中国の犯罪-1


2024.02.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240222-MBQRWXGDERK4VIQBEE6VPVLDTI/
中国の元人権派弁護士、日本で死去した長女との面会かなわず 当局が出国を拒み続け
(桑村朋)

  中国で軟禁状態にある元人権派弁護士、A氏(55)の長女、正琪(せいき)さん(27)が20日夕、肺炎のため留学先の日本で死去した。支援者が明かした。2021年に結核を患い、意識不明の重体となっていた。A氏は来日を望んできたが、中国当局は「国家安全」を理由に出国を拒み続け、最終的に面会はかなわなかった。

  支援を続けてきた東大大学院の阿古智子教授らによると、正琪さんは2019年から東京に語学留学していたが、進学準備をしていた21年4月、結核性の髄膜炎と診断され、意識不明に陥った。ここ1年ほどは母親に看病されながら都内の自宅で療養していたが、亡くなる数日前から体調が悪化していたという。
  A氏は正琪さんが倒れて以降、何度も出国を試みたが、中国当局は「国家の安全に危害を及ぼす恐れがある」と拒否。21年12月には北京市内で拘束され、23年1月の解放後に吉林省の実家に戻った今も当局の軟禁下に置かれている。
  正琪さんは弱い立場の人を救う夢を持っていた。阿古教授は「子供を見舞うために来日したいというA氏の純粋な思いになぜ国家安全が関係するのか。深刻な人権侵害だ」と中国当局の対応を批判。今後は日本で葬儀を行う予定だが、A氏の来日は依然として厳しい状況という。(桑村朋)


2024.02.05-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240205-ERKRRNW3OFOYJCUTAC5YQ77XMU/
中国大手銀行前頭取に死刑 収賄など百億円、猶予付き

  中国湖南省常徳市の中級人民法院(地裁)は5日、違法に計5億元(約103億円)超を得ていたとして、収賄などの罪で銀行大手、招商銀行のA前頭取に執行猶予2年の付いた死刑判決を言い渡した。国営通信新華社が報じた。

  判決によると、A頭取は招商銀行の頭取などを歴任していた期間に、規定に違反して職権を乱用し、インサイダー取引などを行い計2億9千万元余りの利益を得ていたほか、2億1千万元超相当の財物も受け取っていた。裁判所は「社会へ与えた影響は極めて悪く、国家と人民にも重大な損失を与えた」とした。
  香港メディアによると、A頭取は王岐山前国家副主席が中国建設銀行で頭取を務めた時代に秘書役だった。招商銀行は2022年4月に頭取辞任を発表。その後、共産党党籍と公職を剝奪されて、逮捕・起訴されていた。(共同)


2023.11.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231111-QG4TAMZ3PRM43FFWCVJ5VSSKRY/
中国で50代日本人男性の懲役12年が確定 「スパイ罪」で上訴を棄却

  【北京=三塚聖平】中国湖南省長沙市で2019年に拘束され、反スパイ法に違反した罪で懲役12年の実刑判決を受けた50代の日本人男性の上訴が棄却され、判決が確定したことが11日、分かった。日本政府関係者が明らかにした。

  上訴は湖南省高級人民法院(高裁)で今月3日に棄却された。中国は二審制のため懲役刑が確定した。男性は19年7月に国家安全当局に拘束された後、今年2月に長沙市の中級人民法院(地裁)で判決を受け、不服として上訴していたという
  中国は14年に反スパイ法を施行し、外国人の取り締まりを強化した。邦人摘発も相次いでおり、15年以降、スパイ行為に関与したなどとして拘束された日本人は少なくとも17人に上る。計10人が懲役3~15年の実刑判決を受けた。
  中国当局は詳細を明らかにしておらず、具体的に何が違反行為に当たるのかも分からず懸念が深まっている。今年に入っても、3月にアステラス製薬の日本人社員を拘束し、10月に逮捕した。7月には改正反スパイ法を施行し摘発を進めている。
  今月16日を軸に調整中の日中首脳会談が行われれば、相次ぐ邦人の拘束問題が焦点となりそうだ。


2023.11.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231101-WOEN3LUNRNKX7IQTNCK5MXW5WY/
青島ビール放尿で行政拘留 中国

  中国山東省青島市の大手ビールメーカー、青島ビール工場で作業員の男が原料を運ぶ貨物トラックのコンテナ内に放尿したとみられる動画が拡散した問題で、地元当局は1日、男を行政拘留処分にしたと発表した。青島ビールは「消費者に心よりおわびする」とのコメントを出した

  男は10月19日、他の作業員らと共に原料の荷降ろしをしていた際、コンテナ内に放尿したという。インターネット上で男の動画が拡散し、同社が当局に通報していた。
  青島ビールは1903年創業で、中国有数のビールメーカー問題の原料は生産工程に入らないよう処理したとしている。(共同)


2023.10.24-毎日新聞(KYODO)-https://mainichi.jp/articles/20231024/k00/00m/030/014000c
中国・青島ビール工場で放尿?動画が拡散 原料の倉庫、当局が捜査

  中国山東省青島市の大手ビールメーカー、青島ビールの工場にある原料の倉庫で作業員が放尿しているとみられる動画が拡散し、同社は24日までに当局に通報したと発表した。動画は中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)などで広がった。中国メディアによると、当局が既に関係者を拘束したという。

