トルコ共和国-1


2023.10.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231001-RNV4KCICJJMARGQ5JHZH52PXVI/
スウェーデン加盟承認が焦点 トルコ議会、新会期

  トルコ議会で1日、新会期の開会式が開かれるロシアのウクライナ侵攻を受けたスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請をいつ批准するのかが焦点トルコのエルドアン大統領は米国製F16戦闘機追加購入に向けた進展を重視しており、加盟承認の審議に影響する可能性もある。
  
  今後、エルドアン氏が批准に関する法案を議会に送った後、委員会や本会議で議論される。議会はエルドアン氏が党首の与党、公正発展党(AKP)と極右政党の連合が過半数を占めている。
  エルドアン氏は9月下旬、F16に関して「米国からの明確な答えを待っている」と記者団に説明した。加盟承認の審議日程を問われると「(米側が)約束に忠実であるなら、トルコ議会も忠実だろう」と答えた。(共同)


2029.05.29-HEAD TOPIKS-https://headtopics.com/jp/124881252312467756863-39568089
トルコ大統領にエルドアン氏再選、欧米と摩擦激化も プーチン露政権には追い風か

  トルコ大統領にエルドアン氏再選、欧米と摩擦激化も プーチン露政権には追い風北大西洋条約機構加盟国でありながらロシアから地対空ミサイルを購入し、欧米との関係が悪化。一方のプーチン氏はトルコで原発を建設するなど、エネルギーの面からエルドアン政権を支えた

  トルコ大統領選の決選投票でエルドアン大統領が勝利し、外交方針は継続される見通しとなった。エルドアン氏はロシアのウクライナ侵攻を受けて進めてきた両国間の調停を続… トルコ大統領選の決選投票でエルドアン大統領が勝利し、外交方針は継続される見通しとなった。エルドアン氏はロシアのウクライナ侵攻を受けて進めてきた両国間の調停を続けるとみられるが、欧米とは関係が冷え込み、対立が激化する事態も否定できない。 「プーチン氏にとっても勝利」 エルドアン氏は昨夏、露侵攻で停滞したウクライナの穀物輸出を再開に導くなど、双方の調停に努めてきたロシアがトルコの仲介に応じたのは、エルドアン氏とプーチン露大統領の個人的な関係によるところが大きい。


2023.05.29-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230529/k10014081171000.html
トルコ大統領選 現職エルドアン氏が当選 選挙管理委員会が発表

  ウクライナ情勢で仲介役を買って出るなど存在感を増す中東のトルコで28日に行われた大統領選挙の決選投票は、現職のエルドアン氏が当選したと選挙管理委員会が発表しました。20年にわたって長期政権を担ってきたエルドアン氏が引き続きトルコのかじ取りを担うことになりました。

  トルコの大統領選挙は、今月14日に行われた投票の結果当選に必要な過半数の票を得た候補がおらず、28日、現職のエルドアン氏と最大野党の党首で、6つの野党の統一候補として立候補したクルチダルオール氏との間で決選投票が行われました。
  トルコの選挙管理委員会は日本時間の29日午前4時半すぎに現職のエルドアン氏が当選したと発表しました。トルコの政府系の通信社アナトリア通信によりますと開票率99.85%の時点で得票率はエルドアン氏が52.16%、クルチダルオール氏が47.84%となっています。
  エルドアン氏は日本時間の午前6時ごろから首都アンカラで支持者を前に演説し「決選投票はありがたいことに混乱や問題はなく完了した。暫定結果によると国民は大統領の責務を今後5年、私たちに託した」と述べ、勝利を宣言しました。
  選挙戦でエルドアン氏はロシアの軍事侵攻が続くウクライナからの農産物の輸出の合意をはじめトルコの仲介外交の成果を誇るなど、首相時代も含めて20年にわたる政権運営の実績を訴えて支持を集めました。一方、クルチダルオール氏は、物価の高騰や通貨安に伴うエルドアン政権の経済政策や強権的な政治手法などを批判して政権交代を訴えていました。
  エルドアン政権が続くことになり、引き続き、ウクライナ情勢での仲介外交やトルコが障壁となっているスウェーデンのNATO=北大西洋条約機構への加盟問題の行方などが注目されることになります。

