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仮想化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  仮想化英語: virtualization)とは、コンピュータリソース抽象化することであり、ソフトウェアと物理的なハードウェアの間に抽象化されたレイヤーを提供することで、コンピュータリソースを管理するための様々な技術である。仮想化ソフトウェアを実行しているマシンは、さまざまなオペレーティングシステム(OS)で実行されているアプリケーションを管理できる。サーバー、ストレージデバイス、ネットワークリソースなどのハードウェアプラットフォームをソフトウェアで効果的にエミュレートまたはシミュレートする。つまり、OS内で別のOSを使用する。
  主にユーザーに提供するコンピュータそのものをハードウェアの詳細から切り離した状態でソフトウェア化する事を指す。ユーザーは画面切り替えの要領で複数のコンピュータを使い分けられる。管理者にとっては、ユーザーに提供するコンピュータに関わる全ての作業をソフトウェアの設定変更のみで行えるようになり、構成変更に掛かる時間が劇的に短縮されるため、物理的な作業では対応できないような管理を行う事が出来るようになる。ソフトウェア化したコンピュータを仮想マシン、仮想マシンを実際に稼動させるハードウェアを物理マシンと呼ぶ。仮想マシンは別の物理マシン上にデータ移動のみで移す事が出来るため、USBメモリなどにも収められる。
  「リソースの物理的特性を、そのリソースと相互作用するシステム/アプリケーション/エンドユーザーから隠蔽する技法。単一の物理リソース(サーバ、OS、アプリケーション、補助記憶装置など)を複数の論理リソースに見せかけたり、複数の物理リソース(複数の補助記憶装置群やサーバ群)を単一の論理リソースに見せかけたりできる」という実用的定義がある。また、単一の物理リソースを何らかの特性の異なる単一の論理リソースに見せかけることもできる。そして、仮想回線により、幅が拡がる。

概要
  仮想化という用語の起源は古く、1960年代には既に広く使われていた。ネットワーク全体や個々の機能やコンポーネントなど、コンピューティングの様々な面に適用されてきた。仮想化技術に共通する目的は、カプセル化によって「技術的詳細を隠蔽する」ことである。仮想化は、例えばアクセスを多重化したり、異なる物理的位置にあるリソースを統合したり、制御システムを単純化したりすることで、根底にある実装を隠蔽した外部インタフェースを生成する。近年、新たな仮想化基盤や仮想化技術が登場し、この円熟した概念が再び注目されるようになってきた。
  抽象化オブジェクト指向などの用語と同様、「仮想化」という用語は様々な文脈で用いられる。本項では、これを主に以下の2つに分類して解説する。
プラットフォーム仮想化コンピュータ全体のシミュレーション
リソース仮想化(リソースの集合体や部分や単純化されたもののシミュレーション)
  もちろん、仮想化はコンピュータ以外でも重要な概念である。制御システムは複雑な機器の仮想化されたインタフェースを実装したものとも言える。例えば、最近の自動車のアクセルは単にエンジンへの燃料流入量を増やすだけではない。フライ・バイ・ワイヤを使った航空機は、物理的実装よりも単純化されたインタフェースを提供する。
  ビジネス構造の観点では、仮想化とは、従来型の事務所や店舗を構えたビジネスから、インターネット上などでビジネスを行う方向に転換していくことを指す。
  仮想化と対極に位置する概念が透過性である。仮想化されたオブジェクトは物理的には存在しなくともアクセス可能である。逆に透過性のあるオブジェクトは物理的には存在しているが、利用者にとっては不可視である。
デザインパターンとして
  多くの仮想化の形態は、利用者と提供者に関わるデザインパターンでパターン化可能である。利用者と提供者は何らかのインタフェースを使って相互作用する。仮想化は、この両者の間に介在し、利用者に仮想化されたインタフェースを提供すると同時に、提供者にも別の形で仮想化されたインタフェースを提供する。一般に、利用者と提供者の関係は一対多、あるいは多対一、または多対多であり、中間層(仮想化層)だけがその多重性を意識している。

