン関係は、イランによるミサイル攻撃に発展した。だが、イランは米側に人的被害が出ないように配慮したとみられ、ザリフ外相も「緊張激化や戦争は望んでいない」と明言。米国としても全面衝突を回避するため、制裁で幕引きを図った形だ。
  トランプ氏は「米国人に犠牲者はおらず、基地の損傷も最小限だった」と強調した。さらに「イランは攻撃を終えたようだ。全ての関係者や世界にとって良いことだ」と述べ、弾道ミサイルを使った今回の攻撃について直接的な非難を避けた。
  また「ソレイマニを排除することでテロリストに強力なメッセージを送った」と米軍の作戦を正当化。イラン指導部と国民に対しては「自国の繁栄と他国との協調に基づく素晴らしい未来をつくってほしい」と呼び掛け、対話の意思を示した。 【時事通信社】







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