  ロシア大統領府は、日本時間の29日午前3時半に、プーチン大統領がエルドアン大統領の当選に祝意を伝えたと発表しました。この中でプーチン大統領は「親愛なる友よ。あなたの勝利は、トルコの国家元首として献身的に国に尽くしてきた当然の結果であり、国家主権を強化し、独立した、独自の外交政策を追求するあなたの努力を国民が支持していることを明確に示すものだ」とたたえています。
  そのうえで「われわれは、友好的な両国関係の強化と、さまざまな分野での互恵的な協力に対する、あなたの貢献を高く評価している。2国間、地域、それに国際的な課題に関する建設的な対話を継続する用意があることを再確認したい」と述べています。
  今回の大統領選挙では、ロシアとの関係が焦点の1つとなり、クルチダルオール氏は、ロシアによる選挙介入を主張するなど厳しい姿勢を見せていたことから、クルチダルオール氏が政権を握った場合、ロシアとの2国間関係が見直される可能性があるとの見方が出ていました。
  ウクライナ情勢をめぐりロシアが欧米との対立を深める中、プーチン大統領としては、エルドアン氏に早々に祝意を伝えることで、今後の関係維持に期待を示したものとみられます。
ゼレンスキー大統領も祝意伝える トルコ語で投稿も
  ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、自身のSNSにウクライナ語とトルコ語で投稿し「両国関係をさらに深めるとともに、ヨーロッパの安全と安定のための協力を強化することを楽しみにしている」とエルドアン氏に祝意を伝えました。
  ゼレンスキー大統領としては、エルドアン氏がロシアとの関係を維持しつつ独自の仲介外交を展開してきたことを踏まえ、ウクライナとトルコとの関係を重視しているものとみられます。
バイデン大統領 エルドアン氏に祝意 ツイッター投稿
  アメリカのバイデン大統領は28日、ツイッターに投稿し、エルドアン氏に祝意を伝えました。この中でバイデン大統領は「NATO=北大西洋条約機構の同盟国として、2国間関係および共通の国際的な課題について引き続き協力していくことを楽しみにしている」としています。
  アメリカとしては、ウクライナ情勢をめぐってロシアとの関係も維持しているエルドアン氏の出方を注視するとともに、トルコが難色を示している北欧のスウェーデンのNATO加盟に向けて、引き続き協力を働きかけていくものとみられます。
選挙管理委員会 “残票すべて得票でも届かず”
  トルコの選挙管理委員会は日本時間の午前4時半すぎに会見し「勝者はエルドアン氏だ」と述べエルドアン氏が当選したと発表しました。選挙管理委員会は開票はまだ続いているものの残りの票がすべてクルチダルオール氏の得票だったとしても届かず、エルドアン氏が勝利したとしています。
クルチダルオール氏 事実上 敗北を認める
  クルチダルオール氏は28日夜、首都アンカラで演説し「この闘いの先頭に立っていくことを私たちは続ける。最も悲しいことは国がさらなる困難に直面することだ」などと述べ事実上、敗北を認めた形です。
  一方、連立を組んだ善良党のアクシェネル党首はアンカラで記者会見し「選挙はエルドアン氏の勝利で終わった。結果がすべてだ。国民がわれわれに与えた野党としての任務を継続していく」として敗北を認めました。
大統領府付近では写真など掲げた市民が集まる
  現職のエルドアン氏の当選が発表されたことを受けて、首都アンカラ中心部の大通りは、勝利を祝う支持者であふれかえりました。このうち、大統領府の付近ではトルコの国旗やエルドアン大統領の写真などを掲げた市民が集まり、大声で歌ったり、踊ったりして喜んでいました。
支持者ら 喜びや期待の声
  エルドアン氏の当選について、支持者からは喜びや期待の声が聞かれました。このうち40歳の女性はNHKの取材に対して「今回の勝利をとても誇りに思います。彼は20年間、たくさんのことを実現し、トルコのためだけでなく、パレスチナやシリアを支援するなどイスラム諸国のために努力してきました。こんなリーダーはこれまで世界にいなかったはずです」と喜んでいました。また28歳の男性は「彼は内政でも外交でもすばらしい考えを持ち、私たちが期待したことをかなえてくれました。よりよい未来にしてくれることを願っています」と期待を示しました。
20年にわたるエルドアン政権 経済・外交・安全保障は…
  首相時代を含めて20年にわたるエルドアン政権下で、トルコは都市開発やインフラ整備などを推し進めて外資を積極的に呼び込み、国民1人当たりのGDPは最初の6年間でおよそ3倍となるなど、記録的な経済発展を遂げました。
  一方で近年、「高金利は景気を冷やす」というエルドアン氏の信念のもとで政策金利の引き下げを進め、去年10月には前年同月比で85%を超えるインフレを記録しました。食料品などの価格が跳ね上がり、通貨リラも過去2年でドルに対して半分の価値となるなど、市民生活に大きな影響が出ました
  外交面ではNATO=北大西洋条約機構の加盟国である一方、中国とロシアが主導する上海協力機構への加盟を示唆するなど、独自のバランス外交を推し進めています。なかでも、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナをめぐっては、国連とともにウクライナ産農産物の輸出の再開を実現させるなど、存在感を高めてきました。
  一方でNATOへの加盟を申請しているスウェーデンについては、トルコからの分離独立を掲げるクルド人武装組織への支援をやめなければ認めないとして、トルコ側は一歩も譲らない姿勢を示していて、今なお加盟が実現していません。
  エルドアン氏は20年前、EU=ヨーロッパ連合の加盟を目指すことを公言していたものの、政権の強権化を指摘する欧米諸国とのあつれきもあり、加盟への道筋は今も見えていません


2023.05.20-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR5N2HR2R5NUHBI008.html
トルコ大統領選で公式結果、現職エルドアン氏1位 28日に決選投票
(イスタンブール=高野裕介)

  トルコの高等選挙委員会19日、今月14日に投開票された大統領選の公式結果を発表した。 大統領選には計4人が立候補し、その後に少数野党候補の1人が撤退を表明した。投票率は87・04%で、それぞれの得票率は現職のエルドアン大統領が49・52%、野党6党の統一候補のクルチダルオール氏が44・88%、3位のオアン氏が5・17%だった。当選に必要な得票率50%を超えた候補者がいなかったことから、28日にエルドアン氏とクルチダルオール氏による決選投票が行われる。

  第1回投票の両氏の差は約254万票で、3位となったオアン氏が獲得した約283万票の取り込みが決選投票のかぎになる情勢だ。地元メディアによると、オアン氏は19日、最大都市イスタンブールでエルドアン氏と会談。ただ、これまでのところ、どちらを支持するかは明らかにしていない
  今回の選挙は、経済の混乱や2月に起きた大地震への対応をめぐって政権批判が高まり、約20年にわたって政権を握るエルドアン氏にとって「これまでで最も厳しい選挙」と言われた。しかし、事前の世論調査などの結果に反し、エルドアン氏が最多の票を得た。
  また、同じ日にあった議会選(一院制、定数600)でも、エルドアン氏が党首を務める与党連合が過半数を獲得。クルチダルオール氏が当選した場合、大統領と議会の「ねじれ」が生じて政治空白が起きる懸念があるため、有権者が「安定」を重視し、決選投票では議会第1勢力の候補に票が集まりやすくなるとの見方も出ている。(イスタンブール=高野裕介)



2022.12.20-Yahoo!Japanニュース(JIJI.COM.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/feeedcccacf548cbad3c085c5bf5d8c2c357edb0
ロシア仲介でシリア接近 選挙視野に対クルド共闘 トルコ

  【イスタンブール時事】トルコのエルドアン大統領が、対立してきたシリアのアサド政権への接近を試みている
  来年6月までに行われるトルコ大統領選での再選に向け、対クルド人勢力での共闘や、シリア難民送還に取り組んでいることを国民にアピールするのが狙いだシリア側には警戒感が強いが、トルコはシリア内戦でアサド政権を支えてきたロシアによる仲介を模索している。