  理想的には、仮想化されていない環境で直接やり取りしている利用者と提供者は、仮想化された環境でも修正することなくそのまま機能するのが望ましい。例えば、仮想記憶では物理アドレス空間と利用者の間に中間層(仮想記憶管理層)が存在する。その中間層は複数の利用者をサポートするため、複数の仮想アドレス空間を提供する。利用者と提供者(物理メモリ)は一般にその多重性に気づく必要はない。
プラットフォーム仮想化
  1960年代に生まれた「仮想化」という用語は、ハードウェアとソフトウェアの組合せによって実現された仮想機械の登場とともに使われるようになった。同時期にリソース仮想化である仮想記憶も登場している。仮想機械という用語は IBM M44/44X という実験機で初めて使われている。それ以前に IBM CP-40 が仮想機械を実装しており、このときは pseudo machines(擬似機械)と呼ばれていた。「仮想化」にしても「仮想機械」にしても、その意味は時代と共に変化していった。

  プラットフォーム仮想化とは、ハードウェアプラットフォーム上でホストプログラム(制御プログラム)が擬似的なコンピュータ環境を生成し、ゲストソフトウェアに対して「仮想機械」を提供するものである。ゲストソフトウェアは、それ自体もオペレーティングシステムであるのが一般的で、あたかも独立したハードウェアプラットフォームにインストールされたかのように動作する。単一の物理マシン上で複数の仮想機械をシミュレート可能なことが多く、仮想機械の個数はホストであるハードウェアリソースによって制限される。ゲストOSとホストOSは一般に同一である必要はない。ゲストシステムは特定の周辺機器(ハードディスクドライブネットワークカード)へのアクセスを必要とすることが多く、その場合その機器とゲストのインタフェースを提供する必要がある。
  プラットフォーム仮想化の手法はいくつか存在する。以下にそれらを列挙する。
エミュレータまたはシミュレータ
  仮想機械によってハードウェア全体を擬似的に再現する。全く異なるアーキテクチャのハードウェア向けのゲストOSを修正することなしに動作させることができる。これは、新たなCPUなどのハードウェア開発が完了する前にソフトウェアを並行して開発する手法として使われてきた。具体例としては、BochsPearPCVirtual PCの PowerPC 版、QEMU、Hercules emulator(IBMのメインフレームのエミュレータ)などがある。エミュレーションのための技法は様々で、有限オートマトンを使った技法から、仮想化プラットフォーム上での動的再コンパイル技法まである。
ネイティブ仮想化
  同じアーキテクチャのプラットフォーム上で、ゲストOSを隔離された状態で、かつ無修正で動作させる仮想機械。この手法は IBM CP-40 などが起源とされる。メインフレーム以外の領域では、Parallels WorkstationParallels DesktopVirtualBoxVirtual PCVMware WorkstationVMware ServerQEMUAdeosMac-on-Linux、VirtualLogix VLX Virtualizer for VT などがある。
ハードウェアによる仮想化
  ゲストOSにハードウェアリソースを割り当て、隔離された状態で動作できるようにする仮想機械。2005年と2006年、インテルAMDは仮想化をサポートする追加ハードウェアを提供した。例えば、VMware Fusion、VMware Workstation、Parallels DesktopParallels Workstationなどがある。
部分仮想化
  特にアドレス空間などのハードウェア環境に限って、複数の実体があるようにシミュレートする仮想機械。いわゆる仮想記憶である。プロセスが同時並行して動作できるようにするが、ゲストOSが動作することはできない。一般に仮想機械とは見なされないが、仮想化の歴史上は重要であり、CTSS や IBM M44/44X などで使われ、MVS へと受け継がれた。その後の Microsoft Windows  Linux も、基本的にこの手法を採用している。
準仮想化
  ハードウェアを擬似するというよりも、ゲストOSに修正を加えることで利用可能となる特殊なAPIを提供する仮想機械。このようなハイパーバイザシステムコールを TRANGO や Xen では「ハイパーコール; hypercall」と呼ぶ。Citrix XenServerVMware ESX ServerWin4Lin 9xサン・マイクロシステムズ論理ドメイン、VirtualLogix の VLX Virtualizer、TRANGO などがある。
OSレベルの仮想化
  物理サーバをOSレベルで仮想化し、複数の仮想サーバを単一の物理サーバ上で動作させる。ゲストOSとホストOSは同一である。あるゲスト環境で動作するアプリケーションから見れば、独立したシステムで動作しているように見える。Linux-VServerVirtuozzoOpenVZLXC (Linux Containers) 、AIX ワークロードパーティション (WPAR)Solaris ContainersFreeBSD jail などがある。
アプリケーション仮想化
  セキュリティや信頼性、移植性を強化する目的で、アプリケーションを仮想機械でカプセル化された環境で隔離して実行すること。仮想機械はアプリケーションの実行に最低限必要な要素を備えており、OSとアプリケーションの間の層として動作する。例えば、Java仮想マシンMicrosoft Application VirtualizationAltirisCitrix XenApp などがある。前述の各種仮想化とは異なる手法であり、SmalltalkForthTclPコードマシンなどのインタプリタ指向言語の流れを汲むものである。
  仮想化技術の進展によって、アプリケーション仮想化とアプリケーションストリーミングといった新たな技法が登場した。
リソース仮想化
  上述のプラットフォーム仮想化の概念から、補助記憶装置のボリューム、名前空間、ネットワークリソースといった特定のシステムリソースの仮想化が生まれた。
  ・リソースの集約/連結/結合などにより、大きなリソースプールを形成する。
  ・仮想記憶 は個々のアプリケーションに別々の仮想空間を提供し、メモリや補助記憶装置の不連続なリソースから連続的な仮想アドレス空間を利用可能にする。
  ・RAID論理ボリュームマネージャは、複数のディスク装置を統合して1つの大きな論理ディスクにする。
  ・ストレージエリアネットワークでよく使われる技法として、物理ストレージから論理ストレージに抽象化することをストレージ仮想化と言う。物理ストレージのリソースを1つのプールに集約し、そこから論理ストレージを生成する。物理ストレージ装置はネットワーク上に分散配置可能だが、ユーザーから見れば単一のストレージに見え、集中管理可能である。
  ・チャネルボンディングとは、複数の通信路(インタフェース)を1つの高スループットリンクとして使用する技術。
  ・Virtual Private Network (VPN) とネットワークアドレス変換 (NAT) は、ネットワークの名前空間を仮想化する技術である。
  ・コンピュータ・クラスターグリッド・コンピューティングは、上述の各種技術を使い、複数のコンピュータから仮想化された大きなコンピュータを形成する。
  ・パーティショニングは、ディスクやネットワークなどの単一のリソースを分割し、利用しやすい大きさや速度の多数のリソースとして利用可能にする。