  19日に倉庫で作業員が放尿しているような映像が投稿された。地元当局は「捜査し、法律に基づいて厳正に対処する」としている。
  青島ビールは1903年創業で、中国有数のビールメーカー。ドイツの製造技術を取り入れたとされ、世界各地に輸出されている。(共同)


2023.08.29-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230829-EO2KNB3KSNNY7ILX42GWMMSMZA/
中国、元貴州省トップ調査 汚職か

  中国国営通信新華社は28日、中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会貴州省トップだった孫志剛・元同省党委員会書記を重大な規律、法律違反の疑いで調査していると伝えた。汚職とみられる。

  2017~20年に貴州省の党委書記を務めた。(共同)


2023.02.18-HEAD TOPICS-https://headtopics.com/jp/200132226925237679329-35556373
中国投資銀行「華興資本」のCEO、音信不通に

  中国の首都・北京に拠点を置く投資銀行で、未公開企業への投資も手掛ける華興資本控股(チャイナ・ルネサンス・ホールディングス)は16日、包凡・会長兼最高経営責任者(CEO)と「連絡が取れなくなっている」と公表した。香港証券取引所への提出書類で明らかにした。

  これを受け香港では17日、華興資本の株価が一時50%急落し、28%安で取引を終えた。
  華興資本は声明で「包氏の音信不通が当グループの事業や活動に関連している、またはその可能性があることを示す情報は把握していない」と述べた。
  包氏は中国のハイテク業界で老練なディールメーカーとして定評がある。2015年には中国の食品配達関連の2大有力サービスである美団と大衆点評の合併を仲介。合併後の企業の「スーパーアプリ」は中国の至る所で使われている。
  包氏は1990年代後半、モルガン・スタンレーとクレディ・スイスで投資銀行のキャリアを歩み始め、その後は上海や深圳の証券取引所でアドバイザーも務めた。 包氏のチームは米国に上場している中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来(NIO)と理想汽車(リ・オート)に投資しているほか、中国のインターネット大手、百度(バイドゥ)やJDドット・コムが香港に重複上場するのを支援した。
  中国の金融メディア「財新」によると、華興資本では先日も同様の混乱が起きていた。財新が匿名の情報筋の話として伝えたところによれば、中国当局は昨年9月、華興資本の叢林総裁を拘束したという。
  中国では企業幹部がほぼ何の説明もなく姿を消すことは珍しくなく、包氏の失踪以前にも経済界の有力者が消息を絶つ事案が相次いでいた.中国・華興資本集団の創業者で最高経営責任者(CEO)、包凡氏



2022.07.13-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20220713/k00/00m/030/074000c
中国で預金者が「人権と法治」求めデモ、負傷者多数 各地で騒動拡大
【北京・米村耕一】

  中国内陸部・河南省鄭州で、預金引き出しを停止した地方金融機関をめぐる騒動が続いている。香港メディアによると、今月10日には地方政府や金融機関に抗議する約1000人の預金者が「河南政府の腐敗に反対する」などの横断幕を掲げて抗議デモを行い、抑え込もうとした当局者と衝突。多くのけが人が出た。

  中国政府は従来、こうした抗議デモが発生しないよう厳しく抑え込んできた。しかし最近数カ月は、厳格すぎる新型コロナウイルス対策への不満や景気減速による経済難を背景に、中国各地で抗議行動が相次ぐ。当局はこうした動きの広がりに神経をとがらせている模様だ。

  インターネット上には、鄭州の抗議現場や当局者の暴行によって負傷したとされる人の写真、動画が多く出回っている。中国人民銀行(中央銀行)鄭州支店前に集結した預金者たちは「暴力で預金者に対応する省政府に抵抗する。人権と法治を要求する」などの横断幕を掲げていた。香港メディアの報道や動画によると、そこに乗り込んだ大勢の白シャツ姿の当局者が力ずくで預金者たちを引きずり回し、一部を拘束するなどしている。
  問題の発端は複数の地方金融機関のオンライン預金口座が4月中旬、突然凍結されたことだ。こうした金融機関は高い金利で多くの預金者を集めていた。中国メディアによると凍結の背景には、鄭州の公安当局が、これらの金融機関の大株主である投資会社の不正を調査していたことがあった。しかし、預金の保護について説明はなく、預金者たちは断続的に抗議のために集まり、当局がコロナ対策などを理由にその動きを妨害するなどしていた。

  騒動の拡大を受け、地元金融監督当局は11日、「5万元(約100万円)を上限に払い戻しを行う」と発表したが、これで事態が沈静化するかどうかは不明だ。
  中国メディアによると、中国人民銀行(中央銀行)の孫天琦金融安定局長は13日の記者会見で、「高リスクの金融機関は(問題となった河南省の銀行を含めて)全体の7%、その資産規模は全体の1%だ」と指摘。「大部分の銀行は安全だ」と強調した。
  今回の問題の背景としては、コロナ禍で景気が減速し、不動産やインフラに投資してきた地方の開発会社の経営が悪化。こうした企業が問題の金融機関から、不適切な形で資金調達していた可能性が指摘されている。【北京・米村耕一】