  トルコは2011年に始まったシリア内戦で反体制派を支援し、翌12年にシリアと国交を断絶。400万人を超えるシリア難民を受け入れ、反体制派指導部もトルコに活動拠点を置く。シリア北部の反体制派支配地域の一部は、実質的にトルコの統治下にある。
  一方、シリア北部ではトルコがテロ組織と見なすクルド人主体の「シリア民主軍(SDF)」が、内戦による権力の空白に乗じ勢力を拡大。トルコは越境軍事作戦で排除を試みるものの、十分な成果を得られていない。また、難民滞在が長期化するにつれ、仕事を奪われることへの反発などが、トルコ国民の間で強まっている。
  エルドアン氏は最近、アサド政権との関係について「恨み、いさかいが永遠に続くことはない」と述べ、対話への意欲を重ねて表明した。チャブシオール外相は12日、「アサド政権の振る舞い次第では、対テロやシリア人の送還で協力する用意がある」と述べた。
  在米のトルコ系アナリスト、ソネル・チャアプタイ氏は「トルコはアサド政権を承認する代わりに、クルド勢力の支配地域の管理をアサド大統領に求める可能性がある」と分析する。
  こうしたトルコの変化に対し、アサド氏は「選挙目的」と警戒を強めているとされる。そこでエルドアン氏は、内戦で一貫してアサド政権の後ろ盾となってきたロシアの影響力に注目。アサド氏との会談実現に向けた仲介をプーチン大統領に依頼し、3首脳会談の可能性を探っていると、トルコメディアは伝えている。 


2022.12.03-ARAB NEWS JAPAN(REUTERS)- https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_81221/
シリアのクルド人、トルコの攻撃で米主導の連合軍との共同作戦中止

  ・トルコは、シリアのクルド人戦闘員を標的とする地上侵攻を準備している
  ・国防総省のパトリック・ライダー報道官(准将)は先に、ダーイシュ(IS)に対する作戦は停止していないと述べた
  カーミシュリー:シリアで米国の支援を受けながらダーイシュ(ISの別称)のテロリストの撃退に注力するシリア民主軍(SDF)は、トルコによるSDF支配地域に対する砲撃を受け、すべての共同対テロ作戦を停止したとSDFの報道官が2日、発表した。

  トルコはここ数週間、シリア北部への砲撃と空爆を強化。トルコがテロリストと称しながらも、米国が支援するSDFの大部分を構成するシリアのクルド人戦闘員に対する地上侵攻の準備を進めている。
  SDFは以前から、トルコの新たな侵攻を撃退すれば、ダーイシュの戦闘員を収容する刑務所を保護することや、シリアで奇襲攻撃を続けているダーイシュの潜伏部隊を標的にすることから各種リソースが逸らされることになると警告していた。
  SDFの報道官であるアラム・ヘンナ氏はロイター通信に対し、「連合軍とのすべての調整とテロ対策共同作戦」と、「我々が定期的に行っていたすべての共同特殊作戦」が停止されたと述べた。
  米国防総省のパトリック・ライダー報道官は先に記者団に対し、ダーイシュに対する作戦は停止していないと述べていた。
  今週初め、SDFのマズルーム・アブディ総司令官はロイターに対し、トルコによる前例のない国境沿いの部隊配備を見た以上は、米国政府からの「より強い」メッセージを求めると語った。
  同総司令官は、「我々はまだ緊張状態にある。トルコを止めるためには、より強く、断固とした声明が必要だ」とし、「トルコは既に意思を表明し、今は探りを入れている侵攻が始まるかどうかは、トルコが他国の立場をどう分析するかにかかっている」と強調した
ロイター


2022.11.14-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221113/k10013890201000.html
トルコ イスタンブールで爆発 6人死亡81人けが テロとみて捜査

  トルコの最大都市イスタンブール中心部で13日、爆発があり、6人が死亡、81人がけがをしました。監視カメラの映像などからトルコ政府は女の実行犯によるテロとみて捜査を進めています。

  イスタンブール中心部の繁華街イスティクラル通りで13日、爆発があり、トルコ政府はこれまでに6人が死亡、81人がけがをしたと発表しました。
  現場は、外国人旅行客にも人気の観光地で監視カメラの映像では多くの買い物客でにぎわう中、突然画面が真っ暗になり、その後、人々が路上に倒れ込んだり、逃げまどったりする様子が確認できます。
  トルコ政府は監視カメラの映像や目撃者の証言などから、爆発は女の実行犯によるテロとみて捜査を進めていて、エルドアン大統領は会見で「すべてを明らかにし、加害者を処罰する」と述べました。
  イスタンブールにある日本総領事館によりますと、これまでのところ日本人が巻き込まれたという情報は入っていないということです。
  トルコでは、市民が巻き込まれるテロなどが相次いだ2016年以降、政府が治安維持を強化し、近年は、大規模なテロは起きていませんでした。


2022.07.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220704-JNVEBCBGHVJ3ZD2I4CKV647E3Q/
トルコ、露の穀物船に停船命令 ウクライナから輸送か

  【カイロ=佐藤貴生】トルコ政府は4日、ウクライナで盗んだ穀物を積んでいるとの通報に基づき、トルコ北西部カラス港の沖合約1キロの海上に停泊していたロシアの貨物船に停船を命じた。ロイター通信がトルコ高官の話として伝えた。

  貨物船はロシアの「ジベク・ジョリ」。ウクライナの駐トルコ大使は「アゾフ海に面するウクライナ南部ベルジャンスクの港でロシアが盗んだ穀物約4500トンを積み込み、カラスに向かっている」とトルコに通報、拿捕(だほ)を要請していた。
  トルコ高官は「(積み荷の)穀物が誰に属するかは記載されていない」とし、ロシアとも連絡を取って調査を行う方針を示した。
  ベルジャンスクはウクライナに侵攻したロシアが占拠した。ロシアは2月下旬のウクライナ侵攻後、同国南部へルソンやザポロジエなどで貯蔵庫を襲って穀物を盗み出し、船で運んで他国に販売しているとの報道が相次いでいる。
  ウクライナ政府は5月、侵攻後にロシアが不法に持ち出した穀類は少なくとも約40万トンに上ると推測。ウクライナは世界屈指の穀物輸出国で、輸出の停滞で世界規模の食料危機が懸念されている。

  トルコはウクライナの輸出再開のため、黒海での安全な航路設置に向け国連やロシア、ウクライナと協議する方針を示している。


2022.05.20-Yahoo!Japanニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20220520-00296808
2か国のNATO加盟に難色「トルコの狙いは?」テロ組織の「たまり場」と言われた北欧現地が戸惑い

  フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟申請をした。加盟するためには全ての加盟国30か国の賛成が必要だ。だが、トルコが難色の姿勢を見せている。北欧諸国は戸惑い、「狙いは何なのだ」という解説記事が現地では増加している。
 ストルテンベルグNATO事務総長はノルウェーの元首相であるため、ノルウェーの公共局の分析記事ではこんな楽観的な見方も混ざっていた。
  ・エルドアン大統領が不穏な空気を出すのはこれが初めてでなく、西洋が必ずしも理解できる行動をしない。
  ・エルドアン大統領の理解不可能な行動の後は、事態が収束したことも過去にあったので、今回もなんだかんだで解決するかもしれない。
  ・互いに政治のトップであり続けた、エルドアン大統領はストルテンベルグNATO事務総長を良く知っており、彼はストルテンベルグNATO事務総長に好意を抱いている(ノルウェー公共局NRK

  「民主主義の基盤である話し合いで、きっとなんとかなる」というのは北欧では特に強い考え方だ。その北欧の交渉術は、外の世界でどれほどの効果があるだろうか。
  ノルウェー、デンマーク、アイスランドなどのご近所の国々は加盟を応援している。フィンランドとスウェーデンが加盟を果たすと、北欧全域の安全保障が強化されるという考え方が広がっているからだ。
  申請するとなると、特定の国々が障壁になることは事前に予想されていた。予想通り、トルコは大々的に「難色を示している」態度を国際社会にアピールして、注目を浴びることに成功している。
トルコの演出劇
  両国が加盟申請を正式に発表した今週に入ってから、トルコは明確に「反対している」態度を見せている。北欧2か国の代表団の派遣も断られ、トルコの反対で開始されるはずだった加盟手続きに遅れが出ている。
  当初はもっと「なんとかなるだろう」という空気で報道されていたため、早急に手続きを完了させたい北欧側からすると「どうして?」と戸惑うわけだ。「トルコはなぜ反対するのか」に関する報道が北欧現地では急増している。トルコは自分たちの国に制裁を科す国は承認しないという考えだ。

  フィンランドとスウェーデンは2019年、トルコがシリアに侵攻したことを受け、トルコに武器禁輸措置を講じた。トルコは北欧の両国に対し、トルコがテロ組織とみなすクルド労働者党(PKK)や関連組織をかくまっていると非難している。トルコの主な要求は、トルコ側がテロリストと指定する者たちの身柄引き渡しと、トルコへの武器売却禁止措置の撤廃だろうとされている。
  また、プーチン・ロシアとの関係に配慮していること、来年にトルコで開催予定の大統領選挙も理由に上がっている。現在の世論調査ではエルドアン大統領の政党は失脚しそうで、「西洋に影響力がある」という演出をすることで、国内での支持獲得を狙っている可能性だ。
「テロリストの温床」発言に驚く北欧
  エルドアン大統領は「スカンジナヴィアはテロリストのゲストハウスのようだ」とも語った。スカンジナヴィアとは通常は「ノルウェー・デンマーク・スウェーデン」を意味するので、ノルウェーもデンマークもこれには「え?」となっていた。
  エルドアン大統領の非難の的はフィンランドよりもスウェーデンに向いている。より妥協をしないといけないのではとされているのはスウェーデンだ。
クロアチア大統領も暴走
  クロアチアの動きも北欧現地では時にニュースになっている。18日の夜にはクロアチアのミラノビッチ大統領が、トルコの流れに沿って、スウェーデンとフィンランドの加盟申請に改めて反対するとも発表した。だがクロアチアでは大統領よりも議会が権力を握っている。クロアチア外相は両国の加盟を歓迎する発言をツイッターでしていることもあり、クロアチアは大きな障壁とはならなさそうだ。
トルコの駆け引きに欧米はどう対応するか
  今回のトルコの演出は、「トルコ側に何か有利となるものを譲渡しないと、フィンランドとスウェーデンの加盟には賛成しないぞ」という駆け引きだ。要求内容に応じるジレンマと、早急にNATO加盟国になる重要性の間で挟まれ、互いにどこで合意するのかが鍵となる。


2022.05.16-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/177516?rct=world
NATO「合意を確信」 北欧2カ国の加盟申請

  【ベルリン共同】欧米の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)は15日、ベルリンで14日に引き続き非公式外相理事会を開き、ロシアのウクライナ侵攻に伴う北欧フィンランドとスウェーデンの加盟申請の動きについて協議した。メンバー国のトルコは加盟に難色を示し、加盟を支持する米欧とのずれを埋めるには至らなかった。ストルテンベルグ事務総長は閉幕後、「合意点を見いだせると確信している」と述べ、交渉進展に自信を見せた。

  トルコのチャブシオール外相は15日、態度を保留した。
  トルコはテロ組織として敵視するクルド労働者党(PKK)を北欧2カ国が支援していると非難している。


2021.11.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211115-TGLN5WQ5RZPQRGPIALUTYS6ZYM/
トルコ大統領の支持に陰り 止まらぬ物価高、強まる市民の反発

  【カイロ=佐藤貴生】トルコで長期政権を率いるエルドアン大統領(67)支持率が低迷してきた。通貨リラの記録的な安値が続く中で物価が高騰し、市民の批判が高まっている。欧米との衝突も辞さないエルドアン氏の強権姿勢は国内の経済政策にも及んでおり、その威光に陰りが見えつつある。

  トルコの世論調査機関メトロポールは10月、エルドアン氏を支持するとの回答が約39%にとどまり、不支持が約56%に上ったとの調査結果を発表した。同氏への反発がこれほど高まったのは、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の台頭などでテロが頻発した2015年以来で、同氏の与党「公正発展党」(AKP)も支持離れに直面している。
  トルコではここ数年、物価高が慢性化し、10月にはインフレ率が前年同月比で約20%に上った。最大都市イスタンブールの公務員、ジェンギズさん(42)は「食品価格が高騰し、果物もキロ単位ではなく1個ずつ買っている。電気料金も値上がりしており、冬の暖房の費用も跳ね上がるだろう」と窮状を訴えた。
  物価高は異例の金融政策に基づくリラ安と連動している。通貨安の際には価値を高めるために利上げを行うのが一般的だが、「金利の敵を自任するエルドアン氏は景気の冷え込みを嫌い、頑強に高金利政策を拒否してきた。