仮想機械
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仮想機械(仮想マシン、バーチャルマシン、英語: virtual machineVM)とは、アプリの使用を最適化する方法であり、コンピュータの動作を再現するソフトウェアである。すなわち、エミュレートされた仮想のコンピュータそのものも仮想機械という。仮想機械によって、1つのコンピュータ上で複数のコンピュータやOSを動作させたり、別のアーキテクチャ用のソフトウェアを動作させることができ、アプリケーションが互いに干渉するのを防げる

システム仮想機械
  システム仮想機械はシステム全体を再現し、その上でOSを動かすことを可能にする。動作させるOSにいくらかの変更を加えることが必要な場合(準仮想化)もある。
  システム仮想機械では、複数の仮想機械に計算資源やメモリ資源、ディスク資源を効率的に配分(スケジュール)したり、ハードウェア割り込みなどを伝達する必要がある。これらを制御するプログラムをハイパーバイザと呼ぶ。
  システム仮想機械は、ユーザーやプログラムから「別のコンピュータ」に見えるもの(OS環境を実現するもの)を指すが、コンピュータの初期には仮想記憶マルチタスクマルチユーザータイムシェアリングなど、現在ではOSの機能となった技術を含める場合がある。仮想機械の技術はメインフレームで使われていたが、現在でコンピュータによるサービス提供の分野で一般的な技術となりつつある。
  クラウドコンピューティングにおいてハードウェアに依存しない仮想実行環境の構築は基盤技術(IaaS)として利用される。