2022.06.27-Yahoo!Japanニュース(テレ朝 NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/21a34cc07619328eb2912e0a80f8b51a19277d71
中国“8000億円出金停止” 「主犯格」は米国逃亡か

  中国の地方銀行でおよそ8000億円の預金が引き出せなくなっている問題で、違法に預金を集めたなどとして、警察が行方を追っている人物がアメリカに逃亡した可能性があることが分かりました。

   ニューヨークのマンハッタンにあるメディア関連法人の理事長を名乗る人物は、中国の警察当局から銀行を利用した重大犯罪」の主犯格と名指しされています。
   この人物には、河南省などの地方銀行が集めた8000億円の預金を原資に高金利で違法に金を貸していた疑惑などが持たれています。
   複数の中国メディアはこの人物が当局の追及を逃れるため金を海外に持ち出しアメリカに逃亡したと伝えています。
テレビ朝日


2022.06.19-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b1c530416c1be8dc5f46fbd5c3d65cb2238c5237
中国河北省の女性暴行事件に世論沸騰 当局批判も

  【北京=三塚聖平】中国河北省の飲食店で今月、女性客が男たちから殴る蹴るの暴行を受けて重傷を負う事件が起きた。
  暴行の様子を撮影したとされる凄惨な動画が中国の交流サイト(SNS)で拡散し、世論が沸騰。地元警察の対応を批判する声も強まっており、当局が治安改善の取り組みに乗り出すなど波紋を呼んでいる。

  国メディアなどによると、河北省唐山市の飲食店で10日未明、グループで食事をしていた女性客が男に声を掛けられ、背中を触られた。女性が拒否すると男は殴りかかった。さらに女性を店外に引きずり出し、男の仲間も加わって顔を踏みつけるといった激しい暴行を執拗(しつよう)に加えたこれにより女性2人が重傷を負い、一時は病院の集中治療室(ICU)に入った。その後、警察が事件に関与した疑いがある男女9人を逮捕している
  この事件が伝わると、SNSでは「女性の誰もが関係し得る事件だ」「これが法治社会なのか」といった衝撃の反応が広がった。香港出身のアクション俳優のジャッキー・チェン氏は「男は女の人を殴ってはだめだ」などと投稿した。
  また、地元警察の事件に対する動きの遅さや、暴力犯罪への対応の不十分さも批判されている。別の暴行事件の被害を告発する動きもあり、中国社会における暴力犯罪の根深さを突き付ける事態となっている
  現地入りして同事件を取材した中国メディア記者が、地元警察署に連れていかれて乱暴な扱いを受けたことも伝えられている。 事件後、唐山市は治安改善のため集中的な犯罪取り締まり活動を展開すると表明。最高人民検察院(最高検)も13日、「ひどい暴力事件など民衆の安心感に関わる犯罪」を厳しく取り締まるよう指示している。


2022.06.14-Yahoo!Japanニュース(ABEMA TIMES)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1929e34cb5b2d374e78d6eaa62c751ab1ac0f92f
中国 約8000億円が出金停止に…抗議した預金者らを“閉じ込め”か-ANNニュース

  中国の銀行で8000億円規模の預金が引き出せなくなっている問題で、返金を求めて抗議する市民らが次々に連行される事態となっている。

【預金者たちの声】
  「なんで外に出られないんだ!」 「私に聞いても無駄だ」 「政府がこんなことするのか」 「そうだ」  中国の投資会社傘下の複数の地方銀行では、4月から8000億円規模の預金が引き出せなくなっている。河南省ではき13日、抗議に訪れた預金者らが到着した駅から何者かに連行され、ホテルや学校に閉じ込められた。また、銀行とも連絡が取れない状況だ。
【連行された預金者】
  「外に出られない。(説明は)何もない。対応にとても失望している」  違法な資金集めの指摘もあり、中国で史上最大級の詐欺事件になる可能性もある。(ANNニュース



2021.02.05-BBC News Japan-https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55944517
中国の女優、美容整形の失敗をSNSで公表 鼻先が壊死と

  中国の若手女優が、「悪夢」のような美容整形手術の失敗で鼻先が壊死したと、写真をソーシャルメディアに投稿し、美容整形手術の危険性について警告している。
  高溜(ガオ・リュウ)さんは新進気鋭の若手歌手兼女優で、数々の映画やテレビ番組に出演していたが、このところ表舞台に立っていなかった。
  その高溜さんが中国で人気のソーシャルメディア「新浪微博」に、自分の近況を投稿した。しばらく人前に出ていなかったのは、「美容整形手術に問題」があり、鼻先が壊死してしまったのだと写真と共に公表した。

  高溜さんは500万人のフォロワーに、鼻先が黒ずんだ自分の写真を示した。これを機に、美容整形手術について論争が起きている。中国では美容整形手術の人気はとても高い。
  高溜さんによると、昨年10月に友人から南部・広州市の美容整形医に紹介された。鼻を「少し細く」したらどうかと提案され、自分のキャリアアップにつながると期待して、手術を受けることにした。「施術には計4時間かかった。この4時間で、もっときれいになれると思った」と、高溜さんは書いた。「まさかこの4時間が悪夢の始まりになるなんて」