  この2年半で意に沿わない中央銀行総裁を3回更迭し、金融政策への政治介入で市場の信頼は失われた。世界が金融引き締め局面を迎えるなか、リラは11日にも対ドルで最安値を更新し、10年前の約2割まで価値を下げたとされる。
  トルコは輸出は好調で、国際通貨基金(IMF)は今年の経済成長率を9%と予測している。半面、新型コロナウイルス感染拡大などのため失業率は10%超で推移しており、恩恵は市民に行き渡っていない
  英紙フィナンシャル・タイムズは1日、政権に近い建設業や旅行業などの企業が望んでいるため、エルドアン氏とAKPがリラ安に固執しているとの識者の見方を紹介した。また、同氏がさらなる支持低迷に先手を打つ形で23年に実施予定の大統領選を来年前半に前倒しするとの観測もあり、最大野党「共和人民党」(CHP)などが政権批判を強めていると報じた。
  エルドアン氏は03年の首相就任以降、国政で中心的地位を占めてきた。17年には大統領権限を強化する憲法改正を行い、翌年の大統領選で勝利して強大な権限を手にした
  トルコは政教分離の世俗主義を国是とするが、エルドアン氏とAKPはイスラム教の価値観を重視する政策を推進。イスラム系政党の台頭に目を光らせてきた世俗派の軍は16年のクーデター未遂事件などを機に粛清され、政権が軍を掌握したといわれる。
  エルドアン氏とAKPの政策により世論は二極分化が進んでおり、政権側が支持回復のために掘り起こせる票田はそう多くはない。半面、野党側にエルドアン氏をしのぐ対抗馬が見当たらないことも事実だ。
  エルドアン氏をめぐっては最近、ツイッターの投稿で健康不安説が浮上し、治安当局が虚偽の情報を拡散させたとして捜査に乗り出す事態も起きた。


2021.10.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211024-NB4SLCTXQJJJVK7Q3RLFKFLNZE/
欧米など10大使の追放指示 トルコ大統領、司法で対立

  【カイロ=佐藤貴生】トルコのエルドアン大統領は23日、欧米など10カ国の駐在大使を国外追放するよう外務省に指示したことを明らかにした。国外追放の期限など詳細については明らかにしていない。実際に国外追放に踏み切れば、欧米との関係悪化は必至だ。

  大使らがトルコで拘束されている実業家の釈放を要求したことへの対抗措置。ロイター通信などによると、エルドアン氏は同日、大使らをペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)と呼び、国外追放処分にすると述べた。
  実業家は慈善活動も行っていたオスマン・カバラ氏で、2013年にトルコで起きた大規模な反政府デモを支援したとして起訴された。昨年に無罪判決が出たが別件で逮捕され、拘束は約4年に及ぶ。
  米仏独やカナダなど10カ国の駐トルコ大使は今月18日、カバラ氏の早期釈放を求める共同声明を発表し、トルコ外務省から抗議を受けていた。日本は含まれていない。
  カバラ氏の拘束をめぐり欧州人権裁判所は19年、合理的な容疑がないとして即時釈放を求めていた。同裁判所は、テロ関連の容疑で16年から拘束されている少数民族クルド系政党の元党首についても、明確な証拠がないとして即時釈放を求めている。
  エルドアン政権は5年前に起きたクーデター未遂事件の後も、15万人以上の公務員を解職や停職処分とし、多数の報道機関を閉鎖に追い込むなど、反体制派を厳しく弾圧して欧米から批判されている


2021.08.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210819-ST734Q7Q3ZMZZLVPCSSTNIJRFM/
トルコ、アフガン難民流入を懸念 空港警備も見直し

  【カイロ=佐藤貴生】アフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握したのを受け、トルコがアフガンからの難民流入に神経をとがらせている。トルコはすでに、内戦下のシリアなどからきた約370万人の難民を抱える世界最大の難民受け入れ国」(国連)。新型コロナウイルスの感染拡大によって経済低迷が長引く中、国内では難民への風当たりが強まっており、エルドアン大統領は政権を揺さぶる要因になりかねないとして対応に躍起になっている。

  トルコのアカル国防相は15日、イランと国境を接する南東部を訪れ、難民流入を防ぐ壁の建設状況を視察した。トルコのメディアによると壁は全長約300キロの予定だ。アカル氏は、夜間も暗視スコープなども使い、流入阻止に全力を挙げる姿勢を強調した。

  トルコはアフガンと国境を接していないが、イラン経由の難民流入を警戒している。トルコ内務省は7月中旬、イラン国境周辺でアフガン人を中心に1500人近くの不法移民を発見、逮捕
  米メディアは今月中旬、トルコ当局者がイランを「アフガン難民をトルコ側国境に送っている」として非難したと報じた。
  トルコ国内に約12万人いるとされるアフガン難民のさらなる流入をトルコが恐れるのは、「安い給料でも働く難民に仕事が奪われる」として国民の反発が強まっているからだ。ロイター通信によると首都アンカラでは今月上旬、トルコとシリアの若者が衝突して1人が死亡し、シリア人の店舗や家が襲撃される事態に発展。多数の難民が身の危険を感じ、トルコの人権団体に相談しているという。

  在トルコの男性記者(55)は「エルドアン氏がトルコ民族主義を鼓舞したことが、難民への攻撃が起きる要因になっている」とし、同氏の政策が招いた結果との見方を示した。
  また、エルドアン政権は米軍のアフガン撤収後、カブールの国際空港の運営・警備を行うとして米政府と協議してきたが、タリバンは米軍以外の外国軍の撤収も求めており、計画は修正を迫られそうだ同空港はタリバンが予想を上回る速さで実権を掌握したことで、国外脱出を求めるアフガン市民が殺到。大きな混乱に陥っている。