メインフレーム
ハードウェアによる仮想化
  1940年代-1950年代のコンピュータは、機種ごとにアーキテクチャが異なるのがあたりまえであったが、既存の設計を参考にすることで新規設計のリスクを避けたり、よそのコンピュータの既存のプログラム・ライブラリを流用するためなどの目的で、既存機と命令セットに互換性を持たせたり論理設計を共通にした、一種の互換機と言えるマシンも存在した。たとえばEDSACはよく参考にされた。
  1958年 IBM 709は、既存のIBM 704の命令セットをマイクロコードでエミュレーションし、上位互換性を提供した。
  1964年 IBM System/360は、同様に既存のIBM 1401IBM 1620の命令セットをマイクロコードでエミュレーションした。また、コンピュータ・アーキテクチャを定義し標準化し、以後の互換性を提供した(通常は仮想化と呼ばれないが、プログラムから見れば一種の仮想機械と言える。この効果として、メインフレームではアセンブリ言語でもバイナリでも、40年以上経過した現在まで互換が続いている)。
  1973年 IBM System/370モデル158およびモデル168により、物理分割(PPAR)をサポート。単一のコンピュータとしても、複数のコンピュータとしても使用可能。ただし細かいリソースの割り当てはできず、変更にはコンピュータ全体の再起動が必要。
  1987年 IBM 3090 の PR/SMにより、多数の論理区画(LPAR)を作成し、コンピュータ全体の停止を伴わず、より柔軟なリソースの割り当てが可能となった。
  IBMのPR/SMに相当する機能には、日立製作所 PRMFなどがある。
仮想化OSによる仮想化
  1964年 IBM System/360では、商用初の仮想化OSである CP-40CP-67により、ひとつのコンピュータで複数の仮想コンピュータを作成し、それぞれでゲストOS (MVSやCMSなど)を稼動させる事ができた。この仮想化OSは VM/CMS となり、現在も z/VM として、多数のゲストOS(Linuxなど)を同時稼動させる用途でも使われている。
  IBMのz/VMに相当する製品には、富士通 AVM、日立製作所 VMS などがある。

OSによるリソースの仮想化
  OSの機能による各種リソースの仮想化には、仮想記憶マルチタスクマルチユーザータイムシェアリングなどがある。
  主記憶装置の仮想化である仮想記憶は、商用では1961年バロース B5000で登場し、1970年IBM System/370で広く普及した。
  マルチタスク(アプリケーションによるマルチプログラミングではなく、OSの機能によるマルチタスク)は商用では、OS/360のバリエーションのひとつであるMVTと、後継のMVSで登場し、広く普及した。入出力待ちなどにCPUが他の処理を行えるため、処理の応答時間短縮と全体のスループット向上がもたらされた。
  なお、メインフレームにおけるこれらの「マルチタスク」は、単に複数のプログラムが同時に動かせるというだけではなく、複数の独立したアドレス空間(リージョン)を作成し、ハードウェアの機能も使用して完全に分離し、同時稼働するプログラム同士は直接見えない(バグや悪意あるプログラムでも相互に干渉できない)ものである。この点では、後の各種UNIXWindowsなどの「マルチタスク」と比較すると、「仮想機械」に近いレベルのもので、可用性セキュリティも向上した。同様の仕組みは2009年現在、MVSの後継のz/OSの他、IBM z/VSE、富士通 MSP/XSP、日立製作所 VOS3 などでも採用している。
  タイムシェアリング(時分割多重)による並列処理(マルチユーザー)は、アプリケーションプログラムやユーザーに、複数のコンピュータを同時使用するイメージをもたらし、オンラインリアルタイム処理の普及をもたらした。なお、マルチタスクとタイムシェアリングは別の技術であるが、現在では組み合わせて使用されている。(上記のMVSなどでは、マルチタスク環境の一部で、タイムシェアリング環境を稼働させ、それによりマルチユーザーを実現している。またマルチタスク自体も、初期には入出力待ちによる割り込みが基本であったが、現在ではタイムシェリングによる割り込みを併用している。)
ミッドレンジ
  1979年 IBM System/38は、TIMI(Technology Independent Machine Interface、技術に依存しないマシンインターフェイス)を採用した。TIMIは、メインフレームで採用されたマイクロコードによる互換性確保を更に進めたもので、主に水平型レベル・マイクロコードにより実現され、ハードウェア・アーキテクチャ(CPU命令セット等)とプログラムを分離している。プログラムの配布は中間コードであるバイトコードで行われ、インストール時にハードウェアの命令セットに展開される。このためソースプログラムを配布すること無く、実行時の性能を犠牲にすることもなく、別のアーキテクチャのハードウェアへの移行も容易である。実際、CPUアーキテクチャの移行(独自CISC→POWER)も容易に行えたとされる。
  TIMIはSystem/38後継のAS/400iSeriesSystem iPower Systems i Edition に、現在でも使用されている。また現在はLPARなどと併用できる(後述のPowerVMを参照)。
  各社の商用ミッドレンジコンピュータオフィスコンピュータミニコンピュータ)では、TIMIと同等の機能を持ったシリーズは、過去も現在も存在しない。
商用UNIX
UNIX/Linux/Windowsなど
CPUの機能による仮想化
プロセス仮想機械