  手術の間、鼻に「ちくちくする違和感があった」と高溜さんは書く。12月か1月までには仕事に復帰できると言われていたものの、鼻はたびたび感染を繰り返してしまったという。「鼻先の皮膚が(中略)どんどん黒ずんで、鼻が壊死してしまった」とガオさんは説明し、自殺も考えたと書いた。
  高溜さんは結局、2カ月の入院を余儀なくされ、仕事の上ではドラマ出演料など40万人民元(約650万円)の損失をこうむったと説明した。また、組織の損傷が大きく、少なくとも今後1年は形成再建手術を受けることができないのだという。

  人気ニュースサイト澎湃新聞は、広州市天河区保健当局が公表している情報をもとに、高溜さんが手術を受けたクリニックについて報道。それによると、2020年3月から10月にかけて5回にわたり、行政処分を受けているという。具体的にどういう違反があったかは明らかにされていない。同紙によると、高溜さんの投稿以来、このクリニックについて複数の苦情が保健当局に寄せられており、調査が始まった。
  ソーシャルメディアでは、手術関係者の責任を問う声が上がっている。中国の美容整形手術全般に対する規制の改善を求める声もある。
  中国ではかねて美容整形の人気は高く、2004年には美容整形手術を受けた人に限定した美人コンテストも開かれている。

  特に若者の間に人気で、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、2019年に美容整形手術を受けた約2000万人のうち3分の2近くが30歳未満で、「5人に1人」が21歳未満だった。同紙によると、「就職や恋愛で有利になる」と期待して、高校卒業を機に大学入学前に手術を受ける若者が多い。
  しかし、需要の高まりの反動で、無免許医師を使う無認可クリニックも登場しているという。高溜さんが手術を受けたクリニックが、どのような状態のところかははっきりしていない。中国国務院は昨年4月、国内各地で「違反行為が増えている兆候」がうかがえるとして、手術は「資格を持つ医療者」によるものでなくてはならないと強調した。
  しかし、「環球時報」の英字紙「グローバル・タイムズ」によると、2019年には正規の美容整形クリニックに対して無資格クリニックはその6倍の6万軒あり、取り締まりも難しく、規制態勢も「混乱状態にある」と多くの市民が感じていた。


2021.01.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210122/wor2101220018-n1.html
中国、拘束の人権派弁護士に拷問 飲食や睡眠を制限

  中国当局に国家政権転覆の疑いで拘束されている人権派弁護士、丁家喜氏と著名民主活動家、許志永氏取り調べで睡眠を認められない、水や食事を少量しか与えられないといった拷問を受けたと訴えていることが22日、両氏に接見した弁護士の話で分かった。

  中国では正式な逮捕前などに刑事施設以外で拘束する「居住監視」と呼ばれる措置があり、自白強要や拷問の温床と指摘される。両氏への拷問も居住監視期間中だった。
  両氏は拘束から約1年たった21日、オンラインで初の弁護士接見が認められた。接見した弁護士によると、丁氏は約半月にわたり毎食、蒸しパン4分の1個で、1日600ミリリットルしか水を与えられない時期もあったと明かした。当局者は交代で尋問し、短時間の睡眠しか認められなかった。許氏も一時期、睡眠が1日2~4時間に制限された。(共同)



2020.11.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201127/wor2011270019-n1.html
中国医師ら6人に実刑 ヤミ臓器移植、事故負傷者らから摘出 手続き無視

  【北京=西見由章】臓器移植に関する正規な手続きを経ずに、交通事故の負傷者ら11人から肝臓や腎臓を違法に摘出したとして、中国の医師ら6人が懲役10月~2年4月の実刑判決を受けたことが分かった。中国のネットメディア、澎湃(ほうはい)新聞が27日までに伝えた。
  中国は2015年、ドナー(臓器提供者)の9割を占めていた死刑囚からの臓器移植を停止したとしており、一般のドナー不足は深刻な状況という。今回の事件は公立病院で臓器移植を担当する医師らが組織的に関与したとされ、中国で横行する“ヤミ臓器移植”の一端が明らかになった。
  報道によると、安徽省懐遠県人民病院の集中治療室(ICU)主任医師らは17~18年、事故の負傷者ら11人の家族に、国の補助金給付などを持ち掛けて臓器移植に応じるよう説得。江蘇省南京市の医師らが現場に駆け付け、救急車を装った車両の中で肝臓や腎臓の摘出手術を行ったという。
  中国では13年以降、ドナーと移植先のマッチングは正規の統一システム使用が義務化されている。臓器摘出手術に赤十字社スタッフの立ち会いも必要だが、今回の事件は一連の手続きがすべて無視されていた。


2020.5.18-Yahoo!!Japanニュース(COURiER)-https://news.yahoo.co.jp/articles/d8c3c9681c456790f8d93acbbcf7a60f55187811
79歳の実母を墓に「生き埋め」─残酷すぎる中国“姥捨て事件”の顛末
(1)
  親の介護に疲れた58歳の息子が、あろうことか、79歳の実母を墓地に生き埋めにする──という衝撃的な事件が中国北西部・陝西省で発生した。その顛末とともに、2億人の高齢者人口を抱える中国の“闇”についてお伝えする。