  エルドアン政権には、空港の運営・警備を人権問題などでぎくしゃくするバイデン米政権との関係改善の足掛かりにする思惑があるが、タリバンに振り回される形となっている。


2021.07.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210716-GJBVAPXRGFIMJOVDHA73TFJYNM/
トルコクーデター未遂5年 強権政治が加速、欧米関係も冷却化
(1)
  【カイロ=佐藤貴生】トルコで政府転覆を図るクーデター未遂事件が起きてから15日で5年となった。エルドアン政権は政府機関を引き締めるために厳しい摘発を進め、ロイター通信によると公務員15万人以上が解雇もしくは停職となった。事件は政権が強権化を加速する契機となり、報道機関も9割以上が体制寄りになったといわれる。

  2016年7月15日、軍の一部が政府転覆を狙って反乱を起こし、政権や治安部隊の呼びかけに応じた市民が反乱勢力と衝突した。反乱は16日、鎮圧されたが、市民ら250人以上が死亡、2000人以上が負傷したとされる。

  トルコの裁判所は昨年11月、事件をめぐる裁判で、500人近い被告のうち337人の軍幹部らに無期懲役の判決を言い渡した。一度の判決としては最大規模で、政権はなお追及の手を緩めていないようだ。

  エルドアン政権は在米イスラム指導者ギュレン師が事件の「黒幕」だと断定、身柄引き渡しを求めているが、米国は応じていない。同師は社会奉仕を行う「ギュレン運動」を主導し、軍や警察など各界に多くの支持者がいた。報道機関も同様だった。
  国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」によると、事件後の非常事態宣言の下、大手を含む179の報道機関が閉鎖に追い込まれた。昨夏にはネット空間の異論を封じるSNS(会員制交流サイト)規制法も成立した。

  トルコのフリージャーナリスト(55)は、「エルドアン氏は今も事件を反体制派排除の根拠として使っている。政権支持の大手メディアは同氏の宣伝を展開しており、反体制メディアは大きな圧力にさらされている」と話した。

(2)
  強権に傾くエルドアン政権は昨夏、東地中海で海底資源探査を行い、ギリシャなどが権益を侵されたとして反発し欧州との関係が冷え込んだバイデン米政権も、北大西洋条約機構(NATO)に加盟しているトルコがロシア製防空システムを購入した問題などで懸念を強めている。
  エルドアン氏のこうした外交手法には、「欧米を敵と位置づけて国内の支持基盤を引き締めるのが狙い」(トルコの政治評論家)との指摘もある。
  ただ、新型コロナウイルス対策の行動制限などで経済は低迷。エルドアン氏への評価を問う世論調査も、最近は「支持」と「不支持」が拮抗(きっこう)しているのが実情だ。


2021.04.25-JIJI.COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2021042500043&g=int
アルメニア人迫害は「虐殺」 米大統領認定、トルコは反発

  【ワシントン、イスタンブール時事】バイデン米大統領は24日、第1次大戦当時のオスマン帝国で起きたとされるアルメニア人迫害を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定した帝国の後継国家トルコはジェノサイドを否定しており、声明に強く反発。共に北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもある米トルコ関係の緊張は、避けられないとみられる。

  米公共ラジオ(NPR)などによると、今回のジェノサイド認定は、1981年にレーガン大統領がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)に関する声明の中で「アルメニア人ジェノサイド」と表現して以来だという。

  バイデン氏は24日の「アルメニア人追悼記念日」に合わせて出した声明に「オスマン帝国時代のアルメニア人ジェノサイドで失われたすべての命を忘れない」と明記。居住地を追われ米国など全世界へ渡ったアルメニア人への敬意を示すとともに、「誰かを責めるためではなく、こうした出来事が繰り返されないことを確かなものにするため、痛みを直視し、歴史を認識する」と記した。
  声明に対し、トルコ政府は「完全に拒否する」(チャブシオール外相)と反発。駐トルコ米大使を外務省に呼んで抗議した
  米当局者はロイター通信などに、声明はバイデン政権の人権重視姿勢を反映したものだと説明。米国は引き続きトルコを重要な同盟国と見なし、トルコとアルメニアの和解も後押しすると述べた。

  バイデン氏は23日、就任後初めてトルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、6月のNATO首脳会議に合わせた首脳会談開催で合意。ロイターなどは、バイデン氏が電話会談でジェノサイド認定の意向を伝達したと報じていた。認定に先立ち首脳会談を申し合わせることで、関係の決定的悪化を避けたいとの意図もうかがえる。
  米国はトルコによるロシア製地対空ミサイル「S400」の購入に反対し、トランプ前政権が昨年12月に対トルコ制裁を発動した。一方、トルコは2016年のクーデター未遂事件に絡み、首謀者と見なす在米イスラム指導者ギュレン師の引き渡しを求めているが、米国が応じていないなど、両国関係は近年ぎくしゃくした状態が続いている。


2021.03.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210329/wor2103290011-n1.html
トルコ、DV条約脱退で女性反発

  【イスタンブール=佐藤貴生】トルコのエルドアン政権が欧州評議会の「女性への暴力およびドメスティックバイオレンス(DV)防止条約」からの脱退を決め、国内外から非難の声があがっている。人権団体によると、男性優位の風潮が強いトルコでは夫による妻への暴力や殺害が他国より多いとされ、脱退でこの傾向が助長される懸念があるからだ。一方で、イスラム教の価値観を重視する信徒の多くは、「(条約は)同性愛を容認し、家族の構造を崩壊させる」と決定を歓迎しているという。

  ロイター通信によると、脱退は20日に官報で発表された。決定を受け、欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は「女性の保護や基本的権利を危機にさらすリスク」があると指摘。バイデン米大統領も「強い失望」を表明した。
  条約は2011年に欧州評議会で採択された。トルコは最も早く署名した国の一つで、イスタンブール条約とも呼ばれる。そのイスタンブールでは27日、「犯人ではなく女性を守れ」といったプラカードを掲げた女性数千人が政権の決定に抗議するデモを行った。
  イスラム色が濃いエルドアン大統領の与党「公正発展党」(AKP)は、男女同権をうたい、性差別を禁じた条約はイスラム教に基づく家族の伝統的な価値観を損なうと主張。政権は、女性の権利は国内法で守られると反論している。
  トルコの人権保護団体によると、同国では昨年、女性が殺害された事件は300件もあった。自殺として処理されたものの殺人が疑われる事件が他に170件あるという。今年も疑い例を含め、2月末までに女性が殺害された事件は77件を数えた。