仮想通貨
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  仮想通貨: virtual currency)は、デジタル通貨のうち、ネットワーク上で電子的な決済の手段として広く流通しているが、法定通貨との比較において強制通用力を持たない、特定の国家による裏付けのないものをいう。特定の国家による裏付けのあるものは中央銀行発行デジタル通貨という。ただし、後述のように定義や分類は必ずしも一様ではなく複数存在する。
  ビットコインなどの暗号通貨は仮想通貨の一種であるが、仮想通貨と呼んだ場合、実際は暗号通貨の事を指していることが多々ある。暗号通貨と、ネットクーポンや電子マネー等とは、決済の限定性(片方向性)や、限定的な流通制・汎用性の違いがある。日本の資金決済に関する法律で定義される暗号資産は当初は仮想通貨という名称だったが、暗号通貨以外を含めたより広範囲の非法定通貨建てデジタル資産を指している。

定義
  仮想通貨は広義にはゲーム内通貨などを含めることもある。しかし、一般的には流通性や汎用性を持つ電子的な決済手段に限定して定義されることが多い。流通性とは人的な交換可能性が高く不特定多数の人々の間で決済手段として用いられる性質を言う。また、汎用性とは物的な交換可能性が高く特定の商品・サービスとの交換に限定されない性質を言う。

  仮想通貨は中央銀行政府などの国家主体が発行せず、規制が及ばない通貨としての性質が強調される用法もあるが、定義によっては、中央銀行などによる仮想通貨の発行は必ずしも排除されない。ベネズエラ政府が経済危機への対策として埋蔵原油を裏付けに発行したデジタル通貨のペトロは仮想通貨であるとしている(日本経済新聞は仮想通貨と書いているが、ペトロのホワイトペーパーにはデジタル通貨と書かれている)ほか、中央銀行発行デジタル通貨の検討・実験が始まっている。
欧米
  EUの決済サービス指令は利用が発行者による場のみに限定されている支払手段については非適用範囲としている。
  アメリカ合衆国財務省の局である金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、2013年に発表されたガイダンスで仮想通貨を定義している。欧州銀行当局は、2014年に仮想通貨を「中央銀行または公的機関によって発行されたものでも、決済通貨にも付随するものでもなく、支払手段として自然人または法人によって受け入れられ、電子的に譲渡、保管または取引される価値のデジタルな表現」と定義した。 対照的に、中央銀行によって発行されるものは中央銀行発行デジタル通貨として定義される。
  仮想通貨の代表格である暗号通貨は、中央集権的な管理権威を持たないのが特色であるが、一方で通貨の管理権威である主体による定義付けは、以下のようになっている。
   ・2012年、欧州中央銀行は「未制御だが、特殊なバーチャルコミュニティで受け入れられた電子マネー」と定義。
   ・2013年、アメリカ財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は「本物のお金」の対義語と位置づけ、どの司法組織においても法定通貨としての価値を持たないものとして、ガイダンスを発表した。
   ・2014年、欧州銀行監督局は仮想通貨を「デジタルな価値の表現で、中央銀行や公権力に発行されたもの(不換紙幣を含む)でないものの、一般の人にも電子的な取引に使えるものとして受け入れられたもの」と定義付けた。
日本
  日本では、2016年6月3日に成立し、2017年4月1日に施行された、改正資金決済に関する法律の第2条第5項で、暗号資産(制定当初の名称は仮想通貨)は次のいずれかと定義された。なお、名称に暗号とついているが、暗号を使用しなくても暗号資産であり、分散型である必要性もない。
   1.物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、なおかつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
   2.不特定の者を相手方として相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
  ただし、以下の2要件が要請されている。
   1・金融商品取引法第2条第3項に規定する電子記録移転権利は除く。
   2・財産的価値は、電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、日本円および外国通貨ならびに通貨建資産を除く。
  従来の仮想通貨の呼称では、既存の法定通貨と紛らわしく、通貨建資産を除外しており、誤解を招くことがあったため、2018年の国際会議で暗号資産: crypto asset)の呼称が使われたことをきっかけに、日本でも2019年5月31日に暗号資産への呼称変更などを盛り込んだ資金決済法や金融商品取引法の改正法が国会で可決成立した。暗号を使用しなくても暗号資産であり、紛らわしくなっている。暗号であるかどうかよりも、電子情報処理であるかどうかが要件である。通貨建資産を除くとなっているので、法定通貨で価値が安定している物が除外される。
  ビットコイン(BTC)やオルトコインなどは、暗号通貨(cryptocurrency)であるが、これは仮想通貨の一種であり、日本の法律上の暗号資産の一種でもある。
分類
  デジタル通貨は、電子的に転送され格納される特定の形態の通貨であり、すなわち、コインまたは紙幣などの物理通貨とは異なる。欧州中央銀行によれば、仮想通貨は「一般的にはデジタル」であるが、長い歴史を持つその先駆者であるクーポンは物理的なものである。
  暗号通貨は、暗号化を利用してトランザクションを保護し、新しい通貨単位の作成を制御するデジタル通貨である。すべての仮想通貨が暗号化を使用するわけではないので、すべての仮想通貨が暗号化通貨であるとは限らない。暗号通貨は一般に法定の通貨ではない。