  5月6日、中国最大のミニブログ「新浪微博(ウェイボー)」に衝撃的な告発動画が載り、半日で1万1000件以上のコメントが寄せられた。
  動画は生き埋めにされた老婆が救出される光景を撮ったものだ。 陝西省の北端に位置し荒涼とした黄土高原が広がる靖辺県で、5月5日午後6時、地元警察十数名が、 廃墓地にある地下2mの古い墓穴から79歳の老婆・王某を掘り起こした。老婆は2日深夜に埋められ、約70時間飲まず食わずのまま墓穴で生きながらえてきた
  墓は横穴式の構造で、閉じ込められた老婆は、そのまま入り口を埋め戻され、自力では地上に出ることが不可能だった。
  ニュースキュレーションサイト「封面新聞(ザ・カバー)」によると靖辺県公安局に5日、地元主婦の張某から通報があり、夫の馬楽寛(マァ・ロァクアン、58)が2日午後8時ごろ、手押し車の荷台に寝たきりの実母の王某を載せてどこかへ出掛けてしまい、行方不明という内容だった。
  張某によると、3日深夜2時ごろ一人で帰宅した馬楽寛へ「アンタ、一体どこへ行ってたのよ! お義母さんはどうしたの!」と詰め寄ると「近所でライトバンを借り、バスターミナルへ行って、甘粛省行きの夜行便に乗せてきた。甘粛省の遠縁がおふくろを預かってくれると言ってきた」とつぶやいたので大急ぎでバスターミナルへ行き、義母の消息を確認したが、それらしき老婆がバスに乗った形跡は無かった。
  張某が帰宅すると、夫は忽然と姿を消していた。 実際には、馬楽寛は手押し車を押して郊外の廃墓地に行き、鍬と鋤で古墓を掘り起こして、墓穴に実母を埋めたのだった。墓穴には空間があり、頭部は埋められなかったため、老婆は辛うじて呼吸ができる状態だった
  県公安局は5日午前11時、県内をふらふらしていた馬楽寛の身柄を拘束した。尋問中、彼は「おふくろは今、甘粛省の親戚のもとに送られている最中で断じて失踪ではない」との主張を繰り返したが、次第に追い詰められてパニックに陥り、ついに実母を生き埋めにしたと自供した。
  県公安局は警官と遺体鑑定の法医からなる救出チームを組織し、同日午後4時過ぎから、馬楽寛の自宅から約4㎞離れた廃墓地で当該古墓の発掘を開始した。1時間半かかって墓室を掘り当てると、中からうめき声のような音が。「生きてるぞ!!!!」の掛け声とともに警官隊は老婆を抱え上げた。
  酸欠状態で瀕死の老婆は、自身の身よりも厳罰に処されるかもしれない息子を案じて警官に「誰に強要されたわけでもない。ワシが自ら這いつくばって穴の中に入ったんだよ」と話しながら靖辺県中医院(県漢方医学病院)へ搬送され、地元政府から見舞金5万元(約75万円)を受け取った。当の息子の馬楽寛は、救出劇の一部始終を一言も発せず見守っていた。そして現在も「故意殺人罪」容疑で県公安局に刑事拘留されている。
(2)
  総合ニュースメディアの「澎湃新聞(ザ・ペーパー)」が報道した馬楽寛の供述によると、犯行の動機は介護疲れと怨恨。2019年9月に長らく別居していた実母を自宅に引き取ったが、同年11月に実母は屋内で昏倒して骨折し、寝たきりの身となってしまう。
  排泄も困難で粗相も多くなり、馬が仕事先から帰宅すると、家中に糞便の臭気が立ち込め、我慢がならず、強いストレスに直面していた 。
  生来無口で非社交的な馬楽寛は日雇い仕事で長年日銭を稼いでおり、1男3女を儲け、長女は嫁ぎ、三女は大学進学を果たしたという。妻の張某は飲食店で、息子はガス工場で働いており、世帯収入は地域の平均を上回っていた。
  ただ、隣人によると馬楽寛は生い立ちが複雑だという。実父は馬楽寛の幼少時に早世し、実母は馬が12歳の時に甘粛省の男と再婚し家を出て行ったため、靖辺県に残された馬楽寛は、父方の祖母や叔父の家で貧困生活を強いられる。
  実母は再婚当時妊娠しており、甘粛省で馬楽寛の弟や妹を産んだ。弟は生来虚弱で長じても生活保護対象であったため、実母は再婚相手と死別したあと生活が困窮したため、2013年に弟を連れて靖辺県に戻り、二人暮らしを始めた。
  だが、19年に弟が重い障害を負い、同年9月から実母と弟は馬楽寛の家に間借りするようになった。 母子は46年ぶりの同居で、馬楽寛は長男としての義務感から実母と弟を引き取ったが、幼少時に自分を捨てて再婚した実母に対して言い尽くせない積年の恨みがあり、実母が白内障で視力を失い、寝たきりとなり、尿毒症を患い、大小便を垂れ流すようになって介護の負担が増すと、屈折した思いと合わさり、実母への殺意が湧き上がってきたという。
  ただ、馬楽寛夫婦が実母を虐待した形跡はみられず、怒り狂って実母を罵倒したりする怒鳴り声も近所に響いたことはなかった。たまに実母は、玄関先にぼんやりと所在なげに腰掛けていたという。