  DVに詳しいイスタンブールの女性弁護士、カルデラン・アテシジさん(27)は、「条約は(イスラム的な)家族の価値観を傷つけるものではない」と政権の決定を批判。
  また、夫の暴力は妻が離婚を切り出したときに起きることが多いとし、「経済的な自立を目指す女性が増えているのに対し、夫は妻を所有物だとみなして怒る傾向がある。新型コロナウイルスの感染拡大による失業増だけでは説明できない」と分析した。交際相手や元夫、知り合いの男性らによる女性殺人も少なくないという。
  エルドアン大統領は条約署名当時の首相。政策転換の背景に、支持基盤であるイスラム保守層の歓心を買うため、欧米諸国への対抗姿勢を強調する狙いがあるとも指摘されている。
  トルコは1923年、政教分離を国是として独立したが、エルドアン氏はイスラム保守層を重視する政策を打ち出し、長期にわたり国のトップの座を占めている。


2021.02.05-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210205/wor2102050025-n1.html
名門大学長人事に介入 トルコ 学生ら計600人拘束

  【カイロ=佐藤貴生】トルコのエルドアン政権が最大都市イスタンブールの名門大学の学長を大統領令で決め、「非民主的」と反発する教員や学生との対立を深めている。ロイター通信によると、警察当局は1月初旬以降、抗議デモを繰り広げる学生ら計約600人を拘束。強権的な手法には米政権や国連から批判が上がっている。

  舞台はイスタンブールにある名門ボアジチ大学。ロイターによると、エルドアン大統領は1月初め、かつて与党「公正発展党」(AKP)から国会議員選に出馬した人物を学長に任命するとの大統領令を出した。
  在トルコの記者によると、学長は学内の選挙で選ばれてきたが、現在は多くの大学でエルドアン氏が直接任命しているという。ボアジチ大では過去30年以上、学外から学長が選ばれたケースはなかった。
  学生らはこれに対し、学問の自由や大学の自治が脅かされかねないと抗議デモを展開。だが、1日には警察当局が同大やその周辺で学生ら約160人を拘束した。エルドアン氏は3日、デモに参加する学生らは国民に必要な価値観を持たない「テロリスト」だと批判し、強硬姿勢を示した。
  最大野党、共和人民党(CHP)の党首が「醜い事態」を収拾すべきだとして学長に辞任を求めるなど、与野党間の政治問題にもなっている。
  一方、米国務省のプライス報道官は3日、デモを行う権利は民主的な自由の基盤として学生らを支持し、国連も政権に自制を求めた。しかし、トルコ外務省は「内政問題」として批判を一蹴した。
  エルドアン氏は2016年のクーデター未遂事件発生を受け、公務員やジャーナリストらを大量拘束するなど強権統治を進めており、欧米から批判を受けている。



2020.12.15-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201215/wor2012150015-n1.html
米、トルコに制裁 露地対空ミサイル「S400」導入で

  【ワシントン=住井亨介】トランプ米政権は14日、ロシア製地対空ミサイルS400の導入を進めるトルコに対し、独自の制裁を科すと発表した。米国は導入に一貫して反対してきたが、トルコは10月に試験発射したことを認めていた。両国は欧米の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であり、異例の制裁発動により関係が冷却化する可能性がある。
  米国務省の発表によると、トルコ大統領府傘下の国防産業庁に対して米国からの輸出を禁じるほか、幹部に対する資産の凍結、ビザ発給制限が科される。
  トルコのエルドアン大統領関係や金融機関などへの強硬な制裁内容は含まれておらず、効果は限定的とみられる。
  ポンペオ国務長官は声明で、「S400の購入は米国の軍事技術と要員を危機にさらし、ロシアの防衛産業を潤すものだ」と非難。「米国と協調してただちにS400の問題を解決するようトルコに促す」とした。
  トルコはシリアでの内戦を通じてロシアと関係を深めてきた。NATOは加盟国の防衛システムと統合できないとして、S400の導入に反対してきた。
  トランプ大統領はエルドアン氏との関係に配慮して制裁には慎重な姿勢を示しつつ、昨年7月にトルコがS400の搬入を開始した後に、トルコを最新鋭戦闘機F35の国際共同開発から除外している。


2020.11.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201127/wor2011270004-n1.html
トルコで337人に無期懲役 クーデター未遂事件で

  【カイロ=佐藤貴生】トルコで2016年に起きたクーデター未遂事件で、同国の首都アンカラの裁判所は26日、500人近い被告のうち337人の軍幹部らに無期懲役の判決を言い渡した。英BBC放送(電子版)などが伝えた。
  エルドアン大統領は事件後、軍幹部らの摘発を進めて大規模な粛清を進め、同氏が強権に傾く契機になった。
  判決は、アンカラ近郊のアクンジュ空軍基地がクーデター計画の拠点となったとし、無期懲役となった被告は殺人や政府の転覆、エルドアン氏の暗殺を試みたなどと認定された。
  軍幹部ら約20人は罪状が悪質だとして保釈に厳しい条件が付された。国会などをF16戦闘機で爆撃したパイロットも含まれている。
  事件は16年7月15日に起きた。軍の一部が政府転覆を狙って反乱を起こしたが、政権側が鎮圧した。
  政権や治安部隊の呼びかけに応じた市民が街頭に出て反乱勢力と衝突し、250人以上が死亡、2千人以上が負傷したとされる。
  エルドアン政権は在米イスラム指導者ギュレン師が事件の「黒幕」だと断定し、米政府に身柄の引き渡しを求めている。
  同師は社会奉仕を行う「ギュレン運動」を主導し、軍や裁判所、メディアなど各界に支持者がいたが、エルドアン政権は事件後、厳しい弾圧に乗り出し、15万人の公務員に解雇や停職の処分を行った。


2020.11.03-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8f3e234a43609caa8ac8f58ac67a90372f0ded64
トルコ沖地震、死者100人に 救助活動続く、救出女児ら回復へ

  【イスタンブール共同】トルコギリシャ沖のエーゲ海で発生した地震で、トルコ当局は3日までに、国内の死者は98人、負傷者は990人以上となったと発表した。死者はギリシャ側の2人と合わせて計100人となった。コジャ保健相は2日に相次いで救出された女児と少女は回復傾向にあるとツイッターで明らかにした。女児は病室でカメラに向かって手を振る姿が報じられた。」