  仮想通貨の概念自体は、アメリカ合衆国上院で1995年には言及されており、1999年には一部の仮想通貨は存在していた。ユーロ2002年に現金が導入されるまでは決済通貨としてのみ存在したため、一種の仮想通貨であったともいえる。しかしその発達は電子マネーやソーシャルゲームとともにあり、仮想通貨という表現も2009年頃にできたものである。
分散型暗号通貨(詳細は「暗号通貨」を参照)
分散型暗号通貨の取得と使用
  暗号通貨を入手する場合、一般的には、取引所に口座を開設して、通常の通貨(法定通貨)との交換を行う形になる。暗号通貨と他の暗号通貨を交換することも想定される。暗号通貨によっては、その発行者が、一定の資格を有する者、行動を行った者に対して、暗号通貨を新規に発行することもある。
  法定通貨は、国家(中央銀行)によって発行され価値を保証されているが、国家(中央銀行)の経済政策による価値の変動リスクは常に伴っている。暗号通貨は、利用者による暗号通貨自身への信用と需給によってのみ価値が保証されているので、価値の変動を主導するのは利用者である。
  日本では給与の支払いや税金の納付は、日本円で行う必要があり、暗号資産による納付は、法令上認められていない。
  日本では、暗号資産と法定通貨を交換する取引所について、資金決済に関する法律の改正で暗号資産交換業として、金融庁への登録が必要になった。
分散型暗号通貨の問題点
  暗号通貨には、日本円や米ドルなどの法定通貨のような手形交換所がないが、登録を受けた暗号資産交換業者は存在している。決済記録に関する義務の規定がないが、ブロックチェーン技術によって決済記録は公開されている。

  暗号通貨に対しては、以下の様な問題点が指摘されている。ブロックチェーンはこれらの原因になりうる。
   ・利用者に対する価値の保証が無い。
   ・街が停電したら使えない
   ・電磁パルスを撃たれたらデータが全て消える可能性がある
   ・51%攻撃による取引記録の改ざんの恐れがある。(ビザンチン将軍問題)
   ・闇市場を生みやすい。
   ・課税の逃げ道になる。
   ・資金洗浄に利用される。
   ・いわゆる「セミナー商法」による、投資詐欺の可能性。(詐欺への注意喚起公報。)
   ・仮想通貨と法定通貨とを交換する取引所の管理体制の甘さ。
   ・電力の無駄問題。(採掘を有意な演算であるBOINCFolding@homeに委ねる動きもある。)
   ・これから先、AI(人工知能)やロボットに置換されうる労働力に対して、準労働性の経済対価。
  暗号通貨に対しては、利用者・投資家保護や資金洗浄脱税防止などを目的に、国家や業界団体などが規制を及ぼす動きも進んでいる。
世界の仮想通貨
  世界にある仮想通貨の総数は年々増えていく傾向にある。『日本大百科全書』(ニッポニカ)の2016年ころに編集された版では、「600種類を超える仮想通貨が存在する」と記述され、「それらの推定時価総額は2016年4月時点で約80億ドル」とされた。2018年1月27日に掲載された朝日新聞の「キーワード」という記事では、「世界で1千種類以上あるとされ、全体の時価総額は約59兆円に達する」と解説された。
電子マネー(詳細は「電子マネー#各国の電子マネー」を参照)
ネットクーポン
集中管理型仮想通貨


仮想アプライアンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


仮想アプライアンス(英Virtual appliance)は、Parallels、VMware、Xen、Microsoft Virtual PC、QEMU、User Mode Linux、CoLinux、Virtual Iron、VirtualBoxといった仮想化技術の上で動作するよう設計された最小仮想機械イメージである


































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