  中国では今も家計を支えるため児童が労働を強いられる場合があり(法的には違法)、実母が「働き手」となる12歳の長男を婚家に置いて(長子相続の伝統から姑や亡夫の弟が跡取りの馬楽寛は連れて行くなと命じた可能性も濃厚)再婚した事情も分からなくはない。
  ただ「母に捨てられた」馬楽寛少年の寂しさはひとしおだったようだ。 隋の初代皇帝・楊堅(文帝、在位581~604年)が定めた法律『開皇律』に中国人の道徳規範となる「十悪不赦(赦されない十の大罪)」との文言がある。すなわち、謀反(国家や君主への反逆)、謀大逆(君主や親を殺す企み)、謀叛(他国と通牒する)、悪逆(近親尊長を殺害)、不道(残虐な殺人)、大不敬(皇帝・皇族に対する不敬)、不孝(祖父母や父母を罵倒する)、不睦(家庭不和)、不義(恩人を殺害)、内乱(不倫、近親相姦)。中国メディアはこぞって、馬楽寛を十悪のうち三悪(悪逆、不道、不孝)を犯したと指摘した。
(3)
老婆の介護スタッフが「豹変」
  陝西省で老婆が生き埋めにされた同じ5月2日、江蘇省内溧陽市に住む83歳の老婆・陳某が、雇用してわずか8日目の介護スタッフに殺害される痛ましい事件が発生した
  江蘇省の日刊紙「現代快報」によると、糖尿病と運動機能障害を患っていた老婆は3月下旬から症状が重くなり、介護をしていた嫁が、家族ぐるみで旧知の女性・虞某(67)を介護スタッフとして雇い入れた。
  虞某は陳老婆と同郷で気心が知れており、かつ病院で看護の仕事をしていた経験から老人の世話について熟知していた。虞某も老婆の世話を二つ返事で快諾し、4月25日から仕事を始めた。
  虞某は献身的で、老婆の一家の信頼をすぐに勝ち得た。 老婆の息子の張阿留夫妻は、老婆の部屋に監視カメラを設置した。老婆が以前、雇った介護スタッフから「ぶたれた」と訴えて、事実無根と否定する当該スタッフと争いになったことがあり、念のための措置だった。
  虞某の勤務8日目である5月2日22時6分、老婆の息子の張阿留は虞某に夜間の世話の説明をした後に老婆の部屋を退出。すると22時11分、虞某は立ち上がってバスタオルを手に取り、ベッドに横たわる老婆の顔をいきなりバスタオルで塞ぎ、窒息させようとした。
  その1分後、虞某は部屋の出入口のドアを閉め、老婆の顔をなおもバスタオルで塞ぎ続け、さらに横たわったままの老婆の胸の上に座って呼吸困難を意図的に引き起こした。老婆は何度もうめいてもがいたが、虞某は一切を無視し続けた。虞某は手に扇子を持ってパタパタあおぎながら22時27分まで老婆の胸の上にどっかり座り続けた。
  22時30分、張阿留が老婆の部屋を覗いた時には母親の異変に気付かなかったという。 23時00分、虞某は老婆が悶死したのを確認し、張阿留に「奥様が死んでしまっているわ……すぐに来て」と電話して一家を部屋に呼んだ。落ち着き払った虞某は悲嘆に暮れる一家にテキパキ葬送の指示を出し、「地元の習俗なので、煮卵を死者の口に含ませてあげて」と依頼した。
  一家は老婆が虞某に看取られて自然死したと思い込み、虞某に礼金まで手渡した。ただ、監視カメラの映像を確認した一家の通報により、虞某は5月12日に「故意殺人罪」容疑で逮捕された。 現時点でも虞某の殺害動機ははっきりしない。
  介護スタッフは、契約期間中に被介護者が死去しても、当該月の1ヵ月分の報酬(虞某は月3000元=約4万5000円))を得ることができるという「潜規則(暗黙のルール)」があり、「現代快報」は虞某が「手っ取り早くまとまったカネを手にしたかったのではないか」と分析している。殺人の動機にしては安易すぎて“弱い”気もするのだが。
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高齢者人口はすでに2億人
  国務院(内閣に相当)直属の哲学・社会科学研究の最高学術機構、中国社会科学院は、中国人の平均寿命が1949年の建国当初はわずか35歳だったのに対し、2020年は77歳になると予想している。65歳以上の高齢者人口はすでに、国・地域別世界最多の2億人だが、2052年には4億8700万人(総人口の約34%)まで増大する見通し。
   1979~2015年の人口抑制国策「計劃生育(一人っ子政策)」の弊害で少子化も急速に進むなか、中国でも日本同様「未富先老(生活が豊かになる前に老いる)」や「未備先老(老後の準備ができる前に老いる)」が社会問題となり、介護や終末医療環境を整え、高齢者を社会でいかに支えていくかが大きな課題になっている。
   儒教の影響から親の面倒は子が自宅で見るのが当然という風潮は今も根強く、介護で精神的、経済的に追い詰められる子世代、孫世代も増加している。