  当局によると、負傷者の大半は病院での治療を終え、約150人が入院中。被害が集中するトルコ西部イズミル県バイラクルでは17の全壊建物のうち12カ所で捜索が終了した。2日夜は残る5カ所で救助活動が続いた。


2020.10.13-Livedoorニュース(産経ニュース)-https://news.livedoor.com/article/detail/19047756/
トルコ、東地中海に資源探査船派遣 ギリシャと緊張激化も

  【カイロ=佐藤貴生】トルコの海底資源の探査船が12日、同国とギリシャがともに権益を主張する東地中海への探査に出発し、ギリシャなどが反発している。
  トルコは8、9月にもギリシャとの係争海域に軍艦の護衛付きで探査船を送り、欧州連合(EU)が制裁を発動すると警告していた。トルコの動向をめぐって再び緊張が高まっている 
  ロイター通信によると、トルコは同国南西部沖合にあるギリシャ領カステロリゾ島の南部周辺で22日まで探査を行うとしている。ギリシャ外務省が「地域の平和に対する直接の脅威だ」と批判したのに対し、トルコの国防相は探査海域は自国の大陸棚だと主張、「海軍が必要に応じて探査船を保護する」と述べた。
  探査船出発を受けてフランスも懸念を表明し、挑発行動を慎むよう求めた。同国はトルコが東地中海に探査船を送った今夏、ギリシャやイタリアとともに軍事演習を行ってトルコを威圧している。


2020.7.12-msnニュース powered by MicrosoftNews-https://www.msn.com/ja-jp/news/world/ar-BB16CHRI
モスク化でトルコに非難続々=世界遺産アヤソフィア、登録抹消も

  【パリ時事】トルコのエルドアン大統領は10日、イスタンブールの世界遺産アヤソフィアについて、モスク(イスラム礼拝所)として運用する方針を発表した。これに対し国際社会からは非難する声が相次ぎ、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、次回の世界遺産委員会で保護状態を審査すると表明。登録が抹消される可能性もある。
  アヤソフィアは、6世紀にビザンツ帝国がギリシャ正教の総本山として建立。15世紀にオスマン帝国の支配下でモスクに改装され、1930年代に無宗教の博物館に変更された。キリスト教会とモスクの特徴を併せ持ち、「異文化共存の象徴」と見なされてきた。
  ロイター通信によると、隣国ギリシャの首相府は10日、「トルコの決定を最も強い言葉で非難する」との声明を発表。「トルコにとってギリシャだけでなく、欧州連合(EU)との関係にも影響を及ぼす」と批判した。
  米国務省のオルタガス報道官は「失望している」と表明。タス通信によると、ロシアのコサチョフ上院外交委員長はフェイスブックに「トルコは今後、国際社会から宗教バランスの妨害者と見なされ、地域での重要な役割を失う。残念だ」と投稿した。
  ユネスコのアズレ事務局長も声明で、「事前協議がない決定で非常に遺憾だ」とし、「アヤソフィアの博物館としての地位は遺産の普遍的な性質を反映し、対話の強力な象徴だ」と強調した。
  ユネスコは、トルコの決定がアヤソフィアの「普遍的価値」に影響を与える恐れがあると指摘。ユネスコとの事前協議なしに遺産の構造などを変更した場合、世界遺産条約に違反する可能性があると警告した。 


2020.1.18-産経新聞 THE SANKEI WEB-https://www.sankei.com/world/news/200118/wor2001180017-n1.html
トルコのリビア介入 地中海パイプライン計画の遮断狙う
(1)
【イスタンブール=大内清】トルコのエルドアン政権が、国家分裂状態にあるリビアへの介入を深めている。北アフリカに位置するリビアの内戦で劣勢のシラージュ暫定政権に対する支援をてこに、地中海での海洋権益強化に向けた協力で合意。その狙いは、対立するイスラエルやギリシャなどが進める天然ガスパイプライン計画を頓挫させ、トルコの発言力を強めることにある。
  トルコ議会は今月初め、暫定政権側の要請を受ける形で、リビアへのトルコ軍の派兵を承認。トルコ政府は並行して、ロシアやサウジアラビア、エジプトなどの支援でリビア全土の掌握を目指す軍事組織「リビア国民軍」(LNA)に、暫定政権側との停戦に応じるよう仲介に乗り出した。
  暫定政権は国際的な承認を受けているものの、軍事的には劣勢にある。政権存続には、他国からの軍事的な後ろ盾が不可欠だ。トルコは、その役割を買って出ることで暫定政権に恩を売っている形だ。
  トルコがリビアへの関与を深める背景にあるのが、地中海でのエネルギー開発をめぐる主導権争いだ。
  地中海東部には有力な海底油田・ガス田が存在する。沿岸国のイスラエルやキプロスは、産出した天然ガスの欧州輸出を計画。そのパイプラインを、対立関係にあるトルコではなく、ギリシャのクレタ島などを経由してイタリアに通すとしている。トルコはこれが、自国の実質的な保護下にあり、キプロス北部を実効支配する「北キプロス」の権益を損ねるものだなどとして強く反発している。
(2)
エルドアン大統領は昨年11月下旬、リビアのシラージュ暫定首相と会談し、海洋権益の保護に関する協力で合意。トルコ南部沿岸から延びる大陸棚とリビア北東部から延びる大陸棚を結ぶ海域で、第三国による「一方的な開発」は認めないことなどで一致した。
  この海域はイスラエルなどが計画するパイプラインのルートを遮断する形で設定されており、エルドアン氏としては「トルコを無視したガス田開発は認めない」とのメッセージを発した格好だ。トルコの政治アナリスト、イスラム・オズカン氏は「エルドアン政権には、リビア介入を機に、同国のみならず地中海にプレゼンス(存在感)を示す目的がある」と分析する。
  トルコは、合意は国連海洋法条約に則していると主張。歴史的にトルコと敵対するギリシャなどは「効力はない」と非難している。
  リビア情勢をめぐっては、トルコのほかに、LNAを支援するロシアも仲介に当たっているものの、今月中旬にモスクワで行われた停戦協議は決裂。19日にはドイツの首都ベルリンでも協議が行われるが、一時的な停戦が実現しても、国家分裂状態の解消に向けた前進は困難とみられる。







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