2020.5.13-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200513/wor2005130025-n1.html
中国、空母建造の責任者を摘発 「重大な規律違反」

  【北京=西見由章】中国共産党中央規律検査委員会は13日までに、国有造船最大手「中国船舶重工集団」(現・中国船舶集団)の元会長、胡問鳴氏を「重大な規律違反と違法行為」の疑いで調査していると発表した。海軍艦艇を開発・建造する同社で、胡氏は昨年12月に就役した中国初の国産空母「山東」の建造に当たり総指揮を務めた。2018年以降、中船重工幹部らの摘発が相次いでおり、中国海軍の装備開発に影響が出ている可能性がある。
  同社をめぐっては中央規律検査委が18年6月、孫波元社長に対する調査を発表。孫氏は第三者に便宜を図って報酬を受け取り、「国家利益に重大な損失」をもたらしたなどとして収賄罪や職権乱用罪に問われ、19年7月に懲役12年の実刑判決を受けた。
  香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは軍関係者らの証言として、孫氏が中国初の空母「遼寧」に関する機密情報を外国の情報機関に渡した疑いで罪に問われたと報道。孫氏の公判は「国家秘密に関わる」として非公開で行われた。一方、他国に情報を漏らした場合に適用される国家安全危害罪については起訴・判決時の発表で言及されていない。認定された犯罪事実について具体的な説明はなく、真相は不明だ。
  また、孫氏の事件と今回の胡氏に対する調査に関連があるかについても現段階ではわかっていない。
  18年12月には中船重工の研究所の前所長が、規定に違反しカナダ国籍を取得したなどとして共産党籍の剥奪処分を受けている。
  中国の軍事専門家は共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)で、国産空母建造の責任者だった胡氏に対する調査が「中国の艦艇建造計画に影響を与えることはない」としつつ、一連の不祥事が「軍需産業に警鐘を鳴らしている」と危機感を示した。


2020.5.11-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/a/international/article/20200511/0001.html
コロナの“教訓”生きぬ中国 児童生き埋めの悲劇でも隠蔽体質

  中国河南省原陽県の住宅地建設予定地で4月中旬、遊んでいた男児4人がダンプカーの降ろした土砂に巻き込まれ、生き埋めになって死亡する痛ましい事故が起きた。この悲劇は中国全土の注目を集めたが、地元当局者は中国メディアの記者を「暴行」して取材を妨害その携帯電話のデータを消去するなど情報隠蔽に走った。新型コロナウイルスの震源地となった中国の当局は、その隠蔽体質が感染爆発を招いたと国内外から指摘されているが、教訓は生かされていないようだ。(北京 西見由章)

   地元当局の発表や中国メディアによると、原陽県の住宅地基礎工事現場で4月18日午後、5~11歳の男児4人が、土砂をいったん運び込むために掘られたくぼみの中で遊んでいたところ、児童らに気づかないまま複数のダンプカーが大量の土砂を降ろし、生き埋めになった
   まもなくパワーショベルがくぼみの中の土砂を付近に積み上げる作業を始めた際、「人形のような黄色い物体」を発見。近くで確認すると、男児の遺体であることがわかった。現場では夜までに他の3人の遺体が見つかった。


2019.7.12-産経 WEST-https://www.sankei.com/west/news/150402/wst1504020002-n1.html
拷問道具の輸出大国・中国の実態…チベット人を宙づりでサンドバッグ、鉄の椅子「虎の腰掛け」で電気ショック

中国の治安当局によるチベット人への恣意(しい)的な逮捕や拷問を告発する報告書が2月に発表された。一方で、人権団体は、中国が拷問道具の輸出大国になっていると指摘。報告書は「チベットでの拷問、虐待の実態」とし、英ロンドンを拠点とする非営利組織(NPO)「チベットウオッチ」などが、国連拷問禁止委員会で中国の人権状況が審議されるのにあわせて発表した。2008年北京五輪前にチベット自治区のラサを中心に起きたチベット騒乱後、押さえ込みにかかる当局によるチベット人への非道が暴かれている。

ストーブの煙突抱き、サンドバッグ…顔はやけど
 中国の治安当局によるチベット人への恣意(しい)的な逮捕や拷問を告発する報告書が2月に発表された。一方で、人権団体は、中国が拷問道具の輸出大国になっていると指摘。報告書は「チベットでの拷問、虐待の実態」とし、英ロンドンを拠点とする非営利組織(NPO)「チベットウオッチ」などが、国連拷問禁止委員会で中国の人権状況が審議されるのにあわせて発表した。2008年北京五輪前にチベット自治区のラサを中心に起きたチベット騒乱後、押さえ込みにかかる当局によるチベット人への非道が暴かれている。

 「やつらはチベット人を動物以下と見なしている。人間とは見ていない。(私は生き延びたが)一度、拷問所に連れて行かれたら終わり。死が待っている…」 ある男性僧侶(43)は08年3月23日、知人宅にいたところ、突然踏み込んできた警官隊に連行され、警察署で寝ずの尋問と暴行を受けた揚げ句、裁判もなしに刑務所に送られた。待ち向けていたのがさらなる拷問だ。
 1日中、宙づりにされ、尋問者からサンドバッグのように殴る蹴るの暴行を受けた後、ストーブの煙突を抱かされる格好で手枷をはめられ、顔面などはやけどと水ぶくれの状態に。夜間は窓が開けっ放しの極寒部屋にほうり込まれた。翌日からは再び拷問の日々だ。
 さらに黒頭巾を被(かぶ)せられて行った場所には「鉄の椅子(虎の腰掛け)」と呼ばれる拷問道具があった。縛り付けられ、警官から「分裂主義者め」とののしられながら、電気ショックも含めた暴行が何度も繰り返されたという。「意識は朦朧(もうろう)とし、痛みも感じなくなった。自分の肉が焼け焦げる臭いだけ覚えている」
 「やつらはチベット人を動物以下と見なしている。人間とは見ていない。(私は生き延びたが)一度、拷問所に連れて行かれたら終わり。死が待っている…」 ある男性僧侶(43)は08年3月23日、知人宅にいたところ、突然踏み込んできた警官隊に連行され、警察署で寝ずの尋問と暴行を受けた揚げ句、裁判もなしに刑務所に送られた。待ち向けていたのがさらなる拷問だ。
 1日中、宙づりにされ、尋問者からサンドバッグのように殴る蹴るの暴行を受けた後、ストーブの煙突を抱かされる格好で手枷をはめられ、顔面などはやけどと水ぶくれの状態に。夜間は窓が開けっ放しの極寒部屋にほうり込まれた。翌日からは再び拷問の日々だ。 さらに黒頭巾を被(かぶ)せられて行った場所には「鉄の椅子(虎の腰掛け)」と呼ばれる拷問道具があった。縛り付けられ、警官から「分裂主義者め」とののしられながら、電気ショックも含めた暴行が何度も繰り返されたという。「意識は朦朧(もうろう)とし、痛みも感じなくなった。自分の肉が焼け焦げる臭いだけ覚えている」

僧侶は5月半ばまで拘留された。その後も2度逮捕され、当局に葬り去られる危険を察知、マージャンに興じる看守らの隙をついて脱出。20万元(約390万円)の懸賞金付き脱獄殺人犯の汚名を着せられる中、1年8カ月かけてヒマラヤを越え、チベット亡命政府があるインド・ダラムサラにたどり着いたという。

釈放理由は、施設で死なれたら面倒だから
 報告書には、こうした事例が多数掲載され、命を落としたり、拷問で命の危険にさらされたりしているチベット人の名前が何人も記載されている。
 逮捕状もなしに連行され、罪状は後回し。拷問で無理やり強いられた証言をもとに裁判で刑を言い渡されるのが大抵で、弁護士も形式だけだ。裁判もあれば良い方で、当局による恣意的な長期拘束が日常茶飯事なことが読み取れる。
 こんな指摘もある
 釈放当日、大勢の親類縁者、友人らが拘置所、刑務所の門前で出迎え、騒ぐのを嫌い、今は全く知らせず、こっそり自宅まで連れて行くようにしている。また、拷問で衰弱しきった状態に陥った場合、家族のもとに帰すという。慈悲ではなく、当局の施設で死なれたら面倒だからだ。

「共産党なくして新中国はないなど、共産党をたたえる歌を覚えられなかったりしたら、とても立てないほど極小の独房に罰として入れられる。そう絶えず脅された」(40歳男性)
 「刑務所の労役で、まじめに働く者には刑期が短くなる恩典があったが、漢族だけの話。チベット人は除外されていた。差別的扱いだった」(29歳男性)
 再教育キャンプ、労働改造所など、共産主義国家にはかかせない人格破壊施設への言及もある。

拷問器具会社が10年で4・6倍に増加
 もちろん、中国政府は「中国は法治国家である」と主張、チベットやウイグル問題は「内政干渉だ」と突っぱねている。 だが、報告書からは、中国5千年の歴史の中で積み重ねてきた拷問嗜好(しこう)が“支配民族”の漢族のDNAにしっかり刻み込まれているのがわかる。そしてそれは、経済発展にともなって中国特産拷問道具の輸出にもつながっている。
 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが昨年9月公表した「中国における拷問器具取引と弾圧」によると、2003年に28社しかなかった製造業者は10年間で約130社に増加。電気ショック棒や突起棒、拘束具、重し付き足枷などの「憂慮すべき」拷問道具を含め、「世界の法執行器具の分野で供給国としての地位を大きく伸ばした」と指摘、世界市場でシェアを拡大しつつある成長産業になっているのだ。

チベットウオッチなどの報告書ではまた、密告制度の奨励にも触れている。500~5万元の報酬が当局から渡され、有力な情報にはさらに上乗せもされる。だが、それは裏を返せば、チベット人の反抗を警戒している証だろう。
 自由アジア放送などによると、2月の旧正月、チベット自治区や周辺の各地で、今年80歳を迎えるダライラマ14世の長命を祝う行事が密(ひそ)かに行われた。14世を「分裂主義者」と批判し、傀儡(かいらい)にできる15世擁立に血眼の中国当局だが、チベットの人々の14世への厚い信心は変わらない。
 「チベットは新中国のもと、豊かになった」。習政権が強調するそんな主張がいかに空虚なプロパガンダかがわかる。拷問がまかり通る人権無視の強権支配。“赤い帝国”の「舌先」に騙(だま)されてはいけない。







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